(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100011
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
H01M 50/533 20210101AFI20240719BHJP
H01M 50/174 20210101ALI20240719BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240719BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20240719BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/174
H01M10/04 W
H01G11/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003698
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】相田 広徳
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AB01
5E078KA04
5E078KA06
5E078KA07
5H011KK01
5H028CC13
5H028HH05
5H043AA19
5H043CA12
5H043JA06E
5H043LA02E
5H043LA22E
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造時に電極体と集電体とを容器内で容易に接合できる蓄電素子を提供する。
【解決手段】蓄電素子は、電極体700と、電極体に電気的に接続される集電体600と、電極体及び集電体を収容する容器と、集電体に電気的に接続される端子300とを備え、電極体は、電極体本体710と、電極体本体の端部から突出し集電体に接合される接合部720とを備え、容器は、端子が取り付けられた容器本体160と、容器本体に接合される容器蓋体とを備え、集電体は、容器本体の一部に沿った姿勢で端子に接合される端子接合部630と、端子接合部に対して折れ曲がった中間部640と、中間部に対して折れ曲がった状態で、接合部に接合される電極体接合部650とを備え、接合部と電極体接合部との接合面Wは、接合部の突出方向に対して交差する方向に沿って延びている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体に電気的に接続される集電体と、
前記電極体及び前記集電体を収容する容器と、
前記集電体に電気的に接続される端子とを備え、
前記電極体は、電極体本体と、前記電極体本体の端部から突出し前記集電体に接合される接合部とを備え、
前記容器は、前記端子が取り付けられた容器本体と、前記容器本体に接合される容器蓋体とを備え、
前記集電体は、
前記容器本体の一部に沿った姿勢で前記端子に接合される端子接合部と、
前記端子接合部に対して折れ曲がった中間部と、
前記中間部に対して折れ曲がった状態で、前記接合部に接合される電極体接合部とを備え、
前記接合部と前記電極体接合部との接合面は、前記接合部の突出方向に対して交差する方向に沿って延びている
蓄電素子。
【請求項2】
前記電極体接合部は、前記突出方向での前記端子接合部の幅内に収められている
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記容器本体は、
第一壁部と、
前記第一壁部の周縁の少なくとも一部から立ち上がった状態に設けられ、前記端子接合部が対向する第二壁部とを有する
請求項1または2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記集電体において、前記中間部と前記電極体接合部との境界は、当該集電体の他の部分よりも薄肉である
請求項1または2に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記電極体接合部は、前記端子接合部に接合された前記端子から所定長さ以上離れて配置されている
請求項1または2に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、巻回型の電極組立体と、電極組立体を収容するケースとを備えた二次電池が知られている。このような二次電池のケースは、電極組立体を収容する本体と、電極組立体の平坦部に重なって、本体を閉塞するカバーとを備えている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年においては、ケースの本体に端子を取り付け、その端子と、電極組立体の電極タップとを本体内で接合した二次電池が検討されている。このような二次電池では、端子が取り付けられた本体内に集電体を配置し、その集電体の一端部と端子とを固定した状態で、集電体の他端部と電極組立体の電極タップとを接合することが想定される。しかし、容器内で集電体の他端部と電極組立体の電極タップとを接合するには、空間的な制約があるので、接合に用いる治具を配置できないおそれがある。つまり、本体内での集電体と電極組立体との接合が煩雑になってしまう。
【0005】
このため、本発明は、製造時に電極体と集電体とを容器内で容易に接合できる蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、電極体と、前記電極体に電気的に接続される集電体と、前記電極体及び前記集電体を収容する容器と、前記集電体に電気的に接続される端子とを備え、前記電極体は、電極体本体と、前記電極体本体の端部から突出し前記集電体に接合される接合部とを備え、前記容器は、前記端子が取り付けられた容器本体と、前記容器本体に接合される容器蓋体とを備え、前記集電体は、前記容器本体の一部に沿った姿勢で前記端子に接合される端子接合部と、前記端子接合部に対して折れ曲がった中間部と、前記中間部に対して折れ曲がった状態で、前記接合部に接合される電極体接合部とを備え、前記接合部と前記電極体接合部との接合面は、前記接合部の突出方向に対して交差する方向に沿って延びている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る蓄電素子によれば、製造時に電極体と集電体とを容器内で容易に接合できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る蓄電素子を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る電極体の構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る集電体を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る端子及び接合部と集電体等との接合構造を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る軸部がかしめられる前の集電体の状態を示す平面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る電極体の接合部が電極体接合部に接合された状態を示す平面図である。
【
図8】
図8は、変形例1に係る集電体を示す部分断面図である。
【
図9】
図9は、変形例2に係る集電体を示す部分断面図である。
【
図10】
図10は、変形例3に係る集電体を示す部分断面図である。
【
図11】
図11は、変形例4に係る端子を示す部分断面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る蓄電素子を備えた蓄電装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)本発明の一態様に係る蓄電素子は、電極体と、前記電極体に電気的に接続される集電体と、前記電極体及び前記集電体を収容する容器と、前記集電体に電気的に接続される端子とを備え、前記電極体は、電極体本体と、前記電極体本体の端部から突出し前記集電体に接合される接合部とを備え、前記容器は、前記端子が取り付けられた容器本体と、前記容器本体に接合される容器蓋体とを備え、前記集電体は、前記容器本体の一部に沿った姿勢で前記端子に接合される端子接合部と、前記端子接合部に対して折れ曲がった中間部と、前記中間部に対して折れ曲がった状態で、前記接合部に接合される電極体接合部とを備え、前記接合部と前記電極体接合部との接合面は、前記接合部の突出方向に対して交差する方向に沿って延びている。
【0010】
これによれば、電極体の接合部と、集電体の電極体接合部との接合面が、当該接合部の突出方向に対して交差する方向に沿って延びている。このため、接合部と電極体接合部とが突出方向に対して起立した姿勢となるので、接合部と電極体接合部とのそれぞれの側方に空間を形成できる。これにより、接合部と電極体接合部とを接合する際の治具を、接合部と電極体接合部とのそれぞれの側方に配置しやすい。したがって、接合部と電極体接合部とを容易に接合できる。
【0011】
(2)上記(1)に記載の蓄電素子において、前記電極体接合部は、前記突出方向での前記端子接合部の幅内に収められている、としてもよい。
【0012】
これによれば、端子接合部において突出方向での幅内に電極体接合部が設けられているので、端子接合部の幅内で、接合部と電極体接合部とのそれぞれの側方に、治具用の空間を形成できる。これにより、集電体を全体としてコンパクトにしつつ、治具用の空間を形成することが可能である。
【0013】
(3)上記(1)または(2)に記載の蓄電素子において、前記容器本体は、第一壁部と、前記第一壁部の周縁の少なくとも一部から立ち上がった状態に設けられ、前記端子接合部が対向する第二壁部とを有する、としてもよい。
【0014】
これによれば、集電体の端子接合部が第二壁部に対向して端子に接合されると、電極体接合部が第一壁部に対して起立した姿勢となる。つまり、第一壁部の周縁の少なくとも一部から第二壁部が立ち上がった容器本体であっても、接合部と電極体接合部とのそれぞれの側方に、治具用の空間を形成することができる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれかひとつに記載の蓄電素子において、前記集電体において、前記中間部と前記電極体接合部との境界は、当該集電体の他の部分よりも薄肉である、としてもよい。
【0016】
これによれば、中間部と電極体接合部との境界が、他の部分よりも薄肉であるので、作業スペースに制約のある容器内においても電極体接合部を中間部に対して容易に折り曲げることができる。
【0017】
(5)上記(1)から(4)のいずれかひとつに記載の蓄電素子において、前記電極体接合部は、前記端子接合部に接合された前記端子から所定長さ以上離れて配置されている、としてもよい。
【0018】
これによれば、端子接合部に接合された端子と、電極体接合部とが所定長さ以上離れて配置されているので、端子を端子接合部に組み付ける際に、電極体接合部が邪魔となりにくい。したがって、製造時における電極体接合部と端子との干渉を抑制できる。
【0019】
(実施の形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電素子について説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。本実施の形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施の形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0020】
以下の説明及び図面中において、電極体の巻回軸に沿う方向、電極体の延びる方向、または、容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。容器に備わる容器本体と容器蓋体との並び方向、または、容器の厚み方向をY軸方向と定義する。容器の上面と下面との並び方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0021】
以下の説明において、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。以下の説明において、「絶縁」と表現する場合、「電気的な絶縁」を意味する。
【0022】
[蓄電素子の全般的な説明]
まず、
図1及び
図2を用いて、本実施の形態における蓄電素子10の全般的な説明を行う。
図1は、実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電素子10を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。
【0023】
蓄電素子10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電できる蓄電素子であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。蓄電素子10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用されるバッテリである。具体的には、蓄電素子10は、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、及び、化石燃料(ガソリン、軽油、液化天然ガス等)自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。蓄電素子10は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いてもよい。
【0024】
蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子10は、二次電池ではなく、一次電池であってもよい。さらに、蓄電素子10は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子10は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。本実施の形態では、扁平な直方体形状を基準とした(略直方体形状の)蓄電素子10を図示しているが、蓄電素子10の形状、つまり容器100の形状は、直方体形状を基準とした形状には限定されず、直方体以外の多角柱形状、長円柱形状、楕円柱形状または円柱形状等を基準とした形状であってもよい。
【0025】
図1及び
図2に示すように、蓄電素子10は、容器100と、一対の端子300と、一対の外部ガスケット400とを備えている。容器100の内方には、一対の内部ガスケット500と、一対の集電体600と、電極体700と、が収容されている。具体的には、容器100におけるX軸プラス方向の一端部に、正極の各部材(一つの端子300、一つの外部ガスケット400、一つの内部ガスケット500及び一つの集電体600等。以下同様)が配置されている。容器100におけるX軸マイナス方向の他端部に、負極の各部材が配置されている。
【0026】
容器100の内部には、電解液(非水電解質)が封入されているが、図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択してもよい。上記の構成要素の他、電極体700の側方、上方または下方等に配置されるスペーサ、電極体700及び集電体600と容器100とを絶縁する絶縁フィルム等が配置されていてもよい。
【0027】
容器100は、X軸方向に長尺かつ扁平な直方体形状を基準とした(略直方体形状の)外形を有するケースである。容器100のX軸方向の長さは、容器100のZ軸方向の長さの3倍以上となっている。容器100のX軸方向の長さは、容器100のY軸方向の長さの5倍以上となっている。
図1では、基準となる直方体形状を二点鎖線L1で図示している。具体的には、容器100のX軸方向の両端の上部には、直方体形状の一対の切欠部101が形成されている。これにより、容器100は、Y軸方向視で、長方形(正方形を含む)の隣り合う一対の角部が切り欠かれた一対の切欠部101を有する形状となっている。一対の切欠部101は、X軸方向に並んでいる。一対の切欠部101のうち、X軸プラス方向の切欠部101を第一切欠部110と称し、X軸マイナス方向の切欠部101を第二切欠部120と称す。
【0028】
具体的には、第一切欠部110は、YZ面に平行な矩形状の第一側面111と、第一側面111の下端からX軸プラス方向に延びて、XY面に平行な矩形状の第一上面112とにより形成されている。第一切欠部110は、容器100のX軸プラス方向かつZ軸プラス方向の角部が、Y軸方向から見て四角形状(L字状)に欠けた部分である。
【0029】
第二切欠部120は、YZ面に平行な矩形状の第二側面121と、第二側面121の下端からX軸マイナス方向に延びて、XY面に平行な矩形状の第二上面122とにより形成されている。第二切欠部120は、容器100のX軸マイナス方向かつZ軸プラス方向の角部が、Y軸方向から見て四角形状(L字状)に欠けた部分である。
【0030】
容器100において、長側面130は、Y軸方向で対向する両端面である。各長側面130は、XZ面に平行かつX軸方向に長尺な平面であり、そのX軸方向の両端部が各切欠部101に対応した形状となっている。
【0031】
容器100において、短側面113,123は、X軸方向で対向する両端面である。短側面113は、上端が第一上面112に連続し、YZ面に平行な矩形状の平面である。短側面123は、上端が第二上面122に連続し、YZ面に平行な矩形状の平面である。
【0032】
容器100においてZ軸方向で対向する両端面のうち、Z軸プラス方向の端面が上面140であり、Z軸マイナス方向の端面が下面150である。上面140は、第一側面111の上端と、第二側面121の上端とを結ぶ平面であり、XY面に平行な矩形状の平面である。下面150は、短側面113の下端と、短側面123の下端とを結ぶ平面であり、XY面に平行な矩形状の平面である。
【0033】
容器100は、容器本体160と容器蓋体170とを有している。容器100は、容器本体160と容器蓋体170とが組み付けられることで略直方体形状をなしている。容器本体160は、Y軸プラス方向の長側面130と、上面140と、下面150と、短側面113、123と、第一側面111と、第一上面112と、第二側面121と、第二上面122とを有している。
【0034】
容器本体160は、Y軸マイナス方向が開放された箱形状を有する。容器本体160は、平板状の底壁161と、底壁161の全周からY軸マイナス方向に立ち上がる側壁162とを有している。底壁161は第一壁部の一例であり、側壁162は第二壁部の一例である。側壁162は、上面140と、下面150と、短側面113、123と、第一側面111と、第一上面112と、第二側面121と、第二上面122とで形成されている。側壁162は、電極体700等が収容される開口を形成している。
【0035】
容器本体160における側壁162の短側面113と側壁162の短側面123との間の長さは、容器160における側壁162の上面140と側壁162の下面150との間の長さの3倍以上となっている。つまり、極板の積層方向(Y軸方向)からみて底壁161の長い辺の長さ(X軸方向の辺の長さ)は、底壁161の短い辺の長さ(Z軸方向の辺の長さ)の3倍以上となっている。容器本体160における側壁162の短側面113と側壁162の短側面123との間の長さは、側壁162の高さの5倍以上となっている。つまり、底壁161の長い辺の長さ(X軸方向の辺の長さ)は、側壁162の高さ(Y軸方向の辺の長さ)の5倍以上となっている。
【0036】
容器蓋体170は、容器本体160の側壁162がなす開口を覆っている。容器蓋体170は、側壁162に接合されている。このような構成により、容器100は、電極体700等を容器本体160の開口に収容後、容器本体160と容器蓋体170とが溶接等によって接合されることで、密封される。容器100(容器本体160及び容器蓋体170)の材質は特に限定されないが、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0037】
容器本体160には注液部168と、ガス排出弁169とが形成されている。ガス排出弁169は、容器100内方の圧力が過度に上昇した場合に当該圧力を開放する安全弁である。注液部168は、蓄電素子10の製造時に容器100の内方に電解液を注液するための部位である。注液部168及びガス排出弁169は容器蓋体170に設けられてもよい。
【0038】
端子300は、集電体600を介して、電極体700に電気的に接続される端子(正極端子310及び負極端子320)である。つまり、端子300は、電極体700に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体700に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。端子300の材質は特に限定されないが、端子300は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金等の導電部材で形成されている。端子300は、かしめ接合または溶接等によって、集電体600に接続(接合)され、かつ、容器本体160に取り付けられる。
【0039】
端子300は、端子本体部330と、端子本体部330から突出した軸部340とを有している。端子本体部330は、容器100における端子設置面よりも外方に配置された部位である。ここで、端子設置面は、第一上面112及び第二上面122である。端子設置面は、外部ガスケット400を介して端子本体部330が設置される面である。容器本体160において各端子設置面に対応する箇所には、軸部340が貫通する貫通孔112a、122aが形成されている。軸部340は、端子設置面、外部ガスケット400、内部ガスケット500及び集電体600を貫通した状態でかしめられることで、集電体600に接続(接合)されている。
【0040】
集電体600は、電極体700のX軸方向の両端部に一つずつ配置されている。集電体600は、電極体700と端子300とに接続(接合)されて、電極体700と端子300とを電気的に接続する導電性を備えた部材(正極集電体610及び負極集電体620)である。集電体600の材質は特に限定されないが、正極集電体610は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の導電部材で形成され、負極集電体620は、銅または銅合金等の導電部材で形成されている。集電体600の詳細については後述する。
【0041】
外部ガスケット400は、容器100の容器本体160と端子300との間に配置され、容器本体160と端子300との間を絶縁し、かつシールする板状かつ矩形状の絶縁性のシール部材である。内部ガスケット500は、容器本体160と集電体600との間に配置され、容器本体160と集電体600との間を絶縁し、かつシールする板状かつ矩形状の絶縁性のシール部材である。外部ガスケット400及び内部ガスケット500は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の電気的な絶縁性を有する樹脂等によって形成されている。
【0042】
電極体700は、極板が巻回されて形成された蓄電要素(発電要素)である。
図2に示すように、電極体700は、X軸方向に延びる長尺な形状であって、X軸方向から見て長円形状を有している。電極体700は、X軸方向の長さが300mm以上、具体的には、500mm~1500mm程度まで延びる形状を有している。このため、電極体700は、Z軸方向の長さよりもX軸方向の長さが長くなっている。電極体700は、Z軸方向の長さに対し、X軸方向の長さが3倍以上となっている。電極体700は、本体部710と、本体部710からX軸方向に突出した複数の接合部720とを有する。上述の通り、接合部720が集電体600に接続(接合)される。
【0043】
具体的には、複数の接合部720は、本体部710のX軸方向の両端面から一つずつ突出している。本体部710のX軸プラス方向の一端面には、Z軸方向の両端部から所定の間隔をあけて正極接合部721が設けられている。一方、本体部710のX軸マイナス方向の他端面には、Z軸方向の両端部から所定の間隔をあけて負極接合部722が設けられている。このような電極体700の構成について、以下に詳細に説明する。
【0044】
[電極体の構成の説明]
図3は、実施の形態に係る電極体700の構成を示す斜視図である。具体的には、
図3は、電極体700における極板の巻回状態を一部展開した状態での構成を示している。
図3に示すように、電極体700は、正極板740と、負極板750と、セパレータ761、762と、を有している。
【0045】
正極板740は、帯状の金属箔である正極集電箔741の表面に、正極活物質層742が形成された極板(電極板)である。正極集電箔741には、アルミニウムまたはアルミニウム合金等が用いられる。負極板750は、帯状の金属箔である負極集電箔751の表面に、負極活物質層752が形成された極板(電極板)である。負極集電箔751には、銅または銅合金等からなるが用いられる。正極活物質層742に用いられる正極活物質、及び、負極活物質層752に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質及び負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。
【0046】
正極活物質として、LiMPO4、LiMSiO4、LiMBO3(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、LiMn2O4、LiMn1.5Ni0.5O4等のスピネル型リチウムマンガン酸化物、LiMO2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いてもよい。負極活物質としては、リチウム金属、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、ケイ素酸化物などが挙げられる。
【0047】
セパレータ761、762は、樹脂からなる微多孔性のシートである。セパレータ761、762の素材としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければ、適宜公知の材料を使用できる。セパレータ761、762として、有機溶剤に不溶な織布、不織布、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂からなる合成樹脂微多孔膜等を用いてもよい。
【0048】
電極体700は、正極板740及び負極板750と、セパレータ761、762とが巻回されることで形成されている。つまり、電極体700は、負極板750と、セパレータ761と、正極板740と、セパレータ762とがこの順に積層され、巻回されることで形成されている。本実施の形態では、正極板740及び負極板750等がX軸方向に延びる巻回軸Lを中心に巻回されることで巻回型の電極体700が形成される。巻回軸Lとは、正極板740及び負極板750等を巻回する際の中心軸となる仮想的な軸である。本実施の形態では、電極体700の中心を通る、X軸方向に平行な直線である。
【0049】
正極板740の巻回軸方向の一端縁(X軸プラス方向の端縁)には、複数の突出片743が間隔をあけて配置されている。同様に、負極板750の巻回軸方向の他端縁(X軸マイナス方向の端縁)には、複数の突出片753が間隔をあけて配置されている。突出片743及び突出片753は、活物質を含む活物質層が形成されておらず金属箔(集電箔)が露出した部分(活物質層非形成部)である。
図3の斜線部分が活物質層非形成部に該当する。
【0050】
正極板740及び負極板750と、セパレータ761、762とが巻回されると、本体部710の一端面で、正極板740の各突出片743が重なり合う。正極板740の各突出片743が重なり合った部分が正極接合部721である。同様に、本体部710の他端面で、負極板750の各突出片753同士が重なり合う。負極板750の各突出片753同士が重なり合った部分が負極接合部722である。
【0051】
本体部710は、正極活物質層742が形成(塗工)された部分と、負極活物質層752が形成(塗工)された部分と、セパレータ761、762とが巻回されて形成された長円柱形状の部位(活物質層形成部)である。本体部710は、Z軸方向両側に一対の湾曲部711を有し、この一対の湾曲部711間に、平坦状の平坦部712を有している。一対の湾曲部711は、Z軸方向で平坦部712を挟む位置に配置されているとも言える。
【0052】
湾曲部711は、X軸方向から見てZ軸方向の端部の円弧形状が、X軸方向に延びる湾曲状の部位である。湾曲部711は、容器本体160の側壁162の一部である上面140と、下面150とに対向して配置される。つまり、一対の湾曲部711は、X軸方向から見て、平坦部712からZ軸方向両側に突出するように湾曲した部位である。
【0053】
平坦部712は、一対の湾曲部711の端部同士を繋ぐ、XZ平面に平行に広がる矩形状かつ平坦状の部位である。平坦部712は、容器本体160の底壁161及び容器蓋体170に対向して配置される。当該平坦部712では、巻回された複数の極板(正極板740及び負極板750)がY軸方向に積層されている。つまり、平坦部712では、Y軸方向が複数の極板の積層方向である。本開示では電極体700の主たる積層方向をY軸方向と定義する。電極体700は積層方向視で容器本体160の底壁161に重なっている。
【0054】
湾曲部711の湾曲形状は、半円の円弧形状には限定されず、楕円形状の一部等でもよく、どのように湾曲していてもよい。平坦部712は、Y軸方向に向く外面が平面であることには限定されず、当該外面が少し凹んでいたり、少し膨らんでいたりしていてもよい。
【0055】
[集電体の構成の説明]
次に集電体の詳細について説明する。
図4は、実施の形態に係る集電体600を示す斜視図である。
図4に示すように、集電体600は、一枚の板金を折り曲げることにより形成されている。集電体600は、端子接合部630と、中間部640と、電極体接合部650とを有している。
【0056】
端子接合部630は、端子300とかしめ接合または溶接等により接続(接合)される部位である。本実施形態では、端子接合部630は平板状である。具体的には、端子接合部630はXY面に平行な姿勢で配置されている。端子接合部630は、貫通孔631を有しており、この貫通孔631を介して端子300の軸部340がかしめ接合されている(
図5参照)。端子接合部630は、側壁162に沿った姿勢で軸部340に接続されている。
【0057】
中間部640は、端子接合部630に対して折れ曲がった部位である。本実施形態では、中間部640は平板状である。具体的には、中間部640は、端子接合部630のY軸プラス方向の端部に連続し、当該端子接合部630から離れるようにXZ面に沿って延びている。中間部640は、Z軸プラス方向の基端部である第一部641と、第一部641よりもZ軸マイナス方向の部分である第二部642とを備えている。第一部641は、端子接合部630と同じ幅(X軸方向の長さ)となっている。第二部642は、第一部641よりも狭い幅となっている。第一部641と第二部642とは、X軸マイナス方向の縁部が面一に形成されており、X軸プラス方向の縁部が段差状に形成されている。
【0058】
電極体接合部650は、接合部720に接合される部位である。本実施形態では、電極体接合部650は、中間部640に対して折れ曲がった平板状の部位である。具体的には、電極体接合部650は、中間部640の第二部642のX軸プラス方向の端部に連続し、当該中間部640から離れるようにYZ面に沿って延びている。電極体接合部650は、全体が端子接合部630の幅(X軸方向の長さ)内に収められている。電極体接合部650と中間部640(具体的には第二部642)との境界660は、集電体600の他の部分よりも薄肉に形成されている(
図7参照)。
【0059】
[端子及び接合部と集電体との接合構造]
次に、端子300及び接合部720と集電体600との接合構造について説明する。
図5は、実施の形態に係る端子300及び接合部720と集電体600等との接合構造を示す断面図である。
図5は
図1に示すV-V線を含む切断面を見た断面図である。
図5では、正極の各部材の接合構造を示しているが、負極の各部材の接合構造においても基本的には同様である。
【0060】
図5に示すように、端子300の端子本体部330は、外部ガスケット400を介して第一上面112(端子設置面)に設置されている。端子300の軸部340は、第一上面112、外部ガスケット400、内部ガスケット500を貫通し、さらに集電体600の端子接合部630を貫通した状態でかしめられることで、端子接合部630に接合(接続)されている。
【0061】
図6は、実施の形態に係る軸部340がかしめられる前の集電体600の状態を示す平面図である。
図6に示すように、軸部340のかしめ前においては集電体600の電極体接合部650は、中間部640の第二部642に対して折り曲げられていない。このため、かしめ前の軸部340の直下から電極体接合部650が退避した状態となっているので、軸部340をかしめる際に電極体接合部650が邪魔となりにくく、軸部340をスムーズにかしめることが可能である。軸部340のかしめ後には、電極体接合部650を第二部642に対して折り曲げる。このとき、第二部642と電極体接合部650との境界660は薄肉に形成されているので、容器本体160内においても電極体接合部650を第二部642に対して容易に折り曲げることができる。つまり、作業スペースに制約のある容器本体160内に、折り曲げるための過大な工具を挿入しなくとも、電極体接合部650を折り曲げることが可能である。折り曲げ後では、電極体接合部650は容器本体160の底壁161に対して起立した状態となっている。
【0062】
ところで、電極体接合部650が中間部640に対して折り曲げられた状態であっても軸部340をかしめることは可能である。この場合、かしめ前の軸部340(
図5に示す二点鎖線)から電極体接合部650が離れていれば、軸部340と電極体接合部650との間にかしめ用の工具を挿入することが可能である。かしめ後の状態では、電極体接合部650は、軸部340から所定長さD以上離れて配置されていればよい。所定長さDは、10mmであればよい。
【0063】
図7は、実施の形態に係る電極体700の接合部720が電極体接合部650に接合された状態を示す平面図である。
図7に示すように、端子300と集電体600とが接合されて、電極体接合部650が中間部640に対して折り曲げられYZ面に沿って延びた後に、電極体700の接合部720が電極体接合部650に重ねられる。具体的には、電極体700の本体部710からX軸方向に突出した接合部720は、曲げられた状態で、当該接合部720の先端部が電極体接合部650に重なっている。この状態では、接合部720の先端部と電極体接合部650とのX軸方向の両側方には、空間S1、S2が形成されている。この空間S1、S2に溶接用の治具を配置して、接合部720の先端部と電極体接合部650とを接合する。接合方法としては、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接などが挙げられる。接合後には、接合部720の先端部と電極体接合部650との接合面Wは、YZ面に沿って延びている。つまり、接合面Wは、接合部720の突出方向(X軸方向)に交差する方向に沿って延びている。具体的には、接合面WはY軸方向に沿って直線状に延びている。ここで、接合面Wは、YZ面に沿って連続的に延びていてもよいが、断続的に延びていてもよい。接合面Wは、YZ面内で曲線状に延びていてもよい。
【0064】
[効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態によれば、電極体700の接合部720と、集電体600の電極体接合部650との接合面Wが、当該接合部720の突出方向(X軸方向)に対して交差する方向に沿って延びている。このため、接合部720と電極体接合部650とが突出方向に対して起立した姿勢となるので、接合部720と電極体接合部650とのそれぞれの側方に空間S1、S2を形成できる。これにより、接合部720と電極体接合部650とを接合する際の治具を、接合部720と電極体接合部650とのそれぞれの側方に配置しやすい。したがって、接合部720と電極体接合部650とを容易に接合できる。
【0065】
端子接合部630における突出方向での幅内に電極体接合部650が設けられているので、端子接合部630の幅内で、接合部720と電極体接合部650とのそれぞれの側方に、治具用の空間S1、S2を形成できる。これにより、集電体600を全体としてコンパクトにしつつ、治具用の空間S1、S2を形成することが可能である。
【0066】
集電体600の端子接合部630が容器本体160の側壁162(第二壁部)に対向して端子300に接合されると、電極体接合部650が容器本体160の底壁161(第一壁部)に対して起立した姿勢となる。つまり、底壁161の周縁の少なくとも一部から側壁162が立ち上がった容器本体160であっても、接合部720と電極体接合部650とのそれぞれの側方に、治具用の空間S1、S2を形成することができる。したがって、このような容器本体160であっても、接合部720と電極体接合部650とを容易に接合することができ、安定した接合が可能となる。
【0067】
蓄電素子10の製造時、中間部640に対して電極体接合部650が折り曲げられる前の集電体600が用いられる場合がある。この場合、端子接合部630を容器本体160の側壁162の一部に対向させて端子300に接合し、その後に中間部640に対して電極体接合部650を折り曲げる。端子300を端子接合部630にかしめる際には、中間部640に対して電極体接合部650が曲げられていないので、端子300が電極体接合部650に干渉しにくく好適である。この場合、端子300を端子接合部630にかしめた後に、電極体接合部650を中間部640に対して折り曲げることになる。つまり、作業スペースに制約のある容器本体160内で電極体接合部650を中間部640に対して折り曲げなければならない。本実施の形態では、中間部640と電極体接合部650との境界660が、集電体600における他の部分よりも薄肉であるので、容器本体160内においても電極体接合部650を中間部640に対して容易に折り曲げることができる。つまり、作業スペースに制約のある容器本体160内に、折り曲げるための過大な工具を挿入しなくとも、電極体接合部650を中間部640に対して折り曲げることが可能である。
【0068】
端子接合部630に接合された端子300と、電極体接合部650とが所定長さD以上離れて配置されているので、端子300を端子接合部630に組み付ける際に、電極体接合部650が邪魔となりにくい。したがって、製造時における電極体接合部650と端子300との干渉を抑制できる。
【0069】
(変形例1)
次に、上記実施の形態に係る集電体の変形例について説明する。以降の説明において上記実施の形態と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0070】
図8は、変形例1に係る集電体600Aを示す部分断面図である。
図8は、
図5に対応する図である。上記実施の形態に係る集電体600では、電極体接合部650が中間部640のX軸プラス方向の端部から折り曲げられている場合を例示した。この変形例1では、電極体接合部650aが中間部640aのX軸マイナス方向の端部から折り曲げられている場合について説明する。
【0071】
図8に示すように、集電体600Aの中間部640aは、端子接合部630のY軸プラス方向の端部に連続し、当該端子接合部630から離れるようにXZ面に沿って延びている。中間部640aの第一部641aと第二部642aとは、X軸プラス方向の縁部が面一に形成されており、X軸プラス方向の縁部が段差状に形成されている。
【0072】
電極体接合部650aは、中間部640aの第二部642aのX軸マイナス方向の端部に連続し、当該中間部640aから離れるようにYZ面に沿って延びている。電極体接合部650aは、全体が端子接合部630の幅(X軸方向の長さ)内に収められている。この場合においても、接合部720と電極体接合部650aとのそれぞれの側方に空間S1、S2を形成できる。
【0073】
(変形例2)
図9は、変形例2に係る集電体600Bを示す部分断面図である。
図9は、
図5に対応する図である。上記実施の形態に係る集電体600では、端子接合部630における突出方向での幅内に電極体接合部650の全体が配置されている場合を例示した。この変形例2では、電極体接合部650bが端子接合部の幅外に設けられている場合について説明する。
【0074】
図9に示すように、集電体600Bの中間部640bは、端子接合部630のY軸プラス方向の端部に連続し、当該端子接合部630から離れるようにXZ面に沿って延びている。中間部640bは、端子接合部630と同じ幅の平面視長方形状に形成されている。
【0075】
電極体接合部650bは、中間部640bのX軸マイナス方向の端部に連続し、当該中間部640bから離れるようにYZ面に沿って延びている。電極体接合部650bは、全体が端子接合部630の幅外に配置されている。この場合においても、接合部720と電極体接合部650bとのそれぞれの側方に空間S1、S2を形成できる。
【0076】
(変形例3)
図10は、変形例3に係る集電体600Cを示す部分断面図である。
図10は、
図5に対応する図である。上記実施の形態に係る集電体600では、中間部640がXZ面に沿って延びている場合について説明した。この変形例3では、中間部がZ軸方向に傾斜して延びている場合について説明する。
【0077】
集電体600Cの中間部640cは、端子接合部630に対して折れ曲がった平板状の部位である。中間部640cは、端子接合部630のX軸プラス方向の端部に連続し、当該端子接合部630から離れるようにZ軸に傾斜して延びている。具体的には、中間部640cは、Z軸マイナス方向に向かうにつれX軸マイナス方向に向かう形状でZ軸方向に傾斜している。中間部640cのZ軸マイナス方向の端部には、電極体接合部650が連続した状態で、当該中間部640cから離れるようにYZ面に沿って延びている。電極体接合部650は、全体が端子接合部630の幅(X軸方向の長さ)内に収められている。この場合においても、接合部720と電極体接合部650とのそれぞれの側方に空間S1、S2を形成できる。
【0078】
(変形例3)
図11は、変形例4に係る端子300dを示す部分断面図である。
図11は、
図5に対応する図である。上記実施の形態では、容器100の内部で軸部340がかしめられる端子300を例示した。この変形例4では、容器100の外部で軸部340dがかしめられる端子300dについて説明する。
【0079】
端子300dは、端子本体330dと、軸部340dとが別部材となっている。端子300dは、平板であり、外部ガスケット400を介して、側壁162の端子設置面に設置されている。軸部340dの頭部は、集電体600の端子接合部630に接触している。軸部340dは、端子接合部630、内部ガスケット500、側壁162、外部ガスケット400及び端子本体330dを貫通した状態で、その先端部(上端部)がかしめられている。端子300dは、集電体600と一体であってもよい。この場合、集電体600の端子接合部630から延びる軸部340dが、内部ガスケット500、側壁162、外部ガスケット400及び端子本体330dを貫通した状態で、その先端部(上端部)がかしめられる。
【0080】
(その他)
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、上記実施の形態には限定されない。今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であり、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0081】
例えば、上記実施の形態では、略直方体形状の容器100が、一面のみを開放した容器本体160である第一容器部材と、当該一面を塞ぐ容器蓋体170である第二容器部材とを有する場合を例示した。つまり、上記実施の形態では、第一容器部材は、略直方体形状をなす六面のうち五面をなし、第二容器部材は一面をなしている。しかしながら、第一容器部材と第二容器部材とがなす略直方体状の面は如何様でもよい。例えば、略直方体形状をなす六面のうち第一容器部材が四面をなし、第二容器部材が二面をなしてもよいし、略直方体形状をなす六面のうち第一容器部材が三面をなし、第二容器部材が三面をなしてもよい。
【0082】
上記実施の形態では、一対の切欠部101を有する容器100を例示した。しかしながら、切欠部の設置個数は如何様でもよく、切欠部がなくてもよい。
【0083】
上記実施の形態では、容器100内に電極体700が一つのみ収容されている場合を例示したが、複数の電極体が容器内に収容されていてもよい。
【0084】
上記実施の形態では、巻回型の電極体700を例示した。しかし、電極体の形状は巻回型に限らず、平板状極板を積層したスタック型や、極板及び/またはセパレータを蛇腹状に折り畳んだ形状(セパレータを蛇腹状に折り畳んで矩形の極板を挟む形態、極板とセパレータとを重ねた後に蛇腹状に折り畳む形態等)などであってもよい。いずれにおいても、電極体の積層方向はY軸方向であればよく、電極体は積層方向視で容器本体の底壁に重なっていればよい。スタック型や蛇腹状に折り畳んだ形状の電極体はX軸方向に突出したタブ部を有し、タブ部と集電体600とが接合される。タブ部は電極体700と別体であってもよく、又は、一体であってもよい。
【0085】
上記実施の形態では、接合部720が本体部710の一部のみから突出している電極体700を例示した。しかしながら接合部が本体部の全体から突出した電極体であってもよい。
【0086】
上記実施の形態では、電極体接合部650と中間部640との境界660が、集電体600の他の部分よりも薄肉に形成されている集電体600を例示したが、端子接合部と中間部との境界が、集電体の他の部分よりも薄肉に形成されていてもよい。この場合、製造時に端子接合部と中間部とをスムーズに折り曲げることが可能である。電極体接合部と中間部との境界は薄肉になっていなくてもよい。
【0087】
上記実施の形態では、端子接合部630に接合された端子300と、電極体接合部650とが所定長さD以上離れて配置されている場合を例示したが、端子と電極体接合部とは所定長さ以上離れていなくてもよく、接触していてもよい。
【0088】
上記実施の形態等の蓄電素子は、蓄電装置に用いられてもよい。この場合、蓄電装置が備える少なくとも1つの蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されればよい。
図12は、実施の形態に係る蓄電素子を備えた蓄電装置を示す説明図である。
図12に示すように、複数の蓄電素子10は、蓄電装置800の内部に配置される。蓄電装置800は、各蓄電素子10を電気的に接続するバスバー(図示省略)を備えてもよい。蓄電装置800は、一以上の蓄電素子10の状態を監視する状態監視装置(図示省略)を備えてもよい。
【0089】
上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子に適用できる。
【符号の説明】
【0091】
10 蓄電素子
100 容器
160 容器本体
161 底壁(第一壁部)
162 側壁(第二壁部)
170 容器蓋体
300 端子
330 端子本体部
340 軸部
600、600A、600B、600C 集電体
630 端子接合部
640、640a、640b、640c 中間部
641、641a 第一部
642、642a 第二部
650、650a、650b 電極体接合部
660 境界
700 電極体
710 本体部
720 接合部
800 蓄電装置
D 所定長さ
S1、S2 空間
W 接合面