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特開2023-99991X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステム及び方法
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  • 特開-X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099991
(43)【公開日】2023-07-14
(54)【発明の名称】X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20230707BHJP
   G01N 23/083 20180101ALI20230707BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/083
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139705
(22)【出願日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】2022/000080
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TR
(71)【出願人】
【識別番号】522349694
【氏名又は名称】エティ ギダ サナイ ヴェ ティカレット アノニム シルケティ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】メフメット ウンリュ
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001HA07
2G001HA13
2G001JA09
2G001PA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】袋パッケージ内の乱雑でランダムな位置にある小物製品またはパッケージの欠品数量を検出することのできる、X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステムに関する。
【解決手段】X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステムは、袋パッケージ101、振動バンド102、振動ユニット103、搬入コンベア104、メインコンベア105、X線スキャナ106、X線検出器107、搬出コンベア108、制御ユニット109、画像処理ユニット110、圧縮空気弁111、入出力カード112を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乱雑で自由で絡まった製品を含む、少なくとも1つの袋パッケージ(101)と、
袋パッケージ(101)が通過する際の振動による袋パッケージ(101)内の製品の集まりを防止し、よりバラバラにし、視覚的に区別できるようにする、少なくとも1つの振動バンド(102)と、
振動バンド(102)に振動を発生させることにより、調整される振幅や強度を提供する、少なくとも1つの振動ユニット(103)と、
振動ベルト(102)から受け取った袋パッケージ(101)をメインコンベア(105)へ搬送する、少なくとも1つの搬入コンベア(104)と、
X線スキャナ(106)、X線検出器(107)、及び制御ユニット(109)を含み、袋パッケージ(101)が搬出コンベア(108)へ搬送されることを確保する、少なくとも1つのメインコンベア(105)と、
メインコンベア(105)を移動する袋パッケージ(101)内の製品を走査する、少なくとも1つのX線スキャナ(106)と、
X線スキャナ(106)を通過したX線のエネルギーレベルに応じて数値データを生成することにより、二次元画像を作成する、少なくとも1つのX線検出器(107)と、
X線検出器(107)から二次元画像を受け取り、内蔵されたコンピュータに保存する、少なくとも1つの制御ユニット(109)と、
プロセッサおよび制御ユニット(109)からの二次元画像における、パッケージ内の注目製品の部分をフィルタリングによって判定し、フィルタリングされた部分から、互いに隣接していない製品グループとそれらの限界値を判定し、各グループの灰色度値を数値的に算出し、各パッケージの総灰色度値の移動平均値を求め、この平均値をその時点で作業中のパック内単位数で割って、製品ごとの平均灰色度値を得、算出した各グループの灰色度値を製品ごとの平均灰色度値で割ることにより、各グループが何個の製品に属しているかを推定する、少なくとも1つの画像処理ユニット(110)と、
メインコンベア(105)から出てきた袋パッケージ(101)を搬送する、少なくとも1つの搬出コンベア(108)と、
画像処理ユニット(110)からのコマンドを圧縮空気弁(111)に送信する、少なくとも1つの入出力カード(112)と、
搬出コンベア(108)を移動する袋パッケージ(101)から不良品を圧縮空気によって選別する、少なくとも1つの圧縮空気弁(111)と、
を備えることを特徴とする、袋パッケージ内の乱雑でランダムな位置にある小物製品またはパッケージの欠品数量を検出することのできる、X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステム(100)。
【請求項2】
X線走査の前に、袋パッケージ(101)内の乱雑で自由で絡まった製品を振動バンド(102)に通過させるステップと、
振動バンド(102)から受け取った袋パッケージ(101)を搬入コンベア(104)によってメインコンベア(105)に搬送するステップと、
メインコンベア(105)上のX線スキャナ(106)により、袋パッケージ(101)内の製品を走査するステップと、
X線検出器(107)により、X線スキャナ(106)を通過したX線のエネルギーレベルに応じて数値データを生成し、二次元画像を得るステップと、
制御ユニット(109)により、X線検出器(107)からの二次元画像を受信し、コンピュータに保存するステップと、
制御ユニット(109)により、記録された画像をイーサネット接続(113)を介して画像処理ユニット(110)に転送するステップと、
プロセッサおよび制御ユニット(109)から受け取った二次元画像と、パッケージ内の注目製品の画像を含む部分を、画像処理ユニット(110)によるフィルタリングによって判定するステップと、
画像処理ユニット(110)によるフィルタリングによって、0から200の画素値を有する部分を数値的にフィルタリングするステップと、
画像処理ユニット(110)によりフィルタリングされた部分から、互いに隣接していない製品グループとそれらの限界値を判定するステップと、
画像処理ユニット(110)により、各グループの灰色度値を数値的に算出するステップと、
画像処理ユニット(110)により、各画素の灰色度値を加算して総灰色度値を算出するステップと、
画像処理ユニット(110)により各パッケージの総灰色度値の移動平均値を求め、この平均値をその時点で作業中のパック内単位数で割って、製品ごとの平均灰色度値を得るステップと、
画像処理ユニット(110)により、算出した各グループの灰色度値を製品ごとの平均灰色度値で割ることにより、各グループが何個の製品に属しているかを推定するステップと、
入出力カード(112)により、画像処理ユニット(110)からのコマンドを圧縮空気弁(111)に送信するステップと、
圧縮空気弁(111)により、メインコンベア(105)から出てきた袋パッケージ(101)を搬送する搬出コンベア(108)を移動する袋パッケージ(101)から不良品を圧縮空気によって選別するステップと、
を含むことを特徴とする、X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定する方法。
【請求項3】
記録された画像をイーサネット接続(113)を介して画像処理ユニット(110)に転送することを可能にする制御ユニット(109)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のX線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステム(100)。
【請求項4】
フィルタリングにより、0から200の画素値を有する部分を数値的にフィルタリングする画像処理ユニット(110)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のX線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステム(100)。
【請求項5】
パッケージの総灰色度値を製品単位当たりの灰色度値で割ることにより、製品がいくつあるかを推定する画像処理ユニット(110)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のX線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステム(100)。
【請求項6】
実数値以上のパッケージの選別限界値を制限する画像処理ユニット(110)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のX線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋パッケージ内の乱雑でランダムな位置にある小物製品またはパッケージの欠品数量を検出することのできる、X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステムに関する。
【0002】
特に、本発明は、袋パッケージ内の3次元的にランダムな位置にあるバルク中の小物パッケージの個数を推定することにより、X線出力時に欠番のある袋パッケージを選別する能力に関する。
【背景技術】
【0003】
現在では、袋パック中の製品の個数を提供するために、製品移行時に計量を行うコンベヤシステムが使用されている。製品が、Loadcellと呼ばれるロードセルで作動する製品搬送コンベヤを通過する際に計量が行われる。製品の重量の変動によって、この方法で欠品を検出することができる。
【0004】
食品の製造ラインでは、袋詰めされた製品がX線スキャナを通過する際に得られる画像から、包装内の数量を確認する方法が開発されている。しかし、現在のX線画像処理アルゴリズムでは、袋パッケージ内の乱雑でランダムな位置にある小物製品またはパッケージの欠品を検出することができない。
【0005】
従来技術の出願番号「JP2002214357A」の発明は、異物混入や内容物の個数などの品質情報が製品に付される数によって、製品の品質を管理することができるX線画像検査システム及び方法に関する。金属探知器は、異物として鉄が含まれているかどうかを検査する。計量器は、製品1個あたりの重量を計測する。X線異物検査装置では、製品のX線画像が撮影され保存される。レーザーマーカーは、製品のパッケージに対して、製品の検査日付または製造日付に関するデータを含むマークをレーザーを用いてマーキングする。
【0006】
従来技術の出願番号「JP2012242289A」の発明は、作業者の削減のために、高精度な検査で製品の個数やパッケージの内容物を検査する方法である。垂直方向に移動する帯状体上のパッケージ製品は、重ならないことを条件に、1つずつX線撮影により検査される。X線撮影後に得られる画像では、パッケージ製品の突起や角をカウントすることで製品数を判定する。
【0007】
従来技術では、パッケージをX線で撮影し、不良品が検出されたパッケージを仕分けするシステムがある。X線画像処理アルゴリズムにおいて、袋パッケージ内の乱雑でランダムな位置にある小物製品またはパッケージの欠品を検出するシステムが必要とされている。
【0008】
その結果、上記に開示された欠点と、この点で利用可能な解決策の不十分さから、関連する技術分野で改良を行うことが必要となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、袋パッケージ内の乱雑でランダムな位置にある小物製品またはパッケージの欠品数量を検出することのできる、X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステムに関する。
【0010】
本発明の最も重要な目的は、乱雑でランダムな位置にある小物製品またはパッケージの欠品数量を検出することである。
【0011】
本発明の他の目的は、画像のコントラスト差によって製品の個数を判定することを可能にすることである。
【0012】
本発明の他の目的は、欠品と判明した製品を確実に選別することである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るシステムのフローを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、袋パッケージ内の乱雑でランダムな位置にある小物製品またはパッケージの欠品数量を検出することのできる、X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステムに関する。
【0015】
X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステム(100)は、袋パッケージ(101)、振動バンド(102)、振動ユニット(103)、搬入コンベア(104)、メインコンベア(105)、X線スキャナ(106)、X線検出器(107)、搬出コンベア(108)、制御ユニット(109)、画像処理ユニット(110)、圧縮空気弁(111)、入出力カード(112)を備える。
【0016】
袋パッケージ(101)には、乱雑で自由で絡まった製品が含まれている。
【0017】
振動バンド(102)は、袋パッケージ(101)が通過する際の振動による袋パッケージ(101)内の製品の集まりを防止し、よりバラバラにし、視覚的に区別できるようにするものである。
【0018】
振動ユニット(103)は、振動バンド(102)に振動を発生させ、その振幅や強度を調整することを可能にするものである。
【0019】
搬入コンベア(104)は、振動バンド(102)からの袋パッケージ(101)をメインコンベア(105)へ搬送する。
【0020】
メインコンベア(105)は、X線スキャナ(106)とX線検出器(107)と制御ユニット(109)を含み、袋パッケージ(101)が搬出コンベア(108)へ搬送されることを可能にする。
【0021】
X線スキャナ(106)は、メインコンベア(105)を移動する袋パッケージ(101)内の製品を走査する。
【0022】
X線検出器(107)は、X線スキャナ(106)を通過したX線のエネルギーレベルに応じて数値データを生成して、二次元画像を作成する。
【0023】
制御ユニット(109)は、X線検出器(107)から二次元画像を受け取り、コンピュータに保存されることを確保する。制御ユニット(109)は、記録された画像をイーサネット接続(113)を介して画像処理ユニット(110)に転送する。
【0024】
画像処理ユニット(110)は、プロセッサおよび制御ユニット(109)から受け取った二次元画像における、パッケージ内の注目製品の部分をフィルタリングによって判定することを可能にする。画像処理ユニット(110)は、フィルタリングにより、0から200(調整済み)の画素値を有する部分を数値的にフィルタリングする。こうして、製品領域が検出される。フィルタの上限値および下限値は、ユーザが調整することができる。画像処理ユニット(110)は、フィルタリングされた部分から、互いに隣接していない製品グループとそれらの限界値を判定する。画像処理ユニット(110)は、各グループの灰色度値を数値的に算出する。画像処理ユニット(110)は、各画素における灰色度値を合計することにより、総灰色度値を算出する。画像処理ユニット(110)は、各パッケージの総灰色度値の移動平均値を求めることを確保し、この平均値をその時点で作業中のパック内単位数で割って、製品ごとの平均灰色度値を得る。移動平均値は、ユーザーが変更可能な値である。移動平均によって、現在実行中の工程における製品の食品加工による質量変化、間接的な灰色度変化が適応的に変更され、それによってより正確な結果が得られる。画像処理ユニット(110)は、算出した各グループの灰色度値を製品ごとの平均灰色度値で割ることにより、各グループが何個の製品に属しているかを推定する。こうして、パッケージに含まれる製品の総数が求められる。本発明の別の実施形態では、画像処理ユニット(110)は、パッケージの総灰色度値を製品単位当たりの灰色度値で割ることによって、製品がいくつあるかを推定する。その結果、製品推定値は、実数値となる。画像処理ユニット(110)は、実数値以上のパッケージの選別限界値を制限する。
【0025】
搬出コンベア(108)は、メインコンベア(105)から出てきた袋パッケージ(101)を搬送することを可能にする。
【0026】
入出力カード(112)は、画像処理ユニット(110)からのコマンドを圧縮空気弁(111)に送信する。
【0027】
圧縮空気弁(111)は、搬出コンベア(108)を移動する袋パッケージ(101)から不良品を圧縮空気によって選別することを確保する。
【0028】
X線装置で行われた実験では、クリームで覆われた3層ウェハースがX線から個別に走査された。走査された各製品の測定されたグラム質量値は異なっている。この違いは、クリームの量の違いやその他の非理想的な工程によるものである。各製品の画像処理により画素面積値および総灰色度値を算出して表に示した。
【0029】
表1
【0030】
表1では、グレースケール画像から得られた各製品のグレー領域面積値(面積)、総灰色度値(グレー)、重量(グラム)値を示している。また、解析のために(グレー/グラム)、(面積/グラム)値も導出している。検討の結果、これらの値の中の偏差値が最も低いのは、グレー/グラム値であることがわかった。このことから、製品の重量(グラム)値に適合するデータは、灰色度(グレー)の合計値であることがわかる。
【0031】
また、異なる製品で同様の実験を行って得られたデータを表2に示した。ここでは、結果として、X線から得られた画像における製品部分のグレー値の合計が、総質量と比例したデータを与えることが確認された。
【0032】
表2
【0033】
X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定する方法であって、
X線走査の前に、袋パッケージ(101)内の乱雑で自由で絡まった製品を振動バンド(102)に通過させるステップと、
振動バンド(102)から受け取った袋パッケージ(101)を搬入コンベア(104)によってメインコンベア(105)に搬送するステップと、
メインコンベア(105)上のX線スキャナ(106)により、袋パッケージ(101)内の製品を走査するステップと、
X線検出器(107)により、X線スキャナ(106)を通過したX線のエネルギーレベルに応じて数値データを生成し、二次元画像を得るステップと、
制御ユニット(109)により、X線検出器(107)からの二次元画像を受信し、コンピュータに保存するステップと、
制御ユニット(109)により、記録された画像をイーサネット接続(113)を介して画像処理ユニット(110)に転送するステップと、
プロセッサおよび制御ユニット(109)から受け取った二次元画像と、パッケージ内の注目製品の画像を含む部分を、画像処理ユニット(110)によるフィルタリングによって判定するステップと、
画像処理ユニット(110)によるフィルタリングによって、0から200の画素値を有する部分を数値的にフィルタリングするステップと、
画像処理ユニット(110)によりフィルタリングされた部分から、互いに隣接していない製品グループとそれらの限界値を判定するステップと、
画像処理ユニット(110)により、各グループの灰色度値を数値的に算出するステップと、
画像処理ユニット(110)により、各画素の灰色度値を加算して総灰色度値を算出するステップと、
画像処理ユニット(110)により各パッケージの総灰色度値の移動平均値を求め、この平均値をその時点で作業中のパック内単位数で割って、製品ごとの平均灰色度値を得るステップと、
画像処理ユニット(110)により、算出した各グループの灰色度値を製品ごとの平均灰色度値で割ることにより、各グループが何個の製品に属しているかを推定するステップと、
入出力カード(112)により、画像処理ユニット(110)からのコマンドを圧縮空気弁(111)に送信するステップと、
圧縮空気弁(111)により、メインコンベア(105)から出てきた袋パッケージ(101)を搬送する搬出コンベア(108)を移動する袋パッケージ(101)から不良品を圧縮空気によって選別するステップと、
を含む方法。
【符号の説明】
【0034】
100:X線画像から袋パッケージ内の小物製品の個数を判定するシステム
101:袋パッケージ
102:振動バンド
103:振動ユニット
104:搬入コンベア
105:メインコンベア
106:X線スキャナ
107:X線検出器
108:搬出コンベア
109:制御ユニット
110:画像処理ユニット
111:圧縮空気弁
112:入出力カード
113:イーサネット接続
図1