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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100006
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】蓄電素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/103 20210101AFI20240719BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240719BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240719BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240719BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240719BHJP
   H01M 50/547 20210101ALI20240719BHJP
   H01M 6/02 20060101ALI20240719BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240719BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M50/15
H01M10/04 Z
H01M10/052
H01M10/058
H01M50/547
H01M6/02 Z
H01G11/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003691
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】岡部 一弥
(72)【発明者】
【氏名】奥山 良一
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H024
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5E078BA18
5E078BA27
5E078CA06
5E078FA02
5E078FA13
5E078HA04
5E078HA12
5E078HA25
5H011AA09
5H011DD07
5H011DD11
5H011KK01
5H024CC01
5H024CC06
5H024CC07
5H024DD01
5H024DD11
5H024HH13
5H024HH15
5H028AA07
5H028BB01
5H028BB15
5H028CC05
5H028CC07
5H028CC08
5H028HH05
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL12
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ04
5H029DJ02
5H029DJ05
5H029HJ04
5H029HJ12
5H043AA05
5H043AA19
5H043BA01
5H043BA11
5H043BA19
5H043CA04
5H043DA08
5H043DA20
5H043LA21D
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電極体を容器本体内にスムーズに挿入可能な蓄電素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】蓄電素子10は、積層された極板を有する電極体700と、電極体を収容する容器と、を備え、容器は、容器本体160と容器蓋体170とを備え、容器本体は、極板の積層方向で電極体と対向する第一壁部161と、第一壁部の全周縁から立ち上がる第二壁部162と、を備え、容器蓋体は、第二壁部がなす開口を塞いだ状態で当該第二壁部に接合されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された極板を有する電極体と、
前記電極体を収容する容器と、を備え、
前記容器は、容器本体と容器蓋体とを備え、
前記容器本体は、
前記極板の積層方向で前記電極体と対向する第一壁部と、
前記第一壁部の全周縁から立ち上がる第二壁部と、を備え、
前記容器蓋体は、前記第二壁部がなす開口を塞いだ状態で当該第二壁部に接合されている、
蓄電素子。
【請求項2】
前記容器蓋体は、
前記積層方向で前記電極体と対向する第一蓋壁部と、
前記第一蓋壁部の全周縁から立ち上がる第二蓋壁部と、を備える、
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記容器は、前記積層方向視において、長方形の少なくとも一つの角部が切り欠かれた切欠部を有する形状である、
請求項1または2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記容器は、複数の前記切欠部を有する形状である、
請求項3に記載の蓄電素子。
【請求項5】
それぞれ前記電極体に電気的に接続された一対の端子を備え、
前記一対の端子は、前記第二壁部の同一方向を向く面に取り付けられている、
請求項1または2に記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記容器本体の肉厚は、0.5mm以上1.0mm以下であり、
前記容器蓋体の肉厚は、0.5mm以上1.0mm以下である、
請求項1または2に記載の蓄電素子。
【請求項7】
蓄電素子の製造方法であって、
前記蓄電素子は、
積層された極板を有する電極体と、
前記電極体を収容する容器と、を備え、
前記容器は、容器本体と容器蓋体とを備え、
前記容器本体は、
第一壁部と、
前記第一壁部の全周縁から立ち上がる第二壁部と、を備え、
前記製造方法は、
前記電極体を、前記極板の積層方向で前記第一壁部に対向させて前記容器本体内に挿入することと、
前記挿入することの後に、前記第二壁部がなす開口を前記容器蓋体で塞いだ状態で、当該容器蓋体を前記第二壁部に接合することと、を含む、
蓄電素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、捲回群と、捲回群を収容する筒状の電池缶とを備えた扁平捲回形二次電池が知られている。製造時においては、電池缶の開放端から捲回群が挿入されて収容される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-161555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の扁平捲回形二次電池では、電池缶に捲回群を挿入する際には捲回群が電池缶から摩擦を受けてしまい、挿入性が損なわれるおそれがある。
【0005】
このため、本発明の目的は、電極体を容器本体内にスムーズに挿入可能な蓄電素子及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電素子は、積層された極板を有する電極体と、前記電極体を収容する容器と、を備え、前記容器は、容器本体と容器蓋体とを備え、前記容器本体は、前記極板の積層方向で前記電極体と対向する第一壁部と、前記第一壁部の全周縁から立ち上がる第二壁部と、を備え、前記容器蓋体は、前記第二壁部がなす開口を塞いだ状態で当該第二壁部に接合されている。
【0007】
本発明の一態様に係る蓄電素子の製造方法であって、前記蓄電素子は、積層された極板を有する電極体と、前記電極体を収容する容器と、を備え、前記容器は、容器本体と容器蓋体とを備え、前記容器本体は、第一壁部と、前記第一壁部の全周縁から立ち上がる第二壁部と、を備え、前記製造方法は、前記電極体を、前記極板の積層方向で前記第一壁部に対向させて前記容器本体内に挿入することと、前記挿入することの後に、前記第二壁部がなす開口を前記容器蓋体で塞いだ状態で、当該容器蓋体を前記第二壁部に接合することと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電極体を容器本体内にスムーズに挿入できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係る蓄電素子を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る電極体の構成を示す斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る容器本体と容器蓋体との接合状態を示す断面図である。
図5図5は、実施の形態の変形例1に係る容器蓋体を示す断面図である。
図6図6は、実施の形態の変形例2に係る容器蓋体を示す断面図である。
図7図7は、実施の形態の変形例3に係る容器本体を示す断面図である。
図8図8は、実施の形態の変形例4に係る蓄電素子を示す斜視図である。
図9図9は、実施の形態の変形例5に係る蓄電素子を示す斜視図である。
図10図10は、実施の形態に係る蓄電素子を備えた蓄電装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)本発明の一態様に係る蓄電素子は、積層された極板を有する電極体と、前記電極体を収容する容器と、を備え、前記容器は、容器本体と容器蓋体とを備え、前記容器本体は、前記極板の積層方向で前記電極体と対向する第一壁部と、前記第一壁部の全周縁から立ち上がる第二壁部と、を備え、前記容器蓋体は、前記第二壁部がなす開口を塞いだ状態で当該第二壁部に接合されている。
【0011】
これによれば、容器本体の第一壁部の全周縁から第二壁部が立ち上がっているので、第二壁部がなす開口内に電極体を積層方向から挿入できる。つまり、電極体に作用する挿入時の摩擦を低減でき、当該電極体を容器本体内にスムーズに挿入できる。
【0012】
(2)上記(1)に記載の蓄電素子において、前記容器蓋体は、前記積層方向で前記電極体と対向する第一蓋壁部と、前記第一蓋壁部の全周縁から立ち上がる第二蓋壁部と、を備える、としてもよい。
【0013】
これによれば、容器蓋体の第二蓋壁部は、第一蓋壁部の全周縁から立ち上がっているので、容器蓋体の剛性を高めることができる。この容器蓋体が、容器本体の第二壁部に重なって容器本体の開口を塞いでいるので、電極体の膨張を起因とした容器蓋体の変形を抑制できる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)に記載の蓄電素子において、前記容器は、前記積層方向視において、長方形の少なくとも一つの角部が切り欠かれた切欠部を有する形状である、としてもよい。
【0015】
これによれば、容器に切欠部が設けられているので、容器に備わる角部を増加させることができる。この増加した角部により容器の剛性を高めることができ、容器の変形を抑制できる。
【0016】
(4)上記(3)に記載の蓄電素子において、前記容器は、複数の前記切欠部を有する形状である、としてもよい。
【0017】
これによれば、容器が複数の切欠部を有する形状であるので、容器蓋体及び容器本体も当該切欠部を有する形状となる。容器本体においては複数の切欠部によって角部が増加する。この角部により、容器本体の剛性を高めることができる。
【0018】
(5)上記(1)から(4)のいずれかひとつに記載の蓄電素子において、それぞれ前記電極体に電気的に接続された一対の端子を備え、前記一対の端子は、前記第二壁部の同一方向を向く面に取り付けられている、としてもよい。
【0019】
これによれば、一対の端子が第二壁部の同一方向を向く面に取り付けられているので、各端子を一方向から視認でき、各端子に対するバスバーの接続作業を容易化できる。
【0020】
(6)上記(1)から(5)のいずれかひとつに記載の蓄電素子において、前記容器本体の肉厚は、0.5mm以上1.0mm以下であり、前記容器蓋体の肉厚は、0.5mm以上1.0mm以下である、としてもよい。
【0021】
これによれば、容器本体と容器蓋体との肉厚が1.0mm以下であるので、容器内における電極体の収容空間が容器本体と容器蓋体とにより過剰に消費されてしまうことを抑制できる。さらに容器本体と容器蓋体との肉厚が0.5mm以上であるので、容器本体と容器蓋体とのそれぞれの剛性を高めることができ、容器の変形を抑制できる。
【0022】
(7)本発明の一態様に係る蓄電素子の製造方法であって、前記蓄電素子は、積層された極板を有する電極体と、前記電極体を収容する容器と、を備え、前記容器は、容器本体と容器蓋体とを備え、前記容器本体は、第一壁部と、前記第一壁部の全周縁から立ち上がる第二壁部と、を備え、前記製造方法は、前記電極体を、前記極板の積層方向で前記第一壁部に対向させて前記容器本体内に挿入することと、前記挿入することの後に、前記第二壁部がなす開口を前記容器蓋体で塞いだ状態で、当該容器蓋体を前記第二壁部に接合することと、を含む。
【0023】
これによれば、製造時には、電極体は、容器本体全周縁から立ち上がった第二壁部がなす開口内に、積層方向で第一壁部に対向させて挿入される。つまり、電極体に作用する挿入時の摩擦を低減でき、当該電極体を容器本体内にスムーズに挿入できる。
【0024】
(実施の形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電素子について説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。本実施の形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施の形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0025】
以下の説明及び図面中において、電極体の巻回軸に沿う方向、電極体の延びる方向、または、容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。電極体の極板の積層方向、または、容器の厚み方向をY軸方向と定義する。容器の上面と下面との並び方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0026】
以下の説明において、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、数%程度の差異を含むことも意味する。以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
【0027】
[蓄電素子の全般的な説明]
まず、図1及び図2を用いて、本実施の形態における蓄電素子10の全般的な説明を行う。図1は、実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係る蓄電素子10を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。
【0028】
蓄電素子10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電できる蓄電素子であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。蓄電素子10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用されるバッテリである。具体的には、蓄電素子10は、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、及び、化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電素子10は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いてもよい。
【0029】
蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子10は、二次電池ではなく、一次電池であってもよい。さらに、蓄電素子10は、固体電解質を用いた電池であってもよい。本実施の形態では、扁平な直方体形状を基準とした(略直方体形状の)蓄電素子10を図示しているが、蓄電素子10の形状、つまり容器100の形状は、直方体形状を基準とした形状には限定されず、直方体以外の多角柱形状、長円柱形状、楕円柱形状または円柱形状等を基準とした形状であってもよい。
【0030】
図1及び図2に示すように、蓄電素子10は、容器100と、一対の端子300と、一対の外部ガスケット400とを備えている。容器100の内方には、一対の内部ガスケット500と、一対の集電体600と、電極体700と、が収容されている。具体的には、容器100におけるX軸プラス方向の一端部に、正極の各部材(一つの端子300、一つの外部ガスケット400、一つの内部ガスケット500及び一つの集電体600等。以下同様)が配置されている。容器100におけるX軸マイナス方向の他端部に、負極の各部材が配置されている。
【0031】
容器100の内部には、電解液(非水電解質)が封入されているが、図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択してもよい。上記の構成要素の他、電極体700の側方、上方または下方等に配置されるスペーサ、電極体700等を包み込む絶縁フィルム等が配置されていてもよい。
【0032】
容器100は、X軸方向に長尺かつ扁平な直方体形状を基準とした(略直方体形状の)外形を有するケースである。容器100のX軸方向の長さは、容器100のZ軸方向の長さの3倍以上となっている。容器100のX軸方向の長さは、容器100のY軸方向の長さの5倍以上となっている。図1では、基準となる直方体形状を二点鎖線L1で図示している。具体的には、容器100のX軸方向の両端の上部には、直方体形状の一対の切欠部101が形成されている。これにより、容器100は、Y軸方向視で、長方形の一対の角部であって、X軸方向で隣り合う一対の角部が切り欠かれた一対の切欠部101を有する形状となっている。長方形の角部が切り欠かれるものの、容器100自体には各切欠部101によって角部が増加することになる。具体的に説明すると、切欠部101がない場合(二点鎖線L1の場合)では、Y軸方向視で容器100に4つの角部がある。これに対し、本実施の形態では、各切欠部101によってY軸方向視で8つの角部が容器100に設けられている。
【0033】
ここで、一対の切欠部101のうち、X軸プラス方向の切欠部101を第一切欠部110と称し、X軸マイナス方向の切欠部101を第二切欠部120と称す。具体的には、第一切欠部110は、YZ面に平行な矩形状の第一側面111と、第一側面111の下端からX軸プラス方向に延びて、XY面に平行な矩形状の第一上面112とにより形成されている。第一切欠部110は、容器100のX軸プラス方向かつZ軸プラス方向の角部が、Y軸方向から見て四角形状(L字状)に凹んだ凹部である。
【0034】
第二切欠部120は、YZ面に平行かつZ軸方向に長尺な矩形状の第二側面121と、第二側面121の下端からX軸マイナス方向に延びて、XY面に平行かつX軸方向に長尺な矩形状の第二上面122とにより形成されている。第二切欠部120は、容器100のX軸マイナス方向かつZ軸プラス方向の角部が、Y軸方向から見て四角形状(L字状)に凹んだ凹部である。
【0035】
容器100において、長側面130はY軸方向で対向する両端面である。各長側面130は、XZ面に平行かつX軸方向に長尺な平面であり、そのX軸方向の両端部が各切欠部101に対応した形状となっている。
【0036】
容器100において、短側面113、123は、X軸方向で対向する両端の面である。短側面113は、上端が第一上面112に連続し、YZ面に平行な矩形状の平面である。短側面123は、上端が第二上面122に連続し、YZ面に平行な矩形状の平面である。
【0037】
容器100においてZ軸方向で対向する両端面のうち、Z軸プラス方向の端面が上面140であり、Z軸マイナス方向の端面が下面150である。上面140は、第一側面111の上端と、第二側面121の上端とを結ぶ平面であり、XY面にな矩形状の平面である。下面150は、短側面113の下端と短側面123の下端とを結ぶ平面であり、XY面に平行な矩形状の平面である。
【0038】
容器100は、容器本体160と容器蓋体170とを有している、、容器100は、容器本体160と容器蓋体170とが組み付けられることで略直方体形状をなしている。容器本体160は、Y軸プラス方向の長側面130と、上面140と、下面150と、短側面113、123と、第一側面111と、第一上面112と、第二側面121と、第二上面122とを有している。
【0039】
容器本体160は、Y軸マイナス方向が開放された箱形状を有する。容器本体160は絞り加工により形成されている。容器本体160は、Y軸プラス方向の長側面130をなす平板状の底壁161と、底壁161の周縁の全体に形成された側壁162とを有している。
【0040】
底壁161は、第一壁部の一例であり、Y軸プラス方向の長側面130を有する平板状の板金である。具体的には、底壁161は、平面視で逆T字状に形成されている。底壁161は、Y軸方向で電極体700と対向する。
【0041】
側壁162は、第二壁部の一例であり、底壁161の全周縁から底壁161に連続してY軸マイナス方向に立ち上がっている。側壁162は、上面140と、下面150と、短側面113、123と、第一側面111と、第一上面112と、第二側面121と、第二上面122とで形成されている。側壁162は、電極体700等が収容される開口を形成している。
【0042】
容器本体160における側壁162の短側面113と側壁162の短側面123との間の長さは、容器本体160における側壁162の上面140と側壁162の下面150との間の長さの3倍以上となっている。つまり、極板の積層方向(Y軸方向)からみて底壁161の長い辺の長さ(X軸方向の辺の長さ)は、底壁161の短い辺の長さ(Z軸方向の辺の長さ)の3倍以上となっている。容器本体160における側壁162の短側面113と側壁162の短側面123との間の長さは、側壁162の高さの5倍以上となっている。つまり、底壁161の長い辺の長さ(X軸方向の辺の長さ)は、側壁162の高さ(Y軸方向の辺の長さ)の5倍以上となっている。
【0043】
容器蓋体170は、容器本体160の側壁162がなす開口を塞いでいる。容器本体160は、側壁162に接合されている。容器蓋体170は、Y軸マイナス方向の長側面130を有する平板状の板金である。具体的には容器蓋体170は、平面視で逆T字状に形成されている。容器蓋体170は、Y軸方向で電極体700と対向する。
【0044】
このような構成により、容器100は、電極体700等を容器本体160の開口に収容後、容器本体160と容器蓋体170とが溶接等によって接合されることで、密封される。容器100(容器本体160及び容器蓋体170)の材質は特に限定されないが、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0045】
容器本体160の肉厚は、0.5mm以上、1.0mm以下であり、容器蓋体170の肉厚は0.5mm以上、1.0mm以下である。容器本体160及び容器蓋体170の肉厚が1.0mm以下であるので、容器100内における電極体700の収容空間が容器本体160及び容器蓋体170により消費されてしまうことを抑制できる。電極体700を収容する空間を確保するという観点からは、容器本体160及び容器蓋体170の肉厚は0.8mm以下であればより好ましい。容器本体160及び容器蓋体170の肉厚が0.5mm以上であるので、容器本体160及び容器蓋体170の剛性を高めることが可能である。剛性構造の観点からは、容器本体160及び容器蓋体170の肉厚は、0.6mm以上であるとより好ましい。これらのことから、容器本体160及び容器蓋体170の肉厚は、0.6mm以上、0.8mm以下が好ましい。
【0046】
容器本体160には注液部168と、ガス排出弁169とが形成されている。ガス排出弁169は、容器100内方の圧力が過度に上昇した場合に当該圧力を開放する安全弁である。注液部168は、蓄電素子10の製造時に容器100の内方に電解液を注液するための部位である。
【0047】
端子300は、集電体600を介して、電極体700に電気的に接続される端子(正極端子310及び負極端子320)である。つまり、端子300は、電極体700に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体700に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。端子300の材質は特に限定されないが、端子300は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金等の導電部材で形成されている。端子300は、かしめ接合または溶接等によって、集電体600に接続(接合)され、かつ、容器本体160に取り付けられる。
【0048】
正極端子310および負極端子320は同じ方向を向くように設置されている。本実施形態では、正極端子310はZ軸プラス方向を向く第一上面112に設置されており、負極端子320はZ軸プラス方向を向く第二上面122に設置されている。つまり、正極端子310および正極端子320ともにZ軸プラス方向を向く面に設置されている。正極端子および負極端子を同じ方向を向く面に取り付けることで、他の蓄電素子と電気的に接続するバスバーを容易に取り付けることができる。
【0049】
本実施の形態では、端子300は、端子本体部330と、端子本体部330から突出した軸部340とを有している。端子本体部330は、容器100における端子設置面よりも外方に配置された部位である。本実施形態の端子設置面は、第一上面112及び第二上面122である。端子配置面は、外部ガスケット400を介して端子本体部330が設置される面である。各端子設置面に対応する箇所には、軸部340が貫通する貫通孔112a、122aが形成されている。軸部340は、端子設置面、外部ガスケット400、内部ガスケット500及び集電体600を貫通した状態でかしめられることで、集電体600に接続(接合)されている。
【0050】
集電体600は、電極体700のX軸方向両側に一つずつ配置されている。集電体600は、電極体700と端子300とに接続(接合)されて、電極体700と端子300とを電気的に接続する導電性を備えた部材(正極集電体610及び負極集電体620)である。具体的には、集電体600は、後述する電極体700の接続部720と溶接またはかしめ接合等により接続(接合)される第一接合部630と、上述の通り、端子300とかしめ接合または溶接等により接続(接合)される第二接合部640とを一体的に有している。第一接合部630と第二接合部640とは、それぞれ平板状の部位であり、一枚の板金を折り曲げることにより形成されている。集電体600の材質は特に限定されないが、正極集電体610は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の導電部材で形成され、負極集電体620は、銅または銅合金等の導電部材で形成されている。
【0051】
外部ガスケット400は、容器100の容器本体160と端子300との間に配置され、容器本体160と端子300との間を絶縁し、かつシールする板状かつ矩形状の絶縁性のシール部材である。内部ガスケット500は、容器本体160と集電体600との間に配置され、容器本体160と集電体600との間を絶縁し、かつシールする板状かつ矩形状の絶縁性のシール部材である。外部ガスケット400及び内部ガスケット500は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の電気的な絶縁性を有する樹脂等によって形成されている。
【0052】
電極体700は、極板が巻回されて形成された蓄電要素(発電要素)である。電極体700は、X軸方向に延びる長尺な形状であって、X軸方向から見て長円形状を有している。電極体700は、X軸方向の長さが300mm以上、具体的には、500mm~1500mm程度まで延びる形状を有している。このため、電極体700は、Z軸方向の長さよりもX軸方向の長さが長くなっている。電極体700は、Z軸方向の長さに対し、X軸方向の長さが3倍以上となっている。電極体700は、本体部710と、本体部710から突出した複数の接続部720とを有し、上述の通り、接続部720が集電体600に接続(接合)される。
【0053】
具体的には、複数の接続部720は、本体部710のX軸方向の両端面から一つずつ突出している。本体部710のX軸プラス方向の一端面には、Z軸プラス方向の端部から所定の間隔をあけて正極接続部721が設けられている。一方、本体部710のX軸マイナス方向の他端面には、Z軸プラス方向の端部から所定の間隔をあけて負極接続部722が設けられている。このような電極体700の構成について、以下に詳細に説明する。
【0054】
[電極体の構成の説明]
図3は、実施の形態に係る電極体700の構成を示す斜視図である。具体的には、図3は、電極体700における極板の巻回状態を一部展開した状態での構成を示している。図3に示すように、電極体700は、正極板740と、負極板750と、セパレータ761、762と、を有している。
【0055】
正極板740は、長尺帯状の金属箔である正極集電箔741の表面に、正極活物質層742が形成された極板(電極板)である。正極集電箔741には、アルミニウムまたはアルミニウム合金等が用いられる。負極板750は、長尺帯状の金属箔である負極集電箔751の表面に、負極活物質層752が形成された極板(電極板)である。負極集電箔751には、銅または銅合金等からなるが用いられる。正極活物質層742に用いられる正極活物質、及び、負極活物質層752に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質及び負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。
【0056】
正極活物質として、LiMPO、LiMSiO、LiMBO(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、LiMn、LiMn1.5Ni0.5等のスピネル型リチウムマンガン酸化物、LiMO(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いてもよい。負極活物質としては、リチウム金属、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、ケイ素酸化物などが挙げられる。
【0057】
セパレータ761、762は、樹脂からなる微多孔性のシートである。セパレータ761、762の素材としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければ、適宜公知の材料を使用できる。セパレータ761、762として、有機溶剤に不溶な織布、不織布、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂からなる合成樹脂微多孔膜等を用いてもよい。
【0058】
電極体700は、正極板740及び負極板750と、セパレータ761、762とが巻回されることで形成されている。つまり、電極体700は、負極板750と、セパレータ761と、正極板740と、セパレータ762とがこの順に積層され、巻回されることで形成されている。本実施の形態では、正極板740及び負極板750等がX軸方向に延びる巻回軸Lを中心に巻回されることで巻回型の電極体700が形成される。巻回軸Lとは、正極板740及び負極板750等を巻回する際の中心軸となる仮想的な軸である。本実施の形態の巻回軸Lは、電極体700の中心を通る、X軸方向に平行な直線である。
【0059】
正極板740の巻回軸方向の一端縁(X軸プラス方向の端縁)には、複数の突出片743が間隔をあけて配置されている。同様に、負極板750の巻回軸方向の他端縁(X軸マイナス方向の端縁)には、複数の突出片753が間隔をあけて配置されている。突出片743および突出片753は、活物質を含む活物質層が形成されておらず、金属箔(集電箔)が露出した部分(活物質層非形成部)である。図3の斜線部分が活物質層非形成部に該当する。
【0060】
正極板740及び負極板750と、セパレータ761、762とが巻回されると、本体部710の一端面で、正極板740の各突出片743が重なり合う。正極板740の各突出片743が重なり合った部分が正極接続部721である。同様に、本体部710の他端面で、負極板750の各突出片753同士が重なり合う。負極板750の各突出片753同士が重なり合った部分が負極接続部722である。
【0061】
本体部710は、正極活物質層742が形成(塗工)された部分と、負極活物質層752が形成(塗工)された部分と、セパレータ761、762とが巻回されて形成された長円柱形状の部位(活物質層形成部)である。本体部710は、Z軸方向両側に一対の湾曲部711を有し、この一対の湾曲部711間に、平坦状の中間部712を有している。一対の湾曲部711は、Z軸方向で中間部712を挟む位置であって、中間部712の一対の平坦部712aと平坦部712bとを繋ぐ位置に配置されている。
【0062】
湾曲部711は、X軸方向から見てZ軸方向の円弧形状がX軸方向に延びる湾曲状の部位である。中間部712は、容器本体160の側壁162の一部である上面140と、下面150とに対向して配置される。つまり、一対の湾曲部711は、X軸方向から見て、中間部712からZ軸方向両側に突出するように湾曲した部位である。
【0063】
中間部712は、一対の湾曲部711の端部同士を繋ぐ、XZ平面に平行に広がる矩形状かつ平坦状の部位である。中間部712は、容器本体160の底壁161及び容器蓋体170に対向して配置される。当該中間部712では、巻回された複数の極板(正極板740及び負極板750)がY軸方向に積層されている。つまり、中間部712では、Y軸方向が複数の極板の積層方向である。本開示では電極体700の主たる積層方向をY軸方向と定義する。中間部712は、一対の平坦部712a、712bを有している。具体的には、一対の平坦部712a、712bのうち一方の平坦部712aは、中間部712におけるY軸プラス方向を向く外面である。このため、平坦部712aは容器100内で底壁161に対向している(図4参照)。他方の平坦部712bは、中間部712におけるY軸マイナス方向を向く外面である。このため、平坦部712bは容器100内で容器蓋体170に対向している(図4参照)。
【0064】
湾曲部711の湾曲形状は、半円の円弧形状には限定されず、楕円形状の一部等でもよく、どのように湾曲していてもよい。中間部712は、Y軸方向に向く外面が平面であることには限定されず、当該外面が少し凹んでいたり、少し膨らんでいたりしていてもよい。
【0065】
[容器本体と容器蓋体との接合]
次に、容器本体160と容器蓋体170との接合について説明する。図4は、実施の形態に係る容器本体160と容器蓋体170との接合状態を示す断面図である。具体的には、図4は、図1のIV-IV線を含む切断面を見た断面図である。この接合状態は、容器本体160及び容器蓋体170の全周にわたって連続的に一様となっている。
【0066】
図4に示すように、容器蓋体170は、容器本体160の側壁162がなす開口を塞いでいる。容器蓋体170は、開口内に配置され、側壁162に嵌合している。この状態では、電極体700の一方の平坦部712aが底壁161に対向し、他方の平坦部712bが容器蓋体170に対向している。
【0067】
このような蓄電素子10の製造方法では、まず容器本体160を治具で固定する。ついで、各集電体600の第一接合部630が接合された電極体700を、容器本体160内に挿入する。このとき、電極体700の平坦部712aを容器本体160の底壁161に対向させて、電極体700を容器本体160内に挿入する。挿入後には、各端子300の軸部340を、容器本体160の第一上面112及び第二上面122を貫通させてから、各集電体600の第二接合部640に接合する。
【0068】
ついで、容器本体160の側壁162がなす開口内に容器蓋体170を嵌め込むことで、開口を塞ぐ。この状態で、容器蓋体170を側壁162に接合する。具体的には、容器蓋体170が容器本体160に嵌め込まれた後に、その外方から容器本体160と容器蓋体170との境界に対してレーザ溶接を施すことで、容器蓋体170を側壁162に接合する。図4では、レーザ溶接時のレーザを矢印Wで示している。これにより、容器本体160と容器蓋体170とが溶接される。この溶接は、容器本体160と容器蓋体170との境界の全周にわたって連続的に行われる。
【0069】
[効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態によれば、容器本体160の底壁161(第一壁部)の全周縁から側壁162(第二壁部)が立ち上がっているので、側壁162がなす開口内に電極体700をY軸方向(積層方向)から挿入できる。つまり、電極体700の面積の大きい平坦部712a、712bが挿入時に側壁162に接触しない。このため、電極体700に作用する挿入時の摩擦を低減でき、当該電極体700を容器本体160内にスムーズに挿入できる。
【0070】
容器100に切欠部101が設けられているので、容器100に備わる角部を増加させることができる。この増加した角部により容器100の剛性を高めることができ、容器100の変形を抑制できる。容器100の変形には、正常時の容器100の変形と、電極体700が膨張した際の容器100の変形とが含まれる。つまり、切欠部101を起因とした容器100の剛性向上により、正常時の容器100の変形が抑制されるだけでなく、電極体700が膨張した際の容器100の変形も抑制される。
【0071】
容器100が複数の切欠部101を有する形状であるので、容器蓋体170及び容器本体160も当該切欠部101を有する形状となる。容器本体160においては複数の切欠部101によって角部が増加する。この角部により、容器本体160の剛性を高めることができる。ここで、容器本体160に容器蓋体170を取り付ける際には、容器本体160を治具で固定する必要があるが、容器本体160の剛性が弱いと治具で強固に固定しなければならず、容器本体160に傷が生じるおそれがある。本形態では、容器本体160の剛性が高められているので、治具による圧力を弱めることができ、傷の発生を抑制できる。
【0072】
一対の端子300が側壁162の同一方向を向く面(第一上面112及び第二上面122)に取り付けられているので、各端子300を一方向から視認でき、各端子300に対するバスバーの接続作業を容易化できる。
【0073】
容器本体160と容器蓋体170とのそれぞれの肉厚が1.0mm以下である。これにより、容器100内における電極体700の収容空間が容器本体160と容器蓋体170とにより過剰に消費されてしまうことを抑制できる。さらに、容器本体160と容器蓋体170との肉厚が0.5mm以上である。これにより、容器本体160と容器蓋体170とのそれぞれの剛性を高めることができ、容器100の変形を抑制できる。
【0074】
[変形例の説明]
以下に、上記実施の形態の各変形例について説明する。以降の説明において上記実施の形態または他の変形例と同一の部分においては同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0075】
(変形例1)
上記実施の形態の変形例1について説明する。上記実施の形態では、容器蓋体170が全体として平板状である場合を例示した。しかしながら、容器蓋体は、容器蓋体の開口を塞ぐのであれば如何なる形状であってもよい。
【0076】
図5は、実施の形態の変形例1に係る容器蓋体170aを示す断面図である。図5図4に対応する図である。図5に示すように、容器蓋体170aは、Y軸プラス方向が開放された箱状の板金である。容器蓋体170aは絞り加工で形成されている。具体的には、容器蓋体170aは、第一蓋壁部171aと第二蓋壁部172aとを備えている。第一蓋壁部171aは、Y軸方向で電極体700と対向する平板状の部位である。第二蓋壁部172aは、第一蓋壁部171aの全周縁から連続してY軸プラス方向に立ち上がっている。図5では、第二蓋壁部172aは、容器本体160の側壁162に対して外方から重なっている場合を図示しているが、側壁162に対して内方から重なっていてもよい。
【0077】
このように、容器蓋体170aの第二蓋壁部172aが、第一蓋壁部171aの全周縁から立ち上がっているので、容器蓋体170aの剛性を高めることができる。容器蓋体170aの第二蓋壁部172aと容器本体160の側壁162とが重なっているので、電極体700の膨張を起因とした容器蓋体170aの変形を抑制できる。
【0078】
(変形例2)
上記実施の形態の変形例2について説明する。上記実施の形態では、容器蓋体170が容器本体160の開口に嵌合する場合を例示した。しかしながら、容器蓋体は容器本体の開口を塞ぐのであれば、その接合形態は如何様でもよい。
【0079】
図6は、実施の形態の変形例2に係る容器蓋体170bを示す断面図である。図6図4に対応する図である。図6に示すように、容器蓋体170bは、容器本体160の側壁162がなす開口を塞ぐように、側壁162に接合されている。具体的には、容器蓋体170bのY軸プラス方向を向く面の縁部に段差173bが形成されている。段差173bは、容器蓋体170bの全周にわたって連続的に形成されている。段差173bと側壁162の先端面とが面で接触する。。この段差173bによって容器本体160と容器蓋体170bとを位置決めすることが可能である。第二蓋壁部172aの段差173bと容器本体160の側壁162との境界をZ軸方向からのレーザ等によって溶接する。容器蓋体170bは段差173bを有していなくてもよい。
【0080】
(変形例3)
上記実施の形態の変形例3について説明する。上記実施の形態では、容器本体160の側壁162の内面に突起がない場合を例示した。しかしながら、容器本体の側壁に突起が設けられていてもよい。
【0081】
図7は、実施の形態の変形例3に係る容器本体160cを示す断面図である。図7図4に対応する図である。図7に示すように、容器本体160cの側壁162cは、内面に内方に向けて突出した突起163cを有している。具体的には、突起163cは、容器蓋体170を支持する部位である。突起163cは、側壁162cの先端部から、容器蓋体170の肉厚だけ間隔をあけた位置に配置されている。突起163cは、側壁162cの全周にわたって連続的に形成されていてもよいし、断続的に形成されていてもよい。この突起163cによって容器本体160cと容器蓋体170とを位置決めすることが可能である。突起163cは、容器本体160cに容器蓋体170を溶接する際のレーザの障壁となる。つまり、電極体700がレーザにさらされることを突起163cで抑制できる。
【0082】
(変形例4)
上記実施の形態の変形例4について説明する。上記実施の形態では、蓄電素子10の容器100に一対の切欠部101が設けられている場合を例示した。しかしながら、切欠部の設置個数は3つ以上であってもよい。この変形例4では、4つの切欠部を有する容器について例示する。
【0083】
図8は、実施の形態の変形例4に係る蓄電素子10Dを示す斜視図である。図8図1に対応する図である。図8に示すように、蓄電素子10Dの容器100dには、X軸方向の両端の上部及び下部に直方体形状の切欠部101dが形成されている。つまり、容器100dは4つの切欠部101dを有している。容器100dの下部の一対の切欠部101dには、端子が設置されていてもいなくてもよい。
【0084】
(変形例5)
上記実施の形態の変形例5について説明する。上記実施の形態では、蓄電素子10の容器100に一対の切欠部101が設けられている場合を例示した。しかしながら、切欠部を有さなくても良い。この変形例5では、切欠部を有さない容器について例示する。
【0085】
図9は、実施の形態の変形例5に係る蓄電素子10Eを示す斜視図である。図9図1に対応する図である。図9に示すように、蓄電素子10Eの容器100eは、X軸方向に長尺かつ扁平な直方体形状であり、切欠部が形成されていない。変形例5に係る蓄電素子10Eの容器100eは4面の側壁113e、123e、140e、150eを有する。正極端子310e及び負極端子320eは、側壁140eに設けられている。つまり、正極端子310e及び負極端子320eは、4面の側壁のうちの1面の側壁に設けられている。正極端子310e及び負極端子320eの両方が一面の側壁に設けられることにより、他の蓄電素子と電気的に接続するバスバーを容易に取り付けることができる。
【0086】
(その他)
以上、本発明の実施の形態(その変形例も含む。以下同様)に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、上記実施の形態には限定されない。今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であり、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0087】
上記実施の形態では、巻回型の電極体700を例示した。しかし、電極体の形状は巻回型に限らず、平板状極板を積層したスタック型や、極板及び/またはセパレータを蛇腹状に折り畳んだ形状(セパレータを蛇腹状に折り畳んで矩形の極板を挟む形態、極板とセパレータとを重ねた後に蛇腹状に折り畳む形態等)などであってもよい。いずれにおいても、電極体の積層方向はY軸方向であればよい。スタック型や蛇腹状に折り畳んだ形状の電極体はX軸方向に突出したタブ部を有し、タブ部と集電体とが接合される。タブ部は電極体と別体であってもよく、又は、一体であってもよい。
【0088】
上記実施の形態では、容器100内に電極体700が一つのみ収容されている場合を例示したが、複数の電極体が容器内に収容されていてもよい。
【0089】
上記実施の形態等の蓄電素子は、蓄電装置に用いられてもよい。この場合、蓄電装置が備える少なくとも1つの蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されればよい。図10は、実施の形態に係る蓄電素子10を備えた蓄電装置800を示す説明図である。図10に示すように、複数の蓄電素子10は、蓄電装置800の内部に配置される。蓄電装置800は、各蓄電素子10を電気的に接続するバスバー(図示省略)を備えてもよい。蓄電装置800は、一以上の蓄電素子10の状態を監視する状態監視装置(図示省略)を備えてもよい。
【0090】
上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子に適用できる。
【符号の説明】
【0092】
10、10D 蓄電素子
100、100d 容器
101、101d 切欠部
110 第一切欠部
120 第二切欠部
160、160c 容器本体
161 底壁(第一壁部)
162、162c 側壁(第二壁部)
163c 突起
170、170a、170b 容器蓋体
171a 第一蓋壁部
172a 第二蓋壁部
173b 段差
300 端子
400 外部ガスケット
500 内部ガスケット
600 集電体
700 電極体
710 本体部
711 湾曲部
712 中間部
720 接続部
740 正極板(極板)
750 負極板(極板)
800 蓄電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10