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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100008
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】播種装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 7/04 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A01C7/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003693
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】500159347
【氏名又は名称】有限会社 勇技商
(71)【出願人】
【識別番号】390017260
【氏名又は名称】日本ポリ鉢販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 治
(72)【発明者】
【氏名】大岩 正美
【テーマコード(参考)】
2B054
【Fターム(参考)】
2B054AA14
2B054BA01
2B054BB03
2B054CA06
2B054DA02
2B054DD12
2B054DD22
2B054DD28
2B054DD29
(57)【要約】
【課題】各々の吸着穴に種子を適切に吸着させ易くできる播種装置播種装置を提供すること。
【解決手段】吸着板32を立たせた起立状態において、ホルダ50の載置面50aが吸着板32側へ下降傾斜する。吸引機38により空気室35内を負圧にしつつ、電動シリンダ64によりホルダ50を吸着板32の表面32aの上方から下方へスライドさせる。これにより、上側から下側へ向かって順に載置面50a上の種子Sが吸着穴33に吸着し、余分な種子Sが載置面50aに残る。更に、エアバイブレータ56によってホルダ50を振動させることで、載置面50a上の複数の種子Sを拡散させ易くできる。これにより、複数の吸着穴33のそれぞれに載置面50a上の種子Sを吸着させ易くできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種子を吸着させる吸着装置を備え、その吸着装置に吸着させた前記種子を育苗トレイのセルに播種する播種装置において、
前記吸着装置は、
表面から裏面まで貫通する複数の吸着穴が、水平な第1方向およびその第1方向に垂直な第2方向にそれぞれ離隔して形成された吸着板と、
その吸着板を保持して前記吸着板の前記裏面側に空気室を形成する筐体と、
前記空気室からエアーを吸引して前記空気室内を負圧にする吸引機と、
前記第1方向に延びて複数の前記種子が載せられる載置面を有するホルダと、
前記ホルダを前記吸着板の前記表面に沿って前記第2方向へスライドさせるアクチュエータと、
前記ホルダを振動させる振動機構と、を備え、
前記第2方向が非水平となるように前記吸着板を立たせた起立状態において、前記載置面が前記表面側へ下降傾斜して前記種子を前記表面に案内し、前記吸引機により前記空気室内を負圧にしつつ、前記振動機構により前記ホルダを振動させながら、前記アクチュエータにより前記ホルダを前記表面の上方から下方へスライドさせることで、前記吸着穴に前記種子を吸着させることを特徴とする播種装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記ホルダのうち前記第1方向の一端部に接続されてその一端部を前記第2方向へスライドさせ、
前記吸着装置は、前記起立状態における前記ホルダのうち前記第1方向の他端部に上方へ負荷をかける負荷機構を備えることを特徴とする請求項1記載の播種装置。
【請求項3】
前記吸着装置は、エアーを供給する供給装置と、
その供給装置に連結されるバルブと、を備え、
前記振動機構は、前記供給装置から前記バルブを介して供給されるエアーによって前記ホルダを振動させるエアバイブレータであり、
前記負荷機構は、前記起立状態における前記ホルダの前記他端部に、前記供給装置から前記バルブを介して供給されるエアーによって上方へ負荷をかけるエアシリンダであり、
前記バルブは、前記供給装置から前記エアバイブレータ及び前記エアシリンダの両方へエアーを供給する供給状態と、前記供給装置から前記エアバイブレータ及び前記エアシリンダの両方へのエアーの供給を遮断する遮断状態とを切り換えることを特徴とする請求項2記載の播種装置。
【請求項4】
前記吸着装置は、エアーを供給する供給装置と、
その供給装置から供給されたエアーを、前記吸着穴に吸着された前記種子へ向かって吹き出す吹出口を有するエア放出管と、を備え、
そのエア放出管は、前記起立状態における前記載置面よりも上方に前記吹出口が位置するように前記ホルダに設けられることを特徴とする請求項1記載の播種装置。
【請求項5】
前記振動機構は、前記供給装置から供給されるエアーによって前記ホルダを振動させるエアバイブレータであり、
前記吸着装置は、前記供給装置から前記エアバイブレータ及び前記吹出口の両方へエアーを供給する供給状態と、前記供給装置から前記エアバイブレータ及び前記吹出口の両方へのエアーの供給を遮断する遮断状態とを切り換えるバルブを備えることを特徴とする請求項4記載の播種装置。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記ホルダのうち前記第1方向の一端部に接続されてその一端部を前記第2方向へスライドさせ、
前記吸着装置は、前記起立状態における前記ホルダのうち前記第1方向の他端部に、前記供給装置から供給されるエアーによって上方へ負荷をかけるエアシリンダを備え、
前記バルブは、前記供給状態において前記エアシリンダにもエアーを供給し、前記遮断状態において前記エアシリンダへのエアーの供給を遮断することを特徴とする請求項5記載の播種装置。
【請求項7】
前記吸着装置は、エアーを供給する供給装置と、
前記供給装置から供給されたエアーを前記空気室内に放出する少なくとも2つの放出口と、を備え、
その2つの放出口は、前記吸着板の板厚方向視において、非一直線上で互いに異なる方向を向いていることを特徴とする請求項1記載の播種装置。
【請求項8】
種子を吸着させる吸着装置を備え、その吸着装置に吸着させた前記種子を育苗トレイのセルに播種する播種装置において、
前記吸着装置は、
表面から裏面まで貫通する複数の吸着穴が、水平な第1方向およびその第1方向に垂直な第2方向にそれぞれ離隔して形成された吸着板と、
その吸着板を保持して前記吸着板の前記裏面側に空気室を形成する筐体と、
前記空気室からエアーを吸引して前記空気室内を負圧にする吸引機と、
前記第1方向に延びて複数の前記種子が載せられる載置面を有するホルダと、
前記ホルダを前記吸着板の前記表面に沿って前記第2方向へスライドさせるアクチュエータと、
エアーを供給する供給装置と、
その供給装置から供給されたエアーを、前記吸着穴に吸着された前記種子へ向かって吹き出す吹出口を有するエア放出管と、を備え、
そのエア放出管は、前記起立状態における前記載置面よりも上方に前記吹出口が位置するように前記ホルダに設けられ、
前記第2方向が非水平となるように前記吸着板を立たせた起立状態において、前記載置面が前記表面側へ下降傾斜して前記種子を前記表面に案内し、前記吸引機により前記空気室内を負圧にしつつ、前記アクチュエータにより前記ホルダを前記表面の上方から下方へスライドさせることで、前記吸着穴に前記種子を吸着させることを特徴とする播種装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は播種装置に関し、特に各々の吸着穴に種子を適切に吸着させ易くできる播種装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種子を吸着させる吸引装置を備え、その吸着装置に吸着させた種子を育苗トレイのセルに播種する播種装置が知られている。特許文献1に開示された播種装置によれば、吸引装置の吸着板の表面を斜め上方へ向けた状態において、吸着板には上下方向および水平方向に複数の吸着穴が並んで形成されている。この状態で、吸引機により吸着板の裏面側を負圧にしつつ、水平方向に延びて複数の種子が載せられたホルダを吸着板の表面に沿って上方から下方へスライドさせる。これにより、上側から下側へ向かって順に吸着穴にホルダ上の種子が吸着し、余分な種子がホルダ上に残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06-026410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、各々の吸着穴に種子が適切に吸着しないことがある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、各々の吸着穴に種子を適切に吸着させ易くできる播種装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の播種装置は、種子を吸着させる吸着装置を備え、その吸着装置に吸着させた前記種子を育苗トレイのセルに播種するものにおいて、前記吸着装置は、表面から裏面まで貫通する複数の吸着穴が、水平な第1方向およびその第1方向に垂直な第2方向にそれぞれ離隔して形成された吸着板と、その吸着板を保持して前記吸着板の前記裏面側に空気室を形成する筐体と、前記空気室からエアーを吸引して前記空気室内を負圧にする吸引機と、前記第1方向に延びて複数の前記種子が載せられる載置面を有するホルダと、前記ホルダを前記吸着板の前記表面に沿って前記第2方向へスライドさせるアクチュエータと、前記ホルダを振動させる振動機構と、を備え、前記第2方向が非水平となるように前記吸着板を立たせた起立状態において、前記載置面が前記表面側へ下降傾斜して前記種子を前記表面に案内し、前記吸引機により前記空気室内を負圧にしつつ、前記振動機構により前記ホルダを振動させながら、前記アクチュエータにより前記ホルダを前記表面の上方から下方へスライドさせることで、前記吸着穴に前記種子を吸着させる。
【0007】
また、本発明の播種装置は、種子を吸着させる吸着装置を備え、その吸着装置に吸着させた前記種子を育苗トレイのセルに播種するものにおいて、前記吸着装置は、表面から裏面まで貫通する複数の吸着穴が、水平な第1方向およびその第1方向に垂直な第2方向にそれぞれ離隔して形成された吸着板と、その吸着板を保持して前記吸着板の前記裏面側に空気室を形成する筐体と、前記空気室からエアーを吸引して前記空気室内を負圧にする吸引機と、前記第1方向に延びて複数の前記種子が載せられる載置面を有するホルダと、前記ホルダを前記吸着板の前記表面に沿って前記第2方向へスライドさせるアクチュエータと、エアーを供給する供給装置と、その供給装置から供給されたエアーを、前記吸着穴に吸着された前記種子へ向かって吹き出す吹出口を有するエア放出管と、を備え、そのエア放出管は、前記起立状態における前記載置面よりも上方に前記吹出口が位置するように前記ホルダに設けられ、前記第2方向が非水平となるように前記吸着板を立たせた起立状態において、前記載置面が前記表面側へ下降傾斜して前記種子を前記表面に案内し、前記吸引機により前記空気室内を負圧にしつつ、前記アクチュエータにより前記ホルダを前記表面の上方から下方へスライドさせることで、前記吸着穴に前記種子を吸着させる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の播種装置によれば、吸着板には、互いに垂直な第1方向および第2方向に離隔した複数の吸着穴が形成されている。水平な第1方向に対し垂直な第2方向が非水平となるように吸着板を立たせた起立状態において、複数の種子が載せられるホルダの載置面が吸着板の表面側へ下降傾斜し、種子をその表面に案内する。更に、吸引機により吸着板の裏面側の空気室内を負圧にしつつ、アクチュエータによりホルダを吸着板の表面の上方から下方へ(第2方向へ)スライドさせる。これにより、上側の吸着穴から下側の吸着穴へ向かって順に載置面上の種子が吸着穴に吸着し、余分な種子が載置面に残る。更に、このホルダのスライド時には、振動機構によってホルダを振動させることで、水平な第1方向に延びた載置面上の複数の種子を第1方向に拡散させ易くできる。これにより、第1方向に離隔した複数の吸着穴のそれぞれに載置面上の種子を吸着させ易くできる。
【0009】
請求項2記載の播種装置によれば、請求項1記載の播種装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。アクチュエータは、ホルダのうち第1方向の一端部に接続されてその一端部を第2方向へスライドさせる。このスライド時に振動機構によってホルダを振動させると、ホルダのうち第1方向の他端部が自由に揺れて振動機構によるホルダの振動が吸収され易くなることがある。これに対し、吸着装置は、起立状態におけるホルダの他端部に上方へ負荷をかける負荷機構を備えているので、その他端部を自由に揺れ難くでき、その揺れによって振動機構の振動が吸収されることを抑制できる。その結果、ホルダの載置面上の複数の種子を第1方向に更に拡散させ易くでき、複数の吸着穴のそれぞれに載置面上の種子を更に吸着させ易くできる。
【0010】
請求項3記載の播種装置によれば、請求項2記載の播種装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。振動機構は、供給装置からバルブを介して供給されるエアーによってホルダを振動させるエアバイブレータである。負荷機構は、起立状態におけるホルダのうち第1方向の他端部に、供給装置からバルブを介して供給されるエアーによって上方へ負荷をかけるエアシリンダである。バルブは、供給装置からエアバイブレータ及びエアシリンダの両方へエアーを供給する供給状態と、供給装置からエアバイブレータ及びエアシリンダの両方へのエアーの供給を遮断する遮断状態とを切り換える。ここで、エアシリンダによる負荷の効果は、エアバイブレータによりホルダを振動させるときに発揮される。よって、それらへのエアーの供給または遮断を切り換えるバルブを同一にすることで、その切り換えの操作や制御を簡素化できる。
【0011】
請求項4記載の播種装置によれば、請求項1記載の播種装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。ホルダに設けられたエア放出管の吹出口は、起立状態における載置面よりも上方に位置し、供給装置から供給されたエアーを、吸着穴に吸着された種子へ向かって吹き出す。これにより、吸着穴に種子を吸着させるときのホルダのスライドに伴って、上方から順に吸着穴の種子にエアーを吹き付けることができる。1つの吸着穴に2個以上の種子が吸着した場合でも、エアーの吹き付けにより吸着力が弱い種子を落としてホルダの載置面に戻すことができる。その結果、エア放出管によって各々の吸着穴に種子を1個だけ吸着させ易くできる。
【0012】
請求項5記載の播種装置によれば、請求項4記載の播種装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。振動機構は、供給装置から供給されるエアーによってホルダを振動させるエアバイブレータである。バルブによって、供給装置からエアバイブレータ及び吹出口の両方へエアーを供給する供給状態と、供給装置からエアバイブレータ及び吹出口の両方へのエアーの供給を遮断する遮断状態とが切り換えられる。ここで、エアバイブレータによる振動の効果と、吹出口からのエアーの吹き出しによる効果とはいずれも、ホルダをスライドさせながら種子を吸着穴に吸着させるときに発揮される。よって、それらへのエアーの供給または遮断を切り換えるバルブを同一にすることで、その切り換えの操作や制御を簡素化できる。
【0013】
請求項6記載の播種装置によれば、請求項5記載の播種装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。アクチュエータは、ホルダのうち第1方向の一端部に接続されてその一端部を第2方向へスライドさせる。このスライド時に振動機構によってホルダを振動させると、ホルダのうち第1方向の他端部が自由に揺れて振動機構によるホルダの振動が吸収され易くなることがある。これに対し、吸着装置は、起立状態におけるホルダの他端部に、供給装置から供給されるエアーによって上方へ負荷をかけるエアシリンダを備えているので、その他端部を自由に揺れ難くでき、その揺れによって振動機構の振動が吸収されることを抑制できる。その結果、ホルダの載置面上の複数の種子を第1方向に拡散させ易くでき、複数の吸着穴のそれぞれに載置面上の種子を吸着させ易くできる。
【0014】
このエアシリンダによる負荷の効果は、エアバイブレータによりホルダを振動させるときに発揮される。更に、エアバイブレータ及び吹出口へのエアーの供給または遮断を切り換えるバルブは、供給状態においてエアシリンダにもエアーを供給し、遮断状態においてエアシリンダへのエアーの供給を遮断する。このように、エアシリンダ、エアバイブレータ及び吹出口へのエアーの供給または遮断を切り換えるバルブを同一にすることで、その切り換えの操作や制御をより簡素化できる。
【0015】
請求項7記載の播種装置によれば、請求項1記載の播種装置が奏する効果に加え、次の効果を奏する。吸着装置は、エアーを供給する供給装置と、供給装置から供給されたエアーを空気室内に放出する少なくとも2つの放出口と、を備える。その2つの放出口は、吸着板の板厚方向視において、非一直線上で互いに異なる方向を向いているので、放出口からのエアーを空気室内で拡散させ易くできる。その結果、放出口からのエアーの放出によって空気室内の負圧を早期に解除でき、負圧により吸着穴に吸着させた種子を素早く播種できる。
【0016】
請求項8記載の播種装置によれば、吸着板には、第1方向および第2方向に離隔した複数の吸着穴が形成されている。水平な第1方向に対し垂直な第2方向が非水平となるように吸着板を立たせた起立状態において、複数の種子が載せられるホルダの載置面が吸着板の表面側へ下降傾斜し、種子をその表面に案内する。更に、吸引機により吸着板の裏面側の空気室内を負圧にしつつ、アクチュエータによりホルダを吸着板の表面の上方から下方へ(第2方向へ)スライドさせる。これにより、上側の吸着穴から下側の吸着穴へ向かって順に載置面上の種子が吸着穴に吸着し、余分な種子が載置面に残る。
【0017】
更に、ホルダに設けられたエア放出管の吹出口は、起立状態における載置面よりも上方に位置し、供給装置から供給されたエアーを、吸着穴に吸着された種子へ向かって吹き出す。これにより、吸着穴に種子を吸着させるときのホルダのスライドに伴って、上方から順に吸着穴の種子にエアーを吹き付けることができる。1つの吸着穴に2個以上の種子が吸着した場合でも、エアーの吹き付けにより吸着力が低い種子を落としてホルダの載置面に戻すことができる。このように、吹出口によって各々の吸着穴に種子を1個だけ吸着させ易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態における播種装置の側面図である。
図2図1のII-II線における播種装置の断面図である。
図3図1の矢印III方向から見た播種装置の正面図である。
図4図3のIV-IV線における播種装置の断面図である。
図5】(a)は播種装置による吸着動作を説明するための模式図であり、(b)は図5(a)のVb-Vb線における播種装置の断面図である。
図6】(a)は播種装置による播種動作を説明するための模式図であり、(b)は図6(a)の矢印VIb方向から見た播種装置の正面図である。
図7】播種装置の電気的構成を示したブロック図である。
図8】播種装置のCPUで実行されるメイン処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、一実施形態における播種装置10の側面図である。図2は、図1のII-II線における播種装置10の断面図である。各図面における矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印F、矢印Bは、それぞれ播種装置10の上方向、下方向、左方向、右方向、前方向、後方向を示している。左右方向および前後方向は、いずれも水平方向であって互いに垂直である。上下方向は鉛直方向である。
【0020】
播種装置10は、植物を育苗するセルCが左右方向および前後方向に複数並んだ育苗トレイTに対し、種子S(図5(a)等参照)を播種する装置である。なお、本実施形態における育苗トレイTは、左右方向に10個並んだセルCが前後方向に20列並んでいる。
【0021】
播種装置10は、フレーム11と、載置台20と、吸着装置30と、制御装置80とを主に備える。フレーム11は、播種装置10のベースを構成する部位であり、複数の金属製の棒材を組み合わせて直方体状に形成されている。この直方体状のフレーム11の内側に、播種装置10の各部を制御するための制御装置80が固定されている。
【0022】
フレーム11の下面の四隅にはそれぞれキャスター12及びアジャスタパッド13が1つずつ取り付けられている。アジャスタパッド13を床面から浮かした状態では、キャスター12により播種装置10の移動を容易にできる。また、アジャスタパッド13を床面などに押し付けてキャスター12を浮かせることにより、播種装置10を床面などに固定できる。
【0023】
載置台20は、育苗トレイTを載置する平面視矩形状の台であり、フレーム11の上方に配置される。載置台20の下面の中央部分と、フレーム11の上面とがパンタグラフ式のジャッキ14によって連結される。作業者がジャッキ14のつまみねじ14aを回すことで、フレーム11に対して載置台20が上下動する。
【0024】
また、載置台20の四隅の近傍から下方へロッド15aが突出し、そのロッド15aの上下動を案内する筒状のリニアブッシュ15bがフレーム11の上面に固定されている。これにより、フレーム11に対して載置台20を傾き難くできる。また、フレーム11の上面のうちジャッキ14が設けられる部分は、リニアブッシュ15bが固定される部分に対し下方へ凹んでいる。これにより、ジャッキ14の上下寸法に対しリニアブッシュ15bを載置台20に近づけ易くでき、載置台20をより傾き難くできる。
【0025】
載置台20の上面には、育苗トレイTの下部が収容される収容部21が設けられている。収容部21は、上面が開口した箱状に形成され、内部に収容された育苗トレイTの左右方向および前後方向への移動を規制する。また、収容部21は、載置台20の上面から上方へ突出した複数の規制壁22によって、左右方向および前後方向への移動が規制される。この規制壁22の内側に配置する収容部21を、育苗トレイTの種類に応じて交換することができる。即ち、収容部21の交換によって載置台20上に載置可能な育苗トレイTの種類を容易に変更できる。
【0026】
載置台20よりも後方のフレーム11の上面からは、複数本の脚部17aが垂直に立ち上がる。これらの脚部17aの上端に平板状のベース17bが架け渡される。このベース17bは、育苗トレイTの上面よりも若干高い位置に配置される。ベース17b上には、吸着装置30を傾倒可能に支持するヒンジ31が取り付けられる。
【0027】
図1に加えて図3図4及び図6を参照しながら吸着装置30について説明する。図3は、図1の矢印III方向から見た播種装置10の正面図である。図4は、図3のIV-IV線における播種装置10の断面図である。図6(a)は、播種装置10による播種動作を説明するための模式図である。図6(b)は、図6(a)の矢印VIb方向から見た播種装置10の正面図である。図4及び図6(a)には空気圧回路の一部が模式的に図示されている。
【0028】
吸着装置30は、種子Sを吸着して載置台20上の育苗トレイTに播種するための装置である。吸着装置30は、種子Sを吸着させる吸着板32と、その吸着板32が取り付けられる筐体34と、吸着板32に沿ってスライドするホルダ50と、を主に備える。
【0029】
図3及び図4に示す通り、吸着板32は、表面32a及び裏面32bを有する平板である。吸着板32は、水平な第1方向D1と、第1方向D1に垂直な第2方向D2とにそれぞれ延びて形成されている。なお、第1方向D1は左右方向(矢印L-R方向)と一致する。
【0030】
吸着板32には、表面32aから裏面32bまで貫通する複数の吸着穴33が形成される。吸着穴33は、種子Sを吸着するための穴である。複数の吸着穴33は、第1方向D1及び第2方向D2にそれぞれ離隔して配置される。これら複数の吸着穴33は、吸着板32を育苗トレイTに対向させた場合に、複数のセルCと対向する位置に形成されている。本実施形態における複数の吸着穴33は、第1方向D1に等間隔に10個並んだものを1列とした場合、それらが第2方向D2に等間隔に20列並んでいる。
【0031】
各々の吸着穴33は、表面32a側の小径穴33aと、裏面32b側の大径穴33bとを連通させて形成されている。小径穴33aの径は、吸着予定の種子Sよりも小さく形成されると共に、大径穴33bの径よりも大きく形成される。大径穴33bの径は種子Sより大きくても小さくても良い。
【0032】
例えば、1mm程度の種子Sを吸着できるように小径穴33aは1mm未満とされる。この小さな小径穴33aを吸着板32の表面32aから裏面32bまでドリル等の工具で加工形成することは、工具の折損が生じ易いため難しい。しかし、まず径が比較的大きい大径穴33bを裏面32b側から形成した後で、小径穴33aを形成することにより、吸着板32に吸着穴33を形成し易くできる。
【0033】
筐体34は、吸着板32の裏面32b側に空気室35を形成するように吸着板32を保持する部材である。筐体34は、吸着板32により1面が塞がれることで直方体状の箱を形成する。筐体34は、ヒンジ31を介してフレーム11のベース17bに傾倒可能に支持される。
【0034】
ヒンジ31は、ベース17b上に固定された固定部の前端に対して、筐体34に固定された可動部が、左右方向に平行な軸31aの周りに回転する。このヒンジ31によって、図1の通り吸着板32の表面32aを前方へ向かって下降傾斜するように吸着板32を立ち上げた起立状態と、図6(a)の通り表面32aを育苗トレイTに対向させるように下方へ向けた倒伏状態とが切換可能となる。本実施形態の倒伏状態では表面32aが水平であり、その位置から上方かつ後方へ表面32aを100°回転させた状態が起立状態である。即ち、起立状態では、播種装置10を右方向から見て、上下方向(矢印U-D方向)を反時計回りに10°傾けた方向が第2方向D2である。
【0035】
また、ヒンジ31は、起立状態と倒伏状態との作業者による切り換えを補助する機構が内蔵されたパワーアシストヒンジである。これにより、起立状態から倒伏状態へ吸着板32及び筐体34が勢いよく倒れることを抑制しつつ、倒伏状態の吸着板32及び筐体34を軽い力で起立状態に切り換えることができる。
【0036】
作業者による筐体34の起立状態と倒伏状態との切り換え時に作業者が持つための取手41,42が筐体34に設けられている。取手41は、起立状態の筐体34における上下方向の中央部分の右側縁に取り付けられた棒状の部位である。取手42は、起立状態の筐体34における右側の上端から上方へ突出した部位であり、先端が球状に形成される。
【0037】
図4に示す通り、筐体34が起立状態であることを検出する第1スイッチ71がフレーム11側のベース17bに取り付けられている。ベース17bの後部から上方へ垂直に複数の棒72aが立ち上がり、その棒72aの上端から前方へ向かって垂直に板部材72bが延びる。この板部材72bの上面から立ち上がった支持部材72cに第1スイッチ71が固定される。第1スイッチ71は、起立状態の筐体34が接触してオンになるリミットスイッチであり、起立状態以外(倒伏状態や切換時)では筐体34と非接触になってオフになる。
【0038】
板部材72bからは、支持部材72cに対し左右方向にずれた位置において、後面および上面が開口した箱型の支持部材72dが立ち上がる。この支持部材72dの前面からは、前方への突出量を調整可能なストッパ73が突出する。ストッパ73は、起立状態の筐体34の後面に接触することで、第1スイッチ71への過度な荷重の付与を抑制する。
【0039】
図6(b)に示す通り、フレーム11の上面の前端部には、筐体34が倒伏状態であることを検出する第2スイッチ74が取り付けられている。フレーム11から上方へ垂直に立ち上がった板材18aの後面側に第2スイッチ74が固定される。第2スイッチ74は、倒伏状態の筐体34が接触してオンになるリミットスイッチであり、倒伏状態以外(起立状態や切換時)では筐体34と非接触になってオフになる。
【0040】
第2スイッチ74及び板材18aの右側には、前後方向視において門形状の取付部材18bがフレーム11から垂直に立ち上がる。この取付部材18bの上端からは、上方への突出量を調整可能なストッパ75が突出する。ストッパ75は、倒伏状態の筐体34に接触することで、第2スイッチ74への過度な荷重の付与を抑制する。
【0041】
更に、取付部材18bには、ショックアブソーバ76が取り付けられる。ショックアブソーバ76は、筐体34を起立状態から倒伏状態に切り換えるときの衝撃を吸収するための減衰機構である。ショックアブソーバ76は、取付部材18bよりも上方へ突出した先端部76aが本体部に対して上下方向に出没し、その先端部76aに筐体34を当てることで衝撃を吸収する。
【0042】
以下、特に指示が無い限り起立状態における方向を用い、吸着装置30の各部について更に詳しく説明する。図3及び図4に示す通り、筐体34には、空気室35を形成する左右両側の側壁をそれぞれ空気室35の上壁よりも上方へ延長して、一対の上側壁34aが設けられる。この一対の上側壁34aの上端の前縁には、吸着板32から上方へ離れた位置に平板状の当接板34bが架け渡される。この当接板34bは、傾倒状態において第2スイッチ74、ストッパ75及びショックアブソーバ76に接触する部位である。
【0043】
筐体34には、空気室35の左右両側の側壁をそれぞれ空気室35の下壁よりも下方へ延長した一対の下側壁34cが設けられる。この下側壁34cの前縁が上下方向に亘って下前壁34dで連結される。この下前壁34dの前面が吸着板32の表面32aと面一に形成され、下前壁34dの後面にヒンジ31の可動部が固定される。
【0044】
筐体34における空気室35の左右両側の側壁の前縁には、複数の皿ねじ34fが上下方向に並んで固定される。なお、図3では、最も右下の皿ねじ34fの図示を省略している。吸着板32には、皿ねじ34fの頭部が挿通可能な大穴32cと、その大穴32cの上方に連なる小穴32dとが貫通形成されている。小穴32dは、皿ねじ34fの頭部の軸部側の面に対応するように、表面32aから裏面32bへ向かうにつれてテーパ状に縮径する。
【0045】
吸着板32を筐体34に取り付けるには、まず皿ねじ34fの頭部に大穴32cを挿通させる。その後、吸着板32を下方へスライドさせることで、小穴32dに皿ねじ34fの軸部を挿通させて小穴32dのテーパに皿ねじ34fの頭部のテーパを接触させ、吸着板32の裏面32bを筐体34に押し付ける。これにより、吸着板32を筐体34に容易に固定される。なお、この固定時と逆の動作によって筐体34から吸着板32を容易に取り外すことができる。
【0046】
筐体34のうち空気室35を挟んで吸着板32と対向する後壁には、上下方向の中央に位置する吸引穴35aと、吸引穴35aの上下両側に位置する給気穴35bとが貫通形成されている。
【0047】
吸引穴35aには吸引管36が接続され、その吸引管36には吸引機38が連結される。吸引機38は、空気室35からエアーを吸引して空気室35内を負圧にする装置であり、本実施形態では集塵機によって構成される。また、吸引管36の途中には、吸引管36の連通と遮断とを切り換える第1電磁バルブF1が設けられている。
【0048】
給気穴35bには供給管37が接続され、その供給管37には供給ポンプPが連結される。供給ポンプPは、空気室35を含む各所にエアーを供給する装置である。供給管37の途中には、供給管37の連通と遮断とを切り換える第3電磁バルブF3が設けられている。
【0049】
供給管37は、空気室35内で左右両側へ分岐しつつ吸着板32に沿って広がるS字管37aを備える。S字管37aの左側は、給気穴35bから左方へ延びた部位の先端が上方へ垂直に屈曲し、その先端に放出口37bが設けられている。S字管37aの右側は、給気穴35bから右方へ延びた部位の先端が下方へ垂直に屈曲し、その先端に放出口37bが設けられている。これらの放出口37bからエアーが空気室35内に放出される。
【0050】
ホルダ50は、吸着板32側の後面および上面が開口して左右方向に延びた直方体状の容器であり、複数の種子Sが収容される(図5(a)参照)。起立状態において、このホルダ50の内部の底面が、種子Sが載せられる載置面50aである。載置面50aは、吸着板32の表面32a側へ下降傾斜し、種子Sを表面32aへ案内する。
【0051】
ホルダ50の上面の開口には、前方側の一部を覆うようにカバー51が取り付けられている。このカバー51によって、筐体34を倒伏状態とした場合に種子Sがホルダ50から落ちることを抑制できる(図6参照)。
【0052】
ホルダ50には、吸着板32の表面32aとの接触部分の全体に亘ってシール部材53が設けられている。シール部材53は、低摩擦係数かつ高耐摩耗性のゴムや熱可塑性エラストマ等の弾性体から構成され、表面32aに密着する。これにより、ホルダ50と表面32aとの間から種子Sを落ち難くできると共に、表面32aに対しホルダ50を滑り易くできる。
【0053】
ホルダ50は、スライド機構によって吸着板32の表面32a上をスライドする。このスライド機構は、レール34eと、スライダ44と、ブラケット45と、防振部材46と、ベースプレート47と、エアシリンダ61と、電動シリンダ64と、を備える。
【0054】
図1及び図3に示す通り、レール34eは、筐体34の左右両側面の略全長に亘って、第2方向D2と平行にそれぞれ形成された一対の部位である。スライダ44は、この左右一対のレール34e上をそれぞれ第2方向D2へスライドする一対の部位である。
【0055】
ブラケット45は、左右一対のスライダ44にそれぞれ固定される左右一対の部位である。ブラケット45は、スライダ44から第2方向D2に沿って下方へ延びる部分と、その部分の下端から前方へ垂直に延びる突出部分とによってL字状に形成されている。左右一対のブラケット45の突出部分の前端同士が丸棒状の連結棒45aで連結される。これにより、レール34eに対するブラケット45及びスライダ44の位置が左右で略同一となる。
【0056】
防振部材46は、ブラケット45に対しホルダ50を弾性支持する部材であり、ゴム等の弾性体によって形成される。左右それぞれのブラケット45の突出部分の上縁に、防振部材46が2個ずつ前後に離隔して取り付けられる。
【0057】
ベースプレート47は、計4個の防振部材46の上に載置固定された板材である。このベースプレート47の上にホルダ50が載置固定される。ベースプレート47の下面には、下方へ延びる左右一対の支持部47aが取り付けられる。この左右一対の支持部47aの下端に支持板47bが架け渡されて支持される。支持板47bには、エアバイブレータ56が固定される。
【0058】
図4に示す通り、エアバイブレータ56は、供給ポンプPから供給されるエアーによって振動する振動機構である。供給ポンプPからエアバイブレータ56までのエアーの供給管には、順に第2電磁バルブF2と、レギュレータR3とが設けられている。第2電磁バルブF2は、エアーを供給する供給管の連通と遮断とを切り換える弁である。レギュレータR3は、エアバイブレータ56へ向かうエアーの圧力を調整するための弁である。
【0059】
第2電磁バルブF2を開けてエアバイブレータ56を振動させると、その振動が支持板47b、支持部47a及びベースプレート47を介してホルダ50に伝達される。このホルダ50の振動によって、水平方向(第1方向D1)と平行に延びた載置面50a上で複数の種子Sを水平方向に拡散させ易くできる。
【0060】
なお、エアバイブレータ56の振動は、防振部材46やシール部材53によってブラケット45や吸着板32に伝達され難くなる。これにより、吸着板32に吸着した種子Sがエアバイブレータ56の振動によって落ちることを抑制できる。
【0061】
図3及び図4に示す通り、ホルダ50の上方にはエア放出管57が設けられる。エア放出管57は、左右一対のブラケット45の上端に架け渡された管支持板45bの上面に固定され、吸着板32から前方へ若干離れた位置でホルダ50の上面の開口の近傍に配置される。
【0062】
エア放出管57は、左右方向に亘って延びた円管部材であり、吸着板32側に複数の吹出口57aが設けられている。エア放出管57には、エア放出管57側から順にレギュレータR2、第2電磁バルブF2、供給ポンプPが連結される。第2電磁バルブF2を開けると、レギュレータR2で調整されたエアーがエア放出管57に供給され、そのエアーが吹出口57aから吸着板32へ向かって吹き出し、エアカーテンが形成される。
【0063】
図1及び図3に示す通り、エアシリンダ61は、吸着板32に沿ってスライド可能なホルダ50の右端部に上方へ負荷をかける負荷機構である。エアシリンダ61は、筐体34の右側に取り付けられ、筐体34の第2方向D2の略全長に亘って延びている。エアシリンダ61は、レール34eと略平行に延びたベルト61aに沿ってスライダ61bをスライドさせる。このスライダ61bが連結板62を介して右側のブラケット45に連結される。即ち、連結板62等を介してスライダ61bにホルダ50の右端部が接続される。
【0064】
図4には、エアシリンダ61の模式図が示されている。エアシリンダ61の内部は、スライダ61bによって下側の第1室61cと上側の第2室61dとに区画される。第2室61dは大気開放されている。第1室61cには、第1室61c側から順にレギュレータR1、第2電磁バルブF2、供給ポンプPが連結される。
【0065】
第2電磁バルブF2を開けるとエアーが第1室61cに供給され、エアシリンダ61のスライダ61bから連結板62等を介してホルダ50の右端部に第2方向D2の上側へ負荷がかかる。但し、その負荷は、ホルダ50を上下方向にスライドさせる程度ではなく、ホルダ50の右端部の自重を支える程度となるように、レギュレータR3によって第1室61cのエアーの圧力が略一定に保たれる。
【0066】
図3に示す通り、電動シリンダ64は、ホルダ50を第2方向D2にスライドさせるアクチュエータである。電動シリンダ64は、筐体34の左側に配置される。筐体34の左側の上下両端部からそれぞれ左方へ支持部63aが延び、それら支持部63aの左端に支持板63bが架け渡され、その支持板63bに電動シリンダ64が固定される。
【0067】
電動シリンダ64は、筐体34の第2方向D2の略全長に亘って延びている。電動シリンダ64は、電力により左側面に沿ってスライドするスライダ64aと、そのスライダ64aの位置を電気的に制御する制御操作部64bが更に延びている。制御操作部64bには、スライダ64aの上限位置と下限位置とを設定可能な操作子が設けられている。
【0068】
スライダ64aには板部65bが固定され、その板部65bと左側のブラケット45とが3本の棒部65aで連結される。これにより、電動シリンダ64のスライダ64aが板部65b等を介してホルダ50の左端部に接続され、電動シリンダ64によってホルダ50の左端部が左側のレール34eに沿って第2方向D2にスライドする。
【0069】
なお、この左端部のスライドに伴って、ホルダ50の右端部も右側のレール34eに沿って第2方向D2にスライドする。第2方向D2のうち下方へのホルダ50のスライド時には、エアシリンダ61のスライダ61bも下方へスライドして第1室61cのエアーを圧縮しようとする。しかし、このとき、レギュレータR3によって第1室61cのエアーが排出され、第1室61c内の圧力が略一定に保たれる。よって、電動シリンダ64によるホルダ50の下方へのスライドがエアシリンダ61によって阻害されることを抑制できる。
【0070】
次に図4から図8を参照して、播種装置10の制御方法および使用方法について説明する。図7は、播種装置10の電気的構成を示したブロック図である。播種装置10の制御装置80は、CPU81と、フラッシュROM82と、RAM83とを有し、これらはバスライン84を介して入出力ポート85にそれぞれ接続されている。入出力ポート85には更に、電動シリンダ64と、吸引機38と、供給ポンプPと、操作盤86と、第1電磁バルブF1と、第2電磁バルブF2と、第3電磁バルブF3と、第1スイッチ71と、第2スイッチ74とがそれぞれ接続されている。
【0071】
操作盤86は、播種装置10の電源のオンオフを切り換える操作子や、播種装置10の動作をスタートさせる操作子、その動作を停止させる操作子、吸引機38の始動や停止を切り換える操作子などを有する。操作盤86は、主に制御装置80の側面に設けられる(図1参照)。なお、操作盤86の一部の操作子を、ベース17b等の作業者が操作し易い位置に設けても良い。
【0072】
図7に戻って説明する。CPU81は、バスライン84により接続された各部を制御する演算装置である。RAM83は、CPU81のプログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。
【0073】
フラッシュROM82は、CPU81により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性のメモリであり、制御プログラム82aが設けられる。CPU81により制御プログラム82aが実行されると、図8のメイン処理が実行される。なお、フラッシュROM82の代わりにSSDやHDD等の記憶装置を用いても良い。
【0074】
図8を参照して播種装置10のCPU81で実行されるメイン処理を説明しながら、図4から図6(b)を参照して播種装置10の使用方法を説明する。図8は、播種装置10のCPU81で実行されるメイン処理のフローチャートである。このメイン処理は、播種装置10の電源が投入されている間、繰り返し実行される。
【0075】
図8に示す通り、播種装置10の電源が投入されて起動されたメイン処理は、まず第1電磁バルブF1、第2電磁バルブF2及び第3電磁バルブF3を閉じる(S1)。なお、第1電磁バルブF1、第2電磁バルブF2及び第3電磁バルブF3は、非通電時に閉じる弁とすることが好ましい。この場合、電源投入後に各バルブF1~F3を非通電のままにすることで、S1の処理を省略できる。
【0076】
S1の処理後は、供給ポンプPを始動させる(S2)。この始動時には、第1電磁バルブF1及び第3電磁バルブF3の両方が閉じているので、図4に示す吸着装置30の空気室35が大気圧に維持される。また、供給ポンプPを始動させても第2電磁バルブF2が閉じているので、エアシリンダ61、エア放出管57によるエアカーテン、エアバイブレータ56のいずれも停止したままである。
【0077】
図8のS2の処理後は、第1スイッチ71がオンであるかを確認する(S3)。第1スイッチ71がオフである場合には(S3:No)、筐体34が起立状態ではなく、種子Sを吸着板32に吸着させることが困難な姿勢であるため、第1スイッチ71がオンになるまでS3の処理を繰り返す。
【0078】
S3の処理で第1スイッチ71がオンである場合には(S3:Yes)、筐体34が起立状態であるため、電動シリンダ64によりホルダ50を上限位置まで移動させる(S4)。このホルダ50の上限位置とは、図4に示す通り、全ての吸着穴33よりも上方に載置面50aが位置する状態である。なお、S4の処理の開始時に既にホルダ50が上限位置にある場合は、S4の処理をスキップする。
【0079】
図8のS4の処理後は、第1電磁バルブF1を開けて吸引機38を始動させ(S5)、空気室35を負圧化させる。更に、このS5の処理では、第2電磁バルブF2を開けてエアシリンダ61、エア放出管57によるエアカーテン、エアバイブレータ56をそれぞれ始動させる。次いで、所定時間(例えば2秒)が経過したかを確認する(S6)。
【0080】
所定時間が経過する前は(S6:No)、空気室35の負圧化が不十分で種子Sを吸着できない可能性や、エアシリンダ61やエアカーテン、エアバイブレータ56の動作が不安定である可能性がある。そのため、所定時間が経過するまでS6の処理を繰り返す。
【0081】
S6の処理で所定時間が経過した場合には(S6:Yes)、空気室35が十分に負圧化され、エアシリンダ61等の動作が安定化したとみなされて、電動シリンダ64によりホルダ50を下限位置まで移動(スライド)させる(S7)。このスライド時にホルダ50内の種子Sが吸着板32に吸着する。
【0082】
図5を参照して、この種子Sの吸着について詳しく説明する。図5(a)は、播種装置10による吸着動作を説明するための模式図である。図5(b)は、図5(a)のVb-Vb線における播種装置10の断面図である。なお、図5(a)に二点鎖線で示したホルダ50の位置が下限位置である。この下限位置とは、起立状態において全ての吸着穴33よりも下方に載置面50aが位置する状態であって、図6(a)の倒伏状態においてホルダ50が載置台20及び育苗トレイTに干渉しない位置である。
【0083】
図4の上限位置から図5(a)に実線で示す位置を越えて二点鎖線の下限位置までホルダ50をスライドさせるとき、載置面50aの下降傾斜により案内された複数の種子Sが吸着板32の表面32aに接触する。表面32aに開口した吸着穴33を種子Sが塞いだとき、吸着穴33の裏面32b側の空気室35が負圧化されているため、種子Sが吸着穴33に吸着する。この吸着穴33への種子Sの吸着が、上側から下側へ(第2方向D2へ)向かって順に行われる。また、吸着板32の表面32aが載置面50aに向かって下降傾斜しているため、吸着穴33に吸着されなかった余分な種子Sが表面32a上を転がって載置面50aに残る。
【0084】
なお、ホルダ50を下限位置までスライドさせる図8のS7の処理中に、第1スイッチ71がオフになった場合には、ホルダ50のスライドを一時停止し、再び第1スイッチ71がオンになったときにホルダ50のスライドを再開させても良い。これにより、種子Sの吸着中に作業者がホルダ50を起立状態から倒伏状態に切り換えてしまった場合でも、種子Sの吸着を途中から再開できる。
【0085】
図5に戻って説明する。ホルダ50の第2方向D2へのスライドによる種子Sの吸着では、第2方向D2に互いに離隔した吸着穴33にそれぞれ種子Sを吸着させ易い。しかし、載置面50a上の種子Sが第1方向D1の一部に偏在すると、第1方向D1に互いに離隔した吸着穴33の一部に種子Sが吸着し難くなることがある。
【0086】
これに対し本実施形態では、水平な第1方向D1と平行に載置面50aが延びていると共に、ホルダ50のスライド時に、S5の処理で始動させたエアバイブレータ56によってホルダ50が振動している。そのため、載置面50a上の複数の種子Sが第1方向D1に拡散し易く、第1方向D1に離隔した複数の吸着穴33のそれぞれに載置面50a上の種子Sを吸着させ易くできる。
【0087】
電動シリンダ64によってホルダ50の左端部をスライドさせながらホルダ50を振動させると、ホルダ50の右端部が自由に揺れてエアバイブレータ56によるホルダ50の振動が吸収され易くなることがある。しかし、本実施形態では、S5の処理で始動させたエアシリンダ61によって、ホルダ50の右端部に上方への負荷がかけられているため、その右端部を自由に揺れ難くできる。これにより、その自由な揺れによってエアバイブレータ56の振動が吸収されることを抑制できる。その結果、載置面50a上の複数の種子Sを第1方向D1に更に拡散させ易くでき、複数の吸着穴33のそれぞれに載置面50a上の種子Sを更に吸着させ易くできる。
【0088】
なお、エアシリンダ61による負荷の効果は、エアバイブレータ56によりホルダ50を振動させるときに発揮される。よって、それらへのエアーの供給または遮断を切り換えるバルブを同一の第2電磁バルブF2にすることで、その切り換えの操作や制御を簡素化できる。
【0089】
図5(b)に示す通り、吸着穴33に種子Sを吸着させる場合には、1つの吸着穴33に2個以上の種子Sが吸着することがある。このままでは、育苗トレイTの1つのセルCに2個以上の種子Sが播種されてしまい、播種した種子Sの数に対して得られる苗の数が少なくなり易い。
【0090】
これに対し本実施形態では、ホルダ50のスライド時に、S5の処理で始動させたエア放出管57によるエアカーテンによって、以下の通り余分な種子Sを落とすことができる。エア放出管57の複数の吹出口57aは、複数の吸着穴33とそれぞれ前後方向(吸着板32の板厚方向)に対向する位置に設けられ、起立状態における載置面50aよりも上方に位置する。そのため、ホルダ50の下方へのスライドに伴って上方から順に、吸着穴33に吸着された種子Sに吹出口57aからのエアーを吹き付けることができる。
【0091】
1つの吸着穴33に吸着した2個以上の種子Sは、吸着力が最も強い1個と、比較的吸着力が弱いそれ以外とに分けられる。図5(b)では、この吸着力が弱い種子Sを二点鎖線で示している。このような2個以上の種子Sに吹出口57aからのエアーを吹き付けると、吸着力が弱い種子Sを落としてホルダ50の載置面50aに戻すことができる。その結果、エア放出管57によるエアカーテンによって各々の吸着穴33に種子Sを1個だけ吸着させ易くできる。
【0092】
エアカーテンがホルダ50と一緒にスライドするため、それらを別々にスライドさせる場合と比べてそのスライドの機構を簡素化できる。更に、エアカーテンの位置をホルダ50の近傍に維持できるため、エアカーテンにより落とした種子Sをホルダ50内に戻し易くできる。
【0093】
また、エアバイブレータ56による振動の効果と、エアシリンダ61による負荷の効果と、エアカーテンの効果とはいずれも、ホルダ50をスライドさせながら種子Sを吸着穴33に吸着させるときに発揮される。よって、図4に示す通り、それらへのエアーの供給または遮断を切り換えるバルブを同一の第2電磁バルブF2にすることで、その切り換えの操作や制御を簡素化できる。
【0094】
第2電磁バルブF2は共通していても、第2電磁バルブF2から分岐した流路のうち、エアシリンダ61側にレギュレータR1が設けられ、エア放出管57(エアカーテン)側に別のレギュレータR2が設けられ、エアバイブレータ56側に別のレギュレータR3が設けられている。これにより、第2電磁バルブF2を介してエアシリンダ61、エア放出管57及びエアバイブレータ56の各々へエアーを供給する場合でも、レギュレータR1~R3によって各々へ向かうエアーの圧力を別々に調整できる。
【0095】
以上の通り下限位置までホルダ50をスライドさせて種子Sを複数の吸着穴33に吸着させた後(図8のS7の処理後)は、エアバイブレータ56、エアシリンダ61及びエアカーテンの動作が不要となるので、第2電磁バルブF2を閉じる(S8)。なお、種子Sを吸着穴33に吸着させたままにするため、第1電磁バルブF1を開けたままにする。
【0096】
S8の処理後は、作業者によって筐体34が起立状態から倒伏状態に切り換えられたことを、第2スイッチ74がオンになったか否かで判断する(S9)。第2スイッチ74がオフである場合には(S9:No)、筐体34が倒伏状態に切り換えられておらず、種子Sを育苗トレイTに播種できないので、第2スイッチ74がオンになるまでS9の処理を繰り返す。なお、種子Sが播種されていない育苗トレイTが載置台20上に無い場合には、このS9の処理で第2スイッチ74がオンになる前に、その育苗トレイTを載置台20上に作業者がセットすれば良い。
【0097】
筐体34が倒伏状態に切り換えられて、S9の処理で第2スイッチ74がオンになった場合には(S9:Yes)、吸着した種子Sを播種するために、吸引機38を停止して第1電磁バルブF1を閉じ、第3電磁バルブF3を開ける(S10)。これにより、吸引機38による空気室35からのエアーの吸引が停止され、供給ポンプPから空気室35内にエアーが供給されて、空気室35内が負圧から大気圧、更に正圧へと次第に変化する。なお、第1電磁バルブF1の開閉に応じて吸引機38の始動と停止とを切り換えることで、吸引機38の連続運転を防止できる。
【0098】
S10の処理後は、空気室35内の正圧への変化を待つために、所定時間(例えば2秒)が経過したかを確認する(S11)。所定時間が経過するまでは(S11:No)、S11の処理を繰り返し、空気室35内にエアーを供給し続ける。所定時間が経過した場合には(S11:Yes)、空気室35が十分に正圧に変化したので、第3電磁バルブF3を閉じて空気室35へのエアーの供給を停止する(S12)。
【0099】
図6に示す通り、倒伏状態では、吸着穴33に吸着した1個の種子Sが、セルCの各々の上方に位置する。この状態で空気室35の負圧が解除されると、種子SがセルC内に落ちるようにして播種される。なお、空気室35を大気圧にしただけでは、種子Sが吸着穴33の周囲に密着したまま落ちないことがあるが、空気室35を正圧にすることで種子Sを落とし易くできる。
【0100】
図3に示す吸着板32の板厚方向視において、S字管37aの両側に設けられた放出口37bは、非一直線上で互いに異なる方向(上方または下方)を向いているので、放出口37bからのエアーを空気室35内で拡散させ易くできる。その結果、放出口37bからのエアーの放出によって空気室35内の負圧を早期に解除でき、吸着穴33に吸着させた種子Sを素早く播種できる。
【0101】
図8のS12の処理後は、別の育苗トレイTに播種を行うため、S3以下の処理を繰り返す。なお、育苗トレイTが前後左右方向を囲む収容部21内に載置されているため、作業者が育苗トレイTを交換するには、筐体34を倒伏状態から起立状態に切り換える必要がある。この切換後はS4以下の処理が制御装置80によって順次実行される。そのため、作業者による育苗トレイTの交換と、吸着板32への種子Sの吸着とを同時に行うことができ、吸着から播種までの一連の作業を効率的に実行できる。
【0102】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、育苗トレイTのセルCの数や、それに対応する吸着穴33の数を適宜変更しても良い。また、エアシリンダ61やエアバイブレータ56、エア放出管57、供給管37等を省略しても良い。
【0103】
上記実施形態では、吸着板32に吸着した種子Sを育苗トレイTのセルCに直接播種する場合を説明したが、これに限らない。例えば、育苗トレイTの上に、吸着板32に吸着した種子Sを複数のセルCにそれぞれ導く複数のパイプによって形成したシュータを配置しても良い。この場合、育苗トレイTを左右方向や前後方向にスライドさせて交換可能にすることが好ましい。また、シュータを使用しない場合でも、育苗トレイTを左右方向や前後方向にスライドさせて交換可能にしても良い。
【0104】
上記実施形態では、吸着板32の表面32aを前方へ向かって下降傾斜するように吸着板32を立ち上げた状態を起立状態とすると説明したが、これに限らない。起立状態で載置面50aが吸着板32の表面32a側へ下降傾斜し、第2方向D2が非水平であれば、水平面に対する第2方向D2の傾斜角度は適宜変更可能である。例えば、起立状態において第2方向D2(表面32a)を鉛直としたり、表面32aを前方側へ倒しても良い。
【0105】
上記実施形態では、ホルダ50をスライドさせるアクチュエータが電動シリンダ64である場合について説明したが、これに限らない。電動シリンダ64以外の電動アクチュエータや、エアシリンダ等の空圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ等でホルダ50をスライドさせても良い。なお、空圧アクチュエータや油圧アクチュエータと比べて、電動アクチュエータの方がホルダ50のスライド開始時の挙動が安定し易い。
【0106】
上記実施形態では、起立状態におけるホルダ50の右端部に上方への負荷をかける負荷機構がエアシリンダ61である場合について説明したが、これに限らない。例えば、負荷機構を油圧シリンダ等としても良い。また、負荷機構を、ばね等の弾性力を用いる機構(例えばスプリングバランサ)としても良い。また、負荷機構でホルダ50の左端部に上方への負荷をかけ、電動シリンダ64等のアクチュエータでホルダ50の右端部をスライドさせても良い。
【0107】
上記実施形態では、ホルダ50を振動させる振動機構がエアバイブレータ56である場合について説明したが、これに限らない。例えば、その振動機構を電動や油圧式にしても良い。
【0108】
上記実施形態では、1枚の板材から構成された吸着板32に、吸着穴33の小径穴33a及び大径穴33bを形成する場合について説明したが、これに限らない。例えば、大径穴33bを形成した第1板材と、小径穴33aを形成した第2板材とを重ね合わせて吸着板32を形成しても良い。しかし、この場合、空気室35内の圧力の変化時に、第1板材と第2板材との間が離れた後で再び接触して異音が発生するおそれがある。これに対し、1枚の板材から構成された吸着板32に小径穴33a及び大径穴33bの両方を形成することで、異音の発生を抑制できる。
【0109】
上記実施形態では、作業者が起立状態と倒伏状態との切り換える播種装置10について説明したが、これに限らない。この切り換えを播種装置10に自動で行わせても良い。また、育苗トレイTの交換を播種装置10に自動で行わせても良い。
【0110】
上記実施形態では、第1電磁バルブF1の開閉に応じて吸引機38の始動と停止とを切り換える場合について説明したが、これに限らない。例えば図8のS2の処理で吸引機38を始動させ、S2以下の処理で吸引機38を連続運転させても良い。吸引機38が集塵機である場合に限らず、例えばタンク及び吸引ポンプによって吸引機38を構成しても良い。この場合、吸引ポンプによってタンク内が負圧に維持され、第1電磁バルブF1を開けたときにタンク内へ空気室35のエアーが吸引される。
【0111】
また、第2電磁バルブF2及び第3電磁バルブF3の両方が閉じているときに供給ポンプPを停止しても良い。また、第2電磁バルブF2及び第3電磁バルブF3へエアーを供給する供給装置を、タンク及び供給ポンプPによって構成しても良い。この場合、供給ポンプPによってタンク内が正圧に維持され、第2電磁バルブF2や第3電磁バルブF3を開けたときにタンク内から各バルブF2,F3へ向かってエアーが供給される。
【符号の説明】
【0112】
10 播種装置
30 吸着装置
32 吸着板
32a 表面
32b 裏面
33 吸着穴
34 筐体
35 空気室
37b 放出口
38 吸引機
50 ホルダ
50a 載置面
56 エアバイブレータ(振動機構)
57 エア放出管
57a 吹出口
61 エアシリンダ(負荷機構)
64 電動シリンダ(アクチュエータ)
C セル
D1 第1方向
D2 第2方向
P 供給ポンプ(供給装置)
S 種子
T 育苗トレイ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8