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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099933
(43)【公開日】2023-07-14
(54)【発明の名称】ガードレールの乗り越え足場
(51)【国際特許分類】
   E04G 3/00 20060101AFI20230707BHJP
   E01F 15/04 20060101ALI20230707BHJP
   E04G 5/04 20060101ALI20230707BHJP
   E04G 5/14 20060101ALI20230707BHJP
   E04G 5/08 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
E04G3/00 Z
E01F15/04 A
E04G5/04 Z
E04G5/14 302Z
E04G5/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000198
(22)【出願日】2022-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000161817
【氏名又は名称】ケイコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100221855
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 康造
(72)【発明者】
【氏名】山本 佳顕
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CB07
2D101DA04
2D101FB11
2D101HA03
(57)【要約】
【課題】退避者が容易にガードレールを乗り越えられる高さと足場寸法を有し、通常時は車道の建築限界を遵守し、退避時は車道側から路側側への避難が容易な足場を提供する。
【解決手段】乗り越え足場3は、車道側足場3aと、路側側足場3bと、手摺支柱4と、を備え、ガードレール2の支柱21の路側側にビーム22に平行にかつビームの下方位置において支柱に片持ち状態で取付けられたコ字状支持部材30により、支持されている。車道側足場は、コ字状支持部材に回動可能に連結され、通常時には、斜材部材312の中折れ回動部3123により、ビームの下方空間に収容され、退避に際しては、斜材部材の中折れ回動部を伸展固定して、車道側にビームの下方位置にて車道側足場を形成する。路側側足場はコ字状支持部材に、ビームの下方位置にて固定され、手摺支柱はコ字状支持部材に固定されて、車道側足場の両外側に形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速道路のガードレールに設けられた、運転者等の路側側への退避のための、ガードレールの乗り越え足場であって、
前記乗り越え足場は、前記ガードレールの支柱の路側側に、前記ガードレールのビームに平行に、前記支柱に取付けられたコ字状支持部材と、前記コ字状支持部材に設けられた退避のための車道側足場と、路側側足場と、手摺支柱と、を備え
前記コ字状支持部材は、上部材と下部材と連結材からなり、前記コ字状支持部材の開口側の前記上部材の端部と前記下部材の端部が、前記ビームの下方位置において、前記支柱にそれぞれ連結具にて取付けられており、
前記車道側足場は、一対の車道側足場部材と、車道側踏板と、を備え、前記一対の車道側足場部材は、一端部に上部材回動部を介して前記上部材に回動可能に連結され、前記一対の車道側足場部材の裏側には一対の斜材部材を備え、前記一対の斜材部材を前記車道側足場部材の裏側と前記下部材の間に配置し、前記斜材部材は前記車道側足場部材を、斜め下方から支持しないこと又は支持することを選択できる構造であり、
前記路側側足場は、一対の路側側足場部材と、路側側踏板と、を備え、前記一対の路側側足場部材は、前記一対の車道側足場部材の前記一対の上部材回動部とそれぞれ同一又は内側位置にて、一対の上部材固定部を介して前記上部材に固定支持されており、
前記手摺支柱は、前記一対の車道側足場部材の前記一対の上部材回動部よりそれぞれ外側位置に一対で配置し、前記上部材及び前記下部材にそれぞれ固定支持され、
通常時には、前記車道側足場は、前記斜材部材が斜め下方から支持しないことを選択することにより、前記ビームの下方空間に収容され、
運転者等の路側側への退避に際しては、前記車道側足場は、前記斜材部材が支持することを選択することにより、前記ビームの下方空間から出て、前記車道側足場が形成されることを特徴とする、ガードレールの乗り越え足場。
【請求項2】
前記斜材部材は、一端部を前記車道側足場部材に、他端部を前記下部材に、それぞれ回動可能に連結され、前記斜材部材の中間には中折れ回動部を有しており、通常時には、前記車道側足場は、前記斜材部材が斜め下方から支持しない選択として前記斜材部材の中折れ回動部を中折れさせて、前記ビームの下方空間に収容され、運転者等の路側側への退避に際しては、前記車道側足場は、前記斜材部材が支持する選択として前記斜材部材の中折れ回動部を伸展固定することにより、前記ビームの下方空間から出て、車道側に前記車道側足場が形成される、請求項1に記載のガードレールの乗り越え足場。
【請求項3】
前記車道側踏板は、前記一対の車道側足場部材で支持されて前記ビーム下まで延伸し、前記路側側踏板は、前記一対の路側側足場部材で支持されて前記コ字状支持部材の上まで延伸し、前記一対の手摺支柱の上端部には、それぞれ略円形状の手摺を有していることを特徴とする、請求項1乃至請求項2のうちいずれか1項に記載のガードレールの乗り越え足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高速道路で車両が故障で停止した場合、車両からガードレールの外に避難して救援車両を待つために、女性や子供及び高齢者が容易にガードレールを乗り越えて路側に避難し、また救援車両到着後はガードレールを乗り越えて車両に安全に戻るための、ガードレール乗り越え足場に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速道路会社は故障で停止した場合、車両からガードレールの外に避難して救援車両を待つよう広報しているが、女性や子供及び高齢者がガードレールを乗り越えて路側に避難し、またガードレールを乗り越えて車両に戻るのは困難を伴う。このため、容易にガードレールを乗り越えて路側に避難し、また救援車両到着後はガードレールを乗り越えて車両に戻る、安全なガードレール乗り越え足場が望まれている。
【0003】
特許文献1の高速道路の緊急避難場所退避はしごは、高速道路で事故等が発生した場合に、間近の緊急避難場所に素早く避難して安全に待機するための、高速道路の緊急避難場所退避はしごであり、間近の緊急避難場所に設置されている退避はしごの縦枠上部の手すり部を握り、ステップを登って踏み板に乗ることでガードレールまたはガードケーブルを越え、外側の緊急避難場所に下りることで、素早い避難が可能となり、そこで安全に待機することができる。緊急避難場所退避はしごは、ガードレール支柱またはガードケーブル支柱と固定されたものである。特許文献2には、脚立の脚部3に設けられた踏板4であり、踏板4はアーム5により脚部3で支持され、使用時には、踏板4は脚部3に設けた溝にアーム5が噛み合わされて安定し、収納時には、アーム5は上端で踏板4の裏側に蝶番で折りたたまれ、踏板4も脚部3まで折りたたまれる、運搬時には出っ張らず、作業の場合は足場が安定する脚立が、記載されている。特許文献3には、梯子1上での作業を容易にするための、足場用架台3であり、梯子段2に足場用架台3の鈎座4をはめ込み、可変索5により足場用架台3を水平に調整できることで、安全で作業範囲が広ことが、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-148159号公報
【特許文献2】実開昭57-29699号公報
【特許文献3】登録実用新案公報第3053740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高速道路において故障で停止した場合、車両からガードレールの外に退避することは、必ずしも容易ではない。非常電話設置箇所のような開口部があるところは良いが、開口部が無い場合、ガードレールを乗り越えて跨ぐか、下を潜る必要がある。ガードレール乗り越えの上端までは約70cmあるため、成人男性でも容易でない高さである。またガードレールを乗り越えて跨ぐための足場を高速道路の車道側に設置する場合、建築限界があるためガードレールの断面以内に足場を設ける必要があり、足場は小さなものとなり、かつ設置出来る場所も限定される。このため、ガードレールの断面以内に設置でき、かつ容易に乗り越える高さ及び大きさの足場を備えた、ガードレールを容易に乗り越えることができる退避梯子が望まれている。
【0006】
特許文献1は、高速道路の緊急避難場所退避はしごに関する発明であり、発明が解決しようとする課題も、本願発明と同じものである。しかしながら、高速道路側に設けた最下段のステップ17は、ガードレール1の直下にガードレールの幅で設置されており、足を掛けづらく、上端の踏み板15は、ガードレール1の上端付近にあり、ステップ17から踏み板15までの間隔も大きく乗り越えるのは容易ではない。上端の踏み板15からガードレール1の外側の下方に設けた踏み板16までの間隔も大きく降りることも上ることも容易ではない。特許文献2は、脚立の脚部3に設けられた運搬時に収納できる踏板4が記載されているが、ガードレール乗り越え足場として、ガードレールに永久に固定できる構成とはなっておらず、またガードレールを跨いで設置した場合、高速道路内を常時占有することとなる。特許文献3には、可変索5により水平に調整できる梯子段2の足場用架台3が記載されているが、ガードレールを跨いで設置するには2つの梯子段2が必要であり、高速道路内を常時占有することとなる。
【0007】
このような先行技術の問題点等に鑑みて、本発明は、ガードレールの乗り越え足場として、
(a)緊急事態の際に、女性、子供及び高齢者が容易にガードレールを乗り越えられる高さと、足場として大きさを有し、
(b)通常時は車道の建築限界を犯さない、
(c)車道側の足場から路側側足場への避難と、路側側足場から車道側の足場への復帰と、が容易に安全にできる、
(d)形成が容易な足場、
を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明(請求項1)は、「高速道路のガードレールに設けられた、運転者等の路側側への退避のための、ガードレールの乗り越え足場であって、前記乗り越え足場は、前記ガードレールの支柱の路側側に、前記ガードレールのビームに平行に、前記支柱に取付けられたコ字状支持部材と、前記コ字状支持部材に設けられた退避のための車道側足場と、路側側足場と、手摺支柱と、を備え、前記コ字状支持部材は、上部材と下部材と連結材からなり、前記コ字状支持部材の開口側の前記上部材の端部と前記下部材の端部が、前記ビームの下方位置において、前記支柱にそれぞれ連結具にて取付けられており、前記車道側足場は、一対の車道側足場部材と、車道側踏板と、を備え、前記一対の車道側足場部材は、一端部に上部材回動部を介して前記上部材に回動可能に連結され、前記一対の車道側足場部材の裏側には一対の斜材部材を備え、前記一対の斜材部材を前記車道側足場部材の裏側と前記下部材の間に配置し、前記斜材部材は前記車道側足場部材を、斜め下方から支持しないこと又は支持することを選択できる構造であり、前記路側側足場は、一対の路側側足場部材と、路側側踏板と、を備え、前記一対の路側側足場部材は、前記一対の車道側足場部材の前記一対の上部材回動部とそれぞれ同一又は内側位置にて、一対の上部材固定部を介して前記上部材に固定支持されており、前記手摺支柱は、前記一対の車道側足場部材の前記一対の上部材回動部よりそれぞれ外側位置に一対で配置し、前記上部材及び前記下部材にそれぞれ固定支持され、通常時には、前記車道側足場は、前記斜材部材が斜め下方から支持しないことを選択することにより、前記ビームの下方空間に収容され、運転者等の路側側への退避に際しては、前記車道側足場は、前記斜材部材が支持することを選択することにより、前記ビームの下方空間から出て、前記車道側足場が形成されることを特徴とする、ガードレールの乗り越え足場。」を特徴としている。
【0009】
乗り越え足場は、車道側足場と、路側側足場と、手摺支柱と、を備え、ガードレールの支柱の路側側に、ガードレールのビームに平行に、かつビームの下方位置において、支柱に片持ち状態で取付けられたコ字状支持部材により支持されている。車道側足場は、コ字状支持部材に回動可能に連結され、通常時には、斜材部材が斜め下方から支持しないことを選択することにより、ビームの下方空間に収容され、車道の建築限界を犯さないようになっている。また、運転者等の路側側への退避に際しては、車道側足場は、斜材部材が支持することを選択することにより、ビームの下方空間から出て、ビームの下方位置にて車道側に車道側足場が形成される。路側側足場はコ字状支持部材に、ビームの下方位置にて連結固定されて、手摺支柱はコ字状支持部材に連結固定されて、車道側足場の両外側に形成されている。このため、緊急事態の際に、女性、子供及び高齢者は、両手で手摺支柱を保持し、ビームの下方位置の車道側足場から、ビームの高さだけ乗り越えて、ビームの下方位置の路側側足場に降り、路側側に容易に退避できる。また、路側側足場から車道側の足場への復帰に際しても、両手で手摺支柱を保持し、ビームの下方位置の路側側足場から、ビームの高さだけ乗り越えて、ビームの下方位置の車道側足場に容易に安全に降りることができる。
【0010】
本発明(請求項2)は、「前記斜材部材は、一端部を前記車道側足場部材に、他端部を前記下部材に、それぞれ回動可能に連結され、前記斜材部材の中間には中折れ回動部を有しており、通常時には、前記車道側足場は、前記斜材部材が斜め下方から支持しない選択として前記斜材部材の中折れ回動部を中折れさせて、前記ビームの下方空間に収容され、運転者等の路側側への退避に際しては、前記車道側足場は、前記斜材部材が支持する選択として前記斜材部材の中折れ回動部を伸展固定することにより、前記ビームの下方空間から出て、車道側に前記車道側足場が形成される、請求項1に記載のガードレールの乗り越え足場。」を特徴としている。
【0011】
斜材部材は、一端部を車道側足場部材に、他端部を下部材に、それぞれ回動可能に連結され、斜材部材の中間には中折れ回動部を有するものである。そして、通常時には、車道側足場は、斜材部材の中折れ回動部を中折れさせて、ビームの下方空間に収容され、運転者等の路側側への退避に際しては、斜材部材の中折れ回動部を伸展固定することにより車道側に車道側足場が、容易に形成される足場構造となっている。
【0012】
本発明(請求項3)は、「前記車道側踏板は、前記一対の車道側足場部材で支持されて前記ビーム下まで延伸し、前記路側側踏板は、前記一対の路側側足場部材で支持されて前記コ字状支持部材の上まで延伸し、前記一対の手摺支柱の上端部には、それぞれ略円形状の手摺を有していることを特徴とする、請求項1乃至請求項2のうちいずれか1項に記載のガードレールの乗り越え足場。」を特徴としている。
【0013】
車道側踏板は、一対の車道側足場部材で支持されてビーム下まで延伸し、路側側踏板は、一対の路側側足場部材で支持されてコ字状支持部材の上まで延伸しており、緊急事態の際に、女性、子供及び高齢者が容易にガードレールを乗り越えられる足場として大きさを有している。さらに手摺支柱の上端部には、それぞれ略円形状の手摺を有しており、女性、子供及び高齢者が、容易に安全にガードレールを乗り越えられる。
【発明の効果】
【0014】
乗り越え足場は、車道側足場と、路側側足場と、手摺支柱と、を備え、ガードレールの支柱の路側側に、ガードレールのビームに平行に、かつビームの下方位置において、支柱に片持ち状態で取付けられたコ字状支持部材により支持され、
(a)車道側足場は、コ字状支持部材に回動可能に連結され、通常時には、斜材部材による支持はなく、支柱により邪魔されることなくビームの下方空間に収容され、車道の建築限界を犯さないようになっている。
(b)運転者等の路側側への退避に際しては、車道側足場は、斜材部材により支持されて、車道側のビームの下方位置に形成される。路側側足場は、コ字状支持部材にビームの下方位置にて連結固定され、手摺支柱は、コ字状支持部材に車道側足場の両外側に連結固定されている。このため、緊急事態の際に、女性、子供及び高齢者は、両手で手摺支柱を保持し、ビームの下方位置の車道側足場から、ビームの高さだけ乗り越えて、ビームの下方位置の路側側足場に降り、路側側に容易に退避できる。
(c)退避後の路側側足場から車道側の足場への復帰に際しても、両手で手摺支柱を保持し、ビームの下方位置の路側側足場から、ビームの高さだけ乗り越えて、ビームの下方位置の車道側足場に容易に安全に降りることができる。
(d)車道側踏板は、一対の車道側足場部材で支持されてビーム下まで延伸し、路側側踏板は、一対の路側側足場部材で支持されてコ字状支持部材の上まで延伸しており、緊急事態の際に、女性、子供及び高齢者が容易にガードレールを乗り越えられる足場として大きさを有している。
(e)斜材部材として、両端部に回動部を中間には中折れ回動部を有する構成を採用することにより、斜材部材の中折れ回動部を伸展固定するだけで、車道側に車道側足場が、容易に形成される足場構造となっている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ガードレール乗り越え足場の側面図で車道側足場を形成した図である。
図2】ガードレール乗り越え足場の平面図で車道側足場を形成した図である。
図3】ガードレール乗り越え足場の車道側からの正面図である。
図4】斜材部材の中折れ回動部を伸展固定させ車道側足場を形成した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照する等して説明する。以下の説明は、高速道路の車道1で車両が故障し、車両からガードレール2の外側に避難して救援車両を待つために、女性や子供及び高齢者が容易にガードレール2を乗り越えて路側(ろそく)に避難し、また救援車両到着後はガードレール2を乗り越えて車両に安全に戻るための、ガードレール乗り越え足場3に関するものである。ガードレール2を境に、高速道路の内側を車道側、高速道路の外側を路側(ろそく)側という。またガードレールのビームは道路走行方向に設置されているため、ビームに平行とは、道路走行方向を意味する。
【0017】
図1はガードレール乗り越え足場の側面図で車道側足場を形成した図、図2はガードレール乗り越え足場の平面図で車道側足場を形成した図、図3はガードレール乗り越え足場の車道側からの正面図、図4は斜材部材の中折れ回動部を伸展固定させ車道側足場を形成した図、である。
【0018】
乗り越え足場3は、ガードレール2の支柱21に取付けられたコ字状支持部材30と、該コ字状支持部材30に設けられた車道側足場3aと、路側側足場3bと、手摺支柱4とから構成されている。図1、2、3を参照。
【0019】
コ字状支持部材30は、一例として一般構造用ステンレス鋼角形鋼管50×50×2mmを使用して、図3に示すように上部材301と下部材302と連結材303からコ字状に形成し、部材としての剛性を大きくしている。そして、図1示すようにガードレール2の支柱21の路側側に、図3に示すようにガードレール2のビーム22に平行にかつビーム22の下方位置に配置することにより、後述する車道側足場3aの奥行き寸法を大きく確保している。また、コ字状支持部材30の開口側の上部材301の端部と下部材302の端部が、支柱21にそれぞれ連結具3011・3021により取付けられ、コ字状支持部材30は片持ち支持され、後述する車道側足場3aを支柱21により邪魔されることなくビーム22の下方に収容可能となっている。
【0020】
図1、2に示すように車道側足場3aは、車道側に一対の車道側足場部材31と車道側踏板331から形成されている。図2に示すように一対の車道側足場部材31は、一例として一般構造用ステンレス鋼角形鋼管50×50×2mmを使用して、一端部に上部材回動部311を介して上部材301に回動可能に連結されている。また図1に示すように、一対の車道側足場部材31の裏側(車道側踏板331の反対側)には、車道側足場部材31を、斜め下方から支持しないこと又は支持することを選択できる一対の斜材部材312を備えている。通常時には、車道側足場部材31は、斜材部材312が斜め下方から支持しないことを選択することにより、車道側足場3aをビームの下方空間に収容し、車道の建築限界を犯さないようになっている。運転者等の路側側への退避に際しては、車道側足場部材31は、斜材部材312が支持することを選択することにより、ビーム22の下方空間から出て、ビーム22の下方位置にて車道側に車道側足場3aが形成される。車道側踏板331は図2に示すように、一例として幅500mm、奥行き200mmで形成され、一対の車道側足場部材31で支持されてビーム22の下まで延伸している。
【0021】
車道側足場部材31の裏側と下部材302の間に配置されて、車道側足場部材31を、斜め下方から支持しないこと又は支持することを選択できる斜材部材312としては、一例として、
(a)斜材部材312は、一端部は鈎部を有し車道側足場部材31の裏側の鉤部嵌合部に解除可能に連結され、他端部は鈎部を有し下部材302に回転可能に連結されたもの、
(b)斜材部材312は、一端部を車道側足場部材31の裏側に、他端部を下部材302に、それぞれ回動可能に連結され、中間に車道側足場部材31を斜め下方から支持又は回動可能とする中折れ回動部3123を有する、いわゆる折りたたみ可能な伸縮支持治具、
等があげられる。
【0022】
上記(a)の斜材部材の場合、通常時には、車道側足場3aは、斜材部材312の一端部の鈎部は車道側足場部材31の裏側の鉤部嵌合部から嵌合を解除し他端を中心に下方に回転させことによりビーム22の下方空間に収容され、車道の建築限界を犯さない構造となっている。そして、運転者等の路側側への退避に際しては、車道側足場3aを上方に持ち上げ、斜材部材312の一端部の鈎部を車道側足場部材31の裏側の鉤部嵌合部に嵌合させることによりビーム22の下方空間から車道側に車道側足場3aが形成される。
【0023】
上記(b)の斜材部材312の場合、一例として、図4に示すように中折れ回動部3123は、スライド機構・ストッパ・回動部を有し、該スライド機構は締結及び締結解除する固定ボルトと長穴で構成し、ストッパは凹凸嵌合構造で構成し、回動部は固定ボルトと長穴で構成している、金属製の折りたたみ可能な伸縮支持治具である。通常時には、図4の破線で表示するように、車道側足場3aは、斜材部材312の中折れ回動部3123を中折れさせて、ビーム22の下方空間に収容され、車道の建築限界を犯さない構造となっている。そして、運転者等の路側側への退避に際しては、図4の実線で表示するように、斜材部材312の中折れ回動部3123を伸展固定することにより、ビーム22の下方空間から車道側に車道側足場3aを容易に形成することができる。
【0024】
図1、2に示すように路側側足場3bは、路側側に一対の路側側足場部材32と路側側踏板332とから形成されている。一対の路側側足場部材32は、一例としてコ字状支持部材30と同じステンレス鋼角形鋼管50×50×2mmを使用して、一端部に上部材固定部321を介して、一対の車道側足場部材31の一対の上部材回動部311とそれぞれ同一又は内側位置にて、上部材301に固定支持されている。なお、図2は内側位置の例を表示している。路側側踏板332は図2に示すように、一例として幅500mm、奥行き200mmで形成され、一対の路側側足場部材32で支持されてコ字状支持部材30の上まで延伸して設置されている。
【0025】
図2に示すように手摺支柱4は、一例として外径φ40mmのステンレス鋼管パイプを使用して、一対の車道側足場部材31の一対の上部材回動部311よりそれぞれ外側位置に一対で配置し、上部材301及び下部材302にそれぞれ固定支持されている。また、図1に示すように退避に際して両手を支持できるように、手摺支柱4の上端部には、それぞれ略円形状の手摺41を有しており、女性、子供及び高齢者が容易にガードレール2を乗り越えられようになっている。
【0026】
上記に記載したように、運転者等の路側側への退避に際しては、斜材部材312の中折れ回動部3123を伸展固定することにより、車道側にビーム22の下方位置にて車道側足場3aが容易に形成される。また、路側側足場3bはコ字状支持部材30に、ビーム22の下方位置にて固定連結されて、手摺支柱4はコ字状支持部材30に固定連結されて、車道側足場3aの両外側に形成されている。このため、緊急事態の際に、女性、子供及び高齢者は、両手で手摺支柱4を保持し、ビーム22の下方位置の車道側足場3aから、ビーム22の高さだけ乗り越えて、ビーム22の下方位置の路側側足場3bに降り、路側側に容易に退避できる構成となっている。
退避後の路側側足場3bから車道側足場3aへの復帰に際しても、両手で手摺支柱4を保持し、ビーム22の下方位置の路側側足場3bから、ビーム22の高さだけ乗り越えて、ビーム22の下方位置の車道側足場3aに容易に安全に降りることができる構成となっている。
車道側踏板331は、一対の車道側足場部材3aで支持されてビーム22下まで延伸し、路側側踏板332は、一対の路側側足場部材32で支持されてコ字状支持部材30の上まで延伸しており、緊急事態の際に、女性、子供及び高齢者が容易にガードレール22を乗り越えられる足場として大きさを有している構成となっている。
【符号の説明】
【0027】
1 高速道路の車道
2 ガードレール
21 支柱
22 ビーム
3 ガードレールの乗り越え足場
3a 車道側足場
3b 路側側足場
30 コ字状支持部材
301 コ字状支持部材の上部材
3011上部材と支柱との連結具
302 コ字状支持部材の下部材
3021下部材と支柱との連結具
303 上部材と下部材との連結部
31 車道側足場部材
311 上部材回動部
312 斜材部材
3121上部材回動部
3122下部部材回動部
3123中折れ回動部
32 路側側足場部材
321 上部材固定部
33 踏板
331 車道側踏板
332 路側側踏板
4 手摺支柱
41 手摺
図1
図2
図3
図4