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▶ 品田 一世の特許一覧

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  • 特開-ホールソー 図1
  • 特開-ホールソー 図2
  • 特開-ホールソー 図3
  • 特開-ホールソー 図4
  • 特開-ホールソー 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099892
(43)【公開日】2023-07-14
(54)【発明の名称】ホールソー
(51)【国際特許分類】
   B23B 51/04 20060101AFI20230707BHJP
【FI】
B23B51/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000067
(22)【出願日】2022-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】721012575
【氏名又は名称】品田 一世
(72)【発明者】
【氏名】品田 一世
【テーマコード(参考)】
3C037
【Fターム(参考)】
3C037AA05
3C037FF06
(57)【要約】
【目的】下水道管内の管更生におけるホールソーによる孔開け作業において、刃が破損しにくくメンテナンスが安価でかつ容易で、ホールソーの切削時のブレ(蛇行)を極力低減しつつ、下水道管内に切削片を残さずに切削片を作業者が容易に回収できるホールソーを提供する。
【解決手段】ホールソー先端(開口部)に分割されたダイヤモンド焼結体チップ31を備えるが、一部を内側に厚み増したダイヤモンド焼結体チップ32にて備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に分割されたダイヤモンド焼結体チップを設けるホールソーにあって、前記ダイヤモンド焼結体チップの一部を内側に厚み増したものに変更したことを特徴とするホールソー。
【請求項2】
先端に分割されたダイヤモンド焼結体チップを設けるホールソーにあって、前記ダイヤモンド焼結体チップを分割数の半分以下の範囲で内側に厚み増したものに変更したことを特徴とするホールソー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホールソーに関する。
【背景技術】
【0002】
下水管の管更生手段として、劣化等した下水管内側にチューブ上の樹脂を膨らませて貼る工法があるが、枝管接続孔が塞がれてしまうため、孔開け作業を要する。専用ロボットにて孔開け作業をするが、その際の孔開け工具としてホールソーを使用する。この時、孔開けしたホールソー内部に残った切削片は、地上でホールソーから取り出し、下水管に残さず回収するべきものである。
【0003】
図1に示すホールソーでは、側面に溝11を設けドライバー等でこじって切削片を除去するが、ホールソー開口部と切削片の大きさがほぼ同一となるため切削片の除去に時間を要する。
【0004】
図2に示すホールソーでは、切削片を容易に除去できる構造としてセンターのドリル21にスプリング22が付いているが、この構造ではスプリングのばね強度が弱いと切削片を押し出せず、バネ強度が強いと切削片を下水管に落とす可能性がある。
【0005】
そのため、特許文献1では、先端部を円筒形状に形成すると共に、該円筒形状の先端部の外周円に対して内周円を偏心させることでその厚さを周方向で異ならせ、該先端部に切削粒子を設けたホールソーが提案されている。
【0006】
また、特許文献2のホールソーでは、通常の筒状本体の切削刃のほかに、その筒状本体の内周面よりも内側に突出した好ましくは均等に配置され内刃を備えた構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8-1581公報
【特許文献2】特開2002-172511公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のホールソーでは、刃が連続的に太さを変化させるため、切削時にブレ(蛇行)を生じやすい。また、円形に連続刃のため、変形や破損した場合、修理が困難で修理代が高額になりやすい。
また、特許文献2では、内刃が筒状本体の内周面よりも内側に突出した別部品のため、その内刃がはがれ破損しやすい構造となっている。また、内刃が均等に配置されている場合、切断片がホールソー内側にとどまり易く、切断片の除去は容易には出来ない。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決する為のもので、下水道管内でのホールソーによる孔開け作業において、先端に厚さだけが異なる分割されたダイヤモンド焼結体チップを設けるので、刃が破損しにくくメンテナンスが安価で容易で、ホールソーの切削時のブレ(蛇行)を極力低減しつつ、下水道管内に切削片を残さず切削片を容易に回収できるホールソーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために、下記のホールソーを提供するものである。
(1)先端に分割されたダイヤモンド焼結体チップを設けるホールソーにあって、前記ダイヤモンド焼結体チップの一部を内側に厚み増したものに変更したことを特徴とするホールソー。
(2)先端に分割されたダイヤモンド焼結体チップを設けるホールソーにあって、前記ダイヤモンド焼結体チップを分割数の半分以下の範囲で内側に厚み増したものに変更したことを特徴とするホールソー。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、下水道管内でのホールソーによる穴開け作業において、刃が破損しにくくメンテナンスが安価で容易で、ホールソーの切削時のブレ(蛇行)を極力低減しつつ、下水道管内に切削片を残さず切削片を容易に回収できるホールソーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来(市販品)のホールソーの斜視図を示している。
図2】従来(市販品)の別のホールソーの斜視図を示している。
図3】本発明のホールソーを示している。
図4】本発明の別のホールソーを示している。
図5】本発明のホールソーのダイヤモンド焼結体チップ部の上面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ホールソーは、一端が閉口した円形筒状体を使用し、その閉口部の中心に回転用の軸穴を設け、もう一端の開口部の端面に切削刃を設けるが、下水管の管更生の枝管接続孔用のホールソーの切削刃としては、ホールソー直径の弧に合わせた形状で分割したダイヤモンド焼結体チップを使用し、開口部の端面に溶接される。
下水管の管更生の枝管接続孔は、通常直径100mmから200mmの孔なので、それに合わせてホールソーの直径が設定される。
ダイヤモンド焼結体チップは、ダイヤモンド粒子を金属粉(バインダー)で焼き固めたものであり、厚み増すダイヤモンドチップは、切削片を容易に取り出す隙間をつくる必要があるので、ホールソー直径の半分未満に配置し溶接する。
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図3は、本発明のホールソーを示している。
図3(a)は、俯瞰図、図3(b)は、上面図、図3(c)は、側面図を示している。
例としてホールソー開口端部に溶接されるダイヤモンド焼結体チップは、8分割とした図面としている。
先端に分割されたダイヤモンド焼結体チップ31を設けるホールソーにあって、ダイヤモンド焼結体チップ31の1か所を、内側に厚み増したダイヤモンド焼結体チップ32に変更したことを特徴とするホールソーを示している。
ダイヤモンド焼結体チップ31または厚み増したダイヤモンド焼結体チップ32は、ホールソー本体の開口端部に単に設けてもよいが、図3に示すように、開口端部に、それらのチップ間の位置に切り欠き部を設けると、チップの取り換えが容易であるばかりでなく、切削粉が排出されやすくなる。
【0015】
図4は、本発明の別のホールソーを示している。
ダイヤモンド焼結体チップ31の3か所を、内側に厚み増したダイヤモンド焼結体チップ32に変更したことを特徴とするホールソーを示している。
【0016】
図5は、本発明のホールソーのダイヤモンド焼結体チップ部の上面図を示して、寸法を例として記載している。
図5(a)は、本発明のホールソーによる切削片外径、図5(b)は、本発明のホールソーの内径(切削片をとるための空間)を示している。
外径88mm肉厚3mmのダイヤモンド焼結体チップの二か所を肉厚5mmに変更すると切削片外径は78mmとなる。ホールソー内径は直径約80mmの空間になっているので、直径78mmの切削片を容易に排出できることを示している。

【符号の説明】
【0017】
11…溝
21…ドリル
22…スプリング
31…ダイヤモンド焼結体チップ
32…厚み増したダイヤモンド焼結体チップ
図1
図2
図3
図4
図5