(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100051
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】遺失物管理装置、遺失物管理方法、遺失物管理プログラム及び端末装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240719BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003757
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下原 一馬
(72)【発明者】
【氏名】西室 綾乃
(72)【発明者】
【氏名】上田 貴大
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC43
5L050CC43
(57)【要約】
【課題】外観が類似する遺失物が多数存在する場合においても、遺失物の検索を行い易くする。
【解決手段】列車内で拾得された遺失物に係る情報である遺失物画像データD2及び遺失物特徴情報D3を取得する第1取得手段(通信部13)と、遺失物を拾得し、又は遺失物を拾得した者から受領した列車乗務員の勤務状況に係る情報である乗務員勤務情報D1を取得する第2取得手段(通信部13)と、遺失物画像データD2及び遺失物特徴情報D3と乗務員勤務情報D1とを紐付けて記憶部12に記憶させる記憶制御手段(制御部11)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車内で拾得された遺失物に係る情報である遺失物情報を取得する第1取得手段と、
前記遺失物を拾得し、又は前記遺失物を拾得した者から受領した列車の乗務員の勤務状況に係る情報である乗務員勤務情報を取得する第2取得手段と、
前記遺失物情報と前期乗務員勤務情報とを紐付けて第1記憶手段に記憶させる第1記憶制御手段と、
を備えることを特徴とする遺失物管理装置。
【請求項2】
前記遺失物情報と前期乗務員勤務情報とが紐付けられた情報毎に登録番号を付与する登録番号付与手段と、
前記登録番号付与手段が付与した登録番号に関する情報である登録番号情報を、前記遺失物情報及び前記乗務員勤務情報と紐付けて前記第1記憶手段に記憶させる第2記憶制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の遺失物管理装置。
【請求項3】
列車の利用者が捜索する遺失物に係る情報である捜索遺失物情報を取得する第3取得手段と、
前記捜索遺失物情報に基づいて前記第1記憶手段を検索する検索手段と、
を備え、
前記捜索遺失物情報は、前記利用者が利用した列車に係る情報である利用列車情報を含み、
前記検索手段は、前記利用列車情報と合致する前記乗務員勤務情報と紐付けて記憶された前記遺失物情報を抽出することを特徴とする請求項1に記載の遺失物管理装置。
【請求項4】
前記遺失物の保管場所に係る情報である遺失物保管場所情報を取得する第4取得手段と、
前記遺失物保管場所情報を、前記遺失物情報及び前記乗務員勤務情報と紐付けて前記第1記憶手段に記憶させる第3記憶制御手段と、
前記遺失物の保管場所が変わった場合に、保管場所の変更に係る情報である保管場所変更情報を取得する第5取得手段と、
前記第5取得手段が取得した前記保管場所変更情報に基づいて、前記第1記憶手段に記憶された前記遺失物保管場所情報を更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の遺失物管理装置。
【請求項5】
前記乗務員勤務情報は前記乗務員が乗務する列車の列車番号に係る情報である乗務列車番号情報を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の遺失物管理装置。
【請求項6】
前記乗務員を特定できる情報である乗務員特定情報を取得する第6取得手段を備え、
前記第2取得手段は、前記乗務員特定情報と前期乗務列車番号情報とが紐付けて記憶された第2記憶手段から、前記第6取得手段が取得した前記乗務員特定情報と紐付けて記憶された前記乗務列車番号情報を抽出することによって、前記乗務列車番号情報を取得することを特徴とする請求項5に記載の遺失物管理装置。
【請求項7】
前記第1取得手段は、前記遺失物情報を前記乗務員が所持する端末装置から当該端末装置の位置情報である端末装置位置情報と共に取得し、
前記第2取得手段は、各列車の列車番号と、各列車の位置情報とが紐付けて記憶された第3記憶手段から、前記端末装置位置情報と最も近い位置情報と紐付けて記憶された列車番号を抽出することによって、前記乗務列車番号情報を取得することを特徴とする請求項5に記載の遺失物管理装置。
【請求項8】
前記第1取得手段は、前記遺失物情報を前記乗務員が所持する端末装置から取得し、
前記遺失物を届けるべき駅に係る情報を送信手段によって前記端末装置へと送信させる送信制御手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の遺失物管理装置。
【請求項9】
列車内で拾得された遺失物に係る情報である遺失物情報を取得する第1取得ステップと、
前記遺失物を拾得し、又は前記遺失物を拾得した者から受領した列車の乗務員の勤務状況に係る情報である乗務員勤務情報を取得する第2取得ステップと、
前記遺失物情報と前期乗務員勤務情報とを紐付けて記憶手段に記憶させる記憶制御ステップと、
を含むことを特徴とする遺失物管理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
列車内で拾得された遺失物に係る情報である遺失物情報を取得する第1取得手段、
前記遺失物を拾得し、又は前記遺失物を拾得した者から受領した列車の乗務員の勤務状況に係る情報である乗務員勤務情報を取得する第2取得手段、
前記遺失物情報と前期乗務員勤務情報とを紐付けて記憶手段に記憶させる記憶制御手段、
として機能させることを特徴とする遺失物管理プログラム。
【請求項11】
列車内で拾得された遺失物に係る情報である遺失物情報を取得する第1取得手段と、
前記遺失物を拾得し、又は前記遺失物を拾得した者から受領した列車の乗務員の勤務状況に係る情報である乗務員勤務情報を取得する第2取得手段と、
前記遺失物情報と前期乗務員勤務情報とを紐付けて、所定のサーバ装置へと送信手段によって送信させる送信制御手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項12】
列車の乗務員が使用する端末装置に係るコンピュータを、
列車内で拾得された遺失物に係る情報である遺失物情報を取得する第1取得手段、
前記乗務員の勤務状況に係る情報である乗務員勤務情報を取得する第2取得手段、
前記遺失物情報と前期乗務員勤務情報とを紐付けて、所定のサーバ装置へと送信手段によって送信させる送信制御手段、
として機能させることを特徴とする遺失物管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺失物管理装置、遺失物管理方法、遺失物管理プログラム及び端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
列車の車内では乗客の遺失物が頻繁に拾得されるが、持ち主から問い合わせがあった際に、多数の遺失物の中から当該持ち主が遺失したものを選び出して円滑に返還するためには、拾得された遺失物の管理を適切に行うことが重要となる。
【0003】
そこで、拾得された遺失物について、画像によってその特徴情報をデータベースに登録の上、検索可能としたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検索対象としている遺失物が、外観が類似する物品が少ない物品である場合には、特許文献1に記載のシステムのように画像等によって遺失物の特徴情報を登録する場合においても、検索対象としている遺失物に係る情報をデータベースから抽出することにそれほどの困難性はない。
しかしながら、列車内においては、例えば、スマートフォン、イヤホン/ヘッドホン、傘等、外観が類似する遺失物が多数拾得される場合が多いことから、データベースに画像等によって遺失物の特徴情報が登録されていても、当該情報から検索対象としている遺失物を特定することは困難であった。
【0006】
本発明の課題は、外観が類似する遺失物が多数存在する場合においても、遺失物の検索を行い易くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、遺失物管理装置において、
列車内で拾得された遺失物に係る情報である遺失物情報を取得する第1取得手段と、
前記遺失物を拾得し、又は前記遺失物を拾得した者から受領した列車の乗務員の勤務状況に係る情報である乗務員勤務情報を取得する第2取得手段と、
前記遺失物情報と前期乗務員勤務情報とを紐付けて第1記憶手段に記憶させる第1記憶制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遺失物管理装置において、
前記遺失物情報と前期乗務員勤務情報とが紐付けられた情報毎に登録番号を付与する登録番号付与手段と、
前記登録番号付与手段が付与した登録番号に関する情報である登録番号情報を、前記遺失物情報及び前記乗務員勤務情報と紐付けて前記第1記憶手段に記憶させる第2記憶制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の遺失物管理装置において、
列車の利用者が捜索する遺失物に係る情報である捜索遺失物情報を取得する第3取得手段と、
前記捜索遺失物情報に基づいて前記第1記憶手段を検索する検索手段と、
を備え、
前記捜索遺失物情報は、前記利用者が利用した列車に係る情報である利用列車情報を含み、
前記検索手段は、前記利用列車情報と合致する前記乗務員勤務情報と紐付けて記憶された前記遺失物情報を抽出することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の遺失物管理装置において、
前記遺失物の保管場所に係る情報である遺失物保管場所情報を取得する第4取得手段と、
前記遺失物保管場所情報を、前記遺失物情報及び前記乗務員勤務情報と紐付けて前記第1記憶手段に記憶させる第3記憶制御手段と、
前記遺失物の保管場所が変わった場合に、保管場所の変更に係る情報である保管場所変更情報を取得する第5取得手段と、
前記第5取得手段が取得した前記保管場所変更情報に基づいて、前記第1記憶手段に記憶された前記遺失物保管場所情報を更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の遺失物管理装置において、
前記乗務員勤務情報は前記乗務員が乗務する列車の列車番号に係る情報である乗務列車番号情報を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の遺失物管理装置において、
前記乗務員を特定できる情報である乗務員特定情報を取得する第6取得手段を備え、
前記第2取得手段は、前記乗務員特定情報と前期乗務列車番号情報とが紐付けて記憶された第2記憶手段から、前記第6取得手段が取得した前記乗務員特定情報と紐付けて記憶された前記乗務列車番号情報を抽出することによって、前記乗務列車番号情報を取得することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の遺失物管理装置において、
前記第1取得手段は、前記遺失物情報を前記乗務員が所持する端末装置から当該端末装置の位置情報である端末装置位置情報と共に取得し、
前記第2取得手段は、各列車の列車番号と、各列車の位置情報とが紐付けて記憶された第3記憶手段から、前記端末装置位置情報と最も近い位置情報と紐付けて記憶された列車番号を抽出することによって、前記乗務列車番号情報を取得することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の遺失物管理装置において、
前記第1取得手段は、前記遺失物情報を前記乗務員が所持する端末装置から取得し、
前記遺失物を届けるべき駅に係る情報を送信手段によって前記端末装置へと送信させる送信制御手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、遺失物管理方法において、
列車内で拾得された遺失物に係る情報である遺失物情報を取得する第1取得ステップと、
前記遺失物を拾得し、又は前記遺失物を拾得した者から受領した列車の乗務員の勤務状況に係る情報である乗務員勤務情報を取得する第2取得ステップと、
前記遺失物情報と前期乗務員勤務情報とを紐付けて記憶手段に記憶させる記憶制御ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、遺失物管理プログラムにおいて、
コンピュータを、
列車内で拾得された遺失物に係る情報である遺失物情報を取得する第1取得手段、
前記遺失物を拾得し、又は前記遺失物を拾得した者から受領した列車の乗務員の勤務状況に係る情報である乗務員勤務情報を取得する第2取得手段、
前記遺失物情報と前期乗務員勤務情報とを紐付けて記憶手段に記憶させる記憶制御手段、
として機能させることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、端末装置において、
列車内で拾得された遺失物に係る情報である遺失物情報を取得する第1取得手段と、
前記遺失物を拾得し、又は前記遺失物を拾得した者から受領した列車の乗務員の勤務状況に係る情報である乗務員勤務情報を取得する第2取得手段と、
前記遺失物情報と前期乗務員勤務情報とを紐付けて、所定のサーバ装置へと送信手段によって送信させる送信制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、遺失物管理プログラムにおいて、
列車の乗務員が使用する端末装置に係るコンピュータを、
列車内で拾得された遺失物に係る情報である遺失物情報を取得する第1取得手段、
前記乗務員の勤務状況に係る情報である乗務員勤務情報を取得する第2取得手段、
前記遺失物情報と前期乗務員勤務情報とを紐付けて、所定のサーバ装置へと送信手段によって送信させる送信制御手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外観が類似する遺失物が多数存在する場合においても、遺失物の検索を行い易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係る遺失物管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る遺失物管理システムの遺失物情報の登録時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図3】実施形態に係る遺失物管理システムの遺失物情報の閲覧時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る遺失物管理システムの遺失物閲覧画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、
図1から
図4に基づいて、本発明の実施形態である遺失物管理システム100について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0022】
[第1 構成の説明]
遺失物管理システム100は、列車内で拾得された遺失物に関する情報を登録すると共に検索可能とするためのシステムであり、
図1に示すように、管理サーバ1と、乗務員端末2と、駅員端末3と、を備えて構成され、管理サーバ1と乗務員端末2との間及び管理サーバ1と駅員端末3との間は、通信ネットワークNを介して接続されている。
【0023】
[1 管理サーバ]
管理サーバ1は、例えば、遺失物管理システム100を管理・運営する鉄道事業者が保有するコンピュータであり、後述のように遺失物に係る情報の記憶及び記憶された遺失物に係る情報の検索に係る処理等を行う。
管理サーバ1は、
図1に示すように、例えば、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備えて構成されている。
【0024】
なお、管理サーバ1は、必ずしも単一のコンピュータによって実現されることを要せず、例えば、複数台のコンピュータが通信ネットワークNを介して接続されることで、複数台のコンピュータにより、管理サーバ1としての機能が実現されていてもよい。この場合、このような複数のコンピュータが接続されたものが、管理サーバ1に該当することとなる。
【0025】
制御部11は、管理サーバ1の動作を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、記憶部12に記憶されたプログラムデータ等とCPUとの協働により、管理サーバ1の各部を統括制御する。
【0026】
記憶部12は、管理サーバ1の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、プログラムデータ等の管理サーバ1の動作に必要となるデータを、制御部11から読み書き可能に記憶する。
【0027】
記憶部12は、管理サーバ用プログラム121と、登録情報データベース122と、を備える。
【0028】
管理サーバ用プログラム121は、管理サーバ1を動作させるための制御部11への各種命令を含むプログラムであり、後述の動作の説明において述べる管理サーバ1の動作は、管理サーバ用プログラム121に従ってなされることとなる。
登録情報データベース122は、後述のように、遺失物管理システム100の動作中に取得された情報が記憶される部分である。なお、記憶される各情報の詳細は、後述の動作の説明の中で説明する。
【0029】
通信部13は、管理サーバ1と、乗務員端末2及び駅員端末3との間の通信に用いられる部分であり、例えば、通信用IC(Integrated Circuit)及び通信コネクタ等を有する通信インターフェイスであり、制御部11の制御の元、所定の通信プロトコルを用いて、通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。
【0030】
[2 乗務員端末]
乗務員端末2は、本システムを利用して遺失物を登録する列車の乗務員のそれぞれが所持する、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の情報機器であり、後述のように、管理サーバ1への情報の送信等に用いられる。
図1においては乗務員端末2を一つしか図示していないが、実際には、本システムを利用して遺失物を登録する列車の乗務員の数に応じて多数の乗務員端末2が、管理サーバ1と通信ネットワークNを介して接続されている。
【0031】
乗務員端末2は、
図1に示すように、例えば、管理サーバ1と同様に、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を備えると共に、さらに、表示部24と、操作部25と、撮像部26と、位置情報取得部27と、を備えて構成されている。
【0032】
制御部21は、乗務員端末2の動作を制御する部分であり、管理サーバ1の制御部11と同様、例えば、CPU、ROM、RAM等を備えて構成され、記憶部22に記憶されたプログラムデータ等とCPUとの協働により、乗務員端末2の各部を統括制御する。
【0033】
記憶部22は、乗務員端末2の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、管理サーバ1の記憶部12と同様、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、プログラムデータ等の乗務員端末2の動作に必要となるデータを、制御部21から読み書き可能に記憶する。
また、記憶部22は、乗務員端末用プログラム221を備える。
乗務員端末用プログラム221は、乗務員端末2を動作させるための制御部21への各種命令を含むプログラムであり、後述の動作の説明において述べる乗務員端末2の動作は、乗務員端末用プログラム221に従ってなされることとなる。
【0034】
通信部23は、乗務員端末2と、管理サーバ1との間の通信に用いられる部分であり、管理サーバ1の通信部13と同様、例えば、通信用IC及び通信コネクタ等を有する通信インターフェイスであり、制御部21の制御の元、所定の通信プロトコルを用いて、通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。
【0035】
表示部24は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを備え、制御部21から出力された表示制御信号に基づいた画像を当該ディスプレイに表示する。
【0036】
操作部25は、例えば、文字入力キー、数字入力キー、その他各種機能に対応付けられたキーを有するキーボード等を備え、乗務員端末2の使用者からの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部21へと出力する。操作部25は、例えば、表示部24と一体的に形成されたタッチパネル等であってもよい。
【0037】
撮像部26は、例えば、レンズ等の光学系と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像素子と、を有し、レンズの光軸方向の画像を撮像する。撮像部26は、撮像した画像のデータを、制御部21へと出力する。
【0038】
位置情報取得部27は、乗務員端末2の所在位置に関する情報を取得する部分であり、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機が用いられる。GPS受信機は、GPSを構成する複数のGPS衛星から提供される測位用電波であるGPS信号を受信し、これを用いて、乗務員端末2、ひいては乗務員端末2を所持する列車の乗務員の位置情報を取得する。
なお、位置情報取得部27は、乗務員端末2の位置情報を取得可能なものであればよく、GPS受信機には限られない。例えば、その他の衛星測位システムに係る信号の受信機等を使用してもよい。
【0039】
[3 駅員端末]
駅員端末3は、本システムを利用して遺失物の検索を行う駅員のそれぞれが所持する、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の情報機器であり、後述のように、管理サーバ1からの情報の受信等に用いられる。
図1においては駅員端末3を一つしか図示していないが、実際には、本システムを利用して遺失物の検索を行う駅員の数に応じて多数の駅員端末3が、管理サーバ1と通信ネットワークNを介して接続されている。
【0040】
駅員端末3は、
図1に示すように、例えば、乗務員端末2と同様に、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、表示部34と、操作部35と、撮像部36と、位置情報取得部37と、を備えて構成され、記憶部32には、駅員端末3を動作させるための制御部31への各種命令を含むプログラムである駅員端末用プログラム321が記憶されている。
【0041】
なお、乗務員端末2及び駅員端末3としては、両者の機能を果たす同一の情報機器を使用してもよい。この場合、乗務員端末用プログラム221及び駅員端末用プログラム321は、情報機器を、乗務員端末2及び駅員端末3の両者として機能させるための制御部21又は制御部31への各種命令を含むこととなり、当該情報機器を列車の乗務員が所持する場合には乗務員端末2として機能し、当該情報機器を駅員が所持する場合には駅員端末3として機能することとなる。
【0042】
[4 通信ネットワーク]
通信ネットワークNは、例えば、インターネット、電話回線網、携帯電話通信網、無線LAN通信網等であり、
図1に示すように、管理サーバ1と乗務員端末2との間及び管理サーバ1と駅員端末3との間を接続する。
通信ネットワークNとしては、上記のように各装置間を繋ぎ、これらの間でデータの送受信を行うことが可能なものであれば特に限定されない。
【0043】
[第2 動作の説明]
次に、本実施形態に係る遺失物管理システム100の動作について説明する。
遺失物管理システム100の動作は、大きく分けて、遺失物情報の登録(ステップS1)及び遺失物情報の閲覧(ステップS2)の2つのステップからなる。
【0044】
[1 ステップS1:遺失物情報の登録]
まず、列車の乗務員が、管理サーバ1への遺失物情報の登録を行う際の本システムの動作について、
図2のフローチャートに従って説明する。
【0045】
列車の乗務員は、自らが乗務する列車の車内で遺失物を拾得し、又は乗客等が拾得した遺失物を受け取った場合、まず、乗務員端末2の操作部25を用いて所定の操作を行い、記憶部22に備えられた乗務員端末用プログラム221を起動し、制御部21により、遺失物の登録に用いる所定の画面を表示部24に表示させる(ステップS1-1)。
【0046】
続いて、列車の乗務員は、操作部25を用いて、自らの勤務状況に係る情報の入力を行う。具体的には、当該乗務員は、自らが所属する支社名、自らが所属する区所名、自らが乗務する列車が走る行路番号、及び自らが乗務する列車の列車番号を入力する。これによって、乗務員端末2は、遺失物情報の登録を行う乗務員が所属する支社の支社名に係る情報である所属支社情報D11、当該乗務員が所属する区所の区所名に係る情報である所属区所情報D12、当該乗務員が乗務中の列車が走る行路の行路番号に係る情報である乗務行路番号情報D13、及び当該乗務員が乗務中の列車(遺失物が拾得された列車)の列車番号に係る情報である乗務列車番号情報D14を含む当該乗務員の勤務状況に係る情報である乗務員勤務情報D1を取得する(ステップS1-2)。
【0047】
乗務員勤務情報D1の入力は、例えば以下のようにして行う。
すなわち、まず、乗務員端末2の表示部24に、列車の乗務員が所属している可能性のある支社名が一覧的に表示され、表示された支社名から、操作部25を用いた操作により当該乗務員が所属する支社名が選択されると、当該支社内に存在する区所名が一覧的に表示される。
さらに、表示された区所名から、操作部25を用いた操作により当該乗務員が所属する区所名が選択されると、当該区所に勤務する乗務員が乗務する可能性のある行路の行路番号が一覧的に表示される。
さらに、表示された行路番号から、操作部25を用いた操作により当該乗務員が乗務中の列車が走る行路の行路番号が選択されると、当該行路番号に係る行路を走る列車の列車番号が一覧的に表示される。
その上で、表示された列車番号から、操作部25を用いた操作により当該乗務員が乗務中の列車の列車番号が選択されると、乗務員端末2において、所属支社情報D11、所属区所情報D12、乗務行路番号情報D13及び乗務列車番号情報D14の全てが取得されることとなる。
【0048】
なお、乗務員勤務情報D1の入力方法は上記のものに限られない。乗務員による入力の手間を考えると望ましくはないものの、例えば、乗務員が、当該乗務員が所属する支社の支社名、当該乗務員が所属する区所の区所名、当該乗務員が乗務中の列車が走る行路の行路番号、当該乗務員が乗務中の列車の列車番号の全てを、操作部25を用いて直接入力するようにすることも可能である。
【0049】
続いて、列車の乗務員は、遺失物の写真撮影を行う。具体的には、乗務員端末2の撮像部26を遺失物に向けた状態で操作部25を用いて所定の操作を行うことによって、撮像部26によって遺失物を撮像させればよい。これによって、乗務員端末2は、拾得された遺失物の画像データである遺失物画像データD2を取得する(ステップS1-3)。
【0050】
遺失物画像データD2を取得すると、続いて乗務員端末2の制御部21は、遺失物画像データD2に基づいて、遺失物画像データD2に係る遺失物の特徴に係る情報である遺失物特徴情報D3を取得する(ステップS1-4)。
具体的には、遺失物画像データD2を、所定の画像認識に係るソフトウェアに入力することで、当該遺失物の特徴、例えば、種別及び色に係る情報を取得すればよい。このようなソフトウェアは、乗務員端末2の記憶部22に予め記憶させておいてもよいし、管理サーバ1の記憶部12に記憶させた上で、管理サーバ1と通信するようにしてもよいし、外部の画像認識に係るソフトウェアが記憶されたシステムと通信するようにしてもよい。
【0051】
なお、ステップS1-3の写真撮影の前に、列車の乗務員が、撮影対象とする遺失物が定期券かその他の物品であるかを、操作部25を用いた操作により指定するようにし、ステップS1-4において、定期券の場合には、遺失物の特徴として定期券の券面の記載内容を識別するようにし、その他の物品の場合には上記のように種別及び色を識別するようにすることがより好ましい。
【0052】
続いて、列車の乗務員は、乗務員端末2の操作部25を用いて、遺失物が拾得された日時及び拾得された車両の号車番号の入力を行う。これによって、乗務員端末2は、遺失物が拾得された日時に係る情報である日時情報D4及び遺失物が拾得された車両の号車番号に係る情報である号車情報D5を取得する(ステップS1-5)。
【0053】
乗務員勤務情報D1、遺失物画像データD2、遺失物特徴情報D3、日時情報D4及び号車情報D5を取得すると、乗務員端末2の制御部21は、取得した乗務員勤務情報D1、遺失物画像データD2、遺失物特徴情報D3、日時情報D4及び号車情報D5を、通信部23から通信ネットワークNを介して、管理サーバ1へと送信させる(ステップS1-6)。
【0054】
乗務員端末2から送信された乗務員勤務情報D1、遺失物画像データD2、遺失物特徴情報D3、日時情報D4及び号車情報D5を通信部13によって受信した管理サーバ1においては、制御部11が、受信した乗務員勤務情報D1、遺失物画像データD2、遺失物特徴情報D3、日時情報D4及び号車情報D5を紐付けて、記憶部12の登録情報データベース122に記憶させる(ステップS1-7)。
【0055】
続いて、制御部11は、登録された情報一組(乗務員勤務情報D1、遺失物画像データD2、遺失物特徴情報D3、日時情報D4及び号車情報D5)毎に固有の番号である登録番号を採番の上、採番した番号に係る情報である登録番号情報D6を、乗務員勤務情報D1、遺失物画像データD2、遺失物特徴情報D3、日時情報D4及び号車情報D5と紐付けて、記憶部12の登録情報データベース122に記憶させる(ステップS1-8)。
なお、登録番号の採番の規則は、登録された情報一組毎に固有の番号が付与されるものであれば特に限定されない。
【0056】
続いて、制御部11は、遺失物の保管場所に係る情報であるステータス情報D7を、乗務員勤務情報D1、遺失物画像データD2、遺失物特徴情報D3、日時情報D4、号車情報D5及び登録番号情報D6と紐付けて、記憶部12の登録情報データベース122に記憶させる(ステップS1-9)。
【0057】
なお、ステータス情報D7としては、登録時点では、必然的に遺失物の保管場所は乗務員であることから、保管場所が乗務員である旨の情報が記憶されることとなる。すなわち、ステップS1-6における管理サーバ1による情報の取得自体が、遺失物の保管場所が当該情報を送信した乗務員端末2を使用する乗務員である旨の情報の取得に該当することとなる。
【0058】
ステータス情報D7は、保管場所が乗務員である旨の情報が記憶された後、保管場所が変わった時点で逐一更新される。
すなわち、遺失物が乗務員から駅に届けられ、保管場所が駅に変わった時点で、当該駅の駅員が使用する駅員端末3から、当該遺失物の保管場所が駅に変わった旨の情報が、管理サーバ1へと送信され、当該情報を通信部13によって受信した管理サーバ1において、ステータス情報D7が特定の駅において保管されている旨の情報に更新されることとなる。
【0059】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、登録番号情報D6を、通信部13から通信ネットワークNを介して、ステップS1-6で情報を送信した乗務員端末2へと送信させる(ステップS1-10)。
【0060】
管理サーバ1から送信された登録番号情報D6を通信部23によって受信した乗務員端末2においては、制御部21が、受信した登録番号情報D6を、表示部24に表示させる(ステップS1-11)。
これによって、列車の乗務員が登録番号情報D6を確認することができる。
【0061】
[2 ステップS2:遺失物情報の閲覧]
続いて、駅の利用者から遺失物についての問い合わせを受けた駅員が、ステップS1で管理サーバ1に記憶された情報を閲覧する際の本システムの動作について、
図3のフローチャートに従って説明する。
【0062】
駅員は、駅を利用する利用者から遺失物についての問い合わせを受けた場合、まず、駅員端末3の操作部35を用いて所定の操作を行い、記憶部32に備えられた駅員端末用プログラム321を起動し、制御部31により、遺失物の閲覧に用いる所定の画面を表示部34に表示させる(ステップS2-1)。
【0063】
続いて、駅員は、操作部35を用いて、駅員情報D8の入力を行う。具体的には、当該駅員は、自らが勤務する駅が属する線区名及び自らが勤務する駅名を入力すればよい。これによって、駅員端末3は、遺失物情報を閲覧する駅員が勤務する駅が属する線区名に係る情報である勤務線区情報D81及び当該駅員が勤務する駅の駅名に係る情報である勤務駅情報D82を含む駅員情報D8を取得する(ステップS2-2)。
【0064】
駅員情報の入力は、駅員が手入力してもよいし、予め線区名及び各線区に存在する駅名の一覧を記憶部32に記憶させておき、駅員が検索の上、線区名、駅名の順に選択するようにしてもよい。
【0065】
続いて、駅員は、遺失物の検索条件を入力する。具体的には、操作部35を用いて所定の操作を行うことによって、制御部31によって、遺失物の検索を行うための所定の画面を表示部34に表示させた上で、操作部35を用いて当該画面に検索条件を入力することによって、遺失物の検索条件を入力すればよい。これによって、駅員端末3は、駅員によって入力された検索条件に係る情報である検索条件情報D9を取得する(ステップS2-3)。
【0066】
検索条件の入力は、例えば、利用者が当該遺失物を遺失した際に乗車していた列車、利用者が当該遺失物を遺失した期間(入力時点から24時間以内、48時間以内等)、特徴(種別及び/又は色)、登録番号のうち、特定できる情報を入力することで行う。
なお、利用者が当該遺失物を遺失した際に乗車していた列車に係る情報は、当該列車を特定できる場合には列車番号を入力し、当該列車を特定できない場合において、乗車していた線区及び/又は方向を特定できる場合には、線区及び/又は方向を入力すればよい。
これら情報が、本発明における利用列車情報に該当することとなる。
【0067】
例えば、利用者が当該遺失物を遺失した際に乗車していた列車を特定できる場合には、当該列車の列車番号、遺失した期間及び利用者から聴取した遺失物の特徴を入力すればよい。
また、例えば、利用者が当該遺失物を遺失した際に乗車していた列車を特定できない場合において、乗車していた線区及び方向を特定できる場合には、当該線区及び方向(〇〇線上り、××線□□駅方面等)、遺失した期間及び利用者から聴取した遺失物の特徴を入力すればよい。
また、例えば、検索対象とする遺失物に係る登録番号を特定できる場合には、当該登録番号を入力すればよい。
【0068】
駅員情報D8及び検索条件情報D9を取得すると、制御部31は、取得した駅員情報D8及び検索条件情報D9を、通信部33から通信ネットワークNを介して、管理サーバ1へと送信する(ステップS2-4)。
【0069】
駅員端末3から送信された駅員情報D8及び検索条件情報D9を通信部13によって受信した管理サーバ1においては、制御部11が、受信した検索条件情報D9に基づいて記憶部12の登録情報データベース122を検索し、検索条件情報D9に合致する登録情報の組(乗務員勤務情報D1、遺失物画像データD2、遺失物特徴情報D3、日時情報D4、号車情報D5、登録番号情報D6及びステータス情報D7が紐付けられた情報)を全て抽出する(ステップS2-5)。
【0070】
この際、制御部11は、例えば、検索条件情報D9が、利用者が遺失物を遺失した際に乗車していた列車の列車番号、遺失した期間及び利用者から聴取した遺失物の特徴で入力された場合であれば、乗務列車番号情報D14が利用者が遺失物を遺失した際に乗車していた列車の列車番号と一致し、日時情報D4が遺失した期間と一致し、遺失物特徴情報D3が利用者から聴取した遺失物の特徴と一致する登録情報の組を抽出すればよい。
【0071】
また、例えば、検索条件情報D9が、利用者が遺失物を遺失した際に乗車していた列車の線区及び方向、遺失した期間及び利用者から聴取した遺失物の特徴で入力された場合であれば、乗務列車番号情報D14に係る列車の線区及び方向が利用者が遺失物を遺失した際に乗車していた列車の線区及び方向と一致し、日時情報D4が遺失した期間と一致し、遺失物特徴情報D3が利用者から聴取した遺失物の特徴と一致する登録情報の組を抽出すればよい。
【0072】
また、例えば、検索条件情報D9が、検索対象とする遺失物に係る登録番号で入力された場合であれば、登録番号情報D6が入力された登録番号と一致する登録情報の組を抽出すればよい。
【0073】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、ステップS2-5で抽出した情報(乗務員勤務情報D1、遺失物画像データD2、遺失物特徴情報D3、日時情報D4、号車情報D5、登録番号情報D6及びステータス情報D7が紐付けられた一又は複数組の情報)を一覧的に表示する画面である遺失物閲覧画面G1を生成する(ステップS2-6)。
【0074】
遺失物閲覧画面G1は、例えば、
図4に示す遺失物閲覧画面G1のように、ステップS2-3で入力された検索条件に係る情報が表示される検索条件表示G11と、ステップS2-5で抽出された検索結果に係る情報が一覧的に表示される検索結果表示G12とを含む画面とすればよい。
【0075】
図4においては、検索条件表示G11として、検索条件が、利用者が遺失物を遺失した際に乗車していた列車の線区が〇〇線、方向が上り、利用者が遺失物を遺失した期間が24時間以内と指定され、遺失物の特徴(種別及び色)並びに登録番号については指定されていない場合について図示している。
【0076】
また、検索結果表示G12は、抽出された全ての遺失物について、日時情報D4に係る日時が表示される日時表示G121と、登録番号情報D6に係る登録番号が表示される登録番号表示G122と、遺失物画像データD2に係る画像が表示される画像表示G123と、遺失物特徴情報D3に係る遺失物の特徴が表示される特徴表示G124と、号車情報D5に係る遺失物が拾得された号車が表示される号車表示G125と、ステータス情報D7に係る遺失物の保管場所が表示されるステータス表示G126と、を含む表示とすればよい。
【0077】
なお、ステータス表示G126については、
図4に示すように乗務員保管中の表示と駅保管中の表示が併記され、駅員端末3の操作部35を用いた操作によって、例えば左右にスワイプすることで変更できる表示とすることが好ましい。
【0078】
遺失物閲覧画面G1を生成すると、管理サーバ1の制御部11は、生成した遺失物閲覧画面G1のデータ(遺失物閲覧画面データD10)を、通信部13から通信ネットワークNを介して、ステップS2-4で情報を送信した駅員端末3へと送信させる(ステップS2-7)。
【0079】
管理サーバ1から送信された遺失物閲覧画面データD10を通信部33によって受信した駅員端末3においては、制御部31が、受信した遺失物閲覧画面データD10に基づき、遺失物閲覧画面G1を、表示部34に表示させる(ステップS2-8)。
【0080】
これによって、駅員端末3を使用する駅員は、ステップS2-3で入力した検索条件に合致する全ての遺失物に係る情報を閲覧することができる。
【0081】
[第3 効果の説明]
次に、本実施形態に係る遺失物管理システム100の効果について説明する。
【0082】
本実施形態に係る遺失物管理システム100によれば、管理サーバ1において、列車の乗務員が使用する乗務員端末2から、列車内で拾得された遺失物に係る情報、すなわち、当該遺失物の画像に係る情報である遺失物画像データD2及び当該遺失物の特徴に係る情報である遺失物特徴情報D3を取得すると共に、当該遺失物を拾得し、又は当該遺失物を拾得した者から受領した列車乗務員の勤務状況に係る情報、すなわち、当該乗務員が所属する支社の支社名に係る情報である所属支社情報D11、当該乗務員が所属する区所の区所名に係る情報である所属区所情報D12、当該乗務員が乗務中の列車が走る行路の行路番号に係る情報である乗務行路番号情報D13、及び当該乗務員が乗務中の列車の列車番号に係る情報である乗務列車番号情報D14を含む乗務員勤務情報D1を取得し、これら情報を紐付けて、記憶部12の登録情報データベース122に記憶させる。
これによって、遺失物自体の特徴のみならず、乗務員勤務情報D1によっても遺失物を識別することが可能となることから、外観が類似し、特徴が共通する遺失物についても、乗務員勤務情報D1によって区別することが可能となり、外観が類似する遺失物が多数存在する場合においても、遺失物の検索を行い易くすることができる。
【0083】
また、本実施形態に係る遺失物管理システム100によれば、管理サーバ1は、列車の乗務員が使用する乗務員端末2から情報を取得することから、列車の乗務員が遺失物を拾得し、又は拾得した者から受領した後に、直ちに遺失物に係る情報を登録することができる。
例えば、所定の遺失物センターに遺失物が届いて初めて遺失物に係る情報が登録される場合、登録までに時間を要し、登録前に遺失物について問い合わせを行った列車利用者に対応できなくなる可能性が高まるが、本実施形態によれば、上記のように遺失物が拾得されてから登録されるまでに要する時間を短縮できることから、上記のように登録前に遺失物について問い合わせを行った列車利用者に対応できなくなるおそれを低減できる。
【0084】
また、本実施形態に係る遺失物管理システム100によれば、管理サーバ1において、乗務員勤務情報D1、遺失物画像データD2及び遺失物特徴情報D3等の情報が紐付けられた一組の情報毎に登録番号が付与され、当該登録番号に係る情報である登録番号情報D6が、乗務員勤務情報D1、遺失物画像データD2及び遺失物特徴情報D3等の情報と紐付けて記憶部12の登録情報データベース122に記憶されている。これによって、例えば、乗務員、駅員、列車利用者等の間で登録番号を共有することで、登録番号を用いて遺失物を検索することが可能となる。
【0085】
また、本実施形態に係る遺失物管理システム100によれば、管理サーバ1において、列車の利用者から遺失物の問い合わせを受けた駅員が使用する駅員端末3から、列車の利用者が捜索する遺失物に係る情報である検索条件情報D9を取得し、これに基づいて記憶部12の登録情報データベース122を検索して、検索条件情報D9に合致する登録情報の組を抽出する。
この際に、検索条件情報D9に、遺失物を検索する列車の利用者が利用した列車に係る情報、具体的には、当該列車を特定できる場合には列車番号、当該列車を特定できない場合において、乗車していた線区及び/又は方向を特定できる場合には、線区及び/又は方向を含むことで、遺失物を検索する列車の利用者が利用した列車と合致する列車、すなわち、検索条件情報D9が列車番号に係る情報を含む場合には列車番号が共通する列車において拾得された遺失物に係る情報、検索条件情報D9が線区及び/又は方向に係る情報を含む場合には線区及び/又は方向が共通する列車において拾得された遺失物に係る情報のみを抽出することが可能となる。
【0086】
また、管理サーバ1において、遺失物の保管場所に係る情報であるステータス情報D7を取得し、これを乗務員勤務情報D1、遺失物画像データD2及び遺失物特徴情報D3等の情報と紐付けて記憶部12の登録情報データベース122に記憶させると共に、遺失物の保管場所が変わるたびにこれを更新することで、遺失物の保管場所についても管理サーバ1で管理し、例えば遺失物を捜索する利用者に遺失物を返還する際において、迅速に返還場所を指定することが可能となる。
【0087】
また、遺失物が乗務員によって保管されている場合にステータス情報D7が遺失物の保管場所が乗務員である旨の情報を含み、遺失物が駅において保管されている場合にステータス情報D7が遺失物の保管場所が駅である旨の情報を含むことで、ステータス情報D7によって、遺失物の保管場所が乗務員であるか駅であるかを容易に特定することが可能となる。
【0088】
[第4 変形例]
次に、本実施形態に係る遺失物管理システム100の変形例について説明する。
【0089】
[1 変形例1:落とし物センターとの連携]
上記構成の説明及び動作の説明では、遺失物管理システム100が、管理サーバ1、乗務員端末2及び駅員端末3のみによって構成される場合について説明したが、さらに各駅における遺失物を統合的に管理する管理場所(落とし物センター)とも連携するようにしてもよい。
【0090】
この場合、落とし物センターに、PC(Personal Computer)等からなる所定の端末装置(以下、「落とし物センター端末」という。)を設置した上で、落とし物センター端末と管理サーバ1とが通信ネットワークNを介して接続されるようにする。
【0091】
この場合、ステータス情報D7は、遺失物が乗務員によって保管されているか駅において保管されているかの2パターンではなく、落とし物センターで保管されている旨の情報である場合も含まれることとなる。
すなわち、遺失物については、乗務員から遺失物を受け取った駅から、又は乗務員から直接、落とし物センターに送られ、そこで保管される場合もあることから、この場合には、遺失物が落とし物センターに送られた段階で、落とし物センター端末から、遺失物の保管場所が落とし物センターに変わった旨の情報が管理サーバ1へと送信され、管理サーバ1において、ステータス情報D7が落とし物センターにおいて保管されている旨の情報に更新されるようにすればよい。
【0092】
また。この場合、落とし物センター端末においても、ステップS2で説明したのと同様にして、管理サーバ1に記憶された遺失物情報を閲覧できるようにすることが好ましい。これによって、遺失物センターに遺失物についての問い合わせがあった際にも、駅に遺失物についての問い合わせがあった場合と同様の効果を得ることができる。
【0093】
[2 変形例2:乗務員保管中のステータス情報の詳細化]
ステータス情報D7が、遺失物が乗務員によって保管されている旨の情報である場合については、ステータス情報D7が、さらに当該乗務員の具体的な位置情報まで含むようにしてもよい。
この場合、例えば、各乗務員が携帯する乗務員端末2において、位置情報取得部27によって所定の間隔毎に自動的に位置情報を取得するようにした上で、当該位置情報が取得後直ちに通信部23から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信されるようにし、これを受信した管理サーバ1において、取得した位置情報に基づいて、記憶部22に記憶されたステータス情報D7を更新するようにすればよい。
【0094】
[3 変形例3:乗務列車番号情報の取得方法の変更]
上記動作の説明においては、乗務列車番号情報D14を、乗務員端末2を使用する列車の乗務員の入力に従って管理サーバ1が取得する場合について説明したが、乗務列車番号情報D14の取得方法はこれに限られない。
【0095】
[(1) 乗務員特定情報を用いた取得]
乗務員に、氏名等の各乗務員を特定できる情報(以下「乗務員特定情報」という。)のみを入力させ、当該情報を用いて、管理サーバ1において乗務列車番号情報D14を取得するようにしてもよい。
【0096】
具体的には、管理サーバ1の記憶部12に、乗務員特定情報と、時間帯毎の各乗務員が乗務している列車の列車番号に係る情報と、を紐づけて記憶したデータベースを設ける。
その上で、管理サーバ1において、乗務員端末2を用いて列車の乗務員が入力した乗務員特定情報を、通信ネットワークNを介して通信部13によって受信することによって取得し、受信した乗務員特定情報を用いて上記データベースを検索し、受信した乗務員特定情報と紐付けて記憶された列車番号に係る情報のうち、乗務員特定情報を受信した時刻における情報を抽出することで、管理サーバ1が乗務列車番号情報D14を取得するようにすればよい。
【0097】
[(2) 位置情報を用いた取得]
遺失物に係る情報を登録する列車の乗務員が使用する乗務員端末2から管理サーバ1へと、当該乗務員端末2の位置情報(以下「乗務員端末位置情報」という。)を送信するようにし、当該情報を用いて、管理サーバ1において乗務列車番号情報D14を取得するようにしてもよい。
【0098】
具体的には、管理サーバ1の記憶部12に、各列車について、列車番号と、時間帯毎の位置情報と、を紐づけて記憶したデータベースを設ける。
その上で、乗務員端末2において遺失物の写真撮影が行われ、遺失物画像データD2等のデータが乗務員端末2から管理サーバ1へと送信される際に、位置情報取得部27によって取得された当該時点における乗務員端末位置情報を、遺失物画像データD2等のデータと併せて送信するようにし、これを通信部13によって受信した管理サーバ1において、受信した乗務員端末位置情報を用いてデータベースを検索し、当該時刻における位置情報が、受信した乗務員端末位置情報と最も近い列車に係る列車番号を抽出することで、管理サーバ1が乗務列車番号情報D14を取得するようにすればよい。
【0099】
[4 変形例4:遺失物特徴情報の取得方法の変更]
上記動作の説明においては、遺失物特徴情報D3を、遺失物画像データD2を所定の画像認識に係るソフトウェアに入力することで取得する場合について説明したが、遺失物特徴情報D3の取得方法はこれに限られない。
例えば、乗務員が乗務員端末2の操作部25を用いて、逐一遺失物の特徴を入力するようにすることも可能である。
【0100】
ただし、画像認識に係るソフトウェアによって一律に遺失物特徴情報D3を取得する場合、乗務員が逐一遺失物の特徴を入力する場合と比較して、画一的な基準によって分類された特徴を取得できることから、ステップS2の遺失物情報の閲覧時に遺失物の特徴による検索を行い易くする観点からは、画像認識に係るソフトウェアを用いる方が好ましい。
【0101】
[5 変形例5:複数の鉄道会社間での連携]
上記動作の説明及び構成の説明においては、乗務員端末2を所持する乗務員及び駅員端末3を所持する駅員が全て単一の鉄道会社の職員である場合を念頭において説明したが、乗務員端末2を所持する乗務員及び駅員端末3を所持する駅員が複数の鉄道会社に跨るようにしてもよい。
この場合、複数の鉄道会社における遺失物に係る情報が単一の管理サーバ1で管理されることから、例えば相互に乗り入れている複数の鉄道会社間で遺失物に係る情報をまとめて管理することが可能となり、利用者の利便性を向上することができる。
【0102】
[6 変形例6:乗務員端末への遺失物届場所の指令]
利用者が駅において遺失物の問い合わせをし、当該駅の駅員がステップS2で説明したようにして遺失物の検索を行った結果、データが抽出された遺失物に係るステータス情報D7が乗務員保管であった場合、当該乗務員が所持する乗務員端末2へと、駅員端末3から直接、又は管理サーバ1を介して、当該駅に遺失物を届ける旨の所定の指令を送信するようにしてもよい。
これによって、乗務員に対して、保管する遺失物を、当該遺失物を遺失した利用者が訪れた駅に直接届けさせることが可能となり、迅速な遺失物の返還を実現できる。
なお、駅員端末3から直接乗務員端末2へと指令を送信する構成とする場合、駅員端末3と乗務員端末2との間も通信ネットワークNによって接続されているようにする。
【0103】
なお、この際には、管理サーバ1の記憶部12に、各乗務員が乗務する予定の列車の列車番号及び各列車番号の列車の停車駅に係る情報を予め記憶させておき、遺失物を保管する乗務員が乗務中であるか乗務予定である列車が、利用者が遺失物の問い合わせを行った駅で停車予定である場合にのみ、乗務員端末2に対して、当該駅に遺失物を届ける旨の所定の指令を送信するようにすることが好ましい。
【0104】
また、この場合、変形例2で説明したように、ステータス情報D7が、乗務員の具体的な位置情報まで含むようにした上で、このような位置情報から乗務員が乗務している列車を特定し、当該列車が、利用者が遺失物の問い合わせを行った駅で停車予定である場合にのみ、乗務員端末2に対して、当該駅に遺失物を届ける旨の所定の指令を送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
100 遺失物管理システム
1 管理サーバ(遺失物管理装置、サーバ装置)
11 制御部(第1記憶制御手段、登録番号付与手段、第2記憶制御手段、検索手段、第3記憶制御手段、更新手段、送信制御手段)
12 記憶部(第1記憶手段、第2記憶手段、第3記憶手段)
121 管理サーバ用プログラム(遺失物管理プログラム)
122 登録情報データベース
13 通信部(第1取得手段、第2取得手段、第3取得手段、第4取得手段、第5取得手段、第6取得手段、送信手段)
2 乗務員端末(端末装置)
21 制御部(第1取得手段、送信制御手段)
22 記憶部
221 乗務員端末用プログラム(遺失物管理プログラム)
23 通信部(送信手段)
24 表示部
25 操作部(第2取得手段)
26 撮像部(第1取得手段)
27 位置情報取得部
3 駅員端末
D1 乗務員勤務情報
D11 所属支社情報
D12 所属区所情報
D13 乗務行路番号情報
D14 乗務列車番号情報
D2 遺失物画像データ(遺失物情報)
D3 遺失物特徴情報(遺失物情報)
D4 日時情報
D5 号車情報
D6 登録番号情報
D7 ステータス情報(遺失物保管場所情報)
D8 駅員情報
D9 検索条件情報(捜索遺失物情報)
D10 遺失物閲覧画面データ