(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100096
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】包装用箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20240719BHJP
B65D 81/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B65D5/50 A
B65D81/02 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003827
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】勅使河原 千晶
【テーマコード(参考)】
3E060
3E066
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA04
3E060CC05
3E060CC17
3E060CC18
3E060CC19
3E060CE05
3E060CE18
3E060CE22
3E060DA30
3E060EA09
3E066AA71
3E066BA06
3E066CA03
3E066HA01
3E066JA03
3E066LA30
3E066NA48
(57)【要約】
【課題】収容部の側面を3方向から緩衝的に保持し、収容物の底面を面で受けてクッション性を有して保持し、異なる大きさの収容物にも対応可能な包装用箱を提供する。
【解決手段】筒体に組み立てられた背面板14、左側面板16、正面板18、右側面板20の4側面と、一方の端部に糊付片22を有する。正面板18の内側に正面板側仕切面74、左側面板16の内側に左側面板側仕切面76、背面板14と右側面板20の間の角部の内側に押さえ片80を有する。正面板側仕切面74と左側面板側仕切面76、押さえ片80は、上方に開口する筒体である。筒体の内側の空間は、収容物124を収容する収納空間122である。収納空間122には底部13に沿う底仕切面106が、底部13から離間して位置する。収納空間122の内側の間隔は、収容物124の側面の輪郭よりも小さい。正面板側仕切面74と左側面板側仕切面76、押さえ片80は弾性変形し収容物124を緩衝的に保持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の箱体形成片から成り、筒体に組み立てられた正面板、左側面板、背面板、右側面板の4側面と、前記4側面の連接方向の一方の端部に前記4側面の連接方向の他方の端部の裏面に糊付けされて前記筒体を保持する糊付片が設けられ、組立状態で連接された4側面で形成される上方の開口端部を閉鎖する上蓋片と、下方の開口端部を閉鎖する底部が設けられている包装用箱において、
前記包装用箱の内側には、前記正面板の内側に離間して前記正面板に沿う正面板側仕切面と、前記正面板側仕切面に連続し前記左側面板の内側に離間して前記左側面板に沿う左側面板側仕切面と、前記背面板と前記右側面板の間の角部の内側に位置する押さえ片を有し、
前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面、前記押さえ片は、上方に開口する筒体に組み立てられ、前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面、前記押さえ片で囲まれた筒体の内側の空間は、収容物を収容する収納空間となり、
前記収納空間には前記底部に沿う底仕切面が前記底部から離間して設けられ、
前記底仕切面の下方には、前記収納空間を横断する底支持片が設けられ、前記底支持片の面は、前記底部に対して交差し、前記底支持片の下方の端部は、前記底部近傍に位置し、
前記収容物が前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面、前記押さえ片に挟まれて緩衝的に保持されること特徴とする包装用箱。
【請求項2】
一枚の箱体形成片から成り、筒体に組み立てられた正面板、左側面板、背面板、右側面板の4側面と、前記4側面の連接方向の一方の端部に前記4側面の連接方向の他方の端部の裏面に糊付けされて前記筒体を保持する糊付片が設けられ、組立状態で連接された4側面で形成される上方の開口端部を閉鎖する上蓋片と、下方の開口端部を閉鎖する底部が設けられている包装用箱において、
前記箱体形成片は、前記糊付片、前記背面板、前記左側面板、前記正面板、前記右側面板が互いに平行に連接されて設けられ、
前記糊付片の、前記背面板とは反対側の側縁部には、前記正面板側仕切面と、前記左側面板側仕切面と、前記背面板の裏面に糊付けされる背面板糊付部と、前記背面板と前記右側面板の間の角部の内側を面取りするように位置する押さえ片が、順に連接して設けられ、
前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面、前記押さえ片は、上方に開口する筒体に組み立てられ、前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面、前記押さえ片で囲まれた筒体の内側の空間は、収容物を収容する収納空間となり、
前記収納空間の前記押さえ片の下方の端部に、前記底部に沿う底仕切面が前記底部から離間して設けられ、
前記正面板側仕切面の下方の端部には、前記糊付片を挟んで前記右側面板の裏面に糊付けされる右側面板糊付部が切断線で区切られて設けられ、
前記底仕切面の下方には、前記収納空間を横断する底支持片が設けられ、前記底支持片の面は、前記底部に対して交差し、前記底支持片の下方の端部は、前記底部近傍に位置し、前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面の下方の端部に前記底支持片が設けられ、前記底支持片は、横方向の側縁部が、前記右側面板糊付部又は前記左側面板側仕切面に、折罫線を介して各々連続し、上方の端部は、前記正面板側仕切面及び前記左側面板側仕切面との間が前記切断線又は底支持片スリットで区切られていること特徴とする包装用箱。
【請求項3】
前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面、前記押さえ片で囲まれた筒状の前記収納空間の内側の間隔は、前記収容物の側面の輪郭よりも小さい請求項1または2記載の包装用箱。
【請求項4】
前記底支持片スリットは穴明部分となる請求項2記載の包装用箱
【請求項5】
前記底部は、前記箱体形成片が糊付けされて折り畳まれた状態から前記4側面を立体形状に組み立てると同時に組み立てられる請求項1または2記載の包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、箱体の内側に緩衝用の仕切りが一体に設けられ、瓶等の収容物を包装する包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧水や薬液等を瓶に入れた商品は、紙製の包装用箱に収容されて、運搬、保管、陳列がされているものがある。このような包装用箱は、収容した瓶等を保護し、中でがたつかないように、包装用箱内を仕切る緩衝用の仕切りが設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている瓶類の包装用箱は、筒状に形成した箱体の壁面中央部の内側に瓶の胴部を緩衝的に支承する胴部緩衝体を形成し、箱体の底部に、瓶の底部を緩衝的に支承する底部支障壁が一体的に形成されている。
【0004】
また、特許文献2に開示されている緩衝機能付包装用箱は、連接された4側面で外側筒状体を構成し、外側筒状体の内側に、正面仕切板、第二仕切部、背面仕切板、第一仕切部で囲まれた収容部が、外側筒状体と隙間を空けて対面し、収容部の下側開口部に、収容物支持部が横切るように位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-24932号公報
【特許文献2】特開2012―6646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景技術の場合、胴部緩衝体や収容部は、瓶等の収容物が入る大きさに作られているが、胴部緩衝体や収容部を形成する各仕切板は瓶の側面に弾性的に当接することはなく、側面方向の衝撃に対して緩衝効果が十分ではない。瓶の底面は、補強壁や収容物支持部の断面によって支持されるため、クッション性はなく、上下方向の衝撃に対しても緩衝効果が十分ではない。
【0007】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、収容部の側面を3方向から緩衝的に保持し、収容物の底面を面で受けてクッション性を有して保持し、また異なる大きさの収容物にも対応可能な包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一枚の箱体形成片から成り、筒体に組み立てられた正面板、左側面板、背面板、右側面板の4側面と、前記4側面の連接方向の一方の端部に前記4側面の連接方向の他方の端部の裏面に糊付けされて前記筒体を保持する糊付片が設けられ、組立状態で連接された4側面で形成される上方の開口端部を閉鎖する上蓋片と、下方の開口端部を閉鎖する底部が設けられている包装用箱において、前記包装用箱の内側には、前記正面板の内側に離間して前記正面板に沿う正面板側仕切面と、前記正面板側仕切面に連続し前記左側面板の内側に離間して前記左側面板に沿う左側面板側仕切面と、前記背面板と前記右側面板の間の角部の内側に位置する押さえ片を有し、前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面、前記押さえ片は、上方に開口する筒体に組み立てられ、前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面、前記押さえ片で囲まれた筒体の内側の空間は、収容物を収容する収納空間となり、前記収納空間には前記底部に沿う底仕切面が前記底部から離間して設けられ、前記底仕切面の下方には、前記収納空間を横断する底支持片が設けられ、前記底支持片の面は、前記底部に対して交差し、前記底支持片の下方の端部は、前記底部近傍に位置し、前記収容物が前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面、前記押さえ片に挟まれて緩衝的に保持される包装用箱である。
【0009】
また本発明は、一枚の箱体形成片から成り、筒体に組み立てられた正面板、左側面板、背面板、右側面板の4側面と、前記4側面の連接方向の一方の端部に前記4側面の連接方向の他方の端部の裏面に糊付けされて前記筒体を保持する糊付片が設けられ、組立状態で連接された4側面で形成される上方の開口端部を閉鎖する上蓋片と、下方の開口端部を閉鎖する底部が設けられている包装用箱において、前記箱体形成片は、前記糊付片、前記背面板、前記左側面板、前記正面板、前記右側面板が互いに平行に連接されて設けられ、前記糊付片の、前記背面板とは反対側の側縁部には、前記正面板側仕切面と、前記左側面板側仕切面と、前記背面板の裏面に糊付けされる背面板糊付部と、前記背面板と前記右側面板の間の角部の内側を面取りするように位置する押さえ片が、順に連接して設けられ、前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面、前記押さえ片は、上方に開口する筒体に組み立てられ、前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面、前記押さえ片で囲まれた筒体の内側の空間は、収容物を収容する収納空間となり、前記収納空間の前記押さえ片の下方の端部に、前記底部に沿う底仕切面が前記底部から離間して設けられ、前記正面板側仕切面の下方の端部には、前記糊付片を挟んで前記右側面板の裏面に糊付けされる右側面板糊付部が切断線で区切られて設けられ、前記底仕切面の下方には、前記収納空間を横断する底支持片が設けられ、前記底支持片の面は、前記底部に対して交差し、前記底支持片の下方の端部は、前記底部近傍に位置し、前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面の下方の端部に前記底支持片が設けられ、前記底支持片は、横方向の側縁部が、前記右側面板糊付部又は前記左側面板側仕切面に、折罫線を介して各々連続し、上方の端部は、前記正面板側仕切面及び前記左側面板側仕切面との間が前記切断線又は底支持片スリットで区切られている包装用箱である。
【0010】
前記正面板側仕切面と前記左側面板側仕切面、前記押さえ片で囲まれた筒状の前記収納空間の内側の間隔は、前記収容物の側面の輪郭よりも小さいものである。また、前記底支持片スリットは穴明部分となるものである。
【0011】
前記底部は、前記箱体形成片が糊付けされて折り畳まれた状態から前記4側面を立体形状に組み立てると同時に組み立てられるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装用箱は、収容物の側面を3方向から緩衝的に保持し、収容物の底面を紙等の面で受けてクッション性を有して保持することができる。収容物を両側から挟む仕切面は、収容物に押されて弾性変形するため、高い緩衝機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の一実施形態の包装用箱の斜視図である。
【
図2】この実施形態の包装用箱の組み立てた状態を示す平面図(a)と収容物を入れた状態を示す平面図(b)である。
【
図3】この実施形態の包装用箱の組み立てた状態を示す縦断面図(a)と収容物を入れた状態を示す縦断面図(b)である。
【
図5】この実施形態の包装用箱の組み立て状態を示す展開図である。
【
図6】この実施形態の包装用箱の組み立て状態を示す展開図である。
【
図7】この実施形態の包装用箱の組み立て状態を示す展開図である。
【
図8】この実施形態の包装用箱の組み立て状態を示す展開図である。
【
図9】この実施形態の包装用箱の組み立て状態を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1~
図9はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の包装用箱10は、略直方体の箱体であり、厚紙等の一枚のブランクシートを一体的に打ち抜いた箱体形成片12を組み立てることによって形成されている。
【0015】
図4は、箱体形成片12を表面から見た展開図であり、箱体形成片12は、箱体の筒状の4側面を形成する、背面板14、左側面板16、正面板18、右側面板20が、互いに平行に連接して形成されている。背面板14、左側面板16、正面板18、右側面板20は、ほぼ同じ大きさの矩形であり、互いに連接している幅方向よりも、連接方向の長さが短い。さらに背面板14の側縁部には、包装用箱10の組み立て状態で右側面板20の裏面に糊付けされる糊付片22が設けられている。糊付片22、背面板14、左側面板16、正面板18、右側面板20は、各々折罫線24,26,28,30で区切られている。
【0016】
背面板14の、側面同士の連接方向に対して直角な方向の一端部には、矩形の上蓋片32が折罫線34で区切られて設けられている。上蓋片32の、折罫線34の反対側の端部には、さらに差込片36が折罫線38で区切られて設けられている。背面板14の、折罫線34とは反対側の端部には、三角形状の底蓋片40が折罫線42で区切られて設けられ、底蓋片40の、左側面板16に隣接する傾斜した側縁部には、四角形状の底面糊付片44が折罫線46で区切られて設けられている。
【0017】
左側面板16の、背面板14の折罫線34に隣接する端部には、台形状の上フラップ48が折罫線50で区切られて設けられている。左側面板16の、折罫線50とは反対側の端部には、三角形状の底フラップ52が折罫線54で区切られて設けられている。
【0018】
正面板18の、左側面板16の折罫線50に隣接する端部18aには、端部18aの中心をコの字形に囲む開封用の破断線56が設けられている。破断線56の内側は、差込片用糊付部57となる。正面板18の、端部18aとは反対側の端部には、底蓋片40と同形状の三角形状の底蓋片58が折罫線60で区切られて設けられ、底蓋片58の、右側面板20に隣接する傾斜した側縁部には、底面糊付片44と同形状の四角形状の底面糊付片62が折罫線64で区切られて設けられている。
【0019】
右側面板20の、正面板18の端部18aに隣接する端部には、台形状の上フラップ66が折罫線68で区切られて設けられている。右側面板20の折罫線68とは反対側の端部には、三角形状の底フラップ70が折罫線71で区切られて設けられている。
【0020】
糊付片22は、折罫線24に対して直角な長さは側面14より短く形成されている。折罫線24に対して平行な長さは、折罫線24に連接する部分は背面板14と同じ幅を有し、折罫線24とは反対側の折罫である側縁部22aは折罫線24より短い。折罫線24に交差する上方の端部22bは、中間よりも折罫線24に近い部分は、折罫線34から離れるにつれて折罫線34の延長線よりも下方に移動する傾斜した直線と、その傾斜した直線に連続して下方に向かう直線で形成され、中間よりも側縁部22aに近い部分は、折罫線24に対して略直角である。端部22bとは反対側の下方の端部22cも同様で、中間よりも折罫線24に近い部分は、折罫線42から離れるにつれて折罫線42の延長線よりも上方に移動する傾斜した直線と、その傾斜した直線に連続して上方に向かう直線で形成され、中間よりも側縁部22aに近い部分は、折罫線24に対して略直角である。
【0021】
糊付片22には、緩衝用の仕切り片72が連接して設けられている。仕切り片72は、正面板側仕切面74、左側面板側仕切面76、背面板糊付部78、押さえ片80が、順に糊付片22に連接して形成されている。連接方向は、4側面の連接方向に対して平行である。糊付片22、正面板側仕切面74、左側面板側仕切面76、背面板糊付部78、押さえ片80は、各々折罫線82,84,86,88で区切られている。
【0022】
正面板側仕切面74は、包装用箱10の組み立て状態で、正面板18の内側に離間して正面板18に対して略平行に設けられるものであり、糊付片22との連接方向の長さが正面板18より短い。糊付片22との連接方向に交差する長さは、正面板18よりも小さく、糊付片22よりも少し大きい。正面板側仕切面74の、糊付片22の端部22bに連続する端部74aは、端部22bに対して略平行であり、端部22bよりも少し上方に移動した位置にあり、正面板18の端部18aよりは下方に位置する。端部74aとは反対側の端部74bは、端部22cの延長線に一致する直線であり、一端部は折罫線82に連続し、他端部は正面板側仕切面74の中間付近に達している。つまり端部74bは、端部74aの約半分程度の長さである。端部74bの、正面板側仕切面74の中間付近に達している端部は、左側面板側仕切面76の端部76bに連続している。端部76bは、端部74bから下方に突出する台形状であり、端部74bとは反対側は折罫線86に達している。
【0023】
端部74aと端部74bの間には、切断線90が設けられている。切断線90は、端部74aよりも端部74bに少し近い位置に設けられ、折罫線82と折罫線84に連続している。切断線90の、折罫線82に連続する部分は、折罫線82に対して略直角で端部74a,74bに対して略平行な直線であり、切断線90の中間付近で下に向かって鈍角に折れ曲がって傾斜部となり、折罫線84近傍で再び折罫線84に向かって鈍角に折れ曲がり、折罫線84に対して略直角な直線となり、折罫線84に連続し、更に折罫線84を通過して左側面板側仕切面76の中間付近に達している。
【0024】
端部74bと端部76bの境界には、折罫線82に対して略平行な折罫線92が設けられ、切断線90の傾斜線の途中に連続している。端部74b、折罫線92、切断線90、折罫線82で囲まれた部分は、右側面板20の裏面に糊付片22を挟んで糊付けされる右側面板糊付部94となる。
【0025】
切断線90の、左側面板側仕切面76の中間付近に達する端部から、折罫線82,84に対して略平行な折罫線96が設けられ、折罫線96は、端部76bの台形状の折罫線86に近い斜辺の途中に連続している。折罫線96、切断線90、折罫線92、端部76bで囲まれた部分は、後述する底部13に向かって突出する台形状の底支持片100となる。切断線90の、折罫線84に接する直線の部分の下側に、底支持片100を切り欠いて底支持片スリット98が設けられている。つまり、底支持片100の横方向の側縁部の、一方は右側面板糊付部94に折罫線92を介して連続し、他方は左側面板側仕切面76に折罫線96を介して連続する。底支持片100の上方の端部は、正面板側仕切面74と左側面板側仕切面76から、切断線90及び台形状の穴明部分である底支持片スリット98で区切られている。
【0026】
正面板側仕切面74の、折罫線84に接する部分には、長丸形状の正面板支持片スリット104が設けられている。正面板支持片スリット104は、折罫線84に対して平行な方向に長い。正面板支持片スリット104の内側には、左側面板側仕切面76から連続する正面板支持片102が設けられている。正面板支持片102は、正面板支持片スリット104の内側へ向かって突出する台形状であり、正面板支持片102は折罫線84が途切れている所に設けられている。
【0027】
左側面板側仕切面76は、左側面板16の内側に離間して左側面板16に対して略平行に設けられるものであり、正面板側仕切面74との連接方向の長さが左側面板16より短い。正面板側仕切面74との連接方向に交差する長さは、左側面板16よりも小さく、正面板側仕切面74とほぼ等しい。左側面板側仕切面76の、正面板側仕切面74の端部74aに連続する端部76aは、端部74aに対して略平行であり、端部74aよりも少し下方に移動した位置にあり、端部22bの延長線上にある。端部76aとは反対側の端部76bは、前述のように端部74bに連続し下方に突出する台形状であり、端部74bとは反対側は折罫線86に達している。
【0028】
背面板糊付部78は、背面板14の裏面に糊付けされるものであり、左側面板側仕切面76との連接方向の長さが背面板14の半分以下で短い。左側面板側仕切面76との連接方向に交差する長さは、左側面板側仕切面76の折罫線86とほぼ等しい矩形である。背面板糊付部78の、端部76aに連続する端部78aは端部76aの延長線に一致する直線である。端部78aとは反対側の端部78bは、折罫線86に連続する部分は、折罫線86に対して略直角な直線であり、端部78bの中間付近で上に向かって鈍角に折れ曲がって傾斜部となり、折罫線88近傍で再び折罫線88に向かって鈍角に折れ曲がり、折罫線88に対して略直角な直線となり、折罫線88に連続する。
【0029】
押さえ片80は、包装用箱10の組み立て状態で、背面板14と右側面板20の角部の内側に面取りするように位置し、背面板14に糊付けされた背面板糊付部78に、折罫線88を介して連接して片持ち状態となる。押さえ片80は、変形した五角形であり、背面板糊付部78との連接方向の長さが背面板糊付部78よりも長く、左側面板側仕切面76よりも少し短い。背面板糊付部78との連接方向に交差する長さは、背面板糊付部78の折罫線88とほぼ等しい。押さえ片80の、端部78aに連続する端部80aは端部78aの延長線に一致する直線である。端部80aとは反対側の端部80bは、折罫線88に連続する部分は、折罫線88に対して略直角な直線であり、端部80bの中間付近で上に向かって鈍角に折れ曲がって傾斜部となり、折罫線88とは反対側の側縁部80cに達している。
【0030】
押さえ片80の端部80bには、折罫線88に隣接する部分に、底仕切面106が折罫線108を介して設けられている。底仕切面106は、折罫線108を長辺とする長方形の部分と、長方形の先端に連続し長方形よりも大きい変形した五角形の部分から成り、長方形の部分と五角形の部分は、折罫線108に対して略平行な折罫線110で区切られている。五角形の部分の形状は、折罫線110に沿って折罫線110よりも少し長い長辺を有する長方形から、折罫線110とは反対側の長辺である端部106aの折罫線88側の角部を端部106bで面取りしたような形状であり、折罫線110に沿う長辺の折罫線88側の角部も小さく面取りされて、五角形となる。
【0031】
次に、この実施形態の包装用箱10の組立方法の一例について説明する。ここでは、
図4が包装用箱10の箱体形成片12の表面を見たものであり、箱体形成片12の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0032】
まず、
図5に示すように折罫線108を正折りし、底仕切面106を押さえ片80の裏面に重ねる。なお、
図5~
図9は、折り方を見やすくするため、箱体形成片12の裏面を見たものである。次に
図6に示すように折罫線86を正折りして、背面板糊付部78の表面に糊112を塗布し、右側面板糊付部94の裏面に糊114を塗布する。そして、
図7に示すように、折罫線82を正折りして、右側面板糊付部94の裏面を糊付片22の裏面に糊付けし、背面板糊付部78の表面を背面板14の裏面に糊付けする。
【0033】
次に
図8に示すように、折罫線42,54,60,71を正折りし、折罫線46,64を逆折りし、底面糊付片44,62の裏面に糊116,118を各々塗布する。糊付片22の表面に糊120を折罫線24に沿って塗布する。
図9に示すように折罫線26を正折りして、底面糊付片44の裏面を底フラップ52の表面に糊付けする。さらに折罫線30を正折りし、糊付片22を右側面板20の裏面に、底面糊付片62を底フラップ70の表面に、各々糊付けする。これにより箱体形成片12は折り畳み状態となり、この状態で箱体形成片12による折り畳み状態の包装用箱10が、商品である収容物を包装する工場で出荷される。糊付けと折る順番は、上記以外でも良い。
【0034】
次に、収容物を収容し包装する工場において、折罫線24,26,28,30を各々90°に正折りして四角形の筒体にする。この時、底面糊付片44,62は底フラップ52,70に各々糊付けされているため、二つ折りされていた折罫線42,54,60,71は自動的に引き起こされてほぼ90°に開き、底部13が形成される。そして仕切り片72は、折罫線82,84,86が90°に正折りされ、折罫線88が鈍角に正折りされ、
図1~
図3に示すように、正面板側仕切面74は正面板18の内側に離間して正面板18に対して略平行に位置し、左側面板側仕切面76は左側面板16の内側に離間して左側面板16に対して略平行に位置する。
【0035】
正面板支持片102は、左側面板側仕切面76と面一になり、正面板側仕切面74との間の折罫線84を超えて正面板18へ向かって突出し正面板18の裏面近傍に達する。正面板18に当接しない方が、緩衝性が高い。背面板糊付部78の、左側面板側仕切面76とは反対側に連続する押さえ片80は、背面板糊付部78に折罫線88を介して連接して片持ち状態であり、折罫線88を軸として自由に動くが、箱体形成片12の弾性により折罫線88は鈍角に開き、折罫線88とは反対側の側縁部80cは、糊付片22を挟んで右側面板20の裏面に当接する。これにより押さえ片80は背面板14と右側面板20の間の角部の内側に面取りするように位置する。正面板側仕切面74と左側面板側仕切面76、押さえ片80で囲まれた筒状の空間は、収容物を収容する収納空間122となる。
【0036】
右側面板糊付部94は、切断線90により正面板側仕切面74から分離し、糊付片22に折り返されて糊付けされた状態となる。底支持片100も切断線90により正面板側仕切面74と左側面板側仕切面76から分離し、折罫線92が90°に逆折りされて右側面板糊付部94に対して略直角に位置し、折罫線96が90°に正折りされて左側面板側仕切面76に対して略直角に位置する。これにより、底仕切面106の下方に、収納空間122を横断して底支持片100が設けられ、底支持片100の面は、底部13に対して略直角に位置し、底支持片100の下方の端部76bは、底部13近傍に位置する。底部13に当接しない方が、緩衝性が高い。
【0037】
これで仕切り片72が立体形状に組み立てられ、包装用箱10の組立が完了する。組み立てた状態では、底仕切面106は押さえ片80の裏面側に折罫線108で折り返され、箱体形成片12の弾性により、底仕切面106の端部106aが左側面板側仕切面76の端部76aに近づいている。
【0038】
この状態で、収容物を包装用箱10の中に入れる。ここで収容物は、薬液が入ったガラス製のバイアル瓶124である。バイアル瓶124の輪郭は、収納空間122の正面板側仕切面74と左側面板側仕切面76、押さえ片80で囲まれた筒状の内側空間の間隔よりも大きい。包装用箱10の上方の開口から、収納空間122の中に、バイアル瓶124を、底部124aから差し込む。正面板側仕切面74と左側面板側仕切面76、押さえ片80は、
図2(b)、
図3(b)に示すように、バイアル瓶124の側面124bに押し広げられて弾性変形し、中央付近が押し広げられる。底仕切面106は、バイアル瓶124の底部124aに押し下げられて、折罫線108は90°に正折りされ、底仕切面106は底部13に対して略平行となり、底支持片100の上端部に支持される。折罫線110は少し曲がり、底仕切面106が弾性変形して撓むことでクッション性を補助する。底支持片100の上端部は、底支持片スリット98の周縁であり上方に開口する台形状であり、底仕切面106の端部106bは、左側面板側仕切面76の裏面又は台形状の斜辺に摺動可能に当接し、移動可能であり、底仕切面106は上下に移動可能となる。バイアル瓶124の底部124aは、底仕切面106の面で受け、底仕切面106の面は上下に移動可能であるため、クッション性を有して保持される。
【0039】
次に、折罫線50,68で上フラップ48,66を正折りし、その後折罫線34で上蓋片32を正折りし、更に折罫線38を正折りして差込片36を正面板18の内側に差し込み、閉鎖し、包装が完了する。正面板18の差込片用糊付部57と、差込片36を糊付けしてもよい。包装用箱10を開封する際は、差込片用糊付部57を押して、
図1に示すように破断線56を切断する。
【0040】
この実施形態の包装用箱10によれば、被収容物であるバイアル瓶124を、バイアル瓶124の側面124bに押されて弾性変形して広がった正面板側仕切面74と左側面板側仕切面76、押さえ片80により3方向から挟み、弾発的に側面124bを保持し、また底仕切面106の面で底部124aを受けてクッション性を有して保持し、緩衝的に包装することができる。バイアル瓶124の側面124bを保持する正面板側仕切面74、左側面板側仕切面76、押さえ片80は、糊付片22と背面板糊付部78を介して、右側面板20と背面板14に各々糊付けされて支持されているだけであり、自由に弾性変形して広がることができる。自由に弾性変形して広がることができるため、大きさが異なるバイアル瓶124にも、適宜に弾性変形して側面124bを挟み込んで密着し、弾発的に保持することができ、同じ大きさの包装用箱10で兼用することができる。
【0041】
底仕切面106は、一部は折罫線108で押さえ片80と連続し、その他は自由端であり、底支持片100の上端にのっているだけで、適度に移動が可能であり、クッション性が高い。底支持片100にのっているため、底仕切面106は下方に大きく移動することが無い。底仕切面106は、端部106bが左側面板側仕切面76の裏面に隙間なく接するため、確実にバイアル瓶124の底部124aを支えることができる。
【0042】
また底支持片100は、底支持片スリット98を開けて正面板側仕切面74と左側面板側仕切面76に設けられ、仕切り片72を立体的に組み立てる際に正面板側仕切面74と左側面板側仕切面76から容易に立ち上がることができる。
【0043】
正面板支持片102は、左側面板側仕切面76と面一になり、正面板側仕切面74を超えて正面板18へ向かって突出するため、仕切り片72が大きく変形することを防ぐことができる。正面板支持片102は、正面板支持片スリット104を開けて正面板側仕切面74に設けられ、仕切り片72を立体的に組み立てる際に正面板側仕切面74から容易に立ち上がることができる。
【0044】
バイアル瓶124を正面板側仕切面74と左側面板側仕切面76に沿って挿入するだけで、バイアル瓶124の側面124bが正面板側仕切面74と左側面板側仕切面76、押さえ片80を押し広げて弾性変形させ、底部124aが底仕切面106を組み立て、簡単に収容することができ、収容する操作が簡単である。底部13はワンタッチで組み立てられ、底部13と同時に仕切り片72が立体的に形成され、組み立てが簡単である。仕切り片72は、折り畳まれた底蓋片40,58と底フラップ52,70に接触しないため、底蓋片40,58、底フラップ52,70が引き起こされて底部13を組み立てる際に干渉することが無い。底支持片100は、
図8に示すように底蓋片40と背面板14の間に折り畳まれ、干渉することが無い。
【0045】
バイアル瓶124は、包装用箱10の4側面と、底部13との間に空間があり、外からの衝撃を直接受けることが無い。狭い空間でも高い緩衝性を有し、包装用箱10のサイズを小形にすることができ、コンパクトである。包装用箱10の中にバイアル瓶124に入れられた薬液についての添付文書を印刷した紙を入れなくても、高い緩衝性を有してバイアル瓶124を保護することができる。
【0046】
なお、この発明の包装用箱は、上記実施形態に限定されるものではない。包装用箱の大きさや形状は、収容物に合わせて変更可能である。上方の開口を閉鎖する上蓋片と上フラップや、正面板側仕切面、左側面板側仕切面、押さえ片、底仕切面等の形状や大きさも適宜変更可能であり、上記以外でも良く、正面板側仕切面、左側面板側仕切面、押さえ片の、互いの連接方向が90°異なるものでも良い。また、正面板支持片は正面板側に突出するのではなく左側面板の方に突出していても良い。箱体形成片において、4側面の並び順は適宜変更できる。背面板、左側面板、正面板、右側面板の4側面の、いずれの側面の内側に、仕切面や押さえ片が設けられてもよい。底支持片は、正面板側仕切面と左側面板側仕切面以外に設けられてもよい。底仕切面に設けられた折罫線は無くてもよい。底部は、ワンタッチで組み立てるもの以外でも良い。収容物と上蓋片の間は、空間が設けられていても良く、空間が無く収容物が上蓋片に接してもよい。収容物はバイアル瓶以外に色々なものに使用することができる。箱体形成片の素材は、厚紙以外に合成樹脂や合成樹脂と紙を積層したもの等、自由に選択可能である。折罫線や切断線の本数や長さも適宜変更可能であり、折罫線は折り曲げやすくするために破断線等で設けてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 包装用箱
12 箱体形成片
13 底部
14 背面板
16 左側面板
18 正面板
20 右側面板
22 糊付片
74 正面板側仕切面
76 左側面板側仕切面
76b 端部
78 背面板糊付部
80 押さえ片
90 切断線
92,96 折罫線
94 右側面板糊付部
98 底支持片スリット
100 底支持片
102 正面板支持片
106 底仕切面
122 収納空間
124 バイアル瓶(収容物)
124a 底部
124b 側面