(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100076
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】アバター管理システム、学習サーバ、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240719BHJP
【FI】
G06T19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003793
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】山中 寛太
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA12
5B050CA07
5B050CA08
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA12
5B050EA18
5B050EA19
5B050FA02
(57)【要約】
【課題】メタバースにおける不正行為の検出を高い精度で行えるようにする。
【解決手段】メタバース制御装置は、メタバースをユーザ端末に提供する制御を行い、アバターの行動をアバター履歴情報に反映させ、未学習の1次学習モデルにアバター履歴情報を入力して、アバターに関する不正を検出する1次学習モデルを作成し、2次学習モデルによりアバターに関する不正を検出し、学習サーバは、未学習の1次学習器を複数のメタバース制御装置に提供し、1次学習モデルに対応する学習結果をメタバース制御装置から取得し、取得した学習結果を統合して、メタバースに存在するアバターに関する不正を検出する2次学習モデルを作成し、2次学習モデル作成部により作成された2次学習モデルを不正検出に利用可能なように提供するアバター管理システムを構成する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメタバース制御装置と、前記複数のメタバース制御装置と通信可能に接続される学習サーバとを備え、
前記メタバース制御装置は、
アバターが存在するメタバースをユーザ端末に提供するための制御を行うメタバース制御部と、
前記メタバースに存在するアバターの行動を、アバター履歴情報に反映させるアバター履歴情報管理部と、
未学習の1次学習モデルに前記アバター履歴情報を入力して、アバターに関する不正を検出する学習済みの1次学習モデルを作成する1次学習モデル作成部と、
前記学習サーバが作成する2次学習モデルにより、メタバースに存在するアバターに関する不正を検出する不正検出部とを備え、
前記学習サーバは、
前記未学習の1次学習器を前記複数のメタバース制御装置に提供する1次学習モデル提供部と、
前記1次学習モデル作成部により作成された1次学習モデルに対応する学習結果を前記未学習の1次学習モデルの提供先のメタバース制御装置から取得し、取得した学習結果を統合して、メタバースに存在するアバターに関する不正を検出する2次学習モデルを作成する2次学習モデル作成部と、
前記2次学習モデル作成部により作成された2次学習モデルを前記不正検出部が利用可能なように提供する2次学習モデル提供部とを備える
アバター管理システム。
【請求項2】
前記アバター履歴情報の利用について対応のユーザが同意しているか否かの設定を行う同意管理部をさらに備え、
前記1次学習モデル作成部と前記不正検出部は、前記同意管理部により利用についてユーザが同意しているアバター履歴情報を入力するようにされる
請求項1に記載のアバター管理システム。
【請求項3】
前記2次学習モデル作成部により作成された2次学習モデルのバージョンを管理するバージョン管理部をさらに備える
請求項1または2に記載のアバター管理システム。
【請求項4】
アバターが存在するメタバースをユーザ端末に提供するための制御を行うメタバース制御部と、前記メタバースに存在するアバターの行動を、アバター履歴情報に反映させるアバター履歴情報管理部と、未学習の1次学習モデルに前記アバター履歴情報を入力して、アバターに関する不正を検出する学習済みの1次学習モデルを作成する1次学習モデル作成部と、2次学習モデルによりメタバースに存在するアバターに関する不正を検出する不正検出部とを備える複数のメタバース制御装置と通信可能に接続される学習サーバであって、
前記未学習の1次学習器を前記複数のメタバース制御装置に提供する1次学習モデル提供部と、
前記1次学習モデル作成部により作成された1次学習モデルに対応する学習結果を前記未学習の1次学習モデルの提供先のメタバース制御装置から取得し、取得した学習結果を統合して、メタバースに存在するアバターに関する不正を検出する2次学習モデルを作成する2次学習モデル作成部と、
前記2次学習モデル作成部により作成された2次学習モデルを前記不正検出部が利用可能なように提供する2次学習モデル提供部とを備える
学習サーバ。
【請求項5】
アバターが存在するメタバースをユーザ端末に提供するための制御を行うメタバース制御部と、前記メタバースに存在するアバターの行動を、アバター履歴情報に反映させるアバター履歴情報管理部と、未学習の1次学習モデルに前記アバター履歴情報を入力して、アバターに関する不正を検出する学習済みの1次学習モデルを作成する1次学習モデル作成部と、2次学習モデルによりメタバースに存在するアバターに関する不正を検出する不正検出部とを備える複数のメタバース制御装置と通信可能に接続される学習サーバとしてのコンピュータを、
前記未学習の1次学習器を前記複数のメタバース制御装置に提供する1次学習モデル提供部、
前記1次学習モデル作成部により作成された1次学習モデルに対応する学習結果を前記未学習の1次学習モデルの提供先のメタバース制御装置から取得し、取得した学習結果を統合して、メタバースに存在するアバターに関する不正を検出する2次学習モデルを作成する2次学習モデル作成部、
前記2次学習モデル作成部により作成された2次学習モデルを前記不正検出部が利用可能なように提供する2次学習モデル提供部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アバター管理システム、学習サーバ、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの操作に応じて仮想空間(メタバース)に存在するアバターを行動させることのできる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メタバースにて、例えばアバターに関連して詐欺、暴力等の不正が行われる可能性がある。このようなメタバースにおける不正の検出を高い精度で行えるようにすることが好ましい。
【0005】
本発明は、メタバースにおける不正の検出を高い精度で行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、複数のメタバース制御装置と、前記複数のメタバース制御装置と通信可能に接続される学習サーバとを備え、前記メタバース制御装置は、アバターが存在するメタバースをユーザ端末に提供するための制御を行うメタバース制御部と、前記メタバースに存在するアバターの行動を、アバター履歴情報に反映させるアバター履歴情報管理部と、未学習の1次学習モデルに前記アバター履歴情報を入力して、アバターに関する不正を検出する学習済みの1次学習モデルを作成する1次学習モデル作成部と、前記学習サーバが作成する2次学習モデルにより、メタバースに存在するアバターに関する不正を検出する不正検出部とを備え、前記学習サーバは、前記未学習の1次学習器を前記複数のメタバース制御装置に提供する1次学習モデル提供部と、前記1次学習モデル作成部により作成された1次学習モデルに対応する学習結果を前記未学習の1次学習モデルの提供先のメタバース制御装置から取得し、取得した学習結果を統合して、メタバースに存在するアバターに関する不正を検出する2次学習モデルを作成する2次学習モデル作成部と、前記2次学習モデル作成部により作成された2次学習モデルを前記不正検出部が利用可能なように提供する2次学習モデル提供部とを備えるアバター管理システムである。
【0007】
本発明の一態様は、アバターが存在するメタバースをユーザ端末に提供するための制御を行うメタバース制御部と、前記メタバースに存在するアバターの行動を、アバター履歴情報に反映させるアバター履歴情報管理部と、未学習の1次学習モデルに前記アバター履歴情報を入力して、アバターに関する不正を検出する学習済みの1次学習モデルを作成する1次学習モデル作成部と、2次学習モデルによりメタバースに存在するアバターに関する不正を検出する不正検出部とを備える複数のメタバース制御装置と通信可能に接続される学習サーバであって、前記未学習の1次学習器を前記複数のメタバース制御装置に提供する1次学習モデル提供部と、前記1次学習モデル作成部により作成された1次学習モデルに対応する学習結果を前記未学習の1次学習モデルの提供先のメタバース制御装置から取得し、取得した学習結果を統合して、メタバースに存在するアバターに関する不正を検出する2次学習モデルを作成する2次学習モデル作成部と、前記2次学習モデル作成部により作成された2次学習モデルを前記不正検出部が利用可能なように提供する2次学習モデル提供部とを備える学習サーバである。
【0008】
アバターが存在するメタバースをユーザ端末に提供するための制御を行うメタバース制御部と、前記メタバースに存在するアバターの行動を、アバター履歴情報に反映させるアバター履歴情報管理部と、未学習の1次学習モデルに前記アバター履歴情報を入力して、アバターに関する不正を検出する学習済みの1次学習モデルを作成する1次学習モデル作成部と、2次学習モデルによりメタバースに存在するアバターに関する不正を検出する不正検出部とを備える複数のメタバース制御装置と通信可能に接続される学習サーバとしてのコンピュータを、前記未学習の1次学習器を前記複数のメタバース制御装置に提供する1次学習モデル提供部、前記1次学習モデル作成部により作成された1次学習モデルに対応する学習結果を前記未学習の1次学習モデルの提供先のメタバース制御装置から取得し、取得した学習結果を統合して、メタバースに存在するアバターに関する不正を検出する2次学習モデルを作成する2次学習モデル作成部、前記2次学習モデル作成部により作成された2次学習モデルを前記不正検出部が利用可能なように提供する2次学習モデル提供部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メタバースにおける不正行為の検出を高い精度で行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態におけるアバター管理システムの全体的な構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態におけるメタバース制御装置の構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態におけるアバター履歴情報の構造例を示す図である。
【
図4】本実施形態における同意管理サーバの構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態における同意管理情報の構造例を示す図である。
【
図6】本実施形態における学習サーバの構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態におけるユーザ端末、メタバース制御装置、及び同意管理サーバが同意管理情報の登録・管理に関連して実行する処理手順例を示す図である。
【
図8】本実施形態におけるユーザ端末とメタバース制御装置とがアバター履歴情報の更新に関連して実行する処理手順例を示す図である。
【
図9】本実施形態におけるメタバース制御装置、同意管理サーバ、学習サーバ、及びバージョン管理システムが、学習モデル(1次学習モデル、2次学習モデル)の作成に関連して実行する処理手順例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
[アバター管理システムの全体的構成例]
図1は、本実施形態のアバター管理システムの全体的な構成例を示している。本実施形態のアバター管理システムは、ユーザインターフェース環境10、メタバース提供環境20、同意管理サーバ300、学習サーバ400、バージョン管理システム500を構成要素として含む。これらのシステムの構成要素間の接続は、ネットワークを経由して行われる。
【0012】
ユーザインターフェース環境10は、メタバース提供環境20を利用するユーザUにユーザインターフェースを提供する環境である。具体的に、ユーザインターフェース環境10は、1以上のユーザUごとに対応する1以上のユーザ端末100を備える。
ユーザ端末100は、ユーザUが、メタバース提供環境20が提供するメタバースにてアバターを存在させるのに利用する端末である。
【0013】
メタバース提供環境20は、ユーザUが自身に対応するアバターを存在させて利用するメタバースを提供する環境である。メタバース提供環境20は、1以上のメタバースプラットフォーム21を含む。同図では、N個としての複数のメタバースプラットフォーム21(21-1、21-2・・・、21-N)を含んだ例が示されている。
【0014】
メタバースプラットフォーム21(21-1、21-2・・・、21-N)は、それぞれメタバース制御装置200(200-1、200-2・・・、200-N)を備える。
メタバース制御装置200は、それぞれ対応のメタバースプラットフォーム21が提供するメタバースの環境を構築し、構築したメタバースにて、ユーザUのアバターを存在させる制御を行う。メタバース制御装置200は、対応のユーザUのユーザ端末100の操作、あるいはメタバースにおいて設定された条件等に従って、メタバースにてアバターを行動させることができる。ここでのアバターの行動には、アバターのメタバース内での移動、アバターの身体の動き、アバターの発言などが含まれる。
【0015】
メタバース制御装置200は、例えばメタバースを提供するように構築されたウェブサーバやアプリケーションサーバとして構成されるものであってよい。
【0016】
本実施形態において、メタバースの「提供」とは、ユーザUがユーザ端末100を操作してメタバース制御装置200にアクセスさせることで、ユーザ端末100にて、メタバースを表示可能とすることであり、さらに、メタバースにてユーザUのアバターを存在させ、メタバースでのアバターが行動することを可能とすることを含む。
【0017】
ユーザ端末100は、ユーザUの操作に応じて、メタバースプラットフォーム21のうちのいずれかと接続し、接続されたメタバースプラットフォーム21が提供するメタバースに、ユーザUに対応付けて登録したアバターを存在させることができる。また、ユーザ端末100は、ユーザUがメタバースに存在させたアバターを自分の意思に沿って行動させる操作を行うのに利用される。
ユーザ端末100は、ヘッドマウントデバイス、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等であってよい。
【0018】
同意管理サーバ300は、メタバースでのアバターの行動の履歴を含むアバター履歴情報をメタバースプラットフォーム21が利用することに対するユーザUの同意に関する管理を行うサーバである。具体的に、同意管理サーバ300は、ユーザUのそれぞれについて、メタバースプラットフォーム21ごとにユーザUに対応のアバターのアバター履歴情報の利用について同意(許諾)するか否かを示した情報(同意管理情報)を格納する。
また、同意管理サーバ300は、メタバースプラットフォーム21ごとに、アバター履歴情報以外のアバターに関する情報や、アバターに対応するユーザの情報についての利用の同意に関する管理を行ってもよい。
上記のようなアバターに関する情報やアバターに対応するユーザの情報は、ユーザに関連する情報として扱うことができる。メタバース制御装置200は、このようなユーザに関連する情報について、例えばユーザUが操作するユーザ端末100からの要求に応じて、どのように利用しているのかを通知するようにしてよい。ユーザ端末100は、通知された内容を、例えば表示等により出力してよい。
【0019】
学習サーバ400は、メタバース制御装置200がアバターに関する不正を検出するのに用いる学習済みの学習モデル(2次学習モデル)を作成するサーバである。
学習サーバ400は、初期状態の1次学習モデル(未学習の1次学習モデルの一例)をメタバース制御装置200のそれぞれに提供する。つまり、学習サーバ400は、初期状態の1次学習モデルをメタバース制御装置200に配布(送信)する。
メタバース制御装置200は、配布された初期状態の1次学習モデルに、例えば対応のメタバースにて存在するアバターのアバター履歴情報の内容と不正との関係性を示す教師データを入力させて学習を行わせることで、1次学習モデルを作成してよい。
あるいは、メタバース制御装置200は、1次学習モデルとして、通常のユーザUに対応するアバターのアバター履歴情報を入力することで、アバターの行動等についての標準的な分布を学習させてよい。この場合には、不正検出に際して、入力されたアバターの行動履歴について外れ値を検出したことに応じて不正を検出したものとしてよい。1次学習モデルは、例えばk-means等の教師無し学習により構築されてよい。
この場合において、メタバース制御装置200が1次学習モデルの作成に利用可能なアバター履歴情報については、ユーザUにより利用が合意(許諾)されているものに限定されてよい。アバター履歴情報の利用がユーザUにより合意されているか否かは、同意管理サーバ300により管理される。
【0020】
上記のように作成された1次学習モデルは、入力されたアバター履歴情報に対応するアバターに関する不正を検出する機能を有する。不正の検出として、1次学習モデルは、不正の有無を検出するとともに、不正有りの場合には、どのような類型の不正であるのかの分類を行うようにされてもよい。
【0021】
各メタバース制御装置200は学習サーバ400に1次学習モデルのパラメータを暗号化やノイズを施したうえで送信する。学習サーバ400は、各メタバース制御装置200から収集した1次学習モデルのパラメータを暗号化やノイズを施したまま統合して、2次学習モデルを作成する。
このように2次学習モデルは、各メタバース制御装置200が対応する複数のメタバースにおけるアバター履歴情報が反映されることから、結果的に必要十分な数のアバター履歴情報を利用して作成されたものとなる。これにより、2次学習モデルによるアバターの不正検出の精度を高めることが可能となる。
なお、学習サーバ400が、学習済みの1次学習モデル自体を収集し、収集した1次学習モデル自体を統合して2次学習モデルを作成することも可能である。しかしながら、この場合には、例えば学習サーバ400を運用する事業者自体あるいは事業者内に悪意を有する者が存在する場合、当該悪意を有する者が、収集した1次学習モデル自体から教師データを復元することでユーザUの個人情報を不正に取得するおそれが生じる。つまり、ユーザUの個人情報が漏洩するおそれが生じる。そこで、上記のように、学習サーバ400は、1次学習モデル自体ではなく、1次学習モデルのパラメータを収集し、2次学習モデルを作成するようにされている。
また、学習サーバ400は、収集した1次学習モデルのパラメータについて暗号化やノイズが施されていなくとも2次学習モデルを作成できるが、上記のような個人情報の漏洩の可能性をできるだけ防止するため、暗号化やノイズを施すことが好ましい。この場合、学習サーバ400は、暗号化したまま計算できる秘密計算あるいは差分プライバシー等でパラメータを統合してよい。
【0022】
また、2次学習モデルは、学習サーバ400が各メタバース制御装置200から収集したアバター履歴情報を直接に利用して学習させることにより作成されるものではなく、1次学習モデルを統合することにより作成される。例えば、学習サーバ400が、各メタバース制御装置200からアバター履歴情報を収集し、収集したアバター履歴情報を入力して学習させることで2次学習モデルを作成することも可能である。
しかしながら、アバター履歴情報は、対応のユーザUの個人情報として捉えられる。このため、メタバースプラットフォーム21の外部の学習サーバ400がアバター履歴情報をそのまま利用することは個人情報保護の観点から難しい。仮に学習サーバ400が直接的にアバター履歴情報を利用して2次学習モデルを作成しようとすると、アバター履歴情報について匿名化等の加工が必要となる。このような加工後のアバター履歴情報を用いて作成される学習モデルでは、十分な検出精度を得られない可能性もある。
そこで本実施形態では、各メタバース制御装置200が1次学習モデルを作成し、学習サーバ400が1次学習モデルのパラメータを統合して2次学習モデルを作成するようにされている。これにより、学習サーバ400は、各メタバース制御装置200からアバター履歴情報を収集することなく2次学習モデルを作成できる。つまり、本実施形態のもとでは、個人情報の保護を図りつつ、高い精度でアバターに関する不正を検出できる。
【0023】
学習サーバ400は、作成した学習モデルを各メタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200に配布(送信)する。メタバース制御装置200は、配布された学習モデルを用いて、対応のメタバースに存在するアバターに関する不正を検出する。
【0024】
本実施形態において、「アバターに関する不正」は、メタバースにおけるアバターの不正行為を含む。メタバースにおけるアバターの不正行為として、具体的には、メタバースにおけるアバターのなりすましや乗っ取り、メタバースにおけるアバターの詐欺行為、盗難行為、暴力行為、痴漢行為などといった現実世界での不法行為、犯罪行為に相当するもののほか、差別的、暴力的な発言、倫理的でない行為などが含まれてよい。
【0025】
バージョン管理システム500は、学習サーバ400が作成した不正検出学習モデルのバージョンを管理するシステムである。バージョン管理システム500は、例えばブロックチェーンや秘密分散として構成されるものであってよい。
【0026】
[メタバース制御装置の構成例]
図2を参照して、メタバース制御装置200の機能構成例について説明する。同図のメタバース制御装置200は、通信部201、制御部202、及び記憶部203を備える。
【0027】
通信部201は、ネットワーク経由でユーザ端末100、同意管理サーバ300、及び学習サーバ400等と通信可能に接続する。
【0028】
制御部202は、メタバース制御装置200における各種制御を実行する。制御部202は、メタバース制御部221、アバター履歴情報管理部222、1次学習モデル作成部223、不正検出部224を備える。
【0029】
メタバース制御部221は、メタバースを提供するための制御を行う。
【0030】
アバター履歴情報管理部222(アバター履歴管理部の一例)は、対応のメタバースにて存在したアバターに対応するユーザUのアバター履歴情報を管理する。アバター履歴情報は、アバター履歴情報記憶部234に記憶されている。アバター履歴情報管理部222は、対応のメタバースにて存在したアバターの行動情報を取得し、取得した行動の履歴を示すアバター履歴情報を生成する。アバター履歴情報管理部222は生成したアバター履歴情報を、アバター履歴情報記憶部234に記憶させる。
【0031】
1次学習モデル作成部223は、1次学習モデルを作成する。学習サーバ400は、初期状態の1次学習モデルをメタバース制御装置200のそれぞれに配布(送信)する。1次学習モデル作成部223は、送信された初期状態の1次学習モデルにアバター履歴情報記憶部234が記憶するアバター履歴情報を入力させることにより学習させ、学習済みの1次学習モデルを作成する。この際、1次学習モデル作成部223は、アバター履歴情報記憶部234が記憶するアバター履歴情報のうちで、ユーザUにより利用の同意が得られているアバター履歴情報を1次学習モデルの作成に用いるようにしてよい。
【0032】
1次学習モデル作成部223は、古典機械学習や量子機械学習、あるいは量子古典ハイブリッド機械学習により1次学習モデルに学習を行わせるようにしてよい。量子機械学習は、古典機械学習と比較して、過学習が生じにくいとされる。また、量子機械学習は、古典機械学習と比較して、少ない教師データや少ないパラメータで十分な精度の学習を行うことが可能であり、学習に要する時間の短縮を図ることも期待される。
【0033】
不正検出部224は、学習サーバ400から配布(送信)された2次学習モデルを利用して、メタバース制御部221が構築しているメタバースにて存在するアバターに関する不正を検出する。
なお、不正検出部224による検出出力を利用して、担当者が最終的に不正についての有無、不正の内容等を判断するようにしてよい。この場合には、不正検出部224は、例えば担当者の使用する端末にて検出結果を表示等により出力させるようにしてよい。
【0034】
記憶部203は、メタバース制御装置200における各種の情報を記憶する。記憶部203は、メタバース構築情報記憶部231、アバター情報記憶部232、1次学習モデル記憶部233、アバター履歴情報記憶部234、及び2次学習モデル記憶部235を備える。
【0035】
メタバース構築情報記憶部231は、メタバース構築情報を記憶する。メタバース構築情報は、メタバース制御部221が、メタバースの構築に利用する情報である。メタバース制御部221が構築したメタバースの環境は、メタバース構築情報により定められる。
【0036】
アバター情報記憶部232は、アバター情報を記憶する。アバター情報は、対応のメタバースにて存在させるものとしてユーザUが登録したアバターを、メタバースにて存在させるのに利用される情報である。アバター情報は、対応のアバターを再現するためのオブジェクトデータ、音声等の素材データ、対応のユーザUの属性情報、及びメタデータ等を含む。メタデータには、アバターID、対応のユーザUを示すユーザID等が含まれてよい。
【0037】
1次学習モデル記憶部233は、1次学習モデルを記憶する。1次学習モデル記憶部233は、学習サーバ400から初期状態の1次学習モデルが送信されたことに応じて、初期状態の1次学習モデルを記憶する。1次学習モデル作成部223は、1次学習モデル記憶部233が記憶する初期状態の1次学習モデルを利用して学習済みの1次学習モデルを作成する。1次学習モデル記憶部233は、学習済みの1次学習モデルが作成されたことに応じて、学習済みの1次学習モデルを記憶する。
【0038】
アバター履歴情報記憶部234は、アバター履歴情報管理部222が生成したアバター履歴情報を記憶する。
図3は、1のアバターに対応するアバター履歴情報の構造例を示している。同図に示されるように、1のアバターに対応するアバター履歴情報は、対応のアバターを一意に示すアバターIDと、対応のアバターのユーザUを一意に示すユーザIDとが対応付けられた構造を有する。
【0039】
説明を
図2に戻す。
2次学習モデル記憶部235は、学習サーバ400が送信した2次学習モデルを記憶する。不正検出部224は、2次学習モデル記憶部235が記憶する2次学習モデルを利用してメタバースにおいて存在するアバターに関する不正を検出する。
【0040】
[同意管理サーバの構成例]
図4を参照して、同意管理サーバ300の機能構成例について説明する。同図の同意管理サーバ300は、通信部301、制御部302、及び記憶部303を備える。
【0041】
通信部301は、ネットワーク経由でユーザ端末100やメタバース制御装置200と通信可能に接続する。
【0042】
制御部302は、同意管理サーバ300における各種制御を実行する。制御部302は、同意管理部321を備える。アバターごとのアバター履歴情報の利用についてのユーザUの同意(許諾)に関する管理を行う。同意管理部321は、ユーザUの同意(許諾)に関する管理にあたり、同意管理情報記憶部331が記憶する同意管理情報の記憶、変更(更新)等を行う。
【0043】
記憶部303は、同意管理サーバ300における各種の情報を記憶する。記憶部303は、同意管理情報記憶部331を備える。
【0044】
同意管理情報記憶部331は、同意管理情報を記憶する。同意管理情報は、例えばメタバースプラットフォームにおけるアバターごとのアバター履歴情報の利用についてのユーザによる同意に関する設定内容を示す情報である。なお、同意管理情報には、アバター履歴情報以外の情報として、例えば対応のユーザの属性情報(ユーザ属性情報)等についてのユーザによる同意に関する設定内容も示されてよい。
【0045】
図5は、1のアバターに対応する同意管理情報の構造例を示している。1のメタバースプラットフォームにおける1のアバターについての同意管理情報は、メタバースプラットフォームIDに1のアバターに関する同意設定情報を対応付けた構造である。
1のアバターに関する同意設定情報は、対応のアバターを一意に示すアバターIDと対応のユーザUを一意に示すユーザIDとに対して、1以上の同意設定フラグを対応付けた構造である。
同意設定フラグは、対応のユーザUが、対応のアバターに関する情報の利用について同意しているか否かを示す情報である。同図においては、対応のアバターに関する情報としてアバター履歴情報、ユーザ属性情報等のそれぞれに対して同意設定フラグを対応付けた例が示されている。
同意設定フラグが同意を示す場合、対応のメタバースプラットフォームIDが示すメタバースプラットフォーム21は、対応のアバターに関する情報(アバター履歴情報、ユーザ属性情報等)を1次学習モデルの作成に利用することが可能となる。
このような構造の同意設定情報を有することで、ユーザUは、自己に対応するアバターについて、メタバースプラットフォームIDごとにアバターに関する情報の利用の同意・非同意を設定することができる。
【0046】
[学習サーバ]
図6を参照して、学習サーバ400の機能構成例について説明する。同図の学習サーバ400は、通信部401、制御部402、及び記憶部403を備える。
【0047】
通信部401は、ネットワーク経由でメタバース制御装置200やバージョン管理システム500と通信可能に接続する。
【0048】
制御部402は、学習サーバ400における各種の制御を実行する。制御部402は、1次学習モデル提供部421、2次学習モデル作成部422、2次学習モデル提供部423、及びバージョン管理部424を備える。
【0049】
1次学習モデル提供部421は、初期状態の1次学習モデルを、各メタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200に提供する。具体的に、初期状態の1次学習モデルは、初期1次学習モデル記憶部432に記憶されている。1次学習モデル提供部421は、初期1次学習モデル記憶部432に記憶されている初期状態の1次学習モデルを、通信部401から各メタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200に送信(配布)させる。
【0050】
2次学習モデル作成部422は、各メタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200から収集した学習済みの1次学習モデルのパラメータを統合して2次学習モデルを作成する。学習済みの1次学習モデルのパラメータの統合にあたっては、2次学習モデル作成部422は、例えば、量子機械学習により得られた1次学習モデルのパラメータを秘密計算や差分プライバシー等で統合して2次学習モデルを作成してよい。
2次学習モデル作成部422は、作成した2次学習モデルを2次学習モデル記憶部434に記憶させてよい。
【0051】
2次学習モデル提供部423は、2次学習モデル作成部422が作成した2次学習モデルを、各メタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200に提供する。提供にあたって、2次学習モデル提供部423は、通信部401から各メタバース制御装置200に2次学習モデルを送信させてよい。この際、2次学習モデル提供部423は、2次学習モデル記憶部434に記憶された2次学習モデルを送信(配布)してよい。
各メタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200において、不正検出部224は、送信された2次学習モデルを利用して、対応のメタバースにおいて存在しているアバターに関する不正の検出を実行する。
【0052】
バージョン管理部424は、2次学習モデル作成部422により作成された2次学習モデルのバージョンを管理する。
2次学習モデルは、例えば新たな不正に対応して検出が可能なように、あるいはメタバースの環境変化やメタバースを利用するユーザ層の変化等に対応して検出精度の維持や向上を図るため、適宜、更新される。更新の際には、学習サーバ400は、1次学習モデル提供部421により改めて初期状態の1次学習モデルをメタバース制御装置200に提供し、2次学習モデル作成部422が学習済みの1次学習モデルのパラメータを収集して2次学習モデルを作成する。
このように2次学習モデルが更新されることに応じて、バージョン管理部424は、更新された2次学習モデルに対してバージョンを付し、バージョンを管理するようにされている。バージョン管理部424は、更新された2次学習モデルに付したバージョンを示すバージョン管理情報を生成する。バージョン管理情報は、対応の2次学習モデルに付したバージョン、更新日時等を含んでよい。
さらに、バージョン管理情報は、対応の2次学習モデルを含むものであってもよい。
バージョン管理部424は、生成したバージョン管理情報を、バージョン管理システム500に登録する。バージョン管理システム500は、ブロックチェーンや秘密分散として構成されてよい。バージョン管理システム500が、ブロックチェーンや秘密分散として構成されることで、改ざん、盗聴、悪用等の不正、DDos攻撃や大規模災害によるアクセスエラー、データ消失等の障害に対する耐性を強化できる。
【0053】
バージョン管理システム500がブロックチェーンとして構成され、バージョン管理情報が対応の2次学習モデルを格納する場合、まず、学習サーバ400のバージョン管理部424は、例えば学習サーバ400の外部(または内部であってもよい)の暗号鍵生成システムに管理対象の2次学習モデルの属性情報(例えば、連合学習参加者や2次学習モデルのバージョンを示す)を送信する。暗号鍵生成システムは、受信した属性情報に基づく暗号鍵のペア(公開鍵・秘密鍵)を生成する。バージョン管理部424は、生成された公開鍵で管理対象の2次学習モデルを暗号化し、暗号化した2次学習モデルとメタデータとをバージョン管理情報として、バージョン管理システム500に送信する。
バージョン管理システム500は、学習サーバ400から受信したバージョン管理情報に含まれる2次学習モデルを、分散ストレージにて複数に分割し、それぞれを異なるノードに保管させる。また、バージョン管理システム500は、受け取ったバージョン管理情報にハッシュ処理を施すことで、対応の2次学習モデルのバージョンに一意となるCID(Contents Identifier)を生成する。バージョン管理システム500は、CIDとバージョン管理情報に含まれていたメタデータとをブロックチェーン上にて、新規ノードあるいは特定のノードのピアに紐付けて記憶させる。
この場合、バージョン管理システム500がブロックチェーン上に記憶している2次学習モデルは以下のように復元される。メタバースプラットフォーム21は、自己が必要とする過去のバージョンの2次学習モデルを学習サーバ400に要求する。2次学習モデルの要求に応じて、学習サーバ400のバージョン管理部424は、メタバースプラットフォーム21の属性情報に基づいて認証処理を実行してよい。
また、メタバースプラットフォーム21は、属性情報を暗号鍵生成システムに送信する。暗号鍵生成システムは、受信した属性情報に紐付けられた秘密鍵をメタバースプラットフォーム21に返却する。
学習サーバ400は要求されたバージョンの2次学習モデルを、メタデータを用いてバージョン管理システム500に要求する。バージョン管理システム500は、要求されたバージョンに対応付けられたCIDを学習サーバ400に送信する。学習サーバ400は受信したCIDを用いて分散された2次学習モデルの合成を分散ストレージに指示する。分散ストレージは受け取ったCIDにより指定されるバージョンの2次学習モデルを合成する。この際、分散ストレージは、各ノードから収集したデータにより2次学習モデルを合成する。分散ストレージは、合成により得られた2次学習モデルを学習サーバ400に送信する。学習サーバ400は、受信した2次学習モデルをメタバースプラットフォーム21に送信する。メタバースプラットフォーム21が受信した2次学習モデルは公開鍵により暗号化されている。そこで、メタバースプラットフォーム21は、暗号鍵生成システムから返却された秘密鍵を用いて2次学習モデルを復号する。
【0054】
また、バージョン管理システム500が秘密分散に対応するシステム(秘密分散システム)として構成され、バージョン管理情報が対応の2次学習モデルを格納する場合、バージョン管理システム500は、学習サーバ400から受け取ったバージョン管理情報に格納される2次学習モデルを、秘密分散処理サーバにて複数(n個)の断片に分割する。分割された断片は、1つでは意味を有さない。バージョン管理システム500は、n個の断片を物理的に異なるn個のデータベースのそれぞれに分散して記憶させる。
この場合、バージョン管理システム500がブロックチェーン上に記憶している2次学習モデルは以下のように復元される。メタバースプラットフォーム21は、自己が必要とする過去のバージョンの2次学習モデルを学習サーバ400に要求する。学習サーバ400のバージョン管理部424は、2次学習モデルの要求を秘密分散処理サーバに転送する。
秘密分散処理サーバは、n個のデータベースから、k個(k<n)の断片を取得する。秘密分散処理サーバは、取得した断片から2次学習モデルを復元する。このとき、大規模災害やサイバー攻撃によりいくつかのデータベースから意味を持たない断片が盗まれたり、消失していたとしても、他のk個の断片から元データは復元が可能である。秘密分散処理サーバは、復元された2次学習モデルを学習サーバ400に送信する。
【0055】
なお、バージョン管理システム500と同等の2次学習モデルのバージョンを管理する機能が学習サーバ400に備えられてもよい。この場合、バージョン管理システム500は省略されてよい。
【0056】
本実施形態における2次学習モデルの作成は、連合学習として構成されてよい。この場合、各メタバースプラットフォーム21において1次学習モデル作成部223を備えるメタバース制御装置200がクライアントとなり、学習サーバ400が中央サーバとして機能する。
この場合、学習サーバ400の1次学習モデル提供部421は、グローバルモデルである初期状態の1次学習モデルを各メタバース制御装置200に提供する。メタバース制御装置200の1次学習モデル作成部223は、対応のメタバースに存在しているアバターのアバター行動履歴情報をローカルデータとして用いて、1次学習モデルを学習させる。学習サーバ400は、各メタバース制御装置200から収集した学習済みの1次学習モデルのパラメータを統合して、新たなグローバルモデルとして2次学習モデルを作成する。
【0057】
記憶部403は、学習サーバ400における各種情報を記憶する。記憶部403は、プラットフォーム情報記憶部431、初期1次学習モデル記憶部432、1次学習モデルパラメータ記憶部433、及び2次学習モデル記憶部434を備える。
【0058】
プラットフォーム情報記憶部431は、プラットフォーム情報を記憶する。プラットフォーム情報は、1次学習モデルと2次学習モデルの提供先であるメタバースプラットフォーム21を示す情報である。1のメタバースプラットフォーム21に対応するプラットフォーム情報は、例えば対応のメタバースプラットフォーム21の運営者、対応のメタバース制御装置200のアドレス、1次学習モデル及び2次学習モデルの提供履歴等が含まれてよい。
【0059】
初期1次学習モデル記憶部432は、初期状態の1次学習モデルを記憶する。
【0060】
1次学習モデルパラメータ記憶部433は、各メタバース制御装置200から送信された学習済みの1次学習モデルに関するデータを記憶する。具体的に、1次学習モデルパラメータ記憶部433は、学習済みの1次学習モデルに関するデータとして、学習済みの1次学習モデルのパラメータを秘密計算により統合した値、あるいは各メタバース制御装置200により差分プライバシーを施された学習済みの1次学習モデルのパラメータを記憶する。
【0061】
2次学習モデル記憶部434は、2次学習モデル作成部422が作成した2次学習モデルを記憶する。2次学習モデル記憶部434は、バージョン管理システム500から復元したこれまでに作成された各バージョンの2次学習モデルを記憶するようにされてよい。
【0062】
[処理手順例]
図7のシーケンス図を参照して、ユーザ端末100、メタバース制御装置200、及び同意管理サーバ300が同意管理情報の登録・管理に関連して実行する処理手順例について説明する。
ステップS100:ユーザUは、これから自分が利用したいメタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200にユーザ端末100をアクセスさせ、メタバースプラットフォーム21の利用登録(メタバース利用登録)の操作を所定の手順に従って行う。メタバース利用登録の操作に応じて、ユーザ端末100は、メタバース利用登録に応じた通信を行う。メタバース利用登録に応じた通信において、ユーザ端末100は、対応のメタバースにおいて存在させる自己のアバターのアバター情報をメタバース制御装置200に送信する。この際、ユーザ端末100は、自己が記憶しているアバター情報をメタバース制御装置200に送信してもよいし、アバターを管理するアバター管理サーバ(図示は省略)に記憶されている自己のアバターのアバター情報を、アバター管理サーバからメタバース制御装置200に送信させるようにしてよい。
【0063】
ステップS102:メタバース制御装置200においてメタバース制御部221は、ステップS100によるメタバース利用登録の通信に応じて、送信されたアバター情報をアバター情報記憶部232に記憶させる。このようにアバター情報が記憶されたことにより、メタバース制御装置200にてアバター情報が登録されたことになる。
【0064】
ステップS104:メタバース制御装置200においてメタバース制御部221は、アバター情報の登録元のユーザUのユーザ端末100に対して利用同意確認の要求を行う。利用同意確認は、対応のメタバースにおいて1次学習モデルの作成にユーザUが登録したアバターのアバター履歴情報を利用することに同意するか否かを確認することである。
具体的に、メタバース制御部221は、利用同意確認の要求として、例えば、ユーザUがメタバース利用登録をする際に同意管理サーバ300に反映される利用同意確認画面を表示し、ユーザ端末100からアバター履歴情報の利用の同意に関する設定を行ってもらうようにしてよい。
【0065】
ステップS106:ユーザUは、ユーザ端末100を同意管理サーバ300の利用同意確認画面にアクセスさせ、ユーザ端末100にて利用同意確認画面を表示させる。ユーザUは、表示された利用同意確認画面に対して、ステップS100によるメタバース利用登録の対象とされたアバターのアバター履歴情報の利用に同意するか否かを指定する操作(同意・非同意指定操作)を行う。
【0066】
ステップS108:同意管理サーバ300において同意管理部321は、ユーザ端末100にて表示された利用同意確認画面に対する操作に応じて同意管理情報を生成し、生成した同意管理情報を、同意管理情報記憶部331に記憶させる。このようにして、1のアバターに対応する同意管理情報の登録が行われる。
【0067】
また、ユーザUは、任意の機会で、登録済みの同意管理情報について、アバター履歴情報の利用についての同意・非同意の設定を変更することができる。この場合、ユーザUは、ユーザ端末100を同意管理サーバ300の利用同意確認画面にアクセスさせ、例えば、変更対象のメタバースプラットフォーム21とアバターとを指定して、同意・非同意の設定を変更するように同意・非同意指定操作を行うようにされる。同意管理サーバ300において同意管理部321は、同意・非同意指定操作に応じて、同意管理情報記憶部331に記憶されている同意管理情報のうち、変更対象のアバターの同意管理情報を更新する。
この際、同意管理部321は、同意・非同意指定操作により変更対象のメタバースプラットフォーム21が指定されている場合には、変更対象のアバターの同意管理情報において、指定されたメタバースプラットフォーム21のメタバースプラットフォームIDに対応付けられている同意設定フラグを変更してよい。
【0068】
また、同意管理部321は、同意・非同意指定操作により、全てのメタバースプラットフォーム21に共通に同意または非同意が指定された場合には、変更対象のアバターの同意管理情報において、全てのメタバースプラットフォーム21のメタバースプラットフォームIDに対応付けられている同意設定フラグを変更してよい。
【0069】
図8のシーケンス図を参照して、ユーザ端末100とメタバース制御装置200とがアバター履歴情報の更新に関連して実行する処理手順例について説明する。
ステップS200:ユーザUは、メタバース利用登録済みのメタバースプラットフォーム21のメタバースにて自分のアバターを行動させるにあたり、ユーザ端末100を、対象のメタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200にアクセスさせる。アクセスに応じて、メタバース制御装置200は、ユーザUがメタバース利用登録したアバターを存在させたメタバースをユーザ端末100に表示させる。ユーザUは、メタバースにて存在する自分のアバターを操作する。
【0070】
ステップS202:メタバース制御装置200においてメタバース制御部221は、メタバースにおけるアバターが、ステップS200により行われたユーザUの操作に応じ他行動をとるように制御する。
【0071】
ステップS204:メタバース制御部221は、ステップS202によるアバターの行動結果が反映されるように、アバター履歴情報記憶部234が記憶するアバター履歴情報のうち、対応のアバターのアバター履歴情報を更新する。
【0072】
図9のシーケンス図を参照して、メタバース制御装置200、同意管理サーバ300、学習サーバ400、及びバージョン管理システム500が、学習モデル(1次学習モデル、2次学習モデル)の作成に関連して実行する処理手順例について説明する。
【0073】
ステップS300:学習サーバ400において1次学習モデル提供部421は、初期状態の1次学習モデルの提供のため、各メタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200に初期状態の1次学習モデルを送信する。
【0074】
ステップS302:メタバース制御装置200において1次学習モデル作成部223は、ステップS300により送信された初期状態の1次学習モデルを、初期1次学習モデル記憶部432に記憶させる。
【0075】
ステップS304:メタバース制御装置200においてメタバース制御部221は、同意管理サーバ300の同意管理情報記憶部331が記憶する同意管理情報にアクセスする。
【0076】
ステップS306:メタバース制御部221は、ステップS304によりアクセスした同意管理情報に基づき、対応のメタバースに存在しているアバターのうちで、アバター履歴情報の利用についてユーザUからの同意が得られているアバター(同意アバター)を特定する。
具体的に、メタバース制御部221は、同意管理情報記憶部331が記憶する同意管理情報のうちから、自己が制御するメタバースに存在しているアバターのアバターIDを格納する同意管理情報を検索する。メタバース制御部221は、検索した同意管理情報のうちから、さらに自己が制御するメタバースに対応するメタバースプラットフォームIDに対応付けられた同意設定フラグが「同意」を示している同意管理情報を特定する。メタバース制御部221は、特定した同意管理情報が格納するアバターIDのアバターを、同意アバターとして特定する。
【0077】
ステップS308:メタバース制御装置200において1次学習モデル作成部223は、アバター履歴情報記憶部234に記憶されるアバター履歴情報のうち、ステップS206により特定された同意アバターのアバター履歴情報について、ラベル付与の前処理を行ったうえで、初期状態の1次学習モデルに入力し、学習済みの1次学習モデルを作成する。この際、1次学習モデル作成部223は、現在から過去の一定期間までにおけるアバターの行動履歴を示すアバター履歴情報を初期状態の1次学習モデルに入力させることにより1次学習モデルを作成してよい。
【0078】
ステップS310:1次学習モデル作成部223は、作成した学習済みの1次学習モデルのパラメータを学習サーバ400に送信する。
【0079】
ステップS312:学習サーバ400において2次学習モデル作成部422は、各メタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200から送信される学習済みの1次学習モデルのパラメータを収集する。2次学習モデル作成部422は、収集したパラメータを秘密計算し統合した値を1次学習モデルパラメータ記憶部433に記憶させる。
【0080】
ステップS314:2次学習モデル作成部422は、ステップS314により統合されたパラメータを使用して2次学習モデルを作成する。2次学習モデル作成部422は、作成した2次学習モデルを2次学習モデル記憶部434に記憶させる。
【0081】
ステップS316:バージョン管理部424は、ステップS314により作成された2次学習モデルに対応するバージョン管理情報を生成し、生成したバージョン管理情報をバージョン管理システム500に送信する。
【0082】
ステップS318:バージョン管理システム500は、ステップS316により送信されたバージョン管理情報をブロックチェーンに登録する。
【0083】
ステップS320:学習サーバ400において2次学習モデル提供部423は、2次学習モデルの提供のため、各メタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200に2次学習モデルを送信する。メタバース制御装置200の制御部202は、送信された2次学習モデルを2次学習モデル記憶部235に記憶させる。
なお、個人情報の漏洩の防止を考慮した場合、2次学習モデル記憶部235にて学習サーバ400を長期間にわたって記憶させておくことが好ましくないとの考え方を取ることができる。そこで、2次学習モデル提供部423は、各メタバースプラットフォーム21に2次学習モデルを送信(配布)した後においては、配布した2次学習モデルをブロックチェーン上に記録、あるいは秘密分散したうえで、2次学習モデルに記憶していた同じ2次学習モデルについては削除するようにしてよい。
【0084】
ステップS322:メタバース制御装置200において不正検出部224は、2次学習モデル記憶部235に記憶される2次学習モデルを用いて、メタバースに存在するアバターの不正検出を実行する。この際、不正検出部224は、例えば現在から一定期間前の過去におけるアバター履歴情報を2次学習モデルに入力させ、2次学習モデルから出力される不正検出の推定結果を取得するようにされてよい。また、アバター履歴情報に、メタバースに存在するアバターの真正性を示す情報(例えば、アバターに付与された電子透かしやNFT等の情報)やアバターの身分を証明する身分証明情報等を含めることで、不正検出部224は、アバターのなりすましや乗っ取り等の不正を高い精度で検出することが可能となる。
【0085】
本実施形態において、アバターに関する不正の検出結果を示す情報(アバター不正検出情報)の利用の態様については、特に限定されない。例えば、メタバース制御部221は、対応のメタバースにて不正が検出されたアバターのメタバース利用登録を抹消し、以降において対応のメタバースへの入場を禁止するように制御してよい。
また、1つのメタバースプラットフォーム21のメタバースにて得られたアバター不正検出情報は、他のメタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200にて共有されるようにしてよい。これにより、他のメタバースにおいても、同じアバターのメタバースへの入場を禁止するように制御することができる。
また、例えば各メタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200により得られたアバター不正検出情報は、複数のメタバースプラットフォーム21において発生するアバターの不正の防止を目的とする機関に提供されるようにしてもよい。機関では、収集したアバター不正検出情報を分析し、分析結果に応じて不正防止対策を決定するようにして利用することができる。
【0086】
<変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明する。
[第1変形例]
メタバース制御装置200が1次学習モデルの作成とアバターに関する不正検出とに用いるアバター履歴情報には、アバターに対応するユーザUのプロフィール情報が含められてよい。つまり、本変形例において、1のアバターに対応するアバター履歴情報は、対応のアバターのアバター履歴情報と、当該アバターに対応するユーザUのプロフィール情報(ユーザ属性情報の一例)とを含む。ユーザUのプロフィール情報は、メタバース利用登録(ステップS100(
図7))に際して、ユーザ端末100がアバター情報とともにメタバース制御装置200に登録させるようにしてよい。ユーザUのプロフィール情報には、ユーザの年齢、性別、体型、経歴等が含まれてよい。さらには、例えばユーザUの許諾に応じて、ユーザのSNS(Social Network Service)のアカウントを連携させることにより得られる利用履歴等が含まれてもよい。
本変形例のメタバース制御装置200においては、1次学習モデル作成部223が本変形例のアバター履歴情報を利用して1次学習モデルを作成し、不正検出部224が、アバター履歴情報を2次学習モデルに入力させる。これにより、不正検出部224による不正検出にあたっては、メタバースでのアバターの行動に加えて、対応のユーザUのプロフィール情報を特徴量とした機械学習が可能になるため、アバターに関する不正の検出精度を向上することが可能となる。
【0087】
[第2変形例]
上記実施形態においては、複数のメタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200のそれぞれに共通の2次学習モデルを提供するようにされていた。
これに対して、本変形例では、例えば学習サーバ400が、複数のメタバースプラットフォーム21のそれぞれを複数のグループのいずれかに含めるようにグループ分けをする。グループ分けの基準は、例えばメタバース環境やユーザ層の傾向等に基づいて行われてよい。グループ分けに際しては、複数のグループにおいて同じメタバースプラットフォーム21が含まれる場合があってもよい。
本変形例において、学習サーバ400は、複数のメタバースプラットフォーム21の各メタバース制御装置200に同じ初期状態の1次学習モデルを提供し、各メタバース制御装置200から送信される学習済みの1次学習モデルのパラメータを収集してよい。
そのうえで、本変形例の学習サーバ400の2次学習モデル作成部422は、グループごとのメタバースプラットフォーム21の集合に対応させるようにして、収集した1次学習モデルのパラメータについてもグループ分けを行う。2次学習モデル作成部422は、パラメータのグループごとに2次学習モデルを作成する。
このようにして、本変形例では、メタバースプラットフォーム21のグループごとに対応して2次学習モデルが得られる。2次学習モデル提供部423は、作成した2次学習モデルを、それぞれ対応のグループに属するメタバースプラットフォーム21のメタバース制御装置200に送信するようにされる。
このような構成であれば、例えば、多数のメタバースプラットフォーム21のそれぞれが提供するメタバースが有する環境やユーザ層等の傾向に応じて、高い精度でアバターに関する不正を検出することが可能となる。
【0088】
また、学習サーバ400が、取得した複数の1次学習モデルのパラメータを統合する前の段階にて、学習サーバ400が有するテストデータを用いて推論を行い、推論結果の類似性に基づいて、1次学習モデルのパラメータをいくつかにクラスタリング(グループ分け)してもよい。そのうえで、同じクラスタにおける1次学習モデルごとのパラメータを利用して相互学習を実行させることで、クラスタごとに2次学習モデルを作成してよい。
【0089】
[第3変形例]
例えば、或るメタバースに対応するメタバース制御装置200が、以前の所定バージョンの2次学習モデルを用いていたときには不正検出の精度が高かったのであるが、その後に更新された新しいバージョンの2次学習モデルを用いたところ、不正検出の精度が低くなった、といった結果が生じる場合がある。このような場合、メタバース制御装置200としては、最新のバージョン2次学習モデルよりも、以前の所定バージョンの2次学習モデルを不正検出に用いたほうが好ましい。
そこで、本変形例では、メタバース制御装置200の不正検出部224が、不正検出に利用する2次学習モデルのバージョンを指定可能とされてよい。
【0090】
本変形例において、不正検出部224は、不正検出に利用する2次学習モデルのバージョンを指定するバージョン指定情報を学習サーバ400に送信する。学習サーバ400は、受信したバージョン指定情報を、例えば対応のメタバースプラットフォーム21のプラットフォーム情報に格納するようにしてプラットフォーム情報記憶部431に記憶させて良い。
学習サーバ400の2次学習モデル提供部423は、2次学習モデルを提供するにあたり、提供先のメタバースプラットフォーム21に対応付けられているバージョン指定情報が指定するバージョンの2次学習モデルを送信するようにされる。
各バージョンの2次学習モデルを2次学習モデル記憶部434に記憶させている場合には、2次学習モデル提供部423は、バージョン指定情報が指定するバージョンの2次学習モデルを2次学習モデル記憶部434から取得し、取得した2次学習モデルを送信してよい。
あるいは、2次学習モデル記憶部434にてバージョン指定情報が指定するバージョンの2次学習モデルが2次学習モデル記憶部434から既に削除されている場合、2次学習モデル提供部423は、指定されたバージョンの2次学習モデルを、バージョン管理システム500経由でブロックチェーンから復元し、復元により得られた2次学習モデルを送信してよい。
また、上記のような2次学習モデルの復元は、対応のメタバースプラットフォーム21におけるメタバース制御装置200(あるいはメタバース制御装置200以外の装置でもよい)が学習サーバ400を介することなく直接的に行えるようにされてよい。この場合、メタバース制御装置200は、バージョン管理システム500にネットワーク経由でアクセス可能なようにされたうえで、バージョン管理システム500経由でブロックチェーンから所望のバージョンの2次学習モデルを復元するようにしてよい。
【0091】
[第4変形例]
上記実施形態においては、学習サーバ400が作成した2次学習モデルを各メタバース制御装置200に提供し、メタバース制御装置200が、提供された2次学習モデルを利用して不正検出を行うようにしている。
本変形例では、メタバース制御装置200の不正検出部224が、メタバース内のアバターの行動に応じて生成したアバター履歴情報を、学習サーバ400に送信する。学習サーバ400の不正検出部は、送信されたアバター履歴情報を2次学習モデルに入力して不正に関する検出結果を出力させ、出力された検出結果をメタバース制御装置200に送信する。メタバース制御装置200の不正検出部224は、受信した検出結果を取得することによりアバターに関連する不正の検出を行ってよい。
【0092】
[第5変形例]
学習サーバ400に代えて、メタバースプラットフォーム21同士がP2P(Peer to Peer)により相互に通信を行う環境のもとで、非中央集権的に連合学習を行うことで、2次学習モデルが作成されるようにしてよい。
管理者は、連合学習の参加者としての複数のメタバースプラットフォーム21のそれぞれに1次学習モデルを提供する。複数のメタバースプラットフォーム21、それぞれ、ローカルデータを用いて、1次学習モデルを更新し、学習済みパラメータを取得する。複数のメタバースプラットフォーム21のそれぞれは、学習済みパラメータを暗号化し、暗号化した学習済みパラメータを、ブロックチェーンにてマイニングを行うマイナーに送信する。
マイナーは、ランダムに受け取った学習済みパラメータを交換し、学習済みパラメータを相互に検証する。検証は、具体的に、過去に問題行動をした参加者のものではないか、学習済みパラメータがテストデータを使って設定した閾値から一定以上に乖離していないか、学習済みパラメータが対応する参加者(メタバースプラットフォーム21)の他参加者からの評価等として行われる。検証の結果が異常であった場合には、対象の学習済みパラメータは排除される。検証の結果が正常であった場合、マイナーから参加者に対して、その貢献度に応じて報酬が支払われてよい。マイナーは受け取った学習済みパラメータを記録するためのブロックをPow(Proof of Work)などのコンセンサスアルゴリズムによって生成し、成功したマイナーはその報酬を受け取ってよい。生成されたブロックは他ノードに伝搬される。学習済みパラメータを受け取ったノードは、取引を検証し、成功したのであれば、受け取った学習済みパラメータをブロックチェーンに追加する。このような手順により、参加者としての各メタバースプラットフォーム21から学習済みパラメータを集約することができる。
各メタバースプラットフォーム21は、集約された学習済みパラメータをダウンロードにより取得する。各メタバースプラットフォーム21は、取得した学習済みパラメータを秘密計算により統合し、2次学習モデルを作成する。このような2次学習モデル作成の手順は複数回繰り返されることで、2次学習モデルの精度を高めることができる。
【0093】
[第6変形例]
上記実施形態において、メタバース制御装置200における1次学習モデル作成部223と、学習サーバ400における2次学習モデル作成部422は、それぞれ、量子コンピューティングに対応する1次学習モデルと2次学習モデルの作成を行うことが可能とされている。
本変形例では、量子コンピューティングに対応可能なメタバース制御装置200と、量子コンピューティングに対応不可で古典コンピューティングに対応するメタバース制御装置200とが混在してよい。
この場合、学習サーバ400は、量子コンピューティングに対応可能なメタバース制御装置200には、量子機械学習に対応する初期状態の1次学習モデルと2次学習モデルとを送信する。一方、学習サーバ400は、量子コンピューティングに対応不可で古典コンピューティングに対応するメタバース制御装置200には、古典機械学習に対応する初期状態の1次学習モデルを送信する。
また、学習サーバ400の2次学習モデル作成部422は、量子機械学習により得られた1次学習モデルのパラメータを統合した量子機械学習による2次学習モデルと、古典機械学習により得られた1次学習モデルのパラメータを統合した古典機械学習による2次学習モデルを作成するようにされる。
学習サーバ400の2次学習モデル提供部423は、量子コンピューティングに対応可能なメタバース制御装置200には、量子機械学習による2次学習モデルを送信し、量子コンピューティングに対応不可で古典コンピューティング対応するメタバース制御装置200には古典機械学習による2次学習モデルを送信する。
【0094】
なお、上述のユーザ端末100、メタバース制御装置200、同意管理サーバ300、学習サーバ400、及びバージョン管理システム500等としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述のユーザ端末100、メタバース制御装置200、同意管理サーバ300、学習サーバ400、及びバージョン管理システム500等としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 ユーザインターフェース環境、20 メタバース提供環境、21 メタバースプラットフォーム、100 ユーザ端末、200 メタバース制御装置、300 同意管理サーバ、400 学習サーバ、500 バージョン管理システム