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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099929
(43)【公開日】2023-07-14
(54)【発明の名称】身体洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/35 20060101AFI20230707BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230707BHJP
   C11D 1/83 20060101ALI20230707BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20230707BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20230707BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
A61K8/35
A61Q19/10
A61K8/60
A61K8/39
C11D1/83
C11D1/68
C11D1/04
C11D3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000170
(22)【出願日】2022-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】520061767
【氏名又は名称】紅道科研センター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】川野 大地
(72)【発明者】
【氏名】付 子華
(72)【発明者】
【氏名】安本 陵太
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC232
4C083AD201
4C083AD202
4C083BB04
4C083BB05
4C083CC23
4C083EE01
4C083EE07
4H003AB05
4H003AB09
4H003AB10
4H003AB15
4H003AB31
4H003AC05
4H003AD04
4H003AD05
4H003BA12
4H003DA02
4H003ED02
4H003FA08
4H003FA16
(57)【要約】
【課題】身体洗浄用組成物において、アスタキサンチンの安定性が高く、泡立ちや洗浄性に優れたものとする。
【解決手段】身体洗浄用組成物は、成分(A)アスタキサンチン類、成分(B)非イオン性界面活性剤、成分(C)水、成分(D)陰イオン界面活性剤、を含有する。成分(D)の陰イオン界面活性剤により身体洗浄用組成物として優れた泡立ちや洗浄性を得ると共に、成分(B)の非イオン性界面活性剤により、アスタキサンチンの安定性を高めることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)アスタキサンチン類、
成分(B)非イオン性界面活性剤、
成分(C)水、
成分(D)陰イオン界面活性剤、
を含有する身体洗浄性組成物。
【請求項2】
前記成分(B)が前記成分(D)の含有量の2/3以上含有されていることを特徴とする請求項1に記載の身体洗浄用組成物。
【請求項3】
前記成分(D)の含有量が、1質量%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の身体洗浄用組成物。
【請求項4】
前記成分(B)は、アルキルグルコシドであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の身体洗浄組成物。
【請求項5】
前記成分(D)は、カルボン酸塩構造を有する陰イオン界面活性剤であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の身体洗浄組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスタキサンチン類を含有する身体洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アスタキチンサン類は、酸化防止効果や炎症効果等を有することが知られており、食品、化粧料又は医薬品等に添加することが検討、実施されている。また、アスタキサンチン類は、肌の老化防止、シミの予防・改善等といった、肌に有用な効果を有することが知られており、ボディーソープやシャンプー、洗顔料といった身体洗浄用組成物に用いることが注目されている。
【0003】
しかし、アスタキサンチン等のカロテノイドは、構造的に不安定であり、熱、光、酸化等により、劣化が促進されることが知られており、洗浄用組成物に安定的に含有させることが容易ではない。
【0004】
特に、液体洗浄剤に配合される陰イオン性界面活性剤として普及しているラウリル硫酸塩等の界面活性剤をカロテノイドと共に用いた場合、カロテノイドの安定性が低下傾向にあることが知られている(例えば、特許文献1参照)。そこで、上記特許文献1に記載の発明では、カロテノイドを含有する洗浄剤組成物において、安息香酸及びその塩から選択される少なくとも1種と、カルボン酸塩構造を有するアミノ酸系界面活性剤と、を含有させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2015/016037号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、陰イオン性界面活性剤は、一般に泡立ちが良く、また、乳化・分散性に優れるため、優れた洗浄性を得ることができるので、身体洗浄用組成物では多用されている。そこで、本発明者らは、アスタキサンチンが、どのような界面活性剤によって安定性を失って退色するかについて調査、研究を行ったところ、界面活性剤の種類によって退色作用が異なり、退色を促進させるものだけでなく、退色を抑制する効果があるものがあることが分かった。また、退色を促進させるものであっても、退色を抑制する効果があるものと組み合わせることで、退色促進作用を低減できることが分かった。
【0007】
本発明は、アスタキサンチン類の安定性が高く、泡立ちや洗浄性に優れた身体洗浄用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、成分(A)アスタキサンチン類、成分(B)非イオン性界面活性剤、成分(C)水、成分(D)陰イオン界面活性剤、を含有する身体洗浄性組成物である。
【0009】
また、上記身体洗浄用組成物において、前記成分(B)が前記成分(D)の含有量の2/3以上含有されていることが好ましい。
【0010】
また、上記身体洗浄用組成物において、前記成分(D)の含有量が、1質量%以上であることが好ましい。
【0011】
また、上記身体洗浄用組成物において、前記成分(B)は、アルキルグルコシドであることが好ましい。
【0012】
また、上記身体洗浄用組成物において、前記成分(D)は、カルボン酸塩構造を有する陰イオン界面活性剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、成分(D)の陰イオン界面活性剤により身体洗浄用組成物として優れた泡立ちや洗浄性を得ると共に、成分(B)の非イオン性界面活性剤により、アスタキサンチンの安定性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る身体洗浄用組成物について、具体的に説明する。本実施形態に係る身体洗浄用組成物は、以下の成分を含有する。
成分(A)アスタキサンチン類
成分(B)非イオン性界面活性剤
成分(C)水
成分(D)陰イオン界面活性剤
【0015】
本実施形態の成分(A)のアスタキサンチン類は、アスタキサンチン及びアスタキサンチンのエステル等の誘導体の少なくとも一方を包含する。本実施形態では、これらアスタキサンチン及びアスタキサンチンの誘導体を総称して「アスタキサンチン」と称する。
【0016】
アスタキサンチンは、植物類、藻類、甲殻類及びバクテリア等のアスタキサンチンを含有する天然物を使用するこができ、また、その他、常法に従って得られるアスタキサンチンであれば、いずれも使用することができる。天然物であるアスタキサンチンとしては、例えば、赤色酵母ファフィア、ヘマトコッカス藻、海洋性細菌、オキアミ等が挙げられ、広く市販されているヘマトコッカス藻抽出物、又は、オキアミ抽出物を用いることができる。
【0017】
本実施形態において、アスタキサンチンの色素純分としての含有量は、洗浄用組成物製造時の取り扱いの観点から、例えば、0.00001~1質量%が好ましく、0.0001~0.1質量%がより好ましい。アスタキサンチンは、洗浄後の毛髪及び肌に潤いを与えることができ、抗酸化作用も期待される。また、洗浄用組成物(ボディーソープやシャンプー等)の見た目において、アスタキサンチン由来のオレンジ色が程よく感じられ、使用者に良い印象を与えることができる。
【0018】
アスタキサンチンを洗浄用組成物に含有させる方法としては、例えば、エタノール等のアルコールに溶解して組成物に含有させる方法、可溶化剤等により可溶化させて洗浄用組成物に含有させる方法、又は所定のオイルにアスタキサンチンを溶解させて油相を調製した後、アスタキサンチンを含む油相と水相とを合わせて分散させた分散組成物をとして洗浄用組成物に含有させる方法等が挙げられる。
【0019】
本実施形態において、成分(B)の非イオン性界面活性剤及び成分(D)の陰イオン界面活性剤は、洗浄用組成物の全量に対して、例えば、0.1~20質量%で含有され、好ましくは、1~10質量%で含有され、成分(C)の水がそれらとは相補的に含有される。特に、成分(D)の陰イオン性界面活性剤は、洗浄力や発泡力に優れ、洗浄剤として主要な役割を果たす成分であるから、1質量%以上含有されていることが望ましい。
【0020】
成分(B)及び成分(D)の含有比は、例えば、成分(B):成分(D)=10:1~1:10の範囲で設定され、好ましくは、成分(B):成分(D)=4:1~1:4の範囲で設定される。成分(B)が少な過ぎると、例えば、洗浄剤としての安定性が悪くなり易く、また、すすぎ時の指通りや柔らかさが悪くなることもある。また、成分(B)が多過ぎると、泡立ちが悪くなり、毛髪や肌にべたつきが生じ易くなる。一方、成分(D)が少な過ぎると、泡立ちが悪くなり、洗浄性能が低下する。また、成分(D)が多過ぎると、アスタキサンチンの安定性が失われ、退色が促進され易くなる。
【0021】
そのため、洗浄性能を確保しつつ、アスタキサンチンの安定性を高め、その退色を抑制するには、成分(B)が、成分(D)の含有量の1/4以上含有されていることが好ましく、成分(D)の含有量の2/3以上含有されていることがより好ましい。
【0022】
非イオン性界面活性剤は、水溶液中でイオンに解離することなく界面活性を示す界面活性剤である。非イオン性界面活性剤は、分子中にヒドロキシ基-OH、エーテル結合-O-、エステル基-COOR、カルバモイル基-CONH2等の親水性原子団と、アルキル基やアルキル置換アリール基などの長鎖の親油性原子団とを有する。非イオン性界面活性剤には、酸化エチレン縮合型、多価アルコールエステル型又は多価アルコール縮合型等が知られているが、本実施形態では、多価アルコール縮合型の非イオン性界面活性剤が好適に用いられる。
【0023】
また、多価アルコール縮合型にも、脂肪酸アルカノールアミド又はアルキルグリコシド等が知られているが、本実施形態の成分(B)の非イオン性界面活性剤には、アルキルグルコシドであることが好ましい。具体的には、例えば、(C12-20)アルキルグルコシド、(カプリリル/カプリル)グルコシド、アルキル(C10-16)グルコシド、セテアリルグルコシド、デシルグルコシド、ミリスチルグルコシド、ヤシ油アルキルグルコシド、ミリスチルグルコシド、ラウリルグルコシド等が挙げられる。
【0024】
陰イオン性界面活性剤は、陰イオン性の親水基をもつ界面活性剤の総称であり、水溶液中で解離して陰イオンとなる。従来から、石鹸・アルキルベンゼンスルホン酸塩・ラウリル硫酸ナトリウム等が知られ、洗浄力や発泡力に優れ、洗浄剤又は乳化剤等に広く利用される。主な陰イオン性界面活性剤としては、カルボン酸型、スルホン酸型又は硫酸エステル型、リン酸エステル型等が知られているが、本実施形態では、カルボン酸塩構造を有する陰イオン界面活性剤が好適に用いられる。
【0025】
また、本実施形態の成分(D)の陰イオン性界面活性剤には、アルキルエーテルカルボン酸塩であることが好ましく、具体的には、例えば、ココイルグルタミン酸2ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸2ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニンカリウム、ラウロイルメチルアラニントリエタノールアミン、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、ラウレス-5カルボン酸ナトリウム、ラウレス-6カルボン酸ナトリウム、ラウレス-11カルボン酸ナトリウム、ラウレス-4,5酢酸カリウム、ラウレス-3酢酸ナトリウム、ラウレス-4酢酸ナトリウム、ラウレス-5酢酸ナトリウム、ラウレス-6酢酸ナトリウム、ラウレス-11酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0026】
本実施形態の成分(C)の水としては、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水、精製水又は天然水が挙げられ、殺菌済みのものが好ましい。
【0027】
本実施形態の洗浄用組成物は、発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外に、適宜に任意の成分を含有することができる。任意の成分としては、例えば、他の界面活性剤、保湿剤、生薬類、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、清涼剤、ビタミン類、タンパク質、ポリマー、香料、抗菌剤、増粘剤又は色素が挙げられる。具体的には、他の界面活性剤として、ラウレス硫酸ナトリウム、ココイルグリシンナトリウム、オレフィン(C14-16)スルホン酸ナトリウム等が挙げられる。また、ポリマーとして、ポリクオタニウム-10、キレート剤として、EDTA-2ナトリウム、pH調整剤として、クエン酸ナトリウム、増粘剤として、ポリエチレングリコールジステアレート、防腐剤として、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0028】
<退色試験1>
まず、各種界面活性剤が、アスタキサンチンの安定性に対して、どのような影響を及ぼすか、アスタキサンチン(0.001質量%)、界面活性剤(13種、25~37質量%)、水(残量)を混和させた単純系において、退色試験を行った。なお、アスタキサンチンは、オリザ油化株式会社製のアスタキサンチン-LSC1(アスタキサンチン単成分として1%含有)をサンプルに0.1質量%添加した。なお、上記アスタキサンチン-LSC1中には、ヘマトコッカスプルビアリスエキスが6.5%含有されているが、下記表では、アスタキサンチン単成分のみ表示している。退色試験は、50℃の高温条件及び蛍光灯(紫外線)照射条件にサンプル(試験1~13)を置き、夫々1週間及び3週間経過時における退色の程度を目視により確認した。そして、退色の程度を、下記の表1に示すように、1~5段階で評価した。
【0029】
【表1】
【0030】
試験1~13におけるサンプルの組成(使用した界面活性剤と含有量)と、退色試験1の結果を下記の表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
上記表2の結果から明らかなように、ラウリルヒドロキシスルタイン(試験1)、デシルグルコシド(試験3)及びヤシ油アルキルグルコシド(試験4)は、いずれの条件においてもアスタキサンチンの退色が検出されず、退色抑制効果が高いことが示された。これに対して、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(試験9)、ラウレス-6カルボン酸ナトリウム(試験10)及びココイルグルタミン酸2ナトリウム(試験12)は、コントロールと比較しても、アスタキサンチンの退色が明らかであり、退色を促進させる作用があることが示された。
【0033】
<退色試験2>
次に、上記表2の結果から、アスタキサンチンの退色抑制効果が見込まれるデシルグルコシド(試験3)を、アスタキサンチンの退色を特に顕著に促進させるラウレス-6カルボン酸ナトリウムと組み合わせた際に、退色抑制効果を示すかを検討した。この退色試験2では、アスタキサンチン(0.001質量%)、界面活性剤(デシルグルコシド及びラウレス-6カルボン酸ナトリウムを8通りの配合比で使用)、水(残量)を混和させて行った。試験は、50℃の高温条件及び蛍光灯(紫外線)照射条件にサンプル(実施例1-1~1-8)を置き、夫々1ケ月経過時おける退色の程度を目視により確認した。退色の程度は、上記の表1に示した通り、1~5段階で評価した。なお、実施例1-1~1-4は、界面活性剤の配合量が全量に対して50質量%とし、配合比をデシルグルコシド:ラウレス-6カルボン酸ナトリウム=4:1、3:2、2:3、1:4と変化させたものである。また、実施例1-5~1-8は、界面活性剤の配合量が30質量%で、配合比を上記と同様としたものである。
【0034】
【表3】
【0035】
上記表3の結果から明らかなように、デシルグルコシドが含有されることにより、ラウレス-6カルボン酸ナトリウムのみが含有される場合(表1の試験10参照)に比べて、いずれの条件においても、アスタキサンチンの退色が抑制された。傾向としては、ラウレス-6カルボン酸ナトリウムの配合量が少ない条件ほど、また、デシルグルコシドの配合比が高くなるほど、退色抑制効果は高くなる。しかし、ラウレス-6カルボン酸ナトリウムの配合比が多い場合であっても、少なくとも、デシルグルコシド(成分(B))が、ラウレス-6カルボン酸ナトリウム(成分(D))の含有量の1/4以上含有されていれば(実施例1-4、1-8)、アスタキサンチンの退色抑制効果が得られ、2/3以上含有されていれば(実施例1-3、1-7)、高い退色抑制効果が得られることが分かった。特に、界面活性剤の全量が少なく、デシルグルコシドの配合比が高いケース(実施例1-5、1-7)では、蛍光灯条件下での退色抑制効果が顕著になっている。
【0036】
<退色試験3>
続いて、ヤシ油アルキルグルコシド(表2の試験4)を、ラウレス-6カルボン酸ナトリウムと組み合わせた際に、退色抑制効果を示すかを検討した。この退色試験3は、上記表3の退色試験2におけるデシルグルコシドを、ヤシ油アルキルグルコシドに置き換えた以外は、上記試験と同様の条件、配合量、配合比で行った(実施例2-1~2-8)。
【0037】
【表4】
【0038】
上記表4の結果から明らかなように、ヤシ油アルキルグルコシドが含有されることにより、ラウレス-6カルボン酸ナトリウムのみが含有される場合(表1の試験10参照)に比べて、アスタキサンチンの退色が抑制された。ヤシ油アルキルグルコシドの退色抑制効果は、デシルグルコシドに比べると僅かに劣るものの、界面活性剤の配合量が少ない条件(実施例2-5~2-8)では、ある程度は高い退色抑制効果が得られることが分かった。
【0039】
<退色試験4>
更に、ラウリルヒドロキシスルタイン(表2の試験1)を、ラウレス-6カルボン酸ナトリウムと組み合わせた際に、退色抑制効果を示すかを検討した。この退色試験4は、上記表3の退色試験3におけるデシルグルコシドを、ラウリルヒドロキシスルタインに置き換えた以外は、上記試験と同様の条件、配合比で行った。なお、ここでは、界面活性剤の配合量が全量に対して50質量%のみとした(比較例1-1~1-4)。
【0040】
【表5】
【0041】
上記表5の結果から、ラウリルヒドロキシスルタインがいずれの配合量で含有されても、ラウレス-6カルボン酸ナトリウムによるアスタキサンチンの退色促進作用を抑制できないことが示された。
【0042】
ラウリルヒドロキシスルタイン(試験1)、デシルグルコシド(試験3)及びヤシ油アルキルグルコシド(試験4)は、いずれも単体系(退色試験1)では、アスタキサンチンの退色抑制効果を示したものである。しかしながら、ラウレス-6カルボン酸ナトリウム(試験10)と組み合わせたとき、デシルグルコシド及びヤシ油アルキルグルコシドは、退色抑制効果を示したものの(退色試験2、3)、ラウリルヒドロキシスルタインは、退色抑制効果が無かった(退色試験4)。このように、界面活性剤の種類によって、退色促進作用又は退色抑制効果を示すものがあり、それらが作用する力の強弱によって、複数の界面活性剤を含有させた身体洗浄用組成物におけるアスタキサンチンの退色抑制効果に差があることが分かった。
【0043】
なお、本発明に係る身体洗浄用組成物は、例えば、シャンプー(リンス、コンディショナー又はトリートメント等の成分を含有する各種シャンプーを含む)、ボディーソープ又は洗顔料等に適用することができ、また、界面活性剤を含有するあらゆる全身用洗浄用組成物に展開することができる。