(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100024
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電極、蓄電デバイス、電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 11/50 20130101AFI20240719BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20240719BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240719BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240719BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240719BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20240719BHJP
H01M 4/133 20100101ALI20240719BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240719BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240719BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240719BHJP
H01M 4/1393 20100101ALI20240719BHJP
H01M 4/1395 20100101ALI20240719BHJP
H01G 11/06 20130101ALI20240719BHJP
H01G 11/26 20130101ALI20240719BHJP
H01G 11/40 20130101ALI20240719BHJP
H01G 11/42 20130101ALI20240719BHJP
H01G 11/68 20130101ALI20240719BHJP
H01G 11/30 20130101ALI20240719BHJP
【FI】
H01G11/50
H01M4/48
H01M4/38 Z
H01M4/587
H01M4/36 E
H01M4/134
H01M4/133
H01M4/13
H01M4/66 A
H01M4/139
H01M4/1393
H01M4/1395
H01G11/06
H01G11/26
H01G11/40
H01G11/42
H01G11/68
H01G11/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003717
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】坂本 ケネス 和哉
(72)【発明者】
【氏名】中屋 裕登
(72)【発明者】
【氏名】松浦 広幸
【テーマコード(参考)】
5E078
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA10
5E078AB06
5E078BA12
5E078BA13
5E078BA14
5E078BA18
5E078BA26
5E078FA12
5E078FA13
5H017AA03
5H017AS02
5H017EE01
5H017EE04
5H017EE05
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5H050AA08
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5H050BA17
5H050BA20
5H050CB02
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5H050CB08
5H050CB11
5H050CB29
5H050FA13
5H050FA16
5H050GA02
5H050GA16
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA07
(57)【要約】
【課題】合材層の割れや剥離を低減できる電極、蓄電デバイス及び電極の製造方法を提供する。
【解決手段】電極は、集電体と集電体に付着した合材層とを含み、合材層はケイ素を含む物質と炭素系活物質とを含む。物質の嵩と炭素系活物質の嵩との合計に占める物質の嵩の割合は、合材層の表面から集電体へ向かって小さくなる。蓄電デバイスは、リチオ化された合材層を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、前記集電体に付着した合材層と、を含み、
前記合材層は、ケイ素を含む物質と、炭素系活物質と、を含む電極であって、
前記物質の嵩と前記炭素系活物質の嵩との合計に占める前記物質の嵩の割合は、前記合材層の表面から前記集電体へ向かって小さくなる電極。
【請求項2】
前記物質と前記炭素系活物質との合計に占める前記物質の割合は25質量%以下である請求項1記載の電極。
【請求項3】
前記合材層の前記表面を含む表層部、及び、前記集電体に接する内層部の2つに前記合材層を前記合材層の厚さ方向に等分したとき、
前記表層部の断面に現出する前記物質の面積と前記炭素系活物質の面積との合計に占める前記物質の面積の割合は50%以上であり、
前記内層部の断面に現出する前記物質の面積と前記炭素系活物質の面積との合計に占める前記物質の面積の割合は50%未満である請求項1又は2に記載の電極。
【請求項4】
前記合材層の前記表面を含む第1部、前記集電体に接する第3部、及び、前記第1部と前記第3部との間の第2部の3つに前記合材層を前記合材層の厚さ方向に等分したとき、
前記合材層の断面に現出する前記物質の面積と前記炭素系活物質の面積との合計に占める前記物質の面積の割合Rは、前記第1部、前記第2部、前記第3部の順に小さくなる請求項1又は2に記載の電極。
【請求項5】
前記第1部の割合Rを前記第2部の割合Rで除した値は3以下であり、前記第2部の割合Rを前記第3部の割合Rで除した値は3以下である請求項4記載の電極。
【請求項6】
前記合材層の前記表面を含む第4部、前記集電体に接する第7部、前記第4部と前記第7部との間にあって前記第4部に接する第5部、及び、前記第4部と前記第7部との間にあって前記第7部に接する第6部の4つに前記合材層を前記合材層の厚さ方向に等分したとき、
前記合材層の断面に現出する前記物質の面積と前記炭素系活物質の面積との合計に占める前記物質の面積の割合Rは、前記第4部、前記第5部、前記第6部、前記第7部の順に小さくなる請求項1又は2に記載の電極。
【請求項7】
前記第4部の割合Rを前記第5部の割合Rで除した値は2.4未満であり、前記第5部の割合Rを前記第6部の割合Rで除した値は2.4未満であり、前記第6部の割合Rを前記第7部の割合Rで除した値は2.4未満である請求項6記載の電極。
【請求項8】
前記合材層の断面に現出する前記炭素系活物質の円相当径のふるい下積算分布の積算値が10%となる直径を、前記合材層の断面に現出する前記物質の円相当径のふるい下積算分布の積算値が10%となる直径で除した値は、2以上85以下である請求項1又は2に記載の電極。
【請求項9】
前記炭素系活物質は、多孔性炭素、天然黒鉛、人工黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、炭素繊維から選択される1種以上である請求項1又は2に記載の電極。
【請求項10】
前記物質は、ケイ素、酸化ケイ素から選択される1種以上である請求項1又は2に記載の電極。
【請求項11】
前記集電体は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼から選択される1種以上である請求項1又は2に記載の電極。
【請求項12】
請求項1又は2に記載された電極を含む蓄電デバイスであって、
前記電極は、リチオ化された合材層を含む蓄電デバイス。
【請求項13】
集電体と、前記集電体に付着した合材層と、を含み、前記合材層は、ケイ素を含む物質と、炭素系活物質と、を含む電極の製造方法であって、
前記物質と前記炭素系活物質とを含むスラリーを前記集電体に塗布する塗布工程と、
前記集電体に塗布された前記スラリーを乾燥する乾燥工程と、を備え、
前記乾燥工程において、前記物質の嵩と前記炭素系活物質の嵩との合計に占める前記物質の嵩の割合は、前記合材層の表面から前記集電体へ向かって小さくなる電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケイ素を含む物質と炭素系活物質とを含む電極、蓄電デバイス、電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Liをキャリアイオンとする蓄電デバイスにおいて、ケイ素を含む電極は、Li金属基準電位(Li+/Li)に対して卑な電位を示し、大きな容量密度を示す。しかし、ケイ素は不可逆なSi-O-Li結合を形成しLiイオンを消費するため、不可逆容量が大きくなる。不可逆容量を低減するため、不可逆容量の少なくとも一部に相当する量のLiイオンを、蓄電デバイスの組み立ての前に電極と反応させる技術(プレドープ)がある。
【0003】
プレドープのときにLiが電極に残存すると、Li金属の樹枝状結晶(デンドライト)の成長などの副反応が促進され、蓄電デバイスの容量維持率(サイクル寿命)が低下する原因となる。プレドープのときのLiの残存を低減するため、特許文献1に開示された先行技術は、ケイ素酸化物と炭素系活物質とを含む合材層を含む電極において、合材層は、ケイ素酸化物のリッチな表層部と、炭素系活物質のリッチな主要部と、を含み、表層部におけるケイ素酸化物と炭素系活物質との合計に占めるケイ素酸化物の割合を50質量%以上とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術は表層部におけるケイ素酸化物の割合が大きいので、プレドープにおいてLiを吸蔵したときに表層部の膨張が大きく、合材層に割れや剥離が生じるおそれがある。
【0006】
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、合材層の割れや剥離を低減できる電極、蓄電デバイス及び電極の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の第1の態様は、集電体と集電体に付着した合材層とを含み、合材層はケイ素を含む物質と炭素系活物質とを含む電極であって、物質の嵩と炭素系活物質の嵩との合計に占める物質の嵩の割合は、合材層の表面から集電体へ向かって小さくなる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、物質と炭素系活物質との合計に占める物質の割合は25質量%以下である。
【0009】
第3の態様は、第1又は第2の態様において、合材層の表面を含む表層部、及び、集電体に接する内層部の2つに合材層を合材層の厚さ方向に等分したとき、表層部の断面に現出する物質の面積と炭素系活物質の面積との合計に占める物質の面積の割合は50%以上であり、内層部の断面に現出する物質の面積と炭素系活物質の面積との合計に占める物質の面積の割合は50%未満である。
【0010】
第4の態様は、第1又は第2の態様において、合材層の表面を含む第1部、集電体に接する第3部、及び、第1部と第3部との間の第2部の3つに合材層を合材層の厚さ方向に等分したとき、合材層の断面に現出する物質の面積と炭素系活物質の面積との合計に占める物質の面積の割合Rは、第1部、第2部、第3部の順に小さくなる。
【0011】
第5の態様は、第4の態様において、第1部の割合Rを第2部の割合Rで除した値は3以下であり、第2部の割合Rを第3部の割合Rで除した値は3以下である。
【0012】
第6の態様は、第1又は第2の態様において、合材層の表面を含む第4部、集電体に接する第7部、第4部と第7部との間にあって第4部に接する第5部、及び、第4部と第7部との間にあって第7部に接する第6部の4つに合材層を合材層の厚さ方向に等分したとき、合材層の断面に現出する物質の面積と炭素系活物質の面積との合計に占める物質の面積の割合Rは、第4部、第5部、第6部、第7部の順に小さくなる。
【0013】
第7の態様は、第6の態様において、第4部の割合Rを第5部の割合Rで除した値は2.4未満であり、第5部の割合Rを第6部の割合Rで除した値は2.4未満であり、第6部の割合Rを第7部の割合Rで除した値は2.4未満である。
【0014】
第8の態様は、第1から第7の態様のいずれかにおいて、合材層の断面に現出する炭素系活物質の円相当径のふるい下積算分布の積算値が10%となる直径を、合材層の断面に現出する物質の円相当径のふるい下積算分布の積算値が10%となる直径で除した値は、2以上85以下である。
【0015】
第9の態様は、第1から第8の態様のいずれかにおいて、炭素系活物質は、多孔性炭素、天然黒鉛、人工黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、炭素繊維から選択される1種以上である。
【0016】
第10の態様は、第1から第9の態様のいずれかにおいて、物質は、ケイ素、酸化ケイ素から選択される1種以上である。
【0017】
第11の態様は、第1から第10の態様のいずれかにおいて、集電体は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼から選択される1種以上である。
【0018】
第12の態様は、第1から第11の態様のいずれかの電極を含む蓄電デバイスであって、電極はリチオ化された合材層を含む。
【0019】
第13の態様は、集電体と、集電体に付着した合材層と、を含み、合材層は、ケイ素を含む物質と、炭素系活物質と、を含む電極の製造方法であって、物質と炭素系活物質とを含むスラリーを集電体に塗布する塗布工程と、集電体に塗布されたスラリーを乾燥する乾燥工程と、を備える。乾燥工程において、物質の嵩と炭素系活物質の嵩との合計に占める物質の嵩の割合は、合材層の表面から集電体へ向かって小さくなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電極によれば、ケイ素を含む物質の嵩と炭素系活物質の嵩との合計に占める物質の嵩の割合は、合材層の表面から集電体へ向かって小さくなる。これによりLiの吸蔵・放出による物質の体積変化による歪を小さくできる。その結果、プレドープのときに合材層の表面からLiを十分に吸蔵し、かつ、Liの吸蔵・放出による物質の体積変化による合材層の応力を緩和できる。よって合材層の割れや剥離を低減できる。
【0021】
本発明の蓄電デバイスによれば、リチオ化された合材層を含むので、不可逆容量を低減できる。さらに合材層の割れや剥離を低減できるので、蓄電デバイスの容量維持率を向上できる。
【0022】
本発明の電極の製造方法によれば、ケイ素を含む物質より炭素系活物質の方が、集電体に塗布されたスラリーの中で重力沈降により集電体の近くに堆積する。これにより物質の嵩と炭素系活物質の嵩との合計に占める物質の嵩の割合を、合材層の表面から集電体へ向かって小さくできる。従って電極を簡易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図4】ケイ素を含む物質および炭素系活物質の円相当径(直径)のふるい下積算分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は一実施の形態における電極10の模式的な断面図である。電極10は、シート状の集電体11と、集電体11に付着した合材層12と、を含む。集電体11の材料に特に制限はないが、Cu、Al、Cu合金、Al合金、ステンレス鋼が例示される。
【0025】
合材層12は、ケイ素を含む物質14と炭素系活物質15とを含む。炭素系活物質15に加え物質14が合材層12に含まれるので、容量密度を大きくできる。物質14の材料は、Liの吸蔵・放出ができれば特に制限はない。物質14の材料は、Si、Si-Li合金、SiとOを構成元素に含む化合物(以下「SiOx」と称す。ただし0.5≦X≦1.5)が例示される。
【0026】
SiOx(酸化ケイ素)は、Siの酸化物、非晶質のSiO2マトリックス中に微結晶または非晶質のSiが分散した構造をもつものが例示される。SiOxは導電性が乏しいので、SiOxの表面を覆う導電層を設けたり、SiOxと導電材料とを複合したりするのが好ましい。SiOxと導電材料とを複合する手段は造粒が例示される。導電層の材料はPtやOs等の金属、炭素が例示される。導電材料は黒鉛(グラファイト)、低結晶性炭素、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維、繊維状やコイル状の金属が例示される。
【0027】
物質14の導電性が低い場合、孤立した物質14を低減するため、合材層12に導電剤が混合・分散され導電ネットワークが作られる。導電剤は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、繊維状やコイル状の金属が例示される。
【0028】
炭素系活物質15は、Liの吸蔵・放出ができれば特に制限はない。炭素系活物質15は、多孔質炭素、天然黒鉛、人工黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、炭素繊維が例示される。
【0029】
合材層12は、物質14の嵩と炭素系活物質15の嵩との合計に占める物質14の嵩の割合が、合材層12の表面13から集電体11へ向かって小さくなるように、物質14及び炭素系活物質15が配置されている。
図1に示す断面図においては、合材層12の断面に現出する物質14の面積と炭素系活物質15の面積との合計に占める物質14の面積の割合が、合材層12の表面13から集電体11へ向かって小さくなる。本実施形態では、合材層12の表面13から集電体11へ向かって、徐々に物質14の面積の割合が小さくなり、徐々に炭素系活物質15の面積の割合が大きくなる。
【0030】
合材層12は物質14が含まれているので、物質14が含まれていない場合に比べて理論容量を大きくできる。合材層12の表面13の近くに物質14が多く存在するから、プレドープのときに合材層12の表面13にLiを供給すると、Liと物質14との反応が速やかに進行する。集電体11に近づくと物質14が少なくなり導電性が大きい炭素系活物質15が多くなるから、Liの吸蔵・放出による物質14の体積変化による合材層12の応力を緩和できる。
【0031】
合材層12の断面に現出する物質14及び炭素系活物質15は、エネルギー分散型X線分光器(EDS)が搭載された走査電子顕微鏡(SEM)を用いて特定できる。SEMを用いて得た合材層12の断面の画像解析により、物質14及び炭素系活物質15の粒度分布が求められる。画像解析では、例えば画像の縦100μm横100μmの方形の範囲について、物質14及び炭素系活物質15の断面の面積を個々に測定し、その面積と同じ面積をもつ円の直径(円相当径)を求め、物質14及び炭素系活物質15を、それぞれ円相当径を直径とする球に置き換え、球の全体積に占める範囲別の体積%の分布を算出して、体積基準の円相当径の粒度分布が得られる。
【0032】
図4は物質14及び炭素系活物質15の円相当径(直径)の体積基準のふるい下積算分布を示す図である。
図4に示すように物質14の円相当径のふるい下積算分布の積算値が10%となる直径Aは、炭素系活物質15の円相当径のふるい下積算分布の積算値が10%となる直径Bよりも小さい。直径Bを直径Aで除した値は2以上85以下である。
【0033】
これにより直径Bを直径Aで除した値が2未満または85を超える場合に比べ、Liの吸蔵・放出による物質14の体積変化による合材層12の歪を小さくできる。その結果、プレドープのときに合材層12の表面13からLiを十分に吸蔵し、かつ、Liの吸蔵・放出による物質14の体積変化による合材層12の応力を緩和できる。よって合材層12の割れや剥離を低減できる。これにより蓄電デバイス21(後述する)の容量維持率(サイクル寿命)を向上できる。
【0034】
図1に戻って説明する。合材層12に存在する物質14と炭素系活物質15との合計に占める物質14の割合は25質量%以下であるのが好ましい。電極10の容量密度を向上し、さらに物質14の体積変化による応力を緩和し電極10の変形を低減できるからである。
【0035】
合材層12の表面13を含む表層部16、及び、集電体11に接する内層部17の2つに合材層12を合材層12の厚さ方向に等分したとき、表層部16の断面に現出する物質14の面積と炭素系活物質15の面積との合計に占める物質14の面積の割合は50%以上であり、内層部17の断面に現出する物質14の面積と炭素系活物質15の面積との合計に占める物質14の面積の割合は50%未満であるのが好ましい。プレドープのときに合材層12の表面13に供給されたLiと物質14との反応を表層部16で速やかに進行させると共に、物質14の体積変化による応力を内層部17で緩和するためである。
【0036】
図2は合材層12の厚さ方向に合材層12を3つに等分した場合の電極10の模式的な断面図である。合材層12を、合材層12の表面13を含む第1部18、集電体11に接する第3部20、及び、第1部18と第3部20との間の第2部19に3等分した場合、合材層12の断面に現出する物質14の面積と炭素系活物質15の面積との合計に占める物質14の面積の割合Rは、第1部18、第2部19、第3部20の順に小さくなるのが好ましい。プレドープのときに合材層12の表面13に供給されたLiと物質14との反応を第1部18で速やかに進行させると共に、物質14の体積変化による応力を第2部19及び第3部20で緩和するためである。
【0037】
特に、第1部18の割合Rを第2部19の割合Rで除した値は1より大きく3以下であり、第2部19の割合Rを第3部20の割合Rで除した値は1より大きく3以下であるのが好ましい。Liの吸蔵・放出による物質14の体積変化による、第1部18と第2部19との間に生じる割れや剥離、第2部19と第3部20との間に生じる割れや剥離を低減できるからである。
【0038】
図3は合材層12の厚さ方向に合材層12を4つに等分した場合の電極10の模式的な断面図である。合材層12を、合材層12の表面13を含む第4部21、集電体11に接する第7部24、第4部21と第7部24との間にあって第4部21に接する第5部22、及び、第4部21と第7部24との間にあって第7部24に接する第6部23に4等分した場合、合材層12の断面に現出する物質14の面積と炭素系活物質15の面積との合計に占める物質14の面積の割合Rは、第4部21、第5部22、第6部23、第7部24の順に小さくなるのが好ましい。プレドープのときに合材層12の表面13に供給されたLiと物質14との反応を第4部21及び第5部2で速やかに進行させると共に、物質14の体積変化による応力を第5部22、第6部23及び第7部24で緩和するためである。
【0039】
特に、第4部21の割合Rを第5部22の割合Rで除した値は1.0より大きく2.4未満であり、第5部22の割合Rを第6部23の割合Rで除した値は1.0より大きく2.4未満であり、第6部23の割合Rを第7部24の割合Rで除した値は1.0以上2.4未満であるのが好ましい。Liの吸蔵・放出による物質14の体積変化による、第4部21と第5部22との間に生じる割れや剥離、第5部22と第6部23との間に生じる割れや剥離、第6部23と第7部24との間に生じる割れや剥離を低減できるからである。
【0040】
電極10は、例えば以下のように製造される。まず、物質14及び炭素系活物質15を必須成分として含み、結着剤および増粘剤を任意成分として含み、それらが分散媒に分散されたスラリーを調製する。物質14及び炭素系活物質15は、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定により求めた炭素系活物質15の体積基準のふるい下積算分布の積算値が10%となる粒子径を、同様にレーザー回折・散乱法による粒度分布測定により求めた物質14の体積基準のふるい下積算分布の積算値が10%となる粒子径で除した値が、2以上85以下となるものが用いられる。
【0041】
結着剤はフッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ゴムが例示される、フッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロプレン共重合体が例示される。ポリオレフィンはポリエチレン、ポリプロピレンが例示される。ゴムはスチレンブタジエン系ゴムが例示される。増粘剤はカルボキシメチルセルロースが例示される。分散媒はN-メチル-2-ピロリドン等の有機溶媒や水が例示される。
【0042】
調製したスラリーを集電体11に塗布すると、スラリーが乾燥するまでの間に、重力沈降により、物質14に比べて粗い炭素系活物質15が集電体11の近くに多く堆積し、炭素系活物質15に比べて細かい物質14が集電体11の近くに少なく堆積する。このような現象が起こるようにスラリーは粘性が設定されている。スラリーが乾燥して得られた合材層12は、物質14の嵩と炭素系活物質15の嵩との合計に占める物質14の嵩の割合を、合材層12の表面13から集電体11へ向かって小さくできる。従って電極10を簡易に製造できる。乾燥後の合材層12をローラー等で圧延しても良い。
【0043】
次に合材層12の表面13にLiを供給し、不可逆容量の少なくとも一部に相当する量のLiをプレドープする。例えば、気相法により合材層12の表面13に形成されたLi蒸着膜、合材層12の表面13に張り付けられたLi金属箔により、合材層12にLiが供給される。Liの蒸着膜や金属箔を合材層12へ密着した後、加圧しても良い。蒸着膜や金属箔の材料はLi合金でも良い。Liのプレドープにより、合材層12がリチオ化された電極10が得られる。
【0044】
図5は蓄電デバイス25の断面図である。蓄電デバイス25は、Liをキャリアイオンとする電気化学素子である。本実施形態における蓄電デバイス25はリチウムイオンキャパシタである。蓄電デバイス25は、順に、電極10(負極)、セパレータ26及び正極27を含む。
【0045】
図5には一組の電極10、セパレータ26及び正極27をもつ蓄電デバイス25が図示されているが、これに限らず、これらを複数組含むものでも良い。また、蓄電デバイス25は積層型構造をもつものに限らず、電極10及び正極27がセパレータ26を介して積層され巻回された巻回型構造をもつものでも良い。
【0046】
正極27は集電体28と合材層29とが重ね合わされている。集電体28の材料はNi,Ti,Fe及びAlから選ばれる金属、これらの2種以上の元素を含む合金やステンレス鋼が例示される。
【0047】
合材層29は黒鉛や活性炭などの活物質、導電剤が含まれる。導電剤は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維が例示される。活物質はアニオンを可逆的に担持可能な材料であれば良く、黒鉛や活性炭に限定されない。
【0048】
合材層29に活物質や導電剤を結着するバインダーが含まれていても良い。バインダーは、フッ素樹脂、ポリオレフィン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、セルロースエーテル、スチレンブタジエンゴムなどのゴムが例示される。フッ素樹脂は、フッ化ビニリデン系ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体、エチレン4フッ化エチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体が例示される。
【0049】
セパレータ26は、正極27や電極10に含まれる活物質や電解液に対して耐久性があり、リチウムイオンは通過するが電子伝導性は有しない多孔質体からなる。セパレータ26は、セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなる不織布や多孔膜が例示される。
【0050】
電解液は、溶媒にリチウム塩が溶解している。リチウム塩は、正極27と電極10との間でリチウムイオンの授受を行うために用いられる化合物である。リチウム塩のアニオンは、ハロゲン化物イオン(I-、Cl-、Br-等)、SCN-、BF4-、BF3(CF3)―、BF3(C2F5)-、PF6
-、ClO4
-、SbF6
-、N(SO2F)2
-、N(SO2CF3)2
-、N(SO2C2F5)2
-、B(C6H5)4
-、B(O2C2H4)2
-、C(SO2F)3
-、C(SO2CF3)3
-、CF3COO-、CF3SO2O-、C6F5SO2O-、B(O2C2O2)2
-が例示される。
【0051】
電解液の溶媒は、蓄電デバイス25の利用温度域で液体であれば特に制限されない。溶媒は、炭酸エステル、脂肪族カルボン酸エステル、リン酸エステル、γ-ラクトン類、エーテル類、ニトリル類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、フルオラス溶媒、イオン液体が例示される。これらの混合物であっても良い。
【0052】
蓄電デバイス25は、例えば以下のように製造される。バインダーを溶解した溶液に活物質および導電剤を分散したスラリーを作る。集電体28の上にテープ成形後、乾燥して正極27のためのグリーンシート(正極シート)を得る。セパレータ26、正極シート及び電極10をそれぞれ所定の形に裁断した後、正極シート、セパレータ26、電極10の順に重ね、集電体11,28にそれぞれ端子(図示せず)を接続し、電解液と共にケース(図示せず)に封入して、順に正極27、セパレータ26及び電極10(負極)を含む蓄電デバイス25が得られる。
【実施例0053】
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
黒鉛74質量部、炭素で覆ったSiOx(1<x<2)19質量部、カーボンナノチューブ(導電剤)1質量部、スチレンブタジエンゴム(結着剤)5質量部、カルボキシメチルセルロース(増粘剤)1質量部を純水100質量部に入れ、ミキサーで混合しスラリーを調製した。レーザー回折・散乱法による粒度分布測定により求めた黒鉛の体積基準のふるい下積算分布の積算値が10%となる粒子径(d10)は4.0μmであった。同様にして求めたSiOxの体積基準のふるい下積算分布の積算値が10%となる粒子径(d10)は2.0μmであった。黒鉛のd10をSiOxのd10で除した値(以下「粒径比」と称す)は2.0であった。
【0055】
厚さ8μmの銅箔からなる集電体の上に、黒鉛とSiOxとを合わせた質量が6.5mg/cm2となるようにスラリーを塗布し、70℃で1時間真空乾燥して合材層を形成し、実施例1における電極を得た。
【0056】
(実施例2)
d10が1.1μmのSiOxを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2における電極を得た。粒径比は3.7であった。
【0057】
(実施例3)
d10が0.77μmのSiOxを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3における電極を得た。粒径比は5.2であった。
【0058】
(実施例4)
d10が0.32μmのSiOxを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4における電極を得た。粒径比は12.6であった。
【0059】
(実施例5)
d10が0.13μmのSiOxを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5における電極を得た。粒径比は30.4であった。
【0060】
(実施例6)
d10が50nmのSiOxを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例6における電極を得た。粒径比は80.4であった。
【0061】
(比較例1)
d10が11nmのSiOxを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1における電極を得た。粒径比は374.2であった。
【0062】
(比較例2)
d10が6nmのSiOxを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2における電極を得た。粒径比は807.4であった。
【0063】
(比較例3)
d10が5.5μmのSiOxを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例3における電極を得た。粒径比は0.73であった。
【0064】
(比較例4)
d10が11.9μmのSiOxを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例4における電極を得た。粒径比は0.34であった。
【0065】
(比較例5)
d10が25.2μmのSiOxを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例5における電極を得た。粒径比は0.18であった。
【0066】
(比較例6)
黒鉛93質量部、カーボンナノチューブ(導電剤)1質量部、スチレンブタジエンゴム(結着剤)5質量部、カルボキシメチルセルロース(増粘剤)1質量部を純水100質量部に入れ、ミキサーで混合して調製したスラリーを集電体に塗布した以外は、実施例1と同様にして比較例6における電極を得た。比較例6における電極はSiOxが含まれていなかった。
【0067】
(Si分布の測定)
実施例1-6、比較例1-5における電極の合材層を集電体に垂直に切断した後、SEMで合材層の断面の画像を取得し、画像の縦100μm×横100μmの方形の範囲のSiの分布を画像解析ソフトimageJ 1.52vを用いて測定した。
【0068】
合材層の厚さ方向に、合材層の表面を含む表層部、及び、集電体に接する内層部の2つに合材層を等分した後、表層部および内層部の断面に現出するSiの面積とCの面積との合計に占めるSiの面積の割合を求めた。
【0069】
合材層の厚さ方向に、合材層の表面を含む第1部、集電体に接する第3部、及び、第1部と第3部との間の第2部の3つに合材層を等分した後、第1部、第2部および第3部の断面に現出するSiの面積とCの面積との合計に占めるSiの面積の割合を求めた。
【0070】
合材層の厚さ方向に、合材層の表面を含む第4部、集電体に接する第7部、第4部と第7部との間にあって第4部に接する第5部、第4部と第7部との間にあって第7部に接する第6部の4つに合材層を等分した後、第4部、第5部、第6部および第7部の断面に現出するSiの面積とCの面積との合計に占めるSiの面積の割合を求めた。
【0071】
(プレドープ)
実施例1-6、比較例1-6における電極を、合材層の大きさが62mm×107mm、合材層以外の大きさが14mm×40mmとなるように切断した。大きさが62mm×107mm、厚さ0.02mmのLi金属箔を合材層の上に置いた後、セパレータの間に挟み、ロールプレスでLi金属箔を合材層に圧着した。Li金属箔を圧着した電極と電解液4mLを袋に密封し、24時間放置することによりプレドープを行った。電解液はリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)をリチウム塩(1mol/dm3)としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを混合した溶媒に溶解したものであった。
【0072】
(残存したLiの測定と評価)
袋から電極を取り出した後、セパレータを剥がし、電極の合材層の表面に残存したLiの面積を画像解析ソフトimageJ 1.52vを用いて測定した。実施例1-6、比較例1-5における電極は、残存したLiの面積が、合材層に圧着したLi金属箔の面積に対して50%未満であった。一方、比較例6における電極は、残存したLiの面積が、合材層に圧着したLi金属箔の面積に対して50%以上であった。実施例1-6、比較例1-5における電極は合材層にSiOxが含まれていたので、LiとSiOxとの反応が進行し金属箔のLiがSiOxに吸蔵され、比較例6に比べ、残存したLiが少なくなった。
【0073】
(サイクル寿命の測定と評価)
プレドープによりリチオ化した実施例1-6、比較例1-5における電極を直径10mmの円形に打ち抜いた後、合材層の上にセパレータ、活性炭電極(対極)を順に取り付け、セルを作製した。電解液をセルに4mL注入した後、真空脱気し、余分な電解液を除去した後、真空状態でセルを封止して実施例1-6、比較例1-5におけるリチウムイオンキャパシタを得た。このリチウムイオンキャパシタについて、25℃において3.8Vから2.2Vの範囲で500Cレート充放電を10000サイクル実施した。評価は、10000サイクル目の直列抵抗が1サイクル目の直列抵抗の100%以下のものをA、100%を超え200%未満のものをB、200%以上のものをCとした。
【0074】
【表1】
実施例1-6、比較例1-5における電極の粒径比、表層部および内層部のSiの面積の割合、第1部、第2部および第3部のSiの面積の割合、第1部のSiの割合を第2部のSiの割合で除した値、第2部のSiの割合を第3部のSiの割合で除した値、第4部、第5部、第6部および第7部のSiの面積の割合、第4部のSiの割合を第5部のSiの割合で除した値、第5部のSiの割合を第6部のSiの割合で除した値、第6部のSiの割合を第7部のSiの割合で除した値、サイクル寿命の評価を表1に記した。
【0075】
表1に示すように粒径比が2以上85以下の範囲にある実施例1-6は、評価がAであった。一方、粒径比が2以上85以下の範囲にない比較例1-5は、評価がCであった。実施例1-6は、粒径比を2以上85以下の範囲にすることにより、SiOxの分布がプレドープや充放電に適したものになったと推定している。
【0076】
表層部におけるSiの割合が50%以上80%未満の範囲にある実施例1-6は、評価がAであった。一方、表層部におけるSiの割合が50%未満または80%以上の範囲にある比較例1-5は、評価がCであった。実施例1-6は、表層部におけるSiの割合が50%以上80%未満の範囲なので、SiOxの分布がプレドープや充放電に適していたと推定している。
【0077】
第1部、第2部、第3部の順にSiの割合が小さくなり、第1部の割合を第2部の割合で除した値が3以下であり、第2部の割合を第3部の割合で除した値が3以下である実施例1-6は、評価がAであった。一方、第2部の割合を第3部の割合で除した値が3を超えた比較例1,2、及び、第1部、第2部、第3部の順にSiの割合が大きくなった比較例3-5は、評価がCであった。実施例1-6は、合材層におけるSiOxの分布がプレドープや充放電に適していたと推定している。
【0078】
第4部、第5部、第6部、第7部の順にSiの割合が小さくなり、第4部の割合を第5部の割合で除した値が2.4未満であり、第5部の割合を第6部の割合で除した値が2.4未満であり、第6部の割合を第7部の割合で除した値が2.4未満である実施例1-6は、評価がAであった。一方、第5部の割合を第6部の割合で除した値や第6部の割合を第7部の割合で除した値が2.4以上である比較例1-3、及び、第4部、第5部、第6部、第7部の順にSiの割合が大きくなった比較例4,5は、評価がCであった。実施例1-6は、合材層におけるSiOxの分布がプレドープや充放電に適していたと推定している。
【0079】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0080】
実施形態では、ケイ素を含む物質14及び炭素系活物質15のスラリー中の沈降速度の違いを利用して、物質14の分布を最適化した合材層12を作る場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。表層部16と内層部17のように合材層12を厚さ方向に2分した層を作り、各層の物質14の割合を異ならせ、各層を張り合わせて合材層12を作ることは当然可能である。また、第1部18、第2部19及び第3部20のように合材層12を厚さ方向に3分した層を作り、各層の物質14の割合を異ならせ、各層を張り合わせて合材層12を作ることは当然可能である。4つ以上の層を重ねて合材層12を作ることは当然可能である。
【0081】
実施形態では、蓄電デバイス25として、集電体28の片面に合材層29が設けられた正極27、及び、集電体11の片面に合材層12が設けられた電極10(負極)を備えるものを説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば集電体28の両面に合材層12と合材層29とをそれぞれ設けた電極層(いわゆるバイポーラ電極)を備える蓄電デバイスに、実施形態における各要素を適用することは当然可能である。バイポーラ電極とセパレータ26とを交互に積層しケース(図示せず)に収容すれば、いわゆるバイポーラ構造の蓄電デバイスが得られる。
【0082】
実施形態では、集電体11の片面に合材層12を設けた電極10を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。集電体11の両面に合材層12を設けることは当然可能である。
【0083】
実施形態では、電極10を含む蓄電デバイス21としてリチウムイオンキャパシタを例示して説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。電極10が含まれる他の蓄電デバイスとしては、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、リチウム酸素電池、リチウム空気電池などが挙げられる。