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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100064
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】表示パネル用基板、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20240719BHJP
   G02B 5/20 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
G02F1/1335 500
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003778
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】岡田 訓明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩巳
(72)【発明者】
【氏名】古川 博章
(72)【発明者】
【氏名】蜂谷 篤史
【テーマコード(参考)】
2H148
2H291
【Fターム(参考)】
2H148BD02
2H148BD12
2H148BE01
2H148BE33
2H148BG02
2H148BH00
2H291FA06Y
2H291FA15Y
2H291FA16Y
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA81Z
2H291FA94Y
2H291FA96Y
2H291FB12
2H291FD07
2H291FD20
2H291FD25
2H291GA08
2H291GA19
2H291HA15
2H291LA06
(57)【要約】
【課題】耐湿性を向上する。
【解決手段】表示パネル用基板20は、媒質層18を介して対向する2つの基板のうち一方の基板20を構成し、複数の着色部25R、25G、25Bを有するカラーフィルタ25と、異なる色を呈する前記着色部25R、25G、25Bの境界と重畳する複数の遮光部22と、少なくとも複数の遮光部22と重畳する第1無機材料膜23と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒質層を介して対向する2つの基板のうち一方の基板を構成し、
複数の着色部を有するカラーフィルタと、
異なる色を呈する前記着色部の境界と重畳する複数の遮光部と、
少なくとも前記複数の遮光部と重畳する第1無機材料膜と、を備える表示パネル用基板。
【請求項2】
前記複数の遮光部は、前記一方の基板の母材であるガラス基板の上に設けられ、
前記第1無機材料膜は、前記媒質層と前記複数の遮光部との間に設けられている請求項1に記載の表示パネル用基板。
【請求項3】
前記第1無機材料膜は、前記複数の遮光部の上に設けられ、
前記複数の着色部は、前記第1無機材料膜の上に設けられている請求項2に記載の表示パネル用基板。
【請求項4】
前記第1無機材料膜は、前記複数の遮光部の前記媒質層側の面に接触して、前記複数の遮光部を覆っている一方、前記複数の遮光部との非重畳部には設けられていない請求項3に記載の表示パネル用基板。
【請求項5】
前記第1無機材料膜は、前記複数の遮光部の側面及び前記媒質層側の面に接触して、前記複数の遮光部を覆っている一方、前記複数の遮光部との非重畳部には設けられていない請求項3に記載の表示パネル用基板。
【請求項6】
前記複数の着色部は、前記複数の遮光部の上に設けられ、
前記第1無機材料膜は、前記複数の着色部の上に設けられている請求項2に記載の表示パネル用基板。
【請求項7】
前記複数の着色部と重畳するオーバーコート膜をさらに備え、
前記オーバーコート膜は、前記第1無機材料膜の上に設けられている請求項6に記載の表示パネル用基板。
【請求項8】
前記複数の着色部と重畳するオーバーコート膜をさらに備え、
前記第1無機材料膜は、前記オーバーコート膜の上に設けられている請求項2に記載の表示パネル用基板。
【請求項9】
前記複数の遮光部は、前記複数の着色部の上層側に設けられ、
前記複数の遮光部の前記媒質層側の面は、前記第1無機材料膜に接触して覆われており、
前記複数の遮光部の前記着色部側の面に接触して、前記複数の遮光部を覆う第2無機材料膜をさらに備える請求項1に記載の表示パネル用基板。
【請求項10】
前記第1無機材料膜は、前記複数の遮光部の前記媒質層側の面に接触して、前記複数の遮光部を覆っている一方、前記複数の遮光部との非重畳部には設けられていない請求項9に記載の表示パネル用基板。
【請求項11】
前記第1無機材料膜は、前記複数の遮光部の側面及び前記媒質層側の面に接触して、前記複数の遮光部を覆っている一方、前記複数の遮光部との非重畳部には設けられていない請求項9に記載の表示パネル用基板。
【請求項12】
前記第2無機材料膜は、前記複数の遮光部の前記複数の着色部側の面に接触して、前記複数の遮光部を覆っている一方、前記複数の遮光部との非重畳部には設けられていない請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の表示パネル用基板。
【請求項13】
前記複数の着色部と重畳する画素電極と、
基準電位が印加され、前記複数の画素電極との間で電界を形成するための共通電極と、をさらに備え、
前記複数の遮光部の前記媒質層側の面は、前記第1無機材料膜に接触して覆われ、
前記複数の遮光部の前記媒質層と反対側の面は、前記共通電極に接触して覆われている請求項1に記載の表示パネル用基板。
【請求項14】
前記複数の着色部と重畳する画素電極と、
基準電位が印加され、前記複数の画素電極との間で電界を形成するための共通電極と、をさらに備え、
前記複数の遮光部の前記媒質層側の面は、前記共通電極に接触して覆われ、
前記複数の遮光部の前記媒質層と反対側の面は、前記第1無機材料膜に接触して覆われている請求項1に記載の表示パネル用基板。
【請求項15】
請求項1から請求項11、請求項13、または請求項14のいずれか1項に記載の表示パネル用基板を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の技術は、表示パネル用基板、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置の主要部品である液晶パネルは、一対の基板間に液晶層を封入した構成をなしている。基板には、カラーフィルタ、及び混色を防ぐためのブラックマトリクス(遮光部)が形成されることが知られており、特許文献1には、その一例が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の液晶パネル用基板は、ソーダガラスからなる透明基板(ガラス基板)の一面(液晶層側の面)に、酸化ケイ素の積層膜が形成され、その上にブラックマトリクス、カラーフィルタ、平滑層、透明電極が順に形成されている。またガラス基板の他面(液晶層と反対側の面)にも、酸化ケイ素の積層膜が形成されている。ガラス基板の両面に形成された酸化ケイ素の積層膜によれば、ガラス基板から溶出されるナトリウム等のアルカリ成分が透明電極に与える悪影響を防げることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-66183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一対の基板の外周縁部は有機絶縁製のシール部によって貼り合わされ、液晶層はシール部で囲まれた領域に封入される。このため高温高湿の環境下では、外部からの水分がシール部を通って、液晶層に浸透してしまうことがある。この浸透した水分が液晶層を通ってさらにブラックマトリクスに達すると、ブラックマトリクスから不純物が溶出してしまうことがある。また、ブラックマトリクスの触媒作用によって、ブラックマトリクスの近傍材料が分解され、近傍材料から不純物が溶出してしまうことがある。そして、この不純物が液晶層に溶出すると、光学特性が変化し、表示品位が低下してしまうのが実情である。
【0006】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、耐湿性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本願明細書に記載の技術に関わる表示パネル用基板は、媒質層を介して対向する2つの基板のうち一方の基板を構成し、複数の着色部を有するカラーフィルタと、異なる色を呈する前記着色部の境界と重畳する複数の遮光部と、少なくとも前記複数の遮光部と重畳する第1無機材料膜と、を備える。
【0008】
(2)また、上記表示パネル用基板は、上記(1)に加え、前記複数の遮光部は、前記一方の基板の母材であるガラス基板の上に設けられ、前記第1無機材料膜は、前記媒質層と前記複数の遮光部との間に設けられていてもよい。
【0009】
(3)また、上記表示パネル用基板は、上記(2)に加え、前記第1無機材料膜は、前記複数の遮光部の上に設けられ、前記複数の着色部は、前記第1無機材料膜の上に設けられていてもよい。
【0010】
(4)また、上記表示パネル用基板は、上記(3)に加え、前記第1無機材料膜は、前記複数の遮光部の前記媒質層側の面に接触して、前記複数の遮光部を覆っている一方、前記複数の遮光部との非重畳部には設けられていなくてもよい。
【0011】
(5)また、上記表示パネル用基板は、上記(3)に加え、前記第1無機材料膜は、前記複数の遮光部の側面及び前記媒質層側の面に接触して、前記複数の遮光部を覆っている一方、前記複数の遮光部との非重畳部には設けられていなくてもよい。
【0012】
(6)また、上記表示パネル用基板は、上記(2)に加え、前記複数の着色部は、前記複数の遮光部の上に設けられ、前記第1無機材料膜は、前記複数の着色部の上に設けられていてもよい。
【0013】
(7)また、上記表示パネル用基板は、上記(6)に加え、前記複数の着色部と重畳するオーバーコート膜をさらに備え、前記オーバーコート膜は、前記第1無機材料膜の上に設けられていてもよい。
【0014】
(8)また、上記表示パネル用基板は、上記(6)に加え、前記複数の着色部と重畳するオーバーコート膜をさらに備え、前記第1無機材料膜は、前記オーバーコート膜の上に設けられていてもよい。
【0015】
(9)また、上記表示パネル用基板は、上記(1)に加え、前記複数の遮光部は、前記複数の着色部の上層側に設けられ、前記複数の遮光部の前記媒質層側の面は、前記第1無機材料膜に接触して覆われており、前記複数の遮光部の前記着色部側の面に接触して、前記複数の遮光部を覆う第2無機材料膜をさらに備えていてもよい。
【0016】
(10)また、上記表示パネル用基板は、上記(9)に加え、前記第1無機材料膜は、前記複数の遮光部の前記媒質層側の面に接触して、前記複数の遮光部を覆っている一方、前記複数の遮光部との非重畳部には設けられていなくてもよい。
【0017】
(11)また、上記表示パネル用基板は、上記(9)に加え、前記第1無機材料膜は、前記複数の遮光部の側面及び前記媒質層側の面に接触して、前記複数の遮光部を覆っている一方、前記複数の遮光部との非重畳部には設けられていなくてもよい。
【0018】
(12)また、上記表示パネル用基板は、上記(9)から(11)のいずれか1つに加え、前記第2無機材料膜は、前記複数の遮光部の前記複数の着色部側の面に接触して、前記複数の遮光部を覆っている一方、前記複数の遮光部との非重畳部には設けられていなくてもよい。
【0019】
(13)また、上記表示パネル用基板は、上記(1)に加え、前記複数の着色部と重畳する画素電極と、基準電位が印加され、前記複数の画素電極との間で電界を形成するための共通電極と、をさらに備え、前記複数の遮光部の前記媒質層側の面は、前記第1無機材料膜に接触して覆われ、前記複数の遮光部の前記媒質層と反対側の面は、前記共通電極に接触して覆われていてもよい。
【0020】
(14)また、上記表示パネル用基板は、上記(1)に加え、前記複数の着色部と重畳する画素電極と、基準電位が印加され、前記複数の画素電極との間で電界を形成するための共通電極と、をさらに備え、前記複数の遮光部の前記媒質層側の面は、前記共通電極に接触して覆われ、前記複数の遮光部の前記媒質層と反対側の面は、前記第1無機材料膜に接触して覆われていてもよい。
【0021】
(15)本願明細書に記載の技術に関わる表示装置は、上記(1)から(14)のいずれか1つの表示パネル用基板を備える。
【発明の効果】
【0022】
本願明細書に記載の技術によれば、耐湿性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る液晶表示装置の斜視図
図2】液晶パネルの断面図
図3】アレイ基板の表示領域における等価回路図
図4】カラーフィルタ及び遮光部の平面構造を示す平面図
図5図4のI-I線断面図
図6】第1無機材料膜の膜厚に対する透過率変化の試算結果
図7】第1無機材料膜の膜厚に対する色度シフト量の試算結果
図8】実施例1に係る対向基板の含有成分の測定結果1
図9】実施例1に係る対向基板の含有成分の測定結果2
図10】比較例1に係る対向基板の含有成分の測定結果1
図11】比較例1に係る対向基板の含有成分の測定結果2
図12】第2実施形態に係る対向基板を図4のI-I線位置で切断した断面図
図13】第3実施形態に係る対向基板を図4のI-I線位置で切断した断面図
図14】第4実施形態に係る対向基板を図4のI-I線位置で切断した断面図
図15】第5実施形態に係る対向基板を図4のI-I線位置で切断した断面図
図16】第6実施形態に係るアレイ基板を図4のI-I線位置で切断した断面図
図17】第7実施形態に係る第1無機材料膜、遮光部、第2無機材料膜を示す断面図
図18】第8実施形態に係る第1無機材料膜、遮光部、第2無機材料膜を示す断面図
図19】第9実施形態に係る第1無機材料膜、遮光部、第2無機材料膜を示す断面図
図20】第10実施形態に係るアレイ基板を図4のI-I線位置で切断した断面図
図21】第11実施形態に係るアレイ基板を図4のI-I線位置で切断した断面図
図22】他の実施形態に係る遮光部を示す断面図
図23】他の実施形態に係る遮光部を示す断面図
図24】他の実施形態に係る第1無機材料膜、遮光部、及び第2無機材料膜を示す断面図
図25】他の実施形態に係る第1無機材料膜、遮光部、及び第2無機材料膜を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶表示装置100(表示装置の一例)について図1から図9を参照して説明する。なお、一部の図面にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で共通する方向となるように描かれている。また、+Z軸方向を表側(表示面側)とし、-Z軸方向を裏側とする。
【0025】
液晶表示装置100は、図1に示すように、画像を表示可能な液晶パネル10(表示パネルの一例)と、液晶パネル10を駆動するドライバ12と、ドライバ12に対して各種信号を供給するコントロール基板16と、液晶パネル10とコントロール基板16とを電気的に接続するフレキシブル基板14と、液晶パネル10に対して裏側に配されて液晶パネル10に表示のための光を照射する外部光源であるバックライト装置80(照明装置の一例)と、を少なくとも備えている。
【0026】
液晶パネル10は、図2に示すように、その面内が、画像を表示可能で且つ中央側に配される表示領域(アクティブエリア)AAと、表示領域AAを取り囲む形で外周側に配されて平面に視て枠状(額縁状)をなす非表示領域(ノンアクティブエリア)NAAと、に区分されている。液晶パネル10は、一対の基板20、30と、液晶層18(媒質層の一例)と、シール部50と、を有する。液晶層18は、両基板20、30間に挟持されており、電界印加に伴って光学特性が変化する液晶分子(機能性有機分子の一例)を含んでいる。シール部50は、液晶層18を取り囲むように非表示領域NAAに形成され、両基板20、30間に介在している。シール部50は、液晶層18の厚さ分のセルギャップを維持した状態で液晶層18を封止している。シール部50は、有機絶縁材料からなり、例えば光または熱によって硬化する樹脂製とされる。
【0027】
一対の基板20、30のうち表側が対向基板20(表示パネル用基板の一例)とされ、裏側がアレイ基板(アクティブマトリクス基板、TFT基板)30とされる。対向基板20及びアレイ基板30にはそれぞれ、ガラス基板21、31の液晶層側に各種の膜20A、30Aが積層形成されている。また、両基板20、30において最も内側(液晶層18側)には、ポリイミド樹脂等の有機絶縁材18料からなる配向膜がそれぞれベタ状に形成されている。配向膜は、液晶層18に接して液晶分子を配向させる。両基板20、30の外面側(液晶層18と反対側)には、それぞれ偏光板10C、10Dが貼り付けられている。
【0028】
アレイ基板30の表示領域AAには、図3に示すように、スイッチング素子である複数のTFT32、及び複数の画素電極34が平面視でマトリクス状に並んで設けられている。また、TFT32及び画素電極34を取り囲むように、複数のゲート配線(走査線)36G及び複数のソース配線(データ線、信号線)36Sが格子状に設けられている。TFT32は、ゲート配線36Gに接続されるゲート電極32Gと、ソース配線36Sに接続されるソース電極32Sと、画素電極34に接続されるドレイン電極32Dと、を有する。また、TFT32は、一端側がソース電極32Sに、他端側がドレイン電極32Dに接続される半導体膜を有する。ゲート配線36Gに供給されるゲート信号が閾値電圧以上になると、TFT32のソース電極32Sとドレイン電極32Dとの間には、半導体膜からなるチャネルを介して電流が流れる。これにより、画素電極34はソース信号に応じた電位に充電される。所定の基準電位が印加される共通電極35と、画素電極34との間に電位差が生じ、液晶層18には電界が印加されて、液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶パネル10を透過する光の透過率が変化する。共通電極35は、アレイ基板30に設けられている。
【0029】
対向基板20の表示領域AAには、図5に示すように、ガラス基板21側から順に、遮光部(ブラックマトリクス)22、第1無機材料膜23、カラーフィルタ25、オーバーコート膜27が積層されている。オーバーコート膜27上には、さらに配向膜が塗布されるものとされる。カラーフィルタ25は、図4に示すように、平面に視てマトリクス状に配列された複数の着色部25R(赤色)、25G(緑色)、25B(青色)からなる。各着色部25R,25G,25Bは、アレイ基板30の画素電極34と平面に視て重畳している。異なる色の着色部25R,25G,25Bは、X軸方向に隣り合うよう並んで配置されており、その境界(色境界)はアレイ基板30のソース配線36Sと重畳している。X軸方向に沿って並ぶR、G、Bのカラーフィルタ25と、各カラーフィルタ25と対向する3つの画素電極34と、が液晶パネル10の3色の画素PXを構成している。3色の画素PXによって所定の階調のカラー表示を可能な表示画素が構成されている。カラーフィルタ25の各着色部25R,25G,25Bは、その透過光が各色を呈するように、例えば有機絶縁材料中に顔料が配合された構成をなす。当該有機絶縁材料は例えば、光または熱によって硬化する透明なアクリル樹脂(PMMA等)やポリイミド樹脂とされる。
【0030】
遮光部22は、着色部25R,25G,25Bを透過する各色の光の交わりを遮ることで、異なる色を呈する画素PX間に生じる混色を抑制するために設けられている。このため遮光部22は、少なくとも異なる色の着色部25R,25G,25Bの間(境界)に介在するように、複数形成される。既述したように、着色部25R,25G,25Bの境界はアレイ基板30のソース配線36Sと重畳していることから、遮光部22もソース配線36Sと重畳している。本実施形態に係る遮光部22は、図4に示すように、ソース配線36Sに加えてゲート配線36Gに対しても重畳しており、行列状(格子状)に形成されている。遮光部22のうちゲート配線36Gに重畳する部分は、同色の着色部25R,25G,25Bを画素PX毎に仕切ることで、表示画素の表示の独立性を担保している。
【0031】
遮光部22は、金属(合金含む)や黒色樹脂等の遮光材料からなる。例えば遮光部22は、膜厚が50nm程度から150nm程度のチタン(Ti)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属、又はこれらの合金の単層膜からなる。また例えば遮光部22は、膜厚1μm程度の黒色樹脂の単層膜であってもよい。さらに遮光部22は、他の実施形態(1)において後述するように積層膜であってもよい(図22、23参照)。遮光部22は、全ての構成部分が同一材料によって形成されていなくても構わない。例えば、遮光部22のソース配線36Sとの重畳部(Y軸方向に沿う延出部)は金属材料によって形成し、ゲート配線36Sとの重畳部(X軸方向に沿う延出部)は黒色樹脂材料によって形成しても構わない。
【0032】
遮光部22に金属材料を用いると、黒色樹脂材料を用いる場合に比べて、製造時のパターニングが容易で、エッチングによる仕上がり幅のバラつきを抑制できる。また、遮光部22を薄膜化しやすいため、対向基板20とアレイ基板30を重ね合わせる際の位置ズレが生じ難くなり、表示品位の低下を抑制できる。このため金属材料製の遮光部22は、特に1000ppiを超える高精細機種に対して好適である。
【0033】
オーバーコート膜27は、図5に示すように、カラーフィルタ25の上にベタ状に形成されている。オーバーコート膜27によって対向基板20の表面が平坦化される。オーバーコート膜27は、透明な有機絶縁材料からなる。当該有機絶縁材料は例えば、光または熱によって硬化する透明なアクリル樹脂(PMMA)やエポキシ樹脂とされる。
【0034】
第1無機材料膜23は、図5に示すように、遮光部22の上にベタ状に形成されている。第1無機材料膜23は、遮光部22への水分浸透を遮るために設けられている。第1無機材料膜23は、遮光部22の上面22A(液晶層18側の面)に接触して、上面22Aを覆っている。また第1無機材料膜23は、遮光部22が設けられていない部分において、ガラス基板21の表面21A(液晶層18側の面)に接触して、表面21Aを覆っている。第1無機材料膜23は、透明で耐湿作用を有していれば、絶縁材料であっても導電材料であっても構わず、その種類は限定されない。第1無機材料膜23が無機絶縁材料である場合、例えば酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)を用いることができる。第1無機材料膜23が無機導電材料である場合、例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)を用いることができる。また第1無機材料膜23は、単層に限られず、これらの積層膜であっても構わない。
【0035】
第1無機材料膜23を設けることで、外部からの水分が、透湿しやすい有機絶縁材料製の構造物を通って(例えば、シール部50、液晶層18、オーバーコート膜27、及びカラーフィルタ25を順に通って)、遮光部22に達する事態を抑制できる。これにより、水分浸透によって遮光部22から不純物が溶出する事態を抑制できる。また、水分浸透に伴う遮光部22の触媒作用によって、遮光部22に接するカラーフィルタ25が分解され、カラーフィルタ25から不純物が溶出してしまう事態を抑制できる。
【0036】
また第1無機材料膜23が遮光部22の上面22Aを覆うことで、遮光部22の上層側に積層される膜の密着性を向上できる。仮に第1無機材料膜23が設けられない場合、遮光部22上に積層される膜は、遮光部22の上面22A、及びガラス基板21の表面21Aにベタ状に成膜(塗布)されることとなる。この場合、遮光部22として金属材料(合金を含む)を用いると、遮光部22の上面22Aは金属製である一方、ガラス基板21の表面21Aはガラス製であることから、その上に成膜される膜の濡れ性(密着性、塗布性)は、2つの表面(上面22Aと表面21A)で大きく異なるものとなってしまう。その結果、遮光部22上に積層される膜を均一に成膜できないことがある。特にこの問題は、隣り合う遮光部22のピッチ(中心間距離)が10μm以下と小さい場合に顕著に生じやすい。
【0037】
その点、本実施形態では遮光部22の上面22A、及びガラス基板21の表面21Aはいずれも第1無機材料膜23に覆われており、濡れ性の違いは生じない。その結果、遮光部22として金属材料を用いた場合であっても、遮光部22の上層側に積層される膜を濡れムラなく均一に成膜できるようになる。
【0038】
第1無機材料膜23の膜厚は、例えば10nm程度から300nm程度の範囲とされる。第1無機材料膜23を設けると、上記したように耐湿性及び密着性を向上できる一方、干渉によって透過率が低下してしまう。透過率の低下を抑制するためには、第1無機材料膜23の膜厚は、20nm以下、又は膜厚と屈折率の積が275nm程度であることが好ましい。例えば第1無機材料膜23が屈折率1.89の窒化シリコン(SiNx)からなる場合、透過率の低下を2%以下(すなわち透過率を98%以上)にするためには、図6に示す試算結果に示すように、第1無機材料膜23の膜厚は30nm以下、又は120nm以上180nm以下であることが好ましい。また、当該膜厚範囲において、いわゆるxy色度図における色度シフト量Δx、Δyは、図7の試算結果に示すように0.005以下と小さく、色度変化にも影響を及ぼさない。
【0039】
<比較実験1>
上記した第1無機材料膜23による不純物の抑制効果を確認するため、比較実験1を行った。比較実験1では、下記の条件において第1無機材料膜23を備える液晶パネル10(実施例1)、及び第1無機材料膜23を備えない液晶パネル(比較例1)を製造し、これらを高温高湿環境(温度60℃、湿度95%)に240時間曝した。その後、実施例1、比較例1に係る液晶パネルを分解して、それぞれの対向基板の含有成分を測定した。測定にはTOF-SIMS(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry、飛行時間型二次イオン質量分析法)を用いた。
【0040】
より詳しくは、対向基板に対してオーバーコート膜27側から一次イオン(Bi+)を照射し、表面から放出される二次イオンを測定することで、表面に含有される成分を評価した。また、測定用のイオンビーム(一次イオン)とは別に、表面エッチングのためのスパッタ用イオンビームをオーバーコート膜27側から照射した。スパッタ時間が経過すると、オーバーコート膜27からガラス基板21に向かって表面が削られる。露出した表面から放出される二次イオンを測定することで、対向基板の膜厚方向(Z軸方向)について含有成分の変化を把握できる。二次イオンについては、陽イオンと陰イオンを別々に測定したため、実施例1、比較例1について2つずつの測定結果(測定結果1(陽イオン)と2(陰イオン))を図8から図11に示す。
【0041】
<条件>
・遮光部22の材質:タングステン(W)
・第1無機材料膜23の材質、膜厚:窒化シリコン(SiNx)、100nm
【0042】
<対向基板の含有成分の評価>
測定結果1(陽イオン)について、図8に示す実施例1のグラフと、図10に示す比較例1のグラフを比較する。図10の比較例1のグラフでは、不純物成分であるナトリウム(Na)とカリウム(K)が、遮光部22のカラーフィルタ25との境界領域(すなわち遮光部22の上面22A近傍)において急増しており、急峻なピークが確認された。これらの不純物は、透湿によって生じるタングステン(W)の触媒作用によって、カラーフィルタ25が分解されたことで溶出したと考えられる。一方、図8の実施例1のグラフでは、これらの不純物のピークは確認されなかった。従って、第1無機材料膜23を設けることで、不純物の溶出が適切に抑制されていることが確認できた。
【0043】
また、測定結果2(陰イオン)について、図11の比較例1のグラフでは、不純物成分である炭素(C)と水素(H)が、遮光部22のカラーフィルタ25との境界(すなわち遮光部22の上面22A)において増大しており、緩やかなピークが確認された。一方、比較対象である図9の実施例1のグラフでは、これらの不純物のピークは確認されなかった。従って、測定結果2においても第1無機材料膜23を設けることで、不純物成分の溶出が適切に抑制されていることが確認できた。
【0044】
なお、比較実験1では、遮光部22としてタングステン(W)が用いられたが、水分に対する反応性がより高い材料(例えばモリブデン(Mo))を用いると、遮光部22の材料が水分と直接反応して溶出すると考えられる。第1無機材料膜23を設けることで、遮光部22の材料そのものが不純物として溶出する事態も抑制できる。
【0045】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る対向基板120について図12を参照して説明する。第2実施形態では、第1無機材料膜123の平面視における形成位置が第1実施形態と異なる。第1実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0046】
第1無機材料膜123は、ベタ状に形成されておらず、遮光部22の上面22A及び側面22Bを覆う位置のみにパターン形成されている。第1無機材料膜123は、上面22A及び側面22Bに接触して、これらを覆っているが、それ以外の領域である遮光部22との非重畳部には設けられていない。このようにすれば、対向基板120の耐湿性を向上しつつ、第1無機材料膜123の配設に伴う透過率の低下を抑制できる。
【0047】
また、遮光部22として金属材料(合金、単層膜、積層膜を含む)を用いた場合であっても、第1無機材料膜123に酸化シリコン(SiOx)や窒化シリコン(SiNx)を用いることで、その上面123Aに成膜される膜の濡れ性をガラス基板21の表面21Aとほぼ同等にできる。これにより、遮光部22に金属材料を用いた場合であっても、遮光部22の上層側に積層される膜を濡れムラなく均一に成膜できる。
【0048】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る対向基板220について図13を参照して説明する。第3実施形態では、第1無機材料膜223の平面視における形成位置が第1実施形態と異なる。第1実施形態及び第2実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0049】
第1無機材料膜223は、ベタ状に形成されておらず、遮光部22の上面22Aを覆う位置のみにパターン形成されている。第1無機材料膜223は、上面22Aに接触して、これを覆っているが、それ以外の領域である遮光部22との非重畳部には設けられていない。第1無機材料膜223は、遮光部22の側面22Bを覆っていないが、実用上、必要とされる耐湿性は確保できる。このように第1無機材料膜223を設けることで、対向基板220の耐湿性を向上しつつ、第1無機材料膜223の配設に伴う透過率の低下をより抑制できる。また、実施形態2と同様に、第1無機材料膜223に酸化シリコン(SiOx)や窒化シリコン(SiNx)を用いることで、その上面223Aに成膜される膜の濡れ性をガラス基板21の表面21A上とほぼ同等にでき、遮光部22の上層側に積層される膜を濡れムラなく均一に成膜できる。
【0050】
さらに第1無機材料膜223は、遮光部22と同一の平面形状を有することから、遮光部22として金属材料(合金、単層膜、積層膜を含む)を用いた場合、遮光部22及び第1無機材料膜223は主にドライエッチングによって、一括でパターン形成できる。これにより、第2実施形態に比べて第1無機材料膜223のパターン形成に伴う製造工程の増加を抑制できる。
【0051】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る対向基板320について図14を参照して説明する。第4実施形態では、第1無機材料膜323の積層位置が第1実施形態と異なる。第1実施形態から第3実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0052】
第1無機材料膜323は、カラーフィルタ25上にベタ状に形成されている。既述したように、外部からの水分は、有機絶縁材料製の構造物であるシール部50、液晶層18、オーバーコート膜27、及びカラーフィルタ25を通って、遮光部22に達する。このため、第1無機材料膜323を設けることで、この侵入経路を遮断でき、耐湿性を向上できる。
【0053】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る対向基板420について図15を参照して説明する。第5実施形態では、第1無機材料膜423の積層位置が第1実施形態と異なる。第1実施形態から第4実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0054】
第1無機材料膜423は、オーバーコート膜27上にベタ状に形成されている。第1無機材料膜423を設けることで、第4実施形態と同様に外部からの水分の侵入経路を遮断でき、耐湿性を向上できる。
【0055】
<第6実施形態>
第6実施形態に係るアレイ基板130(表示パネル用基板の他の一例)について図16を参照して説明する。第6実施形態では、カラーフィルタ25、遮光部22、及び第1無機材料膜523がアレイ基板130に形成されている点が第1実施形態と異なる。第1実施形態から第5実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0056】
本実施形態に係る液晶パネルは、カラーフィルタ25がアレイ基板130に設けられている、いわゆるCOA(Color Filter On Array)構造とされる。アレイ基板130には、図16に示すように、ガラス基板31側から順に、ゲート絶縁膜37、ソース配線36S、第1層間絶縁膜38、カラーフィルタ25、平坦化膜39、画素電極34、第2無機材料膜40、遮光部22、及び第1無機材料膜523が積層されている。またソース配線36Sと同じ層には、TFT32のソース電極32S及びドレイン電極32Dが形成され、ゲート絶縁膜37の下層にはゲート配線36G及びゲート電極32Gが形成されているものとされる。TFT32のチャネルとなる半導体膜は、第1層間絶縁膜38の下層に形成されているものとされる。共通電極35は、アレイ基板130ではなく、対向基板に設けられているものとされる。
【0057】
ゲート絶縁膜37は、ゲート金属膜からなる構造物(ゲート配線36G、及びゲート電極32G)と、ソース金属膜からなる構造物(ソース配線36S、ソース電極32S、及びドレイン電極32D)との間を絶縁している。第1層間絶縁膜38は、ソース金属膜からなる構造物(ソース配線36S、ソース電極32S、及びドレイン電極32D)の上に設けられ、これらの金属特性が透湿によって劣化しないようにソース金属膜を覆って保護している。平坦化膜39は、カラーフィルタ25上にベタ状に形成され、アレイ基板130の表面を平坦化している。画素電極34は、平坦化膜39上に形成されている。画素電極34は、カラーフィルタ25の各着色部25R,25G,25Bと重畳するように、X軸方向に所定の間隔を掛けて形成されている。
【0058】
第2無機材料膜40は、平坦化膜39、及び平坦化膜39上の画素電極34を覆うようにベタ状に形成されている。遮光部22は、ソース配線36Sと重畳するように、第2無機材料膜40上に形成されている。換言すると、第2無機材料膜40は、遮光部22の直下にベタ状に形成されている。第2無機材料膜40は、隣り合う画素電極34の間に充填されてこれらを絶縁している。また第2無機材料膜40は、遮光部22の下面22C(ガラス基板21側の面)に接触して、下面22Cを覆っている。
【0059】
第1無機材料膜523は、第2無機材料膜40、及び第2無機材料膜40上の遮光部22を覆うようにベタ状に形成されている。第1無機材料膜523は、遮光部22の上面22A(液晶層18側の面)及び側面22Bに接触して、これらの面22A、22Bを覆っている。
【0060】
画素電極34は、ITOやIZO等の透明な無機導電材料からなる。ゲート絶縁膜37、第1層間絶縁膜38、及び第2無機材料膜40は、酸化シリコン(SiOx)、酸窒化シリコン(SiON)、窒化シリコン(SiNx)等の単層又はその積層である透明な無機絶縁材料からなる。ソース金属膜、及びゲート金属膜は、銅(Cu)等の金属、合金の単層膜又はこれらの積層膜からなる。平坦化膜39は、アクリル樹脂(PMMA等)やポリイミド樹脂等の透明な有機絶縁材料からなる。なお、有機絶縁材料からなる各膜は、無機絶縁材料からなる各膜よりも膜厚が大きいのが通常である。半導体膜は、例えばアモルファスシリコン薄膜に金属材料を添加した多結晶シリコン薄膜からなる。遮光部22は、既述したように金属や黒色樹脂等の遮光材料からなり、単層膜であっても積層膜であっても構わない。
【0061】
上記した構成によれば、遮光部22は、上面22A及び側面22Bが第1無機材料膜523によって覆われ、下面22Cが第2無機材料膜40によって覆われている。これにより、遮光部22の上面22A及び側面22Bからの水分の侵入を第1無機材料膜523によって抑制でき、下面22Cからの水分の侵入を第2無機材料膜40によって抑制できる。
【0062】
なお遮光部22は、図16では、遮光効率を向上するために、アレイ基板130の最上層側(液晶層18に近い位置)に配置されているが、積層位置はこれに限定されない。遮光部22は、アレイ基板130におけるカラーフィルタ25から最上層(配向膜を除く)までの間のどの位置に積層されていてもよい。その場合、第1無機材料膜523、及び第2無機材料膜40の積層位置は、遮光部22への水分の侵入経路を遮断可能な位置に適宜変更可能である。
【0063】
<第7実施形態>
第7実施形態に係る第1無機材料膜623について図17を参照して説明する。第7実施形態では、CFO構造のアレイ基板において、第1無機材料膜623の平面視における形成位置が第6実施形態と異なる。第1実施形態から第6実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0064】
第1無機材料膜623は、第6実施形態に係る第1無機材料膜523と異なり、第2無機材料膜40及び遮光部22の上にベタ状に形成されていない。第1無機材料膜623は、第2実施形態に係る第1無機材料膜123と同様に、遮光部22の上面22A及び側面22Bを覆う位置のみにパターン形成されている。第1無機材料膜623は、これら以外の領域である遮光部22との非重畳部には設けられていない。
【0065】
<第8実施形態>
第8実施形態に係る第1無機材料膜723について図18を参照して説明する。第8実施形態では、CFO構造のアレイ基板において、第1無機材料膜723の平面視における形成位置が第6実施形態と異なる。第1実施形態から第7実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0066】
第1無機材料膜723は、第6実施形態に係る第1無機材料膜523と異なりベタ状に形成されていない。第1無機材料膜723は、第3実施形態に係る第1無機材料膜223と同様に、遮光部22の上面22Aを覆う位置のみにパターン形成されている。第1無機材料膜723は、これ以外の領域である遮光部22との非重畳部には設けられていない。
【0067】
<第9実施形態>
第9実施形態に係る第2無機材料膜140について図19を参照して説明する。第9実施形態では、CFO構造のアレイ基板において、第2無機材料膜140の平面視における形成位置が第6実施形態と異なる。第1実施形態から第8実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0068】
第2無機材料膜140は、第6実施形態に係る第2無機材料膜40と異なりベタ状に形成されていない。第2無機材料膜140は、遮光部22の下面22Cを覆う位置のみにパターン形成されている。第2無機材料膜140は、これ以外の領域である遮光部22との非重畳部には設けられていない。第2無機材料膜140は、遮光部22と同一の平面形状を有することから、遮光部22として金属材料(合金、単層膜、積層膜を含む)を用いた場合、遮光部22及び第2無機材料膜140は主にドライエッチングによって、一括でパターン形成できる。
【0069】
<第10実施形態>
第10実施形態に係るアレイ基板230について図20を参照して説明する。第10実施形態では、共通電極35がアレイ基板230に形成されている点が第6実施形態と異なる。第1実施形態から第9実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0070】
共通電極35は、画素電極34の上層側に、第2無機材料膜240を介して形成されている。第2無機材料膜240は、隣り合う画素電極34間、及び画素電極34と共通電極35との間を絶縁している。共通電極35は、隣り合う画素電極34の間を跨ぐように、X軸方向に所定の間隔を掛けて形成されている。共通電極35は、ITOやIZO等の透明な無機導電材料からなる。画素電極34が充電されると、画素電極34と共通電極35との間には、アレイ基板230の主面に沿う成分に加えて、アレイ基板230の主面に対する法線方向の成分を含むフリンジ電界(斜め電界)が生じる。このフリンジ電界によって、液晶層22に含まれる液晶分子の配向状態が制御される。つまり、本実施形態に係る液晶パネルは、動作モードがFFS(Fringe Field Switching)モードとされる。
【0071】
遮光部22は、共通電極35の上に形成されている。共通電極35の平面サイズは、遮光部22より大きく、遮光部22の下面22Cは、直下の共通電極35によって覆われている。第1無機材料膜823は、第2無機材料膜240、共通電極35、及び遮光部22の上に、これらを覆うようにベタ状に形成されている。第1無機材料膜823は、透明な無機絶縁材料からなる。第1無機材料膜823の膜厚は、液晶層18に印加されるフリンジ電界を阻害しないように、薄いことが好ましく、具体的には30nm以下が好ましい。なお、第1無機材料膜823は、ベタ状でなく、既述したようにパターン化されていてもよい。
【0072】
上記した構成によれば、遮光部22は、上面22A及び側面22Bが第1無機材料膜823によって覆われ、下面22Cが共通電極35によって覆われている。これにより、遮光部22の上面22A及び側面22Bからの水分の侵入を第1無機材料膜823によって抑制でき、下面22Cからの水分の侵入を共通電極35によって抑制できる。
【0073】
<第11実施形態>
第11実施形態に係るアレイ基板330について図21を参照して説明する。第11実施形態では、画素電極34、共通電極35、及び第1無機材料膜923の積層位置が第10実施形態と異なる。第1実施形態から第10実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0074】
第1無機材料膜923は、平坦化膜39上にベタ状に形成されている。遮光部22は、第1無機材料膜923上に形成され、共通電極35は遮光部22上に形成されている。共通電極35の平面サイズは、遮光部22に比べて大きい。このため共通電極35は、遮光部22の上面22A及び側面22Bに接触して、これらの面22A、22Bを覆っている。第2無機材料膜340は、第1無機材料膜923、及び共通電極35の上に、これらを覆うようにベタ状に形成されている。第2無機材料膜340は、隣り合う共通電極35間、及び画素電極34と共通電極35との間を絶縁している。
【0075】
上記した構成によれば、遮光部22は、上面22A及び側面22Bが共通電極35によって覆われ、下面22Cが第1無機材料膜923によって覆われている。これにより、遮光部22の上面22A及び側面22Bからの水分の侵入を共通電極35によって抑制でき、下面22Cからの水分の侵入を第1無機材料膜923によって抑制できる。
【0076】
<他の実施形態>
本願明細書に記載の技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0077】
(1)各実施形態における遮光部22は、単層膜に限られず、2層以上の積層膜であってもよい。積層膜とすることで、反射率を抑制したり、ガラス基板21等に対する密着性を向上したりできる。例えば遮光部122は、図22に示すように、金属(合金を含む)層と、金属酸化物層とが積層された2層積層膜であってもよい。2層積層膜の場合、遮光部122は例えば、ガラス基板21側から順に、膜厚50nm程度の酸化クロム(CrO)、及び膜厚50nm程度から150nm程度のクロム(Cr)が積層された構成とされる。また例えば遮光部222は、図23に示すように、金属層(合金を含む)と、透明な無機材料膜とが交互に積層された4層積層膜であってもよい。4層積層膜の場合、遮光部122は例えば、ガラス基板21側から順に、膜厚50nm程度の窒化シリコン(SiNx)、膜厚5nm程度のモリブデン(Mo)、膜厚50nm程度の窒化シリコン(SiNx)、膜厚50nm程度から150nm程度のクロム(Cr)が積層された構成とされる。
【0078】
(2)各実施形態に係る構成は、適宜組み合わせることができる。例えば、図24に示すように、第7実施形態に係る第1無機材料膜623と、第9実施形態に係る第2無機材料膜140とを組み合わせても構わない。また例えば、図25に示すように、第8実施形態に係る第1無機材料膜723と、第9実施形態に係る第2無機材料膜140とを組み合わせても構わない。
【0079】
(3)対向基板20、120、220、320、420、及びアレイ基板30、130、230、330の層構成、及び各層の平面レイアウトパターンは、図示したものに限られない。例えば、TFT32はトップゲート型やデュアルゲート型のTFTであっても構わない。
【0080】
(4)本願明細書に記載の技術は、液晶層18以外の機能性有機分子(媒質層)を挟持した表示パネル等にも適用できる。
【符号の説明】
【0081】
10…液晶パネル(表示パネル)、18…液晶層、20、120、220、320、420…対向基板(表示パネル用基板)、21…ガラス基板、22、122、222:遮光部、22A…上面(媒質層側の面)、22B…側面、22C…下面(着色部側の面)、23、123、223、323、423、523、623、723、823、923:第1無機材料膜、25:カラーフィルタ、25R、25G、25B:着色部、27:オーバーコート膜、130、230…アレイ基板(表示パネル用基板)、34…画素電極、35…共通電極、40、140、240、340:第2無機材料膜、100…液晶表示装置(表示装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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