(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100047
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】樹脂部品、樹脂部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 33/42 20060101AFI20240719BHJP
B60R 19/03 20060101ALI20240719BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B29C33/42
B60R19/03 C
B29C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003752
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉武 雅友
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】高木 将
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和仁
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AF01
4F202AF16
4F202AG26
4F202AG28
4F202AH24
4F202AR12
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK12
4F206AF01
4F206AF16
4F206AG26
4F206AG28
4F206AH24
4F206AR12
4F206JA07
4F206JL02
4F206JQ81
4F206JW41
4F206JW50
(57)【要約】
【課題】 被塗装面とは反対側の裏面に目印用のケガキ線を有する樹脂部品の外観品質向上とケガキ線の視認性向上との両立を図るのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 実施形態1にかかる樹脂部品101は、被塗装面2と反対側の裏面1に目印用のケガキ線11,12を有するものであり、ケガキ線11,12は、樹脂部品101の裏面1に断続的に設けられた複数の点状突起20によって構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗装面と反対側の裏面に目印用のケガキ線を有し、
上記ケガキ線は、上記裏面に断続的に設けられた複数の点状突起によって構成されている、樹脂部品。
【請求項2】
上記複数の点状突起はいずれもドーム形状を有する、請求項1に記載の樹脂部品。
【請求項3】
上記複数の点状突起の突出高さが70[μm]以上である、請求項1または2に記載の樹脂部品。
【請求項4】
複数の点状凹部が断続的に設けられた樹脂成形面を有する金型を準備するステップと、
樹脂部品の被塗装面と反対側の裏面に上記金型の上記樹脂成形面によって上記複数の点状凹部を転写して上記複数の点状凹部に対応した複数の点状突起からなる目印用のケガキ線を形成するステップと、
上記ケガキ線の形成後に上記樹脂部品の上記被塗装面に塗料による塗膜を形成するステップと、
を有する、樹脂部品の製造方法。
【請求項5】
上記金型の上記複数の点状凹部はいずれもディンプル形状である、請求項4に記載の、樹脂部品の製造方法。
【請求項6】
上記金型の上記複数の点状凹部の凹み深さが70[μm]以上である、請求項4または5に記載の、樹脂部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部品に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両のバンパのような樹脂部品の裏面に複数のケガキ目印を設けることが記載されている。このケガキ目印のように樹脂部品の裏面に一定高さの凸部を線状に延ばして形成されたものは、一般的に「ケガキ線」と称される。このケガキ線は、例えば、センサ類の取り付け位置や穴開け位置を示す目印として使用される。例えば、樹脂部品に対してセンサ類の取り付け作業や穴開け作業のような後加工を施すときに、樹脂部品の裏面に設けたケガキ線を利用する。この樹脂部品の裏面とは反対側の被塗装面に塗装処理が施された後に、後加工が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の樹脂部品において、裏面に設けるケガキ線の突出高さが高過ぎると、樹脂部品の被塗装面側から見たときにケガキ線が歪みとして目立ち易くなり意匠面の外観品質が低下するという問題が生じる。かといって、ケガキ線の突出高さが低過ぎると、塗装時に塗料ミストが樹脂部品の被塗装面側から裏面側に回り込んで付着した場合に、この影響でケガキ線自体を視認するのが難しくなる。この場合、ケガキ線本来の目的を全うできなくなり、後加工時の作業性が低下するという問題が生じる。したがって、樹脂部品のケガキ線の突出高さを調整する工数や外観品質低下を補うための工数を要する。そこで、この種の樹脂部品の設計においては、上記の問題を解決するための技術が求められている。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、被塗装面とは反対側の裏面にケガキ線を有する樹脂部品の外観品質向上とケガキ線の視認性向上との両立を図るのに有効な技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
被塗装面と反対側の裏面に目印用のケガキ線を有し、
上記ケガキ線は、上記裏面に断続的に設けられた複数の点状突起によって構成されている、樹脂部品、
にある。
【0007】
本発明の別態様は、
複数の点状凹部が断続的に設けられた樹脂成形面を有する金型を準備するステップと、
樹脂部品の被塗装面と反対側の裏面に上記金型の上記樹脂成形面によって上記複数の点状凹部を転写して上記複数の点状凹部に対応した複数の点状突起からなる目印用のケガキ線を形成するステップと、
上記ケガキ線の形成後に上記樹脂部品の上記被塗装面に塗料による塗膜を形成するステップと、
を有する、樹脂部品の製造方法、
にある。
【発明の効果】
【0008】
上述の各態様において、樹脂部品の表面が被塗装面とされ、この被塗装面に塗料による塗膜が形成される。この樹脂部品のうち被塗装面と反対側の裏面には、目印として使用されるケガキ線が設けられる。そして、ケガキ線は、裏面に断続的に設けられた複数の点状突起によって構成される。
【0009】
上記構成の樹脂部品では、その裏面に点状突起を形成したときの熱収縮の影響で被塗装面にヒケが形成される。このときのヒケは、裏面側の点状突起に対応して被塗装面に断続的に且つ概ね均一形状となるように形成された点状凹部(点状歪み)である。このため、樹脂部品の被塗装面には、点状凹部が概ね一様に繰り返し形成されてなる凹凸面が形成される。その後に樹脂部品の被塗装面が塗装されると、塗料による塗膜は被塗装面の凹凸面に倣うように形成される。したがって、被塗装面の凹凸面が塗膜表面の凹凸形状と同化して目立ちにくくなる。そして、被塗装面の凹凸面を目立たちにくくすることで、一定高さの凸部を線状に延ばして形成されたケガキ線の突出高さに比べて、点状突起の突出高さを増やすことができる。点状突起の突出高さを増やすことができれば、樹脂部品を裏面側から見たときに、点状突起の突出高さの増加分によってケガキ線の視認性を高めることができる。
【0010】
以上のごとく、上述の各態様によれば、被塗装面とは反対側の裏面に目印用のケガキ線を有する樹脂部品の外観品質向上とケガキ線の視認性向上との両立を図るのに有効な技術を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1の樹脂部品を裏面側から見た平面図。
【
図4】実施形態1の、樹脂部品の製造方法のフローチャート。
【
図8】実施形態2の樹脂部品について
図3に対応した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0013】
上述の態様の樹脂部品において、上記複数の点状突起はいずれもドーム形状を有するのが好ましい。この樹脂部品によれば、裏面にドーム形状の点状突起を設けることで、被塗装面に形成されるヒケの大きさを極力小さく抑えることができる。
【0014】
上述の態様の樹脂部品は、上記複数の点状突起の突出高さが70[μm]以上であるのが好ましい。この樹脂部品よれば、被塗装面の塗装時に裏面側に回り込んだ塗料ミストが裏面に付着した場合でも、ケガキ線の視認性が低下するのを抑制することができる。
【0015】
上述の態様の、樹脂部品の製造方法において、上記金型の上記複数の点状凹部はいずれもディンプル形状であるのが好ましい。この製造方法によれば、樹脂部品の裏面に、ケガキ線を構成する複数の点状突起としてドーム形状のものを設けることができる。樹脂部品の裏面にドーム形状の点状突起を設けることで、この樹脂部品の被塗装面に形成されるヒケの大きさを極力小さく抑えることができる。
【0016】
上述の態様の、樹脂部品の製造方法において、上記金型の上記複数の点状凹部の凹み深さが70[μm]以上であるのが好ましい。この製造方法によれば、金型の点状凹部の転写によって、樹脂部品の裏面に、突出高さが70[μm]以上の複数の点状突起がケガキ線を構成するように形成される。これにより、樹脂部品の被塗装面の塗装時に裏面側に回り込んだ塗料ミストが裏面に付着した場合でも、ケガキ線の視認性が低下するのを抑制することができる。
【0017】
以下、上述の態様の樹脂部品と、その製造方法の具体例について、図面を参照しつつ説明する。この図面では、特に断わらない限り、樹脂部品の横方向をX軸方向とし、その樹脂部品の縦方向をY軸方向とし、その樹脂部品の厚み方向をZ軸方向とする。
【0018】
(実施形態1)
図1に示される実施形態1の樹脂部品101は、樹脂材料からなる部品であり、プレート形状を有するものである。この樹脂部品101は、例えば、車体の前後に取り付けられて衝撃を吸収・緩和するバンパとして使用される。なお、以下では、便宜上、加工前の樹脂部品101のみならず、加工後の樹脂部品101も、単に「樹脂部品101」と記載して説明する。
【0019】
1.樹脂部品の構造
図1に示されるように、実施形態1の樹脂部品101は、その表面が被塗装面2とされる。被塗装面2は、樹脂部品101の両面のうち後述の塗装処理によって塗膜が形成される面である。樹脂部品101は、被塗装面2と反対側の裏面1に延びる目印用のケガキ線11,12を有する。
【0020】
2.ケガキ線の用途
一方のケガキ線11は、例えば、樹脂部品101に後加工によって取り付けられる取付け部品(例えば、センサー類)の取付け位置を示す目印として使用される。これに対して、他方のケガキ線12は、例えば、上記取付け部品のための貫通穴を後加工するときの穴明け位置を示す目印として使用される。これらのケガキ線11,12はいずれも、樹脂部品101の裏面1に断続的に設けられた複数の点状突起20によって構成されている。本形態では、複数の点状突起20の全てが同一形状になっている。一方で、複数の点状突起20の中に異なる形状のものが含まれていても良い。
【0021】
ケガキ線11,12の用途は特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜の用途を選択し得る。ケガキ線11,12は、上述のように樹脂部品101の後加工のための後加工用の目印として使用できることは勿論、樹脂部品101を識別するための識別用の目印としても使用できる。識別用の目印として使用する場合には、ケガキ線11,12自体で識別用の文字、数字、記号などを描くようにするのが好ましい。
【0022】
3.ケガキ線の構造
図2には、ケガキ線11の平面構造を拡大して示している。本形態では、樹脂部品101に裏面1に2本のケガキ線11が互いに近接して平行に延びるように設けられている。このケガキ線11の数は特に限定されるものではない。例えば、1本のケガキ線11のみを設けたり、互いに近接して平行に延びる3本以上の複数のケガキ線11を設けたりしても良い。また、ケガキ線11を構成する点状突起20の数も特に限定されるものではない。隣接する2つの点状突起20の間隔は特に限定されるものではないが、ケガキ線11の視認性を向上させるために、当該間隔を一定とするのが好ましい。
【0023】
なお、ケガキ線12は、その全体的な線形状がケガキ線11と異なるものの、その構造はケガキ線11のものと実質的に同様である。したがって、以下では、ケガキ線11についてのみ説明し、ケガキ線12についての説明を省略する。
【0024】
図2及び
図3に示されるように、複数の点状突起20はいずれもドーム形状を有する。ここでいう「ドーム形状」とは、頂部が局所的にもり上がった略半球状の凸形状をいう。即ち、点状突起20は、Z軸方向からみたときの形状が略円形(
図2を参照)であり、且つ、X軸方向及びY軸方向からみたときの形状が略半円形(
図3を参照)である。点状突起20は、X軸方向の寸法とY軸方向の寸法が概ね一致するように構成されている。
【0025】
図3に示される複数の点状突起20は、樹脂部品101の成形時にその裏面1に突出高さd1で形成される。このとき、樹脂部品101の被塗装面2には、裏面1に点状突起20を形成したときの熱収縮の影響で点状突起20とは反対側の位置にヒケ2aが形成される。その後、樹脂部品101の被塗装面2には、後述の塗装処理によって塗膜3が形成される。
【0026】
4.樹脂部品の製造方法
次に、
図4~
図6を参照しつつ樹脂部品101の製造方法について説明する。
【0027】
本形態の樹脂部品101は、
図4のフローチャートのステップS1からステップS4までを順次実行することによって製造される。必要に応じて、いずれかのステップを分割しても良いし、或いは別のステップを追加しても良い。
【0028】
図4中のステップS1は、樹脂成形用の金型30(
図5を参照)を準備するステップである。
図5に示されるように、金型30は、凹み深さd2の複数の点状凹部32が断続的に設けられた樹脂成形面31を有するものである。複数の点状凹部32はいずれもディンプル形状を有する。ここでいう「ディンプル形状」とは、略半球状の凹形状をいう。
【0029】
図4中のステップS2は、樹脂部品101の裏面1にケガキ線11を形成するステップである。このステップS2は、既知の射出成形を使用したものであり、詳細については特に図示しないものの、樹脂を加熱して溶融させ、金型30内に注入して、冷却固化させる。
図5に示されるように、この射出成形時に金型30の樹脂成形面31によって裏面1に複数の点状凹部32を転写する。これにより、樹脂部品101の裏面1には、複数の点状凹部32に対応した複数の点状突起20からなるケガキ線11が形成される。本形態では、点状凹部32がディンプル形状であるため、点状突起20がドーム形状になる。このとき、点状突起20の突出高さd1は、点状凹部32の凹み深さd2と概ね一致する。
【0030】
また、このステップS2では、樹脂部品101の被塗装面2にヒケ2aが形成される。このときのヒケ2aは、樹脂部品101の裏面1側の点状突起20に対応して被塗装面2に断続的に且つ概ね均一形状となるように形成された点状凹部(点状歪み)である。このため、樹脂部品101の被塗装面2には、ヒケ2aにより凹凸が概ね一様に繰り返し形成されてなる一定パターンの凹凸面が形成される。樹脂部品101の裏面1にドーム形状の点状突起20を設けることで、この樹脂部品101の被塗装面2に形成されるヒケ2aの大きさを極力小さく抑えることができる。
【0031】
図4中のステップS3は、ステップS2でケガキ線11を形成した形成後に、樹脂部品101の被塗装面2に塗装処理を施すステップである。
図6に示されるように、このステップS3では、塗装機40から樹脂部品101の被塗装面2に向けて塗料Pが噴射される。これにより、樹脂部品101の被塗装面2に塗料Pによる塗膜3が形成される。
【0032】
このステップS3では、塗装処理時に塗料ミストが樹脂部品101の被塗装面2側から裏面1側に回り込んで付着することが想定される。このとき、樹脂部品101の裏面1に塗料ミストが付着したことによる影響でケガキ線11自体を視認するのが難しく成り得る。そこで、点状凹部32の凹み深さd2を70[μm]以上とし、これにより形成される点状突起20の突出高さd1を70[μm]以上とするのが好ましい。その結果、樹脂部品101の裏面1に塗料Pが付着しても、ケガキ線11の視認性が低下するのを抑制できる。
【0033】
図4中のステップS4は、ステップS3で塗装処理が施された後の樹脂部品101の外観品質をチェックするステップである。このステップS4によれば、樹脂部品101を塗膜3側からみたときにヒケ2aが目立たないか否か、および、樹脂部品101の裏面1に設けられたケガキ線11の視認性が良いか否か、などが適宜にチェックされる。
【0034】
5.作用効果
次に、上述の実施形態1の作用効果について
図3及び
図7を参照しながら説明する。
図7には、実施形態1との比較例が示されている。
【0035】
図7に示される比較例では、樹脂部品101Aの裏面1に設けられたケガキ線11Aは、一定高さ(突出高さd3)の凸部20AをX軸方向に線状に延ばして形成されたものである。凸部20Aは、X軸方向の長手寸法がY軸方向の幅寸法を大幅に上回るように構成されている。この場合、樹脂部品101Aの被塗装面2には、ケガキ線11Aに対応した一定深さのヒケ2aがX軸方向に線状に延びるように形成される。即ち、比較例では、一定高さの凸部20Aによってケガキ線11Aを構成しているため、ヒケ2aが線状凹部(線状歪み)となる。このため、被塗装面2に塗膜3が形成された樹脂部品101Aを塗膜3側からみたとき、ヒケ2aによる凹凸面は塗膜表面の凹凸形状とは同化しにくく目立ち易い。そこで、この問題を解消するために、凸部20Aの突出高さd3を低くすると、今度はケガキ線11A自体の視認性低下の要因に成り得る。
【0036】
これに対して、
図3に示される実施形態1では、樹脂部品101の裏面1に断続的に設けた複数の点状突起20によってケガキ線11,12を構成しており、樹脂部品101の被塗装面2に形成されるヒケ2aが線状凹部(線状歪み)となる。このため、樹脂部品101の被塗装面2には、点状凹部が概ね一様に繰り返し形成されてなる凹凸面が形成される。その後に樹脂部品101の被塗装面2が塗装されると、塗料Pによる塗膜3は被塗装面2の凹凸面に倣うように形成される。したがって、被塗装面2に塗膜3が形成された樹脂部品101を塗膜3側からみたとき、被塗装面2の凹凸面が塗膜表面の凹凸形状と同化して目立ちにくくなる。そして、被塗装面2の凹凸面を目立たちにくくすることで、点状突起20の突出高さd1を比較例の凸部20Aの突出高さd3よりも高く設定することが可能になる。点状突起20の突出高さd1を増やすことができれば、樹脂部品101を裏面1側から見たときに、複数の点状突起20の突出高さd1の増加分によってケガキ線11,12の視認性を高めることができる。ケガキ線11,12の視認性が高くなれば、樹脂部品101に対する後加工時の作業性が向上する。
【0037】
従って、上述の実施形態1によれば、樹脂部品101の外観品質向上とケガキ線11,12の視認性向上との両立を図るのに有効な技術を提供することが可能になる。
【0038】
実施形態1によれば、樹脂部品101のケガキ線11,12の突出高さを調整する工数や外観品質低下を補うための工数を削減できる。
【0039】
次に、上述の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、上述の実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0040】
(実施形態2)
図8に示されるように、実施形態2の樹脂部品102は、点状突起20の形状が実施形態1の樹脂部品101のものと相違している。樹脂部品102の点状突起20は、Z軸方向からみたときの形状が略円形であり、且つ、X軸方向及びY軸方向からみたときの形状が略矩形である。その他の構成及び製造方法は、実施形態1と同様である。
【0041】
実施形態2によれば、実施形態1の場合と同様に、樹脂部品102の外観品質向上とケガキ線11,12の視認性向上との両立を図るのに有効な技術を提供することが可能になる。その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0042】
本発明は、上述の典型的な形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上述の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0043】
上述の形態では、点状突起20をZ軸方向からみたときの形状が略円形である場合について例示したが、必要に応じて、当該形状を楕円形、三角形、四角形、多角形などに変更しても良い。その場合、点状突起20の形状変更に応じて金型30側の点状凹部32の形状を変更する。
【0044】
上述の形態では、点状突起20の突出高さd1を70[μm]以上とする場合について例示したが、ケガキ線11,12の所望の視認性を確保できることを条件に突出高さd1が70[μm]を下回るようにしても良い。
【0045】
上述の形態では、樹脂部品101,102が車両のバンパである場合について例示したが、樹脂部品101,102は、車両部品のうちバンパ以外の樹脂部品であっても良いし、或いは、車両以外の分野で使用される樹脂部品であっても良い。
【符号の説明】
【0046】
1…裏面、 2…被塗装面、 3…塗膜、 11,12…ケガキ線、 20…点状突起、 30…金型、 31…樹脂成形面、 32…点状凹部、 101,102…樹脂部品、 d1…突出高さ、 d2…凹み深さ、 P…塗料、 S1~S4…樹脂部品の製造方法