(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099891
(43)【公開日】2023-07-14
(54)【発明の名称】トランスファープレス化装置
(51)【国際特許分類】
B21D 43/02 20060101AFI20230707BHJP
B21D 37/14 20060101ALI20230707BHJP
B30B 15/30 20060101ALI20230707BHJP
B21D 28/02 20060101ALI20230707BHJP
B21D 43/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
B21D43/02 F
B21D37/14 J
B30B15/30 107
B21D28/02 A
B21D43/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000066
(22)【出願日】2022-01-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】521056135
【氏名又は名称】奥野 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】奥野 一樹
【テーマコード(参考)】
4E090
【Fターム(参考)】
4E090AA01
4E090AB01
4E090CC01
4E090HA01
4E090HA04
(57)【要約】
【課題】順送プレス加工設備にてトランスファープレス加工及び順送プレス加工を行うことができるトランスファープレス化装置を提供する。
【解決手段】順送プレス機103内に配置され、順送プレス機103の動作によりコイル材Wからブランク100を生成するブランキング用金型装置12と、順送プレス機103内に配置され、順送プレス機103の動作によりトランスファープレス加工を行うトランスファープレス用金型17と、ブランク100をトランスファープレス用金型17へ搬送するブランク把持搬送機構16と、トランスファープレス用金型17内においてプレス成形が1工程終わる度に次工程に移載していくトランスファー機構18とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順送プレス機内に配置され、当該順送プレス機の動作によりコイル材からブランクを生成するブランキング用金型装置と、
順送プレス機内に配置され、当該順送プレス機の動作によりトランスファープレス加工を行うトランスファープレス用金型と、
前記ブランクを前記トランスファープレス用金型へ搬送するブランク把持搬送機構と、
前記トランスファープレス用金型内においてプレス成形が1工程終わる度に次工程に移載していくトランスファー機構とを備え、
前記ブランキング用金型装置は、
前記コイル材の幅方向に移動可能であり、前記コイル材から前記ブランクを生成するカットパンチを有するブランキングパンチユニットと、
前記コイル材の幅方向に移動可能であり、前記カットパンチに対応するカットダイを有するブランキングダイユニットとを備える
ことを特徴とするトランスファープレス化装置。
【請求項2】
前記コイル材の幅方向に移動可能な第1ナット部を有する上部ボールねじ機構と、
前記コイル材の幅方向に移動可能な第2ナット部を有する下部ボールねじ機構とを備え、
前記ブランキングパンチユニットは、前記カットパンチ、及び、前記カットパンチを支持するとともに、前記第1ナット部に連結するカットパンチベースプレートを有し、
前記ブランキングダイユニットは、前記カットダイ、及び、前記カットダイを支持するとともに、前記第2ナット部に連結するカットダイベースプレートを有し、
前記ブランキングパンチユニットは、前記第1ナット部の移動に伴って前記コイル材の幅方向に移動可能であり、
前記ブランキングダイユニットは、前記第2ナット部の移動に伴って前記コイル材の幅方向に移動可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のトランスファープレス化装置。
【請求項3】
前記カットパンチベースプレートには第1挿入穴が形成され、
前記カットダイベースプレートには第2挿入穴が形成され、
前記順送プレス機の上側ベースプレートに固定されるとともに、前記ブランキングパンチユニットをコイル材幅方向に移動可能な状態で支持し、コイル材幅方向に並んだ複数の第1挿入孔が形成される上側筐体と、
前記順送プレス機の下側ベースプレートに固定されるとともに、前記ブランキングダイユニットをコイル材幅方向に移動可能な状態で支持し、コイル材幅方向に並んだ複数の第2挿入孔が形成される下側筐体と、
前記第1挿入孔及び前記第1挿入穴に挿入可能な第1位置決めキーブロックと、
前記第2挿入孔及び前記第2挿入穴に挿入可能な第2位置決めキーブロックとを備え、
前記第1位置決めキーブロックを前記第1挿入孔及び前記第1挿入穴に挿入することで、前記ブランキングパンチユニットを固定し、前記第2位置決めキーブロックを前記第2挿入孔及び前記第2挿入穴に挿入することで、前記ブランキングダイユニットを固定することを可能とする
ことを特徴とする請求項3に記載のトランスファープレス化装置。
【請求項4】
前記ブランキング用金型装置により生成され、金型下方ブランク用コンベアにより搬送された前記ブランクを搬送する第1ブランク用コンベアと、
前記第1ブランク用コンベアにて搬送された前記ブランクを回転させ、一定の向きに揃えるブランク回転搬送機構と、
前記ブランク回転搬送機構により一定の向きに揃えられた前記ブランクを搬送する第2ブランク用コンベアと、
前記第2ブランク用コンベアにて搬送された前記ブランクを集合させるブランク集合機構とを備え、
前記ブランク把持搬送機構は、前記ブランクを前記ブランク集合機構から前記トランスファープレス用金型へ搬送するものである
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトランスファープレス化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレス加工の一種であるトランスファープレス(例えば下記特許文献1等に記載)は、複数の独立したプレス機を隣接配置した設備を用意し、コイル材から一つ一つ切り離されたブランクを順次隣接するプレス機に搬送・供給し、成形していくものである。
【0003】
同じくプレス加工の一種である順送プレス(例えば下記特許文献2等に記載)は、複数のプレス部位を一定の間隔で配置したプレス機を有する設備を用意し、コイル材をこの間隔に合わせて1ピッチずつ送りながら成形していくものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2669122号公報
【特許文献2】特開2010-188401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トランスファープレス加工は、コイル材からブランクを歩留まりよくとれるものの、ブランクの中間在庫が発生し、ブランキングプレス機とトランスファープレス機が必要となるため、設備価格が高額となる。また、この設備では順送プレス加工を行うことができない。
【0006】
順送プレス加工は、高速で加工することできるものの、コイル材からキャリアやブリッジと呼ばれるつなぎが必要となり歩留まりが悪い。また、この順送プレスを行う設備ではトランスファープレス加工を行うことができない。
【0007】
本発明では、このような課題に鑑み、順送プレス加工設備(順送プレスを行う設備)にてトランスファープレス加工及び順送プレス加工を行うことを可能とするトランスファープレス化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点におけるトランスファープレス化装置は、
順送プレス機内に配置され、当該順送プレス機の動作によりコイル材からブランクを生成するブランキング用金型装置と、
順送プレス機内に配置され、当該順送プレス機の動作によりトランスファープレス加工を行うトランスファープレス用金型と、
前記ブランクを前記トランスファープレス用金型へ搬送するブランク把持搬送機構と、
前記トランスファープレス用金型内においてプレス成形が1工程終わる度に次工程に移載していくトランスファー機構とを備え、
前記ブランキング用金型装置は、
前記コイル材の幅方向に移動可能であり、前記コイル材から前記ブランクを生成するカットパンチを有するブランキングパンチユニットと、
前記コイル材の幅方向に移動可能であり、前記カットパンチに対応するカットダイを有するブランキングダイユニットとを備える
ことを特徴とする。
【0009】
より好適には、
前記コイル材の幅方向に移動可能な第1ナット部を有する上部ボールねじ機構と、
前記コイル材の幅方向に移動可能な第2ナット部を有する下部ボールねじ機構とを備え、
前記ブランキングパンチユニットは、前記カットパンチ、及び、前記カットパンチを支持するとともに、前記第1ナット部に連結するカットパンチベースプレートを有し、
前記ブランキングダイユニットは、前記カットダイ、及び、前記カットダイを支持するとともに、前記第2ナット部に連結するカットダイベースプレートを有し、
前記ブランキングパンチユニットは、前記第1ナット部の移動に伴って前記コイル材の幅方向に移動可能であり、
前記ブランキングダイユニットは、前記第2ナット部の移動に伴って前記コイル材の幅方向に移動可能である
ことを特徴とする。
【0010】
より好適には、
前記カットパンチベースプレートには第1挿入穴が形成され、
前記カットダイベースプレートには第2挿入穴が形成され、
前記順送プレス機の上側ベースプレートに固定されるとともに、前記ブランキングパンチユニットをコイル材幅方向に移動可能な状態で支持し、コイル材幅方向に並んだ複数の第1挿入孔が形成される上側筐体と、
前記順送プレス機の下側ベースプレートに固定されるとともに、前記ブランキングダイユニットをコイル材幅方向に移動可能な状態で支持し、コイル材幅方向に並んだ複数の第2挿入孔が形成される下側筐体と、
前記第1挿入孔及び前記第1挿入穴に挿入可能な第1位置決めキーブロックと、
前記第2挿入孔及び前記第2挿入穴に挿入可能な第2位置決めキーブロックとを備え、
前記第1位置決めキーブロックを前記第1挿入孔及び前記第1挿入穴に挿入することで、前記ブランキングパンチユニットを固定し、前記第2位置決めキーブロックを前記第2挿入孔及び前記第2挿入穴に挿入することで、前記ブランキングダイユニットを固定することを可能とする
ことを特徴とする。
【0011】
より好適には、
前記ブランキング用金型装置により生成され、金型下方ブランク用コンベアにより搬送された前記ブランクを搬送する第1ブランク用コンベアと、
前記第1ブランク用コンベアにて搬送された前記ブランクを回転させ、一定の向きに揃えるブランク回転搬送機構と、
前記ブランク回転搬送機構により一定の向きに揃えられた前記ブランクを搬送する第2ブランク用コンベアと、
前記第2ブランク用コンベアにて搬送された前記ブランクを集合させるブランク集合機構とを備え、
前記ブランク把持搬送機構は、前記ブランクを前記ブランク集合機構から前記トランスファープレス用金型へ搬送するものである
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るトランスファープレス化装置によれば、順送プレス加工設備にてトランスファープレス加工及び順送プレス加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例に係るトランスファープレス化装置、及び、これが取り付けられた順送プレス加工設備の構成を説明する概略図である(一部構成を省略している)。
【
図2】本発明の実施例に係るトランスファープレス化装置、及び、これが取り付けられた順送プレス加工設備の上死点の状態を表わす正面図である(一部構成を省略している)。
【
図3】本発明の実施例に係るトランスファープレス化装置、及び、これが取り付けられた順送プレス加工設備の下死点の状態を表わす正面図である(一部構成を省略している)。
【
図4】本発明の実施例におけるブランキング用金型装置、上部ボールねじ機構、及び、下部ボールねじ機構を説明する概略的断面図である。
【
図5】本発明の実施例におけるブランキング用金型装置、上部ボールねじ機構、下部ボールねじ機構、ブランキングパンチユニット駆動用サーボモータ、及び、ブランキングダイユニット駆動用サーボモータを説明する概略図である。
【
図6】本発明の実施例におけるブランキング用金型装置による5列加工の一例を示す模式図である。
【
図7】本実施例に係るトランスファープレス化装置、及び、これが取り付けられた順送プレス加工設備の動作の一例について説明するフローチャートである。
【
図8】本実施例におけるブランキング用金型装置12によるブランク加工の一例について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るトランスファープレス化装置について、実施例にて図面を用いて説明する。
【実施例0015】
図1には、本実施例に係るトランスファープレス化装置、及び、これが取り付けられる順送プレス加工設備が表わされている。順送プレス加工設備は一般的なものであり、主たる構成として、アンコイラー101、レベラーフィーダー102、及び、順送プレス機103を備えている。
【0016】
アンコイラー101は、ドラム状のコイル材Cがセットされ、コイル材Wを(たわみを制御しつつ)繰り出し、レベラーフィーダー102に渡す装置である。
【0017】
レベラーフィーダー102は、アンコイラー101の下流側に配置され、アンコイラー101から渡されたコイル材Wを、ロールの回転及び摩擦力によって順送プレス機103へ送り出す装置である。
【0018】
またレベラーフィーダー102は、コイル材Wを1ピッチずつ送り出すことが可能であり、順送プレス機103が連続加工中においても1ピッチの送り量を自在に変更することができる。さらにレベラーフィーダー102は、送り方向の動作に加えて、ブランクの形状に応じて戻り方向の動作(コイル材Wを戻す動作)を行うことも可能である。
【0019】
またレベラーフィーダー102は、順送プレス機103が複数回動作後にコイル材Wを送り出す間欠動作(例えばプレス機103が5回動作の後にレベラーフィーダー102が1回動作する)が可能である。さらにレベラーフィーダー102は送り方向の間欠動作に加えて、ブランクの形状に応じてコイル材Wを戻す方向の間欠動作を行うことも可能である。
【0020】
順送プレス機103は、レベラーフィーダー102の下流側に配置され、順送プレス加工を行うことが可能である。また、順送プレス機103には、プレス成形の全工程が完了した完成品を搬送する順送プレスコンベア(図示略)が備えられている。
【0021】
図2,3を用いて詳しく説明すると、順送プレス機103は、上方に設けられるクランクシャフト103Aと、クランクシャフト103Aの下方にコネクティングロッド103Bを介して取り付けられ、クランクシャフト103Aの回転運動により上下方向に動作するスライド103Cと、スライド103Cに対向するようにして下方に設けられるボルスター103Fとを備えている。ただし、本実施例にて用いる順送プレス機103はこれに限るものではなく、例えばサーボモータとボールねじによりスライドを動かす方式のもの等、一般的に用いられる順送プレス機103であればよい。
【0022】
そして、順送プレス機103には、スライド103C側に後述するトランスファープレス用金型17の上型ベースプレート103Dが、ボルスター103F側に後述する下型ベースプレート103Eが取り付けられ、(スライド103Cの)上下方向の動作によりプレス加工を行うことが可能である。
【0023】
一方、本実施例に係るトランスファープレス化装置は、順送プレス加工設備(特に順送プレス機103)に対し、後付けで(取り外し可能に)取り付けられるものであり、
図1に示すように、主たる構成として、制御部11、ブランキング用金型装置12、第1ブランク用コンベア13A、第2ブランク用コンベア13B、金型下方ブランク用コンベア13C、ブランク回転搬送機構14、ブランク集合機構15、ブランク把持搬送機構16、トランスファープレス用金型17、及び、トランスファー機構18を備えている。
【0024】
ブランキング用金型装置12は、レベラーフィーダー102の下流側、かつ、順送プレス機103内に配置されるブランキング用の金型であり、ブランキング加工ユニット30が設けられている。
【0025】
そしてブランキング用金型装置12は、レベラーフィーダー102から送り出されてきたコイル材Wに対し、順送プレス機103のスライド103Cの上下方向の動作によりブランク加工(=ブランク生成)を行う。また、ブランキング用金型装置12にはスクラップカッター12Aが設けられており、これによりブランク加工の際に生ずるスクラップのカット及び排出を行う。
【0026】
金型下方ブランク用コンベア13Cは、ブランキング用金型装置12の下方(下型ベースプレート103E上)に配置され、生成されたブランク100を第1ブランク用コンベア13Aに搬送するものである。
【0027】
第1ブランク用コンベア13Aは順送プレス機103内に配置される。より詳しくは、第1ブランク用コンベア13Aは(スライド103Cの上下方向の動作の影響を受けないようにして)下型ベースプレート103E上に載置される。そして第1ブランキング用コンベア13Aは、ブランキング用金型装置12により生成され、金型下方ブランク用コンベア13Cにより搬送されたブランク100をブランク回転機構14に搬送するものである。
【0028】
ブランク回転搬送機構14は、順送プレス機103内における第1ブランク用コンベア13Aの下流側に配置される。より詳しくは、ブランク回転搬送機構14は(スライド103Cの上下方向の動作の影響を受けないようにして)下型ベースプレート103E上における第1ブランク用コンベア13Aの下流側に載置される。そしてブランク回転搬送機構14は、第1ブランク用コンベア13Aにて搬送されたブランク100を回転させ、予め定められた一定の向きに揃え、第2ブランク用コンベア13Bへ搬送するものである。
【0029】
第2ブランク用コンベア13Bは、順送プレス機103内におけるブランク回転機構14の下流側に配置される。より詳しくは、ブランク回転搬送機構14は(スライド103Cの上下方向の動作の影響を受けないようにして)下型ベースプレート103E上におけるブランク回転搬送機構14の下流側に載置される。そしてブランク回転搬送機構14は、ブランク回転搬送機構14により搬送されたブランク100をブランク集合機構15へ搬送するものである。
【0030】
なお、ブランク回転搬送機構14は、複雑形状のブランクに対応するため、画像処理システム及びこれに基づき動作する多軸ロボットを備えるものとしてもよい。又は、単純な丸形状のブランク100であれば、第2ブランク用コンベア13Bを第1ブランク用コンベア13Aよりも下に配置することで、ブランク回転搬送機構14を用いずに、第1ブランク用コンベア13Aの下流側端部からブランク100を落下させて第2ブランク用コンベア13Bに乗せるようにしてもよく、あるいは、ブランク回転搬送機構14をエアシリンダを使用したプッシャー機構とし、これによりブランク100を押すことで第2ブランク用コンベア13Bに乗せるようにしてもよい。
【0031】
また、図示していないが、金型下方ブランク用コンベア13Cから第1ブランク用コンベア13Aへのブランク100の受け渡しも、ブランク回転搬送機構14と同様の機構によって行われるものとしてもよい。
【0032】
ブランク集合機構15は、順送プレス機103内における第2ブランク用コンベア13Bの下流側に配置される。より詳しくは、ブランク集合機構15は(スライド103Cの上下方向の動作の影響を受けないようにして)下型ベースプレート103E上における第2ブランク用コンベア13Bの下流側に載置される。そしてブランク集合機構15は、第2ブランク用コンベア13Bにて搬送されたブランク100を集合させるものである。
【0033】
ブランク把持搬送機構16は、ブランク集合機構15に集合したブランク100を把持してトランスファープレス用金型17へ搬送するものである。さらに、トランスファー機構18は、トランスファープレス用金型17内においてプレス成形が1工程終わる度に次工程に移載していくものである。
【0034】
トランスファープレス用金型17は、トランスファープレス用の金型であり、上型側には上型ベースプレート103Dが設けられ、下型側には下型ベースプレート103Eが設けられる。なお、上型ベースプレート103D及び下型ベースプレート103Eは、ブランキング用金型装置12と共用される。
【0035】
またトランスファープレス用金型17は、工程毎に異なる形状の型が設けられている。これにより、トランスファープレス用金型17は、順送プレス機103のスライド103Cの上下方向の動作によりプレス加工を行うことができる。
【0036】
制御部11は、ブランキング用金型装置12、各コンベア13A,13B,13C、ブランク回転機構14、ブランク把持搬送機構16、トランスファー機構18、及び、レベラーフィーダー102を制御するものであり、レベラーフィーダー制御部20、ブランキングパンチユニット駆動用サーボモータ21A、ブランキングダイユニット駆動用サーボモータ21B、ブランク把持搬送X軸用サーボモータ22、ブランク把持搬送Y軸用サーボモータ23、ブランク把持搬送Z軸用サーボモータ24、トランスファーX軸用サーボモータ25、トランスファーY軸用サーボモータ26、及び、トランスファーZ軸用サーボモータ27を備えている。
【0037】
またブランキング用金型装置12は、上部ボールねじ機構29A、及び、下部ボールねじ機構29Bを備えている。
【0038】
ブランキングパンチユニット駆動用サーボモータ21A、及び、ブランキングダイユニット駆動用サーボモータ21Bは、上部ボールねじ機構29A、及び、下部ボールねじ機構29Bを介して、ブランキング用金型装置12の制御を行う。
【0039】
ブランク把持搬送X軸用サーボモータ22は、ブランク把持搬送機構16のX軸方向の移動を制御するものである。ブランク把持搬送Y軸用サーボモータ23は、ブランク把持搬送機構16のY方向の移動を制御するものである。ブランク把持搬送Z軸用サーボモータ24は、ブランク把持搬送機構16のZ軸方向の移動を制御するものである。
【0040】
トランスファーX軸用サーボモータ25は、トランスファー機構18のX軸方向の移動を制御するものである。トランスファーY軸用サーボモータ26は、トランスファー機構18のY方向の移動を制御するものである。トランスファーZ軸用サーボモータ27は、トランスファー機構18のZ軸方向の移動を制御するものである(これらを纏めてトランスファー機構制御部28と呼称する)。
【0041】
レベラーフィーダー制御部20は、レベラーフィーダー102の送り動作(戻り動作)をブランキング用金型装置12の動作に合わせるように制御する。
【0042】
ここで、ブランキング用金型装置12について
図4,5を用いて詳述する。なお、
図4においては、コイル材Wの幅方向(以下、単に「コイル材幅方向」と記載)は紙面向かって手前から奥にかけての向きであるものとする。
【0043】
上部ボールねじ機構29Aは、ボールねじ31、ナット部32、及び、軸受け機構(図示略)を備えている。
【0044】
ブランキング用金型装置12の上方位置において、ボールねじ31はコイル材幅方向に延伸しており、ブランキングパンチユニット駆動用サーボモータ21Aにより回転制御される。ナット部32は、このボールねじ31に螺合し、ボールねじ31が回転することで、ブランキング用金型装置12の上部においてコイル材幅方向に移動可能である。
【0045】
下部ボールねじ機構29Bは、ボールねじ33、ナット部34、及び、軸受け機構(図示略)を備えている。
【0046】
ブランキング用金型装置12の下方位置において、ボールねじ33はコイル材幅方向に延伸しており、ブランキングダイユニット駆動用サーボモータ21Bにより回転制御される。ナット部34は、このボールねじ33に螺合し、ボールねじ33が回転することで、ブランキング用金型装置12の下部においてコイル材幅方向に移動可能である。
【0047】
ブランキング用金型装置12は、ブランキング加工ユニット30、上側筐体40、及び、下側筐体50を備えている。このうち、ブランキング加工ユニット30は、1対のブランキングパンチユニット41及びブランキングダイユニット42を備えている。
【0048】
ブランキングパンチユニット41は、カットパンチベースプレート43、カットパンチ44、パンチプレート55、及び、ストリッパープレート56を備えている。ブランキングダイユニット42は、カットダイベースプレート45、及び、カットダイ46を備えている。
【0049】
カットパンチ44は、鉛直方向にコイル材Wの一部を打ち抜いて落下させることが可能である。この打ち抜かれた素材がブランク100である。すなわち、カットパンチ44は、コイル材Wからブランク100を生成するものである。そして、カットパンチベースプレート43にはこのカットパンチ44が固定されている。
【0050】
パンチプレート55及びストリッパープレート56は一般的なものである。すなわち、パンチプレート55は、カットパンチ44の周囲に設けられるようにしてカットパンチベースプレート43に固定された板状部材であり、カットパンチ44の垂直状態を保つガイドの役割を担うものである。また、ストリッパープレート56は、パンチプレート55に下方側から連結するようにして固定された板状部材であり、コイル材Wを押さえ、その位置を安定させるものである。さらに、カットパンチ44のガイドの役割も担っており、カットパンチ44の先端の破損を防ぐことができる。
【0051】
カットダイ46は、カットパンチ44に対応するものである。そして、カットダイベースプレート45にはこのカットダイ46が固定されている。
【0052】
また、上部ボールねじ機構29Aのナット部32は、連結部47を介してカットパンチベースプレート43に対して上方側から固定されている(換言すれば、カットパンチベースプレート43はナット部32に連結している)。
【0053】
下部ボールねじ機構29Bのナット部34は、連結部48を介してカットダイベースプレート45に対してコイル材Wの進行方向(以下、単に「コイル材進行方向」と記載)上流側から固定されている(換言すれば、カットダイベースプレート45はナット部34に連結している)。
【0054】
これにより、ナット部32の移動に伴ってブランキングパンチユニット41がコイル材幅方向に移動可能であるとともに、ナット部34の移動に伴ってブランキングダイユニット42がコイル材幅方向に移動可能である。
【0055】
なお、言うまでもないが、カットパンチ44とカットダイ46とは、コイル材進行方向及びコイル材幅方向において、常に互いに対応した位置になるようにして移動する。
【0056】
一方、上側筐体40は、上型ベースプレート103Dに対して下方側から固定されている。また上側筐体40には、上部ボールねじ機構29Aの軸受け機構(図示略)が固定されている。さらに上側筐体40は、レール部51及び係止部52A,52Bを備えている。
【0057】
レール部51は、ナット部32を内包するとともに、コイル材進行方向中央位置においてコイル材幅方向に延伸するスリットSAが形成されている(スリットSAは上方から下方に向けて貫通するようにして形成されている)。このスリットSAには連結部47がコイル材幅方向に移動自在に嵌合する。
【0058】
係止部52A,52Bは、レール部51のコイル材進行方向上流側端部及び下流側端部それぞれの下方に形成された突起状のものであり、カットパンチベースプレート43を(コイル材幅方向に移動可能な状態で)コイル材進行方向上流側端部及び下流側端部側から支持するものである。また、コイル材進行方向の両側に摺動可能なクリアランスを有しカットパンチベースプレート43のコイル材幅方向の移動を案内する機能を有する。換言すれば、係止部52A,52Bは、ブランキングパンチユニット41をコイル材幅方向に移動可能な状態で支持、及び案内するものである。
【0059】
下側筐体50は、下型ベースプレート103Eに対して上方側から固定されている。また下側筐体50には、下部ボールねじ機構29Bの軸受け機構(図示略)が固定されている。さらに下側筐体50は、レール部53及び係止部54A,54Bを備えている。
【0060】
レール部53には、コイル材進行方向上流側端部において、コイル材幅方向に延伸するスリットSBが形成されている(スリットSBはコイル材進行方向に貫通するようにして形成されている)。スリットSBには連結部48がコイル材幅方向に移動自在に嵌合する。
【0061】
係止部54A,54Bは、カットダイベースプレート45を(コイル材幅方向に移動可能な状態で)コイル材進行方向上流側端部及び下流側端部側から支持するものである。また、コイル材進行方向の両側に摺動可能なクリアランスを有しカットダイベースプレート45のコイル材幅方向の移動を案内する機能を有する。換言すれば、係止部54A,54Bは、ブランキングダイユニット42をコイル材幅方向に移動可能な状態で支持、及び案内するものである。
【0062】
ナット部34は、連結部48のコイル材進行方向上流側端部に固定されている。これにより、ナット部34(さらには下部ボールねじ機構29B全体)は、下側筐体50のコイル材進行方向上流側に配置されることになる。
【0063】
すなわちブランキング用金型装置12は、上述した構造であることで、上型ベースプレート103Dの上下方向の動作に伴い、ブランキングパンチユニット41(カットパンチ44)が上下方向に動作し、これによりブランク加工を行うことができる。またその際、ブランキングパンチユニット41及びブランキングダイユニット42のコイル材幅方向の位置を調整することができる。
【0064】
なお、既に説明したとおり、ボールねじ31はブランキングパンチユニット駆動用サーボモータ21Aにより制御されるが、このボールねじ31は、プレス加工の際に上型ベースプレート103Dの上下方向の移動に伴って上下方向に移動する。そのため、ブランキングパンチユニット駆動用サーボモータ21Aは、図示しないボールスプライン機構、またはスプライン機構を介してボールねじ31を制御するものとする。これにより、順送プレス機103の外に設置されるブランキングパンチユニット駆動用サーボモータ21Aは上下方向には動かず、固定された状態とすることができる。
【0065】
また、上部ボールねじ機構29Aの取り付け位置は、ブランキングパンチユニット41とコイル材Wの動作を妨げない位置であれば、カットパンチベースプレート43(ブランキングパンチユニット41)のコイル材進行方向上流測端部やコイル材進行方向下流測端部であっても良い。
【0066】
さらに、下部ボールねじ機構29Bの取り付け位置は、ブランキングダイユニット42とコイル材Wの動作を妨げない位置であれば、カットダイベースプレート45(ブランキングダイユニット42)のコイル材進行方向下流測端部やカットダイベースプレート45の下方であっても良い。
【0067】
さらに本実施例では、打ち抜き位置(加工(生成)位置)の精度を高めるため、位置決めを行うキーブロックをエアシリンダ(あるいはカム機構)により抜き差しすることで固定及び固定解除を可能とする構造とするのが好ましい。
【0068】
そのため、まず、上側筐体40の所定位置(好ましくはコイル材進行方向下流側端部)には、複数の挿入孔HAがコイル材幅方向に並んで形成されている(
図5参照)。また、カットパンチベースプレート43の所定位置(好ましくはコイル材進行方向下流側端面)には、挿入穴HBが形成されている。
【0069】
そして上側筐体40には、複数のエアシリンダ61、及び、複数の位置決めキーブロック62が設けられている(
図5参照)。
【0070】
エアシリンダ61は、それぞれ挿入孔HAに対応する位置に形成されており、エアシリンダ61のロッド部61Aの先端に位置決めキーブロック62が固定されている。
【0071】
位置決めキーブロック62は、それぞれ挿入孔HAに嵌合しており、エアシリンダ61の動作に伴い挿入孔HA内を摺動する。
【0072】
また位置決めキーブロック62は、挿入穴HBの内周面に嵌合可能であり、エアシリンダ61の動作に伴い挿入穴HBに対し(摺動しながら)挿脱される。
【0073】
すなわち、位置決めキーブロック62が挿入穴HBに挿入された状態においては、位置決めキーブロック62は、挿入孔HAに挿入されたまま挿入穴HBに挿入されていることになる。したがって、この状態では、位置決めキーブロック62により上側筐体40にカットパンチベースプレート43(ブランキングパンチユニット41)が固定された状態となり、高精度に加工することが可能となる。
【0074】
さらに、下側筐体50の所定位置(好ましくはコイル材進行方向下流側端部)には、複数の挿入孔HCがコイル材幅方向に並んで形成されている(
図5参照)。また、カットダイベースプレート45の所定位置(好ましくはコイル材進行方向下流側端面)には、挿入穴HDが形成されている。
【0075】
そして下側筐体50には、複数のエアシリンダ63、及び、複数の位置決めキーブロック64が設けられている(
図5参照)。
【0076】
エアシリンダ63は、それぞれ挿入孔HCに対応する位置に形成されており、エアシリンダ61のロッド部63Aの先端に位置決めキーブロック64が固定されている。
【0077】
位置決めキーブロック64は、それぞれ挿入孔HCに嵌合しており、エアシリンダ63の動作に伴い挿入孔HC内を摺動する。
【0078】
また位置決めキーブロック64は、挿入穴HDの内周面に嵌合可能であり、エアシリンダ63の動作に伴い挿入穴HDに対し(摺動しながら)挿脱される。
【0079】
すなわち、位置決めキーブロック64が挿入穴HDに挿入された状態においては、位置決めキーブロック64は、挿入孔HCに挿入されたまま挿入穴HDに挿入されていることになる。したがって、この状態では、位置決めキーブロック64により下側筐体50にカットダイベースプレート45(ブランキングダイユニット42)が固定された状態となり、高精度に加工することが可能となる。
【0080】
以上説明した構造のブランキング用金型装置12は、例えば、
図6に示すように、ブランクφ100mmで送り桟幅2mmの5列加工の場合、まずコイル材幅方向に順に3つのブランク100(
図6におけるブランクA,B,C)を加工(生成)し、コイル材を51mm(1/2ピッチ。すなわち(ブランクの直径+送り桟幅)/2)送った後、コイル材幅方向に順に2つのブランク100(
図6におけるブランクD,E)を加工する。
【0081】
なお、
図6に示すとおり、コイル材幅方向において、ブランクDの加工位置はブランクBの加工位置とブランクCの加工位置との間、ブランクEの加工位置はブランクAの加工位置とブランクBの加工位置との間であるものとする。また、2つのブランク100(ブランクD,E)の加工順は、初めに加工した3つのブランク100(ブランクA,B,C)の加工順と反対方向とする。
【0082】
また、複雑な異形状のブランク加工を行う場合、カットパンチ44、パンチプレート55、ストリッパープレート56、及び、カットダイ46に回転機構と回転を固定する位置決め構造を設け、レベラーフィーダー制御部20によるレベラーフィーダー102の送りと戻りのピッチを自在に設定できるようにすることで、加工位置と回転方向の制約がなくなり、ブランクの形状に合わせた高歩留まりなブランク加工が可能となる。
【0083】
以上が本実施例に係るトランスファープレス化装置、及び、これが取り付けられた順送プレス加工設備の構成の説明である。以下では、これらの大まかな動作について、
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0084】
ステップS1では、アンコイラー101によりコイル材Wを繰り出し、レベラーフィーダー102に渡す。
【0085】
ステップS2では、レベラーフィーダー制御部20により制御されるレベラーフィーダー102にて、コイル材Wを順送プレス機103へ送り出す。
【0086】
ステップS3では、ブランキングパンチユニット駆動用サーボモータ21A、及び、ブランキングダイユニット駆動用サーボモータ21Bにより加工位置が制御されるブランキング用金型装置12にて、ブランク100を生成する。
【0087】
ステップS4では、生成されたブランク100を金型下方ブランク用コンベア13Cから第1ブランク用コンベア13Aに搬送する。
【0088】
ステップS5では、第1ブランク用コンベア13Aにより搬送されたブランク100をブランク回転機構14により回転させて向きを揃える。
【0089】
ステップS6では、ブランク回転機構14により回転させて向きを揃えられたブランク100を第2ブランク用コンベア13Bにより搬送する。
【0090】
ステップS7では、第2ブランク用コンベア13Bにより搬送されたブランク100をブランク集合機構15により集合させる。
【0091】
ステップS8では、ブランク把持搬送X軸用サーボモータ22、ブランク把持搬送Y軸用サーボモータ23、及び、ブランク把持搬送Z軸用サーボモータ24により制御されるブランク搬送機構16にて、ブランク100をトランスファープレス用金型17に送り、さらに、トランスファープレス用金型17内において1工程が終わる度に次工程に搬送していくことで、プレス加工を行う。これがトランスファープレス加工となる。
【0092】
ここで、上記ステップ3のブランキング用金型装置12によるブランク加工について、
図8のフローチャートを用いて詳述する。ただし、ここでの説明は5列加工の場合を想定している。また、下記ではブランク100をその加工位置に応じてブランクA~Eとして記載している。
【0093】
ステップS11では、ブランキング加工ユニット30をブランクAの加工位置に位置決め及び固定し、順送プレス機103のスライド103Cが下降することで、ブランキング加工ユニット30がブランクAを加工する(打ち抜く)。
【0094】
ステップS12では、順送プレス機103のスライド103Cが上昇している間に、エアシリンダ61の動作により位置決めキーブロック62がカットパンチベースプレート43から外されるとともに、エアシリンダ63の動作により位置決めキーブロック64がカットダイベースプレート45から外される。
【0095】
ステップS13では、ブランキングパンチユニット駆動用サーボモータ21A及び上部ボールねじ機構29Aの動作によって、ブランキングパンチユニット41がブランクBの加工位置(の上方)に移動するとともに、ブランキングダイユニット駆動用サーボモータ21B及び下部ボールねじ機構29Bの動作によって、ブランキングダイユニット42がブランクBの加工位置(の下方)に移動する。
【0096】
ステップS14では、エアシリンダ61の動作により位置決めキーブロック62がカットパンチベースプレート43に挿入され、ブランキングパンチユニット41が固定されるとともに、エアシリンダ63の動作により位置決めキーブロック64がカットダイベースプレート45に挿入され、ブランキングダイユニット42が固定される。
【0097】
ステップS15では、順送プレス機103のスライド103Cが下降することで、ブランクBの位置で位置決めされたブランキング加工ユニット30がブランクBを加工する(打ち抜く)。
【0098】
ステップS16では、順送プレス機103のスライド103Cが上昇している間に、エアシリンダ61の動作により位置決めキーブロック62がカットパンチベースプレート43から外されるとともに、エアシリンダ63の動作により位置決めキーブロック64がカットダイベースプレート45から外される。
【0099】
ステップS17では、ブランキングパンチユニット駆動用サーボモータ21A及び上部ボールねじ機構29Aの動作によって、ブランキングパンチユニット41がブランクCの加工位置(の上方)に移動するとともに、ブランキングダイユニット駆動用サーボモータ21B及び下部ボールねじ機構29Bの動作によって、ブランキングダイユニット42がブランクCの加工位置(の下方)に移動する。
【0100】
ステップS18では、エアシリンダ61の動作により位置決めキーブロック62がカットパンチベースプレート43に挿入され、ブランキングパンチユニット41が固定されるとともに、エアシリンダ63の動作により位置決めキーブロック64がカットダイベースプレート45に挿入され、ブランキングダイユニット42が固定される。
【0101】
ステップS19では、順送プレス機103のスライド103Cが下降することで、ブランクCの位置で位置決めされたブランキング加工ユニット30がブランクCを加工する(打ち抜く)。
【0102】
ステップS20では、順送プレス機103のスライド103Cが上昇している間に、エアシリンダ61の動作により位置決めキーブロック62がカットパンチベースプレート43から外されるとともに、エアシリンダ63の動作により位置決めキーブロック64がカットダイベースプレート45から外される。
【0103】
ステップS21では、レベラーフィーダー制御部20の制御によりレベラーフィーダー102が送り動作を行い、コイル材Wを1/2ピッチ(51mm)送る。ただし、ステップS20とステップS21とは順序が逆であってもよい。
【0104】
ステップS22では、ブランキングパンチユニット駆動用サーボモータ21A及び上部ボールねじ機構29Aの動作によって、ブランキングパンチユニット41がブランクDの加工位置(の上方)に移動するとともに、ブランキングダイユニット駆動用サーボモータ21B及び下部ボールねじ機構29Bの動作によって、ブランキングダイユニット42がブランクDの加工位置(の下方)に移動する。
【0105】
ステップS23では、エアシリンダ61の動作により位置決めキーブロック62がカットパンチベースプレート43に挿入され、ブランキングパンチユニット41が固定されるとともに、エアシリンダ63の動作により位置決めキーブロック64がカットダイベースプレート45に挿入され、ブランキングダイユニット42が固定される。
【0106】
ステップS24では、順送プレス機103のスライド103Cが下降することで、ブランクDの位置で位置決めされたブランキング加工ユニット30がブランクDを加工する(打ち抜く)。
【0107】
ステップS25では、順送プレス機103のスライド103Cが上昇している間に、エアシリンダ61の動作により位置決めキーブロック62がカットパンチベースプレート43から外されるとともに、エアシリンダ63の動作により位置決めキーブロック64がカットダイベースプレート45から外される。
【0108】
ステップS26では、ブランキングパンチユニット駆動用サーボモータ21A及び上部ボールねじ機構29Aの動作によって、ブランキングパンチユニット41がブランクEの加工位置(の上方)に移動するとともに、ブランキングダイユニット駆動用サーボモータ21B及び下部ボールねじ機構29Bの動作によって、ブランキングダイユニット42がブランクEの加工位置(の下方)に移動する。
【0109】
ステップS27では、エアシリンダ61の動作により位置決めキーブロック62がカットパンチベースプレート43に挿入され、ブランキングパンチユニット41が固定されるとともに、エアシリンダ63の動作により位置決めキーブロック64がカットダイベースプレート45に挿入され、ブランキングダイユニット42が固定される。
【0110】
ステップS28では、順送プレス機103のスライド103Cが下降することで、ブランクEの位置で位置決めされたブランキング加工ユニット30がブランクEを加工する(打ち抜く)。
【0111】
ステップS29では、レベラーフィーダー制御部20の制御によりレベラーフィーダー102が送り動作を行い、コイル材Wを1/2ピッチ(51mm)送る。
【0112】
以上がステップS3の詳細な説明である。ステップS3は、上記ステップS11~S29を1サイクルとしている。
【0113】
以上が本実施例に係るトランスファープレス化装置、及び、これが取り付けられた順送プレス加工設備の動作説明である。
【0114】
本実施例に係るトランスファープレス化装置は、一般的な順送プレス加工設備に取り付けることで、多列ブランク加工で高歩留まりのトランスファープレス加工を行うことができ、さらに、順送プレス加工設備を用いているため順送プレス加工も可能であり、生産性が向上する。
【0115】
また、従来のトランスファープレス加工ではブランクを入れた籠やマガジンなどの中間在庫が多く発生するが、本実施例に係るトランスファープレス化装置は、順送プレス機内でブランクを加工するので中間在庫が発生しない。
【0116】
さらに、本実施例に係るトランスファープレス化装置は、順送プレス加工設備に対し、金型交換と、駆動装置、エアー配管及び配線コネクターの接続とを行うだけでトランスファープレス設備に変換することができるので、順送プレス加工とトランスファープレス加工との段取り替えが簡単である。
【0117】
また、本実施例に係るトランスファープレス化装置は、複数種類のブランキング用金型装置12、ブランク把持搬送機構16、トランスファープレス用金型17、トランスファー機構18、上型ベースプレート103D、下型ベースプレート103Eを予め用意し、これらの一部または全てを交換することで、他のプレス加工部品を加工することが可能である。
【0118】
本実施例に係るトランスファープレス化装置を従来の順送プレス加工設備に追加することで、多列打ち抜きブランク加工と、ブランク加工で加工したブランクを搬送して加工するトランスファー加工と行うことを可能とする。
【0119】
従来のトランスファー加工設備では、ブランキングプレスで加工したブランクの保管が必要なため中間在庫が発生するが、本実施例に係るトランスファープレス化装置を用いることでこれが発生しない。
【0120】
従来のトランスファー加工設備では順送プレス加工を行うことができないが、本実施例に係るトランスファープレス化装置は順送プレス加工設備に設けられるので、順送プレス加工を行うことが可能である。
【0121】
本実施例では、ブランキング用金型の1対のブランキングパンチユニットとブランキングダイユニットを移動させて加工する構造とすることで、ブランキング用金型のコイル材進行方向の長さを短く設計することができるので、小型の順送プレス加工設備にも搭載することが可能となる。
【0122】
本実施例では、ブランキング用金型を1対のブランキングパンチユニットとブランキングダイユニットにすることで、金型の保守管理が容易になる。
【0123】
本実施例では、ブランキングパンチユニット及びブランキングダイユニットに回転機構と回転角度を固定する位置決め構造を設けることで、異形状のブランク加工に対応できる。
【0124】
本実施例では、レベラーフィーダーのコイル材の送り制御として、送り方向と戻り方向とを設けることで、複雑な異形状のブランク加工にも対応することができる。
【0125】
本実施例では、幅広のコイル材を使用することができるので、1列加工時に必要なスリット加工が不要になり、コストを削減できる。