(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100098
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】情報処理システム、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240719BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003835
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】513040384
【氏名又は名称】株式会社マネーフォワード
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】山岸 駿秀
(72)【発明者】
【氏名】貞光 九月
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より高い精度で質問文に対して回答文を出力することが可能な情報処理システム及び方法を提供する。
【解決手段】従業員端末3のプロセッサが、従業員による入力部への操作を介して、過去対応データを特定し、機械学習の条件の入力を受け付け、ボットサーバ2に、機械学習の条件を送信する情報処理システムであって、ポットサーバは、受け付けた機械学習の条件に基づいて、学習モデルによる機械学習の条件を変更し、質問文と回答文とのうち少なくとも一方からベクトルの情報を取得し、質問文と回答文とのうち少なくとも1つの内容に基づいて関連情報のリクエストを要求する。関連情報サーバ5は、ボットサーバから、関連情報のリクエストを受け付けたことに応じて関連情報を特定し、ボットサーバに、特定した関連情報を送信する。ボットサーバは、取得したベクトルの情報に基づいて、分類結果である向上施策及び関連情報とを従業員端末3に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
次の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な少なくとも1つのプロセッサを備え、
取得ステップでは、対応データを取得し、ここで、
前記対応データは、ユーザにより入力された質問文と、前記質問文に対応する回答文と、前記回答文に対応する前記ユーザからの評価である評価情報とを含み、
提示ステップでは、前記対応データと所定の参照情報とに基づいて、前記評価情報を向上させるための向上施策を提示する、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記所定の参照情報は、学習モデルによって得られる情報を含み、
学習ステップでは、採用された過去の向上施策に紐付く、質問文と回答文との少なくとも1つの入力に応じて、前記採用された過去の向上施策を提示できるように学習させた前記学習モデルを取得し、
前記提示ステップでは、質問文と回答文とのうち少なくとも1つを、前記学習モデルに入力することで前記向上施策を提示する、
情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記学習ステップでは、前記採用された過去の向上施策に紐付く、質問文と回答文とのうち少なくとも1つの入力に応じて、前記採用された過去の向上施策に紐付く関連情報が取得されるように学習させた前記学習モデルを取得し、ここで、
前記関連情報は、前記質問文と前記回答文とのうち少なくとも1つの内容に関連する情報であり、
前記取得ステップでは、前記対応データに含まれる、前記質問文と前記回答文とのうち少なくとも1つの内容に基づいて関連情報を取得し、
前記提示ステップでは、取得した前記関連情報を、前記学習モデルに入力することで前記向上施策を提示する、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記関連情報は、前記質問文の内容と前記回答文の内容とのうち少なくとも1つに基づいて、インターネットにより所定の範囲を検索することで得られる情報を含む、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムにおいて、
前記取得ステップでは、前記質問文又は前記回答文に含まれるキーワードを前記インターネットによる検索に適用することで、前記関連情報を取得する、
情報処理システム。
【請求項6】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記学習モデルに使用される特徴量は、前記質問文と前記回答文とのうち少なくとも一方から得られるベクトルの情報を含む、
情報処理システム。
【請求項7】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記学習モデルに使用される特徴量は、前記質問文及び前記回答文の組み合わせから得られるベクトルの情報を含む、
情報処理システム。
【請求項8】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記学習モデルに使用される特徴量は、前記関連情報から得られるベクトルの情報を含む、
情報処理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
管理ステップでは、複数のインテント情報を管理し、前記インテント情報は、質問文と当該質問文に対応する回答文との組み合わせの情報であり、
前記向上施策は、前記インテント情報を追加することと、前記インテント情報の前記回答文を修正することと、前記インテント情報の想定される質問文を追加することと、前記インテント情報を識別するための質問識別情報を修正することと、のうち少なくとも1つを含む、
情報処理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
管理ステップでは、前記質問文が入力されることに応じて前記回答文を出力するチャットボットを管理し、
前記質問文は、前記ユーザにより前記チャットボットに対して入力されるテキスト形式の情報であり、
前記回答文は、前記チャットボットが前記質問文に回答するテキスト形式の情報である、
情報処理システム。
【請求項11】
プログラムであって、
コンピュータを、請求項1~10の何れか1つに記載の情報処理システムの前記プロセッサとして機能させるためのプログラム。
【請求項12】
情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
請求項1~10の何れか1つに記載の情報処理システムの前記プロセッサが実行する各ステップを備える、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術によると、ユーザからのチャットによるオンラインでの問合せに対して、チャットにより回答する問合せ対応システムであって、ユーザからの問合せを受け付ける問合せ受付部と、問合せ受付部により受け付けた問合せに対して回答者を割り当てる回答者管理部と、問合せに対して、回答者管理部により割り当てられた回答者に対応するチャットボットにより対応し、チャットボットによる対応ができないと判断した場合に、割り当てられた回答者によりチャットで回答を行う有人対応に引き継ぐ問合せ処理部とを有する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年において、より高い精度で質問文に対して回答文を出力することが可能な技術が求められている。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、より高い精度で質問文に対して回答文を出力することが可能な技術を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムでは、次の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な少なくとも1つのプロセッサを備える。取得ステップでは、対応データを取得する。対応データは、ユーザにより入力された質問文と、質問文に対応する回答文と、回答文に対応するユーザからの評価である評価情報とを含む。提示ステップでは、対応データと所定の参照情報とに基づいて、評価情報を向上させるための向上施策を提示する。
【0007】
本開示によれば、より高い精度で質問文に対して回答文を出力することが可能な技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】ボットサーバ2のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】従業員端末3のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】顧客端末4のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】ボットサーバ2のプロセッサ21が備える機能部の一例を示す図である。
【
図7】インテント情報データベースDB1の一例を示す図である。
【
図8】向上施策データベースDB2の一例を示す図である。
【
図9】学習時の情報処理の流れを説明するシーケンス図の一例である。
【
図10】推論時の情報処理の流れを説明するシーケンス図の一例である。
【
図11】学習モデルの挙動を説明するブロック図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント装置でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.情報処理システム1のシステム構成
まず、
図1を参照しながら本実施形態の情報処理システム1のシステム構成について説明する。
【0014】
図1は、情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。情報処理システム1は、より高い精度で質問文に対して回答文を出力することが可能なチャットボットを提供するシステムである。
図1が示すように、情報処理システム1は、ボットサーバ2と、従業員端末3と、顧客端末4と、関連情報サーバ5と、通信ネットワークNとを含む。なお、ボットサーバ2、従業員端末3、顧客端末4及び関連情報サーバ5は、それぞれ複数あってもよい。ここで、情報処理システム1に例示されるシステムとは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。したがって、ボットサーバ2単体、従業員端末3単体、顧客端末4単体及び関連情報サーバ5単体であっても情報処理システム1に例示されるシステムに含まれる。
【0015】
ボットサーバ2は、1以上のサーバで構成され、チャットボットを管理する。このチャットボットは、顧客からの質問文を受け付けることに応じて、回答文を出力する。
【0016】
従業員端末3は、従業員としてのユーザが使用する端末である。従業員は、従業員端末3を介して、チャットボットに対して後述する向上施策を実行するユーザである。従業員端末3は、PC(Personal Computer)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等の何れであってもよい。
【0017】
顧客端末4は、顧客としてのユーザが使用する端末である。顧客は、顧客端末4を介して、質問文及び評価情報を入力するユーザである。顧客端末4は、PC(Personal Computer)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等の何れであってもよい。
【0018】
関連情報サーバ5は、関連情報を格納するサーバである。関連情報サーバ5は、チャットボットに紐付くサービスを提供する事業者が管理するサーバであってもよい。関連情報サーバ5は、インターネットを介してアクセスできる任意のサーバであってもよい。
【0019】
通信ネットワークNは、ボットサーバ2と従業員端末3と顧客端末4と関連情報サーバ5とのそれぞれを、相互に通信可能な状態にする。通信ネットワークNは、インターネットを使用した無線による通信であってもよいが、これに限定されるものではなく、有線による通信であってもよい。
【0020】
2.ハードウェア構成
次に、
図2~
図4を参照しながら本実施形態の、ボットサーバ2、従業員端末3、顧客端末4及び関連情報サーバ5のハードウェア構成について説明する。
【0021】
2.1.ボットサーバ2のハードウェア構成
図2は、ボットサーバ2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示されるように、ボットサーバ2は、プロセッサ21と、記憶部22と、通信部23とを備え、これらの構成要素がボットサーバ2の内部において通信バス20を介して電気的に接続されている。ボットサーバ2は、実施形態に係る処理を実行する。
【0022】
プロセッサ21は、ボットサーバ2に関連する全体動作の処理及び制御を行う。プロセッサ21は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。プロセッサ21が、記憶部22に記憶された所定のプログラムを読み出し、プログラムに基づき処理を実行することによって、ボットサーバ2に係る種々の機能、例えば、後述する
図7~
図11に示される処理が実現される。なお、プロセッサ21は単一であることに限定されず、機能ごとに複数のプロセッサ21を有するように実施してもよい。また、それらの組合せであってもよい。
【0023】
記憶部22は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、プロセッサ21によって実行されるボットサーバ2に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部22は、プロセッサ21によって実行されるボットサーバ2に係る種々のプログラム、変数及びプロセッサ21がプログラムに基づき処理を実行する際に用いるデータ等を記憶している。記憶部22は、記憶媒体の一例である。記憶部22は、後述する、インテント情報データベースDB1、向上施策データベースDB2等の種々のデータベースが記憶される。
【0024】
通信部23は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、LTE/3G/4G/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、ボットサーバ2は、通信部23を介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0025】
2.2.従業員端末3のハードウェア構成
図3は、従業員端末3のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示されるように、従業員端末3は、プロセッサ31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、出力部35と、を有し、これらの構成要素が従業員端末3の内部において通信バス30を介して電気的に接続されている。従業員端末3は、実施形態に係る処理を実行する。従業員端末3のプロセッサ31、記憶部32及び通信部33については、ボットサーバ2のプロセッサ21、記憶部22及び通信部23を参照されたい。
【0026】
入力部34は、従業員端末3の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。例えば、入力部34は、出力部35と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することが可能である。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部34がユーザによってなされた操作に基づく入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バス30を介してプロセッサ31に転送され、プロセッサ31が必要に応じて所定の制御又は演算を実行しうる。
【0027】
出力部35は、従業員端末3の表示デバイスとして機能することが可能である。出力部35は、例えば、従業員端末3の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。出力部35は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、従業員端末3の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0028】
2.3.顧客端末4のハードウェア構成
図4は、顧客端末4のハードウェア構成の一例を示す図である。顧客端末4は、プロセッサ41と、記憶部42と、通信部43と、入力部44と、出力部45とを備える。顧客端末4のそれぞれの構成要素が顧客端末4のそれぞれの内部において通信バス40を介して電気的に接続されている。顧客端末4は、実施形態に係る処理を実行する。顧客端末4の、プロセッサ41と、記憶部42と、通信部43とについては、ボットサーバ2のプロセッサ21と、記憶部22と、通信部23とを参照されたい。顧客端末4の、入力部44と、出力部45については、入力部34と、出力部35とを参照されたい。
【0029】
2.4.関連情報サーバ5のハードウェア構成
関連情報サーバ5は、プロセッサと、記憶部と、通信部とを備える。関連情報サーバ5のそれぞれの構成要素が関連情報サーバ5のそれぞれの内部において通信バスを介して電気的に接続されている。関連情報サーバ5は、実施形態に係る処理を実行する。関連情報サーバ5の、プロセッサと、記憶部と、通信部とについては、ボットサーバ2のプロセッサ21と、記憶部22と、通信部23とを参照されたい。
【0030】
3.ボットサーバ2のプロセッサ21の機能構成
図5は、ボットサーバ2のプロセッサ21が備える機能部の一例を示す図である。
図5に示すように、プロセッサ21は、記憶部22に記憶された次の各部がなされるようにプログラムを実行することにより、情報送受信部210と、学習部211と、取得部212と、提示部213と、管理部214として機能する。すなわち、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である少なくとも1つのプロセッサ21によって具体的に実現されることで、プロセッサ21に含まれる各機能部として実行されうる。
【0031】
情報送受信部210は、通信ネットワークN及び通信部23を介して、種々の情報を従業員端末3、顧客端末4又は、関連情報サーバ5から受け付け、受信し、又は取得するように構成される。また、情報送受信部210は、通信部23及び通信ネットワークNを介して、種々の情報を従業員端末3、顧客端末4又は関連情報サーバ5に、送信又は出力するように構成される。
【0032】
学習部211は、学習モデルを使用する情報処理を実行する。例えば、学習部211は、特徴量を取得する。また、例えば、学習部211は、採用された過去の向上施策に紐付く、質問文と回答文との少なくとも1つの入力に応じて、採用された過去の向上施策を提示できるように学習させた学習モデル70(
図11で詳述する)を取得する。
【0033】
取得部212は、対応データを取得する。
【0034】
提示部213は、対応データと所定の参照情報とに基づいて、評価情報を向上させるための向上施策を提示する。
【0035】
管理部214は、質問文が入力されることに応じて回答文を出力するチャットボットを管理する。管理部214は、複数のインテント情報を管理する。
【0036】
情報送受信部210と、学習部211と、取得部212と、提示部213と、管理部214とは、後述する情報処理を実行するように構成される。
【0037】
4.用語の説明
次に、本明細書における各用語を説明する。まず、
図6を参照しながら、対応データと、質問文と、回答文と、評価情報とについて説明する。
図6は、対応データ6の一例を示す図である。
図6には、対応データ6と関連情報63とが含まれる。
【0038】
「対応データ」とは、質問文60と回答文61と評価情報64とが対応付けられているデータである。対応データ6は、顧客により入力された質問文60と、質問文60に対応する回答文61と、回答文61に対応する顧客からの評価である評価情報64とを含む。
【0039】
「質問文」とは、ユーザにより質問として入力される文である。本実施形態では、質問文60は、顧客であるユーザによりチャットボットに対して入力されるテキスト形式の情報である。より具体的には例えば、質問文60は、経理、確定申告、人事、労務、契約、マーケティング、会社設立、個人事業主等のサービスにおいて、当該サービスの不明点、疑問点等の顧客の質問事項として顧客端末4から受け付ける文である。質問事項としては、システムの操作方法、料金体系、解約の方法、用語の意味等が挙げられる。
図6に示すように、質問文60の入力は、顧客からのタッチパネルやキーボード等の手入力を受け付けることにより行われてもよいし、顧客による音声の入力が行われてもよい。
【0040】
「回答文」とは、質問文60への回答として出力される文である。本実施形態では、回答文61は、チャットボットが質問文60に回答するテキスト形式の情報である。より具体的には例えば、回答文61は、経理、確定申告、人事、労務、契約、マーケティング、会社設立、個人事業主等のサービスにおいて、当該サービスの不明点、疑問点等の顧客の質問事項への回答文61として顧客端末4に出力される文である。回答文61は、関連情報63へのリンク情報62を含んでもよい。リンク情報62は、顧客によるリンク情報62への操作によって、関連情報63を参照可能に構成される。
【0041】
「関連情報」とは、質問文60と回答文61とのうち少なくとも1つの内容に関連するテキスト形式の情報である。関連情報63は、回答文61に関連した情報を顧客が更に詳しく知りたい場合に参照される情報である。関連情報63は、
図6では、ウェブブラウザにより表示される態様で示されているがこれに限定されない。関連情報63は、回答文61よりも多くのテキスト形式の情報を含んで構成されてもよい。関連情報63は、画像又は動画の情報を含んで構成されてもよい。関連情報63は、リンク情報62に紐付くURLによって、参照されてもよい。関連情報63は、質問文60の内容と回答文61の内容とのうち少なくとも1つに基づいて、所定の範囲を検索することで得られる情報を含む。所定の範囲は、インターネットにより取得できるウェブページの範囲を含む。所定の範囲は、従業員が所属する組織が運営するサイトであってもよいし、Wikipedia等のボットサーバ2(ある観点によると、インテント情報データベースDB1)の外部のサイトであってもよい。従業員が所属する組織が運営するサイトである場合、当該サービスの該当するサポートサイト、Q&A、マニュアル等であってもよい。関連情報63は、検索エンジンによる検索結果のスニペットに含まれるテキスト形式の情報であってもよい。
【0042】
「評価情報」とは、回答文を確認した顧客による、当該回答文に対する顧客の満足度を表す情報である。実施形態では、評価情報64は、回答文と共に「ご案内はお役に立ちましたか?」という情報が出力された後に、「はい」又は「いいえ」の2択で選択を受け付ける情報である。顧客により「はい」が選択された場合、回答文に紐付く評価情報64は、回答文が有益な情報であったことを示す情報となる。一方で、顧客により「いいえ」が選択された場合、回答文に紐付く評価情報64は、回答文が有益な情報ではなかったことを示す情報となる。
【0043】
次に、
図7を参照しながら、インテント情報及び想定質問文について説明する。
【0044】
図7は、インテント情報データベースDB1の一例を示す図である。インテント情報データベースDB1は、想定質問文データDB10と、質問識別情報データDB11と、回答文データDB12とを少なくとも含む。想定質問文データDB10は、各想定質問文が格納されるデータ列である。質問識別情報データDB11は、各質問識別情報が格納されるデータ列である。
【0045】
「想定質問文」とは、顧客からの入力が想定される質問文の情報である。想定質問文は、1の回答文に紐付いて複数登録されてもよい。ある内容について、複数の想定質問文が登録されることにより、その内容に関して適切に回答文を出力できる可能性が高まる。
【0046】
「質問識別情報」とは、顧客の質問の意図を特定するために使用されるデータである。質問識別情報は、顧客から入力された質問文の意図が特定できない場合に、他の質問識別情報と共に表示される。この表示された複数の質問識別情報は、顧客の質問の意図を特定するために、何れか1つの質問識別情報の選択を受け付け可能に構成される。質問識別情報は、回答文と1対1の対応関係で存在する。回答文データDB12は、各回答文が格納されるデータ列である。
【0047】
「インテント情報」とは、想定質問文と当該想定質問文に対応する回答文との組み合わせの情報である。1のインテント情報は、複数の想定質問文に紐付いて1つの回答文が存在する。すなわち、インテント情報は、
図7の回答文の数量単位での行の情報である。インテント情報は、複数存在し、追加又は削除することによりその数が増減する情報である。
【0048】
管理部214は、複数のインテント情報を含むインテント情報データベースDB1を管理しており、インテント情報データベースDB1を参照して次のような情報処理を実行する。管理部214は、顧客から受け付けた質問文の内容に基づいて、想定質問文データDB10から、顧客が入力した質問文に近い想定質問文を検索する。
管理部214は、検索により想定質問文を特定した場合(関連度が高い想定質問文が存在する場合)、それとペアになっている回答文データDB12に紐づく回答文を出力する。例えば、管理部214は、「有料プランは自動で更新されますか。」という質問文を受け付けた場合、「有料プランは自動更新ですか?」を顧客の質問文に近い想定質問文とし、回答文として「カード決済で利用の場合は・・・」を出力する。
また、管理部214は、検索により想定質問文を特定できなかった場合(関連度が低い想定質問文が複数存在する場合)、当該複数の想定質問文に紐付く複数の質問識別情報データDB11に紐づく質問識別情報を出力し、顧客から顧客の質問事項に最も近い質問識別情報の選択を受け付ける。例えば、管理部214は、「有料プランについて教えて欲しい」という質問文を受け付けた場合、「有料プランへの変更について」と「有料プランの更新について」とを質問識別情報として出力し、顧客から何れかの質問識別情報の選択を受け付ける。
【0049】
次に、
図8を参照しながら、分類結果と向上施策とについて説明する。
【0050】
図8は、向上施策データベースDB2の一例を示す図である。向上施策データベースDB2は、分類結果データDB20と、向上施策データDB21とを少なくとも含む。
【0051】
向上施策データベースDB2は、従業員によって作成される。分類結果データDB20は、分類結果を含む。この分類結果は、回答文に対する顧客の満足度が低いことの原因として割り当てられるデータである。他の観点によると、分類結果は、顧客の満足度が低いことを示す評価情報に対して分類される。分類結果は、例えば、「質問文の誤字又は脱字」と、「質問文の内容が粗すぎる」と、「質問文の内容が細かすぎる」と、「質問文を特定できない」と、「回答文に改善の余地がある」と、「インテント情報が存在しない」と、「質問識別情報がわかりにくい」と、「機能が存在しない」と、「質問文の意図が不明」と、「正答の理由が不明」とを含んでもよい。
【0052】
「質問文の誤字又は脱字」とは、質問文の誤字、脱字等の文面的なミスにより、質問文の内容が理解できないため、適切な回答ができていないことである。
「質問文の内容が粗すぎる」とは、質問文の内容が理解できない程、質問文の情報が少なすぎるため、適切な回答ができていないことである。
「質問文の内容が細かすぎる」とは、質問文の内容が細かすぎる又は具体的すぎるため、適切な回答ができていないことである。
「質問文を特定できない」とは、質問文に紐付く回答文は存在するものの、想定質問文から当該質問文を特定できないため、適切な回答ができていないことである。
「回答文に改善の余地がある」とは、回答文の内容が直接的な回答になっていないこと、又は、回答文に書かれるべき情報は書いてあるが伝わりにくい回答であることである。
「インテント情報が存在しない」とは、既存のインテント情報で対応できないため、適切な回答ができていないことである。
「質問識別情報がわかりにくい」とは、質問識別情報の選択を受け付けた場合に、選択肢を選んだ先に情報があることが質問識別情報の文から読み取れないため、適切な回答ができていないことである。
「機能又は手段が存在しない」とは、顧客の課題を解決できる機能又は手段が存在しないため、顧客の課題に対応できずに、顧客の満足度が低い状態である。
「質問文の意図が不明」とは、質問文の意図が不明であるために適切な回答ができずに、顧客の満足度が低い状態である。
「正答の理由が不明」とは、顧客の満足度の原因が不明であり、適切な回答ができているように見えるが、顧客の満足度が低い状態である。
【0053】
「向上施策」は、評価情報を向上させるための施策である。向上施策は、「インテント情報の想定質問文を追加すること」と、「インテント情報の回答文を修正すること」と、「インテント情報を追加すること」と、「質問識別情報を修正すること」と、「何もしないことと」のうち少なくとも1つを含む。
【0054】
「インテント情報の想定質問文を追加すること」とは、既存の回答文に紐付く想定質問文を追加することである。「インテント情報の想定質問文を追加すること」は、分類結果のうち、「質問文を特定できない」に紐付く向上施策である。既存の回答文に想定質問文を追加することで、類似する質問が来たときの正答率を上げることができる。
【0055】
「インテント情報の回答文を修正すること」とは、既存のインテント情報に紐付く回答文を、顧客がよりわかりやすい内容に修正することである。よりわかりやすい内容に修正することは、文の構成、誤字、脱字等を修正すること、より具体的な表現に文を変更することを含む。「インテント情報の回答文を修正すること」は、分類結果のうち、「回答文に改善の余地がある」に紐付く向上施策である。
【0056】
「インテント情報を追加すること」とは、新たに、想定質問文と、質問識別情報と、回答文と、の組み合わせからなるインテント情報を作成することで、回答できる内容を追加することである。インテント情報を追加することは、チャットボットに知識を追加することでもある。「インテント情報を追加すること」は、分類結果のうち、「インテント情報が存在しない」に紐付く向上施策である。
【0057】
「質問識別情報を修正すること」とは、質問識別情報の文をよりわかりやすい内容に修正することである。「質問識別情報を修正すること」は、分類結果のうち、「質問識別情報がわかりにくい」に紐付く向上施策である。
【0058】
「何もしないこと」とは、インテント情報の登録又はインテント情報に紐付く情報の修正を行わないことである。「何もしないこと」は、例えば、評価情報を向上させる余地がない場合等に選択される。「何もしないこと」は、分類結果のうち、「質問文の誤字又は脱字」と、「質問文の内容が粗すぎる」と、「質問文の内容が細かすぎる」と、「機能が存在しない」と、「質問文の意図が不明」と、「正答の理由が不明」とに紐付く向上施策である。
【0059】
すなわち、プロセッサ21は、
図8に示す向上施策データベースDB2を参照して次のような情報処理を実行する。プロセッサ21は、後述する学習モデル70により、分類結果を推測する。プロセッサ21は、推測した分類結果に基づいて、分類結果データDB20を参照し、向上施策データDB21から、インテント情報に関する向上施策を取得する。
【0060】
これにより、他社が開発したチャットボットを使用する場合等において、インテント情報を検索するアルゴリズムの変更に関与することができない場合であっても、そのアルゴリズムを変更することなく、チャットボットによる回答の精度を向上させる施策を講じることが可能となる。また、インテント情報を検索するアルゴリズムの精度の向上とは別に、インテント情報を改良する必要は生じてしまうためインテント情報を使用する態様において自動化を推進することができる。
【0061】
5.情報処理システム1の動作の流れ
本実施形態の情報処理システム1で実行される好ましい情報処理の一例を説明する。
【0062】
本明細書において、通信部23、通信部33、通信部43又は関連情報サーバ5の通信部を介して送受信された種々の情報は、使用された通信部に関連するそれぞれの記憶部22、記憶部32、記憶部42、又は関連情報サーバ5の記憶部に記憶されるものとする。
【0063】
本明細書において、「取得」とは、データ等を他の装置から受信する態様と、データ等を自ら生成する態様との両方を含む概念である。
【0064】
5.1.情報処理の概要
図9及び
図10のシーケンス図を示しながら学習時と推論時の情報処理の概要を説明する。まず、学習時について説明する。
図9は、学習時の情報処理の流れを説明するシーケンス図の一例である。
【0065】
[学習時]
(ステップS1-1)
まず、従業員端末3のプロセッサ31は、従業員による入力部34への操作を介して、過去対応データを特定する。この過去対応データは、採用された過去の向上施策に紐付く、対応データである。過去対応データの特定したことに応じて、プロセッサ31は、ボットサーバ2に、特定した過去対応データの情報を送信する。ボットサーバ2の情報送受信部210は、従業員端末3から、特定した過去対応データの情報を受け付ける。取得部212は、特定した過去対応データの情報に基づいて、過去対応データを取得する。
【0066】
(ステップS1-2)
続いて、従業員端末3のプロセッサ31は、機械学習の条件の入力を受け付ける。機械学習の条件の入力を受け付けたことに応じて、プロセッサ31は、ボットサーバ2に、機械学習の条件を送信する。ボットサーバ2の情報送受信部210は、従業員端末3から、機械学習の条件を受け付ける。学習部211は、受け付けた機械学習の条件に基づいて、学習モデルによる機械学習の条件を変更する。例えば、機械学習の条件は、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)、RNN(Recurrent Neural Network)等を使用する場合、重みパラメータの更新頻度の決定、更新に使う推論誤差の計算式の決定等である。ステップS1-2は、省略されることがある。
【0067】
(ステップS1-3)
続いて、学習部211は、質問文と回答文とのうち少なくとも一方からベクトルの情報を取得する。この情報処理は、後述する、質問文判定部700及び回答文判定部701での情報処理に対応する。このベクトルの情報は、文を複数の次元に数値化した情報である。このベクトルの各次元の数値が近い文は、似た意味の文であることを示す。
【0068】
また、学習部211は、質問文及び回答文の組み合わせからベクトルの情報を取得する。この情報処理は、後述する両文整合性判定部702での情報処理に対応する。
【0069】
(ステップS1-4)
続いて、情報送受信部210は、対応データに含まれる、質問文と回答文とのうち少なくとも1つの内容に基づいて関連情報のリクエストを要求する。具体的には例えば、情報送受信部210は、質問文又は回答文に含まれるキーワードをインターネットによる検索に適用することで、関連情報のリクエストを要求する。
【0070】
(ステップS1-5)
続いて、関連情報サーバ5は、ボットサーバ2から、関連情報のリクエストを受け付けたことに応じて、関連情報を特定する。関連情報サーバ5は、ボットサーバ2に、特定した関連情報を送信する。情報送受信部210は、関連情報サーバ5から関連情報を受け付けることにより、関連情報を取得する。
【0071】
(ステップS1-6)
続いて、学習部211は、取得した関連情報からベクトルの情報を取得する。この情報処理は、後述する検索結果特徴量抽出部703での情報処理に対応する。
【0072】
(ステップS1-7)
続いて、学習部211は、取得したベクトルの情報に基づいて、分類結果を取得する。この情報処理は、後述する分類部704での情報処理に対応する。その後、プロセッサ21は、質問文と回答文と取得した関連情報とのうち少なくとも1つを、学習モデルに入力することで分類結果を取得する。管理部214は、分類結果と
図8の向上施策データベースDB2とに基づいて、向上施策を取得する。
【0073】
(ステップS1-8)
続いて、情報送受信部210は、取得した向上施策と、ステップS1-5で取得した関連情報と、を従業員端末3に送信する。プロセッサ31は、向上施策と関連情報とをボットサーバ2から受け付ける。プロセッサ31は、受け付けた向上施策と関連情報とを出力部35に出力する。すなわち、提示部213は、従業員端末3を介して、向上施策を提示する。
【0074】
情報処理システム1は、採用された過去の向上施策を提示するまで、ステップS1-3~S1-8の情報処理を繰り返し実行することで、学習モデルを学習させる。すなわち、学習部211は、採用された過去の向上施策に紐付く、質問文と回答文との少なくとも1つの入力に応じて、採用された過去の向上施策を提示できるように、及び採用された過去の向上施策に紐付く関連情報が取得されるように、学習させた学習モデル70を取得する。また、学習部211は、この学習の過程で、個々の重みパラメータを更新する。複数の過去対応データについて、採用された過去の向上施策を提示するまで、学習モデルを学習させた場合、情報処理システム1は、学習時の情報処理を終了する。
【0075】
[推論時]
次に、推論時について説明する。
図10は、推論時の情報処理の流れを説明するシーケンス図の一例である。
【0076】
(ステップS2-1)
プロセッサ41は、顧客による入力部44への操作を介して、チャットボットへの質問文の入力を受け付ける。プロセッサ41は、通信部43及び通信ネットワークNを介して、入力された質問文をボットサーバ2に送信する。情報送受信部210は、入力された質問文を顧客端末4から受け付ける。
【0077】
(ステップS2-2)
管理部214は、
図7のインテント情報データベースDB1を参照して、顧客の質問文に近い想定質問文を検索し、当該想定質問文とペアになっている回答文を取得する。回答文を取得した場合、情報送受信部210は、取得した回答文を顧客端末4に送信する。プロセッサ41は、通信ネットワークN及び通信部43を介して、回答文をボットサーバ2から受け付ける。プロセッサ41は、チャットボットが回答を出力しているように、出力部45に回答文を表示させる。すなわち、管理部214は、質問文が入力されることに応じて回答文を出力するチャットボットを管理する。
【0078】
(ステップS2-3)
プロセッサ41は、顧客による入力部44への操作を介して、顧客から回答文に対する評価情報を受け付ける。プロセッサ41は、通信部43及び通信ネットワークNを介して、入力された評価情報をボットサーバ2に送信する。情報送受信部210は、入力された評価情報を顧客端末4から受け付ける。取得部212は、入力された質問文及び評価情報と、出力された回答文とを対応データとして取得する。
【0079】
(ステップS2-4~S2-9)
図10に示すステップS2-4~S2-9では、
図9に示すステップS1-3~S1-8と略同様の情報処理が実行される。
ステップS2-4では、ステップS1-3と同様に、学習部211は、質問文と回答文との特徴量を取得する。
ステップS2-5では、ステップS1-4と同様に、情報送受信部210は、関連情報を要求する。
ステップS2-6では、ステップS1-5と同様に、情報送受信部210は、関連情報を受け付ける。
ステップS2-7では、ステップS1-6と同様に、学習部211は、関連情報の特徴量を取得する。
ステップS2-8では、ステップS1-7と同様に、管理部214は、改善施策を取得する。
ステップS2-9では、ステップS1-8と同様に、提示部213は、改善施策と関連情報とを提示する。このとき、提示部213は、分類結果及び後述する判定結果を併せて提示してもよい。これにより、従業員は、向上施策と共に関連情報を確認できるため、向上施策の実行に関連情報を利用することができる。また、同一又は類似する分類結果となったものは、従業員が確認するべき関連情報も同一又は類似となり、従業員による向上施策の効率的な実行に役立てることができる。
【0080】
ここで取得部212は、ステップS2-1~S2-3にて対応データを取得し、ステップS2-4にて対応データ(質問文と回答文とのうちの少なくとも1つ)を、所定の参照情報としての学習モデルに入力し、ステップS2-9にて向上施策を提示している。すなわち、提示部213は、対応データと、所定の参照情報としての学習モデルと、に基づいて、評価情報を向上させるための向上施策を提示することとなる。
【0081】
5.2.学習モデル70の挙動
次に
図11を示しながら学習モデル70の挙動を説明する。
【0082】
図11は、学習モデルの挙動を説明するブロック図の一例である。
図11には、質問文71と、回答文72と、学習モデル70と、関連情報73と、関連情報サーバ5と、判定結果と、分類結果と、向上施策データベースDB2と、向上施策と、が含まれる。質問文71と、回答文72と、関連情報73と、関連情報サーバ5と、分類結果と、向上施策データベースDB2と、向上施策とについては上述の通りである。
【0083】
判定結果は、質問文判定部700による質問文71の判定の結果、回答文判定部701による回答文72の判定の結果、又は両文整合性判定部702による質問文71及び回答文72の組み合わせの判定の結果を示す。学習部211は、この判定結果に基づいて、分類結果を出力する。管理部214は、出力された分類結果と向上施策データベースDB2とに基づいて、向上施策を出力する。判定結果の詳細は、後述する。
【0084】
学習モデル70は、特徴量の生成及び複数のベクトルの情報の比較が可能に構成される。学習モデル70には、任意のアルゴリズムが使用される。学習モデル70には、例えば、BERT、RNN、Word2Vec、doc2ver、Glove、FastTex等のニューラルネットワークが使用されてもよいし、TF-IDF(term frequency-inverse document frequency)等が使用されてもよい。学習モデル70は、質問文判定部700と、回答文判定部701と、両文整合性判定部702と、検索結果特徴量抽出部703と、分類部704とを備える。質問文判定部700と、回答文判定部701と、両文整合性判定部702と、検索結果特徴量抽出部703と、分類部704とは、それぞれ異なる条件又は種類のアルゴリズムが使用されてもよい。質問文判定部700と、回答文判定部701と、両文整合性判定部702とは、同じ条件及び種類のアルゴリズムが使用されてもよい。学習部211は、記憶部22に記憶された学習モデル70による情報処理が実行されるようにプログラムを実行する。
【0085】
以下では、「MNF Cloud年末調整の料金を教えてください」という趣旨の質問文71が入力され、「MNF Cloud給与の有料プランは・・・」という趣旨の回答文72が出力される場合の、質問文判定部700、回答文判定部701、両文整合性判定部702、検索結果特徴量抽出部703及び分類部704の例をそれぞれ説明する。なお、質問文71及び回答文72の内容は、例毎に少し異なる。
【0086】
質問文判定部700は、質問文71の入力を受け付け、質問文71に基づいて、質問文71のベクトルの情報を学習モデル70に使用される特徴量として取得する。すなわち、学習モデル70に使用される特徴量は、質問文71から得られるベクトルの情報を含む。質問文判定部700は、質問文71のベクトルの情報に基づいて、質問文71に誤字又は脱字が含まれていると判定した場合、誤字又は脱字が含まれていることを判定結果として出力してもよい。例えば、顧客により質問文71として「年末調整」と入力されるべきところを「年まっ調整」と入力されてしまった場合、質問文判定部700は、誤字が含まれていることを判定結果として出力する。この場合、分類結果は、「質問文の誤字又は脱字」となり、向上施策は、「何もしない」となる。その後、情報処理システム1は、分類結果として「質問文の誤字又は脱字」の情報と、向上施策として「何もしない」の情報と、関連情報73としてMNF Cloudの年末調整の料金が記載されているサイトのURLの情報と、を従業員端末3の出力部35に表示させる。なお、分類結果を「質問文の誤字又は脱字」として出力することは、回答文判定部701、両文整合性判定部702、検索結果特徴量抽出部703及び分類部704による情報処理の結果を使用せずに行われてもよい。
【0087】
回答文判定部701は、回答文72の入力を受け付け、回答文72に基づいて、回答文72のベクトルの情報を学習モデル70に使用される特徴量として取得する。すなわち、学習モデル70に使用される特徴量は、回答文72から得られるベクトルの情報を含む。回答文判定部701は、回答文72のベクトルの情報に基づいて、回答文72に読みにくい要素が含まれていた場合、その結果を判定結果として出力してもよい。読みにくい要素とは、専門用語が使用される、漢字と平仮名のバランスが悪い、文字数が多い、一文が長い、主語又は述語が理解しにくい等の要素であってもよい。この場合、分類結果は、「回答文に改善の余地がある」となり、向上施策は、「インテント情報の回答文を修正すること」となる。その後、情報処理システム1は、分類結果として「回答文に改善の余地がある」の情報と、向上施策として「インテント情報の回答文を修正すること」の情報と、関連情報73としてMNF Cloudの年末調整の料金が記載されているサイトのURLの情報と、を従業員端末3の出力部35に表示させる。このとき、情報処理システム1は、回答文72に含まれる読みにくい要素の詳細(どの用語が専門用語か、どの箇所の一文が長いか等)の情報を併せて従業員端末3の出力部35に表示させてもよい。
【0088】
両文整合性判定部702は、質問文71及び回答文72の入力を受け付け、質問文71及び回答文72の組み合わせのベクトルの情報を学習モデル70に使用される特徴量として取得する。すなわち、学習モデル70に使用される特徴量は、質問文71及び回答文72の組み合わせから得られるベクトルの情報を含む。両文整合性判定部702は、ベクトルに基づいて、質問文71及び回答文72の両文の組み合わせの整合性を判定し、判定結果として出力する。例えば、両文整合性判定部702は、質問文71が「年末調整」に関する内容であり、回答文72が「給与」に関する回答である場合、整合性がないこととその理由とを判定結果として出力する。この場合、分類結果は、「質問文の内容が細かすぎる」、「質問文を特定できない」、「回答文に改善の余地がある」及び「インテント情報が存在しない」の何れかであってもよい。例えば、顧客により、質問文71として「MNF Cloud年末調整の料金を教えてください」と入力されるべきところを「MNF Cloudの料金を教えてください」と入力された場合、両文整合性判定部702は、質問文71を特定できなかったことを判定結果として出力する。この場合、分類結果は、「質問文を特定できない」となり、向上施策は、「何もしない」となる。この場合、情報処理システム1は、分類結果として「質問文を特定できない」の情報と、向上施策として「何もしない」の情報と、関連情報73としてMNF Cloudに関連するサービスの料金が記載されているサイトのURLの情報と、を従業員端末3の出力部35に表示させる。なお、質問文判定部700又は回答文判定部701のみによって判定結果の出力が可能な場合、両文整合性判定部702は、情報処理を実行しない。
【0089】
検索結果特徴量抽出部703は、質問文71又は回答文72の内容から取得した関連情報73に基づいて、関連情報73のベクトルの情報を学習モデル70に使用される特徴量として取得する。すなわち、学習モデル70に使用される特徴量は、関連情報73から得られるベクトルの情報を含む。なお、この関連情報73は、前述した通り、質問文71又は回答文72から抽出したキーワードを用いて、関連情報サーバ5に対して検索を実行することにより取得される。例えば、情報送受信部210は、質問文71から「年末調整」というワードを抽出して検索することで、MNF Cloud年末調整の料金が記載されているサイト内の情報を関連情報73として取得する。
【0090】
分類部704は、質問文判定部700、回答文判定部701、両文整合性判定部702及び検索結果特徴量抽出部703にて取得したそれぞれのベクトルの情報を比較することで、それぞれの内容の整合性を判定し、判定結果として出力する。その後、分類部704は、出力した判定結果に基づいて、分類結果を出力する。例えば、MNF Cloud年末調整の料金に関する回答文72が既存のインテント情報として存在せずに、MNF Cloud年末調整の料金が記載されているサイトが関連情報73として存在する場合、分類部704は、インテント情報を追加するべきとの判定結果を出力する。この場合、分類部704は、インテント情報を追加するべきとの判定結果に基づいて、分類結果として「インテント情報が存在しない」を出力する。管理部214は、向上施策データベースDB2と出力された分類結果である「インテント情報が存在しない」とに基づいて、向上施策として「インテント情報を追加すること」を出力する。この場合、情報処理システム1は、分類結果として「インテント情報が存在しない」の情報と、向上施策として「インテント情報を追加すること」の情報と、関連情報73としてMNF Cloudの年末調整の料金が記載されているサイトのURLの情報と、を従業員端末3の出力部35に表示させる。これにより、複数の情報のうち、どの情報を信頼すればよいかを学習していき、適切に向上施策を出力することが可能となる。
【0091】
上述のような機械学習による学習モデルを使用することにより、顧客からの評価がついている対応データを自動的に分類することができるため、対応データの分析に必要とする人的リソースを大幅に削減することが可能となる。また、チャットボットそのものが機械に回答させようという趣旨の存在であるにも関わらず、チャットボットによる回答の精度の向上にあたって、結局人の介入が必要となってしまう状況にある。そのため、機械学習による学習モデルを使用することにより、チャットボット自身が問題を解決する能力を向上させることが可能となる。
【0092】
本実施形態によれば、情報処理システム1は、次の各部がなされるようにプログラムを実行可能な少なくとも1つのプロセッサを備える。取得部212は、対応データを取得する。対応データは、ユーザにより入力された質問文と、質問文に対応する回答文と、回答文に対応するユーザからの評価である評価情報とを含む。提示部213は、対応データと所定の参照情報とに基づいて、評価情報を向上させるための向上施策を提示する。
【0093】
本実施形態によれば、より高い精度で質問文に対して回答文を出力することが可能な技術を提供することが可能となる。このような技術を提供するにあたって、複雑な情報処理を必要としないため、ボットサーバ2、従業員端末3、顧客端末4及び関連情報サーバ5のキャッシュメモリの使用も少なくすることができる。また、キャッシュメモリの使用を少なくすることができる結果として、大掛かりな装置又はコンピュータ等を必要としないため、安価に情報処理を実行することができる。
【0094】
[その他]
前述の実施形態に係る情報処理システム1に関して、プログラムは、コンピュータを、情報処理システム1のプロセッサとして機能させる。また、情報処理システム1が実行する情報処理方法は、情報処理システム1のプロセッサが実行する各ステップを備える。
【0095】
実施形態では、インテント情報に基づいて回答文を出力する方法について説明したが、変形例では、インテント情報を使用しない方法であってもよい。例えば、変形例では、顧客からの選択肢を受け付けることで、顧客による質問を特定し、回答文を出力する方法であってもよい。すなわち、プロセッサ21は、顧客端末4の出力部45に選択肢を提示して、顧客から選択肢の選択を受け付ける。プロセッサ21は、受け付けた選択肢に紐付く選択肢を更に提示して、更に客から選択肢の選択を受け付けることを繰り返す。プロセッサ21は、質問を特定できるまで選択肢の選択を受け付けた場合、回答文を出力する。
【0096】
実施形態では、予め用意されたインテント情報に基づいて回答文を出力する方法について説明したが、変形例では、回答文を自動的に生成する方法であってもよい。この場合、例えば、ボットサーバ2は、回答文を生成するための学習モデルを更に含む。プロセッサ21は、顧客からの質問文の入力を受け付ける。プロセッサ21は、受け付けた質問文を、回答文を生成するための学習モデルに入力することで回答文を出力する。
【0097】
実施形態では、向上施策は、インテント情報に関する施策であるものとして説明したが、変形例では、これに限られない。変形例における向上施策は、インテント情報を検索するアルゴリズムを改善する方法であってもよい。また、変形例における向上施策は、インテント情報を検索するアルゴリズムが異なる他のチャットボットに置き換えることも含まれてもよい。更に、変形例における向上施策は、従業員が所属する組織が運営するサイトについて、文、画像、動画等の挿入、削除又は編集の提案であってもよい。
【0098】
実施形態の学習モデルは、所定の参照情報の一例である。実施形態では、所定の参照情報は、機械学習を使用した学習モデルであるものとして説明したが、変形例では、ルールベースであってもよい。
【0099】
実施形態では、チャットボットにより質問文を受け付け、回答文を出力するものとして説明したが、変形例では、音声ボット(ボイスボット)により、質問文の受け付けと、回答文の出力との少なくとも一方を音声により行ってもよい。音声ボットにより質問文を受け付ける場合、情報処理システム1は、音声のデータをトランスクリプションすることにより、質問文を受け付けてもよい。音声ボットにより回答文を出力する場合、情報処理システム1は、回答文のテキストを読み上げして出力してもよい。
【0100】
向上施策が「何もしない」と分類されるものについて、別の向上施策に分類されるように変更されてもよい。例えば、向上施策が「何もしない」となった複数の対応データについて、プロセッサ21は、クラスタリング又は従業員による入力を受け付けることで、グループ分けを実行する。プロセッサ21は、グループ分けの結果に基づいて、分類結果と向上施策との作成を受け付け、向上施策データベースDB2を更新してもよい。
【0101】
変形例の関連情報は、イントラネットにより従業員のみがアクセスできるデータベースから取得されてもよい。その場合、関連情報は、顧客には表示されず、分類結果の特定の精度を向上させるために、学習モデルの更新の用途で従業員に使用される。
【0102】
実施形態の評価情報は、「はい、いいえ」の2種類であるものとして説明したが、変形例の評価情報は、顧客の満足度がわかる態様であればよく、例えば、「1~5」の数字により行われてもよいし、「A、B、C」、「良い、普通、悪い」、「上、中、下」等で行われてもよい。
【0103】
ボットサーバ2は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態のボットサーバ2としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上記の機能や処理を提供してもよい。
【0104】
上記実施形態では、ボットサーバ2が種々の記憶・制御を行ったが、ボットサーバ2に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。
【0105】
更に、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0106】
(1)情報処理システムであって、次の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な少なくとも1つのプロセッサを備え、取得ステップでは、対応データを取得し、ここで、前記対応データは、ユーザにより入力された質問文と、前記質問文に対応する回答文と、前記回答文に対応する前記ユーザからの評価である評価情報とを含み、提示ステップでは、前記対応データと所定の参照情報とに基づいて、前記評価情報を向上させるための向上施策を提示する、情報処理システム。
【0107】
このような構成によれば、評価情報を向上させるための向上施策を提示することができるため、より高い精度で質問文に対する回答文の出力が可能になる。より高い精度で質問文に対する回答文の出力が可能となるため、ユーザからの評価情報を向上させることが期待できる。
【0108】
(2)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記所定の参照情報は、学習モデルによって得られる情報を含み、学習ステップでは、採用された過去の向上施策に紐付く、質問文と回答文との少なくとも1つの入力に応じて、前記採用された過去の向上施策を提示できるように学習させた前記学習モデルを取得し、前記提示ステップでは、質問文と回答文とのうち少なくとも1つを、前記学習モデルに入力することで前記向上施策を提示する、情報処理システム。
【0109】
このような構成によれば、機械学習を用いて、評価情報を向上させるための向上施策を提示することができるため、より高い精度で質問文に対する回答文の出力が可能になる。より高い精度で質問文に対する回答文の出力が可能となるため、ユーザからの評価情報を向上させることが期待できる。
【0110】
(3)上記(2)に記載の情報処理システムにおいて、前記学習ステップでは、前記採用された過去の向上施策に紐付く、質問文と回答文とのうち少なくとも1つの入力に応じて、前記採用された過去の向上施策に紐付く関連情報が取得されるように学習させた前記学習モデルを取得し、ここで、前記関連情報は、前記質問文と前記回答文とのうち少なくとも1つの内容に関連する情報であり、前記取得ステップでは、前記対応データに含まれる、前記質問文と前記回答文とのうち少なくとも1つの内容に基づいて関連情報を取得し、前記提示ステップでは、取得した前記関連情報を、前記学習モデルに入力することで前記向上施策を提示する、情報処理システム。
【0111】
このような構成によれば、関連情報を更に用いて、評価情報を向上させるための向上施策を提示することができるため、より高い精度で質問文に対する回答文の出力が可能になる。また、向上施策と共に関連情報も提示されるため、向上施策の実行に関連情報を利用することができる。更に、同一又は類似の向上施策について、関連情報も同一又は類似となる場合があり、向上施策の効率的な実行に役立てることができる。
【0112】
(4)上記(3)に記載の情報処理システムにおいて、前記関連情報は、前記質問文の内容と前記回答文の内容とのうち少なくとも1つに基づいて、インターネットにより所定の範囲を検索することで得られる情報を含む、情報処理システム。
【0113】
このような構成によれば、インターネットを使用して関連情報を取得することが可能となるため、より高い精度で質問文に対する回答文の出力が可能になる。
【0114】
(5)上記(4)に記載の情報処理システムにおいて、前記取得ステップでは、前記質問文又は前記回答文に含まれるキーワードを前記インターネットによる検索に適用することで、前記関連情報を取得する、情報処理システム。
【0115】
このような構成によれば、質問文又は回答文に含まれるキーワードをインターネットによる検索に適用することで関連情報を取得することが可能となるため、より高い精度で質問文に対する回答文の出力が可能になる。
【0116】
(6)上記(2)に記載の情報処理システムにおいて、前記学習モデルに使用される特徴量は、前記質問文と前記回答文とのうち少なくとも一方から得られるベクトルの情報を含む、情報処理システム。
【0117】
このような構成によれば、質問文と回答文とのうち少なくとも一方から得られるベクトルに基づいて、文の分類が可能となる。例えば、質問文の誤字、脱字等を検出することができる。また、例えば、回答文の読みにくい要素を検出することができる。
【0118】
(7)上記(2)に記載の情報処理システムにおいて、前記学習モデルに使用される特徴量は、前記質問文及び前記回答文の組み合わせから得られるベクトルの情報を含む、情報処理システム。
【0119】
このような構成によれば、質問文及び回答文の組み合わせから得られるベクトルに基づいて、文の分類が可能となる。例えば、質問文及び回答文を組み合わせたときに適切な回答がなされているか検出することができる。
【0120】
(8)上記(3)に記載の情報処理システムにおいて、前記学習モデルに使用される特徴量は、前記関連情報から得られるベクトルの情報を含む、情報処理システム。
【0121】
このような構成によれば、関連情報から得られるベクトルに基づいて、文の分類が可能となる。また、質問文及び回答文のみを使用する場合と比較して、より多くの情報を踏まえて文の分類が可能となる。
【0122】
(9)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、管理ステップでは、複数のインテント情報を管理し、前記インテント情報は、質問文と当該質問文に対応する回答文との組み合わせの情報であり、前記向上施策は、前記インテント情報を追加することと、前記インテント情報の前記回答文を修正することと、前記インテント情報の想定される質問文を追加することと、前記インテント情報を識別するための質問識別情報を修正することと、のうち少なくとも1つを含む、情報処理システム。
【0123】
このような構成によれば、インテント情報を使用する場合において、適切な回答がされるようにインテント情報を構成することができる。
【0124】
(10)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、管理ステップでは、前記質問文が入力されることに応じて前記回答文を出力するチャットボットを管理し、前記質問文は、前記ユーザにより前記チャットボットに対して入力されるテキスト形式の情報であり、前記回答文は、前記チャットボットが前記質問文に回答するテキスト形式の情報である、情報処理システム。
【0125】
このような構成によれば、チャットボットを使用する場合において、チャットボットが出力する回答文の評価を向上させる向上施策を出力できるようになる。
【0126】
(11)プログラムであって、コンピュータを、上記(1)~(10)の何れか1つに記載の情報処理システムの前記プロセッサとして機能させるためのプログラム。
【0127】
(12)情報処理システムが実行する情報処理方法であって、上記(1)~(10)の何れか1つに記載の情報処理システムの前記プロセッサが実行する各ステップを備える、情報処理方法。
もちろん、この限りではない。
【0128】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0129】
1 :情報処理システム
2 :ボットサーバ
20 :通信バス
21 :プロセッサ
210 :情報送受信部
211 :学習部
212 :取得部
213 :提示部
214 :管理部
22 :記憶部
23 :通信部
3 :従業員端末
30 :通信バス
31 :プロセッサ
32 :記憶部
33 :通信部
34 :入力部
35 :出力部
4 :顧客端末
40 :通信バス
41 :プロセッサ
42 :記憶部
43 :通信部
44 :入力部
45 :出力部
5 :関連情報サーバ
6 :対応データ
60 :質問文
61 :回答文
62 :リンク情報
63 :関連情報
64 :評価情報
70 :学習モデル
700 :質問文判定部
701 :回答文判定部
702 :両文整合性判定部
703 :検索結果特徴量抽出部
704 :分類部
71 :質問文
72 :回答文
73 :関連情報DB1 :インテント情報データベース
DB10 :想定質問文データ
DB11 :質問識別情報データ
DB12 :回答文データ
DB2 :向上施策データベース
DB20 :分類結果データ
DB21 :向上施策データ
N :通信ネットワーク