(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100003
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】検体採取用キット
(51)【国際特許分類】
C12M 1/30 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
C12M1/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003684
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】391060546
【氏名又は名称】平和メディク株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】黒川 友博
(72)【発明者】
【氏名】蓑谷 章一
(72)【発明者】
【氏名】浅井 悠里
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029CC02
4B029DG01
4B029GA02
4B029GB05
4B029HA01
(57)【要約】
【課題】容器本体の外部から内部への異物等の入り込み、および容器本体の内部から外部への検体等の漏れ、を従来よりも防止できる検体採取用キットを提供すること。
【解決手段】本願の発明が適用された実施形態である検体採取用キット10は、検体を採取するために検体を付着させる検体採取部22を有する検体採取用スワブ20と、一方の端部に容器開口部48が形成され、検体採取用スワブ20を収容する容器部40と、検体採取用スワブ20の軸部の一方の端部が取付けられ、容器部40に対して開閉自在に嵌合することによって容器部40を封止するキャップ部60と、キャップ部60に設けられ、外周面のテーパ率が4/100~8/100であるキャップ嵌合内壁部が形成されたキャップ嵌合部と、容器部40に設けられ、内周面のテーパ率が4/100~8/100である容器嵌合部45と、を備えることを要旨とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と、検体を採取するために前記検体を付着させる検体採取部と、を有するスワブと、
一方の端部に開口部が形成され、前記スワブを収容する容器部と、
前記スワブの前記軸部の一方の端部が取付けられ、前記容器部に対して開閉自在に嵌合することによって前記容器部を封止するキャップ部と、
前記容器部又は前記キャップ部に設けられ、外周面のテーパ率が4/100~8/100である傾斜部が形成された嵌入部と、
前記容器部又は前記キャップ部に設けられ、内周面のテーパ率が4/100~8/100である被嵌入部と、
を備えることを特徴とする検体採取用キット。
【請求項2】
請求項1に記載の検体採取用キットにおいて、
前記嵌入部は、前記傾斜部の少なくとも一部を覆う壁部と、前記壁部と前記傾斜部との間の空隙と、を有し、
前記嵌入部と前記被嵌入部とが嵌合したとき、前記被嵌入部が前記空隙に嵌まっているとともに、前記壁部によって前記被嵌入部の外周面の少なくとも一部が覆われる
ことを特徴とする検体採取用キット。
【請求項3】
請求項1に記載の検体採取用キットにおいて、
前記容器部は、ポリエチレン又はポリプロピレンによって構成されており、厚みが0.3mm~0.7mmである
ことを特徴とする検体採取用キット。
【請求項4】
請求項1に記載の検体採取用キットにおいて、
前記スワブの前記検体採取部は、
前記軸部の軸方向に対して垂直をなす方向の直径が、一方側から他方側に向かって大きくなる第1傾斜部と、一方側から他方側に向かって小さくなる第2傾斜部と、を有する他方の端部に形成されており、
前記他方の端部の表面に対して、繊度が3.4Dtex~6.7Dtexの複数の繊維のみが均一な厚さの層を形成するように紫外線硬化樹脂からなる接着剤によって接着されている
ことを特徴とする検体採取用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料等の検体を採取するスワブを容器本体内に収容して封止することができる検体採取用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生物学上の検体検査における被検査物である検体をスワブで採取して、当該スワブを検査所等に移送するための検体採取用キットとしては、繊維が植毛されたスワブと、当該スワブを収容する容器本体と、容器本体を封止するキャップと、から構成されたものがあった。この検体採取用キットとしては、様々な態様のものがあるが、例えば、スワブの軸、容器本体、およびキャップが任意のプラスチック材料から構成され、スワブが装着されたキャップを容器本体の開口部に嵌め込むことによって、スワブが内部に収容された状態の容器本体をキャップにより封止するものがあった(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来の検体採取用キットにおいては、容器本体の開口部の壁部と嵌合されるキャップの溝とが嵌め込む方向に対して略平行となるように形成されているため、容器本体にキャップを嵌め込んだ場合に封止力が不十分となっていた。そのため、容器本体内がキャップによって封止されているにもかかわらず、検体採取用キットの移送中において、容器本体内に外部からの微生物や異物等が入ってしまったり、収容されているスワブに付着している検体(検体が溶出されている溶液等)が容器本体内から外部へ漏れてしまったりする虞があった。また、このような検体採取用キットは、使用前に滅菌処理(例えば、酸化エチレンガス(ethylene оxide gas)を利用した滅菌処理であるEOG滅菌処理がある。)を行って、滅菌済のスワブが滅菌済の容器本体内に収容された状態でキャップにより封止されるものである。しかしながら、上述した従来の検体採取用キットにおいては、滅菌処理後であって使用前に、容器本体内に外部からの微生物や異物等が入ってしまったりする虞もあった。つまり、検体採取用キットにおいては、容器本体の外部から内部への異物等の入り込み、および容器本体の内部から外部への検体等の漏れ、を従来よりも防止できることが求められていた。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、目的の一つとしては、容器本体の外部から内部への異物等の入り込み、および容器本体の内部から外部への検体等の漏れ、を従来よりも防止できる検体採取用キットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
本発明を適用させた適用例1としての検体採取用キット(検体採取用キット10,100)は、軸部(軸部21)と、検体を採取するために前記検体を付着させる検体採取部(検体採取部22)と、を有するスワブ(検体採取用スワブ20)と、一方の端部に開口部(容器開口部48,148)が形成され、前記スワブを収容する容器部(容器部40,140)と、前記スワブの前記軸部の一方の端部が取付けられ、前記容器部に対して開閉自在に嵌合することによって前記容器部を封止するキャップ部(キャップ部60,160)と、前記容器部又は前記キャップ部に設けられ、外周面のテーパ率が4/100~8/100である傾斜部(キャップ嵌合内壁部66b,容器嵌合内壁部146b)が形成された嵌入部(キャップ嵌合部65,容器嵌合部145)と、前記容器部又は前記キャップ部に設けられ、内周面のテーパ率が4/100~8/100である被嵌入部(容器嵌合部45,キャップ嵌合部165)と、を備えることを要旨とする。
【0008】
また、適用例1の検体採取用キットにおいて、前記嵌入部は、前記傾斜部の少なくとも一部を覆う壁部(キャップ嵌合外壁部66a,容器嵌合外壁部146a)と、前記壁部と前記傾斜部との間の空隙(空隙67,147)と、を有し、前記嵌入部と前記被嵌入部とが嵌合したとき、前記被嵌入部が前記空隙に嵌まっているとともに、前記壁部によって前記被嵌入部の外周面の少なくとも一部が覆われるものであってもよい。さらに、適用例1の検体採取用キットにおいて、前記容器部は、ポリエチレン又はポリプロピレンによって構成されており、厚みが0.3mm~0.7mmであるものであってもよい。そして、適用例1の検体採取用キットにおいて、前記スワブの前記検体採取部は、前記軸部の軸方向に対して垂直をなす方向の直径が、一方側から他方側に向かって大きくなる第1傾斜部(第1傾斜部28a)と、一方側から他方側に向かって小さくなる第2傾斜部(第2傾斜部28b)と、を有する他方の端部(軸端部25)に形成されており、前記他方の端部の表面に対して、繊度が3.4Dtex~6.7Dtexの複数の繊維のみが均一な厚さの層を形成するように紫外線硬化樹脂からなる接着剤によって接着されているものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(A)は、実施形態の一例である第1実施形態の検体採取用キット10の概略構成を示す全体図であり、(B)は、検体採取用キット10を構成する検体採取用スワブ20と、容器部40と、キャップ部60と、の概略構成を説明するための図である。
【
図2】(A)は、検体採取用スワブ20の概略構成を示す全体図であり、(B)は、検体採取用スワブ20における検体採取部22の概略構成を説明するための検体採取部22の断面図である。
【
図3】(A)は、容器部40の容器嵌合部45の概略構成を説明するための容器嵌合部45近傍の断面図であり、(B)は、キャップ部60の概略構成を示す全体斜視図であり、(C)は、キャップ部60の概略構成を説明するためのキャップ部60の全体の断面図である。
【
図4-1】第1実施形態の検体採取用キット10と同じ構成であって、樹脂材料および容器本体部の厚みが異なる18種類の検体採取用キットの各々に対するEOG滅菌試験の結果を説明するための表である。
【
図4-2】3種類の被験スワブの各々における採取・移植可能な検体の量に関する試験の結果を説明するための表である。
【
図5】(A)は、実施形態の一例である第2実施形態の検体採取用キット100の概略構成を示す全体図であり、(B)は、検体採取用キット100におけるキャップ部160の概略構成を説明するためのキャップ部160の全体の断面図であり、(C)は、検体採取用キット100における容器部140の容器嵌合部145の概略構成を説明するための容器嵌合部145近傍の断面図である。
【
図6】(A)は、その他の実施形態の一例である検体採取用キット200の概略構成を示す全体図であり、(B)は、検体採取用キット200におけるキャップ部260の概略構成を説明するためのキャップ部260の全体の断面図であり、(C)は、検体採取用キット200における容器部240の容器嵌合部245の概略構成を説明するための容器嵌合部245近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0011】
[第1実施形態]
図1~
図3を参照して、本発明が適用された実施形態の一例である第1実施形態の検体採取用キット10の構成について説明する。
図1(A)は、実施形態の一例である第1実施形態の検体採取用キット10の概略構成を示す全体図であり、
図1(B)は、検体採取用キット10を構成する検体採取用スワブ20と、容器部40と、キャップ部60と、の概略構成を説明するための図である。
図2(A)は、検体採取用スワブ20の概略構成を示す全体図であり、
図2(B)は、検体採取用スワブ20における検体採取部22の概略構成を説明するための検体採取部22の断面図である。
図3(A)は、容器部40の容器嵌合部45の概略構成を説明するための容器嵌合部45近傍の断面図であり、
図3(B)は、キャップ部60の概略構成を示す全体斜視図であり、
図3(C)は、キャップ部60の概略構成を説明するためのキャップ部60の全体の断面図である。
【0012】
図1(A)に示すように、まず、検体採取用キット10は、検体採取のときに検体を付着させる検体採取部22を有する検体採取用スワブ20と、検体採取用スワブ20を収容する容器部40と、検体採取用スワブ20の一方の端部が取付けられるとともに容器部40を封止するキャップ部60と、から構成されている。検体採取用スワブ20は、一方の端部においてキャップ部60に取付けられており、他方の端部において検体採取部22が設けられている。容器部40は、検体採取用スワブ20が取付けられたキャップ部60によって封止された場合に、キャップ部60に取付けられた検体採取用スワブ20を収容可能な長さを有するものである。
【0013】
図1(B)に示すように、次に、検体採取用キット10は、検体採取用スワブ20と、容器部40と、キャップ部60と、の各々に分離可能に構成されている。容器部40は、一方の端部側で検体採取用スワブ20を出し入れするための容器開口部48が形成されるとともにキャップ部60が装着される容器嵌合部45と、他方の端部側で閉じられた形状であって略全長に亘って一定の円形断面を有するような略試験管形状に形成された容器本体部41(本実施形態では、外径が12.0mm、長さが156.0mmである。)と、が所定の樹脂(本実施形態では、ポリエチレンである。)で厚みが0.3mmとなるように一体成形されたものである。容器嵌合部45は、後述するキャップ部60のキャップ嵌合部65(
図3(C)を参照。)と嵌合する部分であって、容器本体部41と同じ厚みの円筒形状の部分である。なお、キャップ部60も、容器部40と同じ所定の樹脂で構成されている。
【0014】
ここで、容器本体部41における所定の樹脂とその厚さとについて説明する。検体採取用キット10においては、検体採取用スワブ20を内部に収容した容器部40がキャップ部60で封止された状態(
図1(A)を参照。)で、後述するEOG(酸化エチレンガス)滅菌処理が行われるため、収容された検体採取用スワブ20および容器部40の内部を滅菌するために容器本体部41の内部に酸化エチレンガスを透過させる必要がある。このように酸化エチレンガスを透過可能な厚さの所定の樹脂としては、上述した厚みだけでなく、0.8mmより小さい厚みのポリエチレンであってもよい。また、このような厚みのポリエチレンだけでなく、0.8mmより小さい厚みのポリプロピレンであってもよく、更には、0.8mmより小さい厚みの低密度ポリエチレン(密度が0.91~0.94g/cm
3のものである。)であってもよい。さらに、所定の樹脂としては、ポリエチレンに、所定のエラストマー、ポリアミド、およびエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(Ethelene-vinyl acetate:EVA)のうちの少なくとも1つを混ぜたものであってもよく、ポリプロピレンに、所定のエラストマー、低密度ポリエチレン、ポリアミド、およびエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)のうちの少なくとも1つを混ぜたものであってもよく、低密度ポリエチレンに、所定のエラストマー、ポリアミド、およびエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)のうちの少なくとも1つを混ぜたものであってもよい。
【0015】
図2(A)に示すように、次に、検体採取用スワブ20は、熱可塑性樹脂(本実施形態では、ポリアミド樹脂である。)を棒状に成形した軸部21と、所定の繊維(本実施形態では、ポリアミド繊維である。)で形成されており、検体を採取するための1つの検体採取部22と、を備えている。検体採取部22は、軸部21の他方の端部25(
図2(B)を参照。)に形成されており、所定の繊維が端部25の表面の全面を覆うように当該表面に対して略垂直に接着されている。なお、所定の繊維としては、親水性を有する繊維であって、例えば、ポリアミド、レーヨン、ポリエステル、炭素繊維、アルギネート、綿、絹等や、これらの混紡で構成される繊維を使用することができる。また、所定の繊維の繊度については、1.7Dtex~6.7Dtexであればよく、本実施形態の検体採取用スワブ1においては、3.4Dtex~6.7Dtexが好ましく、特に、3.4Dtex~4.4Dtexが好ましい。
【0016】
図2(B)に示すように、次に、検体採取部22においては、約1.0mm長の所定の繊維が軸部21の端部25の表面に対して略垂直をなすように、所定の接着剤(本実施形態では、紫外線硬化樹脂である。)にて端部25の表面に対して直接接着されている。つまり、検体採取部22においては、軸部21の端部25の全面に亘って所定の繊維による厚さ約1.0mmの繊維層が形成されていることとなる。また、検体採取部22を形成する端部25においては、軸方向に対して垂直をなす方向の直径が、一方側から他方側に向かって大きくなる第1傾斜部28aと、一方側から他方側に向かって小さくなる第2傾斜部28bと、が形成されている。なお、
図2(B)においては、説明の便宜上、検体採取部20の繊維層における所定の繊維が軸部21の端部の表面に対して略垂直をなすように接着されている状態を所定の線影で示している。また、所定の接着剤としては、紫外線が照射されることによって硬化する紫外線硬化樹脂であって、例えば、ポリエステルベースの接着剤、アクリルベースの接着剤、ポリウレタンベースの接着剤、ポリアミドベースの接着剤、ビニルベースの接着剤、2液性エポキシ接着剤、シリコーン接着剤、シアノアクリレート接着剤、ポリウレタン接着剤、ラテックス接着剤等を使用することができる。特に、本実施形態の検体採取用スワブ20においては、315nm~400nmの波長の紫外線で硬化する接着剤であって、粘度(25℃)が100mPa・s~10000mPa・s(特に、1500mPa・s~3500mPa・s)のウレタンアクリレート樹脂が好ましい。さらに、所定の繊維の長さについては、0.5mm~3.0mmであればよく、特に、本実施形態の検体採取用スワブ20においては、0.6mm~1.0mmが好ましい。
【0017】
ここで、上述した検体採取用スワブ20の製造方法について説明する。検体採取用スワブ20の製造方法では、所定の搬送装置で搬送されている軸部21に対して、軸部21の検体採取部22が形成される端部25に所定の接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、帯電させた状態の1.0mm長の複数の所定の繊維が軸部21の端部25に付着するように複数の所定の繊維を供給する繊維供給工程と、軸部21の接着剤が塗布された端部25に対して紫外線を照射することによって接着剤を硬化させる接着剤硬化工程と、軸部21に対して空気を吹付けることによって接着されていない不要な繊維を除去する不要繊維除去工程と、が実行される。ここで、所定の搬送装置で搬送されている軸部21は約2秒で1回転するように回転しながら搬送されており、接着剤硬化工程においては、搬送されている軸部21の端部25に対する約2秒~3秒間の所定の紫外線照射装置での紫外線の照射によって、端部25に塗布された所定の接着剤に対して満遍なく紫外線が照射されることとなる。つまり、所定の紫外線照射装置での接着剤硬化工程によって、軸部21の接着剤が塗布された端部25に付着している約1.0mm長の複数の所定の繊維のみが、端部25の表面に対して略垂直をなすように固着され、検体採取部22が形成されることとなる。
【0018】
なお、上述のような検体採取用スワブ20において、接着剤をウレタンアクリレート樹脂であって、特に、粘度(25℃)が100mPa・s~10000mPa・sのウレタンアクリレート樹脂にすれば、粘度(25℃)が100mPa・s未満又は10000mPa・sよりも高いものに比べて、検体採取部22における接着剤の密度(接着剤の層の厚さ)を略均一に保つことが容易であるため、所定の繊維の接着性を良好にしつつ紫外線の照射による厚膜硬化性を良好にすることができる。また、このような検体採取用スワブ20であれば、硬化した接着剤においてウレタン結合による構造を有しているため、例えば、ウレタン結合による構造を有しない紫外線硬化樹脂からなる接着剤に比べて、ウレタン結合による構造に基づき伸張性および柔軟性を高いものとすることができる。ここで、例えば、従来のようなウレタン結合による構造を有しない紫外線硬化樹脂からなる接着剤で構成された検体採取用スワブであれば、人体の鼻腔内等に接触させて検体を採取するときに、検体採取部の繊維の先端が押し付けられることによって、人体側に対して必要以上の圧力が加わってしまい、裂傷等が発生してしまう虞があった。この点、このような検体採取用スワブ20であれば、ウレタン結合による構造に基づき従来に比べて伸張性および柔軟性が高いものであるため、検体採取部22の繊維の先端が押し付けられたとしても、従来に比べて人体側に対して必要以上の圧力が加わってしまうことが低減され、裂傷等の発生を軽減することができるとともに、延いては、検体を採取される側での不快感も低減することができる。
【0019】
また、このような検体採取用スワブ20は、所定の繊維のみがフロッキングされた検体採取部20であるため、不要な繊維が固着することがなく、不要な繊維の残存量に応じて検体等の吸着およびリリースの効率が変化したり一定とならなかったりするような虞もない。さらに、このような検体採取用スワブ20は、紫外線硬化樹脂における紫外線での硬化(所謂、ラジカル反応による硬化)によって複数の所定の繊維が固着されているため、例えば、紫外線硬化樹脂以外の熱硬化樹脂等の接着剤を使用した場合に比べて熱硬化工程等におけるアウトガスといった不要物質の発生を軽減することができ、不要物質の発生に基づいて検体等の吸着およびリリースの効率が変化したり歩留まりが悪くなったりする虞もない。なお、一般的に、繊度が大きければ大きいほどコシの強い繊維となるため、6.7Dtexを超える繊維のみで形成された検体採取部の場合、人体の鼻腔内等に接触させて検体を採取するときに、検体採取部の繊維の先端が押し付けられることによって、人体側に対して裂傷等を発生させてしまうとともに、検体を採取される側での不快感が大きくなってしまう虞がある。そのため、検体採取用スワブ20では、検体採取部22の繊維の繊度は3.4Dtex~6.7Dtexのものが好ましいものとしている。
【0020】
図3(A)に示すように、次に、容器嵌合部45は、厚みが0.3mmで長さが6.0mmとなるように構成されており、特に、後述するキャップ嵌合部65の空隙(
図3(C)を参照。)の全長以下の長さにように成形されている。また、容器嵌合部45は、容器開口部48が形成された一方の端部側から容器本体部41が形成された他方の端部側に向かって内径が小さくなるように形成されている。具体的には、容器嵌合部45の内周面においては、容器開口部48側の端部(一方の端部側)の内径をL1(本実施形態では、9.0mmである。)とし、容器本体部41側の端部(他方の端部側)の内径をL2(本実施形態では、8.62mmである。)とすると、L1>L2となるような形状であって、テーパ率が4/100~8/100(本実施形態では、6/100である。)となるようなテーパ形状となっている。
【0021】
図3(B)に示すように、次に、キャップ部60においては、検体採取用スワブ20の軸部21(
図2(A)を参照。)が取付けられて固定される軸固定部61と、容器部40の容器嵌合部45(
図3(A)を参照。)が嵌合するキャップ嵌合部65と、検体採取の作業者が容器部40に対して脱着するときの持ち手となる把持部68と、が形成されている。軸固定部61は、軸部21が挿入される軸挿入口62が形成されている。キャップ嵌合部65は、軸固定部61に固定された場合の軸部21の軸方向に対して垂直をなす方向の断面形状が円形状であってキャップ部60の外周面の一部を形成する外壁となるキャップ嵌合外壁部66aと、軸固定部61に固定された場合の軸部21の軸方向に対して垂直をなす方向の断面形状が円形状であってキャップ嵌合外壁部66aに覆われた部分のキャップ部60の周面を形成する内壁となるキャップ嵌合内壁部66bと、で構成されている。把持部68は、キャップ部60の外周面の一部を形成する外壁であって、検体採取の作業者が把持したときの滑り止めとなるように、軸固定部61に固定された場合の軸部21の軸方向に対して平行な複数の溝が表面に形成されている。
【0022】
図3(C)に示すように、そして、キャップ部60の内部には、軸挿入口62に連通する軸挿入穴63が形成されており、検体採取用スワブ20の軸部21が軸挿入口62から挿入され取付けられて、軸部21の一部が軸挿入穴63に嵌まり込むことによって、検体採取用スワブ20がキャップ部60に対して固定された状態となる。キャップ嵌合部65におけるキャップ嵌合外壁部66aとキャップ嵌合内壁部66bとの間には空隙67が形成されており、容器部40の容器嵌合部45が空隙67に嵌まることによって、キャップ部60が容器部40を開閉自在に封止することとなる。キャップ嵌合外壁部66aの内周面には、軸挿入穴63の軸方向に対して垂直をなす方向の厚みが、軸挿入穴63が形成された他方の端部側から把持部68が形成された一方の端部側に向かって大きくなるような傾斜部が形成されている。キャップ嵌合内壁部66bの外周面には、軸挿入穴63の軸方向に対して垂直をなす方向の厚みが、軸挿入穴63が形成された他方の端部側から把持部68が形成された一方の端部側に向かって大きくなるような傾斜部が形成されている。具体的には、キャップ嵌合内壁部66bの外周面である傾斜部においては、4/100~8/100(本実施形態では、6/100である。)のテーパ率のテーパ面が形成されている。つまり、キャップ部60における空隙67は、軸挿入穴63が形成された他方の端部側から把持部68が形成された一方の端部側に向かって幅が小さくなるように形成されている。なお、キャップ嵌合部65のキャップ嵌合内壁部66bにおいて、最も小さい外径(空隙67の幅が最も大きい部分の外径)をL3(本実施形態では、8.9mmである。)とすると、容器嵌合部45の容器開口部48側の内径L1と、容器嵌合部45の容器本体部41側の内径L2と、の関係は、L1>L3>L2となるような形状である。
【0023】
ここで、検体採取用キット10において、容器嵌合部45に対してキャップ部60が装着されるときについて説明する。容器嵌合部45に対してキャップ部60が装着されるときは、容器嵌合部45の内側にキャップ嵌合内壁部66bが嵌まり込むように、つまり、キャップ部60の空隙67に容器嵌合部45が嵌入されることとなる。このとき、容器嵌合部45の容器開口部48側の内径L1>キャップ嵌合部65のキャップ嵌合内壁部66bの最も小さい外径L3>容器嵌合部45の容器本体部41側の内径L2、であるため、キャップ嵌合内壁部66bが容器嵌合部45を押し拡げるように容器嵌合部45の内側に嵌入される。また、キャップ嵌合内壁部66bの傾斜部の傾斜角度と容器嵌合部45の内周面の傾斜角度とは同じであるため、容器嵌合部45の内側にキャップ嵌合内壁部66bが嵌まり込むに従ってキャップ嵌合内壁部66bと容器嵌合部45の内側面との接触面積が大きくなるように嵌入される。つまり、本実施形態の検体採取用キット10においては、キャップ嵌合部65(キャップ嵌合内壁部66b)が嵌入部であり、容器嵌合部45が被嵌入部となって、容器部40に対してキャップ部60が装着される。
【0024】
また、空隙67における最大幅となる部分(軸挿入口62側となる部分)は、1.05mm±0.1mmであり、容器嵌合部45の厚みに比べて2.38倍~3.83倍の幅となるように形成されており、空隙67における最小幅となる部分(把持部68側となる部分)は、0.75mm±0.1mmであり、容器嵌合部45の厚みに比べて1.65倍~2.83倍の幅となるように形成されている。つまり、空隙67において、最大幅となる部分の幅は、最小幅となる部分の幅に比べて1.12倍~1.77倍大きくなるように形成されている。したがって、容器嵌合部45の内側にキャップ嵌合内壁部66bが嵌まり込むときに、キャップ嵌合外壁部66aは、内周面にテーパ面となる傾斜部が形成されていることによって、容器嵌合部45がキャップ嵌合内壁部66bから離れるように拡がることを防止するとともに、容器嵌合部45がキャップ嵌合内壁部66bに沿うように拡がるためのガイドとなる。
【0025】
<種々の検体採取用キットに対するEOG滅菌試験による比較>
図4-1を参照して、ここで、3種類の樹脂材料を使用した検体採取用キットにであって、容器本体部における厚みの異なる各々のものに対してEOG滅菌処理を実施したEOG滅菌試験に関する結果を説明する。
図4-1は、第1実施形態の検体採取用キット10と同じ構成であって、樹脂材料および容器本体部の厚みが異なる18種類の検体採取用キットキットの各々に対するEOG滅菌試験の結果を説明するための表である。ここで、3種類の樹脂材料とは、ポリエチレン(以下、樹脂材料Aとする。)と、ポリプロピレン(以下、樹脂材料Bとする。)と、密度が0.91~0.94g/cm
3の低密度ポリエチレン(以下、樹脂材料Cとする。)と、である。また、容器本体部における厚みの異なるものとしては、0.2mmのものと、0.3mmのものと、0.4mmのものと、0.5mmのものと、0.6mmのものと、0.7mmのものと、0.8mmのものと、である。つまり、樹脂材料Aの検体採取用キットであって容器本体部の厚みの異なる7種類のものと、樹脂材料Bの検体採取用キットであって容器本体部の厚みの異なる7種類のものと、樹脂材料Cの検体採取用キットであって容器本体部の厚みの異なる7種類のものと、の21種類の検体採取用キットに対してEOG滅菌処理を実施した。なお、これら21種類の検体採取用キットは、容器本体部における厚みが異なるものの、上述した第1実施形態の検体採取用キットと同じ構成のものであって、例えば、樹脂材料Aの検体採取用キットであって容器本体部の厚みが0.2mmのものを、以下では、「樹脂材料A-0.2」と称する。
【0026】
また、EOG滅菌試験の手順等の概要について説明する。なお、EOG滅菌試験におけるEOG滅菌処理においては、EOG滅菌器を使用し、滅菌の効果を測定するための指標体としては、試験紙型バイオロジカル・インジケータ(以下、BI紙とする。)を使用し、指標菌としては、枯草菌(Bacillus atrophaeus(9372))を使用した。そして、21種の検体採取用キットの各々について、下記の試験の手順の(1)~(4)を実施した。
(1)容器本体部内にBI紙を入れた状態でキャップ部によって封止された試験対象の検体採取用キットを準備する。
(2)EOG滅菌器によって、試験対象の検体採取用キットに対するEOG滅菌処理を行う(滅菌時温度:50℃~65℃、滅菌時相対湿度:30%~80%、EOG濃度:400mg/L~700mg/L、EOG作用時間:4時間、エアレーション時温度:40℃~70℃、エアレーション時間:8時間)。
(3)EOG滅菌処理を実施した試験対象の検体採取用キットに対して、容器部における凹みやキャップ部の抜け等の有無を目視にて確認するキット外観試験を行う。
(4)EOG滅菌処理を実施した試験対象の検体採取用キットからBI紙を取り出して、当該BI紙を使用した直接法の無菌試験にてキャップ部によって封止された状態の容器部の内部が滅菌されたか否かの滅菌可否試験を行う。
【0027】
図4-1に示すように、まず、上述のEOG滅菌試験の結果として、「樹脂材料A-0.2」において、無菌試験で指標菌が発育しなかったため滅菌可否試験は「○」であるが、容器部における凹みおよびキャップ部の抜けが発生していたためキット外観試験は「×」であった。また、「樹脂材料A-0.3」、「樹脂材料A-0.4」、「樹脂材料A-0.5」、「樹脂材料A-0.6」、および「樹脂材料A-0.7」において、無菌試験で指標菌が発育しなかったため滅菌可否試験は「○」であり、容器部における凹み等が発生していなかったためキット外観試験は「○」であった。そして、「樹脂材料A-0.8」において、無菌試験で指標菌が発育したため滅菌可否試験は「×」であるが、容器部における凹み等が発生していなかったためキット外観試験は「○」であった。
【0028】
次に、「樹脂材料B-0.2」において、無菌試験で指標菌が発育しなかったため滅菌可否試験は「○」であるが、容器部における凹みおよびキャップ部の抜けが発生していたためキット外観試験は「×」であった。また、「樹脂材料B-0.3」、「樹脂材料B-0.4」、「樹脂材料B-0.5」、「樹脂材料B-0.6」、および「樹脂材料B-0.7」において、無菌試験で指標菌が発育しなかったため滅菌可否試験は「○」であり、容器部における凹み等が発生していなかったためキット外観試験は「○」であった。そして、「樹脂材料B-0.8」において、無菌試験で指標菌が発育したため滅菌可否試験は「×」であるが、容器部における凹み等が発生していなかったためキット外観試験は「○」であった。
【0029】
そして、「樹脂材料C-0.2」において、無菌試験で指標菌が発育しなかったため滅菌可否試験は「○」であるが、容器部における凹みおよびキャップ部の抜けが発生していたためキット外観試験は「×」であった。また、「樹脂材料C-0.3」、「樹脂材料C-0.4」、「樹脂材料C-0.5」、「樹脂材料C-0.6」、および「樹脂材料C-0.7」において、無菌試験で指標菌が発育しなかったため滅菌可否試験は「○」であり、容器部における凹み等が発生していなかったためキット外観試験は「○」であった。そして、「樹脂材料C-0.8」において、無菌試験で指標菌が発育したため滅菌可否試験は「×」であるが、容器部における凹み等が発生していなかったためキット外観試験は「○」であった。
【0030】
<種々の検体採取用スワブにおける採取・移植可能な検体量の比較>
図4-2を参照して、次に、3種類の検体採取用スワブである被験スワブの各々における採取・移植可能な検体の量に関する試験の結果を説明する。
図4-2は、3種類の被験スワブの各々における採取・移植可能な検体の量に関する試験の結果を説明するための表である。ここで、3種類の被験スワブとは、従来の検体採取用スワブである従来スワブと、本実施例の一例の検体採取用スワブである実施スワブ1と、本実施例の一例の検体採取用スワブである実施スワブ2と、である。具体的に、従来スワブは、検体採取部が3.3Dtexで1.0mm長のポリアミド繊維で構成されているものであり、実施スワブ1は、検体採取部が3.4Dtexで1.0mm長のポリアミド繊維で構成されているものであり、実施スワブ2は、検体採取部が4.4Dtexで1.0mm長のポリアミド繊維で構成されている検体採取用スワブ20に相当するものである。なお、実施スワブ1および実施スワブ2は、上述にて説明した方法と同じ方法で製造されたものである。また、当該試験における検体としては、Haemophilus influenzae ATCC10211を対象菌種として使用した。
【0031】
また、当該試験の手順等の概要について説明する。なお、当該試験については、CLSI M40-A2を参考にした方法で実施した。また、3種の被験スワブの各々について、下記の試験の手順のうちの(3)~(6)を5回実施した。
(1)5%CO2条件下において、対象菌種を前培養用培地(チョコレートHP寒天培地)で24時間の前培養を行う。
(2)前培養にて得られたものに基づいて菌液調整し、105倍に希釈した調整菌液を作製する。
(3)調整菌液を100μLの培地に広げたものを3つ作製し、1つの培地に対して、3種の被験スワブのうちの一つを浸して15秒間静置する。
(4)3種の被験スワブの各々の検体採取部において採取された菌液の各々を、900μLの滅菌生理食塩水中に洗い出し、管壁を使い検体採取部から可能な限りの菌液を搾り出す。
(5)搾り出した菌液を菌数測定用培地(チョコレートHP寒天培地)に滴下し、コンラージ棒で塗り広げて、5%CO2条件下で48時間培養を行う。
(6)上記の培養後の菌数測定用培地における発育集落数をカウントする。
【0032】
図4-2に示すように、上述の試験の結果として、従来スワブでは、菌量が2155×10
5cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(78.3±18.9)×10
5cfu/mL(最小で50×10
5cfu/mL、最大で105×10
5cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が3.63%となった。また、実施スワブ1では、菌量が2565×10
5cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(135±21.9)×10
5cfu/mL(最小で102×10
5cfu/mL、最大で156×10
5cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が5.26%となった。そして、実施スワブ2では、菌量が1290×10
5cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(88.7±16.4)×10
5cfu/mL(最小で74.5×10
5cfu/mL、最大で115×10
5cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が6.88%となった。なお、
図3において、検体採取部に移植された菌量である「スワブ移植」の数値は、5回の測定の平均値±標準偏差値であり、「スワブ移植(最小~最大)」の数値は、5回の測定での実測値であって最小値と最大値である。また、移植された菌量の割合とは、検体採取部から洗い出した菌液の菌量平均値/調整菌液の菌量×100、の計算式にて算出された値である。
【0033】
また、ここで、図示していないが、上述の菌種とは異なる菌種を対象菌種として、上述の試験と略同じ手順で実施した試験結果についても説明する。まず、対象菌種としてPseudomonas aeruginosa ATCC27853を使用した場合(好気条件下において前培養用培地(羊血液寒天培地)で24時間の前培養を行い、通常大気条件下において菌数測定用培地(トリプトソーヤ寒天培地)で24時間培養を行ったものとする。)について説明する。この試験の結果として、従来スワブでは、菌量が1170×105cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(80.1±12.1)×105cfu/mL(最小で69.5×105cfu/mL、最大で99×105cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が6.85%となった。また、実施スワブ1では、菌量が1170×105cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(104±19.9)×105cfu/mL(最小で80×105cfu/mL、最大で130×105cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が8.89%となった。そして、実施スワブ2では、菌量が1370×105cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(102±5.18)×105cfu/mL(最小で96×105cfu/mL、最大で108×105cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が7.44%となった。
【0034】
次に、対象菌種としてStreptococcus pyogenes ATCC19615を使用した場合(5%CO2条件下において前培養用培地(羊血液寒天培地)で24時間の前培養を行い、5%CO2条件下において菌数測定用培地(羊血液寒天培地)で24時間培養を行ったものとする。)について説明する。この試験の結果として、従来スワブでは、菌量が645×105cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(23±5.5)×105cfu/mL(最小で15.7×105cfu/mL、最大で31×105cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が3.57%となった。そして、実施スワブ2では、菌量が815×105cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(32±10.1)×105cfu/mL(最小で24×105cfu/mL、最大で46×105cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が3.93%となった。
【0035】
次に、対象菌種としてStreptococcus pneumоniae ATCC6305を使用した場合(5%CO2条件下において前培養用培地(羊血液寒天培地)で24時間の前培養を行い、5%CO2条件下において菌数測定用培地(羊血液寒天培地)で48時間培養を行ったものとする。)について説明する。この試験の結果として、従来スワブでは、菌量が615×105cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(22.1±4.0)×105cfu/mL(最小で18.5×105cfu/mL、最大で28×105cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が3.59%となった。そして、実施スワブ2では、菌量が490×105cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(29.4±4.1)×105cfu/mL(最小で23×105cfu/mL、最大で34×105cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が5.99%となった。
【0036】
そして、対象菌種としてNeisseria gonorrhoeae ATCC43069を使用した場合(5%CO2条件下において前培養用培地(チョコレートHP寒天培地)で24時間の前培養を行い、5%CO2条件下において菌数測定用培地(チョコレートHP寒天培地)で48時間培養を行ったものとする。)について説明する。この試験の結果として、従来スワブでは、菌量が1070×105cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(26.2±8.3)×105cfu/mL(最小で17.5×105cfu/mL、最大で40×105cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が2.45%となった。また、実施スワブ1では、菌量が402×105cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(36.6±14.2)×105cfu/mL(最小で19×105cfu/mL、最大で54×105cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が9.1%となった。そして、実施スワブ2では、菌量が850×105cfu/mLの調整菌液を使用した場合、検体採取部に移植された菌量が(60.9±14.3)×105cfu/mL(最小で42×105cfu/mL、最大で77.5×105cfu/mL)となり、移植された菌量の割合が7.16%となった。
【0037】
ここで、上述のような検体採取用スワブ20において、特に、検体採取部22の繊度が4.4Dtexの複数の繊維で形成するものとすれば、従来よりも移植菌量(%)の数値が大きくなるとともに、人体の鼻腔内等に接触させて検体を採取するときに、裂傷等の発生の可能性を従来と略同程度にすることができ、延いては、検体を採取される側での不快感も従来と略同程度にすることができる。
【0038】
[第2実施形態]
図5を参照して、本発明が適用された実施形態の一例である第2実施形態の検体採取用キット100の構成について、具体的に説明する。
図5(A)は、実施形態の一例である第2実施形態の検体採取用キット100の概略構成を示す全体図であり、
図5(B)は、検体採取用キット100におけるキャップ部160の概略構成を説明するためのキャップ部160の全体の断面図であり、
図5(C)は、検体採取用キット100における容器部140の容器嵌合部145の概略構成を説明するための容器嵌合部145近傍の断面図である。
【0039】
図5(A)に示すように、まず、検体採取用キット100は、上述した第1実施形態の検体採取用キット10と同様に、検体採取用スワブ20と、容器部140と、キャップ部160と、から構成されている。但し、容器部140とキャップ部160との構成が、当該第1実施形態の検体採取用キット10とは異なるため、異なる構成について以下に説明する。なお、容器部140の容器本体部141は、上述した第1実施形態と同様に、所定の樹脂(本実施形態では、ポリエチレンである。)で厚みが0.3mmとなるように成形されており、キャップ部160も、容器部140と同じ所定の樹脂で構成されている。
【0040】
図5(B)に示すように、次に、キャップ部160においては、検体採取用スワブ20の軸部21(
図5(A)を参照。)が取付けられて固定される軸固定部161と、後述する容器部140の容器嵌合部145(
図5(C)を参照。)が嵌合するキャップ嵌合部165と、検体採取の作業者が容器部140に対して脱着するときの持ち手となる把持部168と、が形成されている。軸固定部161および把持部168は、上述した第1実施形態の検体採取用キット10のキャップ部60と同様の形態であるため、詳細な説明を省略する。キャップ嵌合部165は、キャップ部160の外周面の一部を形成する外壁であって、軸挿入穴163の軸方向に凸状に形成されており、内周面においては、軸挿入穴163が形成された他方の端部側から把持部168が形成された一方の端部側に向かって内径が小さくなるような4/100~8/100(本実施形態では、6/100である。)のテーパ率のテーパ面が形成されている。また、キャップ嵌合部165によって一部が覆われた内壁を形成するキャップ内壁部166が形成されており、キャップ嵌合部165とキャップ内壁部166との間には空隙167が形成されている。
【0041】
図5(C)に示すように、そして、容器嵌合部145は、容器嵌合部145の外周面の一部を形成する外壁となる容器嵌合外壁部146aと、容器嵌合外壁部146aに覆われた部分の容器本体部141の内周面の一部を形成する内壁となる容器嵌合内壁部146bと、容器嵌合外壁部146aと容器嵌合内壁部146bとの間に形成された空隙147と、で構成されている。容器嵌合外壁部146aの内周面には、容器本体部141の軸方向に対して垂直をなす方向の厚みが、容器本体部141が形成された他方の端部側から容器開口部148が形成された一方の端部側に向かって小さくなるような傾斜部が形成されている。容器嵌合内壁部146bの外周面には、容器本体部141の軸方向に対して垂直をなす方向の厚みが、容器本体部141が形成された他方の端部側から容器開口部148が形成された一方の端部側に向かって小さくなるような傾斜部が形成されている。具体的には、容器嵌合外壁部146aの内周面においては、4/100~8/100(本実施形態では、6/100である。)のテーパ率のテーパ面が形成されており、容器嵌合内壁部146bの外周面である傾斜部においては、4/100~8/100(本実施形態では、6/100である。)のテーパ率のテーパ面が形成されている。
【0042】
ここで、検体採取用キット100において、容器嵌合部145に対してキャップ部160が装着されるときについて説明する。容器嵌合部145に対してキャップ部160が装着されるときは、キャップ嵌合部165の内側に容器嵌合内壁部146bが嵌まり込むように、つまり、キャップ部160の空隙167に容器嵌合内壁部146が嵌入されるとともに、容器嵌合部145の空隙147にキャップ嵌合部165が嵌入されることとなる。また、容器嵌合内壁部146bの傾斜部の傾斜角度とキャップ嵌合部165の内周面の傾斜角度とは同じであるため、キャップ嵌合部165の内側に容器嵌合内壁部146bが嵌まり込むに従って容器嵌合内壁部146bとキャップ嵌合部165の内側面との接触面積が大きくなるように嵌入される。つまり、本実施形態の検体採取用キット100においては、容器嵌合部145(容器嵌合内壁部146b)が嵌入部であり、キャップ嵌合部165が被嵌入部となって、容器部140に対してキャップ部160が装着される。さらに、キャップ嵌合部165の内側に容器嵌合内壁部146bが嵌まり込むときに、容器嵌合外壁部146aは、内周面にテーパ面が形成されていることによって、キャップ嵌合部165が容器嵌合内壁部146bに沿うように拡がるためのガイドとなる。
【0043】
なお、本実施形態のような構成の検体採取用キットについても、上述の第1実施形態と同様に、EOG滅菌試験を実施したところ、同様の結果となった。具体的には、検体採取用キット100と同様の構成であって、容器本体部の厚みが異なる21種類の試験体のうち、「樹脂材料A-0.3」、「樹脂材料A-0.4」、「樹脂材料A-0.5」、「樹脂材料A-0.6」、「樹脂材料A-0.7」、「樹脂材料B-0.3」、「樹脂材料B-0.4」、「樹脂材料B-0.5」、「樹脂材料B-0.6」、「樹脂材料B-0.7」、「樹脂材料C-0.3」、「樹脂材料C-0.4」、「樹脂材料C-0.5」、「樹脂材料C-0.6」、および「樹脂材料C-0.7」においては、滅菌可否試験が「○」であり、キット外観試験が「○」であった。
【0044】
[第1実施形態および第2実施形態の検体採取用キットの特徴]
上述の第1実施形態の検体採取用キット10によれば、軸部21と、検体を採取するために検体を付着させる検体採取部22と、を有する検体採取用スワブ20と、一方の端部に容器開口部48が形成され、検体採取用スワブ20を収容する容器部40と、検体採取用スワブ20の軸部21の一方の端部が取付けられ、容器部40に対して開閉自在に嵌合することによって容器部40を封止するキャップ部60と、キャップ部60に設けられ、外周面のテーパ率が4/100~8/100であるキャップ嵌合内壁部66bが形成された嵌入部であるキャップ嵌合部65と、容器部40に設けられ、内周面のテーパ率が4/100~8/100の被嵌入部である容器嵌合部45と、を備えるような構成にすることができる。
【0045】
また、上述の第2実施形態の検体採取用キット100によれば、軸部21と、検体を採取するために検体を付着させる検体採取部22と、を有する検体採取用スワブ20と、一方の端部に容器開口部148が形成され、検体採取用スワブ20を収容する容器部140と、検体採取用スワブ20の軸部21の一方の端部が取付けられ、容器部140に対して開閉自在に嵌合することによって容器部140を封止するキャップ部160と、容器部1400に設けられ、外周面のテーパ率が4/100~8/100である容器嵌合内壁部146bが形成された嵌入部である容器嵌合部145と、キャップ部160に設けられ、内周面のテーパ率が4/100~8/100の被嵌入部であるキャップ嵌合部165と、を備えるような構成にすることができる。
【0046】
ここで、キャップ部60,160および容器部40,140においては、オステーパ部となる嵌入部と、メステーパ部となる被嵌入部と、が嵌合することによって、テーパ形状でない従来の嵌合部分に比べて封止力および密閉性が高い構成の嵌合部分にすることができる。したがって、このような検体採取用キット10,100であれば、容器部40の容器嵌合部45に対してキャップ部60のキャップ嵌合部65が嵌め込まれたとき、およびキャップ部160のキャップ嵌入部165に対して容器部140の容器嵌合部145が嵌め込まれたとき、には、容器部40,140におけるキャップ部60,160による封止力等を従来に比べて高いものにすることができるため、容器部40、140の外部から内部への異物等の入り込み、および容器部40、140の内部から外部への検体等の漏れ、を従来よりも防止できる。
【0047】
また、上述の第1実施形態の検体採取用キット10によれば、キャップ嵌合部65は、キャップ嵌合内壁部66bの少なくとも一部を覆うキャップ嵌合外壁部66aと、キャップ嵌合外壁部66aとキャップ嵌合内壁部66bとの間の空隙67と、を有し、キャップ嵌合部65と容器嵌合部45とが嵌合したとき、容器嵌合部45が空隙67に嵌まっているとともに、キャップ嵌合外壁部66aによって容器嵌合部45の外周面の少なくとも一部が覆われるような構成にすることができる。また、上述の第2実施形態の検体採取用キット100によれば、容器嵌合部145は、容器嵌合内壁部146bの少なくとも一部を覆う容器嵌合外壁部146aと、容器嵌合外壁部146aと容器嵌合内壁部146bとの間の空隙147と、を有し、容器嵌合部145とキャップ嵌合部165とが嵌合したとき、キャップ嵌合部165が空隙147に嵌まっているとともに、容器嵌合外壁部146aによってキャップ嵌合部165の外周面の少なくとも一部が覆われるような構成にすることができる。
【0048】
このような検体採取用キット10であれば、容器部40の容器嵌合部45に対してキャップ部60のキャップ嵌合部65が嵌め込まれた場合、キャップ嵌合内壁部66bを覆う容器嵌合部45がキャップ嵌合外壁部66aで覆われた構成にすることができる。また、このような検体採取用キット100であれば、キャップ部160のキャップ嵌入部165に対して容器部140の容器嵌合部145が嵌め込まれた場合、容器嵌合内壁部146bを覆うキャップ嵌合部165が容器嵌合外壁部146aで覆われた構成にすることができる。つまり、このような検体採取用キット10,100においては、嵌合部分の外側がキャップ嵌合外壁部66a等によってさらに覆われる構成であるため、容器部40、140の外部から内部への異物等の入り込み、および容器部40、140の内部から外部への検体等の漏れ、を従来よりも防止できる。
【0049】
さらに、上述の実施形態の検体採取用キット10,100によれば、容器部40の容器本体部41および容器部140の容器本体部141は、ポリエチレン又はポリプロピレンによって構成されており、厚みが0.3mm~0.7mmであるものにすることができる。ここで、従来では、容器の内部を滅菌するためにEOGの透過が十分でなかったため、容器を封止していない状態でEOG滅菌処理を行う必要があり、容器を封止した状態で容器の内部を滅菌するためにEOG濃度を高くしてしまう(EOG充填時に加える圧力を大きな値としてしまう)とともに、エアレーション時の減圧を大きな値としてしまうために、EOG滅菌処理後の容器の凹みやキャップ部の抜け等が生じたりしていた。この点、このような検体採取用キット10,100であれば、上述のEOG滅菌処理によって、キャップ部によって封止された状態で容器部の内部のスワブを滅菌できるとともに、容器部における凹みやキャップ部の抜け等の破損することのないものにすることができる。つまり、検体採取前の開封や破損等による容器部40、140の外部から内部への異物等の入り込みを防止できるとともに、破損部分における検体採取後の容器部40、140の外部から内部への異物等の入り込みおよび容器部40、140の内部から外部への検体等の漏れ、も防止できる。
【0050】
そして、上述の実施形態の検体採取用キット10,100によれば、検体採取用スワブ20の検体採取部22は、軸部21の軸方向に対して垂直をなす方向の直径が、一方側から他方側に向かって大きくなる第1傾斜部28aと、一方側から他方側に向かって小さくなる第2傾斜部28bと、を有する他方側の軸端部25に形成されており、軸端部25の表面に対して、繊度が3.4Dtex~6.7Dtexの複数の繊維のみが均一な厚さの層を形成するように紫外線硬化樹脂からなる接着剤によって接着されているものとすることができる。
【0051】
このような検体採取用キット10,100であれば、検体採取用スワブ20の検体採取部22は繊度が3.4Dtex~6.7Dtexの所定の繊維のみが均一な厚さの層をなすように接着された構成となるため、検体採取部22における検体等の吸着およびリリースの効率が所望の値および略一定の値であって、従来(繊度が3.3Dtexの繊維で検体採取部が形成されているもの)よりも良い値となるような検体採取用スワブ20を有するものにすることができる。特に、検体採取用スワブ20において、繊度が3.4Dtex以上であれば、従来よりも移植菌量(%)の数値が大きく、延いては、繊度が大きければ大きいほど移植菌量(%)の数値が大きくなり、つまりは、従来よりも検体採取部22における検体等の吸着およびリリースの効率が従来よりも良い値となる。したがって、このような検体採取用キット10,100であれば、検体等の吸着およびリリースの効率が従来よりも良い値の検体採取用スワブ20によって採取された検体等について、容器部40、140の外部から内部への異物等の入り込み、および容器部40、140の内部から外部への検体等の漏れ、を従来よりも防止しつつ適切に移送することができる。
【0052】
なお、検体採取用キット10におけるテーパ形状の容器嵌合部45、キャップ嵌合外壁部66aの傾斜部、およびキャップ嵌合内壁部66bの傾斜部については、テーパ率が4/100~8/100であるものとしたが、好ましくは5/100~7/100であり、より好ましくは6/100であればよい。また、検体採取用キット100におけるテーパ形状のキャップ嵌合部165、容器嵌合外壁部146aの内周面、および容器嵌合内壁部146bの傾斜部については、テーパ率が4/100~8/100であるものとしたが、好ましくは5/100~7/100であり、特に好ましくは6/100であればよい。このような検体採取用キット10,100であれば、上述のような作用および効果を奏することができる。
【0053】
[その他の実施形態]
上述の実施形態の検体採取用キット10,100においては、容器嵌合部45とキャップ嵌合部65、および容器嵌合部145とキャップ嵌合部165の大きさや形状等が上述のような態様であるとしたが、これに限定されず、容器本体の外部から内部への異物等の入り込み、および容器本体の内部から外部への検体等の漏れ、を従来よりも防止できる態様であれば、種々の大きさや形状の容器嵌合部およびキャップ嵌合部を備えたものにすることもできる。具体的に、上述の第1実施形態の検体採取用キット10において、キャップ嵌合外壁部66aの内周面には、4/100~8/100のテーパ率のテーパ面となる傾斜部(傾斜角度が1.15度~2.29度のもの)が形成されているが、傾斜部の傾斜角度はこれに限定されず、種々の角度であってもよく、例えば、当該傾斜部の傾斜角度が、1度~3度であってもよく、好ましくは1.1度~2.3度であり、より好ましくは1.4度~2.1度であり、特に好ましくは1.7度の角度であってもよい。つまり、キャップ部60における空隙67が、軸挿入穴63が形成された他方の端部側から把持部68が形成された一方の端部側に向かって幅が小さくなるように形成されていれば、種々の角度を採用することができる。このような角度の傾斜部であっても、容器嵌合部45の内側にキャップ嵌合内壁部66bが嵌まり込むときに、キャップ嵌合外壁部66aは、容器嵌合部45がキャップ嵌合内壁部66bから離れるように拡がることを防止するとともに、容器嵌合部45がキャップ嵌合内壁部66bに沿うように拡がるためのガイドとなることができる。
【0054】
図6を参照して、ここで、その他の実施形態の一例である検体採取用キット200について、具体的に説明する。
図6(A)は、その他の実施形態の一例である検体採取用キット200の概略構成を示す全体図であり、
図6(B)は、検体採取用キット200におけるキャップ部260の概略構成を説明するためのキャップ部260の全体の断面図であり、
図6(C)は、検体採取用キット200における容器部240の容器嵌合部245の概略構成を説明するための容器嵌合部245近傍の断面図である。
【0055】
図6(A)に示すように、まず、検体採取用キット200は、上述した第1実施形態の検体採取用キット10および第2実施形態の検体採取用キット100と同様に、検体採取用スワブ20と、容器部240と、キャップ部260と、から構成されている。但し、容器部240とキャップ部260との構成が、当該検体採取用キット10等とは異なるため、異なる構成について以下に説明する。なお、容器部240の容器本体部241は、上述した第1実施形態と同様に、所定の樹脂(本実施形態では、ポリエチレンである。)で厚みが0.3mmとなるように成形されており、キャップ部260も、容器部240と同じ所定の樹脂で構成されている。
【0056】
図6(B)に示すように、次に、キャップ部260においては、検体採取用スワブ20の軸部21(
図6(A)を参照。)が取付けられて固定される軸固定部261と、後述する容器部240の容器嵌合部245(
図6(C)を参照。)が嵌合するキャップ嵌合部265と、検体採取の作業者が容器部240に対して脱着するときの持ち手となる把持部268と、が形成されている。軸固定部261および把持部268は、上述した検体採取用キット10等と同様の形態であるため、詳細な説明を省略する。キャップ嵌合部265の外周面には、軸挿入穴263の軸方向に対して垂直をなす方向の厚みが、軸挿入穴263が形成された他方の端部側から把持部268が形成された一方の端部側に向かって大きくなるような傾斜部が形成されている。具体的には、キャップ嵌合部265の外周面である傾斜部においては、4/100~8/100(本実施形態では、6/100である。)のテーパ率のテーパ面が形成されている。
【0057】
図6(C)に示すように、そして、容器嵌合部245は、キャップ嵌合部265(
図6(B)を参照。)の全長以下の長さにように成形されており、容器開口部248が形成された一方の端部側から容器本体部41が形成された他方の端部側に向かって内径が小さくなるような傾斜部が内周面に形成されている。具体的には、容器嵌合部245の内周面である傾斜部においては、4/100~8/100(本実施形態では、6/100である。)のテーパ率のテーパ面が形成されている。ここで、検体採取用キット200において、容器嵌合部245に対してキャップ部260が装着されるときについて説明する。容器嵌合部245に対してキャップ部260が装着されるときは、容器嵌合部245の内側にキャップ嵌合部265が嵌まり込むように嵌入されることとなる。このとき、キャップ嵌合部265の傾斜部の傾斜角度と容器嵌合部245の内周面の傾斜角度とは同じであるため、容器嵌合部245の内側にキャップ嵌合部265が嵌まり込むに従ってキャップ嵌合部265の外周面と容器嵌合部245の内側面との接触面積が大きくなるように嵌入される。つまり、検体採取用キット200においては、キャップ嵌合部265が嵌入部であり、容器嵌合部245が被嵌入部となって、容器部240に対してキャップ部260が装着される。このような検体採取用キット200であっても、容器部240の容器嵌合部245に対してキャップ部260のキャップ嵌合部265が嵌め込まれたときには、容器部240におけるキャップ部260による封止力等を従来に比べて高いものにすることができるため、容器部240の外部から内部への異物等の入り込み、および容器部240の内部から外部への検体等の漏れ、を従来よりも防止できる。
【0058】
以上、実施形態、変形例等に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0059】
10,100…検体採取用キット、20…検体採取用スワブ(スワブ)、21…軸部、22…検体採取部、40,140…容器部、45…容器嵌合部(被嵌入部)、48,148…容器開口部(開口部)、60,160…キャップ部、65…キャップ嵌合部(嵌入部)、66b…キャップ嵌合内壁部(傾斜部)、67,147…空隙、145…容器嵌合部(嵌入部)、146b…容器嵌合内壁部(傾斜部)、165…キャップ嵌合部(被嵌入部)。