(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100054
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】車両用ウインドモール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B60J 1/00 20060101AFI20240719BHJP
B60J 1/18 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B60J1/00 M
B60J1/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003764
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克彦
(57)【要約】
【課題】車両の見栄えを向上する。
【解決手段】車両用ウインドモール30は、ウインドガラスの側縁に配置される縦モール部32と、ウインドガラスの下縁又は上縁に配置される横モール部34と、縦モール部32及び横モール部34を繋ぐコーナー部36とを備えている。コーナー部36は、ウインドガラスに取り付けられる取付面を有する板状部46と、板状部46から取付面とは反対側へ突出し、縦モール部32と横モール部34とを結ぶ方向に延びる壁部48とを備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドガラスの側縁に配置される縦モール部と、前記ウインドガラスの下縁又は上縁に配置される横モール部と、前記縦モール部及び前記横モール部を繋ぐコーナー部とを備える車両用ウインドモールであって、
前記コーナー部は、
前記ウインドガラスに取り付けられる取付面を有する板状部と、
前記板状部から前記取付面とは反対側へ突出し、前記縦モール部と前記横モール部とを結ぶ方向に延びる壁部と、を備えている
ことを特徴とする車両用ウインドモール。
【請求項2】
前記板状部の前記取付面に開口して、前記壁部まで達する第1凹部を備えている請求項1に記載の車両用ウインドモール。
【請求項3】
前記第1凹部に沿うように形成され、前記壁部における前記取付面と反対側に開口する第2凹部を備えている請求項2に記載の車両用ウインドモール。
【請求項4】
前記壁部の一側面が、前記板状部の前記取付面に対して鋭角を形成する請求項2または3に記載の車両用ウインドモール。
【請求項5】
前記第1凹部の開口は、前記ウインドガラスとの接合用のシートで覆われる請求項2に記載の車両用ウインドモール。
【請求項6】
ウインドガラスの側縁に配置される縦モール部と、前記ウインドガラスの下縁又は上縁に配置される横モール部と、前記縦モール部及び前記横モール部を繋ぐコーナー部とを備える車両用ウインドモールの製造方法であって、
前記縦モール部及び前記横モール部をセットした成形型のキャビティに合成樹脂を供給して、前記コーナー部を成形する際に、
前記ウインドガラスに取り付くことになる取付面を有する板状部と、前記取付面と反対面から突出し、前記縦モール部及び前記横モール部に対して傾斜して延びる壁部と、を形成する
ことを特徴とする車両用ウインドモールの製造方法。
【請求項7】
前記板状部における前記取付面に開口して前記壁部まで達する第1凹部と、前記壁部の先端に開口する第2凹部とを、前記第1凹部の底と前記第2凹部の底とをずらして形成する請求項6に記載の車両用ウインドモールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用ウインドモール及び車両用ウインドモールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両において、ウインドガラスとアウタパネルとの間には、ウインドモールが配置されている(例えば特許文献1参照)。ウインドモールは、ウインドガラスの側縁に沿って配置される縦モールと、ウインドガラスの上縁又は下縁に沿って配置される横モールとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
縦モールと横モールとは、アウタパネルへの建て付けなどの都合上、同じ断面形状で形成することができない。このため、ウインドモールにおける縦モールと横モールとが繋がるコーナーにて、アウタパネルとの間に隙間が生じ易く、この隙間から車両の内部構造が見えてしまうと見栄えが悪い。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、見栄えを向上できる車両用ウインドモールを提供することを目的の一つとする。また、本発明は、従来の技術に係る前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、見栄えを向上できる車両用ウインドモールの製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用ウインドモールの第1態様は、
ウインドガラスの側縁に配置される縦モール部と、前記ウインドガラスの下縁又は上縁に配置される横モール部と、前記縦モール部及び前記横モール部を繋ぐコーナー部とを備える車両用ウインドモールであって、
前記コーナー部は、
前記ウインドガラスに取り付けられる取付面を有する板状部と、
前記板状部から前記取付面とは反対側へ突出し、前記縦モール部と前記横モール部とを結ぶ方向に延びる壁部と、を備えていることを要旨とする。
【0007】
本発明に係る車両用ウインドモールの第2態様は、前記第1態様において、
前記板状部の前記取付面に開口して、前記壁部まで達する第1凹部を備えていてもよい。
【0008】
本発明に係る車両用ウインドモールの第3態様は、前記第2態様において、
前記第1凹部に沿うように形成され、前記壁部における前記取付面と反対側に開口する第2凹部を備えていてもよい。
【0009】
本発明に係る車両用ウインドモールの第4態様は、前記第2態様又は前記第3態様において、
前記壁部の一側面が、前記板状部の前記取付面に対して鋭角を形成してもよい。
【0010】
本発明に係る車両用ウインドモールの第5態様は、前記第2態様、前記第3態様及び前記第4態様の何れか一つにおいて、
前記第1凹部の開口は、前記ウインドガラスとの接合用のシートで覆ってもよい。
【0011】
本発明に係る車両用ウインドモールの製造方法の第1態様は、
ウインドガラスの側縁に配置される縦モール部と、前記ウインドガラスの下縁又は上縁に配置される横モール部と、前記縦モール部及び前記横モール部を繋ぐコーナー部とを備える車両用ウインドモールの製造方法であって、
前記縦モール部及び前記横モール部をセットした成形型のキャビティに合成樹脂を供給して、前記コーナー部を成形する際に、
前記ウインドガラスに取り付くことになる取付面を有する板状部と、前記取付面と反対面から突出し、前記縦モール部及び前記横モール部に対して傾斜して延びる壁部と、を形成することを要旨とする。
【0012】
本発明に係る車両用ウインドモールの製造方法の第2態様は、前記製造方法の第1態様において、
前記板状部における前記取付面に開口して前記壁部まで達する第1凹部と、前記壁部の先端に開口する第2凹部とを、前記第1凹部の底と前記第2凹部の底とをずらして形成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る車両用ウインドモールによれば、壁部によって車両の内部構造を目隠しして、見栄えを向上できる。
本発明に係る車両用ウインドモールの製造方法によれば、壁部によって車両の内部構造を目隠しして、見栄えを向上できる車両用ウインドモールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例に係る車両用ウインドモールが設置された車両を後方から見た図である。
【
図2】実施例の車両用ウインドモールの要部を示す正面図である。
【
図3】実施例の車両用ウインドモールの要部を示す背面図である。なお、コーナー部に配置される車体パネルの縁を2点鎖線で示している。
【
図6】(a)は
図1のC-C線で切断した端面図であり、(b)は(a)においてハッチバックドアを開放した状態を示す。
【
図8】車両用ウインドモールの製造過程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る車両用ウインドモール及び車両用ウインドモールの製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例0016】
図1に示すように、実施例の車両10は、車体12の後面にリアウインド14を備えている。実施例のリアウインド14は、上縁を軸として開閉するハッチバックドア16に設けられている。リアウインド14は、ハッチバックドア16の車体パネルに設けられた窓開口16aに配置されたウインドガラス18を備えている。また、ウインドガラス18の車両内側には、車両用ウインドモール(以下、単にウインドモールという。)30が配置されている。ハッチバックドア16は、リアウインド14が設けられる上部と比べて、リアウインド14より下側が幅が狭く形成されている。このため、ハッチバックドア16は、リアウインド14の下角部の下縁であるウインド縁部17を備えている。実施例の車両10は、車体12に設置した車体ランプ20と、ハッチバックドア16に設置したドアランプ22とを備えている。車体ランプ20とドアランプ22とは、所謂コンビランプであり、車体ランプ20とドアランプ22とが左右に隣接配置されている。また、車体ランプ20が、ハッチバックドア16のウインド縁部17の下側に配置されている。なお、車両外側及び車両内側は、ウインドガラス18の厚み方向を基準とした方向をいい、外方及び内方は、ウインドガラス18の面方向を基準とした方向をいう。
【0017】
図1~
図3に示すように、ウインドモール30は、ウインドガラス18の側縁に配置される縦モール部32と、ウインドガラス18の下縁又は上縁に配置される横モール部34と、縦モール部32及び横モール部34を繋ぐコーナー部36とを備えている。実施例のウインドモール30は、左右の2本の縦モール部32,32と、ウインドガラス18の下縁に配置される1本の横モール部34と、左右2つのコーナー部36,36とを備え、左右対称な形状になっている。ウインドモール30は、ウインドガラス18と、車体パネルにおけるウインドガラス18よりも車両内側にくる内パネル部24との間に配置される。また、ウインドモール30は、ウインド縁部17を除いて、車体パネルにおけるハッチバックドア16の外面を構成する外パネル部26に外方が囲まれる。なお、ウインドモール30は、ウインドガラス18内面に設けられたセラミックプリントによって、ウインドガラス18を通して車両外側から視認できないようになっている。
【0018】
図1~
図3に示すように、縦モール部32は、上下方向へ長く延びる棒状部分である。
図4に示すように、縦モール部32は、ウインドガラス18に取り付けられる縦取付部38と、縦取付部38から左右方向車両外方へ突出する縦封止片40とを備えている。縦取付部38は、ウインドガラス18の内面に面する縦取付面38aと、縦取付面38aと反対側に設けられ、内パネル部24に面する縦受け面38bとを備えている。縦封止片40は、縦取付部38よりも薄く形成されている。縦封止片40は、ウインドガラス18の横側に配置される外パネル部26に当たり、ウインドガラス18の側縁と外パネル部26との間を塞いでいる。縦封止片40は、可撓性を有し、外パネル部26との当接により変形可能である。
【0019】
図1~
図3に示すように、横モール部34は、左右方向へ長く延びる棒状部分である。
図5に示すように、横モール部34は、ウインドガラス18に取り付けられる横取付部42と、横取付部42から下側(上下方向車両外方)へ突出する横封止片44とを備えている。横取付部42は、ウインドガラス18の内面に面する横取付面42aと、横取付面42aと反対側に設けられ、内パネル部24に面する横受け面42bとを備えている。横封止片44は、横取付部42よりも薄く形成されている。横封止片44は、ウインドガラス18の下側に配置される外パネル部26に当たり、ウインドガラス18の下縁と外パネル部26との間を塞いでいる。横封止片44は、可撓性を有し、外パネル部26との当接により変形可能である。実施例では、縦モール部32の縦取付部38と横モール部34の横取付部42とで断面形状が異なっている。
【0020】
図6に示すように、コーナー部36は、ウインドガラス18に取り付けられる角取付面(取付面)46aを有する板状部46と、板状部46から角取付面46aと反対側へ突出する壁部48とを備えている。コーナー部36は、板状部46の左右方向車両外方の縁及び下縁(上下方向車両外方の縁)から突出する角封止片50を備えている。角封止片50は、板状部46よりも薄く形成され、可撓性を有している。
図2及び
図3に示すように、右側のコーナー部36において、右側の縦モール部32の下端が上部右側に繋がり、横モール部34の右端が左側部下側に繋がっている。また、左側のコーナー部36において、左側の縦モール部32の下端が上部左側に繋がり、横モール部34の左端が右側部下側に繋がっている。このように、コーナー部36において、縦モール部32と横モール部34とが、左右方向及び上下方向にずれた位置に接続されている。
【0021】
板状部46の角取付面46aが、縦モール部32の縦取付面38a及び横モール部34の横取付面42aと揃っている。角取付面46a、縦取付面38a及び横取付面42aが、一連なりの平面になっている(
図2参照)。縦取付部38は、板状部46よりも車両内側に突出している。また、横取付部42は、板状部46よりも車両内側に突出している。
【0022】
図3に示すように、壁部48は、縦モール部32と横モール部34とを結ぶ方向に延びている。壁部48は、縦モール部32に対して傾斜して、縦モール部32から横モール部34へ向かう方向へ延びている。右側のコーナー部36の壁部48が、上部右側に繋がる縦モール部32の下端と、左側部下側に繋がる横モール部34の右端とを結んだ斜め方向に続いている。また、左側のコーナー部36の壁部48が、上部左側に繋がる縦モール部32の下端と、右側部下側に繋がる横モール部34の左端とを結んだ斜め方向に続いている。このように、壁部48は、縦モール部32の長手が延びる上下方向と交差する方向に延びると共に、横モール部34の長手が延びる左右方向と交差する方向に延びている。壁部48は、コーナー部36を車両内側から見た場合(
図3参照)、左右方向外方から内方へ向かうにつれて下方へ傾くように延びている。なお、壁部48は、直線状に延びることに限らず、実施例のように曲線を含む形状で延びていてもよい(
図3参照)。
【0023】
図3に示すように、壁部48は、板状部46における縦モール部32が繋がる縁から横モール部34が繋がる縁までのラインの全体又は大部分(例えば半分以上)に亘って設けるとよい。実施例の壁部48は、板状部46における縦モール部32が繋がる縁から横モール部34が繋がる縁までのラインの全体に亘って続いている。また、実施例の壁部48は、一端が縦モール部32の縦取付部38に繋がると共に、他端が横モール部34の横取付部42に繋がっている。
【0024】
壁部48は、縦モール部32の縦取付部38及び横モール部34の横取付部42よりも、車両内側に突出する部分を有している。実施例の壁部48における縦モール部32側が、横モール部34側と比べて、板状部46から緩やかに立ち上がっている。また、実施例において、壁部48の先端面が、縦モール部32の縦受け面38bに連なっている。
【0025】
図6及び
図7に示すように、壁部48において車両外方に向く壁面である外方面(一側面)48aが、板状部46の角取付面46aに対して鋭角を形成している。実施例の壁部48において、ハッチバックドア16を開いたときに外方に露出する外方面48aが、板状部46の背面に被さるように傾いている。また、実施例において、壁部48における外方面48aと反対側の内方面48bは、板状部46の角取付面46aに対して直角又は鈍角を形成している。なお、内方面48bは、壁部48において車両内方に向く壁面である。このように、実施例の壁部48は、外方へ傾いて板状部46から立ち上がっている。
【0026】
図2、
図6及び
図7に示すように、コーナー部36は、板状部46の角取付面46aに開口して、壁部48まで達する第1凹部52を備えている。
図3、
図6及び
図7に示すように、コーナー部36は、壁部48における角取付面46aと反対側に開口する第2凹部54を備えている。第2凹部54は、第1凹部52に沿うように形成されている(
図2参照)。第1凹部52及び第2凹部54は、開口から底に向かうにつれて幅が狭くなっている。第1凹部52の底と第2凹部54の底とが、壁部48の厚み(外方面48aと内方面48bとの間隔)方向にずらして配置されている。また、第1凹部52の開口と第2凹部54の開口とが、壁部48の厚み方向にずらして配置されている。このように、実施例において、第1凹部52と第2凹部54とが、壁部48の厚み方向にずらして配置されている。第1凹部52の方が、第2凹部54よりも深く形成された部分を有している。また、第1凹部52の方が、第2凹部54よりも開口幅が広く形成された部分を有している。更に、第1凹部52の方が、第2凹部54よりも壁部48において長く形成されている。
【0027】
図6に示すように、壁部48は、第2凹部54の開口を挟んで内方側の先端(以下、内先端56aという。)が、内パネル部24に面するように配置される。
図6及び
図7に示すように、壁部48は、内先端56aよりも、第2凹部54の開口を挟んで外方側の先端(以下、外先端56bという。)の方が、車両内側に突出している。これにより、内先端56aに面する内パネル部24の端部を、外先端56bによって隠すことができ、内パネル部24の端部が外方から見えることを防止できる。符号60は、内先端56aに設けられた突起であり、突起60が内パネル部24に当たる。
【0028】
ウインドモール30は、接着剤などでウインドガラス18に取り付けてもよいが、実施例では、表裏両面に接着層を有する接合用シート(シート)62によって、ウインドガラス18に接合している。
図2に示すように、接合用シート62は、縦取付面38a、横取付面42a及び角取付面46aに配置される。また、角取付面46aにあいている第1凹部52の開口は、接合用シート62で覆われる(
図6参照)。このように、第1凹部52の開口を接合用シート62で隠すことで見栄えを向上できる。実施例では、接合用シート62として両面テープを使用している。
【0029】
縦モール部32及び横モール部34は、弾力性を有する材料の押出成形品である。コーナー部36は、縦モール部32及び横モール部34をインサート材とした射出成形品である。縦モール部32、横モール部34及びコーナー部36の構成材料は、同じであっても、異なっていても、何れであってもよい。縦モール部32、横モール部34及びコーナー部36の構成材料としては、例えば、オレフィン系エラストマー(TPO)、スチレン系エラストマー(TPS)、塩ビ系エラストマー(T-PVC)、ウレタン系エラストマー(TPU)、ポリエステル系エラストマー(TPEE)、ポリアミド系エラストマー(TPAE)などの熱可塑性エラストマー(TPE)を用いることができ、この中でもオレフィン系エラストマー(TPO)が好ましい。
【0030】
ウインドモール30は、ハッチバックドア16のウインドガラス18とハッチバックドア16の内パネル部24との間に配置される。ハッチバックドア16を閉じた状態において、壁部48が車体ランプ20に面する。また、ハッチバックドア16を開いた状態において、壁部48の外方面48aが、車両10の外方から視認可能になる。
【0031】
次に、実施例のウインドモール30の製造方法について説明する。縦取付部38及び縦封止片40を有する断面形状で連続的に押出成形することで、縦モール部32を得る。同様に、横取付部42及び横封止片44を有する断面形状で連続的に押出成形することで、横モール部34を得る。成形型70のキャビティ72に端部を臨ませて縦モール部32を成形型70にセットすると共に、キャビティ72に端部を臨ませて横モール部34を成形型70にセットする。
【0032】
図8に示すように、実施例の成形型70は、コーナー部36の角取付面46a側を成形する第1型部74と、壁部48の内方面48b側を成形する第2型部76と、壁部48の外方面48a側を成形する第3型部78とを備えている。第1型部74は、第1凹部52を成形する第1凸部74aを備えている。第2型部76は、第2凹部54を成形する第2凸部76aを、第1凸部74aから外れた位置に備えている。第1型部74及び第2型部76は、相対的に上下に移動して開閉するようになっている。また、第3型部78は、第1型部74及び第2型部76の開閉方向と交差する方向へ移動するスライド型である。
【0033】
縦モール部32及び横モール部34をセットした成形型70のキャビティ72に合成樹脂を供給して、コーナー部36を射出成形する。このとき、ウインドガラス18に取り付くことになる角取付面46aを有する板状部46と、角取付面46aと反対面から突出し、縦モール部32及び横モール部34に対して傾斜して延びる壁部48とを形成する。これに併せて、板状部46における角取付面46aに開口して壁部48まで達する第1凹部52と、壁部48の先端に開口する第2凹部54とを、第1凹部52の底と第2凹部54の底とをずらして形成する。そして、成形型70を開いて、縦モール部32及び横モール部34が接続された状態で成形されたコーナー部36を取り出す。同様の手順を繰り返すことで、左右2つのコーナー部36を備えたウインドモール30が得られる。
【0034】
このように実施例の製造方法によれば、角取付面46aを有する板状部46と、角取付面46aと反対面から突出し、成形型70にインサートされた縦モール部32及び横モール部34に対して傾斜して延びる壁部48とを備えるコーナー部36を簡単に得られる。また、壁部48に第1凹部52及び第2凹部54を設定しておくことで、ヒケ等の成形不良が壁部48に生じることを防止できる。
【0035】
ウインドモール30は、コーナー部36に車両内側に突出する壁部48を備えているので、壁部48によってハッチバックドア16の内部構造を隠すことができる。また、壁部48が、縦モール部32と横モール部34とを結ぶ方向に延びていることから、縦モール部32と横モール部34との間の角部分において、壁部48によってハッチバックドア16の内部構造を隠すことができる。このように、ウインドモール30によれば、内パネル部24の形状などの都合により、ウインドガラス18の車両内側の隙間が大きくなっても、壁部48によってハッチバックドア16の内部構造が見えず、リアウインド14周りの見栄えを向上できる。
【0036】
実施例のハッチバックドア16は、前述したように、ウインド縁部17が内パネル部24と離れているため、ハッチバックドア16を開いた際に、壁部48が存在していないと、ハッチバックドア16の内部構造が外方から視認可能になる。実施例において、コーナー部36の壁部48が内パネル部24の縁部に延びて、ウインドガラス18と内パネル部24との間を塞ぐように配置されているので、ハッチバックドア16を開いてもハッチバックドア16の内部構造を壁部48で隠すことができる。従って、ウインドモール30によれば、ハッチバックドア16のウインド縁部17の見栄えを向上できる。
【0037】
コーナー部36は、板状部46の角取付面46aに開口して、壁部48まで達する第1凹部52を備えているので、第1凹部52によって壁部48の板厚が調整されて、壁部48にヒケ等の成形不良が生じることを防止できる。これにより、壁部48の見栄えを向上できる。コーナー部36は、第1凹部52に沿うように形成され、壁部48における角取付面46aと反対側に開口する第2凹部54を備えているので、第2凹部54によって壁部48の板厚が調整されて、壁部48にヒケ等の成形不良が生じることを防止できる。これにより、壁部48の見栄えを向上できる。壁部48が高くなると、壁部48の剛性を確保するために壁部48の厚さが厚くなる。第1凹部52及び第2凹部54を設けることで、成形不良を抑制できることから、壁部48の高さや厚さの自由度が高くなり、内パネル部24の形状などに応じた壁部48を設けることができる。
【0038】
第1凹部52の開口と第2凹部54の開口とを反対向きにあけることで、成形型70の型抜方向等による制約を受け難くなり、壁部48の形状や大きさなどの自由度が向上する。壁部48の外方面48aが、板状部46の角取付面46aに対して鋭角を形成する形状である場合、壁部48を型抜きしようとすると、外方面48aが逆勾配になることから、第1凹部52の一面を外方面48aに倣って形成することが難しい。このため、第1凹部52を型抜き可能な形状にしなくてはならず、第1凹部52と外方面48aとの間の板厚が比較的厚くなる。第2凹部54を、第1凹部52よりも外方面48a側に第1凹部52に沿って形成することで、第2凹部54と外方面48aとの間の板厚が比較的薄くなる。また、第2凹部54の一面は、外方面48aに倣って形成しても型抜き可能である。このように、第1凹部52及び第2凹部54を形成することで、壁部48のヒケ等を抑えて見栄えを向上できる。
【0039】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施例及び以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)実施例では、リアウインドに用いる車両用ウインドモールを例示したが、これに限らず、サイドウインドやフロントウインドなど、他のウインドに本開示の車両用ウインドモールを用いてもよい。
(2)実施例では、ハッチバックドアを例示したが、これに限らず、サイドドアなどのその他のドアであってもよい。
(3)実施例では、横モール部をウインドガラスの下縁に配置したが、これに限らず、横モール部をウインドガラスの上縁に配置する構成であってもよい。
(4)車両用ウインドモールが、1本の横モール部と左右2本の縦モール部とを有する「コ」字状に限らず、上下2本の横モール部と左右2本の縦モール部とを有する四角形状や、1本の横モール部と1本の縦モール部とを有する「L」字状など、その他形状であってもよい。