(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100086
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】疑似障害物運搬装置
(51)【国際特許分類】
G01M 7/08 20060101AFI20240719BHJP
G01M 17/007 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G01M7/08 B
G01M17/007 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003809
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】中野 大輝
(72)【発明者】
【氏名】星加 浩昭
(57)【要約】
【課題】周囲の人員にその位置等を知らせることができる疑似障害物運搬装置を提供する。
【解決手段】自動車の性能試験に用いる疑似障害物を積載して走行し障害物を模擬する疑似障害物運搬装置であって、走行装置と、前記走行装置を包囲する筐体と、前記筐体の上部に設けられ前記疑似障害物を固定する固定機構と、平面視で前記固定機構よりも外側に位置するように前記筐体に設けられた発光装置とを備えた疑似障害物運搬装置を提供する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疑似障害物を積載して走行する疑似障害物運搬装置であって、
走行装置と、
前記走行装置を包囲する筐体と、
前記筐体の上部に設けられ前記疑似障害物を固定する固定機構と、
平面視で前記固定機構よりも外側に位置するように前記筐体に設けられた発光装置と
を備えた疑似障害物運搬装置。
【請求項2】
請求項1の疑似障害物運搬装置において、
前記筐体の内部に設けられたセンサと、
前記センサの出力を入力する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記センサの出力を基に前記筐体又は前記走行装置の状態判定をし、
前記状態判定の結果を基に前記発光装置を制御する
疑似障害物運搬装置。
【請求項3】
請求項2の疑似障害物運搬装置において、
前記制御装置は、前記発光装置に対し、前記状態判定の結果に応じたパターンの発光を指令する疑似障害物運搬装置。
【請求項4】
請求項2の疑似障害物運搬装置において、
無線信号を受信する無線通信装置を備え、
前記制御装置は、前記状態判定の結果に加え、前記無線通信装置で受信した無線信号に応じて前記発光装置を制御する
疑似障害物運搬装置。
【請求項5】
請求項4の疑似障害物運搬装置において、
前記制御装置は、予め設定された条件に基づき、前記状態判定の結果と前記無線信号のどちらを有効にするのかを決定する疑似障害物運搬装置。
【請求項6】
請求項1の疑似障害物運搬装置において、
前記発光装置は、複数設けられている疑似障害物運搬装置。
【請求項7】
請求項6の疑似障害物運搬装置において、
複数の前記発光装置は、前記固定機構に対して異なる方向に位置する疑似障害物運搬装置。
【請求項8】
請求項7の疑似障害物運搬装置において、
複数の前記発光装置は、異なる発光色で発光可能である疑似障害物運搬装置。
【請求項9】
請求項1の疑似障害物運搬装置において、
前記筐体は、本体部と、前記本体部の外周部に位置し水平方向の中心から外側に向かって下方に傾斜する斜面部とを備えており、
前記発光装置は、前記本体部の上面における外周部か、それよりも水平方向の外側に位置している
疑似障害物運搬装置。
【請求項10】
請求項9の疑似障害物運搬装置において、
前記発光装置は、光源と、前記光源をカバーする導光板とを含んで構成されている疑似障害物運搬装置。
【請求項11】
請求項10の疑似障害物運搬装置において、
前記発光装置は、前記本体部の上面から上方に突出しないように配置されている疑似障害物運搬装置。
【請求項12】
請求項11の疑似障害物運搬装置において、
前記導光板は、前記斜面部に配置されている疑似障害物運搬装置。
【請求項13】
請求項11の疑似障害物運搬装置において、
前記導光板は、前記本体部と前記斜面部とに跨って配置されている疑似障害物運搬装置。
【請求項14】
請求項11の疑似障害物運搬装置において、
前記導光板は、前記斜面部の底面に配置されており、
前記光源は、下向きに光を照射するように配置されている
疑似障害物運搬装置。
【請求項15】
請求項10の疑似障害物運搬装置において、
前記発光装置は、前記本体部の上面から上方に突出している疑似障害物運搬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の性能試験に用いる障害物運搬装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の障害物の認識性能や回避性能を客観的に評価するために、所定の衝突条件を模擬して性能試験を行い、衝突の回避や被害低減の度合いを評価することが行われる。この性能試験は、評価対象である自動車と、疑似障害物運搬装置(以下、運搬装置と略記する)とを使用して行われる(例えば特許文献1)。運搬装置は、自動車の性能試験に用いる疑似障害物(例えば人や自転車といった各種障害物を模擬したダミー)を積載した状態で走行し、各種障害物の動きを再現する。運搬装置を用いた再現性の高い性能試験を行うことにより、自動車の衝突安全性が精度良く評価される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
時間帯や気象条件等によっては運搬装置の位置が周囲から把握し辛い場合がある。
【0005】
本発明の目的は、周囲の人員にその位置等を知らせることができる疑似障害物運搬装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、疑似障害物を積載して走行する疑似障害物運搬装置であって、走行装置と、前記走行装置を包囲する筐体と、前記筐体の上部に設けられ前記疑似障害物を固定する固定機構と、平面視で前記固定機構よりも外側に位置するように前記筐体に設けられた発光装置とを備えた疑似障害物運搬装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、周囲の人員にその位置等を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の第1実施形態に係る疑似障害物運搬装置の外観構成を模式的に表す側面図
【
図1B】本発明の第1実施形態に係る疑似障害物運搬装置の外観構成を模式的に表す平面図
【
図2】本発明の第1実施形態に係る疑似障害物運搬装置の全高と試験対象の自動車の最低地上高との高さ関係を示す図
【
図3A】本発明の第1実施形態に係る疑似障害物運搬装置の運用形態を表す模式図
【
図3B】本発明の第1実施形態に係る疑似障害物運搬装置の運用形態を表す模式図
【
図3C】本発明の第1実施形態に係る疑似障害物運搬装置の運用形態を表す模式図
【
図3D】本発明の第1実施形態に係る疑似障害物運搬装置の運用形態を表す模式図
【
図4】本発明の第1実施形態に係る疑似障害物運搬装置を用いた自動車の性能試験の様子を表す模式図
【
図5】本発明の第1実施形態に係る疑似障害物運搬装置の機能の一例を表す機能ブロック図
【
図6】本発明の第1実施形態に係る疑似障害物運搬装置の遠隔制御システムの一構成例を表す模式的な機能ブロック図
【
図7】
図1B中のVII-VII線による筐体の矢視断面図
【
図8A】本発明の第2実施形態に係る疑似障害物運搬装置の外観構成を模式的に表す平面図
【
図8B】
図8A中のVIII-VIII線による筐体の矢視断面図
【
図9A】本発明の第3実施形態に係る疑似障害物運搬装置の外観構成を模式的に表す平面図
【
図10A】本発明の第4実施形態に係る疑似障害物運搬装置の外観構成を模式的に表す平面図
【
図11A】本発明の第5実施形態に係る疑似障害物運搬装置の外観構成を模式的に表す平面図
【
図12A】本発明を適用する疑似障害物運搬装置の他の構成例を模式的に表す側面図
【
図12B】本発明を適用する疑似障害物運搬装置の他の構成例を模式的に表す平面図
【
図13】
図12A及び
図12Bに示した疑似障害物運搬装置の全高と試験対象の自動車の最低地上高との高さ関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
-疑似障害物運搬装置-
図1Aは本発明の第1実施形態に係る疑似障害物運搬装置の外観構成を模式的に表す側面図、
図1Bはその平面図である。また、
図2は
図1A及び
図1Bに示した疑似障害物運搬装置の全高と試験対象の自動車の最低地上高との高さ関係を示す図、
図3A-
図3Dは疑似障害物運搬装置の運用形態を表す模式図である。
図1Bの左・右・下・上を、本実施形態の疑似障害物運搬装置1(以下、運搬装置1と略記する)の前・後・左・右とする。
【0011】
図1A、
図1B及び
図2に示した運搬装置1は、自動車Aの性能試験に用いるダミー障害物である疑似障害物Bを積載して停止又は走行し、静的又は動的な障害物を模擬する装置である。疑似障害物Bの本体は、一般に風船等の柔らかいもので構成され、性能試験で自動車Aが疑似障害物Bに衝突しても疑似障害物Bや自動車Aが損傷し難いように配慮されている。自動車Aの性能試験としては、例えば障害物認識機能の試験、障害物との衝突回避機能又は衝突抑制機能の試験等が挙示される。運搬装置1は、試験対象の自動車Aの外界認識センサにより障害物として認識され難いように、また、疑似障害物Bに自動車Aが衝突した際の自動車Aのボディとの接触を避けるために、低背で薄型に構成されている。運搬装置1の地表面からの全高は、自動車Aの最低地上高Hよりも低く、例えば100mm程度に抑えられている。
【0012】
構成要素としては、運搬装置1は、走行装置2、筐体3、固定機構4、及び発光装置5を備えている。
【0013】
走行装置2は、運搬装置1のシャシであり、複数(3つ以上)の車輪2a、これら車輪2aを駆動するモーターや操舵機構等を含んで構成されている。
【0014】
筐体3は、運搬装置1のボディであり、走行装置2を包囲している。本実施形態において、筐体3は、本体部3a及び斜面部3bを含んで構成されている。筐体3は、本体部3aと斜面部3bを別々の構造物として本体部3a及び斜面部3bの組立体として構成することもできるし、本体部3a及び斜面部3bを一体成型した構成とすることもできる。
【0015】
本体部3aは、本実施形態では平面視で四角形(図の例では正方形)の薄型の形状である。本実施形態において、本体部3aの上面は水平な平面であるが、必ずしもこの限りではない。
【0016】
斜面部3bは、本体部3aの外周部に位置し、本体部3aの全周を囲っている。斜面部3bの上向きの面は、筐体3の水平方向の中心から外側に向かって下方に傾斜する傾斜面であり、本体部3aの上面から地表面に向かって下っている。この傾斜面は、疑似障害物Bに自動車Aが衝突した際、自動車Aの車輪が運搬装置1にスムーズに乗り上げられるように、傾斜角度等が設定される。
【0017】
固定機構4は、疑似障害物Bを筐体3に固定する機構であり、筐体3の上部、例えば上面の中央部に設けられている。固定機構4の構成は、運搬装置1に対する疑似障害物Bの脱着機構に応じたものが適宜採用される。例えば疑似障害物Bの下部構造物(疑似障害物Bのポールのベースプレート等)を押さえる押さえのような機構であったり、疑似障害物Bを固定するボルトをねじ込むネジ穴であったり、固定機構4の構成は種々設計変更可能である。この固定機構4を介して運搬装置1の筐体3の上部に疑似障害物Bを装着しこの状態で運搬装置1が走行することにより、疑似障害物Bが模した障害物の動きが運搬装置1により再現される。
【0018】
疑似障害物Bは、性能試験の目的に応じた形状のものが選択されて運搬装置1に取り付けられる。
図3Aは運搬装置1に歩行者B1を模した疑似障害物Bを運搬装置1に搭載した例を表している。また、
図3Bは自転車B2、
図3CはオートバイB3、
図3Dは自動車B4を運搬装置1に搭載した例をそれぞれ表している。運搬装置1は、例えば、オペレータのリモコン操作に応じた無線信号、管制制御装置による遠隔制御による無線信号、又は予め規定されたプログラムに応じて走行し、積載した疑似障害物Bの所定の動きを再現する。
【0019】
発光装置5は、運搬装置1の現在の位置や状態を周囲に表示するための装置であり、平面視で固定機構4よりも外側、つまり固定機構4よりも外縁の近くに位置するように、筐体3に設けられている。具体的には、発光装置5は、運搬装置1に積載された疑似障害物Bで隠され難いように、筐体3の本体部3aの上面における外周部か、それよりも水平方向の外側に配置されている。本実施形態において、発光装置5は、筐体3の本体部3aの上面の外縁に内接する位置に配置されている。
【0020】
また、発光装置5は、1つのみでも良いが、本実施形態では複数(図では5つ)設けられており、固定機構4に対して異なる方向にそれぞれ位置し、周方向に間隔を空けて配置されている。本実施形態では、運搬装置1の前後左右にそれぞれ発光装置5が設けられており、性能試験の参加者に対して運搬装置1がどの方向を向いていてもいずれかの発光装置5が視認でき、発光装置5の発光を頼りに運搬装置1の位置が遠方からでも把握し易いように配慮されている。特に、本実施形態では、筐体3の前部に2個の発光装置5を配置し、筐体3の左部、右部及び後部に各1個の発光装置5を配置した例を示している。本実施形態の運搬装置1は正方形状であるが、前部にのみ発光装置5を2個配置することで、発光装置5が2つある方が運搬装置1の前部であることが一見して把握できるように配慮されている。
【0021】
加えて、複数の発光装置5は、異なる発光色で発光可能であることが好ましい。各々の発光装置5の発光色が単一で発光装置5毎に発光色が異なる構成でも良いし、各々の発光装置5が複数の発光色に切り換え可能で、発光装置5毎に発光色を設定が変えられるようにしても良い。例えば、自動車Aのテールランプのように後部の発光装置5を赤色に発光させることにより、運搬装置1の前進方向をより分かり易くすることができる。また、例えば、前側の発光装置5の発光色を白色、右側の発光装置5の発光色を青色、左側の発光装置5の発光色を黄色、後側の発光装置5の発光色を赤色といったように、前後左右でそれぞれ発光色が全て異なるようにすれば、前後左右の発光装置5の1つが視認できれば運搬装置1の向きを把握できるようにすることができる。
【0022】
図4は運搬装置1を用いた自動車Aの性能試験の様子を表す模式図である。性能試験において、疑似障害物Bを積載した運搬装置1は、性能試験で規定された試験条件で停止又は走行する。試験対象の自動車Aは運搬装置1に積載された疑似障害物Bと相対して走行しつつ、疑似障害物Bをその障害物認識機能により真の障害物として認識し、必要に応じて衝突回避機能等を働かせる。疑似障害物Bとの衝突回避が困難な試験条件であれば、
図4に示したように疑似障害物Bに自動車Aのボディが衝突する。性能試験の参加者は、自動車Aや運搬装置1から適切な距離が確保された場所から自動車Aと疑似障害物Bとの衝突の状況等を観察する。
【0023】
こうした自動車Aの性能実験において、運搬装置1は、自動車Aと疑似障害物Bが衝突した際、自動車Aのボディの下に潜り込んだり自動車Aの車輪に踏み付けられたりする場合も多い。このような使用環境であることから、自動車Aと疑似障害物Bとの衝突時でも安定して作動し、運搬装置1の位置や状態を報知できるように、発光装置5の損傷に対策することが有意義である。
【0024】
そこで、
図1Aに示したように、本実施形態において、発光装置5は、俯角が小さくても発光が視認し易いように筐体3の本体部3aの上面から上方に僅かに突出しているが、その突出量は必要最低限(例えば数mm)に抑えてあり、発光装置5の上面と筐体3の本体部3aの上面は同程度の高さに設定されている。これにより、自動車Aの車輪が筐体3に乗り上げたりしても、発光装置5に加わる衝撃や負荷が抑えられる。
【0025】
-機能ブロック-
図5は運搬装置1の機能の一例を表す機能ブロック図である。
図5において、既出図面と同一の又は対応する要素には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0026】
運搬装置1の筐体3の内部には、付帯装置10及び制御装置20が格納されており、筐体3により、運搬装置1に加わる衝撃や荷重から制御装置20や付帯装置10が保護される。
【0027】
付帯装置10には、走行装置2や発光装置5の他、外部機器との間で無線信号を授受する無線通信装置11、及び走行装置2や筐体3の状態を検出するセンサ(センサ群)12が含まれる。但し、発光装置5は、全体として筐体3に格納されているが、他の付帯装置10と異なり全部が筐体3に包囲されているわけではなく、一部(発光面)は筐体3から上方に露出して筐体3の外側から視認可能である。
【0028】
センサ12には、測位センサ13(例えばGNSS移動局)、加速度センサ14(例えばIMU)、電圧センサ15、温度センサ16、接地センサ17等の各種車載センサが含まれる。測位センサ13は、運搬装置1の現在位置や方位を測定し、制御装置20に送信する。加速度センサ14は、運搬装置1に作用する加速度を測定し、制御装置20に送信する。電圧センサ15は、例えば筐体3に作用する応力、ひずみ等を測定し、制御装置20に送信する。運搬装置1には、バッテリ残量を測定する電圧計等も車載され得る。温度センサ16は、モーターやモーターの冷媒、バッテリ等の温度を測定し、制御装置20に送信する。接地センサ17は、例えば自動車Aの車輪で押さえられて筐体3が地表面に接触した状態を検出し、制御装置20に送信する。接地センサ17は、例えば車輪2aと筐体3との相対位置を測定する距離計やレベルセンサ等を採用し、車輪2aに対して所定距離を超えて筐体3の位置が低下した場合に筐体3が接地したことを検出する構成とすることができる。その他、筐体3と地表面との距離を測定する距離計、リミットスイッチや近接センサ等も接地センサ17として採用可能である。
【0029】
制御装置20は、運搬装置1に搭載されたコンピュータであり、走行装置2の制御の他、状態判定処理21、制御処理22、通信処理23、統合管制処理24といった種々の処理を実行する。制御装置20には、センサ12の出力が入力される。
【0030】
状態判定処理21は、通信処理23でデジタル信号化されたセンサ12からのデータ等を基に運搬装置1の故障等の状態を判定する処理である。制御装置20は、センサ12の出力を基に走行装置2や筐体3等を含む運搬装置1の状態を判定する状態判定装置として機能する。状態判定処理21で判定する運搬装置1の状態としては、例えば設定中、待機中、自律走行中、リモコン操作中、異常等が挙げられる。
【0031】
設定中は、例えば、車載コンピュータ20自らが試験条件等の設定の読み込み中、又は入力待ちの状態である。自律走行中は、読み込んでいる最中である。待機中は、試験条件の設定完了後、試験開始を待つ状態である。自律走行中は、試験条件に応じてプログラムに従って自律的に走行中の状態である。リモコン操作中は、オペレータが操作するリモコンからの無線信号に従って走行中の状態である。設定中、待機中、自律走行中、リモコン操作中は、例えば各種設定の受信・入力の状況、操作信号の受信状況等により判定することができる。
【0032】
異常は、走行装置2や筐体3に故障等の何らかの異常が生じている状態である。例えば、測位センサ13で高精度測位解が得られない場合が異常の一例である。また、加速度センサ14の出力を基に許容値を超える衝撃が運搬装置1に加わったと判定される場合、電圧センサ15の出力を基に筐体3に許容値を超える応力や歪が生じていると判定される場合も、異常に該当する。その他、温度センサ16の出力を基にモーターや冷媒の温度が許容値を超えて上昇していると判定される場合、接地センサ17の出力を基に筐体3が接地していると判定される場合等も異常に該当する。
【0033】
制御処理22は、状態判定処理21の判定結果(判定データ)に応じて発光装置5の発光を制御する処理である。つまり、制御装置20は、状態判定装置のみならず、状態判定処理21の判定結果を基に発光装置5を制御する制御装置を兼ねる。但し、制御装置20を複数のコンピュータで構成し、状態判定処理21と制御処理22とを別々のコンピュータで実行する構成とすることもできる。
【0034】
制御装置20のメモリには、状態判定処理21で判定される状態と発光装置5の発光パターンとの予め設定された関係が記録されている。発光パターンの例としては、どの発光装置5を点灯させるか(位置)、何色で発光させるか(発光色)、どのようなリズムで点灯させるか(1Hz,2Hz等の点灯間隔、点灯回数等)が挙げられる。制御処理22では、状態判定処理21の判定結果に応じた発光パターンがメモリから読み込まれ、発光装置5に対して指令される。
【0035】
通信処理23は、センサ12等の付帯装置10と通信する処理であり、例えばセンサ12等の付帯装置10から入力されるデータや信号を必要に応じてデジタル化したり、付帯装置10に出力するデータや信号を必要に応じてアナログ化したりする。本実施形態において、制御処理22では、状態判定処理21の判定結果に加え、無線通信装置11で外部機器(後述する管制制御装置50や図示しないリモコン)から受信した無線信号に応じて発光装置5を制御することができる。外部機器からの無線信号が、通信処理23により、制御処理22で処理可能なデータ形式に変換される。
【0036】
本実施形態において、発光装置5は制御装置20が電源投入状態である間は常時発光可能な状態であり、外部(管制制御装置50やリモコン)からの無線信号が通信処理23で処理され、操作発光装置5の発光の停止や発光パターンの変更等を外部から制御することができる。
【0037】
統合管制処理24は、外部機器からの無線信号と状態判定処理21の判定結果のどちらに従って発光装置5の制御をすべきかを判定する処理である。つまり、状態判定処理21の判定結果と無線信号のどちらを有効にするのかを決定する管制装置も兼ねる。但し、制御装置20を複数のコンピュータで構成し、状態判定処理21及び制御処理22の少なくとも一方とは異なるコンピュータで統合管制処理24が実行される構成とすることもできる。
【0038】
統合管制処理24による判定は、予め設定された条件に基づいて行われる。例えば、常に状態判定処理21の判定結果及び無線信号の一方(例えば状態判定処理21の判定結果)に対し他方(例えば無線信号)が優先される条件を設定してメモリに記録しておけば、統合制御処理24により、仮に状態判定処理21の判定結果に従って発光装置5が制御されている最中でも、発光装置5の制御に関する無線信号を受信した場合、無線信号で指令された発光パターンで発光装置5が点灯する。
【0039】
-遠隔制御システム-
図6は運搬装置1の遠隔制御システムの一構成例を表す模式的な機能ブロック図である。
図6において、既出図面と同一の又は対応する要素には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0040】
運搬装置1を遠隔制御する外部機器の例として、オペレータが手動操作するリモコンの他、
図6に例示したような管制制御装置50が挙げられる。管制制御装置50は、無線通信装置55を介して運搬装置1と通信を行い、各種データの受け渡しや制御指示を行う。管制制御装置50には、運搬装置1の発光装置5を遠隔制御する管制制御処理51の実行機能が備わっており、発光装置5の発光パターンのデータを生成し無線通信装置55を介して運搬装置1に送信する。管制制御処理51が発光パターンの生成の基礎とするデータは適宜設計変更可能であるが、例えば運搬装置1から受信した状態判定処理21の判定結果、或いはオペレータの入力操作に応じて発光パターンを生成する構成を採用することができる。管制制御装置50から送信された発光パターンは、運搬装置1の無線通信装置11を介して制御装置20に伝送され、制御処理22により発光装置5への制御信号に変換される。
【0041】
-発光装置-
図7は
図1B中のVII-VII線による筐体3の矢視断面図である。
図7において、既出図面と同一の又は対応する要素には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0042】
本実施形態の発光装置5は、LED等の光源5aと、光源5aの上方をカバーする導光板5bとを含んで構成されている。各発光装置5は、光源5aが導光板5bで覆われて外部からの衝撃や雨水から保護されると共に、光源5aから上向きに出射した光が導光板5bに入射し、導光板5bで広角に拡散するように構成されている。
【0043】
本実施形態において、光源5aは筐体3の上面(最も高い面)よりも全部が下方に位置するように筐体3に固定されている。それに対し、導光板5bは、大部分が筐体3の上面(同)よりも下方に位置するものの、筐体3の上面(同)よりも上方に発光面が突出している。但し、筐体3からの導光板5bの突出量は必要最低限(数mm程度かそれ以下)に抑えられている。また、導光板5bは、自動車Aの車輪に対する摩擦が小さく、自動車Aの車輪から受ける荷重で圧壊を起こさない強度を持つように、材質や露出面積、厚み等が設定されている。このように、光源5aを導光板5b及び筐体3で保護しつつ、低俯角でも広く周囲から発光装置5を視認することができるように配慮されている。
【0044】
-効果-
(1)本実施形態の運搬装置1によれば、筐体3にける外側部分に発光装置5を設けたので、運搬装置1の位置等を周囲の人員に発光装置5を用いて知らせることができる。そして、自動車Aの性能試験において、試験監督者や自動車Aのドライバ等といった各参加者が、運搬装置1の位置等を目視で容易に把握することができる。
【0045】
自動車Aの性能試験では、疑似障害物Bと自動車Aとの衝突が想定される。自動車Aはもちろん、運搬装置1もまた、例えば自動車B4の動作を再現する場合には相応の速度で走行するため、性能試験の参加者は、運搬装置1は疑似障害物Bや自動車Aから離れた場所に居て、同じく離れた場所から運搬装置1を遠隔制御する形態が望ましい。運搬装置1がプログラムに従って自律走行する場合も、参加者が離れた場所に居なければならない事情は同じである。従って、運搬装置1の位置は、性能試験の参加者等が離れた場所からでも目視確認できることが望ましい。この観点において、本実施形態に係る運搬装置1のメリットは非常に大きい。また、匂いや音でなく発光装置5を用いた視覚的表示を採用したことにより、昼間夜間を問わず運搬装置1の位置等をリアルタイムに周囲の人員に報知するすることができ、利便であることはいうまでもない。
【0046】
(2)運搬装置1によれば、センサ12の出力等を基に異常の有無等の自らの状態(自律走行中、遠隔操作中、異常発生等)が判定され、その判定結果を基に発光装置5が制御される。これにより、性能試験の参加者は、運搬装置1に現在異常が発生しているかどうか等を発光装置5により容易に把握することができる。
【0047】
一般的に、運搬装置をオペレータがリモコン等のコントローラで操作する場合、コントローラを通じてオペレータは運搬装置の故障等の状態をリアルタイムに知ることができる場合がある。しかし、性能試験において、試験監督者や自動車のドライバ等といった運搬装置のオペレータ以外の参加者は、運搬装置の状態をリアルタイムに知ることができないのが実情である。
【0048】
(3)運搬装置1によれば、自らの状態の判定に応じたパターンで発光装置5が点灯制御される。これにより、性能試験の参加者は、発光装置5の発光パターンによって運搬装置1の状態がどのような状態であるのかを具体的に把握することができる。
【0049】
(4)運搬装置1に無線通信装置11を搭載し、発光装置5の制御に関する無線信号を受信することができるようにしたことにより、発光装置5を遠隔で制御することができる。
【0050】
(5)制御装置20に予め設定された条件に基づき自己の状態判定と無線信号のどちらを有効にするのかを決定する機能を持たせた。これにより、例えば運搬装置1による状態の自己判定に無線信号が常時優先されるように条件を設定すれば、例えば自動車Aのドライバに緊急で何か通知する必要が生じた場合等、運搬装置1の状態判定によらず、遠隔で強制的に発光装置5を制御することができる。
【0051】
(6)発光装置5が複数設けられているので、運搬装置1に積載する疑似障害物Bの種類によって一部の発光装置5が隠れてしまっても、他の発光装置5が露出していれば、発光装置5が機能する。
【0052】
(7)複数の発光装置5を固定機構4に対して異なる方向に配置したことにより、例えば
図1Bの例のように筐体3の左右両側及び後側に各1つの発光装置5を設ける一方で、前部にのみ複数の発光装置5を配置することで、運搬装置1の位置のみならず向きも容易に把握することができる。また、発光装置5を異なる方向に振り分けて配置することにより、性能試験の参加者に対して運搬装置1がどのような向きであっても、参加者はいずれかの発光装置5を目視でき運搬装置1の位置等を容易に把握することができる。
【0053】
(8)複数の発光装置5が異なる発光色で発光可能であるので、例えば発光色を方位や状態等と関連付けることで、運搬装置1の向きや状態を詳細に周囲に知らせることができる。
【0054】
(9)発光装置5を筐体3における外側領域、具体的には本体部3aの上面における外周部に設けたことにより、運搬装置1に積載する疑似障害物Bの形態によらず疑似障害物Bと干渉し難く、運搬装置1に疑似障害物Bを積載した状態でも発光装置5を見易くすることができる。
【0055】
(10)発光装置5を、光源5aと導光板5bを備え、光源5aを導光板5bでカバーする構成としたことにより、光源5aを導光板5bで保護し、自動車Aと疑似障害物Bとの衝突の際に自動車Aが筐体3に乗り上げたりしても、光源5aの破損を抑制して発光機能を維持することができる。
【0056】
(11)本実施形態では筐体3の本体部3aのフラットな上面に発光装置5の発光面を配置しているが、発光装置5を僅かに、具体的には導光板5bの一部を筐体3の本体部3aの上面よりも上方に突出させてある。これにより、十分な俯角が確保されない状況でも広く周囲から発光装置5を視認することができる。
【0057】
(第2実施形態)
図8Aは本発明の第2実施形態に係る疑似障害物運搬装置の外観構成を模式的に表す平面図、
図8Bは
図8A中のVIII-VIII線による筐体の矢視断面図である。これらの図において、既出図面と同一の又は対応する要素には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態の運搬装置1が第1実施形態の運搬装置1と相違する点は、各発光装置5が、筐体3の本体部3aの上面から上方に突出しないように配置されている点である。本実施形態の場合、導光板5bを筐体3の斜面部3bに配置し、斜面部3bの傾斜面に発光装置5の発光面を露出させることで、発光装置5が筐体3の本体部3aの上面から上方に突出しないように構成されている。光源5aは筐体3に全部が覆われており、側方に光を出射する。
【0059】
本実施形態に係る運搬装置1のその他のハードウェア及びソフトウェアについては、第1実施形態の運搬装置1と同様に構成することができる。
【0060】
第1実施形態のように筐体3の本体部3aの上面に発光面を露出させることが望ましくない場合、本実施形態のように側面に導光板5bを設けることができる。筐体3の斜面部3bと導光板5bの材質のマッチングが良い場合には、本実施形態のような構成も採用可能である。
【0061】
第1実施形態においては、発光装置5を僅かに筐体3の本体部3aの上面から上方に突出させることで、広く周囲から発光装置5を視認できるようにしたが、本実施形態においては、発光面が斜面部3bの傾斜面に露出して斜め側方を向くので、より周囲から視認し易くなり得る。また、各発光装置5の配置も、第1実施形態と比べてより筐体3の外側であるため、発光装置5が疑似障害物Bで隠され難くなり、視認性がより向上し得る。また、第1実施形態のように運搬装置1の筐体3の本体部3aの上面に発光装置5を突出させる構成よりも、自動車Aが衝突する際の発光装置5の破損を回避し易くなる可能性もある。その他の点についても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
(第3実施形態)
図9Aは本発明の第3実施形態に係る疑似障害物運搬装置の外観構成を模式的に表す平面図、
図9Bは
図9A中のIX-IX線による筐体の矢視断面図である。これらの図において、既出図面と同一の又は対応する要素には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0063】
本実施形態の運搬装置1が第1実施形態の運搬装置1と相違する点は、第2実施形態と同じく、各発光装置5が、筐体3の本体部3aの上面から上方に突出しないように配置されている点である。本実施形態の場合、導光板5bが筐体3の本体部3aと斜面部3bとに跨って配置されている。第2実施形態と同じく、筐体3の斜面部3bと導光板5bとの材質のマッチングが良い場合には、本実施形態のような構成も採用可能である。
【0064】
本実施形態に係る運搬装置1のその他のハードウェア及びソフトウェアについては、第1実施形態又は第2実施形態の運搬装置1と同様に構成することができる。
【0065】
本実施形態では、第1実施形態に比べて光源5aの配置を下方に若干下げ、導光板5bの上面を筐体3の本体部3aの上面の高さまで下げている。同時に、導光板5bを筐体3の本体部3aから斜面部3bに拡張し、斜面部3bの傾斜面に発光面の一部が露出する構成としてある。発光装置5の発光面が傾斜面にかかるため、第2実施形態と同様に発光装置5が上方に突出しなくても側方からの発光装置5の視認性の向上が期待される。
【0066】
本実施形態によれば、第1実施形態と同じく筐体3の本体部3aの上面に発光装置5を露出させる構造ながら、第2実施形態と同様に側方からの発光装置5の視認性に優れ、かつ導光板5bの上方への突出が抑えられることから自動車Aの乗り上げ時の抵抗軽減、圧壊回避にも有利である。その他の点についても、第1実施形態又は第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
(第4実施形態)
図10Aは本発明の第4実施形態に係る疑似障害物運搬装置の外観構成を模式的に表す平面図、
図10Bは
図10A中のX-X線による筐体の矢視断面図である。これらの図において、既出図面と同一の又は対応する要素には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施形態において、各発光装置5は、筐体3の本体部3aの上面から上方に突出している。本実施形態の場合、導光板5bは全体が筐体3の本体部3aの上面より上側に位置し、光源5aについても一部が筐体3の本体部3aの上面より上側に位置している。
【0069】
本実施形態に係る運搬装置1のその他のハードウェア及びソフトウェアについては、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態の運搬装置1と同様に構成することができる。
【0070】
導光板5bの材質が、自動車Aの車輪に対する摩擦を小さく、自動車Aの車輪から受ける荷重に対して圧壊を起こさない強度を持つ場合には、本実施形態のような構成も採用可能である。本実施形態においては、発光装置5が上方に突出しているので、発光装置5の視認性に優れる。その他の点についても、第1実施形態、第2実施形態、又は第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
(第5実施形態)
図11Aは本発明の第5実施形態に係る疑似障害物運搬装置の外観構成を模式的に表す平面図、
図11Bは
図11A中のXI-XI線による筐体の矢視断面図である。これらの図において、既出図面と同一の又は対応する要素には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0072】
本実施形態の運搬装置1が第1実施形態の運搬装置1と相違する点は、導光板5bが筐体3の斜面部3bの底面に露出するように配置されており、光源5aが下向きに光を照射するように配置されている点である。より具体的には、光源5aは斜面部3bの傾斜方向に光軸を傾斜させて配置されており、光源5aの出射光が側方に向かって下向きに傾斜して導光板5bに入射する。導光板5bに入射した光は、導光板5bで拡散しつつ、筐体3(斜面部3b)よりも外側の地表面にビームスポットSを形成する。本実施形態において、筐体3の本体部3aの上面や斜面部3bの傾斜面に発光装置5の発光面は露出していない。
【0073】
本実施形態に係る運搬装置1のその他のハードウェア及びソフトウェアについては、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態又は第4実施形態の運搬装置1と同様に構成することができる。
【0074】
第1-第4実施形態が発光装置5の発光面を直接視認する構成であったのに対し、本実施形態は発光装置5が地表面を照明して形成されるビームスポットSを視認する構成である。本実施形態においては、運搬装置1に積載する疑似障害物Bに発光装置5の光が遮られることをより効果的に抑制し、地表面に形成されるビームスポットSを広く周囲から視認することができる。本実施形態は、光源5aの光度が高く地表面の反射率が高い条件下で特に有効である。また、筐体3の本体部3aの上面や斜面部3bの傾斜面に発光装置5が露出しないので、発光装置5の保護効果も高い。その他の点についても、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、又は第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
(変形例)
図12Aは発明を適用する疑似障害物運搬装置の他の構成例を模式的に表す側面図、
図12Bはその平面図である。これらの図において、既出図面と同一の又は対応する要素には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
【0076】
説明済みの各実施形態の運搬装置1は筐体3が平面視で四角形状の構成であったのに対し、
図12A及び
図12Bに示した運搬装置1は筐体3が平面視で三角形状である点で相違する。筐体3の3つの角は平面視で曲率半径を可能は範囲で大きめにとった曲面になっており、本例の筐体3も前の各実施形態の筐体3と同じく自動車Aの車輪が運搬装置1にスムーズに乗り上げられるように配慮されている。
【0077】
本例においても、前の各実施形態と同じく、
図13に示すように運搬装置1の地表面からの全高は自動車Aの最低地上高Hより低い。その他、前の各実施形態の運搬装置1と同じく、本例の運搬装置1も固定機構4、車輪2a、発光装置5等を同様に備える。発光装置5の構成については、前の各実施形態のいずれもそれぞれ採用可能であり、適宜組み合わせて採用することもできる。その他のハードウェア及びソフトウェアについても、第1-第5実施形態の運搬装置1と同様に構成することができる。
【0078】
このように、運搬装置1の筐体3の形状には種々のバリエーションがあるところ、第1-第5実施形態に例示した発光装置5の構成やその他のハードウェア及びソフトウェアは、筐体3の形状が異なる各種の運搬装置1についても適用可能である。
【0079】
また、例えば各実施形態の発光装置5の構成は、同一の運搬装置1に対して複数種組み合わせて採用可能である。例えば、前後に長い疑似障害物Bを積載する場合に前後の発光装置5が疑似障害物Bで隠れ易い場合には、例えば前後の発光装置5については第2実施形態(
図8B)、第3実施形態(
図9B)、又は第5実施形態(
図11B)の形態を採用し、左右の発光装置5については第1実施形態(
図7)や第4実施形態(
図10B)の形態を採用する等、必要に応じて各実施形態の構成を適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0080】
1…疑似障害物運搬装置、2…走行装置、3…筐体、3a…本体部、3b…斜面部、4…固定機構、5…発光装置、5a…光源、5b…導光板、11…無線通信装置、12…センサ、20…制御装置、B…疑似障害物