(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100031
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240719BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B41J2/165 207
B41J2/165 211
B41J2/165 307
B41J2/165 101
B41J2/175 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003729
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智二
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 宏
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EC11
2C056EC31
2C056EC54
2C056EC57
2C056EE18
2C056FA10
2C056JA01
2C056JA13
2C056JB02
2C056JB05
2C056JB15
2C056KC02
2C056KC14
(57)【要約】
【課題】装置内のスペースを有効に活用できる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置11は、ノズル18が開口するノズル面19を有し、ノズルから液体を吐出するヘッド17と、ヘッドに接触することによってノズルを覆う待機キャップ31と、ノズルから吐出される液体を受ける受容部32と、ヘッドをメンテナンスするメンテナンス部33と、を備え、ヘッドは、走査方向Xに移動することによって第1領域A1、第2領域A2、及び、印刷領域A3を移動し、印刷領域を移動しながら媒体99に液体を吐出することによって媒体に印刷し、印刷領域は、走査方向において第1領域と第2領域との間に位置し、待機キャップ及び受容部は、第1領域に位置し、メンテナンス部は、第2領域に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルが開口するノズル面を有し、前記ノズルから液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドに接触することによって前記ノズルを覆う待機キャップと、
前記ノズルから吐出される液体を受ける受容部と、
前記ヘッドをメンテナンスするメンテナンス部と、を備え、
前記ヘッドは、走査方向に移動することによって第1領域、第2領域、及び、印刷領域を移動し、前記印刷領域を移動しながら媒体に液体を吐出することによって媒体に印刷し、
前記印刷領域は、前記走査方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置し、
前記待機キャップ及び前記受容部は、前記第1領域に位置し、
前記メンテナンス部は、前記第2領域に位置することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記メンテナンス部は、前記ノズルから液体を吸引することによって前記ヘッドをメンテナンスするクリーニング部を有し、
前記クリーニング部は、前記ヘッドに接触することによって前記ノズルを覆う吸引キャップと、前記吸引キャップ内を吸引する吸引ポンプと、を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記メンテナンス部は、前記ノズル面を払拭することによって前記ヘッドをメンテナンスする払拭部を有し、
前記払拭部は、前記ノズル面に接触する払拭部材と、前記払拭部材を繰り出す繰出部と、前記払拭部材を巻き取る巻取部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
液体を貯留する液体貯留体をそれぞれ装着可能な第1装着部及び第2装着部を備え、
前記第1装着部の少なくとも一部は、前記第1領域に位置し、
前記第2装着部の少なくとも一部は、前記第2領域に位置し、
前記第1装着部が装着可能な前記液体貯留体の数は、前記第2装着部が装着可能な前記液体貯留体の数よりも多いことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記受容部は、前記走査方向において、前記待機キャップと前記メンテナンス部との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記払拭部は、前記走査方向において、前記クリーニング部と前記受容部との間に位置することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第1領域は、印刷のために前記ヘッドが加速及び減速する領域である加減速領域を含み、
前記待機キャップ及び前記受容部は、前記加減速領域に位置することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第2領域は、印刷のために前記ヘッドが加速及び減速する領域である加減速領域を含み、
前記メンテナンス部は、前記加減速領域に位置することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体を吐出するヘッドと、ヘッドをメンテナンスするメンテナンス部と、ヘッドから液体を受ける受容部と、ヘッドに接触する待機キャップと、を備える液体吐出装置が記載される。ヘッドは、媒体に対して走査することによって、媒体に印刷する。このとき、ヘッドは、第1領域、第2領域、及び、印刷領域を移動する。ヘッドは、印刷領域において媒体に液体を吐出することによって、媒体に印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される液体吐出装置では、第1領域に待機キャップが位置し、第2領域にメンテナンス部及び受容部が位置する。待機キャップ及び受容部に比べて、メンテナンス部は大型化しやすい。そのため、メンテナンス部が位置する領域に受容部が位置すると、装置内のスペースを有効に活用できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体吐出装置は、ノズルが開口するノズル面を有し、前記ノズルから液体を吐出するヘッドと、前記ヘッドに接触することによって前記ノズルを覆う待機キャップと、前記ノズルから吐出される液体を受ける受容部と、前記ヘッドをメンテナンスするメンテナンス部と、を備え、前記ヘッドは、走査方向に移動することによって第1領域、第2領域、及び、印刷領域を移動し、前記印刷領域を移動しながら媒体に液体を吐出することによって媒体に印刷し、前記印刷領域は、前記走査方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置し、前記待機キャップ及び前記受容部は、前記第1領域に位置し、前記メンテナンス部は、前記第2領域に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】液体吐出装置の一実施例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、液体吐出装置の一実施例について図を参照しながら説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙、布帛などの媒体に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真などの画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0008】
<液体吐出装置>
図1及び
図2に示すように、液体吐出装置11は、筐体12と、ベースフレーム13とを備える。筐体12は、ベースフレーム13に取り付けられる。
【0009】
液体吐出装置11は、支持部14を備える。支持部14は、媒体99を支持するように構成される。支持部14は、ベースフレーム13に取り付けられる。支持部14は、例えば、支持台15と、移動機構16とを有する。
【0010】
支持台15は、媒体99を支持する台である。支持台15は、移動機構16と接続される。移動機構16は、支持台15を移動させる機構である。移動機構16は、ベースフレーム13に取り付けられる。移動機構16は、支持台15を一方向に移動させる。これにより、媒体99が一方向に移動する。一例では、支持部14は、媒体99を第1方向D1に移動させる。支持部14は、第1方向D1に搬送される媒体99を支持するように構成されてもよい。例えば、支持部14は、ローラーによって第1方向D1に搬送される媒体99を支持してもよい。
【0011】
液体吐出装置11は、ヘッド17を備える。ヘッド17は、1以上のノズル18が開口するノズル面19を有する。ヘッド17は、ノズル18から液体を吐出するように構成される。
【0012】
ヘッド17は、走査方向Xに移動するように構成される。走査方向Xは、第2方向D2及び第3方向D3を含む双方向を示す。第2方向D2は、第1方向D1と異なる方向を示す。第3方向D3は、第2方向D2の反対を示す方向である。ヘッド17は、走査方向Xに移動しながら媒体99に液体を吐出することによって、媒体99に印刷する。したがって、液体吐出装置11は、ヘッド17が媒体99に対して走査することによって媒体99の全幅にわたって印刷可能なシリアルプリンターである。
【0013】
ヘッド17は、走査方向Xに移動することによって、第1領域A1、第2領域A2、及び、印刷領域A3を移動する。第1領域A1、第2領域A2、及び、印刷領域A3は、何れも筐体12内の領域である。第1領域A1、第2領域A2、及び、印刷領域A3は、装置内のスペースを走査方向Xに分割した領域である。
【0014】
第1領域A1及び第2領域A2は、筐体12内において走査方向Xの両端にそれぞれ位置する領域である。第1領域A1及び第2領域A2は、筐体12内において印刷領域A3外の領域である。
【0015】
印刷領域A3は、媒体99に画像が印刷される領域である。印刷領域A3において、ヘッド17は、第2方向D2及び第3方向D3に移動しながら媒体99に液体を吐出する。印刷領域A3において、媒体99は、第1方向D1に移動する。印刷領域A3は、走査方向Xにおいて第1領域A1と第2領域A2との間に位置する領域である。印刷領域A3において、ヘッド17は、支持部14と対向する。詳しくは、印刷領域A3において、ノズル面19が支持台15と対向する。
【0016】
ヘッド17は、走査方向Xに移動することによって、加減速領域を移動する。一例では、ヘッド17は、第1加減速領域B1と第2加減速領域B2とを移動する。加減速領域は、印刷のためにヘッド17が加速及び減速する領域である。ヘッド17は、印刷時において第2方向D2及び第3方向D3に交互に移動する。ヘッド17は、移動する方向を切り換える場合に、加速及び減速する。
【0017】
加減速領域は、印刷領域A3外に位置する。これにより、ヘッド17は、印刷領域A3において定速で移動しながら媒体99に液体を吐出できる。ヘッド17が定速で移動することによって、媒体99に対する液体の着弾精度が向上する。加減速領域が印刷領域A3内に位置する場合、ヘッド17が加速又は減速しながら媒体99に液体を吐出するため、媒体99に対する液体の着弾精度が悪化しやすい。
【0018】
第1加減速領域B1は、第1領域A1内に位置する。詳しくは、第1加減速領域B1は、第1領域A1に含まれる。これにより、第1領域A1が有効に活用される。第1加減速領域B1において、ヘッド17は、第2方向D2から第3方向D3に移動する方向を切り換える。第2加減速領域B2は、第2領域A2内に位置する。詳しくは、第2加減速領域B2は、第2領域A2に含まれる。これにより、第2領域A2が有効に活用される。第2加減速領域B2において、ヘッド17は、第3方向D3から第2方向D2に移動する方向を切り換える。
【0019】
液体吐出装置11は、キャリッジ20を備える。キャリッジ20は、ヘッド17を搭載する。キャリッジ20は、走査方向Xに移動するように構成される。キャリッジ20が移動することによって、ヘッド17が移動する。
【0020】
液体吐出装置11は、1以上の装着部を備える。一例では、液体吐出装置11は、第1装着部21と、第2装着部22とを備える。装着部は、1以上の液体貯留体23を装着可能に構成される。一例では、第1装着部21及び第2装着部22には、それぞれ複数の液体貯留体23が装着される。装着部においては、例えば、複数の液体貯留体23が上下に重なるように装着される。すなわち、装着部には、液体貯留体23が複数段で装着される。
【0021】
液体貯留体23は、液体を収容するように構成される。液体貯留体23は、例えば、液体を貯留するパックである。装着部に液体貯留体23が装着されることによって、液体貯留体23から液体吐出装置11に液体が供給される。例えば、装着部に液体貯留体23が装着されることによって、液体貯留体23からヘッド17に液体が供給される。装着部に液体貯留体23が装着されることによって、液体貯留体23からヘッド17とは異なる構成に液体が供給されてもよい。例えば、装着部に液体貯留体23が装着されることによって、液体貯留体23から後述するメンテナンス部33に液体が供給されてもよい。
【0022】
液体貯留体23が貯留する液体種は、ヘッド17が吐出する液体種に限らない。例えば、液体貯留体23は、メンテナンス部33を洗浄するための洗浄液を貯留してもよい。一例では、装着部に装着される複数の液体貯留体23は、インクを収容する液体貯留体23及び洗浄液を収容する液体貯留体23を含む。
【0023】
装着部は、ベースフレーム13に取り付けられる。第1装着部21及び第2装着部22は、走査方向Xにおいて、支持部14を間に挟むように位置する。
第1装着部21は、支持部14よりも第2方向D2に位置する。第1装着部21の少なくとも一部は、第1領域A1に位置する。一例では、第1装着部21の全体が第1領域A1に位置する。第1装着部21は、第1領域A1と印刷領域A3とにわたって位置してもよい。第1装着部21が第1領域A1に位置することによって、第1領域A1が第1装着部21によって有効に活用される。第1装着部21は、第1加減速領域B1に位置してもよい。これにより、第1加減速領域B1が第1装着部21によって有効に活用される。
【0024】
第2装着部22は、支持部14よりも第3方向D3に位置する。第2装着部22の少なくとも一部は、第2領域A2に位置する。一例では、第2装着部22の全体が第2領域A2に位置する。第2装着部22は、第2領域A2と印刷領域A3とにわたって位置してもよい。第2装着部22が第2領域A2に位置することによって、第2領域A2が第2装着部22によって有効に活用される。第2装着部22は、第2加減速領域B2に位置してもよい。これにより、第2加減速領域B2が第2装着部22によって有効に活用される。
【0025】
第1装着部21に装着可能な液体貯留体23の数は、第2装着部22に装着可能な液体貯留体23の数よりも多い。そのため、第1装着部21が装置内のスペースを占める割合は、第2装着部22が装置内のスペースを占める割合よりも大きい。したがって、第1装着部21は、第1領域A1を比較的大きく占める。
【0026】
装着部は、装着体と、1以上のカセットとを有する。第1装着部21は、第1装着体24と、1以上の第1カセット25とを有する。第2装着部22は、第2装着体26と、1以上の第2カセット27とを有する。装着体は、ベースフレーム13に取り付けられる。カセットは、装着体に装着される。カセットは、装着体に対して挿抜自在である。カセットには、液体貯留体23が収容可能である。液体貯留体23を収容するカセットを装着体に装着されることによって、液体貯留体23が装着部に装着される。装着部は、液体貯留体23を直接装着可能に構成されてもよい。
【0027】
第1装着部21は、4つの第1カセット25を有する。すなわち、第1装着部21には、4つの液体貯留体23を装着可能である。第1装着部21には、印刷用のカラーインクを収容する4つの液体貯留体23が装着される。例えば、第1装着部21には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ貯留する4つの液体貯留体23が装着される。
【0028】
第2装着部22は、3つの第2カセット27を有する。すなわち、第2装着部22には、3つの液体貯留体23を装着可能である。第2装着部22には、下地用のホワイトインクをそれぞれ貯留する2つの液体貯留体23と、洗浄液を貯留する液体貯留体23とが装着される。第2装着部22に装着される3つの液体貯留体23のうち、下段に位置する液体貯留体23は、洗浄液を貯留する。
【0029】
液体吐出装置11は、待機キャップ31を備える。待機キャップ31は、ヘッド17に接触することによってノズル18を覆う。詳しくは、待機キャップ31は、ノズル面19に接触することによってノズル18と通じる空間を形成する。これにより、ノズル18が保湿される。ノズル18が保湿されることによって、ノズル18に目詰まりが生じるおそれが低減される。
【0030】
待機キャップ31は、第1領域A1に位置する。待機キャップ31は、第1加減速領域B1に位置してもよい。待機キャップ31は、第1装着部21よりも上方に位置する。待機キャップ31は、ヘッド17が印刷しない場合に、ヘッド17に接触する。すなわち、ヘッド17は、印刷しない場合に、待機キャップ31と対向する位置に位置する。したがって、待機キャップ31と対向する位置は、ヘッド17のホームポジションである。ヘッド17は、通常、ホームポジションで待機する。待機キャップ31は、ホームポジションに位置するヘッド17に接触する。
【0031】
液体吐出装置11は、受容部32を備える。受容部32は、ヘッド17から吐出される液体を受けるように構成される。詳しくは、受容部32は、フラッシングによってノズル18から吐出される液体を受ける。フラッシングは、印刷前、印刷中、印刷後などにおいて、印刷に寄与しない液体を適宜吐出する動作である。フラッシングによって、増粘した液体、気泡などがノズル18から排出される。これにより、ヘッド17の吐出性能が維持される。受容部32は、例えば、液体を受けるトレイ、ボックス、キャップ、多孔質部材などを含む。
【0032】
受容部32は、第1領域A1に位置する。受容部32は、第1加減速領域B1に位置してもよい。受容部32は、第1装着部21よりも上方に位置する。受容部32は、走査方向Xにおいて、待機キャップ31と支持部14との間に位置する。受容部32は、走査方向Xにおいて、待機キャップ31とメンテナンス部33との間に位置する。したがって、待機キャップ31及び受容部32は、第3方向D3にこの順で並ぶ。ヘッド17は、印刷前にフラッシングを実行する。すなわち、ヘッド17は、印刷開始時に、待機キャップ31から受容部32に向かって移動する。そのため、待機キャップ31及び受容部32が第3方向D3にこの順で並んでいると、ヘッド17は、待機キャップ31から受容部32に向かって移動することによって、印刷領域A3に接近する。これにより、効率よく印刷が開始される。
【0033】
液体吐出装置11は、メンテナンス部33を備える。メンテナンス部33は、ヘッド17をメンテナンスするように構成される。メンテナンス部33は、ヘッド17をメンテナンスすることによって、ヘッド17の吐出性能を維持又は回復させる。メンテナンス部33は、第2領域A2に位置する。メンテナンス部33は、第2加減速領域B2に位置してもよい。メンテナンス部33は、第2装着部22よりも上方に位置する。
【0034】
図3に示すように、メンテナンス部33は、クリーニング部34を有する。クリーニング部34は、ヘッド17をクリーニングすることによって、ヘッド17をメンテナンスする。クリーニングは、ノズル18から液体を強制的に排出させることによって、ヘッド17内から液体とともに気泡、増粘した液体、異物などを排出させる動作である。クリーニング部34は、ノズル18から吸引することによって、ノズル18から液体を強制的に排出させる。クリーニング部34は、ヘッド17が印刷を完了した後に、ヘッド17をクリーニングする。
【0035】
クリーニング部34は、吸引キャップ35と、吸引ポンプ36とを有する。吸引キャップ35は、ヘッド17に接触することによってノズル18を覆う。詳しくは、吸引キャップ35は、ノズル面19に接触することによってノズル18と通じる空間を形成する。吸引ポンプ36は、吸引キャップ35と接続される。吸引ポンプ36は、吸引キャップ35内を吸引する。吸引キャップ35がノズル18を覆う状態で吸引ポンプ36が吸引キャップ35内を吸引することによって、クリーニング部34は、ヘッド17をクリーニングする。
【0036】
クリーニング部34は、吸引キャップ35に洗浄液が供給されるように構成されてもよい。クリーニング後においては、吸引キャップ35に液体が残留することがある。この場合、吸引キャップ35に残留した液体が固化するおそれがある。クリーニング後に吸引キャップ35に洗浄液を供給することによって、吸引キャップ35に液体が残留するおそれが低減される。
【0037】
メンテナンス部33は、払拭部37を有する。払拭部37は、ノズル面19を払拭することによって、ヘッド17をメンテナンスする。払拭部37は、ノズル面19を払拭することによって、ノズル面19に付着する液体、異物などを除去する。払拭部37は、ヘッド17が印刷を完了した後に、ノズル面19を払拭する。詳しくは、払拭部37は、クリーニング部34がヘッド17をクリーニングした後に、ノズル面19を払拭する。クリーニング部34がヘッド17をクリーニングすると、ノズル18から液体が吸引されることによってノズル面19に液体が付着しやすい。そのため、クリーニング後に払拭部37がノズル面19を払拭することによって、クリーニングによってノズル面19に付着した液体を除去できる。
【0038】
払拭部37は、走査方向Xにおいて、クリーニング部34と支持部14との間に位置する。払拭部37は、走査方向Xにおいて、クリーニング部34と受容部32との間に位置する。したがって、クリーニング部34及び払拭部37は、第2方向D2にこの順で並ぶ。ヘッド17は、印刷が完了するとホームポジションに戻る。すなわち、ヘッド17は、メンテナンス後にホームポジションに移動する。そのため、クリーニング部34及び払拭部37が第2方向D2にこの順で並んでいると、クリーニング部34から払拭部37に向けて第2方向D2に移動することによって、ヘッド17が待機キャップ31に接近する。これにより、ヘッド17が効率よく移動できる。
【0039】
払拭部37は、払拭部材38を有する。払拭部材38は、ノズル面19に接触する部材である。払拭部材38は、例えば、布である。払拭部材38がノズル面19に接触することによって、ノズル面19が払拭される。
【0040】
払拭部37は、巻掛部39を有してもよい。巻掛部39には、払拭部材38が巻き掛けられる。巻掛部39は、例えば、ローラーである。巻掛部39は、払拭部材38をノズル面19に押し付ける。これにより、ノズル面19から液体、異物などが効果的に除去される。
【0041】
払拭部37は、繰出部40を有してもよい。繰出部40は、払拭部材38を繰り出すように構成される。繰出部40は、払拭部材38を巻掛部39に向けて繰り出す。繰出部40は、例えば、ローラーである。繰出部40には、未使用の払拭部材38が巻き重ねられる。繰出部40は、回転することによって、未使用の払拭部材38を繰り出す。繰出部40は、払拭部材38がノズル面19を払拭するたびに、未使用の払拭部材38を繰り出してもよい。これにより、ノズル面19から液体、異物などが効果的に除去される。
【0042】
払拭部37は、巻取部41を有してもよい。巻取部41は、払拭部材38を巻き取るように構成される。巻取部41は、払拭部材38を巻掛部39から巻き取る。巻取部41は、例えば、ローラーである。巻取部41には、使用済みの払拭部材38が巻き重ねられる。巻取部41は、回転することによって、使用済みの払拭部材38を巻き取る。巻取部41は、払拭部材38がノズル面19を払拭するたびに、使用済みの払拭部材38を巻き取ってもよい。
【0043】
払拭部37は、払拭ケース42を有してもよい。払拭ケース42は、払拭部材38、巻掛部39、繰出部40、及び、巻取部41を収容するケースである。巻掛部39は、その一部が露出されるように払拭ケース42に収容される。そのため、払拭部材38のうち巻掛部39に巻き掛けられる部分は、払拭ケース42から露出する。払拭ケース42は、第1方向D1に移動可能に構成される。払拭ケース42が第1方向D1に移動することによって、払拭部材38がノズル面19を払拭する。払拭ケース42が移動することに代えて、ヘッド17が第1方向D1に移動することによって払拭部材38がノズル面19を払拭してもよい。
【0044】
払拭部材38は、布に限らず、例えば樹脂製のブレードワイパーで構成されてもよい。この場合、払拭部材38がノズル面19から除去した液体が残留するおそれがある。そのため、払拭部37は、払拭部材38に洗浄液を供給するように構成されてもよい。払拭部材38がノズル面19を払拭した後に払拭部材38に洗浄液が供給されることによって、払拭部材38に液体が残留するおそれが低減される。
【0045】
<第1領域及び第2領域のレイアウト>
メンテナンス部33は、待機キャップ31及び受容部32と比べて大型化しやすい。これは、クリーニング部34及び払拭部37の構成が、待機キャップ31及び受容部32の構成と比べて複雑であるためである。例えば、クリーニング部34及び払拭部37は、駆動のためにモーターを要するため、大型化しやすい。そのため、メンテナンス部33が装置内のスペースを占める割合は、待機キャップ31及び受容部32が装置内のスペースを占める割合と比べて大きくなりやすい。したがって、メンテナンス部33は、第2領域A2を比較的大きく占める。
【0046】
液体吐出装置11においては、加減速領域のために第1領域A1及び第2領域A2を確保する必要がある。すなわち、仮に、待機キャップ31、受容部32、及び、メンテナンス部33のすべてを第1領域A1に位置させる場合でも、第2領域A2を確保する必要がある。そのため、メンテナンス部33が比較的大きく占める第2領域A2に第2装着部22が位置することによって、装置内のスペースが有効に活用される。また、第1装着部21が比較的大きく占める第1領域A1に待機キャップ31及び受容部32が位置することによって、装置内のスペースが有効に活用される。
【0047】
<作用及び効果>
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)待機キャップ31及び受容部32は、第1領域A1に位置する。メンテナンス部33は、第2領域A2に位置する。上記構成によれば、メンテナンス部33が位置する領域とは別の領域に待機キャップ31及び受容部32が位置するため、装置内のスペースを有効に活用できる。すなわち、比較的大型なメンテナンス部33が位置する第2領域A2とは異なる第1領域A1に、比較的小型な待機キャップ31及び受容部32が位置することによって、装置内のスペースを有効に活用できる。
【0048】
(2)メンテナンス部33は、ノズル18から液体を吸引することによってヘッド17をメンテナンスするクリーニング部34を有する。
上記構成によれば、クリーニング部34がノズル18から液体を吸引することによって、ノズル18から液体とともに、気泡、増粘した液体、異物が排出される。これにより、ヘッド17の吐出性能を維持又は回復できる。
【0049】
(3)メンテナンス部33は、ノズル面19を払拭することによってヘッド17をメンテナンスする払拭部37を有する。
上記構成によれば、払拭部37がノズル面19を払拭することによって、ノズル面19に付着する液体、異物などが除去される。これにより、ヘッド17の吐出性能を維持又は回復できる。
【0050】
(4)第1装着部21が装着可能な液体貯留体23の数は、第2装着部22が装着可能な液体貯留体23の数よりも多い。
メンテナンス部33は、待機キャップ31及び受容部32と比べて大型化しやすい。そのため、待機キャップ31及び受容部32が装置内のスペースを占める割合と比べて、メンテナンス部33が装置内のスペースを占める割合が大きくなりやすい。上記構成によれば、第2装着部22が装置内のスペースを占める割合と比べて、第1装着部21が装置内のスペースを占める割合が大きくなる。したがって、第1領域A1に待機キャップ31、受容部32、及び、第1装着部21が位置し、第2領域A2にメンテナンス部33及び第2装着部22が位置することによって、装置内のスペースを有効に活用できる。
【0051】
(5)受容部32は、走査方向Xにおいて、待機キャップ31とメンテナンス部33との間に位置する。
ヘッド17は、通常、待機キャップ31に覆われた状態で待機する。ヘッド17は、印刷を開始する場合、受容部32に液体を吐出する。すなわち、ヘッド17は、印刷開始時に、待機キャップ31から受容部32に向かって移動する。上記構成によれば、ヘッド17は、待機キャップ31から受容部32に向かって移動することによって、印刷領域A3に接近する。したがって、印刷を開始するにあたって、ヘッド17が効率よく移動できる。
【0052】
(6)払拭部37は、走査方向Xにおいて、クリーニング部34と受容部32との間に位置する。
クリーニング部34によってヘッド17がクリーニングされると、ノズル面19に液体が付着する。そのため、通常、クリーニング後には、払拭部37がノズル面19を払拭する。払拭部37がノズル面19を払拭した後、ヘッド17は、待機キャップ31に戻る。上記構成によれば、ヘッド17は、クリーニング部34から払拭部37に向かって移動することによって、待機キャップ31に接近する。したがって、待機キャップ31に戻るにあたって、ヘッド17が効率よく移動できる。
【0053】
(7)待機キャップ31及び受容部32は、第1加減速領域B1に位置する。上記構成によれば、第1加減速領域B1を有効に活用できる。
(8)メンテナンス部33は、第2加減速領域B2に位置する。上記構成によれば、第2加減速領域B2を有効に活用できる。
【0054】
<変更例>
上記実施例は、以下のように変更して実施できる。上記実施例及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0055】
・装着部に装着される複数の液体貯留体23は、上下に並ぶことに限らず、例えば、第1方向D1に並んでもよいし、第2方向D2に並んでもよい。
・第1装着部21に、洗浄液を貯留する液体貯留体23が装着されてもよい。
【0056】
・ヘッド17が吐出する液体は、インクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、ヘッド17が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材又は画素材料などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
【0057】
<技術的思想>
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0058】
(A)液体吐出装置は、ノズルが開口するノズル面を有し、前記ノズルから液体を吐出するヘッドと、前記ヘッドに接触することによって前記ノズルを覆う待機キャップと、前記ノズルから吐出される液体を受ける受容部と、前記ヘッドをメンテナンスするメンテナンス部と、を備え、前記ヘッドは、走査方向に移動することによって第1領域、第2領域、及び、印刷領域を移動し、前記印刷領域を移動しながら媒体に液体を吐出することによって媒体に印刷し、前記印刷領域は、前記走査方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置し、前記待機キャップ及び前記受容部は、前記第1領域に位置し、前記メンテナンス部は、前記第2領域に位置する。上記構成によれば、メンテナンス部が位置する領域とは別の領域に待機キャップ及び受容部が位置するため、装置内のスペースを有効に活用できる。
【0059】
(B)上記液体吐出装置において、前記メンテナンス部は、前記ノズルから液体を吸引することによって前記ヘッドをメンテナンスするクリーニング部を有し、前記クリーニング部は、前記ヘッドに接触することによって前記ノズルを覆う吸引キャップと、前記吸引キャップ内を吸引する吸引ポンプと、を有してもよい。上記構成によれば、クリーニング部がノズルから液体を吸引することによって、ノズルから気泡やノズル内の増粘した液体、異物が排出される。これにより、ヘッドの吐出性能を維持又は回復できる。
【0060】
(C)上記液体吐出装置において、前記メンテナンス部は、前記ノズル面を払拭することによって前記ヘッドをメンテナンスする払拭部を有し、前記払拭部は、前記ノズル面に接触する払拭部材と、前記払拭部材を繰り出す繰出部と、前記払拭部材を巻き取る巻取部と、を有してもよい。上記構成によれば、払拭部がノズル面を払拭することによって、ノズル面に付着する液体、異物などが除去される。これにより、ヘッドの吐出性能を維持又は回復できる。
【0061】
(D)上記液体吐出装置は、液体を貯留する液体貯留体をそれぞれ装着可能な第1装着部及び第2装着部を備え、前記第1装着部の少なくとも一部は、前記第1領域に位置し、前記第2装着部の少なくとも一部は、前記第2領域に位置し、前記第1装着部が装着可能な前記液体貯留体の数は、前記第2装着部が装着可能な前記液体貯留体の数よりも多くてもよい。メンテナンス部は、待機キャップ及び受容部と比べて大型化しやすい。そのため、待機キャップ及び受容部が装置内のスペースを占める割合と比べて、メンテナンス部が装置内のスペースを占める割合が大きくなりやすい。上記構成によれば、第2装着部が装置内のスペースを占める割合と比べて、第1装着部が装置内のスペースを占める割合が大きくなる。これにより、装置内のスペースを有効に活用できる。
【0062】
(E)上記液体吐出装置において、前記受容部は、前記走査方向において、前記待機キャップと前記メンテナンス部との間に位置してもよい。ヘッドは、通常、待機キャップに覆われた状態で待機する。ヘッドは、印刷を開始する場合、受容部に液体を吐出する。すなわち、ヘッドは、印刷開始時に、待機キャップから受容部に向かって移動する。上記構成によれば、ヘッドは、待機キャップから受容部に向かって移動することによって、印刷領域に接近する。したがって、印刷を開始するにあたって、ヘッドが効率よく移動できる。
【0063】
(F)上記液体吐出装置において、前記払拭部は、前記走査方向において、前記クリーニング部と前記受容部との間に位置してもよい。クリーニング部によってヘッドがクリーニングされると、ノズル面に液体が付着する。そのため、通常、クリーニング後には、払拭部がノズル面を払拭する。払拭部がノズル面を払拭した後、ヘッドは、待機キャップに戻る。上記構成によれば、ヘッドは、クリーニング部から払拭部に向かって移動することによって、待機キャップに接近する。したがって、待機キャップに戻るにあたって、ヘッドが効率よく移動できる。
【0064】
(G)上記液体吐出装置において、前記第1領域は、印刷のために前記ヘッドが加速及び減速する領域である加減速領域を含み、前記待機キャップ及び前記受容部は、前記加減速領域に位置してもよい。液体吐出装置においては、ヘッドが走査方向に移動するために加減速領域が必要である。上記構成によれば、第1領域が含む加減速領域を有効に活用できる。
【0065】
(H)上記液体吐出装置において、前記第2領域は、印刷のために前記ヘッドが加速及び減速する領域である加減速領域を含み、前記メンテナンス部は、前記加減速領域に位置してもよい。液体吐出装置においては、ヘッドが走査方向に移動するために加減速領域が必要である。上記構成によれば、第2領域が含む加減速領域を有効に活用できる。
【符号の説明】
【0066】
11…液体吐出装置、12…筐体、13…ベースフレーム、14…支持部、15…支持台、16…移動機構、17…ヘッド、18…ノズル、19…ノズル面、20…キャリッジ、21…第1装着部、22…第2装着部、23…液体貯留体、24…第1装着体、25…第1カセット、26…第2装着体、27…第2カセット、31…待機キャップ、32…受容部、33…メンテナンス部、34…クリーニング部、35…吸引キャップ、36…吸引ポンプ、37…払拭部、38…払拭部材、39…巻掛部、40…繰出部、41…巻取部、42…払拭ケース、99…媒体、A1…第1領域、A2…第2領域、A3…印刷領域、B1…第1加減速領域、B2…第2加減速領域、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、X…走査方向。