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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100018
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/46 20060101AFI20240719BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A47L15/46 Z
A47L15/42 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003709
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】青木 将二
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BL00
3B082DC04
(57)【要約】
【課題】洗浄性能の向上を実現できる食器洗浄機を提供する。
【解決手段】食器洗浄機1は、洗浄槽7と、洗浄槽7内に設けられ、被洗浄物TW1が載置される食器かご70と、洗浄槽7に貯留された水を圧送するポンプ65と、食器かご70よりも上方に設けられた上ノズル62と、食器かご70よりも下方に設けられた下ノズル61と、上ノズル62及び下ノズル61に係る複数の噴射動作を選択的に実行する噴射動作切替手段5と、ポンプ65及び噴射動作切替手段5を制御する制御部C1と、を備える。制御部C1は、給水源から供給される水を洗浄槽7に所定量貯留する給水工程と、洗浄槽7に収容された被洗浄物TW1に水を噴射する洗浄すすぎ工程と、を実行する。制御部C1は、給水工程において、噴射動作切替手段5に第1噴射動作を実行させ、洗浄すすぎ工程において、噴射動作切替手段5に少なくとも第2噴射動作及び第3噴射動作の一方を実行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に設けられ、前記被洗浄物が載置される食器かごと、
前記洗浄槽に貯留された水を圧送するポンプと、
前記食器かごよりも上方に設けられ、前記食器かごに向けて水を噴射可能な上ノズルと、
前記食器かごよりも下方に設けられ、前記食器かごに向けて水を噴射可能な下ノズルと、
前記上ノズル及び前記下ノズルに係る複数の噴射動作を選択的に実行する噴射動作切替手段と、
前記ポンプ及び前記噴射動作切替手段を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、給水源から供給される水を前記洗浄槽に所定量貯留する給水工程と、
前記洗浄槽に収容された前記被洗浄物に水を噴射する洗浄すすぎ工程と、を実行し、
前記給水源から供給される水を前記上ノズルから噴射する一方、前記下ノズルから水を噴射しない前記噴射動作を第1噴射動作とし、
前記ポンプによって圧送される水を前記上ノズルから噴射する一方、前記下ノズルから水を噴射しない前記噴射動作を第2噴射動作とし、
前記ポンプによって圧送される水を前記上ノズル及び前記下ノズルから噴射する前記噴射動作を第3噴射動作とし、
前記ポンプによって圧送される水を前記下ノズルから噴射する一方、前記上ノズルから水を噴射しない前記噴射動作を第4噴射動作とすると、
前記制御部は、前記給水工程において、前記噴射動作切替手段に前記第1噴射動作を実行させ、
前記制御部は、前記洗浄すすぎ工程において、前記噴射動作切替手段に少なくとも前記第2噴射動作及び前記第3噴射動作の一方を実行させるように構成されていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
合流部と、
前記ポンプによって圧送される水を前記合流部に導く上ノズル用圧送路と、
前記給水源から供給される水を前記合流部に導く給水路と、
前記上ノズル用圧送路及び前記給水路のそれぞれによって前記合流部に導かれた水を前記上ノズルに導いて前記上ノズルから噴射させる最終流路と、
前記給水路に設けられ、前記給水路を流れる水に微細気泡を発生させる微細気泡発生器と、
をさらに備えている請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記洗浄すすぎ工程は、前記被洗浄物を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程の後に実行され、前記被洗浄物をすすぐすすぎ工程と、を含み、
前記制御部は、前記洗浄工程において、前記噴射動作切替手段に少なくとも前記第3噴射動作及び前記第4噴射動作の一方を実行させ、最後に前記噴射動作切替手段に前記第2噴射動作を実行させる請求項1又は2記載の食器洗浄機。
【請求項4】
前記洗浄すすぎ工程は、前記被洗浄物を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程の後に実行され、前記被洗浄物をすすぐすすぎ工程と、を含み、
前記制御部は、前記すすぎ工程において、前記噴射動作切替手段に少なくとも前記第3噴射動作及び前記第4噴射動作の一方を実行させ、最後に前記噴射動作切替手段に前記第2噴射動作を実行させる請求項1又は2記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の食器洗浄機の一例が開示されている。特許文献1の図1図3等に示されているように、この食器洗浄機は、洗浄槽、食器かご、ポンプ、上ノズル、下ノズル及び制御部を備えている。
【0003】
洗浄槽には、被洗浄物が収容される。食器かごは、洗浄槽内に設けられている。食器かごには、被洗浄物が載置される。ポンプは、洗浄槽に貯留された水を圧送する。
【0004】
上ノズルは、食器かごよりも上方に設けられている。上ノズルは、食器かごに向けて水を噴射可能である。下ノズルは、食器かごよりも下方に設けられている。下ノズルは、食器かごに向けて水を噴射可能である。
【0005】
制御部は、給水弁を制御することにより、給水源から供給される水を洗浄槽の後壁に設けられた給水口から垂らして洗浄槽に貯留させる。そして、制御部は、ポンプを制御することにより、ポンプによって圧送される水を上ノズル及び下ノズルから食器かごに向けて噴射させ、洗浄槽に収容された被洗浄物を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-143483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の食器洗浄機では、洗浄性能の向上が求められている。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、洗浄性能の向上を実現できる食器洗浄機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の食器洗浄機は、被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に設けられ、前記被洗浄物が載置される食器かごと、
前記洗浄槽に貯留された水を圧送するポンプと、
前記食器かごよりも上方に設けられ、前記食器かごに向けて水を噴射可能な上ノズルと、
前記食器かごよりも下方に設けられ、前記食器かごに向けて水を噴射可能な下ノズルと、
前記上ノズル及び前記下ノズルに係る複数の噴射動作を選択的に実行する噴射動作切替手段と、
前記ポンプ及び前記噴射動作切替手段を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、給水源から供給される水を前記洗浄槽に所定量貯留する給水工程と、
前記洗浄槽に収容された前記被洗浄物に水を噴射する洗浄すすぎ工程と、を実行し、
前記給水源から供給される水を前記上ノズルから噴射する一方、前記下ノズルから水を噴射しない前記噴射動作を第1噴射動作とし、
前記ポンプによって圧送される水を前記上ノズルから噴射する一方、前記下ノズルから水を噴射しない前記噴射動作を第2噴射動作とし、
前記ポンプによって圧送される水を前記上ノズル及び前記下ノズルから噴射する前記噴射動作を第3噴射動作とし、
前記ポンプによって圧送される水を前記下ノズルから噴射する一方、前記上ノズルから水を噴射しない前記噴射動作を第4噴射動作とすると、
前記制御部は、前記給水工程において、前記噴射動作切替手段に前記第1噴射動作を実行させ、
前記制御部は、前記洗浄すすぎ工程において、前記噴射動作切替手段に少なくとも前記第2噴射動作及び前記第3噴射動作の一方を実行させるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の食器洗浄機では、上記構成により、制御部が以下に説明する手順により、給水源から供給される水を洗浄槽に所定量貯留する給水工程と、洗浄槽に収容された被洗浄物に水を噴射する洗浄すすぎ工程と、を実行できる。
【0011】
すなわち、制御部は、給水工程を開始すると、噴射動作切替手段に第1噴射動作を選択的に実行させる。これにより、給水源から供給される清浄な水が上ノズルから食器かごに向けて噴射され、食器かごに載置された被洗浄物に付着した汚れを落としながら、洗浄槽に貯留される。
【0012】
制御部は、洗浄槽に水が所定量貯留されると、噴射動作切替手段に第1噴射動作を停止させて給水工程を終了する。
【0013】
次に、制御部は、洗浄すすぎ工程を開始する。洗浄すすぎ工程において、噴射動作切替手段が第1噴射動作を実行すると洗浄槽に貯留される水が過剰になるおそれがあるので、第1噴射動作を実行する必要性は低い。このため、制御部は、噴射動作切替手段に少なくとも第2噴射動作及び第3噴射動作の一方を選択的に実行させる。
【0014】
例えば、洗浄すすぎ工程において、噴射動作切替手段は、第2噴射動作だけを実行したり、第3噴射動作だけを実行したり、第2、第3噴射動作を所定の順序で実行したり、第2、第4噴射動作を所定の順序で実行したり、第3、第4噴射動作を所定の順序で実行したり、第2~第4噴射動作を所定の順序で実行したりすることができる。これにより、ポンプによって圧送されて洗浄槽内で循環する水が上ノズル及び下ノズルのうちの少なくとも上ノズルから食器かごに向けて噴射され、食器かごに載置された被洗浄物に付着した汚れを落とす。なお、洗浄すすぎ工程において、第1噴射動作の実行を排除しない。
【0015】
また、制御部は、給水工程及び洗浄すすぎ工程を実行した後に洗浄槽に貯留された水を排水し、上述した手順で給水工程及び洗浄すすぎ工程を再び実行できる。
【0016】
この食器洗浄機において、上ノズルは、ポンプによって圧送されて洗浄槽内で循環する水を食器かごに向けて噴射して被洗浄物を洗浄するだけでなく、給水源から供給される清浄な水を食器かごに向けて噴射して被洗浄物を予備洗浄することができる。
【0017】
したがって、本発明の食器洗浄機は、洗浄性能の向上を実現できる。
【0018】
本発明の食器洗浄機は、合流部と、ポンプによって圧送される水を合流部に導く上ノズル用圧送路と、給水源から供給される水を合流部に導く給水路と、上ノズル用圧送路及び給水路のそれぞれによって合流部に導かれた水を上ノズルに導いて上ノズルから噴射させる最終流路と、給水路に設けられ、給水路を流れる水に微細気泡を発生させる微細気泡発生器と、をさらに備えていることが望ましい。
【0019】
この場合、給水工程において、噴射動作切替手段が第1噴射動作を実行することにより、微細気泡発生器が給水路を流れる水に微細気泡を発生させ、微細気泡を含む水が上ノズルから食器かごに向けて噴射される。その噴射された水は、食器かごに載置された被洗浄物に付着した汚れを落としながら、洗浄槽に貯留される。そして、洗浄すすぎ工程において、噴射動作切替手段が少なくとも第2噴射動作及び第3噴射動作の一方を実行することにより、洗浄槽内で微細気泡を含んだまま循環する水が上ノズル及び下ノズルのうちの少なくとも上ノズルから食器かごに向けて噴射され、食器かごに載置された被洗浄物に付着した汚れを落とす。その結果、この食器洗浄機は、微細気泡の洗浄促進作用により、洗浄性能の一層の向上を実現できる。この際、洗浄槽内で循環して上ノズルから噴射される水は、上ノズル用圧送路及び最終流路を通過するが、給水路及び微細気泡発生器を通過しない。つまり、微細気泡発生器には、給水源から供給される清浄な水のみが流れ、洗浄槽内で被洗浄物に付着した汚れに起因する細かい異物を含んで循環する水は流れない。その結果、この食器洗浄機は、異物詰まり等によって微細気泡発生器が微細気泡を発生し難くなる不具合を抑制できる。
【0020】
洗浄すすぎ工程は、被洗浄物を洗浄する洗浄工程と、洗浄工程の後に実行され、被洗浄物をすすぐすすぎ工程と、を含むことが望ましい。そして、制御部は、洗浄工程において、噴射動作切替手段に少なくとも第3噴射動作及び第4噴射動作の一方を実行させ、最後に噴射動作切替手段に第2噴射動作を実行させることが望ましい。
【0021】
洗浄工程において、噴射動作切替手段が第3、第4噴射動作を実行すると、食器かごよりも下方に設けられた下ノズルから食器かごに向けて上向きに水が噴射される。このため、その下ノズルから噴射される水と共に被洗浄物に付着した汚れが上方に飛散し易く、その飛散した汚れが被洗浄物に再付着するおそれがある。この点、上記構成により、噴射動作切替手段が洗浄工程の最後に第2噴射動作を実行するので、食器かごよりも上方に設けられた上ノズルから食器かごに向けて下向きに水が噴射される一方、食器かごよりも下方に設けられた下ノズルから水が噴射されない。このため、この食器洗浄機は、その上ノズルから噴射される水と共に被洗浄物に付着した汚れ、及び被洗浄物に再付着した汚れが下方に落下し易く、その落下した汚れが被洗浄物に再付着することを確実性高く抑制できる。その結果、この食器洗浄機は、洗浄性能の一層の向上を実現できる。
【0022】
洗浄すすぎ工程は、被洗浄物を洗浄する洗浄工程と、洗浄工程の後に実行され、被洗浄物をすすぐすすぎ工程と、を含むことが望ましい。そして、制御部は、すすぎ工程において、噴射動作切替手段に少なくとも第3噴射動作及び第4噴射動作の一方を実行させ、最後に噴射動作切替手段に第2噴射動作を実行させることが望ましい。
【0023】
すすぎ工程において、噴射動作切替手段が第3、第4噴射動作を実行すると、食器かごよりも下方に設けられた下ノズルから食器かごに向けて上向きに水が噴射される。このため、その下ノズルから噴射される水と共に被洗浄物に付着した汚れが上方に飛散し易く、その飛散した汚れが被洗浄物に再付着するおそれがある。この点、上記構成により、噴射動作切替手段がすすぎ工程の最後に第2噴射動作を実行するので、食器かごよりも上方に設けられた上ノズルから食器かごに向けて下向きに水が噴射される一方、食器かごよりも下方に設けられた下ノズルから水が噴射されない。このため、この食器洗浄機は、その上ノズルから噴射される水と共に被洗浄物に付着した汚れ、及び被洗浄物に再付着した汚れが下方に落下し易く、その落下した汚れが被洗浄物に再付着することを確実性高く抑制できる。その結果、この食器洗浄機は、洗浄性能の一層の向上を実現できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の食器洗浄機によれば、洗浄性能の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施例の食器洗浄機の模式断面図であって、洗浄槽が収容位置にある状態を示す図である。
図2図2は、図1と同様の模式断面図であって、洗浄槽が引き出し位置にある状態を示す図である。
図3図3は、図1と同様の模式断面図であって、第1噴射動作を説明する図である。
図4図4は、図1と同様の模式断面図であって、第2噴射動作を説明する図である。
図5図5は、図1と同様の模式断面図であって、第3噴射動作を説明する図である。
図6図6は、図1と同様の模式断面図であって、第4噴射動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0027】
(実施例)
図1に示すように、実施例の食器洗浄機1は、本発明の食器洗浄機の具体的態様の一例である。食器洗浄機1は、洗浄槽7がスライドする前面引き出し式であり、システムキッチンの天板CT1の下方に配置されている。
【0028】
<筐体、洗浄槽、食器かご及び蓋体>
食器洗浄機1は、筐体9、洗浄槽7、食器かご70及び蓋体8を備えている。本実施例では、システムキッチンを利用するユーザが筐体9と対向する側、すなわち図1の紙面左側を筐体9の前方と規定し、図1の紙面右側を筐体9の後方と規定する。
【0029】
筐体9は略箱状体であり、筐体開口9Hを有している。筐体開口9Hによって、筐体9の前部の上端から下端までの広い範囲が開放されている。筐体開口9Hは、筐体9内と外部とを連通させている。
【0030】
洗浄槽7は、筐体9内に収容されている。図1に示す洗浄槽7の位置を収容位置とする。洗浄槽7は、収容位置にある状態で、筐体開口9Hを閉塞している。
【0031】
略箱状体である洗浄槽7の側面と、筐体9の内壁面との間には、図示しないスライドレール機構が配置されている。図2に示すように、洗浄槽7は、そのスライドレール機構によって、筐体9に対して前後方向にスライド可能となっている。
【0032】
洗浄槽7は、槽開口7Hを有している。槽開口7Hによって、洗浄槽7の上方が開放されている。洗浄槽7の前部の上端には、取っ手7Gが設けられている。
【0033】
ユーザが取っ手7Gを把持し、手動操作で洗浄槽7を図1に示す収容位置から筐体9の前方にスライドさせることにより、図2に示すように、洗浄槽7が筐体開口9Hを介して筐体9の外部に露出する引き出し位置に移動する。また、図2に示す引き出し位置にある洗浄槽7をユーザが手動操作で筐体9の後方にスライドさせることにより、洗浄槽7が図1に示す収容位置に復帰する。
【0034】
洗浄槽7内の底部には、貯水部71が設けられている。貯水部71は、洗浄槽7内に供給される水を洗浄水として貯留する。貯水部71は、残菜フィルタ67によって、上部分と下部分とに区画されている。
【0035】
食器かご70は、洗浄槽7内に設けられている。食器洗浄機1は、食器かご70よりも下方に設けられた下ノズル61を備えている。下ノズル61の具体的構成については後述する。洗浄槽7には、食器類TW1が食器かご70に載置された状態で収容される。
【0036】
食器類TW1は、例えば、茶碗、皿、グラス等の飲食用器や、箸、スプーン、フォーク等の飲食用具等である。食器類TW1は、本発明の「被洗浄物」の一例である。
【0037】
図2に示すように、洗浄槽7が引き出し位置に移動した状態で、ユーザは槽開口7Hを介して、食器類TW1を洗浄槽7に収容したり、洗浄槽7から取り出したりすることができる。
【0038】
蓋体8は、筐体9内の上部に配置されている。食器洗浄機1は、蓋体8の下面側、かつ食器かご70よりも上方に設けられた上ノズル62を備えている。
【0039】
図1及び図2に示すように、蓋体8は、図示しない連動機構によって洗浄槽7のスライドに連動して上下動するように支持されている。この際、上ノズル62も、蓋体8と共に上下動する。
【0040】
蓋体8は、洗浄槽7が図1に示す収容位置にあるときには槽開口7Hを閉塞する。その一方、蓋体8は、洗浄槽7が図1に示す収容位置と図2に示す引き出し位置との間で移動するときには上昇して槽開口7Hを開放する。この際、上ノズル62は、蓋体8と共に上昇することにより洗浄槽7のスライドに干渉しない。
【0041】
<ポンプ、下ノズル用圧送路、上ノズル用圧送路及び合流部>
図1に示すように、食器洗浄機1は、ポンプ65、下ノズル用圧送路P11、上ノズル用圧送路P12及び合流部J1をさらに備えている。
【0042】
ポンプ65は、洗浄槽7の底壁に組み付けられている。ポンプ65の吸入口は、貯水部71における残菜フィルタ67よりも下に位置する部分に連通している。ポンプ65は、噴射用吐出口65A及び排水用吐出口65Bを有している。
【0043】
ポンプ65は、正回転することにより、貯水部71に貯留された洗浄水を噴射用吐出口65Aから吐出して圧送する。その一方、ポンプ65は、逆回転することにより、貯水部71に貯留された洗浄水を排水用吐出口65Bから吐出して圧送する。
【0044】
下ノズル用圧送路P11及び上ノズル用圧送路P12のそれぞれの上流端は、噴射用吐出口65Aに接続している。つまり、下ノズル用圧送路P11と上ノズル用圧送路P12とは、噴射用吐出口65Aから分岐している。
【0045】
下ノズル用圧送路P11は、正回転するポンプ65によって圧送される水を下ノズル61に導く。上ノズル用圧送路P12の下流端は、合流部J1に接続している。合流部J1は、洗浄槽7の後壁に組み付けられている。上ノズル用圧送路P12は、正回転するポンプ65によって圧送される水を合流部J1に導く。
【0046】
<給水路、最終流路及び排水路>
食器洗浄機1は、給水路P1、最終流路P3及び排水路P2をさらに備えている。給水路P1、最終流路P3及び排水路P2は、筐体9内に設けられており、略U字状に曲がって洗浄槽7のスライドに追従可能な追従部分をそれぞれ有している。
【0047】
給水路P1の上流端は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない給水源に接続している。給水路P1の下流端は、合流部J1に接続している。給水路P1は、図示しない給水源から供給される水を合流部J1に導く。
【0048】
最終流路P3の上流端は、合流部J1に接続している。最終流路P3は、上ノズル用圧送路P12及び給水路P1のそれぞれによって合流部J1に導かれた水を上ノズル62に導く。
【0049】
排水路P2の上流端は、ポンプ65の排水用吐出口65Bに接続している。排水路P2の下流端は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない排水経路に接続している。排水路P2は、ポンプ65が逆回転することにより、貯水部71に貯留された洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する。
【0050】
<下ノズル>
下ノズル61は、連結部61C、複数のアーム61A、複数のノズル孔61H及びタワーノズル61Tを有している。
【0051】
下ノズル用圧送路P11は、貯水部71の底壁を上向きに貫通し、貯水部71内に突出している。連結部61Cは、下ノズル用圧送路P11の下流端に回転可能に連結されている。これにより、下ノズル61は、洗浄槽7の中央、かつ食器かご70よりも下方において、鉛直方向に延びる回転軸心X1周りに回転可能である。
【0052】
各アーム61Aは、連結部61Cから回転軸心X1の径外方向に延びている。各ノズル孔61Hは、各アーム61Aの上面に設けられている。
【0053】
タワーノズル61Tは、各アーム61Aのそれぞれの上面における根元に接続している。タワーノズル61Tは、回転軸心X1を中心として上向きに略円筒状に突出し、その閉塞された上端部の外周面に噴射口が形成されている。
【0054】
ポンプ65によって圧送される洗浄水が下ノズル61に到達すると、下ノズル61は、回転軸心X1周りに回転しながら、各ノズル孔61H及びタワーノズル61Tから食器かご70に向けて洗浄水を噴射する。下ノズル61による洗浄水の噴射方向は、洗浄槽7内の全域に向かって洗浄水を飛散させるように様々な方向に変化するようになっている。
【0055】
<上ノズル>
上ノズル62は、連結部62C、複数のアーム62A及び複数のノズル孔62Hを有している。
【0056】
最終流路P3は、蓋体8を下向きに貫通している。連結部62Cは、最終流路P3の下流端に回転可能に連結されている。これにより、洗浄槽7が図1に示す収容位置にある状態で、上ノズル62は、洗浄槽7の中央、かつ食器かご70よりも上方において、鉛直方向に延びる回転軸心X2周りに回転可能である。
【0057】
各アーム62Aは、連結部62Cから回転軸心X2の径外方向に延びている。各ノズル孔62Hは、各アーム62Aの下面に設けられている。
【0058】
ポンプ65によって圧送される洗浄水が上ノズル62に到達すると、上ノズル62は、回転軸心X2周りに回転しながら、各ノズル孔62Hから食器かご70に向けて洗浄水を噴射する。同様に、図示しない給水源から供給される水が上ノズル62に到達すると、上ノズル62は、回転軸心X2周りに回転しながら、各ノズル孔62Hから食器かご70に向けて洗浄水を噴射する。上ノズル62による洗浄水の噴射方向は、洗浄槽7内の全域に向かって洗浄水を飛散させるように様々な方向に変化するようになっている。
【0059】
<ヒータ、温度センサ、乾燥ファン及び水位センサ>
食器洗浄機1は、ヒータ63、温度センサ31、乾燥ファン68及び水位センサ34をさらに備えている。
【0060】
ヒータ63は、貯水部71の底部に配置されている。乾燥ファン68は、洗浄槽7の後壁に組み付けられている。洗浄槽7の前壁には、乾燥ファン68により洗浄槽7内に送り込まれた空気を排気するための排気通路79が設けられている。温度センサ31は、貯水部71の底壁におけるヒータ63に対して下方に位置する部分に組み付けられている。
【0061】
ヒータ63は、貯水部71に貯留された洗浄水、又は洗浄槽7内の空気を加熱する。温度センサ31は、貯水部71に貯留された洗浄水、又は洗浄槽7内の空気の温度をヒータ63の近傍において検知する。
【0062】
乾燥ファン68は、ヒータ63を作動させた状態で回転作動することにより、加熱された空気を洗浄槽7内に送り込んで食器類TW1を乾燥させる。乾燥ファン68により洗浄槽7内に送り込まれた空気は、排気通路79を経由して食器洗浄機1の外部に排気される。
【0063】
水位センサ34は、貯水部71の隣に設けられている。水位センサ34は、連通管を介して貯水部71と接続された水位検知槽内のフロートの上下動に基づいて、洗浄槽7内の洗浄水の水位を検知する。
【0064】
<制御部及び入出力部>
食器洗浄機1は、制御部C1及び入出力部40をさらに備えている。
【0065】
制御部C1は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成されたメモリと、制御対象との間で信号の送受信を行うインターフェース回路と、制御対象への給電を制御する給電回路と、を含んで構成された電子回路ユニットである。メモリは、食器洗浄機1を動作させるためのプログラム及び設定情報等を記憶している。
【0066】
制御部C1は、ポンプ65、ヒータ63及び乾燥ファン68等を制御して作動させる。また、制御部C1は、後述する給水電磁弁69、下ノズル用電磁弁51、上ノズル用電磁弁52を制御して流路の開放及び遮断を切り替える。
【0067】
さらに、制御部C1は、温度センサ31及び水位センサ34や、図示しないセンサ類、例えば、洗浄槽7が収容位置にあるか否かを検知する位置センサ、洗浄槽7が収容位置にロックされているか否かを検知するロックセンサ等から検知信号を受信する。
【0068】
入出力部40は、複数のボタンを有する操作指示部によって、ユーザが行う食器洗浄機1の操作指示を受け付ける。また、入出力部40は、液晶パネル等の表示部によって、制御部C1から伝達される食器洗浄機1の運転や設定に関する情報等を表示する。
【0069】
<給水電磁弁、下ノズル用電磁弁、上ノズル用電磁弁、第1逆止弁及び第2逆止弁>
食器洗浄機1は、給水電磁弁69、下ノズル用電磁弁51、上ノズル用電磁弁52、第1逆止弁81及び第2逆止弁82をさらに備えている。
【0070】
給水電磁弁69は、給水路P1の上流端側に設けられている。給水電磁弁69は、制御部C1に制御されて、図3に示すように給水路P1を開放したり、図4図6に示すように給水路P1を遮断したりする。
【0071】
下ノズル用電磁弁51は、下ノズル用圧送路P11の上流端側に設けられている。下ノズル用電磁弁51は、制御部C1に制御されて、図5及び図6に示すように下ノズル用圧送路P11を開放したり、図3及び図4に示すように下ノズル用圧送路P11を遮断したりする。
【0072】
上ノズル用電磁弁52は、上ノズル用圧送路P12の上流端側に設けられている。上ノズル用電磁弁52は、制御部C1に制御されて、図4及び図5に示すように上ノズル用圧送路P12を開放したり、図3及び図6に示すように上ノズル用圧送路P12を遮断したりする。
【0073】
第1逆止弁81は、給水路P1における合流部J1の近傍に設けられている。第2逆止弁82は、上ノズル用圧送路P12における合流部J1の近傍に設けられている。
【0074】
給水電磁弁69が給水路P1を開放することにより、第1逆止弁81は、給水路P1を流れる水から圧力を受けて開放状態となり、第2逆止弁82は、給水路P1から合流部J1に流れる水から圧力を受けて遮断状態となる。
【0075】
その一方、給水電磁弁69が給水路P1を遮断することにより、第1逆止弁81は、図示しない給水源からの給水圧力を受けなくなって遮断状態となる。
【0076】
ポンプ65が正回転する状態で、上ノズル用電磁弁52が上ノズル用圧送路P12を開放することにより、第2逆止弁82は、上ノズル用圧送路P12を流れる水から圧力を受けて開放状態となり、第1逆止弁81は、上ノズル用圧送路P12から合流部J1に流れる水から圧力を受けて遮断状態となる。
【0077】
つまり、図3に示すように、給水路P1を流れて合流部J1に到達する水は、上ノズル用圧送路P12に逆流することなく、最終流路P3に流れ込む。また、図4及び図5に示すように、上ノズル用圧送路P12を流れて合流部J1に到達する水は、給水路P1に逆流することなく、最終流路P3に流れ込む。
【0078】
<噴射動作切替手段>
食器洗浄機1は、給水電磁弁69、下ノズル用電磁弁51、上ノズル用電磁弁52、第1逆止弁81及び第2逆止弁82を有して構成された噴射動作切替手段5を備えている。
【0079】
制御部C1がポンプ65と、噴射動作切替手段5の給水電磁弁69、下ノズル用電磁弁51及び上ノズル用電磁弁52と、を制御することにより、噴射動作切替手段5は、上ノズル62及び下ノズル61に係る複数の噴射動作を選択的に実行する。
【0080】
図3に示すように、図示しない給水源から供給される水を上ノズル62から噴射する一方、下ノズル61から水を噴射しない噴射動作を第1噴射動作とする。
【0081】
噴射動作切替手段5は、ポンプ65が停止した状態で、給水電磁弁69が給水路P1を開放することにより、第1噴射動作を実行する。
【0082】
図4に示すように、ポンプ65によって圧送される水を上ノズル62から噴射する一方、下ノズル61から水を噴射しない噴射動作を第2噴射動作とする。
【0083】
噴射動作切替手段5は、ポンプ65が正回転する状態で、給水電磁弁69が給水路P1を遮断し、下ノズル用電磁弁51が下ノズル用圧送路P11を遮断し、上ノズル用電磁弁52が上ノズル用圧送路P12を開放することにより、第2噴射動作を実行する。
【0084】
図5に示すように、ポンプ65によって圧送される水を上ノズル62及び下ノズル61から噴射する噴射動作を第3噴射動作とする。
【0085】
噴射動作切替手段5は、ポンプ65が正回転する状態で、給水電磁弁69が給水路P1を遮断し、下ノズル用電磁弁51が下ノズル用圧送路P11を開放し、上ノズル用電磁弁52が上ノズル用圧送路P12を開放することにより、第3噴射動作を実行する。
【0086】
図6に示すように、ポンプ65によって圧送される水を下ノズル61から噴射する一方、上ノズル62から水を噴射しない噴射動作を第4噴射動作とする。
【0087】
噴射動作切替手段5は、ポンプ65が正回転する状態で、給水電磁弁69が給水路P1を遮断し、下ノズル用電磁弁51が下ノズル用圧送路P11を開放し、上ノズル用電磁弁52が上ノズル用圧送路P12を遮断することにより、第4噴射動作を実行する。
【0088】
噴射動作切替手段5は、後述する給水工程において第1噴射動作を実行し、後述する洗浄工程及びすすぎ工程において、少なくとも第2噴射動作及び第3噴射動作の一方を実行するように構成されている。
【0089】
つまり、噴射動作切替手段5は、図示しない給水源から供給される水を上ノズル62から噴射する動作と、ポンプ65によって圧送される水を上ノズル62から噴射する動作と、を必ず実行する。
【0090】
本実施例では、噴射動作切替手段5は、第1~第4噴射動作の全てを実行する。
【0091】
<微細気泡発生装置>
図3に示すように、食器洗浄機1は、微細気泡発生器90をさらに備えている。微細気泡発生器90は、給水路P1における給水電磁弁69より下流、かつ給水路P1の追従部分よりも上流に設けられている。
【0092】
微細気泡発生器90は、噴射動作切替手段5が第1噴射動作を実行するときに、給水路P1を流れる水に微細気泡を発生させる。微細気泡の発生方法としては様々な方法が知られているが、本実施例では、微細気泡発生器90は、外部からの気体の供給が不要である。
【0093】
図示は省略するが、微細気泡発生器90は、ベンチュリ部材と、ベンチュリ部材よりも下流に位置する複数の攪拌部材と、を内蔵している。
【0094】
ベンチュリ部材には、複数のベンチュリ流路が形成されている。各ベンチュリ流路は、その途中において絞られた絞り部分と、上流側からその絞り部分に向かって縮径する縮径流路と、その絞り部分から下流側に向かって拡径する拡径流路と、を有している。各攪拌部材には、複数の羽根が形成されている。
【0095】
微細気泡発生器90は、ベンチュリ流路を通過する水に既に溶解している空気を泡にし、さらに各攪拌部材によってその泡を微細化することで、給水路P1を流れる水に直径1μm未満の気泡を含む微細気泡を発生させる。本実施例では、微細気泡発生器90は、所謂「ウルトラファインバブル発生器」である。
【0096】
<洗浄運転>
上記構成である食器洗浄機1では、以下の手順で洗浄運転が実行される。本実施例では、洗浄運転は、給水工程、洗浄すすぎ工程及び排水工程を含んでいる。洗浄すすぎ工程は、洗浄槽7に収容された食器類TW1に水を噴射する工程であって、洗浄工程及びすすぎ工程を含んでいる。本実施例では、洗浄運転は、給水工程、洗浄工程、排水工程、給水工程、すすぎ工程、排水工程、乾燥工程の順に実行される。
【0097】
ユーザは、洗浄対象の食器類TW1を洗浄槽7内に収容するため、取っ手7Gを把持して洗浄槽7を図1に示す収容位置から図2に示す引き出し位置に移動させる。そして、ユーザは、開放された槽開口7Hを介して洗浄槽7内に食器類TW1を収容する。
【0098】
その後、ユーザは、入出力部40を操作して洗浄運転の開始を指示し、洗浄槽7を図1に示す収容位置に移動させる。
【0099】
これにより、制御部C1は、図示しない位置センサによって洗浄槽7が収容位置にあることが検知され、かつ図示しないロックセンサによって洗浄槽7が収容位置にロックされていることが検知されたことを条件として洗浄運転を実行し、給水工程を開始する。
【0100】
給水工程は、図示しない給水源から供給される水を洗浄水として洗浄槽7の貯水部71に所定量貯留する工程である。
【0101】
制御部C1は給水工程において、噴射動作切替手段5に、図3に示す第1噴射動作を実行させる。これにより、図示しない給水源から供給される水が給水路P1を流れる。この際、微細気泡発生器90がその水に微細気泡を発生させる。微細気泡を含む水は、上ノズル62から食器かご70に向けて噴射され、食器かご70に載置された食器類TW1に付着した汚れを落としながら、洗浄槽7の貯水部71に貯留される。貯水部71に洗浄水が所定量貯留されると、制御部C1は、給水電磁弁69を制御して給水路P1を遮断させた後、洗浄工程を開始する。
【0102】
洗浄工程は、貯水部71に貯留された水に洗剤を含有させ、洗浄槽7に収容された食器類TW1を洗浄する工程である。制御部C1は洗浄工程において、ヒータ63を適宜作動させて洗浄水を加熱する。
【0103】
制御部C1は洗浄工程を開始すると、ポンプ65を正回転させる。そして、制御部C1は、噴射動作切替手段5に、少なくとも図4に示す第2噴射動作及び図5に示す第3噴射動作の一方を実行させる。
【0104】
これにより、ポンプ65によって圧送されて洗浄槽7内で微細気泡を含んだまま循環する水が上ノズル62及び下ノズル61のうちの少なくとも上ノズル62から食器かご70に向けて噴射され、食器かご70に載置された食器類TW1に付着した汚れを落とす。
【0105】
本実施例では、制御部C1は洗浄工程において、噴射動作切替手段5に、少なくとも図5に示す第3噴射動作及び図6に示す第4噴射動作の一方を実行させ、最後に噴射動作切替手段5に、図4に示す第2噴射動作を実行させる。但し、洗浄工程の最初又は途中で、噴射動作切替手段5に第2噴射動作を実行させることを排除しない。
【0106】
噴射動作切替手段5が第3、第4噴射動作を実行すると、食器かご70よりも下方に設けられた下ノズル61から食器かご70に向けて上向きに水が噴射される。このため、その下ノズル61から噴射される水と共に食器類TW1に付着した汚れが上方に飛散し易く、その飛散した汚れが食器類TW1に再付着するおそれがある。この点、噴射動作切替手段5が洗浄工程の最後に第2噴射動作を実行するので、食器かご70よりも上方に設けられた上ノズル62から食器かご70に向けて下向きに水が噴射される一方、食器かご70よりも下方に設けられた下ノズル61から水が噴射されない。このため、この食器洗浄機1は、その上ノズル62から噴射される水と共に食器類TW1に付着した汚れ、及び食器類TW1に再付着した汚れが下方に落下し易く、その落下した汚れが食器類TW1に再付着することを確実性高く抑制できる。
【0107】
次に、制御部C1は排水工程を実行し、ポンプ65を逆回転させて、貯水部71に貯留された洗浄水を食器洗浄機1の外部に排出する。
【0108】
次に、制御部C1は給水工程を再び実行し、噴射動作切替手段5に、図3に示す第1噴射動作を実行させる。これにより、図示しない給水源から供給される水が微細気泡を含んだ状態で上ノズル62から食器かご70に向けて噴射され、食器かご70に載置された食器類TW1をすすぎながら、洗浄槽7の貯水部71に貯留される。貯水部71に洗浄水が所定量貯留されると、制御部C1は、給水電磁弁69を制御して給水路P1を遮断させた後、すすぎ工程を開始する。
【0109】
すすぎ工程は、洗浄工程の後に実行される工程であって、貯水部71に貯留された清浄な水によって、洗浄槽7に収容された食器類TW1をすすぐ工程である。制御部C1はすすぎ工程において、ヒータ63を適宜作動させて洗浄水を加熱する。
【0110】
制御部C1はすすぎ工程を開始すると、ポンプ65を正回転させる。そして、制御部C1は、噴射動作切替手段5に、少なくとも図4に示す第2噴射動作及び図5に示す第3噴射動作の一方を実行させる。
【0111】
これにより、ポンプ65によって圧送されて洗浄槽7内で微細気泡を含んだまま循環する水が上ノズル62及び下ノズル61のうちの少なくとも上ノズル62から食器かご70に向けて噴射され、食器かご70に載置された食器類TW1をすすぐ。
【0112】
本実施例では、制御部C1はすすぎ工程において、噴射動作切替手段5に、少なくとも図5に示す第3噴射動作及び図6に示す第4噴射動作の一方を実行させ、最後に噴射動作切替手段5に、図4に示す第2噴射動作を実行させる。但し、すすぎ工程の最初又は途中で、噴射動作切替手段5に第2噴射動作を実行させることを排除しない。こうして、食器洗浄機1は、食器かご70に載置された食器類TW1を綺麗にすすぐことができる。
【0113】
次に、制御部C1は、排水工程を実行し、ポンプ65を逆回転させて、貯水部71に貯留された洗浄水を食器洗浄機1の外部に排出する。
【0114】
そして、制御部C1は、洗浄運転の最後に乾燥工程を実行し、ヒータ63及び乾燥ファン68を適宜作動させて洗浄槽7内の食器類TW1を乾燥させた後、洗浄運転を終了する。
【0115】
<作用効果>
実施例の食器洗浄機1では、制御部C1は給水工程において、噴射動作切替手段5に、図3に示す第1噴射動作を選択的に実行させる。これにより、図示しない給水源から供給される清浄な水が上ノズル62から食器かご70に向けて噴射され、食器かご70に載置された食器類TW1に付着した汚れを落としながら、洗浄槽7の貯水部71に貯留される。つまり、この食器洗浄機1は、給水工程においても食器類TW1を洗浄できる。
【0116】
また、制御部C1は、洗浄工程において、噴射動作切替手段5に第2噴射動作及び第3噴射動作の一方を選択的に実行させる。これにより、ポンプ65によって圧送されて洗浄槽7内で循環する水が上ノズル62及び下ノズル61のうちの少なくとも上ノズル62から食器かご70に向けて噴射され、食器かご70に載置された食器類TW1に付着した汚れを落とす。
【0117】
さらに、制御部C1は、すすぎ工程の前に行う給水工程において、噴射動作切替手段5に図3に示す第1噴射動作を選択的に実行させる。これにより、この食器洗浄機1は、すすぎ工程の前に行う給水工程においても食器類TW1をすすぐことができる。
【0118】
こうして、上ノズル62は、ポンプ65によって圧送されて洗浄槽7内で循環する水を食器かご70に向けて噴射して食器類TW1を洗浄するだけでなく、図示しない給水源から供給される清浄な水を食器かご70に向けて噴射して食器類TW1を予備洗浄したり、予備すすぎしたりすることができる。
【0119】
したがって、実施例の食器洗浄機1は、洗浄性能の向上を実現できる。
【0120】
また、この食器洗浄機1は、図3に示すように、上記構成の合流部J1、上ノズル用圧送路P12、給水路P1及び最終流路P3を備え、さらに、給水路P1に設けられ、給水路P1を流れる水に微細気泡を発生させる微細気泡発生器90を備えている。給水工程において、噴射動作切替手段5が第1噴射動作を実行することにより、微細気泡発生器90が給水路P1を流れる水に微細気泡を発生させ、微細気泡を含む水が上ノズル62から食器かご70に向けて噴射される。その噴射された水は、食器かご70に載置された食器類TW1に付着した汚れを落としながら、洗浄槽7の貯水部71に貯留される。そして、洗浄工程及びすすぎ工程において、噴射動作切替手段5が少なくとも第2噴射動作及び第3噴射動作の一方を実行することにより、洗浄槽7内で微細気泡を含んだまま循環する水が上ノズル62及び下ノズル61のうちの少なくとも上ノズル62から食器かご70に向けて噴射され、食器かご70に載置された食器類TW1に付着した汚れを落とす。その結果、この食器洗浄機1は、微細気泡の洗浄促進作用により、洗浄性能の一層の向上を実現できる。この際、洗浄槽7内で循環して上ノズル62から噴射される水は、上ノズル用圧送路P12及び最終流路P3を通過するが、給水路P1及び微細気泡発生器90を通過しない。つまり、微細気泡発生器90には、図示しない給水源から供給される清浄な水のみが流れ、洗浄槽7内で食器類TW1に付着した汚れに起因する細かい異物を含んで循環する水は流れない。その結果、この食器洗浄機1は、異物詰まり等によって微細気泡発生器90が微細気泡を発生し難くなる不具合を抑制できる。
【0121】
さらに、この食器洗浄機1において、制御部C1は、洗浄工程において、噴射動作切替手段5に少なくとも第3噴射動作及び第4噴射動作の一方を実行させ、最後に噴射動作切替手段5に第2噴射動作を実行させる。洗浄工程において、噴射動作切替手段5が第3、第4噴射動作を実行すると、食器かご70よりも下方に設けられた下ノズル61から食器かご70に向けて上向きに水が噴射される。このため、その下ノズル61から噴射される水と共に食器類TW1に付着した汚れが上方に飛散し易く、その飛散した汚れが食器類TW1に再付着するおそれがある。この点、上記構成により、噴射動作切替手段5が洗浄工程の最後に第2噴射動作を実行するので、食器かご70よりも上方に設けられた上ノズル62から食器かご70に向けて下向きに水が噴射される一方、食器かご70よりも下方に設けられた下ノズル61から水が噴射されない。このため、この食器洗浄機1は、その上ノズル62から噴射される水と共に食器類TW1に付着した汚れ、及び食器類TW1に再付着した汚れが下方に落下し易く、その落下した汚れが食器類TW1に再付着することを確実性高く抑制できる。その結果、この食器洗浄機1は、洗浄性能の一層の向上を実現できる。
【0122】
さらに、この食器洗浄機1において、制御部C1は、すすぎ工程において、噴射動作切替手段5に少なくとも第3噴射動作及び第4噴射動作の一方を実行させ、最後に噴射動作切替手段5に第2噴射動作を実行させる。すすぎ工程において、噴射動作切替手段5が第3、第4噴射動作を実行すると、食器かご70よりも下方に設けられた下ノズル61から食器かご70に向けて上向きに水が噴射される。このため、その下ノズル61から噴射される水と共に食器類TW1に付着した汚れが上方に飛散し易く、その飛散した汚れが食器類TW1に再付着するおそれがある。この点、上記構成により、噴射動作切替手段5がすすぎ工程の最後に第2噴射動作を実行するので、食器かご70よりも上方に設けられた上ノズル62から食器かご70に向けて下向きに水が噴射される一方、食器かご70よりも下方に設けられた下ノズル61から水が噴射されない。このため、この食器洗浄機1は、その上ノズル62から噴射される水と共に食器類TW1に付着した汚れ、及び食器類TW1に再付着した汚れが下方に落下し易く、その落下した汚れが食器類TW1に再付着することを確実性高く抑制できる。その結果、この食器洗浄機1は、洗浄性能の一層の向上を実現できる。
【0123】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0124】
実施例では、噴射動作切替手段5が給水電磁弁69、下ノズル用電磁弁51、上ノズル用電磁弁52、第1逆止弁81及び第2逆止弁82を有して構成されているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、噴射動作切替手段は、実施例に係る給水路P1、合流部J1、最終流路P3、給水電磁弁69、第1逆止弁81及び第2逆止弁82と、貯水部71から下ノズル61に洗浄水を圧送する第1ポンプ及び下ノズル用圧送路と、貯水部71から第2逆止弁82を経由して合流部J1に洗浄水を圧送する第2ポンプ及び上ノズル用圧送路と、を有して構成されていてもよい。つまり、2つのポンプが実施例に係る下ノズル用電磁弁51及び上ノズル用電磁弁52の代わりとなる構成であってもよい。また、実施例に係る第1逆止弁81及び第2逆止弁82を無くし、その代わりに合流部J1に流路切替弁を設けてもよい。
【0125】
実施例では、噴射動作切替手段5が第1~第4噴射動作の全てを実行するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、噴射動作切替手段は、第1噴射動作及び第2噴射動作だけを実行してもよいし、第1噴射動作及び第3噴射動作だけを実行してもよい。
【0126】
実施例では、食器洗浄機1は、洗浄槽7がスライドする前面引き出し式であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、洗浄槽の前面側を扉体によって開閉可能なフロントオープンタイプの食器洗浄機に本発明を適用してもよい。この場合において、上ノズルの上にさらに別の食器かごがあり、上ノズルは、下の食器かごに向けて水を噴射可能、かつ上の別の食器かごに向けて水を噴射可能になっていてもよい。
【0127】
実施例では、洗浄槽7への給水を上ノズル62のみによって行うが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、洗浄槽への給水を上ノズルによって行う構成に加えて、図示しない給水源から洗浄槽の側壁に開口する給水口を経由して洗浄槽7に給水可能とした構成も、本発明に含まれる。
【0128】
実施例では、制御部C1は、洗浄工程において、噴射動作切替手段5に少なくとも第3噴射動作及び第4噴射動作の一方を実行させ、洗浄工程の最後に噴射動作切替手段5に第2噴射動作を実行させ、すすぎ工程において、噴射動作切替手段5に少なくとも第3噴射動作及び第4噴射動作の一方を実行させ、すすぎ工程の最後に噴射動作切替手段5に第2噴射動作を実行させるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、制御部C1が洗浄工程において、噴射動作切替手段5に少なくとも第3噴射動作及び第4噴射動作の一方を実行させ、洗浄工程の最後に噴射動作切替手段5に第2噴射動作を実行させず、すすぎ工程において、噴射動作切替手段5に少なくとも第3噴射動作及び第4噴射動作の一方を実行させ、すすぎ工程の最後に噴射動作切替手段5に第2噴射動作を実行させるように変更した構成も、本発明に含まれる。また、制御部C1が洗浄工程において、噴射動作切替手段5に少なくとも第3噴射動作及び第4噴射動作の一方を実行させ、洗浄工程の最後に噴射動作切替手段5に第2噴射動作を実行させ、すすぎ工程において、噴射動作切替手段5に少なくとも第3噴射動作及び第4噴射動作の一方を実行させ、すすぎ工程の最後に噴射動作切替手段5に第2噴射動作を実行させないように変更した構成も、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は例えば、食器洗浄機又は食器洗浄乾燥機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0130】
1…食器洗浄機
TW1…被洗浄物
7…洗浄槽
70…食器かご
65…ポンプ
62…上ノズル
61…下ノズル
5…噴射動作切替手段
C1…制御部
J1…合流部
P12…上ノズル用圧送路
P1…給水路
P3…最終流路
90…微細気泡発生器
図1
図2
図3
図4
図5
図6