(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100025
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】流体ノズル
(51)【国際特許分類】
B05B 7/10 20060101AFI20240719BHJP
B05B 1/34 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B05B7/10
B05B1/34 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003719
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】518402370
【氏名又は名称】株式会社クローラル
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 泰秀
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033BA01
4F033BA03
4F033DA01
4F033EA01
4F033KA03
4F033NA01
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QD10
4F033QD19
4F033QD25
4F033QE10
(57)【要約】
【課題】誘電電極を用いることなく、流体を全周にわたって広く噴出する。
【解決手段】流体ノズル10は、第一流体が通過する第一流路R1を中央に有するノズル中央部11と、ノズル中央部11の外周側に位置し第二流体が通過する複数の第二流路R2を構成するための環状部12とを有する。ノズル中央部11は、第一流路R1が開口する端面13を有し、環状部12は、その内周側に、軸方向外側に向かって拡大する錐面14を有する。端面13及び錐面14を軸方向に沿って見た場合、複数の第二流路R2の開口17は、錐面14において、周方向に間隔をあけて配置されていて、第二流路R2の開口17から第二流体の噴出方向に延長して得られる仮想領域と、第一流路R1の開口16とは、位置ずれするようにして、複数の第二流路R2の開口17は、錐面14に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一流体が通過する第一流路を中央に有するノズル中央部と、
前記ノズル中央部の外周側に位置し第二流体が通過する複数の第二流路を構成するための環状部と、
を有し、
前記ノズル中央部は、前記第一流路が開口する端面を有し、
前記環状部は、その内周側に、前記第一流体を吹き付ける対象物側となる軸方向外側に向かって拡大する錐面を有し、
前記端面及び前記錐面を軸方向に沿って見た場合、前記錐面は、前記端面の周囲に位置し、
複数の前記第二流路の開口は、前記錐面において、周方向に間隔をあけて配置されていて、
前記端面及び前記錐面を軸方向に沿って見た場合、前記第二流路の開口から前記第二流体の噴出方向に延長して得られる仮想領域と、前記第一流路の開口とは、位置ずれするようにして、複数の前記第二流路の開口は、前記錐面に配置されている、
流体ノズル。
【請求項2】
前記環状部は、前記ノズル中央部と別部材により構成されていて、
前記ノズル中央部は、前記端面に向かって径方向に縮小するテーパ面を有し、
前記環状部に、前記錐面で開口する溝が設けられていて、
前記第二流路は、前記溝と前記テーパ面との間の空間により構成されている、
請求項1に記載の流体ノズル。
【請求項3】
前記ノズル中央部と前記環状部とは、単一部材により構成されていて、
前記第二流路は、前記環状部の一部を貫通する孔により構成されていいて、
前記錐面は、前記第二流路の開口を挟んで、前記第一流路の開口側となる径方向の中央側と、前記第一流路の開口側とは反対となる径方向の外側とのそれぞれに、平坦面部を有する、
請求項1に記載の流体ノズル。
【請求項4】
前記端面及び前記錐面を軸方向に沿って見た場合、前記第二流路の開口から前記第二流体の噴出方向に延長して得られる仮想領域と、前記第一流路の開口とは、重ならず、かつ、前記第二流体の噴出方向は前記第一流路を中心とする仮想円の接線に平行となるように、複数の前記第二流路の開口は、前記錐面に配置されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の流体ノズル。
【請求項5】
前記第二流路の中心線は、前記錐面に対して、90度プラスマイナス10度の角度で交差する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の流体ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に流体を吹き付けるために流体ノズルが用いられる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の流体ノズルは、流体を旋回流として噴出することが可能となる。特許文献2に、静電噴霧方式であって、ノズルを有する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-78771号公報
【特許文献2】特開2018-12068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象物に流体を広い範囲で吹き付けることが要求される場合がある。特許文献2に開示の装置によれば、リング形状の誘導電極を用いることで流体を広い範囲に放出することが可能となる。しかし、引用文献2の装置は、誘導電極等を要し、設備費用が高くなる。
そこで、本発明は、誘電電極を用いることなく、流体を広く噴出することが可能となる流体ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の流体ノズルは、第一流体が通過する第一流路を中央に有するノズル中央部と、前記ノズル中央部の外周側に位置し第二流体が通過する複数の第二流路を構成するための環状部と、を有し、前記ノズル中央部は、前記第一流路が開口する端面を有し、前記環状部は、その内周側に、前記第一流体を吹き付ける対象物側となる軸方向外側に向かって拡大する錐面を有し、前記端面及び前記錐面を軸方向に沿って見た場合、前記錐面は、前記端面の周囲に位置し、複数の前記第二流路の開口は、前記錐面において、周方向に間隔をあけて配置されていて、前記端面及び前記錐面を軸方向に沿って見た場合、前記第二流路の開口から前記第二流体の噴出方向に延長して得られる仮想領域と、前記第一流路の開口とは、位置ずれするようにして、複数の前記第二流路の開口は、前記錐面に配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の流体ノズルによれば、誘電電極を用いることなく、流体を広く噴出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、流体ノズルの第一の形態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図4のIII-III矢視における断面を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の流体ノズルを軸方向に沿って見た図である。
【
図5】
図5は、流体ノズルの第二の形態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図7のVI-VI矢視における断面を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図5の流体ノズルを軸方向に沿って見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔第一の形態〕
図1は、流体ノズルの第一の形態を示す斜視図である。この流体ノズル10は、流体を全周にわたって広く噴出する広角ノズルである。流体ノズル10は、ノズル中央部11と、環状部12とを有する。
図1に示す第一の形態の場合、環状部12は、ノズル中央部11と別部材により構成されている(
図2参照)。
図2は、流体ノズル10の分解斜視図である。
図3は、流体ノズル10の断面図である。
図3は、
図4のIII-III矢視における断面を示す。
図4は、
図1の流体ノズル10を軸方向に沿って見た図(正面図)である。
【0009】
流体ノズル10の方向について定義する。流体ノズル10の中心線C0に沿った方向及び中心線C0に平行な方向は「軸方向」と定義される。中心線C0に直交する方向は「径方向」と定義される。中心線C0を中心とする円に沿った方向は「周方向」と定義される。
【0010】
ノズル中央部11は、横断面が円形となる柱形状を有する。ノズル中央部11の中心線は、流体ノズル10の中心線C0と一致する。ノズル中央部11は、第一流体L1が通過する第一流路R1を中央に一つ有する。ノズル中央部11は、第一流路R1が開口する端面13を有する。第一流路R1の中心線は、流体ノズル10の中心線C0と一致する。ノズル中央部11は、端面13に向かって径方向に縮小するテーパ面18を有する。流体ノズル10の中心線C0に沿った方向が、第一流路R1から第一流体L1が噴出する方向となる。
【0011】
環状部12は、ノズル中央部11の外周側に位置する環状の部材である。環状部12が、ノズル中央部11の軸方向第一側の部分25に嵌まることで、流体ノズル10が構成される。環状部12は、第一流体L1を吹き付ける対象物側において、その内周側に、錐面14を有する。錐面14は、第一流体L1を吹き付ける対象物側となる軸方向外側に向かって拡大する形状を有する。
図1に示す例の場合、錐面14は、円錐に沿った形状を有する。
【0012】
環状部12に、錐面14で開口する第一の溝19が設けられている。溝19は、直線形状を有する。溝19の中心線C1と、流体ノズル10の中心線C0とはねじれの位置にある。溝19とテーパ面18との間の空間により第二流路R2は構成される(
図3参照)。環状部12は、ノズル中央部11と合体することで、第二流体L2が通過する第二流路R2を構成するための部材である。
【0013】
溝19は、周方向に等間隔で四つ設けられていて、流体ノズル10は、第二流路R2を、周方向に等間隔で四つ有する。第二流路R2の数は変更可能であり、3つ以上が好ましい。流体ノズル10は、第二流路R2を、五つ又はそれ以上有していてもよい。
溝19の中心線C1が、第二流路R2の中心線となる。その中心線C1に沿った方向が、第二流路R2から第二流体L2が噴出する方向となる。
【0014】
環状部12は、第一の溝19と繋がる第二の溝29を有する(
図3参照)。第二の溝29と、ノズル中央部11が有する円筒面28との間に形成される空間により、第二流路R2と繋がる中継流路R3が構成される。第二の溝29の中心線は、流体ノズル10の中心線C0と平行である。
【0015】
環状部12は、外周側にねじ26を有する。装置の本体80は、ねじ26が取り付けられるねじ孔を有する。ねじ26と前記ねじ孔とにより、流体ノズル10は装置の本体80に取り付けられる。
環状部12は、テーパ面18に接触する面27を有する。これらの接触により、環状部12とノズル中央部11とは、軸方向に位置決めされ、第二流路R2(の大きさ)が定められる。
【0016】
装置の本体80が有する供給路79と、第一流路R1とは繋がる。第一流体L1は、供給路79を通じて第一流路R1に供給され、第一流路R1の開口16から噴出される。第一流体L1は、ノズル中央部11の端面13から噴出する。
【0017】
装置の本体80が有する取り付け穴78に、流体ノズル10が装着される。取り付け穴78と、ノズル中央部11との間に形成される環状空間77が、中継流路R3と繋がる。第二流体L2は、環状空間77を通じて中継流路R3に供給され、更に、中継流路R3を通じて第二流路R2を流れ、第二流路R2の開口17から噴出される。第二流体L2は、環状部12の錐面14から噴出する。
【0018】
図4に示すように、端面13及び錐面14を軸方向に沿って見た場合、錐面14は、端面13の周囲に位置する。四つの第二流路R2の開口17は、錐面14において、周方向に間隔(図例の場合、等間隔)をあけて配置されている。
【0019】
図4において、第二流体L2の噴出方向は、矢印F2で示される。
図4において、第二流路R2の開口17から第二流体L2の噴出方向(矢印F2)に延長して得られる仮想領域Kを、クロスハッチで示す。なお、
図4では、一つの仮想領域Kのみを示す。
【0020】
端面13及び錐面14を軸方向に沿って見た場合、前記仮想領域Kと、第一流路R1の開口16とは、位置ずれするようにして、四つの第二流路R2の開口17は、錐面14に配置されている。仮想領域Kの中心線C2と、その中心線C2に平行であり流体ノズル10の中心線C0を通過する基準面C3との間隔が「B」で示される。間隔Bは、第一流路R1の半径と、第二流路R2を構成する溝19の溝幅の半分との和よりも大きく設定(又は前記和以上に設定)されるのが好ましい。これにより、第一流路R1から噴出した第一流体L1に対して、第二流路R2から噴出した第二流体L2が、干渉することを、抑制する。
【0021】
四つの第二流路R2それぞれから噴出する第二流体L2同士が衝突しないように、四つの第二流路R2それぞれの中心線C1の方向、及び、四つの第二流路R2それぞれの開口17の位置は設定されている。
四つの第二流路R2それぞれから噴出するエア等の第二流体(気体)L2により、中心線C0を中心とする旋回流が生じ、しかも対象物側に向かって全周に拡大する旋回流が得られる。第一流路R1から流出する液等の第一流体L1は、前記旋回流に巻き込まれ、対象物側に向かって全周に拡大して噴出される。
【0022】
以上のように、第一の形態に係る流体ノズル10によれば、誘電電極を用いることなく、四つの第二流路R2を通過した第二流体L2によって、第一流路R1を通過した第一流体L1を巻き込んで全周にわたって広く噴出することが可能となる。
錐面14により、第一流路R1が開口する端面13は、対象物側の外部空間Sに露出する(
図3参照)。その錐面14において開口する四つの第二流路R2により、第二流体L2が方向性良く噴出される。第一流体L1と第二流体L2とによる混合流が、広角となって流体ノズル10から噴出される。
【0023】
特に、
図4に示す形態の場合、端面13及び錐面14を軸方向に沿って見た場合、四つの第二流路R2の開口17それぞれは、次の二つの条件の双方を満たすようにして、錐面14に配置されている、
・第一条件:前記仮想領域Kと、第一流路R1の開口16とは、重ならない。
・第二条件:第二流体L2の噴出方向(矢印F2)は、第一流路R1(中心線C0)を中心とする仮想円Qの接線に平行となる。
【0024】
この構成により、第二流体L2が第一流体L1を効率よく巻き込むことで、広角の混合流が、流体ノズル10から噴出される。
【0025】
図3に示すように、第二流路R2の中心線C1を含み流体ノズル10の中心線C0と平行となる断面(以下、「第二流路断面」と呼ぶ)において、第二流路R2の中心線C1は、錐面14に対して、90度で交差する。なお、第二流路R2の中心線C1は、錐面14に対して、90度で交差する以外として、その中心線C1は、錐面14に対して、90度プラスマイナス10度の角度で交差していてもよい。
【0026】
この構成により、錐面14における第二流路R2の開口17の形状は、真円に近くなる。第二流路R2から噴出させる第二流体L2が分散され難くなる。その結果、第一流体L1と第二流体L2とによる混合流を、整えて広角として流体ノズル10から噴出させる機能が高まる。
【0027】
前記第二流路断面において(
図3参照)、流体ノズル10の中心線C0と平行な線C4に対する、第二流路R2の中心線C1の成す角度θは、30度以上、55度以下であるのが好ましい。
図3に示す形態の場合、角度θは45度である。角度θにより、広角となる混合液の開き角度が調整される。角度θが大きいほど、広角の混合液が得られるが、大きすぎると、対象物側への吹き付けの作用が低下する。
【0028】
図3に示すように、環状部12は、軸方向外側となる対象物側の外部空間Sに向く環状面31を有する。環状面31は、錐面14と繋がる。錐面14は、環状面31から軸方向に凹んだ面である。ノズル中央部11の端面13は、環状面31よりも軸方向外側に位置する。なお、端面13は、環状面31と軸方向について同じ位置にあってもよい。この構成及び錐面14により、第一流路R1が開口する端面13は、対象物側の外部空間Sに、広く露出する。又は、図示しないが、端面13は、環状面31よりも、対象物と反対側となる軸方向内側に位置していてもよい。第一流体L1と第二流体L2とが流体ノズル10の外で混合される外部混合型の流体ノズル10が得られる。
【0029】
〔第二の形態〕
図5は、流体ノズルの第二の形態を示す斜視図である。この流体ノズル10は、流体を全周にわたって広く噴出する広角ノズルである。流体ノズル10は、ノズル中央部11と、環状部12とを有する。
図5に示す第二の形態の場合、ノズル中央部11と環状部12とは、単一部材により構成されている(
図6参照)。
図6は、流体ノズル10の断面図である。
図6は、
図7のVI-VI矢視における断面を示す。
図7は、
図5の流体ノズル10を軸方向に沿って見た図(正面図)である。
【0030】
第二の形態に係る流体ノズル10の説明において、前記第一の形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。第二の形態に係る流体ノズル10の方向の定義は、第一の形態と同じである。
【0031】
ノズル中央部11は、流体ノズル10の中央部分を構成し、横断面が円形となる柱形状を有する。ノズル中央部11の中心線は、流体ノズル10の中心線C0と一致する。ノズル中央部11は、第一流体L1が通過する第一流路R1を中央に一つ有する。ノズル中央部11は、第一流路R1が開口する端面13を有する。第一流路R1の中心線は、流体ノズル10の中心線C0と一致する。流体ノズル10の中心線C0に沿った方向が、第一流路R1から第一流体L1が噴出する方向となる。
【0032】
環状部12は、ノズル中央部11の外周側に位置する環状の部分である。環状部12は、第一流体L1を吹き付ける対象物側において、その内周側に、錐面14を有する。錐面14は、第一流体L1を吹き付ける対象物側となる軸方向外側に向かって拡大する形状を有する。
図5に示す例の場合、錐面14は、四角錐に沿った形状を有する。
流体ノズル10は、後にも説明するが、四つの第二流路R2を有し、錐面14は四つの側面14aを有する。第二流路R2の数と、錐面14が有する側面14aの数とは同じである。錐面14は、角錐に沿った形状を有すればよく、四角錐に限定されない。又は、錐面14は、円錐に沿った形状であってもよい。
【0033】
第二流路R2は、環状部12の一部を貫通する第一の孔20により構成されている。第一の孔20は、直線形状を有する孔である。第一の孔20の中心線C5(
図6参照)と、流体ノズル10の中心線C0とはねじれの位置にある。
【0034】
第二流路R2は、錐面14が有する一つの平坦な側面14aにおいて開口する。このため、錐面14(一つの側面14a)は、第二流路R2の開口17の周囲の四方(径方向内外及び周方向両側)それぞれに、平坦面部21、22、23、24を有する。つまり、錐面14(一つの側面14a)は、第二流路R2の開口17を挟んで、第一流路R1の開口16側となる径方向の中央側と、第一流路R1の開口16側とは反対となる径方向の外側とのそれぞれに、平坦面部21、22を有する。錐面14(一つの側面14a)は、第二流路R2の開口17を挟んで、周方向の第一側、及び、その反対の周方向の第二側に、平坦面部23、24を有する。
【0035】
第一の孔20は、周方向に等間隔で四つ設けられていて、流体ノズル10は、第二流路R2を、周方向に等間隔で四つ有する。第二流路R2の数は変更可能であり、3つ以上が好ましい。流体ノズル10は、第二流路R2を、五つ又はそれ以上有していてもよい。
孔20の中心線C5が、第二流路R2の中心線となる。その中心線C5に沿った方向が、第二流路R2から第二流体L2が噴出する方向となる。
【0036】
環状部12は、第一の孔20と繋がる第二の孔40を有する(
図6参照)。第二の孔40により、第二流路R2と繋がる中継流路R3が構成される。第二の孔40の中心線は、流体ノズル10の中心線C0と平行である。
装置の本体80が有する供給路79と、第一流路R1とは繋がる。第一流体L1は、供給路79を通じて第一流路R1に供給され、第一流路R1の開口16から噴出される。第一流体L1は、ノズル中央部11の端面13から噴出する。
【0037】
装置の本体80が有する取り付け穴78に、流体ノズル10が装着される。取り付け穴78と、ノズル中央部11との間に形成される環状空間77が、中継流路R3と繋がる。第二流体L2は、環状空間77を通じて中継流路R3に供給され、更に、中継流路R3を通じて第二流路R2を流れ、第二流路R2の開口17から噴出される。第二流体L2は、環状部12の錐面14から噴出する。
【0038】
図7に示すように、端面13及び錐面14を軸方向に沿って見た場合、錐面14は、端面13の周囲に位置する。四つの第二流路R2の開口17は、錐面14において、周方向に間隔(図例の場合、等間隔)をあけて配置されている。
【0039】
図7において、第二流体L2の噴出方向は、矢印F2で示される。
図7において、第二流路R2の開口17から第二流体L2の噴出方向(矢印F2)に延長して得られる仮想領域Kを、クロスハッチで示す。なお、
図7では、一つの仮想領域Kのみを示す。
【0040】
端面13及び錐面14を軸方向に沿って見た場合、前記仮想領域Kと、第一流路R1の開口16とは、位置ずれするようにして、四つの第二流路R2の開口17は、錐面14に配置されている。仮想領域Kの中心線C2と、その中心線C2に平行であり流体ノズル10の中心線C0を通過する基準面C3との間隔が「B」で示される。間隔Bは、第一流路R1の半径と、第二流路R2を構成する第一の孔20の半径との和よりも大きく設定(又は前記和以上に設定)されるのが好ましい。これにより、第一流路R1から噴出した第一流体L1に対して、第二流路R2から噴出した第二流体L2が、干渉することを、抑制する。
【0041】
四つの第二流路R2それぞれから噴出する第二流体L2同士が衝突しないように、四つの第二流路R2それぞれの中心線C5の方向、及び、四つの第二流路R2それぞれの開口17の位置は設定されている。
四つの第二流路R2それぞれから噴出するエア等の第二流体(気体)L2により、中心線C0を中心とする旋回流が生じ、しかも対象物側に向かって全周に拡大する旋回流が得られる。第一流路R1から流出する液等の第一流体L1は、前記旋回流に巻き込まれ、対象物側に向かって全周に拡大して噴出される。
【0042】
以上のように、第二の形態に係る流体ノズル10によれば、誘電電極を用いることなく、四つの第二流路R2を通過した第二流体L2によって、第一流路R1を通過した第一流体L1を巻き込んで全周にわたって広く噴出することが可能となる。
錐面14により、第一流路R1が開口する端面13は、対象物側の外部空間Sに露出する。その錐面14において開口する四つの第二流路R2により、第二流体L2が方向性良く噴出される。第一流体L1と第二流体L2とによる混合流が、広角となって流体ノズル10から噴出される。
【0043】
特に、
図7に示す形態の場合、端面13及び錐面14を軸方向に沿って見た場合、四つの第二流路R2の開口17それぞれは、次の二つの条件の双方を満たすようにして、錐面14に配置されている、
・第一条件:前記仮想領域Kと、第一流路R1の開口16とは、重ならない。
・第二条件:第二流体L2の噴出方向(矢印F2)は、第一流路R1(中心線C0)を中心とする仮想円Qの接線に平行となる。
【0044】
この構成により、第二流体L2が第一流体L1を効率よく巻き込むことで、広角の混合流が、流体ノズル10から噴出される。
【0045】
図6に示すように、第二流路R2の中心線C5を含み流体ノズル10の中心線C0と平行となる断面(以下、「第二流路断面」と呼ぶ)において、第二流路R2の中心線C5は、錐面14に対して、90度で交差する。なお、第二流路R2の中心線C5は、錐面14に対して、90度で交差する以外として、その中心線C5は、錐面14に対して、90度プラスマイナス10度の角度で交差していてもよい。
【0046】
この構成により、錐面14における第二流路R2の開口17の形状は、真円に近くなる。第二流路R2から噴出させる第二流体L2が分散され難くなる。その結果、第一流体L1と第二流体L2とによる混合流を、整えて広角として流体ノズル10から噴出させる機能が高まる。
特に、前記のとおり、錐面14は、第二流路R2の開口17の全周囲に平坦面部21、22、23、24を有する。このため、錐面14において開口する第二流路R2から、第二流体L2を方向性良く噴出させることが可能となる。
【0047】
前記第二流路断面において(
図6参照)、流体ノズル10の中心線C0と平行な線C4に対する、第二流路R2の中心線C5の成す角度θは、30度以上、55度以下であるのが好ましい。
図6に示す形態の場合、角度θは45度である。角度θにより、広角となる混合液の開き角度が調整される。角度θが大きいほど、広角の混合液が得られるが、大きすぎると、対象物側への吹き付けの作用が低下する。
【0048】
図6に示すように、環状部12は、軸方向外側となる対象物側の外部空間Sに向く環状面31を有する。環状面31は、錐面14と繋がる。錐面14は、環状面31から軸方向に凹んだ面である。ノズル中央部11の端面13は、環状面31よりも軸方向内側、つまり、吹き付けの対象物側と反対側に位置する。この構成であっても、対象物側に拡大する形状の錐面14により、第一流路R1が開口する端面13は、対象物側の外部空間Sに、広く露出する。第一流体L1と第二流体L2とが流体ノズル10の外で混合される外部混合型の流体ノズル10が得られる。
【0049】
〔その他〕
前記第一の形態及び前記第二の形態それぞれにおいて、前記仮想領域Kと、第一流路R1の開口16とは、重ならないことを第一条件としている。しかし、端面13及び錐面14を軸方向に沿って見た場合、前記仮想領域Kと、第一流路R1の開口16とが、位置ずれしていれば、前記仮想領域Kの一部が、第一流路R1の開口16の一部と重なっていてもよい。
【0050】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0051】
10 流体ノズル 11 ノズル中央部 12 環状部
13 端面 14 錐面 16 開口
17 開口 18 テーパ面 19 第一の溝(溝)
20 第一の孔(孔) 21、22、23、24 平坦面部
C2 中心線 C5 中心線 K 仮想領域
L1 第一流体 L2 第二流体 Q 仮想円
R1 第一流路 R2 第二流路 θ 角度