(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099982
(43)【公開日】2023-07-14
(54)【発明の名称】漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料
(51)【国際特許分類】
A23K 50/80 20160101AFI20230707BHJP
A23K 10/20 20160101ALI20230707BHJP
【FI】
A23K50/80
A23K10/20
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022008271
(22)【出願日】2022-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】503050515
【氏名又は名称】中山 仁助
(72)【発明者】
【氏名】中山 仁助
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005GA01
2B005GA06
2B005JA01
2B005KA04
2B005LA01
2B150AA07
2B150AA08
2B150AB04
2B150AE12
2B150AE27
2B150CD19
2B150CD20
(57)【要約】
【課題】 タンパク質やビタミン類を多く含む食用ガエル及びヘラブナから、生食用ガエル及び生ヘラブナ、冷凍食用ガエル及び冷凍ヘラブナ、食用ガエル丸干し及びヘラブナ丸干し、その原料を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料を提供すること。
【解決手段】 タンパク質やビタミン類が多く含まれる食用ガエル及びヘラブナを原資とし、生食用ガエル及び生ヘラブナ、冷凍食用ガエル及び冷凍ヘラブナ、冷凍塩漬け食用ガエル及び冷凍塩漬けヘラブナを生産する。また、食用ガエル丸干し及びヘラブナ丸干し、生ヘラブナ又は冷凍ヘラブナをマイクロ波乾燥加工又はマイクロ波減圧加工で製造し捉供すると共に、冷凍食用ガエル及び冷凍ヘラブナは代替魚粉原料を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用ガエル又はフナ類を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料であって、
前記食用ガエル又はフナ類は、生きた状態の活食用ガエル又は活魚フナ類であることを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料。
【請求項2】
食用ガエル又はフナ類を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料であって、
前記食用ガエル又はフナ類を淡水で氷締めし、
急速冷凍して冷凍食用ガエル又は冷凍フナ類とする、
ことを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖用餌ならびに代替魚粉原料。
【請求項3】
食用ガエル又はフナ類を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料であって、
前記食用ガエル又はフナ類を海水で氷締めし、
海水塩漬けにして急速冷凍する、
ことを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖用餌ならびに代替魚粉原料。
【請求項4】
食用ガエル又はフナ類を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料であって、
前記食用ガエル又はフナ類を淡水で氷締め、
マイクロ波乾燥加工又はマイクロ波減圧加工で乾燥させて丸干とする、
ことを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖用餌ならびに代替魚粉原料。
【請求項5】
食用ガエル又はフナ類を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料であって、
前記食用ガエル又はフナ類を海水で氷締め、
マイクロ波乾燥加工又はマイクロ波減圧加工で乾燥させて丸干とする、
ことを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖用餌ならびに代替魚粉原料。
【請求項6】
食用ガエル又はフナ類を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料であって、
冷凍塩漬け食用ガエル又は冷凍塩漬けフナ類を解凍し、
マイクロ波乾燥加工又はマイクロ波減圧加工で乾燥させた塩漬け丸干とする、
ことを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖用餌ならびに代替魚粉原料。
【請求項7】
前記フナ類は、ヘラブナであることを特徴とする請求項1~6に記載の漁法の捕獲用餌又は養殖用餌ならびに代替魚粉原料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
食用ガエルとヘラブナ(フナ類)を使用する漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料に関する。
【背景技術】
【0002】
元来、漁法に利用する捕獲用餌は、イワシ・ムロアジ・サバ・イカ類等の自然界で取れる海水魚である。主に、イカ類の使用がよく使われている。冷凍イカ類のスルメイカ(マイカ)はグロはえ縄漁によく使用されている。なお、漁法用の捕獲用餌に食用ガエルやフナ類を使用する例はない。
【0003】
養殖魚用餌は、配合飼料が中心であるが、大型養殖魚を中心に冷凍生餌を使用している。主にイワシ・ムロアジ・サバ・イカ類等である。なお、養殖魚用餌に食用ガエルやフナ類を使用する例はない。
【0004】
しかしながら、近年、餌代が高騰し、更に、燃料の高騰と漁師にとっては悩みの種である。スルメイカ(マイカ)は、8kg(送料別途)入りで6200円と高価である。1kg当たり775円である。
【0005】
マグロ延縄漁は1つの仕掛けにつき、餌を1尾使用する。仕掛けは3,000本あるので、1回の操業で3,000尾の餌を使用する。
【0006】
仮に1年間で250回の操業を行った場合、3,000尾×250回で75万尾もの餌を使用することになる。1隻当たり約75トン使用すると金額で約58,125,000円となる。
【0007】
これほどの餌を使ってもマグロが獲れないこともある。ゆえに延縄漁は網漁業と比べて非効率な漁法と言われている。
【0008】
しかし、この延縄漁は網漁業に比べて環境負荷が低く、資源に優しい漁法と言われている。20トン未満の近海かつお・まぐろ漁船(ほとんどがまぐろはえ縄漁船)については、約300隻と横ばいである。
【0009】
また、餌のサイズを調整するので、狙ったサイズのマグロだけを獲ることができる。ゆえに延縄漁は選択的漁法とも言われている。
【0010】
マグロが餌に食いつくように、船頭は仕掛けや餌に工夫をし、特に餌の品質には気を付けている。
【0011】
しかし、2017年はマグロの餌のひとつであるイカの価格が暴騰している。2016年に比べて倍以上の値段になっている。
【0012】
全国のマグロはえ縄捕獲量は、約7150tである。
【0013】
穴子筒漁やカニ籠漁においても同様に餌のイカの価格が高騰し、最近の燃料費の値上がりでダブルパンチの影響を受けている。
【0014】
現状の対策として、発注量を大幅に減らして、他の代替え餌にしている。近年世界的な需要の高まりによって、水産物の価格は右肩上がりで上昇傾向が続いている。マグロの餌も例外ではなく、あらゆる餌の価格が高騰し、漁業者を悩ませている。
【0015】
水産養殖業者においては、海水魚類からの魚粉製造に限界が見られ、魚粉の高騰が続いており、冷凍生餌も同様に高騰している。
【0016】
更に、世界で生産される魚の3分の1以上が魚粉の生産に使用されており、動物飼料の原料として高い普及率を誇っている。持続可能な生産と植物性飼料の増加傾向から、魚粉の様々な代替品が開発されている。
【0017】
世界の魚粉市場は、高い栄養価による飼料業界での利用の急増により需要が高まっている。魚粉は、人間の食用に適さないカタクチイワシ、イワシ、メンハーデン、カラフトシシャモなどの魚の骨や内臓から得られる茶色い固形物である。
【0018】
魚粉は高騰しており、中国を中心に争奪戦が始まっている。海水魚による魚粉の製造は、限界に達しており、漁法の捕獲用餌にも影響があり、餌も高騰している。
【0019】
また、魚粉の代替魚粉原料も開発されており、植物性、昆虫、イエバエ等が市場に出ているが十分な量とは言えない。
【0020】
効果もあり、その利点により業界全体の成長を刺激している。また、魚タンパク質粉末は、タンパク質濃度が魚の肉よりも高い乾燥安定魚製品であり、機能性食品の生産量の増加は、世界の魚粉市場の成長にも影響を与えると予想されている。
【0021】
世界の食用魚に占める養殖魚の割合が、2030年までには3分の2近くにまで増加するとの見通しが、世界銀行、国連食糧農業機関(FAO)、国際食糧政策研究所(IFPRI)の共同研究で明らかになっている。魚類消費の7割がアジアである。
【0022】
近年、「海の幸」である天然漁業資源の捕獲量は横ばいで推移している一方で、世界全体の海産物需要は増加の一途をたどっている。
【0023】
以上のことから、漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌は、今後も高騰を続け、中国等の競合国に買い負ける可能性も大である。
【0024】
漁法の捕獲用餌は魚粉では使用できない。姿、形が必要であり、その形状は生きた状態の餌、冷凍した状態の餌、乾燥させた餌、塩漬けした餌でなければならない。
【0025】
例えば、延縄では一つの仕掛け針に1匹であるが、籠や筒漁では多く捕獲するため数匹と多く使う。漁法によって違いはあるが、餌を使用する漁師にとっては、餌代金と燃料費の負担は大きい。
【0026】
スルメイカは昔から親しまれてきた食材のひとつで、刺身など生食の他、煮てよし、焼いてよし、そして揚げてもよし、さらには干物にしてすこぶるよしと、手頃な価格で買える海産物として庶民生活には欠かせない存在となっている。
【0027】
スルメイカは東シナ海からオホーツク海まで、主に日本列島の周囲を中心に分布し、海流に乗って回遊することで知られている。
【0028】
寿命は1年程で、雄より雌の方が大きくなり、外套長(筒状の部分の長さ)30cm程の大きさにまで成長する。
【0029】
スルメイカの特徴は、大きさは漁獲される時期、成長度によって変わり、春に日本海で獲れるシンコイカ(新子いか/伸子いか)と呼ばれる外套長2~3cmのものから、初夏に相模湾など関東周辺で獲れる15~20cm足らずのもの、そして25~30cm程まで成長する。
【0030】
スルメイカに関わらず、イカは、低脂肪、低カロリーそして高タンパクな食材で、タウリンが沢山含まれており、胆汁の分泌を促進し、肝臓の働きを助け、肝機能を高める働きがあると言われている。
【0031】
従来の漁法用の餌は、全て食材や養殖用餌としても競合する。特に、スルメイカは食材として多くの需要がある。
【0032】
近い将来、環境変化や人口増加で従来の漁法用餌又は養殖用餌に使用する魚種は、高騰する可能性が大である。
【0033】
更に、捕獲用餌を使用した漁法について述べる。
【0034】
遠洋かにかご漁業は、網で作った仕掛け(かにかご)に餌を入れて、カニを誘い込み漁獲する漁法である。
【0035】
トラフグ漁の延縄漁は、5kmの延縄に600本の仕掛け針に塩づけした小あじを付けて捕獲する漁法である。全国で約600トン(H14)水揚げされる「天然とらふぐ」の約6割が、静岡、愛知、三重県の海域で漁獲されている。特に遠州灘沖は有数の漁場である。一方、全国の養殖トラフグの生産量は、約4200tである。
【0036】
浮縄の針の数は2500~3000本で、釣針のついている枝縄に数秒にひとつというペースで、イカ、アジ、サバなどのえさをつけ、海中に投入する。
【0037】
えび籠によるトヤマエビの漁獲は、1隻あたり500個のかごを使って行う。餌を入れたかごを海中に投入し、翌日かごを引き揚げて漁獲する漁法である。
【0038】
筒漁法はかごの1種で、幹縄から出した枝縄に、餌としてスルメイカを入れた筒を多数取り付けて海底に沈め、主にアナゴなどをとる漁法である。
【0039】
その他には、本格的な大物釣りの一本釣りやレジャー的な一本釣り等がある。
【0040】
上記の漁法用餌は、主に生き餌としてイワシ、アジ、サバ、スルメイカ又は冷凍したイワシ、アジ、サバ、スルメイカ等や塩漬けした小アジを利用している。
【0041】
養殖魚用餌は、主にイワシ、アジ、サバ、スルメイカ、メロードなどである。
【0042】
冷凍生捕獲用餌及び冷凍生養殖用餌の市場規模は推定で300億円~500億円の規模と思われる。
【0043】
以下、今後のアジア水産状況について述べる。
【0044】
世銀、国連食糧農業機関(FAO)、国際食糧政策研究所(IFPRI)のなどによる報告書「2030年までの漁業資源:漁業と養殖業の見通し(仮題)」では、途上国から先進国へと大量に向かう世界の海産物貿易について取り上げている。
【0045】
天然漁業資源の捕獲量が横ばいで推移する中、中国を中心に世界各地で中産階級増加に伴い需要が大幅に拡大するため、2030年には水産養殖、つまり養殖場が世界の食用魚の3分の2近くを生産することになると予測している。
【0046】
FAOによると、現在、世界全体で漁業生産の38%が輸出されており、途上国からの漁業輸出のうち金額にして3分の2以上が先進国向けとなっている。
【0047】
本報告書は、漁業の大きな市場として成長しつつある中国が、2030年までに世界の食用魚消費のうち38%を占めるようになると予測している。中国をはじめ多くの国が、需要拡大に対応するため養殖業への投資を拡大している。
【0048】
同報告書は、2030年までに食用魚の62%は養殖場で生産され、特にイズミダイ、コイ、ナマズの供給量が急増すると予測している。
【0049】
漁業と養殖業は、特に小規模な漁業コミュニティにとって、雇用であり、栄養価の高い食糧であり、経済機会の宝庫である。だが、養殖場での病気の蔓延や気候変動関連の影響により、事態が大きく変わる可能性がある。
【0050】
世界の人口が2050年までに90億人まで増えると見込まれる中、特に、食糧不安の確率が高い地域では、責任ある開発と管理を備えた養殖であれば、世界の食糧安全保障と経済成長に大きな可能性がある。
【0051】
同報告書は、魚粉の世界市場(2020年~2027年)の予測をしている。魚粉は栄養価が高いため、豚の餌としても広く使われている。
【0052】
人口と可処分所得の増加により、2018年の世界の豚肉生産量は1億2,000万トンを超え、魚粉業界全体の需要を刺激する可能性がある。
【0053】
魚粉は、高タンパク含有量とビタミンやアミノ酸を含む幅広い微量栄養素を提供するため、豚の飼料に広く使用されている。
【0054】
また、魚粉に含まれている魚油は、離乳した豚の成長能力を改善する効果もあり、その利点により業界全体の成長を刺激している。
【0055】
また、魚タンパク質粉末は、タンパク質濃度が魚の肉よりも高い乾燥安定魚製品であり、機能性食品の生産量の増加は、世界の魚粉市場の成長にも影響を与えると予想されている。
【0056】
世界の食用魚に占める養殖魚の割合が、2030年までには3分の2近くにまで増加するとの見通しが、世界銀行、国連食糧農業機関(FAO)、国際食糧政策研究所(IFPRI)の共同研究で明らかになっている。
【0057】
魚類消費の7割がアジアであり、近年、「海の幸」である天然漁業資源の捕獲量は横ばいで推移している一方で、世界全体の海産物需要は増加の一途をたどっている。
【0058】
この背景にあるのは、主に中国、インド、東南アジア諸国などにおける中産階級の増加にある。国連の推計によれば、世界人口は2030年までに80億人を超えると推計している。
【0059】
世界の魚類の年間消費量は2006年の1.1億トンから27%増加して1.5億トン(1人あたりの年間消費量は2006年の16.8キログラムから18.2キログラムに増加)になると予測されている。日本を含むアジア地域は、世界全体の魚類消費の7割を占めると見込まれている。
【0060】
以上述べた様に、日本を含むアジア地域は、世界全体の魚類消費の7割を占め、ラックスリサーチの新しい報告書『Future Fish Feed: Forecasting Alternative Aqua Feed Ingredients(未来の水産飼料:新たな水産飼料向けタンパク質源市場予測)』では、2020年2月の段階では、世界の魚粉生産量は年間500万トンと堅調に推移している。
【0061】
しかし、今後30年間で、水産養殖向けに新たに1500万トンのタンパク質が必要になると述べている。
【0062】
水産物供給において重要な役割を占める養殖漁業だけに、魚粉の需給逼迫に対応した施策、すなわち未利用魚の活用も含めた必要量の確保、安全・品質両面で劣後しない魚粉飼料原料の開発など、当該漁業の存続に向けた飼料対策の展開が重要な課題となっている。
【0063】
同時に、漁法の捕獲用餌は、魚粉や食材との競合で不足してくることは目に見えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0065】
上記で述べたように漁業や水産養殖業にとって餌や魚粉の争奪戦が激しくなる。そこで、海水魚の餌から淡水生物を活用した新しい餌を養殖して、漁法の捕獲用餌ならびに代替魚粉原料を生産することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0066】
本発明は、上記の課題を解決するために、食用ガエル又はフナ類を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料であって、前記食用ガエル又はフナ類は、生きた状態の活食用ガエル又は活魚フナ類とすることを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料を提供するものである。
【0067】
また、本発明は、上記の課題を解決するために、食用ガエル又はフナ類を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料であって、前記食用ガエル又はフナ類を淡水で氷締めし、急速冷凍して冷凍食用ガエル又は冷凍フナ類とする、ことを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖用餌ならびに代替魚粉原料ならびに代替魚粉原料を提供するものである。
【0068】
また、本発明は、上記の課題を解決するために、食用ガエル又はフナ類を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料であって、前記食用ガエル又はフナ類を海水で氷締めし、海水塩漬けにして急速冷凍する、ことを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖用餌ならびに代替魚粉原料を提供するものである。
【0069】
また、本発明は、上記の課題を解決するために、食用ガエル又はフナ類を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料であって、前記食用ガエル又はフナ類を淡水で氷締め、マイクロ波乾燥加工又はマイクロ波減圧加工で乾燥させて丸干とする、ことを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖用餌ならびに代替魚粉原料を提供するものである。
【0070】
また、本発明は、上記の課題を解決するために、食用ガエル又はフナ類を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料であって、前記食用ガエル又はフナ類を海水で氷締め、マイクロ波乾燥加工又はマイクロ波減圧加工で乾燥させて丸干とする、ことを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖用餌ならびに代替魚粉原料を提供するものである。
【0071】
また、本発明は、上記の課題を解決するために、食用ガエル又はフナ類を用いた漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌ならびに代替魚粉原料であって、冷凍塩漬け食用ガエル又は冷凍塩漬けフナ類を解凍し、マイクロ波乾燥加工又はマイクロ波減圧加工で乾燥させた塩漬け丸干とする、ことを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖用餌ならびに代替魚粉原料を提供するものである。
【0072】
上記において、前記フナ類は、ヘラブナであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0073】
本発明は、以上のように構成したので、世界の魚生産の3分の1が魚粉に使用され、魚粉の生産は限界に達している。魚粉代替飼料原料においても生産性の課題に鑑みてなされたものである。世界的に魚類の需要は増加を続けており、水産養殖の事業に投資が期待されている。しかし、中国を筆頭に魚粉の争奪が始まっており、世界的に魚粉供給及び漁法の捕獲用餌又は養殖魚用生餌が不足し価格が高騰する。この課題の解決のために、食料ガエル及びヘラブナを養殖し、安全・嗜好性・栄養価・価格・供給・社会的受容性をふまえ、タンパク質を多く必要とする肉食系の魚にとって繊維質がなく、メロードやサバや片口イワシよりも多くの良質のタンパク質に優れている漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下、本発明の実施の形態に係る漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌を説明する。
それに先立ち、漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌を製造するために用いられる養殖設備及び養殖方法について述べる。
【0076】
なお、
図1は、食用ガエメロードの比較成分表であり、
図2は、ヘラブナ(フナ類)の成分表であり、
図3は、フナ類のアミノ酸成分表である。
【0077】
魚法用餌又は養殖用餌となる食用ガエルとヘラブナを養殖する飼育水の生成方法について述べる。
漁法用餌又は養殖用餌を養殖するための飼育水は、
1.地下淡水貯水槽25を設置し、ここに地下淡水10℃以上を注入する。
2.水温が5℃以下の場合は、潜水ヒーターで加温する。
3.その地下淡水貯水槽25にナノバブル発生装置13とオゾンバブル発生装置26を設置し、溶存酸素濃度が高く殺菌作用のあるナノオゾンバブル水を生成する。
4.生成したナノオゾンバブル水を地下淡水送水菅27に通して漁法用餌又は養殖用餌の飼育槽1,2に送水する。
5.使用済み飼育水は、排水菅5を通して浄化槽7へ送入して濾過し、綺麗な上澄み水を浄化済貯水槽8に送入しオゾン発生装置26で細菌を殺菌する。
6.その全体の3%~5%を排出し、残りは不純物除去フィルター20を通して地下淡水貯水槽25へ送入する。
7.以降、3~6のステップを循環させる。
【0078】
また、酸素ナノバブル水の環境で育てた両生類や淡水魚の体長が大きくなり、捕獲用餌又は養殖用餌が出荷サイズに成長するまでの期間が短くなるといったことが確かめられている。酸素ナノバブル水に含まれる酸素の量は通常の場合の約5倍である。
【0079】
その結果、両生類や淡水魚が活性化して餌をたくさん食べるようになり成長が促進される。ナノオゾンバブル水は、成長を促進するだけなく細菌の除去作用で生残率をより一層高める。また排水に関しても綺麗で安全な飼育水が排出できる。
【0080】
地下淡水を貯水する地下淡水貯水槽と、地下淡水貯水槽に貯水されている地下淡水にオゾン発生装置でオゾンを発生させて除菌を行うことを特徴とする。
【0081】
地下淡水貯水槽に貯水されている地下淡水にナノバブル発生装置でナノバブルを発生させて溶存酸素濃度を高くすることを特徴とする。
【0082】
地下淡水貯水槽で生成されるオゾンナノバブル水を両生類又は淡水魚の幼生、幼魚、成体からなる漁法用餌又は養殖魚用餌を養殖する飼育水として用いる飼育槽を特徴とする。
【0083】
漁法用餌又は養殖用餌の飼育槽で用いられた飼育水を濾過し浄化する浄化槽と、濾過し浄化した飼育水を貯水する浄化済貯水槽を備えることを特徴とする。
【0084】
浄化された飼育水を地下淡水貯水槽に送水してオゾン発生装置及びナノバブル発生装置を作動させてオゾンナノバブル水を生成し設備内で循環させる漁法用餌又は養殖魚用餌を養殖するための飼育水を特徴とする循環システム。
【0085】
オゾンナノバブル水は、水温が5℃~28℃であることを特徴とする漁法用の餌又は養殖用餌を養殖するための飼育水の循環システム。
【0086】
ヘラブナだけの養殖の場合は、主食が植物性プランクトンなのでため池で、生簀での養殖をすることを特徴とする。
【0087】
国によって食用ガエルの種類が違うが、日本では食用ガエルといえば外来種のウシガエルである。
【0088】
フランスではヨーロッパトノサマガエル、中国やインドネシアではトラフガエルやヌマガエル等が使われるが、いずれもアカガエル科に属する。
【0089】
食べるのは足の部分で、味は淡白である。運動量が多いため高タンパク・低脂肪で、ダイエットや生活習慣病予防に有効であるほか、臭みがなく、あっさりとした味わいで食感がやわらかいのが特長である。
【0090】
含有されている成分は、タンパク質のほか、ビタミンB2・B6・鉄などである。ビタミンB2は皮膚・粘膜の健康維持やエネルギー代謝、成長促進などに関与し、ビタミンB6は神経細胞の興奮抑制などに有効とされているほか、鉄は貧血改善効果に期待が持てきる。
【0091】
アフリカツメガエルは暖かい湖沼などに生息していて、止水を好み、流れのある川などでは滅多に見られない。
【0092】
繁殖の多くは春季に見られるが、繁殖は1年を通して見られ、地域によっては年4回繁殖することができる。卵は直径1.0~1.2mm程度で、雌は一度に500~2、000個程の粘着卵を産む。
【0093】
多くのカエル類は半水生の生活をしているが、ほぼ完全な水生のカエルで、ほとんどの時間を水中で過ごし、鳴かないので養殖に向いている。
【0094】
アフリカツメガエルは、外来生物法に指定されているが、法的取扱いはなく、小規模で養殖されており、研究用の実験材料や観賞用として流通している。
【0095】
食料ガエルの種類として、欧米では、ヨーロッパトノサマガエル・ウシガエル、アジア(中国、インドネシア、ベトナム)では、トラフガエル・ヌマガエル・インドクサクイガエル、南米では、ナンベイウシガエル、アフリカでは、アフリカツメガエル、日本では、ナミエガエル、毛瀰(アカガエルと推定)等がいる。
【0096】
食料ガエルにおいては、従来から食用材料であり安全性は高い。しかし、毒性を持ったカエルが生息するので注意が必要である。毒性のある主なカエルとしては、ヤドクガエル、ヒキガエル、アカメアマガエル、モトイドクガエル、キイロヤドクガエル、チャコヤドクガエル、ヒイクフキヤガエル等々である。
【0097】
ゲンゴロウブナは、条鰭綱コイ目コイ科フナ属に分類される魚類。養殖個体はヘラブナ(カワチブナ)として知られている。分布は、日本(琵琶湖・淀川水系)固有種であり、養殖個体が、日本各地に移入している。
【0098】
また、大韓民国、中華人民共和国、台湾にも移入しており、形態は、最大全長50センチメートルで、体高が高く真横から見ると菱形の体型をして、眼も若干下方についている。生態は、沿岸から沖合にかけての、表層・中層に生息し、主に植物プランクトンを食べる。
【0099】
河川や池沼、湖に生息し成長は早く、生後3年で体長が30cmほどになる。大きなものでは60cm以上に達する個体も見られる。寿命は長く、中には数十年生きるものも存在し、繁殖期は4月から6月で、この時期になると浅場の水草や岸辺の草の根などに卵を産み付ける。
【0100】
フナ類の成分は、カロリー(生)は100gあたり101カロリーで、主な成分としては、タンパク質、脂質、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ナイアシン、パントテン酸)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、リン、鉄、銅、亜鉛などを含む。
【0101】
従来の魚粉原料と比べると脂質は1/4しかなく、タンパク質は豊富である。このことからヘラフナは低脂肪・低カロリー・高タンパク質な新たな魚粉代替原料と言える。ビタミン類ではビタミンB1が100gあたり0.55mgと非常に豊富である。これは魚類の中でトップクラスの数値である。また、養殖魚の成長に欠かせないアミノ酸成分である、リジン、トリプトファン、メチオニンが含まれている。ビタミンB1は糖質をエネルギーに分解するときの補酵素となる。
【0102】
また、ヘラブナは、環境の変化にも強くかなりの繁殖力がある。植物プランクトンを主食とするので、他の淡水魚養殖に比べて餌代の負担が著しく少なく優位性がある。また、養殖も比較的簡単に行うことができる。本発明は、上記の目的の達成するために、食用ガエルの生き餌(活カエル)、または、冷凍食用ガエル及びヘラブナの活魚又は冷凍ヘラブナを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌を提供する。
【0103】
食用ガエルの生き餌(活カエル)又はヘラブナの活魚を海水で氷締めにし、海水を含ませて塩漬けにして急速冷凍することを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌である。
【0104】
食用ガエルの生き餌(活カエル)又はヘラブナの活魚を淡水で氷締めにし、マイクロ波乾燥加工又はマイクロ波減圧加工で乾燥させて丸干しにすることを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌である。
【0105】
前記冷凍食用ガエル及び冷凍ヘラブナを解凍後、マイクロ波乾燥加工又はマイクロ波減圧加工で乾燥させて塩漬け丸干しにすることを特徴とする漁法の捕獲用餌又は養殖魚用餌である。
【0106】
干物(ひもの)は、食用ガエル及びヘラブナなどの魚介類の身を干した乾物で、微生物の作用によって腐敗する。干物は天日や風で水分を蒸発させて微生物が使える自由水の割合(水分活性)を減らすと共に、表面に膜を作ることにより保存性が高まる。また干して乾燥することで、蛋白質が分解されて旨味が形成される。
【0107】
旨味が増すのは、水分が減って味が濃密になるほか、食用ガエル及びヘラブ(フナ類)の死後に増えるイノシン酸が寄与している。
【0108】
丸干しは、食用ガエル及びヘラブナを開いたりせず、そのまま天日干しや機械乾燥などで乾燥させたものを指す。イワシやサンマおよびそれらの稚魚、イカ、小アジ、カレイ、カマスなど、比較的小型の魚が適している。
【0109】
海外では、ドライフィッシュとして、イタリアではバッカラ(baccala)、スペインではバカラオ(Bacalao)の名で呼ばれている。
【0110】
干物は、栄養価に優れカルシウムに富み干すことでイノシン酸も増している。干物の塩分は魚種や加工法により幅がある。シシャモの干物(国産)が1%程度、アジの干物が2%程度、ウルメイワシの丸干しが4.9%程度であるとされる。
【0111】
自然乾燥や熱風乾燥による魚介類を丸干しするのではなく、マイクロ波乾燥加工又はマイクロ波減圧加工して、食用ガエル及びヘラブナ丸干しすることを特徴とする。
【0112】
マイクロ波減圧加工は、酸素を少なくして、素材を含む生地にマイクロ波を照射して膨化・乾燥を同時に行い、マイクロ波が食品の中心まで伝わり水分子を振動させることで急速に発熱、蒸発させ、食用ガエル及びヘラブナを乾燥させる。
【0113】
マイクロ波加熱により、食品内部の水分が急速に蒸発することで水分があった部分が空隙になり、ポーラス構造が作られる。
【0114】
マイクロ波による乾燥の特長は、加熱時間が短く、素材の風味・色を損なわない。また、蒸発で出来る気泡の大きさをコントロールすることで、食感・比重・油戻し時間など調整を可能にできる。
【0115】
更に、内部も外部も同時に乾燥されるので、品質が均一で安定し、加熱により微生物を抑制する効果がある。
【0116】
食品は、微生物の作用によって腐敗する。マイクロ波で水分を蒸発させて微生物が使える自山水の割合(水分活性)を減らすと共に、表面に膜を作ることにより保存性が高まる。また、蛋白質が分解されて旨味が形成される。
【0117】
旨味が増すのは、水分が減って味が濃密になるほか、魚の死後に増えるイノシン酸が寄与している。
【0118】
よって、活養殖ガエル及び活ヘラブナ又は冷凍食用ガエル、冷凍ヘラブナをマイクロ波乾燥加工又はマイクロ波減圧加工で水分を10%程度まで乾燥させて、内臓を含む食用ガエル及びヘラブナ丸干とする。
【0119】
また、水分が減って味が濃密になるほか、魚の死後に増えるイノシン酸が寄与している。イノシン酸は、核酸を構成する成分のひとつ。人の体内では毎日細胞が新しく生まれ変わっているが、細胞が生まれ変わるときに欠かせない核酸を提供する。
【0120】
また、本発明では、内臓を含んだヘラブナ丸干しは、マイクロ波乾燥加工又はマイクロ波減圧加工するので、濃縮したソリュブル的な栄養の高い捕獲用餌又は養殖用餌ならびに魚粉原料を得ることができる。
【0121】
更に、冷凍食用ガエルと冷凍ヘラブナ(フナ類)は、漁法の捕獲用餌及び養殖用餌であり、または代替魚粉原料である。