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特開2023-99576機械を操作する携帯端末に取り付けられる安全スイッチ装置および安全スイッチ装置を備える機械の操作装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099576
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】機械を操作する携帯端末に取り付けられる安全スイッチ装置および安全スイッチ装置を備える機械の操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/02 20060101AFI20230706BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
H01H9/02 L
B25J19/06
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074084
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2019127800の分割
【原出願日】2019-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】タン チンチェン
(57)【要約】
【課題】作業を行うときに作業者の疲れを抑制する安全スイッチ装置を提供する。
【解決手段】安全スイッチ装置21は、携帯端末6を固定するように形成された第1の支持部材31および第2の支持部材41と、作業者が手78で握るための把持部34とを備える。安全スイッチ装置21は、ロボット1の動作を許可する信号を発信するためのイネーブルスイッチ51と、ロボット1を停止する信号を発信するための非常停止ボタンとを備える。第1の支持部材31および第2の支持部材41は、大きさが異なる複数の種類の携帯端末を固定できるように形成されている。把持部34は、携帯端末6の重心位置に対応して携帯端末6の背面の形状の中央部に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械を操作する携帯端末に取り付けられる安全スイッチ装置であって、
前記携帯端末を固定するように形成された固定機構と、
前記固定機構に支持され、作業者が手で握るための把持部と、
前記把持部に配置され、機械の動作を許可する信号を発信するための許可スイッチと、
機械を停止する信号を発信するための非常停止ボタンとを備え、
前記固定機構は、大きさが異なる複数の種類の前記携帯端末を固定できるように形成されており、
前記把持部は、前記携帯端末の重心位置に対応して前記携帯端末の背面の形状の中央部に配置されるように、前記固定機構に支持されており、
前記把持部は、長手方向を有し、
前記許可スイッチは、前記把持部の端面に配置され、前記長手方向に平行な方向に飛び出すように形成されている、安全スイッチ装置。
【請求項2】
前記固定機構は、前記携帯端末の一方の端部に係合する第1の凹部を有する第1の支持部材と、
前記携帯端末の他方の端部に係合する第2の凹部を有する第2の支持部材と、
第1の支持部材に対して第2の支持部材を固定する固定部材と、を含み、
前記第2の支持部材は、前記第1の支持部材に対して摺動するように形成されており、
前記固定機構は、前記第1の支持部材と前記第2の支持部材とが前記携帯端末を挟むことにより、前記携帯端末を固定する、請求項1に記載の安全スイッチ装置。
【請求項3】
前記把持部は、前記長手方向に垂直な方向に切断した時に、前記把持部の幅方向の中央線に対して対称な断面形状を有する、請求項1に記載の安全スイッチ装置。
【請求項4】
機械を操作する携帯端末に取り付けられる安全スイッチ装置であって、
前記携帯端末を固定するように形成された固定機構と、
前記固定機構に支持され、作業者が手で握るための把持部と、
前記把持部に配置され、機械の動作を許可する信号を発信するための許可スイッチと、
機械を停止する信号を発信するための非常停止ボタンとを備え、
前記固定機構は、大きさが異なる複数の種類の前記携帯端末を固定できるように形成されており、
前記把持部は、前記携帯端末の重心位置に対応して前記携帯端末の背面の形状の中央部に配置されるように、前記固定機構に支持されており、
前記固定機構に固定された保護部材を含み、
前記保護部材は、安全スイッチ装置がケーブルにて前記携帯端末に接続された時に、前記ケーブルの周りに配置され、前記携帯端末から突出する前記ケーブルの高さよりも高くなるように形成されている、安全スイッチ装置。
【請求項5】
前記把持部は、長手方向を有し、
作業者の手が前記把持部から離れる方向に移動することを防止する押え部材を備え、
前記押え部材は、前記押え部材と前記把持部との間に作業者の手が配置されるように、前記長手方向に沿って延びている、請求項1から4のいずれか一項に記載の安全スイッチ装置。
【請求項6】
前記固定機構および前記把持部のうち少なくとも一方は、側面に形成された窪み部を有し、
前記窪み部は、作業者が前記把持部を把持した時に人差し指、中指、薬指、および小指のうち少なくとも1つの指が係合する位置に形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の安全スイッチ装置。
【請求項7】
請求項1又は4に記載の安全スイッチ装置と、
前記安全スイッチ装置に固定された前記携帯端末とを備える、機械の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械を操作する携帯端末に取り付けられる安全スイッチ装置および安全スイッチ装置を備える機械の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット等の機械は、機械の制御装置によって制御される。従来の技術においては、作業者が機械を操作しやすいように、作業者が運ぶことができる操作装置を機械の制御装置に接続することが知られている(例えば、特開2004-122243号公報および特開2001-38661号公報)。機械の操作装置は、通信線を介して機械の制御装置と通信できるように形成されている。
【0003】
近年においては、機械の操作装置としてタブレットなどの携帯端末を用いることが提案されている(例えば、特開2018-167396号公報および特開2017-202550号公報)。タブレットなどの携帯端末は、タッチパネル方式の表示器を含む。携帯端末は、機械に関する情報を表示することができる。作業者は、機械の状態および機械を動かすための設定値などを確認することができる。また、表示器に表示されるボタン等の画像を操作することにより、機械の操作を行ったり、所定の情報を入力したりすることができる。このように、作業者は、制御装置から離れた位置においても、機械の操作および情報の入力を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-122243号公報
【特許文献2】特開2001-38661号公報
【特許文献3】特開2018-167396号公報
【特許文献4】特開2017-202550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
操作装置が制御装置に接続されている場合には、作業者は、様々な位置に立って、機械の状態を見ながら機械を操作することができる。例えば、ロボットの位置および姿勢を確認しながら、ロボットを手動にて駆動することができる。
【0006】
操作装置が携帯端末を備える場合に、作業者が操作装置を片手で把持するための装置が提案されている。作業者は、一方の手で操作装置を把持して、他方の手で操作することができる。ところが、操作装置を片手で持って機械の操作を継続すると、腕の負担が大きくなり作業者が疲れるという問題があった。特に、作業者が長時間の作業を行うと、作業者の疲れは顕著になる。
【0007】
また、大きな画面を有する携帯端末を用いる場合には、携帯端末の重量が大きくなる。または、携帯端末を手で把持するための装置には、機械を瞬時に停止させる非常停止ボタンなどの安全スイッチを配置することができる。安全スイッチを取り付けると、操作装置の重量が大きくなる。操作装置の重量が大きくなると、作業者の負担が増えるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、機械を操作する携帯端末に取り付けられる安全スイッチ装置である。安全スイッチ装置は、携帯端末を固定するように形成された固定機構と、固定機構に支持され、作業者が手で握るための把持部とを備える。安全スイッチ装置は、把持部に配置され、機械の動作を許可する信号を発信するための許可スイッチと、機械を停止する信号を発信するための非常停止ボタンとを備える。固定機構は、大きさが異なる複数の種類の携帯端末を固定できるように形成されている。把持部は、携帯端末の重心位置に対応して携帯端末の背面の形状の中央部に配置されるように、固定機構に支持されている。把持部は、長手方向を有し、許可スイッチは、把持部の端面に配置され、長手方向に平行な方向に飛び出すように形成されている。
【0009】
本開示の第2の態様は、前述の安全スイッチ装置と、安全スイッチ装置に固定された携帯端末とを備える機械の操作装置である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の態様によれば、作業者が作業を行うときに作業者の疲れを抑制する安全スイッチ装置および安全スイッチ装置を備える操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態におけるロボット装置の概略図である。
図2】実施の形態におけるロボット装置のブロック図である。
図3】実施の形態における第1の操作装置を前側から見た時の斜視図である。
図4】第1の操作装置を後側から見た時の斜視図である。
図5】第1の操作装置の側面図である。
図6】第1の操作装置の第1の断面図である。
図7】第1の操作装置の第2の断面図である。
図8】実施の形態における第2の操作装置を後側から見た時の斜視図である。
図9】実施の形態における第3の操作装置の把持部の拡大側面図である。
図10】実施の形態における第4の操作装置を後側から見た時の斜視図である。
図11】実施の形態における第5の操作装置の側面図である。
図12】第5の操作装置の背面図である。
図13】実施の形態における第6の操作装置を前側から見た時の斜視図である。
図14】第6の操作装置を後側から見た時の斜視図である。
図15】第6の操作装置を下側から見た時の斜視図である。
図16】第7の操作装置を後側から見た時の斜視図である。
図17】第7の操作装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から図17を参照して、実施の形態における安全スイッチ装置および安全スイッチ装置を備える機械の操作装置について説明する。本実施の形態では、操作装置にて操作される機械としてロボットおよびハンドを例示して説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態におけるロボット装置の概略図である。図2は、本実施の形態におけるロボット装置のブロック図である。図1および図2を参照して、ロボット装置5は、作業ツールとしてのハンド2と、ハンド2を移動するロボット1とを備える。本実施の形態のロボット1は、複数の関節部を含む多関節ロボットである。
【0014】
ロボット1は、設置面に固定されているベース部14と、ベース部14に支持された旋回ベース13とを含む。旋回ベース13は、ベース部14に対して回転する。ロボット1は、上部アーム11および下部アーム12を含む。下部アーム12は、関節部を介して旋回ベース13に回動可能に支持されている。上部アーム11は、関節部を介して回動可能に下部アーム12に支持されている。ロボット1は、上部アーム11の端部に連結されているリスト15を含む。リスト15は、関節部を介して上部アーム11に回動可能に支持されている。リスト15は、回転するように形成されたフランジ16を含む。ハンド2は、リスト15のフランジ16に固定されている。
【0015】
本実施の形態のロボット1は、6個の駆動軸を有するが、この形態に限られない。ロボットは、作業ツールの位置および姿勢を変更可能な任意のロボットを採用することができる。また、作業ツールは、ロボット装置が行う作業に応じた作業ツールを採用することができる。例えば、ロボット装置がスポット溶接を行う場合には、作業ツールとしてスポット溶接ガンを用いることができる。
【0016】
ロボット装置5は、ロボット1およびハンド2を制御するロボット制御装置4を備える。ロボット制御装置4は、機械の制御装置として機能する。ロボット制御装置4は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)を有する演算処理装置(コンピュータ)を含む。ロボット1およびハンド2は、ケーブル17を介してロボット制御装置4に接続されている。
【0017】
ロボット装置5は、ケーブル53を介してロボット制御装置4に接続された第1の操作装置81を備える。本実施の形態の操作装置は、ロボット1およびハンド2の動作プログラムを生成するために、ロボット1の位置および姿勢を設定するための教示操作盤として機能する。
【0018】
図3に、本実施の形態における第1の操作装置を表側から見た時の斜視図を示す。図4に、第1の操作装置を裏側から見た時の斜視図を示す。図5に、第1の操作装置の側面図を示す。図2から図5を参照して、第1の操作装置81は、ロボット1およびハンド2を操作する携帯端末6と、携帯端末6を固定するように形成された第1の安全スイッチ装置21とを備える。
【0019】
本実施の形態における携帯端末6は、タブレット型の演算処理装置(コンピュータ)である。本実施の形態における携帯端末6は、CPUを含む制御部73と、タッチパネル方式の表示器72とを含む。タッチパネル方式の表示器72としては、抵抗膜方式、静電容量方式、および表面弾性波方式等の任意の方式の表示器を採用することができる。
【0020】
表示器72は、ロボット1およびハンド2の状態などの機械の情報を表示することができるように形成されている。また、表示器72は、作業者が入力を行う操作部として機能する。表示器72は、ロボット1およびハンド2を操作する為のボタン等の画像を表示するように形成されている。携帯端末6は、表示器72の画面を指にて押圧することにより、ロボット1およびハンド2を操作する指令を送出できるように形成されている。
【0021】
本実施の形態における携帯端末は、タブレット型のコンピュータであるが、この形態に限られない。機械の操作が可能な任意の携帯端末を採用することができる。例えば、携帯端末は、スマートフォン等であっても構わない。
【0022】
本実施の形態の安全スイッチ装置21は、作業者が片手で操作装置81を支持することができるように形成されている。安全スイッチ装置21は、携帯端末6を固定するように形成された固定機構を備える。安全スイッチ装置21は、固定機構に支持され、作業者が手78で握るための把持部34を有する。
【0023】
本実施の形態においては、作業者が操作装置81を持った時に、ほぼ鉛直方向に延びる方向を上下方向と称する。矢印91は、上下方向を示している。また、作業者が操作装置81を持った時に、ほぼ水平方向に延びる方向を左右方向と称する。矢印92は、左右方向を示している。
【0024】
本実施の形態の固定機構は、携帯端末6の一方の端部に係合する第1の凹部32を有する第1の支持部材31を含む。第1の安全スイッチ装置21の第1の凹部32は、携帯端末6の上側の端部に嵌合する形状を有する。第1の凹部32は、携帯端末6の端部に密着する。固定機構は、携帯端末6の他方の端部に係合する第2の凹部42を有する第2の支持部材41を含む。第1の安全スイッチ装置21の第2の凹部42は、携帯端末6の下側の端部に嵌合する形状を有する。第2の凹部42は、携帯端末6の端部に密着する。第1の安全スイッチ装置21の固定機構は、第1の支持部材31および第2の支持部材41にて、携帯端末6を上下方向に挟む機能を有する。
【0025】
図6に、図5におけるA-A線に沿って切断したときの断面図を示す。図7に、図5におけるB-B線に沿って切断したときの概略断面図を示す。図5から図7を参照して、本実施の形態の第2の支持部材41は、第1の支持部材31に対して摺動するように形成されている。第2の支持部材41は、携帯端末6に係合する第2の凹部42を有する係合部43と、係合部43から延びるように形成されているスライド部44とを有する。本実施の形態の係合部43は、矢印92に示す左右方向に第2の凹部42が延びるように形成されている。
【0026】
第1の支持部材31は、第1の支持部材31の長手方向に沿って延びるように形成された穴部39を有する。第2の支持部材41のスライド部44は、穴部39に挿入されている。穴部39の内部には、第1の支持部材31から穴部39に沿って延びるように棒状部35が配置されている。棒状部35は、一方の端面が第1の支持部材31に固定されている。第2の支持部材41のスライド部44は、棒状部35が挿通する穴部44aを有する。棒状部35の周りには、ばね63が配置されている。スライド部44は、矢印94に示す方向に棒状部35に沿って移動する。ばね63は、ばね63が伸びる方向にスライド部44を付勢する。
【0027】
作業者は、第1の支持部材31および第2の支持部材41を携帯端末6に取り付ける時に、第2の支持部材41の係合部43を第1の支持部材31から離す向きに引っ張る。ばね63が縮むことにより、係合部43は、第1の支持部材31に近づく向きに付勢される。作業者は、第1の支持部材31の第1の凹部32と第2の支持部材41の第2の凹部42との間に携帯端末6を配置する。そして作業者は、ばね63の付勢力に従って係合部43を第1の支持部材31に向かって移動することにより、第1の凹部32と第2の凹部42にて携帯端末6を挟むことができる。携帯端末6の大きさに応じて第1の支持部材31に対する第2の支持部材41の位置を定めることができる。
【0028】
安全スイッチ装置21の固定機構は、第1の支持部材31に対して第2の支持部材41を固定する固定部材としてのねじ62を備える。ねじ62は、第1の支持部材31の側面から挿入されている。ねじ62を締め付けることにより、ねじ62は第2の支持部材41のスライド部44を押圧する。第1の凹部32と第2の凹部42にて携帯端末6を挟んだ後に、ねじ62を締め付けることにより、第1の支持部材31に対して第2の支持部材41を固定することができる。
【0029】
本実施の形態の固定機構では、携帯端末6を容易に取り付けたり取り外したりすることができる。作業者は、少ない操作数にて携帯端末6を安全スイッチ装置21に取り付けたり取り外したりすることができる。このために、例えば、工場に複数のロボットが配置されている場合に、それぞれのロボットの制御装置に本実施の形態の安全スイッチ装置を接続することができる。そして、操作装置81にてロボット1を操作する時に、携帯端末6を安全スイッチ装置21に固定して使用することができる。操作装置81にてロボット1を操作しない時に、携帯端末6を安全スイッチ装置21から取り外すことができる。また、1つのロボット制御装置に接続された安全スイッチ装置から携帯端末を取り外して、他のロボット制御装置に接続された安全スイッチ装置に携帯端末を取り付けることができる。このように、1つの携帯端末にて、複数のロボットの操作を行うことができる。
【0030】
更に、本実施の形態の固定機構では、第2の支持部材41が第1の支持部材31に対して摺動する。第2の支持部材41を第1の支持部材31に対して引き出すことにより、第1の支持部材31に対する任意の相対位置にて第2の支持部材41を固定することができる。すなわち、第2の支持部材41の第2の凹部42と第1の支持部材31の第1の凹部32との距離を調整することができる。このために、本実施の形態の固定機構では、大きさが異なる複数の種類の携帯端末を固定することができる。例えば、本実施の形態の固定機構では、第1の大きさを有する携帯端末を固定することができる。また、第1の大きさよりも大きな第2の大きさを有する携帯端末を固定することができる。
【0031】
なお、固定機構としては、第1の支持部材に対して第2の支持部材が摺動する機構に限られず、大きさが異なる複数の種類の携帯端末を固定することができる任意の機構を採用することができる。例えば、第1の支持部材の外周面に第2の支持部材をねじなどで固定する機構を採用しても構わない。
【0032】
図4および図5を参照して、本実施の形態の安全スイッチ装置21は、作業者が手78にて握るための把持部34を有する。第1の安全スイッチ装置21の把持部34は、第1の支持部材31に固定されている。把持部34は、矢印93に示す長手方向を有する。把持部34は、把持部34の長手方向が、矢印91に示す上下方向に平行になるように配置されている。把持部34は、作業者の手78の平(手の裏側)が接触する接触面34aを有する。
【0033】
把持部34は、携帯端末6の重心位置に対応して携帯端末6の背面の形状の中央部に配置されるように、固定機構に支持されている。特に、本実施の形態の把持部34は、携帯端末6の重心位置の直下に配置されている。本実施の形態における携帯端末6の背面の形状は長方形である。把持部34は、携帯端末6の背面の左右方向のほぼ中央に配置されている。また把持部34は、携帯端末6の背面の上下方向のほぼ中央に配置されている。このように、把持部34は、長方形の重心の位置の近傍に配置されている。
【0034】
携帯端末6の重量は、携帯端末6の重心位置から鉛直方向の下向きに作用すると考えることができる。本実施の形態においては、携帯端末6の重心位置の直下に把持部34が配置されているために、携帯端末6の重さは、手の平に対してほぼ鉛直方向に作用する。
【0035】
安全スイッチ装置においては、把持部を携帯端末の背面の形状の周辺部に配置することができる。例えば、把持部を携帯端末の左右方向の一方の端部に配置することができる。この場合には、携帯端末の重心位置は、把持部よりも側方に配置される。作業者の手には、携帯端末が回る方向(携帯端末の重心位置が下側に移動する方向)に力が加わる。すなわち作業者の手には、捩じれる方向の力が加わる。このために、作業者が長時間の作業を行うと腕が疲れてしまう。または、携帯端末が重い場合には、短時間の作業にても作業者の腕が疲れてしまう。
【0036】
これに対して、本実施の形態では、作業者は、例えば携帯端末6の画面が水平方向に平行になるように操作装置81を持つことができる。この場合に、携帯端末6の重心位置のほぼ真下に作業者の手78が配置される。作業者の腕に携帯端末が回る方向に力が加わることを抑制できる。このために、作業者の腕の疲労を抑制することができる。特に、長時間にて操作装置を使用した時に作業者の疲労を抑制することができる。または、重量が大きな携帯端末を用いる場合に、作業者の疲労を抑制することができる。
【0037】
本実施の形態の固定機構では、大きさが異なる複数の種類の携帯端末を固定することができる。第1の安全スイッチ装置21にて、本実施の形態の携帯端末6と大きさが異なる携帯端末を固定した場合に、把持部34が携帯端末の重心位置の直下の位置から僅かにずれて、重心位置の直下の位置の近傍に配置される場合がある。しかしながら、この場合にも把持部が携帯端末の周辺部に配置されることを回避できる。すなわち、把持部は、携帯端末の重心位置に対応して携帯端末の背面の形状の中央部に配置される。ここで、携帯端末の重心位置に対応して配置されるとは、携帯端末の重心位置の直下の位置および携帯端末の重心位置の直下の位置の近傍に配置されることを示す。把持部34が携帯端末6の重心位置の直下の位置の近傍に配置される場合でも、把持部が携帯端末の背面の形状の周辺部に配置される安全スイッチ装置よりも作業者の疲労を抑制することができる。
【0038】
図4図5、および図7を参照して、把持部34の内部には空洞が形成されている。空洞には、後述する電子回路基板55が配置されている。本実施の形態における把持部34は、矢印93に示す長手方向に垂直な方向に切断した時の断面形状が山の形状を有する。接触面34aは、手78にて握り易いように曲面にて形成されている。接触面34aは、中央部が外側に突出し、中央部から両側に向かうにつれて低くなるように形成されている。
【0039】
把持部34は、断面形状において長手方向に垂直な方向において対称の形状を有する。図7には、矢印92に示す左右方向における把持部34の中央を通る中央線90が示されている。中央線90は、把持部34の幅方向の中央を通る線である。把持部34の接触面34aの形状は、中央線90に対して対称になるように形成されている。把持部34は、中央線90に対して対称な断面形状を有する。この構成を採用することにより、作業者は、右手でも左手でも把持部34を握ることができる。そして、作業者は、把持部34を把持する手と反対側の手にて携帯端末6を操作することができる。なお、把持部の断面形状は対称な形状を有していなくても構わない。例えば、左手で把持部を把持すると定めた場合に、接触面を左手の平の形状に対応するように形成しても構わない。
【0040】
図4および図5を参照して、本実施の形態の安全スイッチ装置21は、作業者の手78を把持部34に向かって押さえるように形成された押え部材としてのベルト61a,61bを備える。ベルト61a,61bは、合成皮革などの変形可能な材質にて形成されている。ベルト61a,61bは、ベルト61a,61bと把持部34との間に、作業者の手78が配置されるように形成されている。ベルト61a,61bは、把持部34の長手方向に沿って延びている。ベルト61aは、把持部34の長手方向の一方の端部に固定されている。ベルト61bは、把持部34の長手方向の他方の端部に固定されている。ベルト61aとベルト61bは、面ファスナーまたはボタンなどの固定具により、互いに固定したり離したりすることができるように形成されている。
【0041】
作業者は、把持部34を手78にて掴んだ後に、手の甲(手の表側)をベルト61a,61bにて固定することができる。ベルト61a,61bにより、作業者の手78を把持部34に向かって押し付けることができる。また、作業者の手78が把持部34から離れる方向に移動することを防止することができる。この結果、作業者は、片手でも安定して操作装置81を持つことができる。また、作業者は、把持部34を強く握らなくても、安定して操作装置81を持つことができる。
【0042】
押え部材としては、ベルトに限られず、作業者の手が把持部から離れる方向に移動することを防止するように形成された任意の部材を採用することができる。例えば、ベルトの代わりに、手の甲を覆うように形成された布などの覆い部材を採用することができる。そして、ファスナー等にて覆い部材を開いたり閉じたりすることができる。作業者は、覆い部材が開いた状態で手を入れて、ファスナー等にて閉じることにより手を把持部に固定することができる。
【0043】
図3から図5を参照して、第1の安全スイッチ装置21は、作業者またはロボットの安全を確保するための操作スイッチとしての非常停止ボタン52およびイネーブルスイッチ51を備える。非常停止ボタン52は、機械が駆動している時に機械を即時に停止させる信号を発信する為のボタンである。イネーブルスイッチ51は、機械の動作を許可する信号を発信するための許可スイッチである。例えば、作業者がイネーブルスイッチ51を押している期間に、機械を動作させることができる。そして、作業者がイネーブルスイッチ51から手を離すと、機械は自動的に停止する。
【0044】
イネーブルスイッチ51は、安全スイッチ装置21の裏側(携帯端末6の画面が配置される側と反対側)に配置されている。第1の安全スイッチ装置21のイネーブルスイッチ51は、作業者が操作装置81を持った時の把持部34の上側の端面に配置されている。イネーブルスイッチ51は、把持部34の長手方向に平行な方向に飛び出すように形成されている。この構成により、図4に示すように、作業者が把持部34を掴んだ状態で、親指にてイネーブルスイッチ51を押すことができる。または、作業者は、人差し指でイネーブルスイッチ51を押すこともできる。
【0045】
更に、把持部34の端面にイネーブルスイッチ51を配置することにより、作業者が右手で把持部34を把持した場合および作業者が左手で把持部34を把持した場合の両方の場合に、把持部34を掴んでいる手の指にてイネーブルスイッチ51を押すことができる。更に、作業者は、把持部34を掴んだ状態で、任意の時期にイネーブルスイッチ51を押したり離したりすることができる。
【0046】
本実施の形態の非常停止ボタン52は、安全スイッチ装置21の表側(携帯端末6の画面が配置される側)に配置されている。本実施の形態における非常停止ボタン52は、第1の支持部材31の上側の端部に配置されている。この構成により、作業者は、携帯端末6を支持している手と反対側の手にて非常停止ボタン52を押すことができる。
【0047】
なお、許可スイッチおよび非常停止ボタンは、安全スイッチ装置の任意の位置に配置することができる。例えば、許可スイッチは、後述するように把持部の側面に配置されていても構わない。また、非常停止ボタンは、第2の支持部材の表側の表面に配置されていても構わない。
【0048】
図2から図5を参照して、安全スイッチ装置21は、ケーブル53によりロボット制御装置4に接続されている。非常停止ボタン52またはイネーブルスイッチ51が押された信号は、ケーブル53を通ってロボット制御装置4に送出される。例えば、非常停止ボタン52が押された場合に、非常停止の信号はロボット制御装置4に送出される。ロボット制御装置4は、ロボット1の駆動およびハンド2の駆動を停止する。また、イネーブルスイッチ51が押されている信号は、ロボット制御装置4に送出される。イネーブルスイッチ51が押された信号を受信していない場合には、ロボット制御装置4は、ロボット1およびハンド2を停止した状態にする。そして、イネーブルスイッチ51が押されている期間には、ロボット制御装置4は、携帯端末6の操作に応じてロボット1およびハンド2を駆動する。
【0049】
本実施の形態の携帯端末6は、ケーブル54を介して安全スイッチ装置21に接続されている。本実施の形態では、安全スイッチ装置21は、USB(Universal Serial Bus)の信号にて携帯端末6と通信できるように形成されている。また、安全スイッチ装置21は、イーサネット(登録商標)の信号にて、ロボット制御装置4と通信できるように形成されている。安全スイッチ装置21は、イーサネットの信号をUSBの信号の信号に変換したり、USBの信号をイーサネットの信号に変換したりするための電子回路を有する電子回路基板55を含む。なお、携帯端末と安全スイッチ装置との間の通信および安全スイッチ装置とロボット制御装置との間の通信は無線にて行っても構わない。
【0050】
また、本実施の形態の安全スイッチ装置21は、ケーブル53を介してロボット制御装置4から電気が供給される。安全スイッチ装置21は、ケーブル54を介して携帯端末6に電気を供給する機能を有する。電子回路基板55は、電圧を変換する機能を有する。携帯端末6は、ケーブル54にて供給される電気にて、内部の蓄電池を充電することができる。
【0051】
本実施の形態の携帯端末6は、カメラの機能を備える。画像を撮像するためのレンズ71が、携帯端末6の背面に配置されている。第1の支持部材31には、レンズ71に対応する位置に穴部33が形成されている。本実施の形態の操作装置81は、携帯端末6に含まれるカメラの機能にて画像を撮像することができる。このように、固定機構には、携帯端末に含まれるカメラの機能にて撮像できるように、レンズの位置に対応する穴部が形成されていても構わない。
【0052】
図8に、本実施の形態における第2の操作装置を裏側から見たときの斜視図を示す。第2の操作装置82は、第2の安全スイッチ装置22を備える。第2の安全スイッチ装置22は、作業者の手が把持部34から離れる方向に移動することを防止するための押え部材が第1の安全スイッチ装置21と異なる。第2の安全スイッチ装置22は、作業者の手を押えるための押え部材64を有する。押え部材64は、変形しない材料にて形成されている。例えば、押え部材64は、樹脂等にて形成されている。
【0053】
押え部材64は、把持部34の上側の端部から下側に向かって延びるように形成されている。押え部材64は、矢印93に示す把持部34の長手方向に沿って延びている。把持部34と押え部材64との間には、作業者の手が挿入される空間が形成されている。押え部材64は、把持部34から離れて把持部34に沿って延びる形状を有する。作業者は、把持部34と押え部材64との間に手を挿入することができる。押え部材64は、作業者の手の甲に接触することにより、作業者の手が把持部34から離れることを防止することができる。
【0054】
このように、押え部材64は、変形しない材質にて形成されることができる。図8に示す押え部材64は、上側の端部のみが把持部34に固定されているが、この形態に限られない。押え部材は、下側の端部が把持部34に固定されていても構わない。
【0055】
図9に、本実施の形態における第3の操作装置の拡大側面図を示す。第3の操作装置83は、第3の安全スイッチ装置23を含む。第3の安全スイッチ装置23は、把持部34の構造が第1の安全スイッチ装置21と異なる。
【0056】
第3の安全スイッチ装置23の把持部34は、把持部34の本体部に対して移動可能に形成されている移動部材36を含む。移動部材36は、作業者の手の平が接触する接触面34aを含む。移動部材36は、把持部34の本体部に向かって延びる支持棒36aを有する。把持部34の本体部は、支持棒36aが挿入される穴部34bを有する。穴部34bは、支持棒36aが摺動するように形成されている。
【0057】
移動部材36は、雄ねじが形成された棒状部36bを有する。把持部34の本体部は、棒状部36bが挿入される穴部34cを有する。棒状部36bは、把持部34の本体部の穴部34cに向かって延びている。棒状部36bには、雌ねじが形成されたダイヤル38が係合している。ダイヤル38は、円板状に形成されている。作業者は、ダイヤル38を回すことにより、棒状部36bを矢印96に示すように移動させることができる。この結果、移動部材36がベルト61a,61bに向かう方向に移動したり、ベルト61a,61bから離れる方向に移動したりする。
【0058】
このように、把持部34の接触面34aを含む部分が押え部材に向かって移動する構成を採用することにより、作業者の手が挿入される空間の大きさを調整することができる。作業者の手の大きさに合わせて、作業者の手を挿入する空間の大きさを変更することができる。このために、作業者は、より安定して操作装置を持つことができる。または、作業者の疲れを抑制することができる。
【0059】
図10に、本実施の形態における第4の操作装置を裏側から見たときの斜視図を示す。第4の操作装置84は、第4の安全スイッチ装置24を備える。前述の安全スイッチ装置は、作業者が操作装置を持った時に、矢印91に示す上下方向に延びるように第1の支持部材31および第2の支持部材41が形成されている。第4の安全スイッチ装置24の固定機構は、作業者が第4の操作装置84を持った時の左右方向に携帯端末6を挟む構造を有する。
【0060】
第4の安全スイッチ装置24の第1の支持部材31および第2の支持部材41は、矢印92に示す左右方向に延びるように形成されている。第1の支持部材31は、携帯端末6の左右方向の一方の端部に係合している。また、第2の支持部材41は、携帯端末6の左右方向の他方の端部に係合している。これに対して、把持部34は、矢印93に示す把持部34の長手方向が矢印91に示す操作装置84の上下方向に平行になる様に配置されている。
【0061】
このように、固定機構は、第1の支持部材31および第2の支持部材41は、左右方向に延びるように形成されていても構わない。更に、第1の支持部材および第2の支持部材は、携帯端末に対して任意の方向から挟むように形成されていても構わない。
【0062】
図11に、本実施の形態における第5の操作装置の側面図を示す。第5の操作装置85は、第5の安全スイッチ装置25を備える。第5の安全スイッチ装置25は、把持部34が固定機構に対して回動する構成が第1の安全スイッチ装置21と異なる。第5の安全スイッチ装置25は、把持部34が第1の支持部材31および第2の支持部材41に対して回動するように形成されている。
【0063】
第5の安全スイッチ装置25は、固定機構に固定された固定プレート66と、把持部34に固定された回転プレート67を有する。本実施の形態では、固定プレート66は、第1の支持部材31に固定されている。回転プレート67は、固定プレート66に対して回転するように形成されている。本実施の形態の回転プレート67は、携帯端末6の重心位置または重心位置の近傍の位置を通り、携帯端末6の背面に垂直な方向に延びる回転軸の周りに回るように形成されている。また、安全スイッチ装置25は、ねじなどの固定部材により回転プレート67を固定プレート66に固定することができるように形成されている。
【0064】
図12に、第5の操作装置の背面図を示す。第5の安全スイッチ装置25の把持部34は、第1の支持部材31を含む固定機構に対して、矢印95に示すように回転する。固定機構に対する把持部34の位置が定まったときに、固定部材により回転プレート67を固定プレート66に固定することができる。
【0065】
第5の安全スイッチ装置25においては、固定機構に対する把持部34の角度を調整することができる。すなわち、作業に応じて携帯端末6を回転させることができる。作業者は、携帯端末6の表示器72を見やすいように携帯端末6の角度を調整することができる。例えば、携帯端末6の長手方向が上下方向に延びるように携帯端末6の向きを調整したり、携帯端末6の長手方向が左右方向に延びるように携帯端末6の向きを調整したりすることができる。このように、把持部34は、固定機構に対して回動可能に形成されていても構わない。把持部34と携帯端末6とを接続するケーブル54は、長いケーブルを使用することができる。または、把持部34に対する携帯端末6の回転角度を変更した場合に、回転角度に応じた長さのケーブルに付け替えても構わない。
【0066】
図13に、本実施の形態における第6の操作装置を表側から見た時の斜視図を示す。図14に、第6の操作装置を裏側から見た時の斜視図を示す。図15に、第6の操作装置を下側から見た時の斜視図を示す。図13から図15を参照して、第6の操作装置86は、携帯端末6に取り付けられた第6の安全スイッチ装置26を含む。第6の安全スイッチ装置26は、ケーブル54を保護する保護部材46を含む構造が第1の安全スイッチ装置21と異なる。また、第6の安全スイッチ装置26は、イネーブルスイッチ56の位置が、第1の安全スイッチ装置21と異なる。
【0067】
図15を参照して、第2の支持部材41の係合部43には穴部43aが形成されている。安全スイッチ装置26と携帯端末6とを接続するケーブル54は、穴部43aを挿通している。図13から図15を参照して、把持部34のケーブル54の接続口は、作業者が操作装置86を持った時に、把持部34の下側の端面に配置されている。携帯端末6のケーブル54の接続口は、携帯端末6の下側の端面に配置されている。このために、ケーブル54を安全スイッチ装置26および携帯端末6に接続した時に、ケーブル54は平面視したときにU字形に曲がっている。ケーブル54は、携帯端末6の下側の端面よりも突出した状態にて配置される。
【0068】
第6の安全スイッチ装置26は、ケーブル54を保護する保護部材46を含む。保護部材46は、第2の支持部材41に固定されている。本実施の形態の保護部材46は、板状に形成されている。保護部材46は、ケーブル54の前側(携帯端末6の画面が配置される側)に配置された壁部46aと、ケーブル54の側方に配置された壁部46bとを有する。保護部材46は、携帯端末6に接続されたケーブル54のうち、携帯端末6の端面から突出するU字形の部分を囲むように形成されている。矢印97に示す保護部材46の高さは、携帯端末6の端面から突出するケーブル54の高さよりも高くなるように形成されている。
【0069】
図3および図4を参照して、本実施の形態の第1の安全スイッチ装置21では、作業者が第1の操作装置81を持った時にケーブル54が携帯端末6の下側に突出する。第1の操作装置81を持ち運びながら操作しているときに、ケーブル54が作業者の体または他の装置などに接触する場合がある。この結果、ケーブル54に力が加わって、ケーブル54が損傷する場合がある。
【0070】
図13から図15を参照して、本実施の形態の第6の安全スイッチ装置26では、ケーブル54の周りに保護部材46が配置されていることにより、保護部材46が作業者の体または他の装置などに接触する。このために、ケーブル54が作業者の体または他の装置などに接触することを回避することができて、ケーブル54の損傷を抑制することができる。
【0071】
本実施の形態の保護部材46は、第2の支持部材41の下面に固定されているが、この形態に限られない。保護部材46は、携帯端末6と安全スイッチ装置26とを接続するケーブル54が配置される周りの空間に配置することができる。例えば、携帯端末のケーブルの接続口が、携帯端末の左右方向の端面に形成されている場合がある。この場合には、固定機構からケーブル54の接続口に向かってに延びる支持部材を介して保護部材を配置することができる。または、把持部が携帯端末の背面の中央部に配置されておらずに、携帯端末の左右方向の一方の端部に配置されている場合がある。この場合にも、固定機構からケーブルの接続口に向かって延びる支持部材を介して保護部材を配置することができる。また、保護部材は、第1の支持部材に固定されたり、第1の支持部材および第2の支持部材の両方に固定されたりしても構わない。
【0072】
次に、図14を参照して、第6の安全スイッチ装置26は、作業者が左手にて把持するように形成されている。第6の安全スイッチ装置26では、許可スイッチとしてのイネーブルスイッチ56が把持部34の側面に配置されている。イネーブルスイッチ56は、矢印93に示す把持部34の長手方向に沿って延びる形状を有する。この構成により、作業者は、把持部34を把持しながら、手の人差し指、中指、および薬指にてイネーブルスイッチ56を押すことができる。作業者は、任意の時期にイネーブルスイッチ56を押すことができる。このように、許可スイッチは、作業者が把持部を握った時に、任意の指にて操作できる位置に配置することができる。
【0073】
図16に、本実施の形態における第7の操作装置を裏側から見た時の斜視図を示す。図17に、図16におけるC-C線に沿って切断したときの断面図を示す。図16は、作業者が左手で把持部34を把持している時の斜視図である。図16および図17を参照して、第7の操作装置87は、第7の安全スイッチ装置27を備える。第7の安全スイッチ装置27は、固定機構の構造が第1の安全スイッチ装置21と異なる。
【0074】
第1の支持部材31および把持部34は、矢印92に示す左右方向において、ほぼ同一の幅を有する。第7の安全スイッチ装置27では、固定機構の第1の支持部材31の側面に、作業者の手79の指を係合するための窪み部40が形成されている。窪み部40は、第1の支持部材31の延びる方向に沿って延びるように形成されている。窪み部40は、把持部34の側面から凹むように形成されている。窪み部40は、作業者の手の人差し指、中指、薬指、および小指のうち少なくとも1つの指が係合する位置に形成されている。本実施の形態の窪み部40は、人差し指、中指、薬指および小指が係合する大きさを有する。
【0075】
作業者は、安全スイッチ装置27を把持する時に、人差し指、中指、薬指、および小指を窪み部40に配置して、把持部34を把持することができる。それぞれの指の指先を窪み部40に引っ掛けて把持部34を把持することができる。このために、作業者は、安定して把持部34を把持することができる。この結果、窪み部40を有しない安全スイッチ装置よりも作業者の疲れを抑制することができる。
【0076】
第7の安全スイッチ装置27は、作業者が右手および左手のいずれの手でも把持できるように形成されている。このために、第7の安全スイッチ装置27では、把持部34が第1の支持部材31の左側の側面および右側の側面の両方の側面に形成されているが、この形態に限られない。安全スイッチ装置が左手または右手のいずれかの手にて把持されるように形成されている場合には、把持する手の人差し指、中指、薬指、および小指が配置される側の側面に窪み部を形成することができる。
【0077】
また、第7の安全スイッチ装置27では、窪み部は固定機構に形成されているが、この形態に限られない。把持部が高く形成されている場合には、把持部に窪み部が形成されていても構わない。または、把持部と固定機構との境界部分に窪み部が形成されていても構わない。この場合には、把持部および固定機構の両方に窪み部が形成される。このように、窪み部は、把持部および固定機構のうち少なくとも一方に形成することができる。
【0078】
本実施の形態の固定機構は、第1の支持部材31と第2の支持部材41とが携帯端末6を挟むことにより、携帯端末6を固定するように形成されているが、この形態に限られない。固定機構は、任意の機構にて携帯端末を固定することができる。例えば、固定機構は、ねじにより携帯端末を安全スイッチ装置に固定するように形成されていても構わない。または、例えば、固定機構は、携帯端末の形状に対応する凹部を有する基材を含むことができる。凹部に携帯端末が嵌め込まれるように、基材に平面形状が四角形の凹部を形成することができる。
【0079】
本実施の形態における操作装置にて操作される機械は、ロボットおよびハンドであるが、この形態に限られない。任意の機械の操作装置に本実施の形態の構造を適用することができる。例えば、工作機械に、本実施の形態の安全スイッチ装置および操作装置を適用することができる。特に、数値制御式の工作機械に、本実施の形態の安全スイッチ装置および操作装置は好適である。
【0080】
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される実施の形態の変更が含まれている。
【符号の説明】
【0081】
1 ロボット
2 ハンド
6 携帯端末
21~27 安全スイッチ装置
31 第1の支持部材
32 第1の凹部
34 把持部
34a 接触面
40 窪み部
41 第2の支持部材
42 第2の凹部
46 保護部材
51,56 イネーブルスイッチ
52 非常停止ボタン
54 ケーブル
61a,61b ベルト
62 ねじ
64 押え部材
78 手
81~87 操作装置
90 中央線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本開示の第1の態様は、機械を操作する携帯端末に取り付けられる安全スイッチ装置である。安全スイッチ装置は、携帯端末を固定するように形成された固定機構と、固定機構に支持され、作業者が手で握るための把持部とを備える。安全スイッチ装置は、把持部に配置され、機械の動作を許可する信号を発信するための許可スイッチと、機械を停止する信号を発信するための非常停止ボタンとを備える。固定機構は、大きさが異なる複数の種類の携帯端末を固定できるように形成されている。把持部は、携帯端末の重心位置に対応して携帯端末の背面の形状の中央部に配置されるように、固定機構に支持されている。把持部は、携帯端末の背面に長手方向を有する。把持部は、作業者が把持部を手で握ったときに作業者の手の平が接触する接触面を有する。許可スイッチは、長手方向に沿って延びる形状を有し、作業者の手の平が接触面に接触する状態で把持部を把持する手の指で操作可能なように、把持部の側面に配置されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械を操作する携帯端末に取り付けられる安全スイッチ装置であって、
前記携帯端末を固定するように形成された固定機構と、
前記固定機構に支持され、作業者が手で握るための把持部と、
前記把持部に配置され、機械の動作を許可する信号を発信するための許可スイッチと、
機械を停止する信号を発信するための非常停止ボタンとを備え、
前記固定機構は、大きさが異なる複数の種類の前記携帯端末を固定できるように形成されており、
前記把持部は、前記携帯端末の重心位置に対応して前記携帯端末の背面の形状の中央部に配置されるように、前記固定機構に支持されており、
前記把持部は、前記携帯端末の背面に沿った長手方向を有し、
前記把持部は、前記作業者が前記把持部を手で握ったときに前記作業者の手の平が接触する接触面を有し、
前記許可スイッチは、前記長手方向に沿って延びる形状を有し、前記作業者の手の平が前記接触面に接触する状態で前記把持部を把持する手の指で操作可能なように、前記把持部の側面に配置されている、安全スイッチ装置。
【請求項2】
前記許可スイッチは、前記把持部の側面において、前記作業者の手の平が前記接触面に接触する状態で前記把持部を把持する手の特定の指で操作可能な位置に配置されている、請求項1に記載の安全スイッチ装置。
【請求項3】
前記長手方向は、前記作業者が前記把持部を手で握って前記携帯端末を持ったときの鉛直方向に平行な方向である、請求項1又は2に記載の安全スイッチ装置。
【請求項4】
前記固定機構は、前記携帯端末の一方の端部に係合する第1の凹部を有する第1の支持部材と、
前記携帯端末の他方の端部に係合する第2の凹部を有する第2の支持部材と、
第1の支持部材に対して第2の支持部材を固定する固定部材と、を含み、
前記第2の支持部材は、前記第1の支持部材に対して摺動するように形成されており、
前記固定機構は、前記第1の支持部材と前記第2の支持部材とが前記携帯端末を挟むことにより、前記携帯端末を固定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の安全スイッチ装置。
【請求項5】
前記作業者の手が前記把持部から離れる方向に移動することを防止する押え部材を備え、
前記押え部材は、前記押え部材と前記把持部との間に前記作業者の手が配置されるように、前記長手方向に沿って延びている、請求項1から4のいずれか一項に記載の安全スイッチ装置。
【請求項6】
請求項1に記載の安全スイッチ装置と、
前記安全スイッチ装置に固定された前記携帯端末とを備える、機械の操作装置。