(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100039
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電源回路、電子機器、電源回路の制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20240719BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20240719BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20240719BHJP
G06F 1/30 20060101ALI20240719BHJP
H03K 17/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H02M3/00 C
G01R31/00
H02J9/06 110
G06F1/30 305
H03K17/00 B
H02M3/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003737
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】武田 誠進
(72)【発明者】
【氏名】岩田 直己
(72)【発明者】
【氏名】横川 晃平
【テーマコード(参考)】
2G036
5B011
5G015
5H730
5J055
【Fターム(参考)】
2G036AA24
2G036BA37
2G036BB06
2G036CA08
5B011DA00
5B011EA02
5B011GG03
5B011GG16
5B011JA14
5B011JB02
5G015GB05
5G015JA07
5G015JA08
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5H730FD26
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5H730XX50
5J055AX36
5J055AX38
5J055AX53
5J055AX67
5J055BX16
5J055DX73
5J055EZ24
5J055FX04
5J055FX13
5J055GX02
5J055GX03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性向上に貢献する電源回路、電源回路を含む電子機器、電源回路の制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】電子機器において、電源回路は、制御回路、夫々が所定の入力電圧の所定の出力電圧への変換を実行する並列接続された複数のスイッチング部を含むスイッチング回路及びスイッチング回路に関する所定の物理量を制御回路へ出力する検出回路を含む。制御回路は、検出回路から取得した所定の物理量に基づいてスイッチング回路の状態を監視し、複数のスイッチング部の1つが導通状態であり、かつ、複数のスイッチング部のうちの前記1つ以外が非導通状態であり、検出回路から取得した所定の物理量が所定の閾値より大きいとき、スイッチング部の前記1つが劣化したと判断し、前記1つを導通状態から非導通状態へ切り換え、かつ、他の1つを非導通状態から導通状態へ切り換えるようにスイッチング回路のを制御を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御回路、
並列接続された複数のスイッチング部であって、夫々が所定の入力電圧の所定の出力電圧への変換を実行する複数のスイッチング部を含むスイッチング回路、及び、
前記スイッチング回路に関する所定の物理量を前記制御回路へ出力するよう構成された検出回路
を含む、電源回路であって、
前記制御回路は、前記検出回路から取得した所定の物理量に基づいて前記スイッチング回路の状態を監視するよう構成されていること、
前記制御回路は、前記複数のスイッチング部の1つのスイッチング部が導通状態でありかつ前記複数のスイッチング部の前記1つのスイッチング部以外のスイッチング部が非導通状態である場合において、前記検出回路から取得した所定の物理量が所定の閾値より大きいとき前記1つのスイッチング部が劣化したと判断し、前記1つのスイッチング部を導通状態から非導通状態へ切り換え、かつ、前記複数のスイッチング部の他の1つのスイッチング部を非導通状態から導通状態へ切り換えるよう、前記スイッチング回路の制御を実行すること
を特徴とする、電源回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電源回路において、
前記複数のスイッチング部は、夫々、
前記変換を実行するスイッチング手段、及び、
前記スイッチング手段に直列接続されたロードスイッチであって、前記制御回路によって開成又は閉成されるよう構成されたロードスイッチ
を含むこと
を特徴とする、電源回路。
【請求項3】
請求項2に記載の電源回路において、
前記スイッチング手段は、DC/DCコンバータを含むこと
を特徴とする、電源回路。
【請求項4】
請求項1に記載の電源回路において、
前記検出回路は、
電流検出器、及び、
前記電流検出器の出力をA/D変換して前記制御回路へ出力するA/Dコンバータ
を含むこと
を特徴とする、電源回路。
【請求項5】
請求項4に記載の電源回路において、
前記電流検出器は、前記スイッチング回路に直列接続された電流検出抵抗器を含むこと、及び、
前記電流検出器は、前記電流検出抵抗器の電圧を前記所定の物理量として出力すること
を特徴とする、電源回路。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の電源回路、
前記電源回路へ直流電力を供給する入力電源、及び、
前記電源回路から直流電力を供給される負荷
を含む、電子機器。
【請求項7】
並列接続された複数のスイッチング部であって、夫々が所定の入力電圧を所定の出力電圧へ変換する複数のスイッチング部を含むスイッチング回路を含む電源回路の制御方法であって、
前記スイッチング回路は、前記複数のスイッチング部の1つのスイッチング部が導通状態でありかつ前記複数のスイッチング部の前記1つのスイッチング部以外のスイッチング部が非導通状態である場合において、前記スイッチング回路に関する所定の物理量が所定の閾値より大きいとき、前記1つのスイッチング部が導通状態から非導通状態へ切り換えられ、かつ、前記複数のスイッチング部の他の1つのスイッチング部が非導通状態から導通状態へ切り換えられるよう、制御されること
を特徴とする、制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の制御方法において、
前記所定の物理量は、前記スイッチング回路に直列接続された電流検出抵抗器の両端間の電圧であること
を特徴とする、制御方法。
【請求項9】
並列接続された複数のスイッチング部であって、夫々が所定の入力電圧を所定の出力電圧へ変換する複数のスイッチング部を含むスイッチング回路を含む電源回路の制御プログラムであって、
前記複数のスイッチング部の1つのスイッチング部が導通状態でありかつ前記複数のスイッチング部の前記1つのスイッチング部以外のスイッチング部が非導通状態である場合において、
前記スイッチング回路に関する所定の物理量に基づいて前記スイッチング回路の状態を監視する処理、
前記所定の物理量と所定の閾値を比較する処理、
前記所定の物理量が前記所定の閾値より大きいとき前記1つのスイッチング部が劣化したと判断し、前記1つのスイッチング部を導通状態から非導通状態へ切り換え、かつ、前記複数のスイッチング部の他の1つのスイッチング部を非導通状態から導通状態へ切り換える処理、
をコンピュータに実行させること
を特徴とする、制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の制御プログラムにおいて、
前記所定の物理量は、前記スイッチング回路に直列接続された電流検出抵抗器の両端間の電圧であること
を特徴とする、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源回路、電源回路を含む電子機器、電源回路の制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電源回路は電子回路の中でも故障率が高い回路である。逆に言うと電源回路の信頼性を向上することで製品寿命を延ばす効果が最も大きい対策にもなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“UPSリプレースのご提案”,[online],富士電機株式会社,[令和4年11月28日検索],インターネット,<URL:https://www.fujielectric.co.jp/products/power_supply/service_support/service/ups/replace.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は本発明者によってなされたものである。
【0005】
上記先行技術文献は、引用により本書に繰り込み記載されているものとする。
【0006】
電源回路の故障を予知することは困難である。電源回路は、一般的にはその部品の動作寿命やMTBF(Mean Time Between Failures)から故障時点を算出し、設計保障として電子装置の製品寿命を満足するように設計されている。
【0007】
しかしながら、現実的には、ある程度の確率で電源回路の偶発故障は発生しており、これは高度な信頼性が要求される装置において重大な問題を発生させる要因となっている。予防措置として定期交換等によって対応していることが多く(上掲非特許文献1参照)、故障前のハードウェア交換等のような余計なコストが発生している。
【0008】
本開示の課題は、とりわけ、電源回路ないし電子機器の信頼性向上に貢献する、電源回路、電源回路を含む電子機器、電源回路の制御方法及び制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本開示の第1の視点により、電源回路が提供される。該電源回路は、
制御回路、
並列接続された複数のスイッチング部であって、夫々が所定の入力電圧の所定の出力電圧への変換を実行する複数のスイッチング部を含むスイッチング回路、及び、
前記スイッチング回路に関する所定の物理量を前記制御回路へ出力するよう構成された検出回路
を含み、
前記制御回路は、前記検出回路から取得した所定の物理量に基づいて前記スイッチング回路の状態を監視するよう構成されていること、
前記制御回路は、前記複数のスイッチング部の1つのスイッチング部が導通状態でありかつ前記複数のスイッチング部の前記1つのスイッチング部以外のスイッチング部が非導通状態である場合において、前記検出回路から取得した所定の物理量が所定の閾値より大きいとき前記1つのスイッチング部が劣化したと判断し、前記1つのスイッチング部を導通状態から非導通状態へ切り換え、かつ、前記複数のスイッチング部の他の1つのスイッチング部を非導通状態から導通状態へ切り換えるよう、前記スイッチング回路の制御を実行すること
を特徴とする(形態1)。
(2)本開示の第2の視点により、本開示の電源回路、
前記電源回路へ直流電力を供給する入力電源、及び、
前記電源回路から直流電力を供給される負荷
を含む、電子機器が提供される(形態6)。
(3)本開示の第3の視点により、並列接続された複数のスイッチング部であって、夫々が所定の入力電圧を所定の出力電圧へ変換する複数のスイッチング部を含むスイッチング回路を含む電源回路の制御方法が提供される。該制御方法において、
前記スイッチング回路は、前記複数のスイッチング部の1つのスイッチング部が導通状態でありかつ前記複数のスイッチング部の前記1つのスイッチング部以外のスイッチング部が非導通状態である場合において、前記スイッチング回路に関する所定の物理量が所定の閾値より大きいとき、前記1つのスイッチング部が導通状態から非導通状態へ切り換えられ、かつ、前記複数のスイッチング部の他の1つのスイッチング部が非導通状態から導通状態へ切り換えられるよう、制御されること
を特徴とする(形態7)。
(4)本開示の第4の視点により、並列接続された複数のスイッチング部であって、夫々が所定の入力電圧を所定の出力電圧へ変換する複数のスイッチング部を含むスイッチング回路を含む電源回路の制御プログラムが提供される。該制御プログラムは、
前記複数のスイッチング部の1つのスイッチング部が導通状態でありかつ前記複数のスイッチング部の前記1つのスイッチング部以外のスイッチング部が非導通状態である場合において、
前記スイッチング回路に関する所定の物理量に基づいて前記スイッチング回路の状態を監視する処理、
前記所定の物理量と所定の閾値を比較する処理、
前記所定の物理量が前記所定の閾値より大きいとき前記1つのスイッチング部が劣化したと判断し、前記1つのスイッチング部を導通状態から非導通状態へ切り換え、かつ、前記複数のスイッチング部の他の1つのスイッチング部を非導通状態から導通状態へ切り換える処理、
をコンピュータに実行させること
を特徴とする(形態9)。
【0010】
(形態1)上掲。
(形態2)上記形態1の電源回路において、
前記複数のスイッチング部は、夫々、
前記変換を実行するスイッチング手段、及び、
前記スイッチング手段に直列接続されたロードスイッチであって、前記制御回路によって開成又は閉成されるよう構成されたロードスイッチ
を含むことが好ましい。
(形態3)上記形態2の電源回路において、
前記スイッチング手段は、DC/DC(direct current to direct current)コンバータを含むことが好ましい。
(形態4)上記形態1の電源回路において、
前記検出回路は、
電流検出器、及び、
前記電流検出器の出力をA/D(analog to digital)変換して前記制御回路へ出力するA/Dコンバータ
を含むことが好ましい。
(形態5)上記形態4の電源回路において、
前記電流検出器は、前記スイッチング回路に直列接続された電流検出抵抗器を含むこと、及び、
前記電流検出器は、前記電流検出抵抗器の電圧を前記所定の物理量として出力することが好ましい。
(形態6)上掲。
(形態7)上掲。
(形態8)形態7の制御方法において、
前記所定の物理量は、前記スイッチング回路に直列接続された電流検出抵抗器の両端間の電圧であることが好ましい。
(形態9)上掲。
(形態10)形態9の制御プログラムにおいて、
前記所定の物理量は、前記スイッチング回路に直列接続された電流検出抵抗器の両端間の電圧であることが好ましい。
【0011】
なお、上記のプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジエントな)記憶媒体に記録することができる。即ち、本開示は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。プログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インタフェイスを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させ、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インタフェイスを介して、外部と交信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示ないしその各視点は、とりわけ、電源回路ないし電源回路を含む電子機器の信頼性向上に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一実施形態に応じた電源回路を含む電子機器の一例のブロック図。
【
図2】本開示の一実施形態に応じたスイッチング回路の一例のブロック図。
【
図3】本開示の一実施形態に応じたスイッチング部の一例のブロック図。
【
図4】本開示の一実施形態に応じた検出回路の一例のブロック図。
【
図5】本開示の一実施形態に応じた電源回路の動作の一例のフローチャート。
【
図6】ハードウェア資源の構成の一例を模式的に示したブロック図。
【
図7】本開示の一変形形態に応じた電源回路の一例のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、専ら本開示の理解を助けるためのものであり、本開示を図示の態様に限定することは意図していない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印は、信号、情報、データ等の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。更に、各図におけるブロック間の接続は有線又は無線方式の何れでも可能である。更に、プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備え、コンピュータ装置は、通信インタフェイスを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、交信可能に構成される。
【0015】
更に、以下の説明及び図面において、同一の又は共通の機能を有する要素には同一の図面参照符号が付記されている。
【0016】
(動作原理例)
DC/DCコンバータ等のスイッチング電源IC(integrated circuit)は、劣化すると、その出力抵抗値が低下し、その結果、スイッチング電源ICの消費電力が増大し、従って、スイッチング電源ICを流れる電流も増大する。このとき、スイッチング電源ICに抵抗器が直列接続されていれば、抵抗器の両端の電圧の大きさは当該抵抗器に流れる電流の大きさに比例するため、スイッチング電源ICが劣化するとこの電圧は大きくなる。そこで、以下の実施形態では、この現象を利用し、スイッチング回路に関する所定の物理量としての電圧に基づいて、DC/DCコンバータ等のスイッチング電源ICとしてのスイッチング手段が劣化したか否かを判断する。
【0017】
(実施形態)
図1は、本開示の一実施形態に応じた電源回路2を含む電子機器1の一例のブロック図を示す。
【0018】
電子機器1は、電源回路2と、電源回路2へ直流電力を供給する入力電源3と、電源回路2から直流電力の供給を受ける負荷4を含む。なお、図示の実施形態では、スイッチング回路5が負荷4側、検出回路6が入力電源3側に配置されているが、この位置関係は反対にすることも可能である。
【0019】
入力電源3は、内蔵のバッテリ等でも、外部の交流電力を直流電力に変換するAC/DC(alternating current to direct current)コンバータ等でもよい。
【0020】
負荷4は、とりわけ、電子機器1の正常な動作のために不可欠な高度の信頼性が要求されるデバイスである。
【0021】
電源回路2は、スイッチング回路5と、検出回路6と、制御回路7を含む。
【0022】
スイッチング回路5は、入力電源3から供給された所定の直流入力電力を所定の直流出力電力に変換し、該所定の直流出力電力を負荷4へ供給する。
【0023】
検出回路6は、入力電源3とスイッチング回路5の間に配されており、スイッチング回路5に関する所定の物理量を制御回路7へ出力するよう構成されている。
【0024】
図2は、本開示の一実施形態に応じたスイッチング回路5の一例のブロック図を示す。
【0025】
スイッチング回路5は、3つの並列接続されたスイッチング部5a、5b、5cを含み、これらのスイッチング部5a、5b、5cは、制御回路7からの制御信号7a、7b、7cに応じて導通状態又は非導通状態に制御されることが可能である。そして、導通状態に制御されている場合、そのスイッチング部は、入力電源3から供給された所定の直流入力電力を所定の直流出力電力に変換し、該所定の直流出力電力を負荷4へ供給することができる。
【0026】
図示の実施形態では、スイッチング回路5は、並列接続された3つのスイッチング部5a、5b、5cを含んでいるが、2つの又は4つ以上の並列接続されたスイッチング部を含んでもよい。
【0027】
なお、図示の実施形態では、電子機器1の初期状態において、3つのスイッチング部5a、5b、5cのうち、1つのスイッチング部、この場合、スイッチング部5aは導通状態に制御されており(以下、メインスイッチング部5aともいう)、スイッチング部5a以外のスイッチング部即ちスイッチング部5b、5cは非導通状態に制御されている(以下、バックアップスイッチング部5b、5cともいう)。
【0028】
図3は、本開示の一実施形態に応じたスイッチング部の一例のブロック図を示す。なお、図示の実施形態では、メインスイッチング部5aの基本的構成が示されているが、バックアップスイッチング部5b、5cの基本的構成もメインスイッチング部5aの基本的構成と同一である。また、図示の実施形態では、メインスイッチング部5aにおいて、スイッチング手段5a1が入力電源3側、ロードスイッチ5a2が負荷4側に配置されているが、この位置関係は反対にすることも可能である(バックアップスイッチング部5b、5cについても同様)。
【0029】
メインスイッチング部5aは、スイッチング手段5a1と、ロードスイッチ5a2を含む。
【0030】
スイッチング手段5a1は、上記の変換、即ち、入力電源3から供給された所定の直流入力電力の所定の直流出力電力への変換を具体的に実行する手段であり、例えば、DC/DCコンバータを含むことができるが、これに限定されない。
【0031】
ロードスイッチ5a2は、制御回路7からの制御信号7aに応じて閉成又は開成されるよう、制御される。ロードスイッチ5a2が閉成された場合、スイッチング手段5a1従ってメインスイッチング部5aは導通状態ないし導通可能状態に切り換えられ、ロードスイッチ5a2が開成された場合、スイッチング手段5a1従ってメインスイッチング部5aは非導通状態に切り換えられる。
【0032】
ロードスイッチ5a2は、例えば、FET(field effect transistor)スイッチとして構成可能であるが、これに限定されない。
【0033】
図4は、本開示の一実施形態に応じた検出回路6の一例のブロック図を示す。
【0034】
検出回路6は、電流検出器6aと、電流検出器6aの出力をA/D変換して制御回路7へ出力するA/Dコンバータ6bを含む。
【0035】
電流検出器6aは、スイッチング回路5に直列接続された電流検出抵抗器を含むことが可能である。電流検出抵抗器は例えばシャント抵抗器であるが、これに限定されない。
【0036】
電流検出器6aは、電流検出抵抗器の、とりわけその両端の、電圧を、スイッチング部5a等(実質的にはスイッチング手段5a1等)の劣化状態を表す指標としての所定の物理量として出力する。
【0037】
図5は、本開示の一実施形態に応じた電源回路2の動作の一例のフローチャートを示す。なお、以下において、「ステップ」は「S」で表す。
【0038】
この動作例では、上記の実施形態に係る電源回路2の動作について説明する。即ち、この電源回路2においては、スイッチング回路5は、互いに並列接続された、初期状態において導通状態に制御されているメインスイッチング部5a及び初期状態において非導通状態に制御されているバックアップスイッチング部5b、5cを含み、メインスイッチング部5a/バックアップスイッチング部5b、5cのスイッチング手段はDC/DCコンバータを含み、検出回路6の電流検出器6aは電流検出抵抗器を含むものとする。
【0039】
更に、電流検出器6aは、電流検出抵抗器の、とりわけその両端の、電圧を、スイッチング部5a等(実質的にはスイッチング手段5a1等)の劣化状態を表す指標としての所定の物理量として出力する。
【0040】
まず、制御回路7は検出回路6の電流検出抵抗器の両端の電圧を監視する(S1)。
【0041】
次に、制御回路7は、監視している電圧(以下「監視電圧」ともいう。)が所定の閾値より大きいか否かを判断する(S2)。
【0042】
監視電圧が所定の閾値以下の場合(NO)、制御回路7は、メインスイッチング部5a(具体的にはそのDC/DCコンバータ)は劣化していないと判断し、電圧の監視を継続する(S1に戻る)。
【0043】
監視電圧が所定の閾値より大きい場合(YES)、制御回路7は、メインスイッチング部5a(具体的にはそのDC/DCコンバータ)は劣化していると判断し、メインスイッチング部5aへロードスイッチ5a2を開成する制御信号を送信し、メインスイッチング部5aを非導通状態にすると共に、2つのバックアップスイッチング部5b、5cの何れか一方のみへ、この例ではバックアップスイッチング部5bのみへ、そのロードスイッチを閉成する制御信号を送信し、当該バックアップスイッチング部5bのみを導通状態にする(S3)。これにより、DC/DCコンバータ(スイッチング電源IC)の劣化による電源回路の故障を予め回避することができ、電源回路の信頼性を向上することができる。
【0044】
次に、制御回路7は、S3において導通状態にしたバックアップスイッチング部5bをメインスイッチング部として取り扱い、スイッチング回路5にまだ導通状態にされていないバックアップスイッチング部(以下「未導通バックアップスイッチング部」ともいう。)が存在するか否かを判断する(S4)。
【0045】
未導通バックアップスイッチング部が存在する場合(YES)、制御回路7は、電源回路の信頼性を維持できると判断し、電圧の監視を継続する(S1に戻る)。この例では、バックアップスイッチング部5cは未導通であるので、この場合に該当する。
【0046】
未導通バックアップスイッチング部が存在しない場合(NO)、制御回路7は、最早バックアップスイッチング部を用いた信頼性向上措置を取ることができない旨を警告する警報信号を出力する(S5)。この例において、導通状態にされたバックアップスイッチング部5bについても監視電圧が所定の閾値より大きくなり、バックアップスイッチング部5bが非導通にされ、残りのバックアップスイッチング部5cが導通状態にされることにより、未導通バックアップスイッチング部が存在しない場合が実現する。
【0047】
なお、電子機器1はこの警報信号に応じて警報灯を点灯等することにより、ユーザは電子機器1の寿命が近いことを了知することができる。
【0048】
上記の監視制御は常時的に実行すること、間欠的に、例えば1分間周期で繰り返すことも可能である。
【0049】
なお、上記実施形態に係る制御回路は、いわゆるハードウェア資源(情報処理装置、コンピュータ)により構成することができ、
図6に例示する構成を備えたものを用いることができる。例えば、ハードウェア資源100は、内部バス104により相互に接続される、プロセッサ101、メモリ102、ネットワークインタフェイス103等を備えることができる。
【0050】
但し、
図6に示す構成は、ハードウェア資源100のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。ハードウェア資源100は、図示しないハードウェア(例えば、入出力インタフェイス)を含んでもよい。プロセッサ101には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いることができる。
【0051】
また、メモリ102には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を用いることができる。ここで、メモリ102には、上記の所定の物理量に関する所定の閾値が格納されることができ、また、上記の制御を行うための制御プログラムも格納されることができる。
【0052】
更に、ネットワークインタフェイス103には、例えば、LAN(Local Area Network)カード、ネットワークアダプタ、ネットワークインタフェイスカード等を用いることができる。
【0053】
更に、ハードウェア資源100の機能は、処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ102に格納されたプログラムをプロセッサ101が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能は、何らかのハードウェアにおいてソフトウェアが実行されることによって実現できればよい。
【0054】
(変形形態1)
上記の実施形態では並列接続された複数のスイッチング部に対し、1つの共通の検出回路が割り当てられているが、例えば並列接続されたスイッチング部がN個の場合、N-1個のスイッチング部の夫々に1つの検出回路を割り当てる(従って残りの1つのスイッチング部には検出回路を割り当てない)よう構成することも可能である。この場合、制御回路は、検出回路を備えたスイッチング部を順次導通又は非導通に制御し、最後に、検出回路を備えないスイッチング部を導通に制御したとき、上記の警報信号を出力するよう構成可能である。なお、スイッチング部が2個の場合(検出回路60を備えたメインスイッチング部50a及び検出回路を備えないバックアップスイッチング部50b)の電源回路20の一例について、
図7参照。これらのスイッチング部50a、50b及び検出回路60は制御回路70によって上記実施形態と同様に制御される。
【0055】
(変形形態2)
図示の実施形態においては、電流検出器6aは、シャント抵抗器等の電流検出抵抗器を含む抵抗検出型の電流センサとして構成されているが、例えば、ホール素子等を含む磁場検出型の電流センサとして構成されることも可能である。
【0056】
(変形形態3)
図示の実施形態においては、制御回路7は、スイッチング部5a等(実質的にはスイッチング手段5a1等)の劣化状態を表す指標として電圧を監視しているが、スイッチング部ないしスイッチング回路に流入又はこれから流出する電流を監視するよう構成されることが可能である。
【0057】
かくして、電源回路の寿命、従ってその信頼性は、単純計算すると、スイッチング回路に含まれる並列接続されたスイッチング部の個数の分だけ、例えば3つのスイッチング部が含まれる上記の例では3倍に増大されることができ、これにより従来行っていた予防措置としての定期交換の回数を削減でき、保守費用の抑制が可能になる。
【0058】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
制御回路、
並列接続された複数のスイッチング部であって、夫々が所定の入力電圧の所定の出力電圧への変換を実行する複数のスイッチング部を含むスイッチング回路、及び、
前記スイッチング回路に関する所定の物理量を前記制御回路へ出力するよう構成された検出回路
を含む、電源回路。
前記制御回路は、前記検出回路から取得した所定の物理量に基づいて前記スイッチング回路の状態を監視するよう構成されている;
前記制御回路は、前記複数のスイッチング部の1つのスイッチング部が導通状態でありかつ前記複数のスイッチング部の前記1つのスイッチング部以外のスイッチング部が非導通状態である場合において、前記検出回路から取得した所定の物理量が所定の閾値より大きいとき前記1つのスイッチング部が劣化したと判断し、前記1つのスイッチング部を導通状態から非導通状態へ切り換え、かつ、前記複数のスイッチング部の他の1つのスイッチング部を非導通状態から導通状態へ切り換えるよう、前記スイッチング回路の制御を実行する。
[付記2]上記の電源回路において、
前記複数のスイッチング部は、夫々、
前記変換を実行するスイッチング手段、及び、
前記スイッチング手段に直列接続されたロードスイッチであって、前記制御回路によって開成又は閉成されるよう構成されたロードスイッチ
を含む。
[付記3]上記の電源回路において、
前記スイッチング手段は、スイッチング電源IC、とりわけ、DC/DCコンバータを含む。
[付記4]上記の電源回路において、
前記検出回路は、
電流検出器、及び、
前記電流検出器の出力をA/D変換して前記制御回路へ出力するA/Dコンバータ
を含む。
[付記5]上記の電源回路において、
前記電流検出器は、前記スイッチング回路に直列接続された電流検出抵抗器、とりわけシャント抵抗器、を含む;
前記電流検出器は、前記電流検出抵抗器の電圧を前記所定の物理量として出力する。
[付記6]上記の電源回路において、
前記電流検出器は、磁場検出型の電流センサ、とりわけホール素子、を含む。
[付記7]上記の電源回路において、
前記電流検出器は、当該電流検出器が検出する電流を前記所定の物理量として出力する。
[付記8]上記の電源回路において、
前記制御回路は、前記スイッチング回路に未導通の即ち一度も導通されていないスイッチング部が存在しない場合、警報信号を出力する。
[付記9]上記の電源回路において、
前記制御回路は、
前記スイッチング回路及び/又は前記検出部の制御のための制御部(プロセッサ)、及び、
前記所定の閾値、及び/又は、前記スイッチング回路及び/又は前記検出部の制御のための制御プログラムを格納する記憶部(メモリ)
を含む。
[付記10]
制御回路、
夫々検出回路を備えた少なくとも1つのスイッチング部、及び、
検出回路を備えない1つの他のスイッチング部
を含む電源回路。
前記少なくとも1つのスイッチング部と前記他のスイッチング部は並列接続されている;
前記少なくとも1つのスイッチング部及び前記他のスイッチング部は夫々所定の入力電圧の所定の出力電圧への変換を実行するよう構成されている;
前記検出回路は、当該検出回路が割り当てられたスイッチング部に関する所定の物理量を前記制御回路へ出力するよう構成されている;
前記制御回路は、前記検出回路から取得した所定の物理量に基づいて当該検出回路が割り当てられたスイッチング部の状態を監視するよう構成されている;
前記制御回路は、前記少なくとも1つのスイッチング部の1つのスイッチング部が導通状態でありかつ前記少なくとも1つのスイッチング部の前記1つのスイッチング部以外のスイッチング部と前記他のスイッチング部が非導通状態である場合において、前記検出回路から取得した所定の物理量が所定の閾値より大きいとき前記1つのスイッチング部が劣化したと判断し、前記1つのスイッチング部を導通状態から非導通状態へ切り換え、かつ、前記複数のスイッチング部の他の1つのスイッチング部を非導通状態から導通状態へ切り換えるよう、前記スイッチング回路の制御を実行する。
[付記11]上記の電源回路において、
前記制御回路は、前記所定の物理量として前記少なくとも1つのスイッチング部に関する電圧又は電流を監視する。
[付記12]上記の電源回路において、
前記制御回路は、前記他のスイッチング部が非導通状態から導通状態へ切り換えられた場合、警報信号を出力する。
[付記13]前記電源回路、
前記電源回路へ直流電力を供給する入力電源、及び、
前記電源回路から直流電力を供給される負荷
を含む、電子機器。
[付記14]上記の電子機器は、前記警報信号に応じて警報灯を点灯する。
[付記15]並列接続された複数のスイッチング部であって、夫々が所定の入力電圧を所定の出力電圧へ変換する複数のスイッチング部を含むスイッチング回路を含む電源回路の制御方法。
前記スイッチング回路は、前記複数のスイッチング部の1つのスイッチング部が導通状態でありかつ前記複数のスイッチング部の前記1つのスイッチング部以外のスイッチング部が非導通状態である場合において、前記スイッチング回路に関する所定の物理量が所定の閾値より大きいとき、前記1つのスイッチング部が導通状態から非導通状態へ切り換えられ、かつ、前記複数のスイッチング部の他の1つのスイッチング部が非導通状態から導通状態へ切り換えられるよう、制御される。
[付記16]上記の制御方法において、
前記所定の物理量は、前記スイッチング回路に直列接続された電流検出抵抗器の両端間の電圧であるか、又は、前記スイッチング回路に流れる電流である。
[付記17]上記の制御方法において、前記スイッチング回路に未導通の即ち一度も導通されていないスイッチング部が存在しない場合、警報信号が出力される。
[付記18]並列接続された複数のスイッチング部であって、夫々が所定の入力電圧を所定の出力電圧へ変換する複数のスイッチング部を含むスイッチング回路を含む電源回路の制御プログラム。
該制御プログラムは、
前記複数のスイッチング部の1つのスイッチング部が導通状態でありかつ前記複数のスイッチング部の前記1つのスイッチング部以外のスイッチング部が非導通状態である場合において、
前記スイッチング回路に関する所定の物理量に基づいて前記スイッチング回路の状態を監視する処理、
前記所定の物理量と所定の閾値を比較する処理、
前記所定の物理量が前記所定の閾値より大きいとき前記1つのスイッチング部が劣化したと判断し、前記1つのスイッチング部を導通状態から非導通状態へ切り換え、かつ、前記複数のスイッチング部の他の1つのスイッチング部を非導通状態から導通状態へ切り換える処理、
をコンピュータに実行させる。
[付記19]上記の制御プログラムにおいて、
前記所定の物理量は、前記スイッチング回路に直列接続された電流検出抵抗器の両端間の電圧であるか、又は、前記スイッチング回路に流れる電流である。
[付記20]上記の制御プログラムにおいて、
該制御プログラムは、前記スイッチング回路に未導通の即ち一度も導通されていないスイッチング部が存在しない場合、警報信号を出力する処理
をコンピュータに実行させる。
【0059】
本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、とりわけ高信頼性が要求される、任意の電源回路、及び、当該電源回路を含む電子機器等の任意の装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 電子機器
2 電源回路
3 入力電源
4 負荷
5 スイッチング回路
5a メインスイッチング部
5b、5c バックアップスイッチング部
5a1 スイッチング手段
5a2 ロードスイッチ
6 検出回路
6a 電流検出器
6b A/Dコンバータ
7 制御回路
7a、7b、7c
制御信号
20 電源回路
50a メインスイッチング部
50b バックアップスイッチング部
60 検出回路
70 制御回路
100 ハードウェア資源
101 プロセッサ
102 メモリ
103 ネットワークインタフェイス
104 内部バス