(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100001
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】装着具
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20240719BHJP
A61M 5/14 20060101ALI20240719BHJP
A61M 5/178 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61J1/20 316C
A61J1/20 314C
A61M5/14 510
A61M5/178 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003678
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】染川 剛
(72)【発明者】
【氏名】三谷 博隆
【テーマコード(参考)】
4C047
4C066
【Fターム(参考)】
4C047CC04
4C047CC25
4C047HH01
4C047HH03
4C047HH07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE12
4C066GG04
4C066LL06
(57)【要約】
【課題】衛生用具に対して容易に取り外すことができる装着具を提供する。
【解決手段】衛生管理される衛生用具の先端部に装着できる装着具であって、前記先端部が挿入可能に構成される挿入部であって、挿入された前記先端部が抜けないように該先端部に挿入方向で係合する係合部を有する挿入部と、前記係合部の前記先端部への係合を解除する解除部とを備え、前記係合部は、前記挿入部に挿入した前記先端部の径外方において前記挿入部の周方向に隙間を介して対向するよう構成され、前記解除部は、前記隙間に入り込むことにより前記係合部を径外方へ変位させて前記係合を解除するように構成される、装着具。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生管理される衛生用具の先端部に装着できる装着具であって、
前記先端部が挿入可能に構成される挿入部であり、挿入された前記先端部が抜けないように該先端部に挿入方向で係合する係合部を有する挿入部と、前記係合部の前記先端部への係合を解除する解除部とを備え、
前記係合部は、前記挿入部に挿入した前記先端部の径外方において前記挿入部の周方向に隙間を介して対向するよう構成され、
前記解除部は、前記隙間に入り込むことにより前記係合部を径外方へ変位させて前記係合を解除するように構成される、装着具。
【請求項2】
前記解除部は、径外方から径内方へ移動することで前記隙間に入り込むように構成される、請求項1に記載の装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生管理される衛生用具の先端部に装着できる装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
前記装着具として、例えば拡径遠位注射器先端を有する注射器とバイアルとともに使用するためのバイアルアダプタが公知である(特許文献1参照)。このバイアルアダプタは、軸線方向に向けられた中央の注射器ポートを備えている。前記注射器ポートは、環状のベースと、弾性的に撓んで前記ベースに取り付けられている、向き合って直立した一対の注射器ポート部材と、を備えている。前記注射器ポート部材の各々は、内側に向けられた注射器ポート部材リムを有している。前記注射器ポート部材リムの各々は、前記ベースと間隔を隔てて対面しており、前記ベースに集約的に近づく最上部傾斜面を有している。前記注射器ポート部材リムの各々は、さらに、前記ベースと対面する注射器ポート部材リム下面と、その隣接する前記最上部傾斜面と前記注射器ポート部材リム下面との間の、前記軸線方向に向けられた注射器ポート部材リム中間面と、を有している。前記注射器ポートリム中間面は開口を形成し、該開口の直径は、前記拡径遠位注射器先端の外径よりも小さい。
【0003】
前記拡径遠位注射器先端を前記注射器ポートに最初に摺動挿入することによって、前記注射器ポート部材が外側に向けて撓む。その後、前記拡径遠位注射器先端を前記注射器ポート内に保持するために、前記注射器ポート部材は、力を加えられて完全に摺動挿入される際に、前記拡径遠位注射器先端の後方にスナップする。その結果、前記注射器ポート部材の前記注射器ポート部材リム下面は、前記拡径遠位注射器先端の環状の後面に対して停止する。前記注射器ポート部材は、撓んでいない位置まで復帰する。
【0004】
取り出し力を長手方向バイアル軸線に対して傾いた角度で加えることによって、投与の準備がなされた復元された液剤で充填された前記注射器を便利に取り外すために、前記拡径遠位注射器先端を前記注射器ポートから引き出し可能とするのに十分に、1つ以上の前記注射器ポート部材が即座に外側に向けて撓む。前記バイアルアダプタの長手方向軸線と同軸の長手方向組立体軸線に対して傾いた取り外し力を加えて、前記バイアルアダプタから前記注射器を取り外すことを可能にする、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記注射器を前記長手方向組立体軸線に対して傾けた場合、一方の前記注射器ポート部材は前記注射器とともに外側に向けて撓む。そのため、前記バイアルアダプタから前記注射器を取り外す際には、一方の前記注射器ポート部材における前記注射器ポート部材リム下面が、前記拡径遠位注射器先端の環状の後面に当接することにより、一方の前記注射器ポート部材が前記注射器に引っ掛かる。したがって、前記バイアルアダプタから前記注射器を取り外しにくい、という問題が生じる。
【0007】
なお、このような問題は、前記バイアルアダプタから前記注射器を取り外す場合に限らず、例えば、シリンジへの針の装着構造や針へのキャップの装着構造、或いは、薬剤容器への蓋の装着構造などのように衛生管理される衛生用具へ装着具を装着する場合全般において生じる問題である。
【0008】
よって、本発明は、衛生用具に対して容易に取り外すことができる装着具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、衛生管理される衛生用具の先端部に装着できる装着具であって、前記先端部が挿入可能に構成される挿入部であり、挿入された前記先端部が抜けないように該先端部に挿入方向で係合する係合部を有する挿入部と、前記係合部の前記先端部への係合を解除する解除部とを備え、前記係合部は、前記挿入部に挿入した前記先端部の径外方において前記挿入部の周方向に隙間を介して対向するよう構成され、前記解除部は、前記隙間に入り込むことにより前記係合部を径外方へ変位させて前記係合を解除するように構成される、装着具である。
【0010】
前記構成によれば、前記挿入部に前記先端部が挿入されると、前記挿入部に挿入した前記先端部の径外方において前記挿入部の前記周方向に前記隙間を介して対向するよう構成される前記係合部が前記挿入方向で前記先端部に係合することにより、前記先端部が前記挿入部から抜けることを防止でき、前記解除部が前記隙間に入り込むことにより、前記隙間を介して対向するよう構成される前記係合部を径外方に変位させて前記係合を解除するため、前記先端部を前記挿入部から抜くことができる。
【0011】
また、本発明では、前記解除部は、径外方から径内方へ移動することで前記隙間に入り込むように構成されてもよい。
【0012】
前記構成によれば、前記解除部が径外方から径内方へ移動することで前記隙間に入り込むように構成されているため、前記挿入部に対して前記先端部が挿入された状態でも前記解除部を前記隙間に入れ込みやすく、簡単に前記係合を解除することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上、本発明によれば、前記先端部と前記挿入部の係合を簡単に解除することができるため、前記衛生用具に対して容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る装着具、第一衛生用具及び第二衛生用具の斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る装着具の正面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る装着具の側面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る装着具の平面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る装着具のV-V方向の断面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る装着具のVI-VI方向の断面図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る装着具の平面図であって、第一衛生用具が装着された状態を示す。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る装着具のVIII-VIII方向の断面図である。
【
図9】
図9は、同実施形態に係る装着具のIX-IX方向の断面図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係る装着具の正面図であって、解除部が隙間に挿入された状態を示す。
【
図12】
図12は、同実施形態に係る装着具のX-X方向の断面図である。
【
図13】
図13は、同実施形態に係る装着具のXI-XI方向の断面図である。
【
図14】
図14は、別の実施形態に係る装着具の正面図であって、衛生用具に装着された状態を示す。
【
図15】
図15は、同実施形態に係る装着具のXV-XV方向の底面図である。
【
図16】
図16は、同実施形態に係る装着具及び衛生用具のXVI-XVI方向の断面図である。
【
図17】
図17は、同実施形態に係る装着具及び衛生用具のXVII-XVII方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る装着具1について説明する。
【0016】
以下の説明において、衛生用具に対して装着具1を装着する方向を「軸方向Y」と特定し、前記軸方向Yに直交する方向を「径方向X」と特定し、軸方向Yまわりの方向を「周方向」と特定する。径方向Xは、互いに直交する第一径方向X1と第二径方向X2とを含む。また、軸方向Yのうち、
図1における上側を一方側Y1とし、
図1における下側を他方側Y2とする。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の装着具1は、二つの衛生用具をつなぐためのものである。衛生用具は、衛生管理されるものである。ここで、説明の便宜上、二つの衛生用具のうち、一方の衛生用具を第一衛生用具Aとし、他方の衛生用具を第二衛生用具Bとする。また、装着具1よりも前に第一衛生用具Aと第二衛生用具Bについて説明する。まず、第一衛生用具Aについて説明する。
【0018】
本実施形態の第一衛生用具Aは、例えば薬液などの衛生体を投与するためのものである。具体的に、本実施形態の第一衛生用具Aは経鼻投与デバイスAである。この経鼻投与デバイスAは、後述する第二衛生用具BであるバイアルBから薬液を抽出し、鼻を介して前記薬液を人体に投与するためのデバイスである。よって、本実施形態の衛生体は薬液である。経鼻投与デバイスAは、薬液を溜めるシリンジA1と、ノズル部A2とを備える。
【0019】
図1,8に示すように、シリンジA1は、筒状のシリンジ本体A10と、シリンジ本体A10の軸方向Yにおける一方側Y1の端部(以下、基端部と称する)に配置されるフランジ部A12と、シリンジ本体A10の軸方向Yの他方側Y2の端部(以下、先端部と称する)に配置されるシリンジ先端部A11と、を備える。
【0020】
シリンジ本体A10は、内径及び外径が一定の筒状に形成され、例えばガラスや樹脂などの内視可能な材質で構成されている。フランジ部A12は、シリンジ本体A10の基端部から径外方へ突設される。本実施形態のフランジ部A12は、周方向全周に亘って円環状に形成されている。
【0021】
シリンジ先端部A11は、シリンジ本体A10に対して薬液を出し入れするための先端筒部A110と、先端筒部A110をシリンジ本体A10に連結する連結部A111とを備える。先端筒部A110は、内部の孔が薬液の通路となる筒状に形成され、外径及び内径がシリンジ本体A10の外径及び内径より小さい。連結部A111は、シリンジ本体A10の先端部と先端筒部A110の基端部とを径方向Xで連結するように構成されている。
【0022】
図1に示すように、ノズル部A2は、筒状の小径部A20と、小径部A20よりも大径に構成される筒状の大径部A21と、小径部A20と大径部A21とを径方向Xで連結する段付き部A22とを備える。
【0023】
図5に示すように、小径部A20は、内径及び外径が一定の筒状(具体的には、円筒状)に形成される。そのため、小径部A20の外周面A200は軸方向Yに沿って延びる。
図8に示すように、小径部A20の内径は、先端筒部A110の外径よりも大径である。そのため、小径部A20は、軸方向Yにおいて先端筒部A110を挿入可能に構成されている。
【0024】
図5に示すように、本実施形態の大径部A21は、軸方向Yの他方側Y2に進むほど外径を小径にする筒状(具体的には、円筒状)である。そのため、大径部A21の外周面A210は、基端側から先端側ほど径内方に配置される傾斜面である。また、大径部A21の外周面A210は、周方向全周に広がる。大径部A21は、小径部A20よりも軸方向Yの他方側Y2に配置されている。本実施形態の大径部A21は、軸方向Yにおいて小径部A20よりも長い。また、大径部A21では、少なくとも基端における外径が小径部A20の外径よりも大径である。
図8に示すように、大径部A21は、軸方向Yにおいて小径部A20と連通している。
【0025】
図5,6に示すように、本実施形態の大径部A21では、軸方向Yの他方側端部A211が径方向Xに沿って広がる。
図8に示すように、この他方側端部A211には、液体を通すための挿通孔A212が形成されている。挿通孔A212は、大径部A21内と連通している。
【0026】
図5に示すように、段付き部A22は、径方向Xにおいて大径部A21の外周面A210と小径部A20の外周面A200とに亘る。本実施形態の段付き部A22は、径方向X及び周方向に沿って広がる面である。
【0027】
図8に示すように、本実施形態では、小径部A20に先端筒部A110を挿入することによってノズル部A2とシリンジA1とが接続している。そのため、ノズル部A2は、シリンジ本体A10よりも軸方向Yの他方側Y2に配置される。具体的に、ノズル部A2がシリンジ本体A10の先端側に連続している。よって、本実施形態では、ノズル部A2が第一衛生用具Aの先端部として構成される。
【0028】
また、ノズル部A2とシリンジA1とが連通している。よって、シリンジ本体A10内の薬液をシリンジ先端部A11とノズル部A2を介して挿通孔A212から吐出できると共に、挿通孔A212からシリンジ本体A10に薬液を収容することができる。なお、
図1に示すように、本実施形態のノズル部A2は、軸方向Yにおいてシリンジ本体A10よりも短い。
【0029】
続いて、第二衛生用具Bについて説明する。本実施形態の第二衛生用具Bは、衛生体を収容するものである。具体的に、本実施形態の第二衛生用具BはバイアルBである。バイアルBは、薬液を収容する容器である。
図1に示すように、バイアルBは、薬剤を収容する瓶体B1と、瓶体B1を塞ぐ栓体B2とを備える。
【0030】
図1,5,8に示すように、瓶体B1は、有底筒状の瓶本体部B10と、瓶本体部B10に対して薬液を出し入れする口となる瓶口部B11とを備える。瓶本体部B10は、径方向Xに広がる平板状の底部B100と、底部B100の周縁から立ち上がる周壁部B101と、周壁部B101に連続する肩部B102とを備える。周壁部B101は、外径及び内径が略同一の筒状に構成される。肩部B102は、周壁部B101の先端部から上方かつ径内方へ向けてテーパ状に構成される。
【0031】
図8に示すように、瓶口部B11は、上向きに開口する筒形状であり、瓶本体部B10の上端部から上方へ突設される。具体的には、瓶口部B11は、肩部B102の先端部から連続して上方へ突設される開口部である。また、瓶口部B11の先端部には、外向きのフランジ部B110が全周に亘って形成されている。このような瓶体B1は、瓶口部B11の開口部を介して瓶本体部B10内に対して薬液を出し入れすることができる。瓶口部B11の外径は、瓶本体部B10の外径よりも小径である。さらに、瓶口部B11の軸方向Yの長さは、瓶本体部B10の軸方向Yの長さよりも短い。
【0032】
栓体B2は、瓶口部B11の開口部を密閉する栓本体部B20と、瓶口部B11の開口部から栓本体部B20を外れないように固定する栓キャップB21を備える。
【0033】
栓本体部B20は、ブチルゴムなどの弾性体により構成されている。栓本体部B20は、略円盤状である。
図8に示すように、本実施形態の栓本体部B20は、軸方向Yの一方側Y1に配置される円柱状の栓大径部B200と、栓大径部B200から軸方向Yの他方側Y2に突出し且つ栓大径部B200よりも小径である円柱状の栓小径部B201とを有する。栓大径部B200の外径は、瓶口部B11の内径よりも大径である。栓小径部B201の外径は、瓶口部B11の内径と略同一である。瓶口部B11の先端部に内嵌された栓小径部B201が瓶口部B11の内面に密着し、栓大径部B200が瓶口部B11のフランジ部B110に当接するように、栓本体部B20が瓶口部B11に対して打栓される。これにより、瓶体B1が栓本体部B20によって密封される。
【0034】
図8に示すように、栓キャップB21は、筒状のキャップ筒部B210と、キャップ筒部B210の軸方向Yの一方側Y1に連続し且つ径方向Xに広がる平板状のキャップ天部B212とを備える。
【0035】
キャップ筒部B210の内径は、フランジ部B110及び栓大径部B200の外径よりも大径である。そのため、
図8に示すように、キャップ筒部B210は、瓶フランジ部B12及び栓本体部B20に外嵌されている。キャップ筒部B210には、軸方向Yの他方端から径内方に突出するキャップ係合部B211が設けられている。このキャップ係合部B211は、全周に亘って形成されている。
【0036】
図8に示すように、キャップ天部B212は、筒状のキャップ筒部B210を軸方向Yの一方側から覆う。そのため、キャップ天部B212の径方向Xにおける長さは、キャップ筒部B210の外径と略同一である。キャップ天部B212の径方向Xにおける中央部には、軸方向Yの貫通孔B213が形成されている。この貫通孔B213は、栓体B2が瓶体B1に取り付けられた状態において、栓大径部B200を軸方向Yに露出させるためのものである。
【0037】
図8に示すように、キャップ筒部B210が栓大径部B200とフランジ部B110との外周部を覆い、キャップ天部B212が栓大径部B200の上側に配置された状態で瓶口部B11のフランジ部B110にキャップ係合部B211が係合し、栓キャップB21は、栓本体部B20が取り付けられた瓶体B1に装着される。
【0038】
次に、装着具1について説明する。本実施形態の装着具1は、経鼻投与デバイスAとバイアルBとを連通するバイアルアダプタ1として構成されている。本実施形態の装着具1は、樹脂製である。具体的に、本実施形態の装着具1は環状オレフィンポリマーで構成される。
図1に示すように、装着具1は、ベース部2と、第一装着部3と、第二装着部4とを備える。
【0039】
ベース部2は、軸方向Yの一方側Y1に後述する第一装着部3が、軸方向Yの他方側Y2に後述する第二装着部4がそれぞれ設けられる基部になる部分である。
図2~4に示すように、ベース部2は径方向Xに広がる平板状に構成され、本実施形態では円板状に構成されている。ベース部2は、軸方向Yの厚さが一定である。また、
図3に示すように、ベース部2は、軸方向Yの一方側Y1に一方ベース面20を、軸方向Yの他方側Y2に他方ベース面21をそれぞれ備える。一方ベース面20及び他方ベース面21は、平面として構成されている。さらに、
図5に示すように、ベース部2には、径方向Xの中央部に軸方向Yに貫通する貫通孔22が形成されている。なお、一方ベース面20は、径方向Xにおいて貫通孔22と後述する挿入筒部31とに亘るベース亘面200を有する。
【0040】
第一装着部3は、装着具1を第一衛生用具Aの先端部に対して装着するためのものである。
図2に示すように、本実施形態の第一装着部3は、挿入部30と、一対の起立部34,34とを備える。
【0041】
挿入部30は、第一衛生用具Aの先端部を挿入するためのものである。
図2に示すように、本実施形態の挿入部30は、筒状の挿入筒部31と、挿入本体部32とを備える。
【0042】
本実施形態の挿入筒部31は、軸方向Yの他方側Y2ほど内径を小さくする円筒状である。そのため、
図5に示すように、挿入筒部31は、軸方向Yの他方側Y2ほど挿入筒部31の内径を小さくする傾斜状の内周面310を備える。また、内周面310は周方向全周に広がる。よって、内周面310は軸方向Yと周方向に広がる面である。
【0043】
本実施形態の挿入筒部31は、一方ベース面20から軸方向Yの一方側Y1に設けられている。そのため、本実施形態の挿入筒部31は、ベース部2と一体的に構成されている。また、挿入筒部31は貫通孔22を囲うように配置されている。そのため、筒状の挿入筒部31は軸方向Yにおいて貫通孔22と連通している。
【0044】
図5に示すように、挿入筒部31の内径は、貫通孔22よりも大径である。ここで、上述の通り、挿入筒部31は貫通孔22を囲うように配置されている。そのため、挿入筒部31の内周面310は、一方ベース面20のうち、ベース亘面200と連続している。挿入筒部31の内径は、大径部A21の外径と略同一に構成されている。そのため、挿入筒部31は、軸方向Yの一方側Y1から大径部A21を挿入可能に構成されている。なお、本実施形態の挿入筒部31は、軸方向Yにおいて大径部A21よりも短い。
【0045】
挿入本体部32は、挿入部30に挿入された第一衛生用具Aの先端部を径外方から覆うためのものである。挿入本体部32は、周方向に隙間3Aを有する筒状である。
図4に示すように、本実施形態の挿入本体部32は、隙間3Aをあけて周方向で隣り合うように並ぶ複数(具体的には、二つ)の挿入保持部33,33を備える。そのため、以下では一方の挿入保持部33について説明し、他方の挿入保持部33に兼用する。
【0046】
挿入保持部33は、平面視円弧状の部材である。挿入保持部33は、軸方向Yの一方側Y1に配置される軸一端部330、挿入保持部33の外周面を構成する径外壁面331、挿入保持部33の内周面を構成する径内壁面332及び周方向の端部において径外壁面331と径内壁面332とに連続する二つの周端部333,333を備える。
【0047】
軸一端部330は、挿入保持部33における軸方向Yの一方側Y1の端部である。本実施形態の軸一端部330は、径方向X及び周方向に沿って広がる。径外壁面331は、周方向及び軸方向Yに広がる面である。径外壁面331は、軸方向Yにおいて軸一端部330と挿入筒部31の外周面とに連続している。
【0048】
図4,6に示すように、径内壁面332は、周方向及び軸方向Yに広がる面である。径内壁面332は、軸方向Yにおいて軸一端部330と挿入筒部31の内周面310とに連続している。径内壁面332には、径内方に突出する係合部33Aが設けられている。よって、係合部33Aは、挿入保持部33の軸方向Yにおける一方側Y1の端部(以下、先端部と称する)において径内方へ突設されている。
図4に示すように、本実施形態では、二つの挿入保持部33,33それぞれに係合部33Aが設けられている。
【0049】
図6に示すように、本実施形態の係合部33Aは、径内壁面332のうち、軸方向Yにおける一方側Y1の端部33aよりも軸方向Yの他方側Y2に配置されている。また、
図4に示すように、本実施形態の係合部33Aは、周方向において径内壁面332よりも短い。係合部33Aは、先端ガイド面33Bと、係合面33Cとを備える。
【0050】
図5に示すように、先端ガイド面33Bは、軸方向Yの他方側Y2ほど径内方に配置される傾斜面である。そのため、係合部33Aは、軸方向Yの他方側Y2ほど径内方に突出している。本実施形態の先端ガイド面33Bは、軸方向Yと周方向とに広がる。また、先端ガイド面33Bは、軸方向Yの一方側Y1において径内壁面332の端部33aに連続している。係合面33Cは、径方向Xと周方向に沿って広がる面である。この係合面33Cは、軸方向Yの他方側Y2に向く面である。また、係合面33Cは、軸方向Yにおいて先端ガイド面33Bに連続している。
【0051】
図4に示すように、周端部333は、挿入保持部33における周方向の端部を規定している。周端部333は、径方向X及び軸方向Yに広がる。周端部333は、周方向において径外壁面331に連続している周端当接面334と、周方向において径内壁面332に連続している周端連続面335とを備える。
【0052】
周端当接面334は、軸方向Yと径方向Xに広がる面である。
図4に示すように、この周端当接面334は、径方向Xに対して傾斜している。
【0053】
周端連続面335は、軸方向Yと径方向Xに広がる面である。
図5に示すように、本実施形態の周端連続面335は、軸方向Yの他方側Y2ほど径内方に傾斜する傾斜面である。
図4に示すように、周端連続面335は、径方向Xにおいて周端当接面334と径内壁面332とに連続している。
【0054】
図2に示すように、本実施形態の挿入保持部33には、径方向Xに貫通する抜き孔336が形成されている。なお、この抜き孔336は、軸方向Yの長さが周方向の長さよりも長い矩形孔として構成される。
【0055】
図4に示すように、本実施形態では、二つの挿入保持部33,33が周方向で隙間3Aを介して径方向X(具体的には、第一径方向X1)で対向配置されている。具体的には、
図5に示すように、軸方向Yにおける一方側Y1の端部33a,33a同士が第一径方向X1で対向している。また、二つの係合部33A,33A(具体的には、先端ガイド面33B,33B)が隙間3Aを介して隣り合うように対向配置され、且つ第一径方向X1で対向している。軸方向Yにおける一方側Y1の端部33a,33a同士が第一径方向X1で対向する距離は、二つの係合部33A,33A(具体的には、先端ガイド面33B,33B)が第一径方向X1で対向する距離よりも長く、且つ大径部A21の先端や小径部A20における外径よりも長い。さらに、二つの係合部33A,33A(具体的には、先端ガイド面33B,33B)が第一径方向X1で対向する距離は、大径部A21の先端における外径よりも長く、且つ少なくとも大径部A21の基端における外径よりも短い。また、ベース亘面200と係合面33Cとの軸方向Yにおける距離は、大径部A21の軸方向Yの長さよりも長い。
【0056】
図4に示すように、二つの挿入保持部33,33において、一対の周端部333,333が周方向で対向している。よって、周方向で対向する一対の周端部333,333によって、隙間3Aが規定される。具体的に、本実施形態では、一対の周端当接面334,334及び周端連続面335,335それぞれが隙間3Aを介して周方向で対向している。ここで、隙間3Aを介して周方向で対向する周端部333における一対の周端当接面334,334は、周方向において径内方ほど接近し、径外方ほど離間するように、径外向きに広くなるテーパ状に配置される。即ち、隙間3Aの周方向の広さは、径内側が狭く、径外側が広がっている。なお、本実施形態では、第二径方向X2の一方側及び他方側において一対の周端部333,333が離間することにより、周方向に二つの隙間3A,3Aが規定されている。
【0057】
続いて、起立部34について説明する。本実施形態では、
図2に示すように、一対の起立部34,34が同様の形状である。そのため、一方の起立部34について説明し、他方の起立部34に兼用する。起立部34は、ベース部2から軸方向Yの一方側Y1に起立する起立本体部35と、起立本体部35よりも軸方向Yの一方側Y1に配置される起立可動部36と、起立本体部35と起立可動部36を軸方向Yで連結する起立連結部37とを備える。
【0058】
図2,3に示すように、起立本体部35は、軸方向Y及び径方向X(具体的には、第一径方向X1)に延びる。起立本体部35は、一方ベース面20に設けられている。起立本体部35は、第二径方向X2において挿入部30よりも径外方に配置される。よって、本実施形態の起立部34は、挿入部30よりも径外方に配置に配置されている。
【0059】
起立可動部36は、軸方向Yと径方向X(具体的には、第一径方向X1)に沿って延びる板状体である。本実施形態の起立可動部36は、軸方向Yと第一径方向X1に広がる矩形状である。また、起立可動部36の径外面(採番しない)は、軸方向Yと径方向X(具体的には、第一径方向X1)に沿って広がる面である。
【0060】
図4に示すように、起立可動部36は、周方向の隙間3Aよりも径外方に配置され、且つ径方向Xで隙間3Aと対向している。また、
図2に示すように、起立可動部36は、起立本体部35よりも径内方に配置されている。本実施形態の起立可動部36は、軸方向Yにおいて起立本体部35よりも長い。さらに、起立可動部36において、少なくとも軸方向Yの一方端が軸一端部330よりも軸方向Yにおける一方側Y1に配置されている。そのため、本実施形態の起立部34は、軸方向Yにおいて挿入部30よりも長い。
【0061】
起立可動部36は、解除部360を備える。本実施形態の解除部360は、起立可動部36の軸方向Yにおける一方側Y1の端部に設けられている。具体的に、本実施形態の解除部360は、起立可動部36から径内方に突出する解除凸部360として構成される。
図4に示すように、解除凸部360の径内方への突出幅は、周端部333の径方向Xの長さよりも短い。本実施形態では、解除凸部360の周方向の長さは、隙間3Aの周方向の長さよりも長い。
【0062】
図4に示すように、解除凸部360は、周方向両端部である解除本体部361と、周方向途中部分である解除連続部363とを備える。解除本体部361は、一つの隙間3Aに対して周方向両端部に一対として配置される。解除本体部361は、解除凸部360の周方向端面となる解除面362を備える。本実施形態の解除面362は、径方向Xに対して傾斜している。具体的に、一対の解除面362,362は、周方向において径内方ほど接近し、径外方ほど離間するように、径外向きに広くなるテーパ状に配置される。解除連続部363は、周方向において一対の解除本体部361,361に連続している。解除凸部360は、周方向の隙間3A及び周端部333よりも径外方に配置されている。また、解除面362は、径方向Xで周端当接面334に対向配置されている。
【0063】
起立連結部37は、軸方向Y及び径方向X(具体的には、第一径方向X1)に延びる。
図2に示すように、本実施形態の起立連結部37は、軸方向Yの一方側Y1から他方側Y2に進むほど径外方に傾斜している。起立連結部37は、軸方向Yにおいて起立本体部35及び起立可動部36の間に配置されている。具体的に、起立連結部37は、軸方向Yにおいて起立本体部35及び起立可動部36に連続している。また、本実施形態の起立連結部37は、軸方向Yにおいて起立本体部35及び起立可動部36よりも短い。
【0064】
本実施形態では、一対の起立部34,34が径方向X(具体的には、第二径方向X2)で対向配置されている。具体的に、一対の起立部34,34は、二つの隙間3A,3Aそれぞれの径外側に配置されている。
【0065】
第二装着部4は、装着具1を第二衛生用具Bに対して装着するためのものである。本実施形態の第二装着部4は、第一装着部3と異なる構造に構成されている。
図2に示すように、本実施形態の第二装着部4は、軸方向Yに延びる針として構成される穿刺部40と、バイアルBを径外方から保持するバイアル保持部41と、軸方向Yで栓体B2に係合する二つのバイアル係合部42,42とを備える。
【0066】
穿刺部40は、軸方向Yの他方端が尖っている。具体的に、穿刺部40は、軸方向Yにおける他方側Y2の端部が径方向X(具体的には、第一径方向X1)に貫通した中空針である。
図5に示すように、穿刺部40は、他方ベース面21から軸方向Yの他方側Y2に設けられている。また、穿刺部40は、径方向Xの中央部に配置されて貫通孔22と連通している。そのため、穿刺部40は貫通孔22を介して挿入部30と連通している。さらに、穿刺部40は、軸方向Yにおいて栓本体部B20よりも長い。
【0067】
バイアル保持部41は、筒状(具体的には、円筒状)に構成されている。
図2に示すように、本実施形態のバイアル保持部41は、周方向に離間する二つのスカート部(採番しない)により構成される。スカート部は、半円状のスカート本体部410と、スカート本体部410をベース部2に接続するスカート接続部412とを備える。
【0068】
図2に示すように、スカート本体部410は、周方向に配置される。本実施形態のスカート本体部410は、穿刺部40よりも軸方向Yの他方側Y2に配置されている。
図5に示すように、スカート本体部410の内面には、径内方に突出する複数のスカート突出部411が設けられている。
【0069】
スカート接続部412は、軸方向Yに延びる部材である。
図3,5に示すように、本実施形態のスカート接続部412は、他方ベース面21から軸方向Yの他方側Y2に設けられている。具体的に、二つのスカート接続部412,412が周方向で離間し、且つベース部2とスカート本体部410とを軸方向Yで接続している。また、スカート接続部412は、穿刺部40よりも径外方において他方ベース面21に設けられている。そのため、バイアル保持部41は、穿刺部40よりも径外方に配置されている。
【0070】
図2,6に示すように、本実施形態では、二つのスカート部が周方向で離間するように配置されることにより、筒状のバイアル保持部41が構成される。バイアル保持部41の内径は、第二衛生用具Bの外径よりも大径である。よって、バイアル保持部41は、軸方向Yにおいて第二衛生用具Bを挿入可能に構成される。なお、本実施形態のバイアル保持部41は、軸方向Yにおいて第二衛生用具Bよりも短い。
【0071】
図2,6に示すように、二つのバイアル係合部42,42それぞれは、軸方向Yに延びる係合延設部420と、係合延設部420から径内方に突出する係合本体部421とを備える。
【0072】
係合延設部420は、他方ベース面21から軸方向Yの他方側Y2に設けられている。
図3に示すように、本実施形態の係合延設部420は、周方向で離間する二つのスカート接続部412,412の間に配置されている。また、本実施形態の係合延設部420は、軸方向Yにおいてスカート本体部410よりも一方側Y1に配置される。
【0073】
図2に示すように、係合本体部421は、径方向X及び周方向に広がる平面状の係合支持面422と、係合支持面422と軸方向Yで連続する係合傾斜面423とを備える。係合支持面422は、軸方向Yの一方側Y1に向く面である。係合傾斜面423は、軸方向Yの一方側Y1に進むほど径内方に傾斜している。この係合傾斜面423は、係合支持面422と係合延設部420の軸方向Yにおける他方側Y2の端部に連続している。
【0074】
図2,6に示すように、バイアル係合部42は、穿刺部40よりも径外方に配置されている。また、本実施形態では、二つのバイアル係合部42が、第二径方向X2で対向配置されている。ここで、二つの係合傾斜面423,423が第二径方向X2で対向する距離は、軸方向Yの他方側Y2から一方側Y1にかけて短くなるように構成され、少なくとも軸方向Yの他方側Y2においてキャップ筒部B210の外径よりも長く、軸方向Yの一方側Y1においてキャップ筒部B210の外径よりも短い。また、係合支持面422と他方ベース面21との軸方向Yの距離は、栓キャップB21の軸方向Yの長さよりも長い。
【0075】
続いて、本実施形態の装着具1を第一衛生用具A及び第二衛生用具Bに対して装着するための方法について説明する。
【0076】
まず、
図1に示すように、第一装着部3が軸方向Yの一方側Y1に、第二装着部4が軸方向Yの他方側Y2になるように装着具1を配置し、軸方向Yにおいて装着具1の一方側Y1に経鼻投与デバイスAを、装着具1の他方側Y2にバイアルBを配置する。この際、ノズル部A2がシリンジA1よりも軸方向Yの他方側Y2になるように経鼻投与デバイスAを配置し、栓体B2が瓶体B1よりも軸方向Yの一方側Y1になるようにバイアルBを配置する。そして、装着具1、経鼻投与デバイスA及びバイアルBの中心軸を合わせる。それから、経鼻投与デバイスAに対して第一装着部3を装着し、且つバイアルBに対して第二装着部4を装着する。
【0077】
先に、経鼻投与デバイスAに対して第一装着部3を装着する場合を説明する。この場合には、第一衛生用具Aの先端部として構成されるノズル部A2を挿入部30に挿入する。ここで、軸方向Yにおける一方側Y1の端部33a,33a同士が第一径方向X1で対向する距離は、大径部A21の先端における外径よりも長い。また、二つの係合部33A,33A(具体的には、先端ガイド面33B,33B)が第一径方向X1で対向する距離は、大径部A21の先端における外径よりも長い。そのため、挿入部30のうち、軸方向Yにおける一方側Y1の端部33a,33a同士により構成される部分及び二つの係合部33A,33Aにより構成される部分に大径部A21の先端を挿入できる。
【0078】
一方で、二つの係合部33A,33A(具体的には、先端ガイド面33B,33B)が第一径方向X1で対向する距離は、少なくとも大径部A21の基端における外径よりも短い。また、大径部A21の外周面A210は、基端側から先端側に進むほど径内方に配置される傾斜面であり、先端ガイド面33Bは、軸方向Yの他方側Y2ほど径内方に配置される傾斜面である。そのため、大径部A21を挿入部30内に移動させることにより、大径部A21の外周面A210が二つの係合部33A,33Aに当接する。そして、大径部A21が先端ガイド面33Bにガイドされながら挿入部30内に移動することにより、二つの挿入保持部33,33が径外方に弾性変形する。
【0079】
ベース亘面200と係合面33Cとの軸方向Yにおける距離は、大径部A21の軸方向Yの長さよりも長い。そのため、段付き部A22が先端ガイド面33Bよりも軸方向Yの他方側Y2に配置されるまで、大径部A21を挿入部30内に挿入できる。そして、段付き部A22が先端ガイド面33Bよりも軸方向Yの他方側Y2に移動すると、二つの挿入保持部33,33は元に戻る。よって、径方向Xにおいて係合面33Cが段付き部A22と略同一の位置に配置される。したがって、係合部33A(具体的には、係合面33C)は、挿入された経鼻投与デバイスAの先端部が挿入部30から抜けないように挿入方向である軸方向Yで先端部(具体的には、段付き部A22)に係合する。
【0080】
段付き部A22は、挿入部30内において先端ガイド面33Bよりも軸方向Yの他方側Y2に移動すると、他方側端部A211がベース亘面200に当接し、大径部A21の外周面A210が挿入筒部31の内周面310に密に当接する。また、挿入筒部31が大径部A21の先端を保持する。さらに、挿通孔A212と貫通孔22とが連通する。以上のようにして、第一衛生用具Aの先端部として構成されるノズル部A2が挿入部30に挿入される。
【0081】
次に、バイアルBに対して第二装着部4を装着する場合を説明する。この場合には、穿刺部40を瓶体B1内に挿し込む。ここで、バイアル保持部41の内径は、バイアルBの外径よりも大径である。よって、栓体B2を軸方向Yの一方側Y1に向けた状態で、軸方向Yの他方側Y2から筒状のバイアル保持部41にバイアルBを挿入する。なお、バイアル保持部41にバイアルBを挿入することにより、複数のスカート突出部411が周壁部B101に当接する。
【0082】
バイアル保持部41に挿入されたバイアルBが、軸方向Yの一方側Y1に移動することにより、貫通孔B213を介して穿刺部40が栓本体部B20に穿刺される。ここで、二つの係合傾斜面423,423が第二径方向X2で対向する距離は、少なくとも軸方向Yの他方側Y2においてキャップ筒部B210の外径よりも長く、軸方向Yの一方側Y1においてキャップ筒部B210の外径よりも短い。また、係合傾斜面423は、軸方向Yの一方側Y1に進むほど径内方に傾斜している。そのため、バイアルBを軸方向Yの一方側Y1に移動させることにより、穿刺部40が軸方向Yでより深く栓本体部B20に穿刺されると共に、係合傾斜面423に当接する栓キャップB21が二つのバイアル係合部42,42を径外方に弾性変形させる。その後、栓体B2が係合本体部421よりも軸方向Yの一方側Y1に移動すると、二つのバイアル係合部42,42が元に戻る。よって、係合支持面422がキャップ係合部B211と軸方向Yで対向配置される。それから、キャップ天部B212が他方ベース面21に当接するまで、バイアルBを軸方向Yの一方側Y1に移動させることにより、穿刺部40が栓本体部B20を貫通して瓶体B1内に挿入される。
【0083】
よって、穿刺部40と貫通孔22を介して経鼻投与デバイスAとバイアルBとが連通する。したがって、バイアルBから経鼻投与デバイスA内に薬液を入れることができる。
【0084】
続いて、
図10~13に基づいて、第一衛生用具Aに対して装着具1を取り外す場合について説明する。この場合、係合部33Aと経鼻投与デバイスAの先端部との係合を解除する必要がある。本実施形態では、
図10に示すように、まず、起立可動部36を径外方から径内方に変位させる。ここで、本実施形態の第一装着部3は、同様の形状である一対の起立部34,34を備える。そして、起立部34,34それぞれは、起立可動部36を備える。そのため、例えば作業者が二本の指を起立可動部36の径外面に当てて摘まむようにして径内方へ力を加えることにより、起立可動部36,36が径内方に倒れるように、一対の起立部34,34が弾性変形する。よって、
図11に示すように、一対の起立部34,34それぞれにおいて、解除凸部360が第二径方向X2の径外方から径内方に移動することで隙間3Aに入り込む。
【0085】
ここで、本実施形態では、解除凸部360の周方向の長さが隙間3Aの周方向の長さよりも長い。そのため、
図11に示すように、解除本体部361(具体的には、解除面362)が周端部333(具体的には、周端当接面334)に当接しながら、解除凸部360が径外方から隙間3Aに入り込むことにより、
図12に示すように、挿入保持部33,33が径外方に弾性変形する。よって、二つの係合部33A,33A(具体的には、先端ガイド面33B,33B)が第一径方向X1で対向する距離は、大径部A21の基端における外径よりも長くなる。すなわち、解除凸部360は、隙間3Aに入り込むことで係合部33Aを径外方へ押し広げ、係合部33A(具体的には、係合面33C)を段付き部A22よりも径外方に変位させて、ノズル部A2に対する係合部33Aの係合を解除する。したがって、軸方向Yにおいて挿入部30からノズル部A2を抜くことができる。
【0086】
以上、本実施形態では、挿入部30にノズル部A2が挿入されると、係合部33A(具体的には、係合面33C)が挿入方向である軸方向Yで段付き部A22に係合することにより、ノズル部A2が挿入部30から抜けることを防止できる。また、解除凸部360が隙間3Aに入り込むことにより、挿入保持部33,33が径外方に弾性変形して、係合部33A(具体的には、係合面33C)が段付き部A22よりも径外方に変位するため、ノズル部A2に対する係合部33Aの係合が解除される。よって、ノズル部A2を挿入部30から抜くことができる。
【0087】
また、本実施形態では、一対の起立部34,34それぞれにおいて、解除凸部360が第二径方向X2の径外方から径内方に移動することで隙間3Aに入り込む。そのため、第二径方向X2の一方側及び他方側において、係合部33A(具体的には、係合面33C)が段付き部A22よりも径外方に変位するため、より確実に、ノズル部A2に対する係合部33Aの係合を解除できる。
【0088】
また、本実施形態では、解除凸部360が第二径方向X2の径外方から径内方へ移動することで隙間3Aに入り込むため、挿入部30に対して軸方向Yでノズル部A2が挿入された状態でも解除凸部360を隙間3Aに入れ込みやすく、簡単にノズル部A2に対する係合部33Aの係合を解除することができる。
【0089】
また、本実施形態の起立部34は、起立本体部35、起立可動部36、及び起立本体部35と起立可動部36とを軸方向Yで連結する起立連結部37を備え、起立可動部36は、起立本体部35よりも径内方に配置され、起立連結部37は、軸方向Yの一方側Y1から他方側Y2に進むほど径外方に傾斜している。そして、起立可動部36が径内方に倒れるように、起立部34は弾性変形する。よって、起立連結部37を備えることにより、起立可動部36が径内方に倒れるように、起立部34が弾性変形した場合には、起立部34は折れにくい。
【0090】
また、本実施形態では、解除凸部360の径内方への突出幅は、周端部333の径方向Xの長さよりも短い。そのため、
図13に示すように、解除凸部360が隙間3Aに入り込んだ状態において、解除凸部360は、段付き部A22よりも径外方に配置される。よって、軸方向Yにおいて解除凸部360が段付き部A22に当接することを防止し、解除凸部360が、挿入部30からノズル部A2を抜く際の妨げになることを防止できる。
【0091】
また、本実施形態では、挿入部30は、隙間3Aをあけて周方向に並ぶ複数の挿入保持部33,33を有し、挿入保持部33,33の先端部に係合部33A,33Aが設けられ、隙間3Aの径外方に起立部34(具体的には、起立可動部36)が配置され、起立可動部36は解除部360を備え、起立可動部36が径内方に変位することにより、解除部360が隙間3Aに入り込むように構成される。そのため、解除部360が隙間3Aに入り込むことにより、挿入保持部33,33が径外方に変位するため、挿入保持部33,33の先端部に設けられた係合部33A,33Aを径外方へ押し広げることができる。よって、経鼻投与デバイスAの先端部に対する係合部33A,33Aの係合を解除できる。
【0092】
また、本実施形態では、挿入保持部33は周端部333を備え、隙間3Aを介して周方向に隣り合う挿入保持部33,33は、周方向において隙間3Aをあけて対向配置し、解除部360は、解除本体部361を備え、解除本体部361は、挿入保持部33の周端部333の径外方に配置され、起立可動部36が径内方に変位することで、解除本体部361が周端部333に当接しながら解除部360が隙間3Aに入り込む。そのため、解除本体部361が周端部333に当接しながら解除部360が隙間3Aに入り込むことにより、隙間3Aを介して周方向に隣り合う挿入保持部33,33が径外方に変位するため、より確実に、挿入保持部33,33の先端部に設けられた係合部33A,33Aを径外方へ押し広げることができる。
【0093】
また、本実施形態では、周方向で隙間3Aを介して隣り合う周端部333,333における一対の周端当接面334,334は、周方向において径内方ほど接近し、径外方ほど離間するように、径外向きに広くなるテーパ状に配置され、一つの隙間3Aに入り込む一対の解除本体部361,361における一対の解除面362,362は、周方向において径内方ほど接近し、径外方ほど離間するように、径外向きに広くなるテーパ状に配置される。また、解除面362は、径方向Xで周端当接面334に対向配置されている。そのため、一対の解除面362,362が一対の周端当接面334,334に当接しながら、解除部360が隙間3Aに入り込む。よって、確実に、隙間3Aを介して周方向に隣り合う挿入保持部33,33が径外方に変位できる。
【0094】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0095】
上記実施形態の装着具1は、二つの衛生用具をつなぐもの、具体的には、経鼻投与デバイスAとバイアルBとを連通するバイアルアダプタ1として構成されている場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば、第一衛生用具Aを注射針、第二衛生用具Bをバレルとし、装着具1は注射針とバレルを連通するものとして構成されていてもよい。また、二つの衛生用具をつなぐ装着具1は、二つの衛生用具を連通するものに限らず、二つの衛生用具を軸方向Yで連結するものとして構成されていてもよい。この場合、例えば、ベース部2には貫通孔22が形成されていないことが考えられる。また、装着具1は、上記実施形態のように、経鼻投与デバイスAとバイアルBといった種類の異なる二つの衛生用具をつなぐものに限らず、同一の衛生用具をつなぐものであってもよい。この場合、第二装着部4は、第一装着部3と同一の構造に構成される。
【0096】
また、装着具1は、一つの衛生用具に装着されるものであってもよい。例えば、
図14に示すように、装着具1が衛生用具である点眼容器に装着されるキャップ1として構成されていてもよい。そのため、以下では、
図14~17に基づいて、点眼容器に装着される装着具1について説明する。ここで、上記実施形態とは別の実施形態に係る装着具1について説明するに際しては、上記実施形態と同一の構成及び作用について説明を省略する。
【0097】
まず、衛生用具である点眼容器について説明する。
図14に示すように、点眼容器は、薬液を収容する容器部C1及び点眼ノズルC2を備える。
【0098】
容器部C1は、有底筒状(具体的には、有底円筒状)の容器本体C10と、軸方向Yにおいて容器本体C10と連通する筒状(具体的には、円筒状)の容器取付部C11とを備える。そのため、容器部C1は目薬などの薬液を収容している。
図16,17に示すように、容器取付部C11には、径外方に突出する径外突出部C110が形成されている。この径外突出部C110は、容器取付部C11よりも軸方向Yの他方側Y2に配置されている。また、径外突出部C110は、周方向の全周に設けられている。なお、別の実施形態では、容器取付部C11が衛生用具の先端部である。
【0099】
図16,17に示すように、点眼ノズルC2は、筒状のノズル装着部C20と、ノズル装着部C20から径外方に突出するノズルフランジ部C21と、薬液を出し入れする口となる筒状のノズル本体部C22とを備える。ノズル本体部C22は、ノズル装着部C20よりも軸方向Yの一方側Y1に配置されている。また、ノズル本体部C22は、ノズル装着部C20内と連通するノズル孔C220を有する。ノズル孔C220は、軸方向Yの他方側Y2から一方側Y1に進むほど大径になる孔である。
【0100】
図16,17に示すように、ノズル装着部C20の外径は、容器取付部C11の内径と略同一に構成され、ノズル装着部C20は、容器取付部C11に挿入されている。ノズルフランジ部C21の外径は、容器取付部C11の内径より大径に構成され、ノズルフランジ部C21が軸方向Yの一方側Y1から容器取付部C11に載置されている。このようにして、点眼ノズルC2が容器取付部C11に取り付けられ、ノズル孔C220が容器部C1内と連通している。
【0101】
次に、装着具1について説明する。上述の通り、別の実施形態に係る装着具1はキャップ1として構成されている。
図14に示すように、装着具1は、ベース部2と、容器装着部3とを備える。
【0102】
ベース部2は、径方向Xに広がる円板状に構成されている。上記実施形態とは異なり、別の実施形態のベース部2には貫通孔22が形成されていない。その一方で、
図16,17に示すように、別の実施形態のベース部2には、径方向Xの中央部から軸方向Yの他方側Y2に突出する凸部23が形成されている。凸部23は、軸方向Yの他方側Y2が球状に構成されている。凸部23の径方向Xの長さは、ノズル孔C220の径方向Xの長さと略同一である。そのため、凸部23は、ノズル孔C220に嵌り込んでノズル孔C220を密封可能に構成されている。
【0103】
図14に示すように、容器装着部3は、容器取付部C11を挿入する挿入部30と、一対の起立部34,34とを備える。
図15~17に示すように、挿入部30は、筒状の挿入筒部31と、周方向に隙間3Aを有する筒状の挿入本体部32とを備える。
【0104】
図16,17に示すように、本実施形態の挿入筒部31は、軸方向Yの一方側Y1ほど内径を小さくする円筒状である。そのため、
図17に示すように、挿入筒部31は、軸方向Yの一方側Y1ほど挿入筒部31の内径を小さくする傾斜状の内周面310を備える。挿入筒部31は、ベース部2から軸方向Yの他方側Y2に設けられている。また、本実施形態の挿入筒部31は、凸部23を囲うように配置されている。挿入筒部31の内径は、ノズル本体部C22の外径と略同一に構成される。そのため、本実施形態の挿入筒部31は、軸方向Yの他方側Y2からノズル本体部C22を挿入可能に構成される。
【0105】
図15に示すように、挿入本体部32は、周方向で隣り合うように並ぶ複数(具体的には、二つ)の挿入保持部33,33を備える。別の実施形態に係る挿入保持部33,33は、挿入筒部31よりも径外方に配置されている。そのため、別の実施形態に係る挿入保持部33,33は、ベース部2から軸方向Yの他方側Y2に設けられている。二つの挿入保持部33,33が径方向X(具体的には、第一径方向X1)で対向配置されている。別の実施形態に係る挿入保持部33は、上記実施形態と同様で、径外壁面331、径内壁面332及び二つの周端部333,333を備える。
【0106】
別の実施形態では、径外壁面331及び径内壁面332は、軸方向においてベース部2と連続している。上記実施形態と同様で、径内壁面332には、径内方に突出する係合部33Aが設けられている。この係合部33Aは、挿入保持部33の軸方向Yにおける他方側Y2の端部(以下、先端部と称する)において径内方に突設されている。
図15に示すように、係合部33Aは、周方向において径内壁面332よりも短い。
図16に示すように、係合部33Aは、先端ガイド面33Bと係合面33Cを備える。
【0107】
別の実施形態に係る先端ガイド面33Bは、軸方向Yの一方側Y1ほど径内方に配置される傾斜面である。そのため、別の実施形態に係る係合部33Aは、軸方向Yの一方側Y1ほど径内方に突出している。別の実施形態に係る係合面33Cは、径方向Xと周方向に沿って広がり、軸方向Yの一方側Y1に向く面である。
【0108】
図15に示すように、別の実施形態に係る周端部333は、上記実施形態と同様で、径方向Xに対して傾斜する周端当接面334と、径方向Xにおいて周端当接面334と径内壁面332とに連続する周端連続面335を備える。一対の周端当接面334,334及び周端連続面335,335それぞれが周方向で対向している。そのため、周方向で対向する一対の周端部333,333によって、隙間3Aが規定されている。ここで、隙間3Aを介して周方向で対向する周端部333における一対の周端当接面334,334は、周方向において径内方ほど接近し、径外方ほど離間するように、径外向きに広くなるテーパ状に配置される。即ち、隙間3Aの周方向の広さは、径内側が狭く、径外側が広がっている。なお、別の実施形態では、第二径方向X2の一方側及び他方側において一対の周端部333,333が離間することにより、周方向に二つの隙間3A,3Aが規定されている。
【0109】
よって、二つの挿入保持部33,33が周方向で隙間3Aを介して隣り合って並ぶ。また、二つの係合部33A,33A(具体的には、先端ガイド面33B,33B)が隙間3Aを介して隣り合い、且つ第一径方向X1で対向している。二つの係合部33A,33A(具体的には、先端ガイド面33B,33B)が第一径方向X1で対向する距離は、点眼ノズルC2及び容器取付部C11の外径よりも長く、且つ径外突出部C110の外径よりも短い。
【0110】
別の実施形態に係る起立部34は、ベース部2から軸方向Yの他方側Y2に設けられている起立本体部35と、起立本体部35よりも軸方向Yの他方側Y2に配置されている起立可動部36と、及び軸方向Yにおいて起立本体部35及び起立可動部36に連続し、且つ軸方向Yの一方側Y1から他方側Y2に進むほど径内方に傾斜している起立連結部37を備える。
【0111】
起立可動部36は、解除凸部360として構成される解除部360を備える。この解除部360は、起立可動部36の軸方向Yにおける他方側Y2の端部に設けられている。解除部360は、周方向両端部である解除本体部361と、周方向途中部分である解除連続部363とを備える。解除本体部361は、一つの隙間3Aに対して周方向両端部に一対として配置される。解除本体部361は、解除部360の周方向端面となる解除面362を備える。本実施形態の解除面362は、径方向Xに対して傾斜している。具体的に、一対の解除面362,362は、周方向において径内方ほど接近し、径外方ほど離間するように、径外向きに広くなるテーパ状に配置される。また、解除面362は、径方向Xで周端当接面334に対向配置されている。
【0112】
点眼ノズルC2を取り付けた容器取付部C11が軸方向Yの他方側Y2から挿入部30に対して挿入されることにより、キャップ1が点眼容器に装着される。ここで、二つの係合部33A,33A(具体的には、先端ガイド面33B,33B)が第一径方向X1で対向する距離は、点眼ノズルC2及び容器取付部C11の外径よりも長い。そのため、容器取付部C11及び点眼ノズルC2を挿入部30に対して挿入できる。一方で、二つの係合部33A,33A(具体的には、先端ガイド面33B,33B)が第一径方向X1で対向する距離は、径外突出部C110の外径よりも短い。そして、先端ガイド面33Bは、軸方向Yの一方側Y1ほど径内方に配置される傾斜面である。そのため、容器取付部C11を挿入部30内で軸方向Yの一方側Y1に移動させることにより、径外突出部C110が先端ガイド面33B,33Bに当接する。そして、径外突出部C110が先端ガイド面33B,33Bにガイドされながら挿入部30内で軸方向Yの一方側Y1に移動させることにより、二つの挿入保持部33,33が径外方に弾性変形する。そして、径外突出部C110が先端ガイド面33Bよりも軸方向Yの一方側Y1に移動すると、二つの挿入保持部33,33は元に戻る。よって、径方向Xにおいて係合面33Cが径外突出部C110と略同一の位置に配置される。したがって、係合部33A(具体的には、係合面33C)は、点眼容器の先端部が挿入部30から抜けないように挿入方向である軸方向Yで先端部(具体的には、径外突出部C110)に係合する。
【0113】
径外突出部C110が先端ガイド面33Bよりも軸方向Yの一方側Y1に移動すると、ノズル本体部C22の外周面が挿入筒部31の内周面310に密に当接すると共に、ノズル孔C220に凸部23が挿入される。よって、挿入筒部31がノズル本体部C22を保持する。以上のようにして、点眼容器にキャップ1が装着される。
【0114】
続いて、点眼容器に対してキャップ1を取り外す場合には、起立可動部36を径外方から径内方に変位させ、解除凸部360が第二径方向X2の径外方から径内方に移動することにより隙間3Aに入り込む。具体的には、解除面362が周端当接面334に当接しながら、解除凸部360が径外方から隙間3Aに入り込むことにより、挿入保持部33,33が径外方に弾性変形する。よって、二つの係合部33A,33A(具体的には、先端ガイド面33B,33B)が第一径方向X1で対向する距離は、径外突出部C110の外径より長くなる。すなわち、解除凸部360は、隙間3Aに入り込むことで係合部33Aを径外方へ押し広げ、係合部33A(具体的には、係合面33C)を径外突出部C110よりも径外方に変位させて、点眼容器の先端部に対する係合部33Aの係合を解除する。したがって、軸方向Yにおいて挿入部30から容器取付部C11を抜くことができる。
【0115】
以上、別の実施形態では、挿入部30に容器取付部C11が挿入されると、係合部33A(具体的には、係合面33C)が挿入方向である軸方向Yで径外突出部C110に係合することにより、点眼容器の先端部が挿入部30から抜けることを防止できる。また、解除凸部360が隙間3Aに入り込むことにより、挿入保持部33,33が径外方に弾性変形して、係合部33A(具体的には、係合面33C)が径外突出部C110よりも径外方に変位するため、点眼容器の先端部に対する係合部33Aの係合が解除される。よって、容器取付部C11を挿入部30から抜くことができる。
【0116】
上記別の実施形態では、衛生用具が点眼容器である場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば、衛生用具は、スプレー容器、ポンプ容器、チューブ容器、パウチ容器といったように、点眼容器以外で薬液を収容する容器であってもよい。また、この場合、衛生用具は薬液を収容する容器に限らず、例えば塗布剤や泡剤、散布剤などの流動薬剤を収容する容器であってもよい。
【0117】
さらに、衛生用具は例えば液体を通す針やノズル、チューブとして構成されていてもよい。この場合、装着具1は、針やノズル、チューブを覆うためのキャップとして構成されている。加えて、装着具1は、シリンジにおいてバレルと注射針とを接続する接続部として構成されていてもよい。この場合、装着具1は軸方向Yの一方側Y1に注射針を備え、軸方向Yの他方側Y2にバレルが取り付けられるように構成されている。
【0118】
上記実施形態では、バイアルBや容器部C1が薬液を収容することにより、衛生用具は衛生体を収容するものであった。しかし、これに限らず、例えば、衛生用具は衛生体を収容していないものとして構成されていてもよい。
【0119】
上記実施形態では、解除部360が径外方から隙間3Aに入り込む場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば、解除部360が軸方向Yにおいてスライドすることにより隙間3Aに入り込むように構成されていてもよい。また、解除部360が周方向に回転することにより隙間3Aに入り込むように構成されていてもよい。
【0120】
上記実施形態では、挿入本体部32が周方向で離間する二つの挿入保持部33,33を備え、それぞれの挿入保持部33が二つの周端部333,333を備えていた。そして、二つの周端部333,333が周方向で離間することにより、二つの周端部333,333が二つの隙間3A,3Aを規定していた。しかし、これに限らず、例えば、挿入本体部32が周方向の途中に切り欠きがある平面視略C字の筒状として構成されることにより、挿入本体部32が二つの周方向端部を備え、二つの周方向端部が、一つの隙間3Aを規定してもよい。この場合、係合部33Aは、一つの隙間3Aを介して対向する部分を有する構成とすることもできる。具体的には、周方向の途中に切り欠きがある筒状の挿入本体部32の内面に沿って、周方向の一方側から周方向の他方側まで連続した係合部33Aである突起が形成される。このような挿入本体部32においては、一方の周方向端部と他方の周方向端部とが、切り欠きを一つの隙間3Aとして周方向で対向する挿入保持部33,33として構成され、係合部33Aにおいては、係合部33Aにおける周方向の一方側の端部と周方向の他方側の端部とが切り欠きである一つ隙間3Aを介して対向する部分となる。また、挿入本体部32が周方向で離間する三つ以上の挿入保持部33を備えることにより、隙間3Aが周方向に三つ以上形成されていてもよい。
【0121】
上記実施形態では、一対の周端当接面334,334及び一対の解除面362,362は、周方向において径内方ほど接近し、径外方ほど離間するように、径外向きに広くなるテーパ状に配置され、解除面362は、径方向Xで周端当接面334に対向配置されていた。しかし、これに限らず、一対の周端当接面334,334及び一対の解除面362,362の一方が周方向において径内方ほど接近し、径外方ほど離間するように、径外向きに広くなるテーパ状に配置され、他方が第一径方向X1に沿って延び、解除面362及び周端当接面334が、径方向X(具体的には、第二径方向X2)において対向配置されていてもよい。この場合であっても、解除面362が周端当接面334に当接しながら、解除部360は隙間3Aに入り込む。よって、挿入保持部33,33が径外方に変位でき、係合部33Aと先端部との係合を解除できる。
【符号の説明】
【0122】
1:装着具、2:ベース部、20:一方ベース面、200:ベース亘面、21:他方ベース面、22:貫通孔、3:第一装着部、3A:隙間、30:挿入部、31:挿入筒部、310:内周面、32:挿入本体部、33:挿入保持部、33a:端部、33A:係合部、33B:先端ガイド面、33C:係合面、330:軸一端部、331:径外壁面、332:径内壁面、333:周端部、334:周端当接面、335:周端連続面、34:起立部、35:起立本体部、36:起立可動部、360:解除部、361:解除本体部、362:解除面、363:解除連続部、37:起立連結部、4:第二装着部、40:穿刺部、41:バイアル保持部、410:スカート本体部、411:スカート突出部、412:スカート接続部、42:バイアル係合部、420:係合延設部、421:係合本体部、422:係合支持面、423:係合傾斜面、A:第一衛生用具、A1:シリンジ、A10:シリンジ本体、A11:シリンジ先端部、A110:先端筒部、A111:連結部、A12:フランジ部、A2:ノズル部、A20:小径部、A200:外周面、A21:大径部、A210:外周面、A211:他方側端部、A212:挿通孔、A22:段付き部、B:第二衛生用具、B1:瓶体、B10:瓶本体部、B100:底部、B101:周壁部、B102:肩部、B11:瓶口部、B110:フランジ部、B2:栓体、B20:栓本体部、B200:栓大径部、B201:栓小径部、B21:栓キャップ、B210:キャップ筒部、B211:キャップ係合部、B212:キャップ天部、B213:貫通孔、Y:軸方向、Y1:一方側、Y2:他方側、X:径方向、X1:第一径方向、X2:第二径方向