(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100050
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】メガネフレーム
(51)【国際特許分類】
G02C 5/16 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
G02C5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003756
(22)【出願日】2023-01-13
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】591167452
【氏名又は名称】株式会社サンリーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金谷 秀幸
(57)【要約】
【課題】テンプルに機械加工を施すことなしに可撓性を向上させ、掛け心地のよいメガネフレームを提供する。
【解決手段】テンプル4の丁番構造部3側に形成した可撓部5において、外パーツ列7の外パーツ9の尖頭側端部9aと、内パーツ列6の内パーツ8の尖頭側端部8aとを連結し、内パーツ列6の内パーツ8の開き側端部8bと、外パーツ列7のパーツ並び順で前記外パーツ9の次順に位置する外パーツ9の開き側端部9aとを連結した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンプルが、該テンプルのフロント側の部分に、テンプル長さ方向に対して直交する方向に弾性変形可能な可撓部を有して、
前記可撓部は、
複数のく字型の内パーツを、テンプルのメガネ内方側に沿って入れ子状に配列した内パーツ列と、
複数のく字型の外パーツを、テンプルのメガネ外方側に沿って入れ子状に配列した外パーツ列と
を備えていて、
前記外パーツ列の外パーツの尖頭側端部と、内パーツ列の内パーツの尖頭側端部とが連結し、
前記内パーツ列の内パーツの開き側端部と、外パーツ列のパーツ並び順で前記外パーツの次順に位置する外パーツの開き側端部とが連結されていることを特徴とするメガネフレーム。
【請求項2】
尖頭側端部同士で連結された外パーツと内パーツとのそれぞれは、連結されている尖頭側端部の位置を基端とした撓み変形をする請求項1に記載のメガネフレーム。
【請求項3】
可撓部全体は合成樹脂材で一体に成形されているものである請求項1に記載のメガネフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメガネフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からメガネフレームは、フロントとテンプルとから構成されていて、着用者の顔幅には個人差があることから、一般的にはテンプルは撓んだ状態で着用されることが多い。
【0003】
そして、着用時に顔側面に強く当たることのないようにテンプルの内側面側にクッション部を3Dプリンタを用いて成形した工夫が特許文献1に示されている。
【0004】
また、ガラス転移温度が30℃から50℃の熱可塑性樹脂材を用いて3Dプリンタでメガネフレームを造形し、使用に際して30℃から50℃に加温して一部を軟化させ、着用者の顔の形状に合わせて変形させるようにした工夫が、特許文献2に示されている。
【0005】
また、テンプルのフロント側の部分をコイルスプリングで構成して、着用時にそのフロント側の部分でテンプルが撓み易くする工夫が特許文献3に示されている。
【0006】
さらに、テンプルのフロント側の部分に複数の切り欠き溝を設け、切り欠き方向を交互に変えて、バネ性を向上させる工夫が特許文献4に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第7039538号公報
【特許文献2】実用新案登録第3214406号公報
【特許文献3】特開平02-214508号公報
【特許文献4】特開2003-315744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した合成樹脂材を成形材料に用いて3Dプリンタでクッション部をテンプルに形成した特許文献1で示された工夫では、テンプルの可撓性を向上させることまではできない。また、特許文献2で示された工夫は、着用者の頭の形に合ったメガネフレームを作成するものであり、テンプル自体に可撓性を付与する技術は示されていない。
【0009】
特許文献3に示される工夫では、テンプルの太さに見合ったコイルスプリングを製造する必要があり、製造コストを引き上げる不具合があり、特許文献4に示される工夫でも、切り欠き溝を成形する加工に手間を要し、同様に製造コストを引き上げる不具合がある。
【0010】
そこで本発明は上記事情に鑑み、テンプルに機械加工を施すことなしに可撓性を向上させることを課題とし、掛け心地のよいメガネフレームを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、テンプルが、該テンプルのフロント側の部分に、テンプル長さ方向に対して直交する方向に弾性変形可能な可撓部を有して、
前記可撓部は、
複数のく字型の内パーツを、テンプルのメガネ内方側に沿って入れ子状に配列した内パーツ列と、
複数のく字型の外パーツを、テンプルのメガネ外方側に沿って入れ子状に配列した外パーツ列と
を備えていて、
前記外パーツ列の外パーツの尖頭側端部と、内パーツ列の内パーツの尖頭側端部とが連結し、
前記内パーツ列の内パーツの開き側端部と、外パーツ列のパーツ並び順で前記外パーツの次順に位置する外パーツの開き側端部とが連結されていることを特徴とするメガネフレームを提供して、上記課題を解消するものである。
【0012】
そして、本発明は、尖頭側端部同士で連結された外パーツと内パーツとのそれぞれは、連結されている尖頭側端部の位置を基端とした撓み変形をすることが良好である。
【0013】
さらに、本発明は、可撓部全体は合成樹脂材で一体に成形されているものであることが良好である。
【発明の効果】
【0014】
(請求項1の部分の効果)
本発明によれば、内パーツ列の内パーツがく字型の形状とされているとともに、外パーツ列の外パーツもく字型の形状とされていて、外パーツ列の外パーツの尖頭側端部と、内パーツ列の内パーツの尖頭側端部とが連結し、前記内パーツ列の内パーツの開き側端部と、外パーツ列のパーツ並び順で前記外パーツの次順に位置する外パーツの開き端部とが連結されている。
【0015】
このように内パーツと外パーツとの相互の連結に関しては、一つの外パーツは内側にある内パーツに繋がり、その内パーツは前記一つの外パーツの並び順で次順の外パーツに繋がるというように、内パーツと外パーツとを交互に連結している。
【0016】
そして、内パーツ列の複数の内パーツは入れ子状に配列され、同様に外パーツ列の複数の外パーツも入れ子状に配列されているので、可撓部に曲げなどの外力が加えられた場合、外力として加わった力が、複数の内パーツと外パーツとに分散するようになる。
【0017】
さらに分散された力によって、連結されている同士の内パーツと外パーツとの間が開いたり狭くなったりする。
【0018】
そのため、メガネフレームの着用に際し、テンプルを曲げたり捻ったりするときの外力が可撓部に加わることで、この可撓部が撓んで、テンプルの掛け心地を良好にする。
【0019】
また、本発明によれば、尖頭側端部同士で連結された外パーツと内パーツとのそれぞれは、連結されている尖頭側端部の位置を基端とした撓み変形をする。
【0020】
このように多くの内パーツと外パーツとがそれぞれ単独で、連結されている尖頭側端部の位置を基端とした撓み変形をするので、個々の内パーツと外パーツとが小さく撓み変形し、個々の内パーツと外パーツとのそれぞれに大きな抗力を生じさせずに、可撓部全体として自由度の高い撓み状態が生じるようになる。
【0021】
また、本発明によれば、可撓部全体は合成樹脂材で一体に成形されているので、3Dプリンタを用いて製造することができる。
そして、合成樹脂材を用いる3Dプリンタでは成形物の形状の自由度が高いため、可撓部についてデザイン性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のメガネフレームの一例をフロント側の上方から見た状態で示す説明図である。
【
図2】テンプルの可撓部をテンプル内方側から見た状態で示す説明図である。
【
図3】テンプルの可撓部をテンプル外方側から見た状態で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
つぎに本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1はメガネフレームで、該メガネフレーム1は、フロント2と、このフロント2の左右端の智の部分に丁番構造部3を介して連結してフロント2の背部側に折り倒しできるように設けられているテンプル4とを備えているものである。
【0024】
(フロント、テンプル)
フロント2は合成樹脂材から成形されている。また、同様にテンプル4も合成樹脂材を成形材料にして成形されている。
【0025】
(可撓部)
テンプル4はフロント2側の部分に可撓部5を有していて、テンプル4をメガネ側方へ開くように曲げたり、ねじったりする外力を加えたときにこの可撓部5が撓むように設けられている。
【0026】
この可撓部5は、テンプル4の長さ方向に対して直交する方向に弾性変形可能とされており、この可撓部5が撓むことで、テンプル4がメガネ左右方向や上下方向へ曲げたりねじったりすることが可能とされている。
【0027】
図2に示されているように、可撓部5は、テンプル4のメガネ内方側に沿って位置する内パーツ列6とテンプル4のメガネ外方側に沿って位置する外パーツ列7を備えている。
内パーツ列6と外パーツ列7とは以下に説明にするように連結された構造であって一体となっているものであり、内パーツ列6と外パーツ列7とが分離している構造ではない。
【0028】
(内パーツ列)
内パーツ列6は、
図2に示すように複数のく字型の形状となっている内パーツ8が、テンプル4のメガネ内方側に沿って並んでいる。
【0029】
パーツ並び順で前位置(例えば、この実施の形態で丁番構造部3側)の内パーツ8が開いた部分に、その内パーツ8に対してパーツ並び順で次順となる内パーツ8の尖頭側端部8aが位置するように入れ子状に配列されている。
【0030】
そして、並び順で隣り合う内パーツ8同士が非接触の配置となるように成形されており、尖頭側端部8aの部分も前位置の内パーツ8には非接触となる。
【0031】
(外パーツ列)
外パーツ列7も、
図3に示すように複数のく字型の形状となっている外パーツ9が、テンプル4のメガネ内方側に沿って並んでいる。
【0032】
内パーツ列6の場合と同様に、外パーツ列7では、パーツ並び順で前位置の外パーツ9が開いた部分に、その外パーツ9に対して次順となる外パーツ9の尖頭側端部9aが位置するように入れ子状に配列されている。
【0033】
さらに、並び順で隣り合う内パーツ9同士が非接触の配置となるように成形されており、尖頭側端部9aの部分も前位置の内パーツ9には非接触となる。
【0034】
(内外パーツ列の連結)
内パーツ列6と外パーツ列7とは連結されていて、
図2と
図3に示すように、外パーツ列7の外パーツ9の尖頭側端部9aと、テンプル4の厚さ方向で前記外パーツ9に重なる位置であって、内パーツ列6の内パーツ8の尖頭側端部8aとが尖頭側連結部10を介して一体に連結されている。
【0035】
また、前記内パーツ列6の内パーツ8の開き側端部8bと、外パーツ列7のパーツ並び順で前記外パーツ9の次順に位置する外パーツ9の開き側端部9bとが連結されている。
内パーツ8それぞれにおいて開き側端部8bは二か所あり、外パーツ8それぞれにおいて開き側端部9bは二か所あり、内パーツ8の開き側端部8bと外パーツ9の開き側端部9bとは、可撓部5の上辺と下辺とにある開き側連結部11を介して一体に連結されている。
【0036】
可撓部5は合成樹脂材を成形材料にして3Dプリンタによって成形されている。そして、この可撓部5の部分を前記3Dプリンタによって成形し、テンプル4の前記可撓部5から後方の部分を別成形し、別成形部分を可撓部5と組み合わせてテンプル4を作成してからフロント2に連結する。勿論、テンプル4における可撓部5から後方の部分も3Dプリンタにて製造することは可能である。
【0037】
可撓部5が合成樹脂材から成形されており、尖頭側連結部10で連結された外パーツ9と内パーツ8とのそれぞれは、連結されている尖頭側端部の位置、即ち前記尖頭側連結部10部分を基端とした撓み変形をすることか可能である。
【0038】
例えば、外パーツ列7の外パーツ9と内パーツ列6の内パーツ8とが、可撓部5の厚さ方向に重なる位置関係にあって、尖頭側連結部10で連結されており、可撓部5に曲げやねじれなどの外力が加わったときに、この尖頭側連結部10で連結されている同士の外パーツ9と内パーツ8の間が開いたり狭くなったりして、可撓部5が撓み変形する。
【0039】
なお、外パーツ9と内パーツ8との変化は、尖頭側連結部10の部分を基端として外パーツ9と内パーツ8が撓んで、この外パーツ9と内パーツ8の間が開いたり狭くなったりするほか、尖頭側連結部10の部分を基端として外パーツ9と内パーツ8とが可撓部5の高さ方向にして互いに異なる方向で回転する変形をするように設けられている。
【0040】
また、外パーツ9と内パーツ8とのそれぞれのく字型形状が拡縮する開き度合いの変化も生じるように設けられている。
【0041】
図示の実施の形態において、可撓部5の最前位置にあるパーツは内パーツ8であって、この最前位置の内パーツ8の先端には、丁番構造部3のテンプル側の連結環12が一体に成形されている。また、可撓部5の最後位置にあるパーツも内パーツ8であり、テンプル4における可撓部5から後方の部材が、この最後位置の内パーツ8に連続する。
【0042】
なお、
図2と
図3においては、可撓部5の構成を分かり易くするために、フロント2は図示していない。
【符号の説明】
【0043】
1…メガネフレーム
3…丁番構造部
4…テンプル
5…可撓部
6…内パーツ列
7…外パーツ列
8…内パーツ
8a…尖頭側端部
8b…開き側端部
9…外パーツ
9a…尖頭側端部
9b…開き側端部
10…尖頭側連結部
11…開き側連結部