(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099752
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 2/52 20060101AFI20230706BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20230706BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20230706BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20230706BHJP
A23L 2/39 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
A23L2/00 F
A23L33/10
A23L7/10 H
A23L19/00 Z
A23L2/00 Q
A23L2/52 101
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085863
(22)【出願日】2023-05-25
(62)【分割の表示】P 2023035427の分割
【原出願日】2018-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】友澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】三井 隆史
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
(57)【要約】
【課題】 有用な機能を有する青汁素材含有経口組成物を提供すること。
【解決手段】 青汁素材(発酵物を除く)と、ポリデキストロースとを含有することを特徴とする青汁用粉末飲料であり、さらに、イヌリンを含有することが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青汁素材(発酵物を除く)と、ポリデキストロースとを含有することを特徴とする青汁用粉末飲料。
【請求項2】
さらに、イヌリンを含有することを特徴とする請求項1に記載の青汁用粉末飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青汁素材を含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する関心の高まり等を背景に、種々の健康食品の開発が行われており、健康食品に用いられる様々な素材の研究が行われている。
【0003】
例えば、ケールは、キャベツなどと同じアブラナ科植物の1種であり、ビタミンCなどのビタミン類、ミネラル類、食物繊維、クロロフィルなどに富み、また、胃炎や胃潰瘍の予防、肝機能の改善や便秘に有効であるなど、人体の健康維持に適する健康素材として注目を浴びている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、健康志向と同様に安全志向の高い昨今では、日常的に食されているケールのような安全な素材を用いたものが好まれ、このような食経験のあるケール等の安全な素材が有する有用な機能をより活用することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、有用な機能を有する青汁素材含有経口組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、大麦若葉やケール等の青汁素材と共に、特定の素材(他素材)を用いることにより、優れたα-グルコシダーゼ阻害作用が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。また、大麦若葉やケール等の青汁素材と共に、特定の素材(他素材)を用いることにより、分散性が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]青汁素材と、プルーン、ポリデキストロース及びイヌリンから選ばれる少なくとも1種の他素材とを含有することを特徴とする経口組成物。
[2]2種以上の他素材を含有することを特徴とする上記[1]記載の経口組成物。
[3]他素材としてプルーンを含有することを特徴とする上記[1]又は[2]記載の経口組成物。
[4]青汁素材が、大麦、ケール、クマザサ、明日葉、甘藷、ヨモギ、長命草及び桑から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の経口組成物は、優れたα-グルコシダーゼ阻害作用を有する。また、本発明の経口組成物は、分散性が高く、ダマの形成を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の組成物(大麦若葉)を適用した場合のα-グルコシダーゼ阻害率の結果を示すグラフである。
【
図2】本発明の組成物(ケール)を適用した場合のα-グルコシダーゼ阻害率の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の経口組成物は、青汁素材と、プルーン、ポリデキストロース及びイヌリンから選ばれる少なくとも1種の他素材とを含有するものであれば特に制限されるものではなく、少なくとも2種の他素材を含有することが好ましい。また、本発明の経口組成物は、他素材として少なくともプルーンを含有することが好ましい。
【0012】
本発明の経口組成物は、優れたα-グルコシダーゼ阻害作用を有する。特に、他素材としてプルーンを用いる場合に高いα-グルコシダーゼ阻害作用を得ることができる。二糖類分解酵素であるα-グルコシダーゼの作用を阻害することで、生体内(腸管)における糖の分解・吸収を遅らせることができる。したがって、食後の血糖上昇を抑制する効果やダイエット効果を得ることができる。
【0013】
また、青汁素材と他素材を含有する本発明の経口組成物は、青汁素材に比して高い分散性を有する。すなわち、本発明の経口組成物は、凝集しにくい粉体(粉末)である。したがって、水やお湯等の液体に溶かして摂取する場合、溶けやすく、簡単に混合することができる。さらに、製品の製造工程では、粉末の混合工程において粉末同士の付着を抑制し、ダマの形成を抑制して均一な混合が可能となる。すなわち、この分散性の高い経口組成物は、単に混合するだけで調製できるものであり、その調製も容易である。例えば、凝集性が強く、塊を形成しやすい原料を混合する際には、その原料について粉砕機を用いた解砕等の前処理を行い、原料の流動性を確保したうえで仕込み、さらに、仕込み後は、再凝集しないようできるだけ速やかに給気し、流動を開始する必要があることが知られているが、このような煩雑な操作を行う必要がない。また、凝集性が強く、ダマを形成しやすい原料と賦形剤を予め混合することで付着性を緩和できる場合があることも知られているが、このような添加も必要ない。
【0014】
また、本発明の組成物は分散性が高いことから、さらに本発明の成分以外の素材を混合して本発明の経口組成物とする場合にも、上記のような煩雑な操作を行う必要がなく、単に混合するだけで調製することができる。
【0015】
[青汁素材]
本発明の青汁素材としては、大麦、ケール、クマザサ、明日葉、甘藷、ヨモギ、長命草及、桑を挙げることができ、1種単独で用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
【0016】
(大麦)
大麦(Hordeum vulgare L.)は、中央アジア原産とされ、イネ科に属する一年生又は越年生草本であり、穂形により、二条大麦や六条大麦などに大別される。本発明において用いられる大麦としては、二条大麦や六条大麦などのいずれの大麦であってもよい。また、いずれの品種を用いてもよい。本発明において用いる部位としては、葉が好ましく、葉の中でも緑葉が好ましく、若葉が特に好ましい。また、葉と共に茎を含んでいてもよい。
【0017】
(ケール)
ケールは、アブラナ科植物である。本発明において用いられるケールの品種は特に制限されるものではなく、キッチンケール、ツリーケール、ブッシュケール、マローケール、コラード、緑葉カンラン等の様々な種類のケールを用いることができる。ケールは、収穫後、直ちに乾燥、粉砕等の加工処理を施したものであることが好ましい。処理までに時間を要する場合には、ケールの変質を防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵することが好ましい。本発明において用いる部位としては、葉が好ましく、葉の中でも緑葉が好ましい。また、葉と共に茎を含んでいてもよい。
【0018】
(クマザサ)
クマザサ(熊笹)は、イネ科植物であり、本発明において用いる部位としては、葉が好ましく、葉の中でも緑葉が好ましい。また、葉と共に茎を含んでいてもよい。
【0019】
(明日葉)
明日葉(アシタバ)は、セリ科植物であり、本発明において用いる部位としては、葉が好ましく、葉の中でも緑葉が好ましい。
【0020】
(甘藷)
甘藷は、ヒルガオ科に属する植物であり、一般にサツマイモと呼ばれるものである。甘藷の品種は、特に限定されず、例えば、すいおう、ジョイホワイト、コガネセンガン、シロユタカ、サツマスターチ、アヤムラサキなどの品種が挙げられる。なかでも、ポリフェノール含有量が高いすいおうが好ましい。本発明において用いる部位としては、葉が好ましく、葉の中でも緑葉が好ましく、若葉がより好ましい。特に、茎葉の先端部分(若茎葉)が好ましく、黄味がかった緑色を保持している状態の若茎葉がさらに好ましい。
【0021】
(ヨモギ)
ヨモギは、キク科植物であり、品種としては、特に限定されるものではなく、ヨモギ、ニガヨモギ、タラゴン、ニトロフヨモギ、オニオトコヨモギ、カワラヨモギ、オトコヨモギ、ハマヨモギ、カワラニンジン、クソニンジン、イヌヨモギ、ミヤマオトコヨモギ、エゾハハコヨモギ、サマニヨモギ、タカネヨモギ、ハハコヨモギ、シコタンヨモギ、シロヨモギ、イワヨモギ、ヒメヨモギ、ワタヨモギ、ケショウヨモギ、ヒトツバヨモギ、チシマヨモギ、ヒロハウラジロヨモギ、ヒロハヤマヨモギ、ユキヨモギ、ヤブヨモギ、オオヨモギ、ニシヨモギ、アサギリソウ、キタダケヨモギ等を用いることができる。本発明において用いる部位としては、葉が好ましく、葉の中でも緑葉が好ましい。
【0022】
(長命草)
長命草はセリ科植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、緑葉が好ましく、茎を含んでいてもよい。長命草は、学名がPeucedanum japonicum又はPeucedanum japonicum Thunb.であるものであれば特に限定されない。長命草は地方によってボタンボウフウ、チョーメイソウ、チョーメイグサ、チョミーフサ、ボーフー、サクナ、ウプバーサフナ、チョーミーグサ、牡丹防風などと呼ばれている。
【0023】
(桑)
桑は、クワ科植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、緑葉が好ましく、茎を含んでいてもよい。
【0024】
上記各種青汁素材は、青汁素材を加工した加工物を使用してもよく、例えば、粉砕物、搾汁、抽出物等として用いることができる。粉砕物としては、乾燥粉末、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)、顆粒等を挙げることができる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末(搾汁末、エキス末)として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水(温水、熱水)、エタノール、含水エタノールを用いることができる。
【0025】
青汁素材は、植物の含有する栄養成分を有効に活用できることから、植物を乾燥し粉砕して粉末化した乾燥粉末であることが好ましい。植物の乾燥粉末は、粒径75μm以下のものが60%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0026】
[他素材]
(プルーン)
プルーンは、バラ科のセイヨウスモモの一種である。本発明において用いられるプルーンは、いずれの品種であってもよい。プルーンには、ビタミン類やミネラル類が豊富に含まれている。本発明において用いる部位としては、果実が好ましい。プルーンは、粉砕物、搾汁、抽出物等として用いることができる。粉砕物としては、乾燥粉末、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)、顆粒等を挙げることができる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末(搾汁末、エキス末)として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水(温水、熱水)、エタノール、含水エタノールを用いることができる。本発明においては、より優れたα-グルコシダーゼ阻害作用を示すことから、エキス末を用いることが特に好ましい。また、分散性の観点からは、粉末状のものが好ましく、粒径は870μm以下のものが80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0027】
(ポリデキストロース)
ポリデキストロースは、グルコースがα-型又はβ-型の1-2結合、1-3結合、1-4結合、あるいは1-6結合で分岐状に多数重合した構造を有する、水溶性かつ難消化性の多糖類である。ポリデキストロースの一部は、食物繊維として機能する。ポリデキストロースは、例えば、グルコース、ソルビトール、クエン酸を89:10:1、又はグルコース、ソルビトール、リン酸を90:10:0.1の重量比で混合後、高温条件下で重合させることによって製造できる。また、ポリデキストロースは、様々な形態で市販されており、任意の形態のものを利用できる。
【0028】
なお、上記ポリデキストロースとしては、上記の方法などで製造されたポリデキストロースに加えて、ポリデキストロースの誘導体であってもよい。ポリデキストロースの誘導体としては、例えば、水素化ポリデキストロースや還元ポリデキストロースを挙げることができる。また、ポリデキストロースは、水酸化カリウムなどの塩基で中和したものであってもよい。
【0029】
(イヌリン)
イヌリンは、水溶性食物繊維の1つで、アガベ、ニンニク、ニラ、チコリ、アーティチョーク、菊芋等の植物に含まれる多糖類であり、これらの植物や、これらの植物から抽出したものを用いることができる。青汁素材と組み合わせることで、特に優れた分散性向上作用を発揮することから、アガベ由来のイヌリンが特に好ましい。また、イヌリンは、スクロースから発酵法により合成することもでき、このような合成品を用いてもよい。
【0030】
本発明の経口組成物は、一般的な食品、食品添加剤、飼料等の他、α-グルコシダーゼ阻害作用に基づく血糖値上昇抑制効果やダイエット(抗肥満)効果を有することから、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、医薬品(医薬部外品を含む)として用いることができる。
【0031】
すなわち、本発明の経口組成物は、いわゆる健康食品や医薬品等の血糖値抑制のために用いられる血糖値上昇抑制用経口組成物として用いることができ、かかる血糖値上昇抑制用経口組成物としては、青汁素材及び所定の素材(他素材)を含有し、血糖値上昇抑制に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに、血糖値上昇抑制機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。また、本発明の経口組成物は、特に、食後の血糖値上昇抑制用経口組成物として優れた効果を発揮する。なお、本発明の血糖値上昇抑制用経口組成物は、製品の包装等に、本発明の成分(青汁素材及び他素材)が血糖値上昇抑制の有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよく、特定の素材を有効成分として表示したものであってもよい。
【0032】
具体的に、いわゆる健康食品においては、「血糖値が気になりはじめた方に」、「(食後の)血糖値が気になる方に」、「血糖値の上昇をおだやかにする」、「糖の吸収をおだやかにする」、「血糖値を抑える」等を表示したものを例示することができる。本発明の経口組成物は、食事と別に摂取してもよいが、食事とともに摂取することが好ましく、例えば、食事前1時間から食事後1時間の間に摂取することが好ましく、食事前0.5時間から食事後0.5時間の間に摂取することがより好ましく、食事前0.5時間から食事開始時まで或いは食事中に摂取することがさらに好ましい。
【0033】
上記同様、本発明の経口組成物は、いわゆる健康食品や医薬品等のダイエットのために用いられるダイエット用経口組成物として用いることができる。具体的に、いわゆる健康食品においては、「体重が気になる方へ」、「代謝を高める」、「肥満気味の方の体脂肪を減らすことを助ける」、「脂肪を代謝する力を高める」、「スタイルをサポート」、「体脂肪が気になる方へ」、「肥満気味な方へ」、「体重(BMI)が気になる方へ」、「体重やお腹の脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)を減らす」、「ウエスト周囲長を減らす」、「痩せる」、「理想のカラダへ」、「ダイエット」、「スリム」等を表示したものを例示することができる。
【0034】
本発明の経口組成物の形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル状、スティック状等を挙げることができる。これらの中でも、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状の形態が特に好ましい。具体的には、サプリメントや、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント飲料(粉末飲料)や、食品添加剤を例示することができる。これらは食事の際などに手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0035】
本発明の経口組成物における青汁素材及び他素材(本発明の成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0036】
一般的には、本発明の経口組成物が錠状、錠剤状等のサプリメントや医薬品の場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で組成物全体の0.01~100質量%含まれていることが好ましく、0.1~80質量%含まれていることがより好ましく、1~60質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0037】
本発明の経口組成物が容器詰飲料である場合には、本発明の成分が組成物全体の0.001~30質量%含まれていることが好ましく、0.01~20質量%含まれていることがより好ましく、0.1~15質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0038】
また、本発明の経口組成物が青汁等のインスタント飲料である場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で組成物全体の0.01~100質量%含まれていることが好ましく、0.1~80質量%含まれていることがより好ましく、1~60質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0039】
本発明の効果をより有効に発揮させるためには、本発明の成分が乾燥質量換算で本発明の経口組成物全体の70%以上含まれていることが好ましく、80%以上含まれていることがより好ましく、90%以上含まれていることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0040】
本発明の経口組成物の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、成人の1日当たり、青汁素材摂取量が乾燥質量換算で、0.01g/日以上となるように摂取することが好ましく、0.1g/日以上となるように摂取することがより好ましく、1g/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、30g/日であり、好ましくは20g/日であり、より好ましくは10g/日である。本発明の経口組成物は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0041】
青汁素材及び他素材の配合質量比としては、乾燥質量換算で、0.0001:1~10000:1であることが好ましく、0.001:1~1000:1であることがより好ましく、0.01:1~100:1であることがさらに好ましい。
【0042】
本発明の経口組成物は、必要に応じて、本発明の成分以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。本発明の成分以外の他の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B12、B13、B15、B17、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABA、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)等のビタミン類;カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等のミネラル類;タウリン、ニンニク等に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物等を挙げることができる。
【0043】
本発明の経口組成物は、後述する実施例で示されたα-グルコシダーゼ阻害作用を奏することにより、α-グルコシダーゼ阻害用組成物、血糖値上昇抑制用組成物、ダイエット用組成物として優れたものとなりうる。また、後述する実施例で示された分散性向上の作用を奏することにより、凝集しにくく分散性の高い組成物となりうる。
【実施例0044】
以下、実施例に基づき、本発明を説明する。
[実施例1]
(原料)
大麦若葉としては、大麦若葉を乾燥して粉末化した大麦若葉乾燥粉末(粒径75μm以下が90%以上;東洋新薬社製)を用いた。
ケールとしては、ケールの葉を乾燥して粉末化したケール乾燥粉末(粒径75μm以下が90%以上;東洋新薬社製)を用いた。
プルーンとしては、プルーンエキス末を用いた。
ポリデキストロースとしては、グルコース、ソルビトール、クエン酸を用いて重合し、得られたものを用いた(ポリデキストロース含量90%以上)。
イヌリンとしては、アガベの茎から抽出し、乾燥、粉末化したものを用いた。
【0045】
[試験例1]
(α-グルコシダーゼ阻害試験)
各被験物質を1.5mlチューブに量り取り、表1に示す所定の終濃度になるように0.1M PBを加え、10分間ソニケーションした。遠心(10,000rpm、室温、5min)後、上清を回収しサンプル溶液とした。
【0046】
96ウェルプレートへサンプル溶液(コントロールは0.1M PB)を80μL/ウェル添加した。基質溶液を40μL添加し、37℃にて5分間プレインキュベートした。
【0047】
テストのウェルに酵素溶液を40μL添加し、37℃にて15分間インキュベートした後、反応停止液を160μL添加した。
blankに関しては、反応停止液を加えた後に酵素溶液を40μL加えた。
【0048】
マイクロプレートリーダーにて440nmにおける吸光度を測定した。測定した吸光度を用いて、下記式にて阻害率を算出した。
【0049】
阻害率(%)
=(1-[(Sample test-Sample blank)/(Control test-Control blank)])×100
【0050】
なお、基質溶液としては、0.02M p-ニトロフェニルα-D-グルコピラノシド水溶液を用いた。酵素溶液としては、0.02U/ml α-グルコシダーゼ in 0.2% BSA含有0.01MPB(pH7.0)を用いた。反応停止液としては、0.2M炭酸ナトリウム水溶液を用いた。
【0051】
【0052】
【0053】
表1及び
図1に示すように、大麦若葉と共に、プルーンを配合した本発明の組成物は、α-グルコシダーゼ阻害率の相乗的な向上がみられた。表1及び
図2に示すように、ケールと共に、プルーンを配合した本発明の組成物は、α-グルコシダーゼ阻害率の相乗的な向上がみられた。
【0054】
[試験例2]
(分散性試験)
各原料を篩(呼び寸法:710)にかけた。2原料以上を組み合わせる場合は表2の割合に従って分散度を測定するために必要な量を計りとり、均一になるまで手で振ってビニール袋内で混合した。
【0055】
被験物質10gを計りとり、ホソカワミクロン社製の粉体特定評価装置「パウダテスタPT-X」を用いて分散度を測定した。分散度の測定は当該機器のマニュアルに従って行った。
【0056】
なお、分散度は以下のような方法によって測定される。
規定重量(W)の試料を規定の高さから受け皿に落下させて、受け皿に乗った試料の重量(W1)を測定する。さらに、次の式によって、分散度を算出する。
【0057】
分散度(%)=(W-W1)/W×100
【0058】
各被験物質の構成及びその結果を表2に示す。
【0059】
【0060】
表2に示すように、大麦若葉又はケールと共に他素材を配合した本発明の組成物は、大麦若葉又はケール単独に比して、いずれも分散度が高く、分散性が向上した。また、分散性の効果は、相乗的なものであった。特に、他素材を2種用いたものは、1種用いたものよりも顕著な分散性の向上がみられた。
【0061】
[配合例]
表3及び表4に示す粉末状の飲食用組成物(本発明の経口組成物)を調製した。得られた本発明の組成物3gを150mLの水と混合し、飲用したところ、青汁素材の臭いや味が改善され、総合的な嗜好性に優れた飲料が得られた。また、得られた粉末飲料は分散性に優れており、飲みやすいものであった。さらに、α-グルコシダーゼ阻害作用も期待できる。
【0062】
【0063】