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  • 特開-板海苔型抜き装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099878
(43)【公開日】2023-07-14
(54)【発明の名称】板海苔型抜き装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20230707BHJP
【FI】
A23L17/60 103B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000042
(22)【出願日】2022-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】501105141
【氏名又は名称】シーラック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】393027095
【氏名又は名称】株式会社クマクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100136560
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】望月 洋平
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英則
(72)【発明者】
【氏名】門間 晃
【テーマコード(参考)】
4B019
【Fターム(参考)】
4B019LE02
4B019LP03
4B019LP11
4B019LP19
(57)【要約】
【課題】自動輪転式手法により板海苔を型抜く際、短時間でより効率よく大量生産を実現でき、さらに型抜きされた海苔片とカス片の後処理も優れた効果を発揮できる板海苔型抜き装置1を提供する。
【解決手段】型抜き板2を周方向に装着する上部ローラ10と、上部ローラ10の下部に配設される下部ローラ11と、上部ローラ10と下部ローラ11との間に板海苔Aを供給することにより、板海苔Aを適宜形状に複数型抜きできる板海苔型抜き装置1であって、型抜き板2により型抜きされた海苔片aを、吐出空気により型抜き板2から剥離させる空気吐出手段20を設けた板海苔型抜き装置1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型抜き板を周方向に装着する上部ローラと、
上部ローラの下部に配設される下部ローラと、
前記上部ローラと下部ローラとの間に板海苔を供給することにより、板海苔を適宜形状に複数型抜きできる輪転式の板海苔型抜き装置であって、
前記型抜き板により型抜きされた海苔片を、吐出空気により型抜き板から剥離させる空気吐出手段を設けることを特徴とする板海苔型抜き装置。
【請求項2】
前記剥離させた複数の海苔片を搬送させる搬送路を設けるとともに、該搬送路に、海苔片とカス片とを選別する選別手段を設けた請求項1記載の板海苔型抜き装置。
【請求項3】
前記選別手段は、前記搬送路に設けられた小網目部と大網目部とを備える請求項2記載の板海苔型抜き装置。
【請求項4】
前記搬送路に、搬送中の海苔片を振動させる振動部を設けた請求項2または請求項3に記載の板海苔型抜き装置。
【請求項5】
前記搬送路であって、小網目部と大網目部の下部に、空気を吐出する空気吐出部を設けた請求項3または請求項4記載の板海苔型抜き装置。
【請求項6】
前記板海苔型抜き装置に、ローラの回転速度、ローラによる板海苔の押圧力、板海苔の加工枚数、送気部の送気圧を管理する操作部を設けた請求項1~5のうちいずれか1項に記載の板海苔型抜き装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板海苔型抜き装置に関するものであり、特に、板海苔を型抜く際、短時間で大量生産を実現できる自動輪転式手法による板海苔型抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、お茶漬けやふりかけ等に使用される小片状の海苔片は、板海苔を一定量ずつ一回一回処理していくバッチ式の方法により製造される。しかしながら、このバッチ方式は手作業で行われるため、生産量が少ない、抜型製造のコスト高、設備の耐久性が低い等の問題点がある。
【0003】
それらの問題を解消するため、板海苔を短時間で大量に適宜形状に型抜きすることが可能な板海苔の型抜き方法および装置が、特許文献1に開示されている。
【0004】
かかる特許文献1の板海苔の型抜き方法は、板海苔(1)に適宜形状の切り目(2)を複数列に形成し、前記板海苔(1)に空気を噴き付け、板海苔(1)から切り目(2)の内側部分(3)を離脱させることを特徴とする。また、切り目(2)を、板海苔(1)を貫通しない深さに形成するようにしている。さらに、その装置は、板海苔(1)に貫通しない深さの適宜形状の切り目(2)を複数列に形成する切り目形成手段(7)と、前記切り目(2)の列に対応して複数列に設けられ、板海苔(1)に空気を噴き付けて前記切れ目(2)の内側部分(3)を板海苔(1)から離脱させるようにする離脱手段(13)を備えていることを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-67868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された板海苔の型抜き方法によれば、板海苔を貫通しない深さに切り目を入れる技術は、海苔の厚さや種類により高い技術が必要になる。また、型抜きされた海苔片の後処理も利便性のよいものではなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消するために、自動輪転式手法により板海苔を型抜く際、短時間でより効率よく大量生産を実現でき、さらに型抜きされた海苔片とカス片の後処理にも優れた効果を発揮できる板海苔型抜き装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、型抜き板を周方向に装着する上部ローラ、上部ローラの下部に配設される下部ローラおよび空気吐出手段等を備えることによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の板海苔型抜き装置は、
型抜き板を周方向に装着する上部ローラと、
上部ローラの下部に配設される下部ローラと、
前記上部ローラと下部ローラとの間に板海苔を供給することにより、板海苔を適宜形状に複数型抜きできる輪転式の板海苔型抜き装置であって、
前記型抜き板により型抜きされた海苔片を、吐出空気により型抜き板から剥離させる空気吐出手段を設けることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の板海苔型抜き装置は、前記剥離させた複数の海苔片を搬送させる搬送路を設けるとともに、該搬送路に、海苔片とカス片とを選別する選別手段を設けたことが、好ましい。
【0011】
さらに、本発明の板海苔型抜き装置は、前記選別手段は、前記搬送路に設けられた小網目部と大網目部とを備えることが、好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明の板海苔型抜き装置は、前記搬送路に、搬送中の海苔片を振動させる振動部を設けたことが好ましく、前記搬送路であって、小網目部と大網目部の下部に、空気を吐出する空気吐出部を設けたことが好ましい。
【0013】
また、本発明の板海苔型抜き装置は、前記板海苔型抜き装置に、ローラの回転速度、ローラによる板海苔の押圧力、板海苔の加工枚数、送気部の送気圧を管理する操作部を設けたことが、好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の板海苔型抜き装置によれば、型抜きされた海苔片を、吐出空気により型抜き板から剥離させる空気吐出手段を設けることにより、短時間で効率よく型海苔片を大量生産できる。
【0015】
また、搬送路に海苔片とカス片とを選別する選別手段を設けたことで、型抜きされた海苔片とカス片の後処理にも優れた効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の板海苔型抜き装置の全体側面図である。
図2】前記板海苔型抜き装置の型抜き部分の斜視図である。
図3】搬送路を示す斜視図である。
図4】型抜き板と上部ローラを示す図である。
図5】上部ローラと空気吐出手段を示す図である。
図6】板海苔を型抜きする状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の板海苔型抜き装置1は、自動輪転式手法により板海苔Aを型抜く際、短時間でより効率よく大量生産を実現でき、さらに型抜きされた海苔片aとカス片bの後処理も優れた効果を発揮することを特徴とするものである。
以下、本発明の板海苔型抜き装置1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
本発明の板海苔型抜き装置1は、自動輪転式手法により板海苔Aを型抜く装置であり、型抜き板2を周方向に装着する上部ローラ10と、上部ローラ10の下部に配設される下部ローラ11とを備えている。また、前記上部ローラ10と下部ローラ11との間に板海苔Aを供給することにより、適宜形状の海苔片aを複数型抜きできるものである。
【0019】
前記型抜き板2は、図4に示すように、図4では金属製の素材で薄板状に形成されており、表面部3には、線状で突状の抜型部4が複数形成されている。この型抜き板2は、前記上部ローラ10の周方向に着脱自在に装着されている。
【0020】
型抜き板2を装着した上部ローラ10と、下部ローラ11との間に板海苔Aを通過させる輪転方式を採用することで、適宜形状の複数の海苔片aを短時間で、かつ大量に製造することができる。
【0021】
また、図5及び図6に示すように、前記板海苔型抜き装置1には、前記型抜き板2により型抜きされた海苔片aを、吐出空気により型抜き板2から剥離させる空気吐出手段20が具備されている。
【0022】
空気吐出手段20は、図5に示すように、一対の送気部21と、送気部21から送られた空気を型抜き板2に吹き付ける一対の吐出部22と、送気部21と吐出部22とを連結する折曲自在の接続管23とで構成されている。なお、前記空気吐出手段20は、用途や状況に応じてさらに一対など複数対設置してもよい。
【0023】
前記上部ローラ10と下部ローラ11との間に板海苔Aを通過させることにより、カス片bは前記型抜き板2から剥がれ、搬送シート12により搬送路30に搬送される。この際、抜型部4内に収容された海苔片aは、上部ローラ10の回転に沿っての上方に送られる。
【0024】
上方に送られた海苔片aは、図6に示すように、上部ローラ10の上部に配置されている吐出部22から吐出された空気により、抜型部4内から剥離され搬送路30に搬送される。
【0025】
抜型部4内から剥離された海苔片aおよびカス片bは、図2及び図3に示す搬送路30に送られる。該搬送路30は、傾斜状に設置され、且つ蓋32を有する第一搬送路32と、第一搬送路32の先方部分に配置された、長尺状の第二搬送路33とで構成されている。
【0026】
また、前記第二搬送路33の底部には、海苔片aとカス片bとを選別する選別手段34を備えられている。選別手段34は、細かい網目からなる小網目部35と大きい網目からなる大網目部36とからなる。
【0027】
また、特に、前記第二搬送路33の下部には、振動部37が設けられている。該振動部37は、偏心モーターの振動により第二搬送路33を振動させ、カス片bを小網目部35から、型抜きされた海苔片aを大網目部36から落下させ、それぞれ選別するものである。
【0028】
さらにまた、前記第二搬送路33の下部に、空気を吐出させる空気吐出機(図示せず)を設置してもよい。吐出され空気にてカス片bを小網目部35から、型抜きされた海苔片aを大網目部36から落下させ、それぞれ選別することができる。
【0029】
なお、前記選別手段3で選別された海苔片aとカス片bは、それぞれ収納袋38や収納ケース39内に収納される。
【0030】
またさらに、前記板海苔型抜き装置1には操作部40が具備されている。該操作部40は、各ローラの回転速度、上部ローラ10と下部ローラ11による板海苔Aの押圧力、板海苔Aの加工枚数、送気部の送気圧等を管理するものである。
【0031】
前記操作部40を具備することで、板海苔の種類や季節等に応じてローラの押圧力、回転速度、また加温状態を適宜調整することができ、短時間で大量の海苔片を効率よく製造することができる。
【0032】
また、本発明において、型抜き板2としては、本発明の効果が得られれば特に限定されないが、金属であることが好ましい。型抜き板2として金属を使用し、上部ローラ10に磁石素材を用いることで、型抜き板2を上部ローラ10に固定することができる。かかる金属としては、例えば、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)ネオジム(Nd)等からなるものを使用することができ、鉄にクロムを10.5%以上混ぜたフェライト系ステンレスやマルテンサイト系ステンレス(JIS400番台)等も使用できる。
【0033】
さらに、本発明において、上部ローラ10および下部ローラ11としては、本発明の効果が得られれば特に限定されないが、金属製のものを使用することができる。また、上部ローラ10は、一部または全体に磁石素材を有していることが好ましく、上部ローラ10の磁石素材は、型抜き板2を上部ローラ10上に固定できれば、材料、磁力、上部ローラ10中の磁石素材の位置や大きさ等は、特に限定されない。上部ローラ10が磁石素材を有することで型抜き板2を上部ローラ10上に固定でき、板海苔Aと型抜き板2をより固定できるため、輪郭をさらにきれいに切抜くことができる。
【0034】
さらにまた、本発明において、型抜き板2の厚さとしては、本発明の効果が得られれば特に限定されないが、例えば、0.5~2.0mmの厚さのものを用いることができる。また、型抜き板2中の刃の高さとしては、例えば、0.1~1.0mmのものを用いることができる。
【0035】
また、本発明において、板海苔Aだけでなく、本発明の効果が得られれば特に限定されず、例えば、板昆布、わかめ、板海苔等のシート状の乾燥物を用いることができるが、中でも、板海苔Aが特に好ましく、一般的なタテ21cm×ヨコ19cmの大きさのものを使用することができる。また、板海苔A等の厚さを考慮して、1枚だけでなく、複数枚、例えば、4~6枚を同時に型抜きすることができる。
【0036】
上述の如く、本発明の板海苔型抜き装置1によれば、型抜きされた海苔片aを、吐出空気により型抜き板から剥離させる空気吐出手段20を設けることにより、短時間で効率よく型海苔片aを大量生産できる。また、搬送路に海苔片aとカス片bとを選別する選別手段34を設けたことで、型抜きされた海苔片aとカス片bの後処理も優れた効果を発揮できる。
【符号の説明】
【0037】
1 板海苔型抜き装置
2 型抜き板
3 表面部
4 抜型部
10 上部ローラ
11 下部ローラ
12 搬送シート
20 空気吐出手段
21 送気部
22 吐出部
23 接続管
30 搬送路
31 第一搬送路
32 蓋
33 第二搬送路
34 選別手段
35 小網目部
36 大網目部
37 振動部
38 収納袋
39 収納ケース
40 操作部
A 板海苔
a 海苔片
b カス片
図1
図2
図3
図4
図5
図6