(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100060
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】動作制御装置、処理装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B62D 1/04 20060101AFI20240719BHJP
H01H 23/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B62D1/04
H01H23/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003771
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】松澤 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】陶山 晃正
(72)【発明者】
【氏名】近藤 真由
【テーマコード(参考)】
3D030
5G035
【Fターム(参考)】
3D030DA11
3D030DB13
3D030DB16
5G035CB01
5G035PA02
(57)【要約】
【課題】移動体に搭載された被制御装置の動作を制御するための入力装置を備えた動作制御装置の利便性を高める。
【解決手段】入力装置12は、移動体の運転者のトリガ動作を検出可能である。入力装置12は、前記移動体において実行可能な複数の機能の一つを選択するための第一操作と、選択された前記複数の機能の一つに関連付けられた被制御動作を実行するための第二操作とを受け付け可能に構成されている。前記複数の機能は、前記移動体の進行方向を示す方向指示機能を含んでいる。前記トリガ動作が検出されると、前記第一操作の受け付けに先立って前記方向指示機能が選択される。前記方向指示機能が選択された状態で前記第二操作が受け付けられると、前記移動体に搭載された方向指示灯の点灯がなされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される動作制御装置であって、
前記移動体の運転者のトリガ動作を検出可能な入力装置と、
処理装置と、
を備えており、
前記入力装置は、
前記移動体において実行可能な複数の機能の一つを選択するための第一操作と、
選択された前記複数の機能の一つに関連付けられた被制御動作を実行するための第二操作と、
を受け付け可能に構成されており、
前記複数の機能は、前記移動体の進行方向を示す方向指示機能を含んでおり、
前記トリガ動作が検出されると、前記処理装置は、前記第一操作の受け付けに先立って前記方向指示機能を選択し、
前記方向指示機能が選択された状態で前記第二操作が受け付けられると、前記処理装置は、前記移動体に搭載された方向指示灯を点灯させる、
動作制御装置。
【請求項2】
前記入力装置は、
第一方向への変位が可能である可動部材と、
前記トリガ動作として前記運転者の手指の接触または接近を検出するために前記可動部材に設けられた検出面と、
を備えており、
前記検出面における前記第一方向と交差する第二方向への前記手指の移動が前記第一操作に対応付けられており、
前記可動部材の前記第一方向への変位が前記第二操作に対応付けられている、
請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項3】
前記検出面は、前記第二方向に長尺となるように設けられている、
請求項2に記載の動作制御装置。
【請求項4】
前記進行方向を変更する操舵部材を備えており、
前記操舵部材は、
回動軸を中心として回動が可能であり、当該回動が前記進行方向の変更動作に対応付けられている軸部と、
前記回動軸を中心とした旋回経路に沿って旋回可能であり、前記運転者の手により把持可能である把持部と、
を備えており、
前記入力装置は、前記軸部と前記把持部の間に設置されており、
前記第二方向は、前記把持部の旋回方向に沿っている、
請求項3に記載の動作制御装置。
【請求項5】
前記可動部材は、前記検出面に沿って前記第二方向に延びる部分を有する凸部を備えている、
請求項2に記載の動作制御装置。
【請求項6】
前記第一操作は、前記移動体に搭載された表示装置に表示された前記複数の機能から一つを選択する操作に対応付けられている、
請求項1に記載の動作制御装置。
【請求項7】
移動体に搭載される処理装置であって、
前記移動体に搭載された被制御装置の動作を制御するための入力装置から検出信号を受け付けるインタフェースと、
プロセッサと、
を備えており、
前記入力装置は、
前記移動体において実行可能な複数の機能の一つを選択するための第一操作と、
選択された前記複数の機能の一つに関連付けられた被制御動作を実行するための第二操作と、
を受け付け可能に構成されており、
前記複数の機能は、前記移動体の進行方向を示す方向指示機能を含んでおり、
前記移動体の運転者のトリガ動作に対応する前記検出信号が前記インタフェースにより受け付けられると、前記プロセッサは、前記第一操作に対応する前記検出信号の受け付けに先立って前記方向指示機能を選択し、
前記方向指示機能が選択された状態で前記第二操作に対応する前記検出信号が前記インタフェースにより受け付けられると、前記プロセッサは、前記移動体に搭載された方向指示灯を点灯させる、
処理装置。
【請求項8】
移動体に搭載される処理装置のプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記処理装置は、前記移動体に搭載された被制御装置の動作を制御するための入力装置から検出信号を受け付け、
前記入力装置は、
前記移動体において実行可能な複数の機能の一つを選択するための第一操作と、
選択された前記複数の機能の一つに関連付けられた被制御動作を実行するための第二操作と、
を受け付け可能に構成されており、
前記複数の機能は、前記移動体の進行方向を示す方向指示機能を含んでおり、
前記処理装置は、
前記移動体の運転者のトリガ動作に対応する前記検出信号が受け付けられると、前記第一操作に対応する前記検出信号の受け付けに先立って前記方向指示機能を選択し、
前記方向指示機能が選択された状態で前記第二操作に対応する前記検出信号が受け付けられると、前記移動体に搭載された方向指示灯を点灯させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に搭載された被制御装置の動作を制御するための指示を受け付ける入力装置を備えた動作制御装置に関連する。本開示は、当該動作制御装置に搭載される処理装置、および当該処理装置により実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、移動体の一例である車両に搭載される動作制御装置の一例としての操舵装置を開示している。操舵装置は、回動軸を中心として回動されることによって車両の進行方向を変更する操舵部材を備えている。操舵部材には入力装置が設置されている。入力装置は、回動半径方向に沿って延びる回転軸を中心として回転可能な回転部材を備えている。車両に搭載された表示装置には、当該車両において実行可能な複数の被制御装置の動作を示すメニューが表示される。運転者は、回転部材を回転させることにより、当該メニューから所望の一つを選択できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動体に搭載された被制御装置の動作を制御するための指示を受け付ける入力装置を備えた制御装置の利便性を高めることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供される態様例の一つは、移動体に搭載される動作制御装置であって、
前記移動体の運転者のトリガ動作を検出可能な入力装置と、
処理装置と、
を備えており、
前記入力装置は、
前記移動体において実行可能な複数の機能の一つを選択するための第一操作と、
選択された前記複数の機能の一つに関連付けられた被制御動作を実行するための第二操作と、
を受け付け可能に構成されており、
前記複数の機能は、前記移動体の進行方向を示す方向指示機能を含んでおり、
前記トリガ動作が検出されると、前記処理装置は、前記第一操作の受け付けに先立って前記方向指示機能を選択し、
前記方向指示機能が選択された状態で前記第二操作が受け付けられると、前記処理装置は、前記移動体に搭載された方向指示灯を点灯させる。
【0006】
本開示により提供される態様例の一つは、移動体に搭載される処理装置であって、
前記移動体に搭載された被制御装置の動作を制御するための入力装置から検出信号を受け付けるインタフェースと、
プロセッサと、
を備えており、
前記入力装置は、
前記移動体において実行可能な複数の機能の一つを選択するための第一操作と、
選択された前記複数の機能の一つに関連付けられた被制御動作を実行するための第二操作と、
を受け付け可能に構成されており、
前記複数の機能は、前記移動体の進行方向を示す方向指示機能を含んでおり、
前記移動体の運転者のトリガ動作に対応する前記検出信号が前記インタフェースにより受け付けられると、前記プロセッサは、前記第一操作に対応する前記検出信号の受け付けに先立って前記方向指示機能を選択し、
前記方向指示機能が選択された状態で前記第二操作に対応する前記検出信号が前記インタフェースにより受け付けられると、前記プロセッサは、前記移動体に搭載された方向指示灯を点灯させる。
【0007】
本開示により提供される態様例の一つは、移動体に搭載される処理装置のプロセッサにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記処理装置は、前記移動体に搭載された被制御装置の動作を制御するための入力装置から検出信号を受け付け、
前記入力装置は、
前記移動体において実行可能な複数の機能の一つを選択するための第一操作と、
選択された前記複数の機能の一つに関連付けられた被制御動作を実行するための第二操作と、
を受け付け可能に構成されており、
前記複数の機能は、前記移動体の進行方向を示す方向指示機能を含んでおり、
前記処理装置は、
前記移動体の運転者のトリガ動作に対応する前記検出信号が受け付けられると、前記第一操作に対応する前記検出信号の受け付けに先立って前記方向指示機能を選択し、
前記方向指示機能が選択された状態で前記第二操作に対応する前記検出信号が受け付けられると、前記移動体に搭載された方向指示灯を点灯させる。
【0008】
上記の各態様例に係る構成によれば、入力装置を通じて実行可能な複数の機能の数に依らず、運転者のトリガ動作に基づいて方向指示機能が優先的に選択されるので、方向指示の必要を判断してから方向指示動作を行なわせるまでの時間を短縮できる。したがって、移動体において複数の被制御動作を実行させるための入力装置を備えた操舵装置の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る操舵装置が搭載される車両を例示している。
【
図2】
図1の操舵装置に搭載される入力装置の外観を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しつつ、実施形態例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いられる各図面においては、例示された各要素を認識可能な大きさとするために、縮尺が適宜に変更されている。
【0011】
図1は、一実施形態に係る操舵装置10が搭載される車両20の車室を例示している。操舵装置10は、車両20に進行方向を変更する動作を行なわせるための装置である。操舵装置10は、動作制御装置の一例である。車両20は、移動体の一例である。
【0012】
操舵装置10は、操舵部材11を備えている。操舵部材11は、軸部111と把持部112を有している。軸部111は、回動軸Aを中心として回動できるように構成されている。把持部112は、運転者の手による把持が可能に構成されている。運転者は、ユーザの一例である。把持部112は、回動軸Aを中心とした旋回経路Pに沿って旋回できるように構成されている。把持部112が運転者の手により旋回されると、同方向に軸部111が回動する。回動の方向は、車両20の変更される進行方向に対応付けられている。
【0013】
操舵装置10は、入力装置12を備えている。入力装置12は、軸部111と把持部112の間に配置されている。
【0014】
図2と
図3に例示されるように、入力装置12は、可動部材121を備えている。可動部材121は、把持部112の旋回半径Rに沿う第一方向D1へ変位できるように構成されている。可動部材121は、把持部112を把持している運転者の手指により操作されるように構成されている。
【0015】
具体的には、可動部材121は、把持部112の旋回経路Pに沿う第二方向D2に延びる回動軸121aを中心として回動できるように構成されている。可動部材121は、
図3における時計回り方向への回動により、旋回半径Rの内側に対応する方向へ変位する。可動部材121は、
図3における反時計回り方向への回動により、旋回半径Rの外側に対応する方向へ変位する。
【0016】
入力装置12は、検出面122と検出部123を備えている。検出面122は、把持部112の旋回方向に沿う第二方向D2に長尺となるように、可動部材121に配置されている。検出部123は、検出面122に対する運転者の手指の接触または接近を検出するように構成されている。検出面122に対する運転者の手指の接触または接近は、運転者のトリガ動作の一例である。
【0017】
一例として、検出部123は、運転者の手指の接触または接近に伴う検出面122における静電容量の変化を検出し、当該変化に基づいて、運転者の手指が検出面122に接触または接近したことを示す第一検出信号DS1を出力するように構成されている。
【0018】
別例として、検出部123は、運転者の手指の接触に伴う検出面122における圧力変化または変位を検出し、当該変化または変位に基づいて、運転者の手指が検出面122に接触したことを示す第一検出信号DS1を出力するように構成されている。
【0019】
なお、第一検出信号DS1は、検出面において運転者の手指が接触または接近した位置を示す情報を含むように構成される。第一検出信号DS1は、入力装置12の仕様に応じて、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0020】
検出部123は、可動部材121の第一方向D1への変位も検出するように構成されている。可動部材121の変位は、周知のセンサを用いて、機械的、電気的、光学的、あるいは磁気的に検出されうる。
【0021】
検出部123は、検出された可動部材121の変位方向に対応する第二検出信号DS2を出力するように構成されている。第二検出信号DS2は、センサの仕様に応じて、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0022】
操舵装置10は、処理装置13を備えている。処理装置13は、入力装置12に内蔵されてもよいし、入力装置12とは独立した適宜の位置に設けられてもよい。
【0023】
処理装置13は、入力インタフェース131を備えている。入力インタフェース131は、第一検出信号DS1と第二検出信号DS2を受け付けるハードウェアインタフェースとして構成されている。第一検出信号DS1と第二検出信号DS2の少なくとも一方がアナログ信号である場合、入力インタフェース131は、当該アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0024】
処理装置13は、プロセッサ132と出力インタフェース133を備えている。プロセッサ132は、第一検出信号DS1に応答して出力インタフェース133から第一制御信号CS1を出力するように構成されている。第一制御信号CS1は、車両20において実行可能な複数の機能の一つを選択するための第一操作に関連付けられている。当該複数の機能は、少なくとも方向指示機能を含んでいる。方向指示機能は、車両20の進行方向の変更を示す方向指示灯を点灯させる機能である。
【0025】
プロセッサ132は、第二検出信号DS2に応答して出力インタフェース133から第二制御信号CS2を出力するように構成されている。第二制御信号CS2は、選択された複数の機能の一つに関連付けられた被制御動作を実行するための第二操作に関連付けられている。上記の方向指示機能が選択された場合、左方向指示灯の点灯と右方向指示灯の点灯の各々が、被制御動作の一例となりうる。
【0026】
出力インタフェース133は、第一制御信号CS1と第二制御信号CS2を出力するハードウェアインタフェースとして構成されている。第一制御信号CS1と第二制御信号CS2の各々は、当該信号を処理する装置の仕様に応じて、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。第一制御信号CS1と第二制御信号CS2の少なくとも一方がアナログ信号である場合、出力インタフェース133は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0027】
図4から
図6を参照しつつ、方向指示機能に加えて灯具制御機能と視界改善機能が上記の複数の機能に含まれる例について説明する。
【0028】
図1に例示されるように、車両20は、表示装置21を備えている。表示装置21は、操舵装置10の右方に配置されている。しかしながら、表示装置21は、車両20の前部中央に位置するセンタクラスタに設置されてもよい。あるいは、表示装置21は、車両20のフロントガラスに画像を投影するヘッドアップディスプレイ装置であってもよい。表示装置21は、車両20において実行される様々なアプリケーションに対応する画面を表示可能な汎用の表示装置である。
【0029】
図4は、入力装置12の検出面122における上端寄りの位置に運転者の手指が接触または接近した場合を例示している。この場合、方向指示機能グループ画像211、灯具制御機能グループ画像212、および視界改善機能グループ画像213が、表示装置21に表示される。灯具制御機能グループ画像212は、方向指示機能グループ画像211の下方に表示される。視界改善機能グループ画像213は、灯具制御機能グループ画像212の下方に表示される。
【0030】
方向指示機能グループ画像211においては、左方向指示灯を点灯させる操作に対応付けられたアイコン画像、および右方向指示灯を点灯させる操作に対応付けられたアイコン画像が、左右方向に配列されている。
【0031】
本例に係る灯具制御機能グループ画像212においては、灯具の自動制御機能を有効にする操作に対応づけられたアイコン画像、ハイビーム配光を行なわせる操作に対応付けられたアイコン画像、ロービーム配光を行なわせる操作に対応付けられたアイコン画像、および車幅灯を点灯させる操作に対応付けられたアイコン画像が、左右方向に配列されている。これらのアイコン画像に加えてあるいは代えて、灯具制御機能に係る適宜の操作に対応付けられたアイコン画像が、灯具制御機能グループ画像212に含まれうる。
【0032】
本例に係る視界改善機能グループ画像213においては、ワイパ動作の自動制御機能を有効にする操作に対応付けられたアイコン画像、ワイパを間欠動作させる操作に対応付けられたアイコン画像、フロントガラスに向けて洗浄液を噴射させる操作に対応付けられたアイコン画像、および曇り止めヒータを作動させる操作に対応付けられたアイコン画像が、左右方向に配列されている。これらのアイコン画像に加えてあるいは代えて、視界改善機能に係る適宜の操作に対応付けられたアイコン画像が、視界改善機能グループ画像213に含まれうる。
【0033】
処理装置13は、最初に受け付けられた第一検出信号DS1に応答して、方向指示機能グループ画像211が選択された状態を示すように表示装置21を制御する第一制御信号CS1を出力する。
【0034】
運転者が左方への進路変更を希望する場合、可動部材121が、運転者の手指によって
図3における左方(
図1における旋回半径Rの内側に対応する方向)へ変位される。処理装置13は、当該変位に対応する第二検出信号DS2に応答して、左方向指示灯を点灯させる操作に対応する第二制御信号CS2を出力する。
【0035】
運転者が右方への進路変更を希望する場合、可動部材121が、運転者の手指によって
図3における右方(
図1における旋回半径Rの外側に対応する方向)へ変位される。処理装置13は、当該変位に対応する第二検出信号DS2に応答して、右方向指示灯を点灯させる操作に対応する第二制御信号CS2を出力する。
【0036】
図4に例示されるように、運転者が手指を検出面122に沿って下方(
図1における旋回経路Pに沿う時計回り方向)へ移動させると、当該移動に対応する第一検出信号DS1が検出部123により出力される。処理装置13は、当該移動に対応する第一検出信号DS1に応答して、方向指示機能グループ画像211の下方に位置する灯具制御機能グループ画像212が選択された状態を示すように表示装置21を制御する第一制御信号CS1を出力する。
【0037】
図示の例においては、灯具の自動制御機能を有効にする操作に対応づけられたアイコン画像が選択状態とされている。可動部材121が運転者の手指によって
図3における左方または右方へ変位されることにより、当該変位に対応する第二検出信号DS2が検出部123から出力される。処理装置13は、当該変位に対応する第二検出信号DS2に応答して、灯具制御機能グループ画像212内において現在選択状態にあるアイコン画像よりも左方または右方に位置するアイコン画像を選択状態とするように表示装置21を制御する第二制御信号CS2を出力する。
【0038】
図3に例示されるように、可動部材121は、検出面122の法線に沿う方向にも変位可能とされうる。当該変位をもたらす操作は、アイコン画像の選択状態を確定するためになされうる。当該変位もまた、周知のセンサを用いて、検出部123により機械的、電気的、光学的、あるいは磁気的に検出されうる。検出部123は、当該変位に対応する第二検出信号DS2を出力する。なお、あるアイコン画像の選択状態が所定の時間長さだけ継続された場合に、当該アイコン画像の選択状態が確定されてもよい。
【0039】
灯具制御機能グループ画像212に含まれる特定のアイコン画像の選択状態が確定されると、処理装置13は、当該アイコン画像に対応付けられた動作を被制御装置に実行させる第二制御信号CS2を出力する。
【0040】
図4に例示されるように、運転者が手指を検出面122に沿ってさらに下方へ移動させると、当該移動に対応する第一検出信号DS1が検出部123により出力される。処理装置13は、当該移動に対応する第一検出信号DS1に応答して、灯具制御機能グループ画像212の下方に位置する視界改善機能グループ画像213が選択された状態を示すように表示装置21を制御する第一制御信号CS1を出力する。
【0041】
図示の例においては、ワイパ動作の自動制御機能を有効にする操作に対応づけられたアイコン画像が選択状態とされている。可動部材121が運転者の手指によって
図3における左方または右方へ変位されることにより、当該変位に対応する第二検出信号DS2が検出部123から出力される。処理装置13は、当該変位に対応する第二検出信号DS2に応答して、視界改善機能グループ画像213内において現在選択状態にあるアイコン画像よりも左方または右方に位置するアイコン画像を選択状態とするように表示装置21を制御する第二制御信号CS2を出力する。
【0042】
視界改善機能グループ画像213に含まれる特定のアイコン画像の選択状態が確定されると、処理装置13は、当該アイコン画像に対応付けられた動作を被制御装置に実行させる第二制御信号CS2を出力する。
【0043】
すなわち、本実施形態に係る操舵装置10においては、入力装置12の検出面122における第二方向D2への運転者の手指の移動が、車両20において実行可能な複数の機能の一つを選択するための第一操作に対応付けられている。加えて、入力装置12の可動部材121の第一方向D1への変位が、選択された複数の機能の一つに関連付けられた被制御動作を実行するための第二操作に対応付けられている。
【0044】
入力装置12は操舵部材11の軸部111と把持部112の間に配置されているので、上記の第一操作と第二操作は、把持部112を把持している運転者の手指(一般的には親指)によりなされる。検出面122は把持部112の旋回方向に沿う第二方向D2に長尺となるように配置されているので、運転者は、手指の関節を曲げることなく長いストロークの第一操作を行なうことができる。選択に供される複数の機能の数が増えるほど、第一操作のストロークを長くできることの有利性が高まる。一度の操作でカバー可能な選択肢の数が増えるからである。換言すると、手指に対する負担がより少ない操作で、より多くの機能から一つを選択できる。
【0045】
加えて、選択された複数の機能の一つに関連付けられた被制御動作を実行させるための第二操作は、第二方向D2と交差する第一方向D1へ可動部材121を変位させることによってなされるので、第一操作と第二操作の区別性を高めることができる。この有利性は、選択が必要な複数の被制御動作が各機能に関連付けられている場合においてより顕著となる。
【0046】
結果として、車両20において実行可能な複数の機能の一つを選択し、選択された機能に関連付けられた被制御動作を遂行させるまでの操作性を高めることができる。したがって、複数の被制御動作を実行させるための入力装置12を備えた操舵装置10の利便性を高めることができる。
【0047】
図5は、入力装置12の検出面122における中央寄りの位置に運転者の手指が接触または接近した場合を例示している。この場合、灯具制御機能グループ画像212は、方向指示機能グループ画像211の上方に表示される。視界改善機能グループ画像213は、方向指示機能グループ画像211の下方に表示される。
【0048】
本例においても、処理装置13は、最初に受け付けられた第一検出信号DS1に応答して、方向指示機能グループ画像211が選択された状態を示すように表示装置21を制御する第一制御信号CS1を出力する。その後の可動部材121を用いた操作については、
図4を参照して説明した場合と同じであるので、繰り返しとなる説明は省略する。
【0049】
運転者が手指を検出面122に沿って上方(
図1における旋回経路Pに沿う反時計回り方向)へ移動させると、当該移動に対応する第一検出信号DS1が検出部123により出力される。処理装置13は、当該移動に対応する第一検出信号DS1に応答して、方向指示機能グループ画像211の上方に位置する灯具制御機能グループ画像212が選択された状態を示すように表示装置21を制御する第一制御信号CS1を出力する。その後の可動部材121を用いた操作については、
図4を参照して説明した場合と同じであるので、繰り返しとなる説明は省略する。
【0050】
運転者が手指を検出面122に沿って下方へ移動させると、当該移動に対応する第一検出信号DS1が検出部123により出力される。処理装置13は、当該移動に対応する第一検出信号DS1に応答して、方向指示機能グループ画像211の下方に位置する視界改善機能グループ画像213が選択された状態を示すように表示装置21を制御する第一制御信号CS1を出力する。その後の可動部材121を用いた操作については、
図4を参照して説明した場合と同じであるので、繰り返しとなる説明は省略する。
【0051】
図6は、入力装置12の検出面122における下端寄りの位置に運転者の手指が接触または接近した場合を例示している。この場合、灯具制御機能グループ画像212は、方向指示機能グループ画像211の上方に表示される。視界改善機能グループ画像213は、灯具制御機能グループ画像212の上方に表示される。
【0052】
本例においても、処理装置13は、最初に受け付けられた第一検出信号DS1に応答して、方向指示機能グループ画像211が選択された状態を示すように表示装置21を制御する第一制御信号CS1を出力する。その後の可動部材121を用いた操作については、
図4を参照して説明した場合と同じであるので、繰り返しとなる説明は省略する。
【0053】
運転者が手指を検出面122に沿って上方へ移動させると、当該移動に対応する第一検出信号DS1が検出部123により出力される。処理装置13は、当該移動に対応する第一検出信号DS1に応答して、方向指示機能グループ画像211の上方に位置する灯具制御機能グループ画像212が選択された状態を示すように表示装置21を制御する第一制御信号CS1を出力する。その後の可動部材121を用いた操作については、
図4を参照して説明した場合と同じであるので、繰り返しとなる説明は省略する。
【0054】
運転者が手指を検出面122に沿ってさらに上方へ移動させると、当該移動に対応する第一検出信号DS1が検出部123により出力される。処理装置13は、当該移動に対応する第一検出信号DS1に応答して、灯具制御機能グループ画像212の上方に位置する視界改善機能グループ画像213が選択された状態を示すように表示装置21を制御する第一制御信号CS1を出力する。その後の可動部材121を用いた操作については、
図4を参照して説明した場合と同じであるので、繰り返しとなる説明は省略する。
【0055】
すなわち、本実施形態に係る操舵装置10においては、入力装置12の検出面122に対する運転者の手指の接触または接近が検出されると、車両20において実行可能な複数の機能を選択するための第一操作の受け付けに先立って方向指示機能が選択される。方向指示機能が選択された状態で可動部材121に対する第二操作がなされることにより、車両20に搭載された方向指示灯の点灯がなされる。
【0056】
このような構成によれば、入力装置12を通じて実行可能な複数の機能の数、および検出面122において手指が最初に接触または接近する位置に依らず、方向指示機能が優先的に選択されるので、方向指示の必要を判断してから方向指示動作を行なわせるまでの時間を短縮できる。加えて、運転者は、入力装置12を目視しなくとも方向指示動作の遂行まで到達できる。したがって、車両20において複数の被制御動作を実行させるための入力装置12を備えた操舵装置10の利便性を高めることができる。
【0057】
これまで説明した様々な機能を有する処理装置13のプロセッサ132は、当該機能を実現するためのコンピュータプログラムがプリインストールされた記憶素子を備えたマイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路によって実現されうる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0058】
プロセッサ132は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されてもよい。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、当該機能を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されうる。当該汎用メモリは、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。プロセッサ132は、専用集積回路と汎用マイクロプロセッサの組合せによって実現されてもよい。
【0059】
図2と
図3に例示されるように、可動部材121は、凸部121bを備えている。凸部121bは、検出面122に沿って第二方向D2に延びる部分を有している。
【0060】
このような構成によれば、車両20において実行可能な複数の機能の一つを選択するための第一操作に対するガイドとして、凸部121bを利用できる。これにより、入力装置12を目視することなく行なわれる第一操作を支援できる。加えて、可動部材121を変位させる第二操作は、凸部121bが延びる第二方向D2と交差する第一方向D1になされるので、手指が凸部121bに掛かりやすくなり、可動部材121の操作性を高めることができる。
【0061】
本例においては、単一の凸部121bが、周壁を形成するように検出面122の全体を包囲している。しかしながら、検出面122に沿って第二方向D2に延びる部分を有していれば、凸部121bの形状と数は適宜に定められうる。
【0062】
これまで参照した各構成は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。各構成例は、本開示の趣旨の範囲内において適宜の変更や他の構成例との組合せがなされうる。
【0063】
図4から
図6を参照して説明した方向指示機能の優先選択機能に関しては、入力装置12は、必ずしも操舵部材11の軸部111と把持部112の間に配置される必要はなく、第二方向D2に長尺である検出面122を備える必要もない。
【0064】
例えば、車両20において実行可能な複数の機能の一つを選択するための第一操作を受け付ける第一スイッチと、選択された一つの機能に関連付けられた被制御動作を実行するための第二操作を受け付ける第二スイッチと備えている適宜の入力装置の場合、第一スイッチの操作を通じて運転者の手指の接触または接近が検出されると、操作の態様によらず複数の機能の一つである方向指示機能が優先的に選択されうる。第一スイッチは、静電式、感圧式、または機械式のいずれであってもよい。
【0065】
可動部材121と検出面122を備える入力装置12は、必ずしも操舵部材11に設置されることを要しない。上記の第一操作と第二操作を受け付け可能であれば、車両20の車室内における適宜の位置に配置されうる。
【0066】
入力装置12は、必ずしも可動部材121と検出面122を備えることを要しない。例えば、運転者による特定の語の発話や特定のジェスチャの実行が検出部123により検出されることにより、方向指示機能が優先的に選択されてもよい。特定の語の発話や特定のジェスチャの実行は、運転者のトリガ動作の一例である。この場合、第一操作と第二操作もまた、音声入力やジェスチャ入力を通じてなされうる。
【0067】
上記の実施形態例においては、第一操作は、車両20に搭載された表示装置21に表示された複数の機能の一つを選択するために行なわれている。しかしながら、機能の選択は、必ずしも表示装置21の表示を通じてなされることを要しない。例えば、第一操作の入力に応答して、選択確定に供される各機能が音声ガイダンスを通じて提示されてもよい。
【0068】
操舵部材11の形状は、円環状であることを要しない。回動軸Aを中心とする旋回半径Rと把持部112の旋回経路Pを定義可能であれば、操舵部材11の形状は任意でありうる。把持部112は、運転者の左手により把持される部分と右手により把持される部分とが独立している形状であってもよい。
【0069】
入力装置12は、車両20以外の移動体の進行方向を変更するための操舵装置にも搭載されうる。そのような移動体の例としては、鉄道、船舶、航空機などが挙げられる。方向指示機能以外の機能および当該機能に関連付けられる被制御動作は、当該移動体の仕様に応じて適宜に定められうる。
【0070】
以下に列挙される構成もまた、本開示の一部を構成する。
項目1:
移動体に搭載される動作制御装置であって、
前記移動体の運転者のトリガ動作を検出可能な入力装置と、
処理装置と、
を備えており、
前記入力装置は、
前記移動体において実行可能な複数の機能の一つを選択するための第一操作と、
選択された前記複数の機能の一つに関連付けられた被制御動作を実行するための第二操作と、
を受け付け可能に構成されており、
前記複数の機能は、前記移動体の進行方向を示す方向指示機能を含んでおり、
前記トリガ動作が検出されると、前記処理装置は、前記第一操作の受け付けに先立って前記方向指示機能を選択し、
前記方向指示機能が選択された状態で前記第二操作が受け付けられると、前記処理装置は、前記移動体に搭載された方向指示灯を点灯させる、
動作制御装置。
項目2:
前記入力装置は、
第一方向への変位が可能である可動部材と、
前記トリガ動作として前記運転者の手指の接触または接近を検出するために前記可動部材に設けられた検出面と、
を備えており、
前記検出面における前記第一方向と交差する第二方向への前記手指の移動が前記第一操作に対応付けられており、
前記可動部材の前記第一方向への変位が前記第二操作に対応付けられている、
項目1に記載の動作制御装置。
項目3:
前記検出面は、前記第二方向に長尺となるように設けられている、
項目2に記載の動作制御装置。
項目4:
前記進行方向を変更する操舵部材を備えており、
前記操舵部材は、
回動軸を中心として回動が可能であり、当該回動が前記進行方向の変更動作に対応付けられている軸部と、
前記回動軸を中心とした旋回経路に沿って旋回可能であり、前記運転者の手により把持可能である把持部と、
を備えており、
前記入力装置は、前記軸部と前記把持部の間に設置されており、
前記第二方向は、前記把持部の旋回方向に沿っている、
項目3に記載の動作制御装置。
項目5:
前記可動部材は、前記検出面に沿って前記第二方向に延びる部分を有する凸部を備えている、
項目2から4のいずれか一項に記載の動作制御装置。
項目6:
前記第一操作は、前記移動体に搭載された表示装置に表示された前記複数の機能から一つを選択する操作に対応付けられている、
項目1から5のいずれか一項に記載の動作制御装置。
【符号の説明】
【0071】
10:操舵装置、11:操舵部材、111:軸部、112:把持部、12:入力装置、121:可動部材、121b:凸部、122:検出面、13:処理装置、131:入力インタフェース、132:プロセッサ、20:車両、21:表示装置、A:回動軸、D1:第一方向、D2:第二方向、P:旋回経路、R:旋回半径