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特開2024-100112測光装置、測光方法、測光プログラム、およびカメラ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100112
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】測光装置、測光方法、測光プログラム、およびカメラ装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/71 20230101AFI20240719BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20240719BHJP
   G03B 7/28 20210101ALI20240719BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240719BHJP
【FI】
H04N23/71
G03B7/091
G03B7/28
G03B15/00 W
G03B15/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003857
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古村 育子
【テーマコード(参考)】
2H002
5C122
【Fターム(参考)】
2H002DB15
2H002EB00
2H002HA04
5C122DA14
5C122EA12
5C122FB06
5C122FF01
5C122FF23
5C122FF26
5C122FH09
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】実空間に則した測光領域を指定することによる測光の最適化技術を提供すること。
【解決手段】測光装置(5)は、コンピュータプログラム指令を実行可能なプロセッサ(52)と、前記プロセッサに接続され、前記コンピュータプログラム指令を記憶したメモリ(53)とを備えている。前記プロセッサは、前記コンピュータプログラム指令を実行することにより、カメラ(4)による撮像領域(D2)内に測光領域(D3)を設定する。前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する。具体的には、例えば、前記プロセッサは、前記小領域を、前記撮像領域における外縁に向かうにつれて小さくなるように設定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測光装置(5)であって、
コンピュータプログラム指令を実行可能なプロセッサ(52)と、
前記プロセッサに接続され、前記コンピュータプログラム指令を記憶したメモリ(53)と、
を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラム指令を実行することにより、
カメラ(4)による撮像領域(D2)内に測光領域(D3)を設定し、
前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する、
測光装置。
【請求項2】
前記小領域を、前記撮像領域における外縁に向かうにつれて小さくなるように設定する、
請求項1に記載の測光装置。
【請求項3】
前記測光領域の形状を、前記カメラにおけるレンズ特性に合わせて歪ませる、
請求項1に記載の測光装置。
【請求項4】
前記小領域内に、測光処理の対象外となる間引セル(F4)を設ける、
請求項2または3に記載の測光装置。
【請求項5】
前記カメラは、広角カメラである、
請求項1に記載の測光装置。
【請求項6】
コンピュータプログラム指令を実行可能なプロセッサ(52)と前記プロセッサに接続されていて前記コンピュータプログラム指令を記憶したメモリ(53)とを備えた測光装置(5)における前記プロセッサによって実行される測光方法であって、
カメラ(4)による撮像領域(D2)内に測光領域(D3)を設定し、
前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する、
測光方法。
【請求項7】
前記小領域を、前記撮像領域における外縁に向かうにつれて小さくなるように設定する、
請求項6に記載の測光方法。
【請求項8】
前記測光領域の形状を、前記カメラにおけるレンズ特性に合わせて歪ませる、
請求項6に記載の測光方法。
【請求項9】
前記小領域内に、測光処理の対象外となる間引セル(F4)を設ける、
請求項7または8に記載の測光方法。
【請求項10】
前記カメラは、広角カメラである、
請求項6に記載の測光方法。
【請求項11】
測光装置(5)により実行される測光プログラムであって、
カメラ(4)による撮像領域(D2)内に測光領域(D3)を設定する処理を含み、
前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する、
測光プログラム。
【請求項12】
前記小領域を、前記撮像領域における外縁に向かうにつれて小さくなるように設定する、
請求項11に記載の測光プログラム。
【請求項13】
前記測光領域の形状を、前記カメラにおけるレンズ特性に合わせて歪ませる、
請求項11に記載の測光プログラム。
【請求項14】
前記小領域内に、測光処理の対象外となる間引セル(F4)を設ける、
請求項12または13に記載の測光プログラム。
【請求項15】
前記カメラは、広角カメラである、
請求項11に記載の測光プログラム。
【請求項16】
カメラ装置(3)であって、
広角レンズ(41)を備えたカメラ(4)と、
前記カメラによる撮像領域(D2)内に設定した測光領域(D3)にて測光処理を実行する測光装置(5)と、
を備え、
前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する、
カメラ装置。
【請求項17】
前記小領域を、前記撮像領域における外縁に向かうにつれて小さくなるように設定する、
請求項16に記載のカメラ装置。
【請求項18】
前記測光領域の形状を、前記カメラにおけるレンズ特性に合わせて歪ませる、
請求項16に記載のカメラ装置。
【請求項19】
前記小領域内に、測光処理の対象外となる間引セル(F4)を設ける、
請求項17または18に記載のカメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測光装置、測光方法、測光プログラム、およびカメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車載カメラを利用して、撮像画像を車室内にて表示したり、他車両等の立体物や道路の白線等の認識処理を行ってその認識結果に基づいて警報や走行制御等を行ったりする技術が提案されている。こうした技術において、撮像画像の明るさに応じて車載カメラの露出制御を適切に行うことが重要となる。具体的には、車載カメラによる撮像画像における一部の領域が、認識対象を認識するための認識領域として設定され、その認識領域の明るさに応じて車載カメラの露出制御が行われる(例えば特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-157085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の車載カメラにおいては、一度に車両周辺のできるだけ広い範囲を捉えることができるように、魚眼レンズを含む広角レンズを備えた、いわゆる広角カメラが用いられることがある。ここで、広角とは、通常、画角が例えば60度ないし100度程度であることを指すが、100度から180度を超えるような超広角を含めてもよいし、50度から60度程度を含めてもよい。
【0005】
広角カメラは、画像上のひずみが大きいので、画像上の測光領域を等倍に分割すると、実空間の距離あるいは面積が、画像中心よりも画像周辺にて大きくなり、均等な明るさ計算ができない。また、ISPにより分割数が決まっているため、測光領域設定の自由度が低い。ISPはImage Signal ProcessorあるいはImage Signal Processingの略である。
【0006】
本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、例えば、実空間に則した測光領域を指定することによる測光の最適化技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の測光装置(5)は、
コンピュータプログラム指令を実行可能なプロセッサ(52)と、
前記プロセッサに接続され、前記コンピュータプログラム指令を記憶したメモリ(53)と、
を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラム指令を実行することにより、
カメラ(4)による撮像領域(D2)内に測光領域(D3)を設定し、
前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する。
請求項6に記載の測光方法は、前記プロセッサによって実行される方法であって、
カメラ(4)による撮像領域(D2)内に測光領域(D3)を設定し、
前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する。
請求項10に記載の測光プログラムは、前記測光装置すなわち前記プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムであって、
カメラ(4)による撮像領域(D2)内に測光領域(D3)を設定する処理を含み、
前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する。
請求項16に記載のカメラ装置(3)は、
広角レンズ(41)を備えたカメラ(4)と、
前記カメラによる撮像領域(D2)内に設定した測光領域(D3)にて測光処理を実行する測光装置(5)と、
を備え、
前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する。
【0008】
なお、出願書類の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付される場合がある。しかしながら、かかる参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を、単に示すものにすぎない。よって、本発明は、上記の参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るカメラ装置を備えた車載システムの概略的な構成を示すブロック図である。
図2図1に示されたプロセッサにより実行される露出制御処理の概略を示すフローチャートである。
図3図2に示された測光処理における測光領域の設定の一実施例を示す概念図である。
図4図2に示された測光処理における測光領域の設定の他の一実施例を示す概念図である。
図5図4に示された実施例により得られる測光領域の設定の広範囲化の効果を示す概念図である。
図6図3および図4に示された測光領域における小領域に間引セルを設ける変形例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例は、一つの実施形態に関する一連の説明の後に、まとめて記載する。また、各図面の記載や、これに対応して以下に説明する装置構成やその機能あるいは動作の記載は、本発明の内容を簡潔に説明するために簡略化されたものであって、これにより本発明の内容は何ら限定されるものではない。このため、各図に示された例示的な構成と、実際に製造販売される具体的な構成とは、必ずしも一致するとは限らないということは、云うまでもない。すなわち、出願人が本願の出願経過により明示的に限定しない限りにおいて、本発明は、各図面の記載や、これに対応して以下に説明する装置構成やその機能あるいは動作の記載によって限定的に解釈されてはならないことは、云うまでもない。
【0011】
(車載システム構成)
図1を参照すると、車載システム1は、道路を走行する車両である自動車に搭載されることで、かかる車両の動作を制御するように構成されている。ここにいう「車両の動作」とは、例えば、運転制御動作や乗員に対する情報提示動作あるいは警告動作等である。本実施形態においては、車載システム1は、いわゆる運転自動化システムとしての構成を有している。「運転自動化システム」とは、自動運転システムと運転支援システムとを含む上位概念である。
【0012】
「自動運転」とは、SAE Internationalが公開している規格「SAE J3016」におけるレベル3~5に該当する、運転自動化システムが全ての動的運転タスクを担当すなわち実行する運転自動化レベルをいう。「動的運転タスク」とは、道路交通において車両を操作する際にリアルタイムで行う必要がある全ての操作上および戦術上の機能であって、戦略上の機能を除いたものである。「戦略上の機能」は、行程計画、経由地選択、等であって、具体的には、「行くか行かないか、いつどこへどのように行くか」を決定あるいは選択することを含む。「運転支援」とは、「SAE J3016」におけるレベル1~2に該当する、運転自動化システムが動的運転タスクのうちの縦方向の車両運動制御サブタスクおよび/または横方向の車両運動制御サブタスクを特定の限定領域において持続的に実行する運転自動化レベルをいう。かかる車両運動制御サブタスクは、例えば、発進、操舵、加速、減速、制動、停止、シフトレンジ変更、等を含む。すなわち、「運転支援」は、例えば、車線維持機能、車線変更支援機能、自動車線変更機能、先行車追随機能、衝突回避機能、等のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
車載システム1は、車両制御装置2とカメラ装置3とを備えている。車両制御装置2は、カメラ装置3、および、車両の運転状態を検知する不図示の各種センサ類(例えば車輪速センサやジャイロセンサ等)から受信した情報あるいは信号に基づいて、車両の運転制御動作等を実行するように設けられている。カメラ装置3は、カメラ4とカメラECU5とを備えている。ECUはElectronic Control Unitの略である。カメラ4は、車両の周囲の物標(例えば他車両等)を撮影するように設けられている。本実施形態においては、カメラ4は、広角レンズ41を備えた、いわゆる広角カメラとしての構成を有している。また、カメラ4は、不図示の回路基板を備えている。かかる回路基板には、イメージセンサ(例えばCMOSあるいはCCD等)や、露出制御機構部(例えばシャッター機構等)や、増幅回路や、アナログ/デジタル変換回路等が実装されている。CMOSはComplementary Metal-Oxide Semiconductorの略である。CCDはCharge-Coupled Deviceの略である。
【0014】
カメラECU5は、画像インタフェース51と、プロセッサ52と、メモリ53と、通信インタフェース54とを備えている。画像インタフェース51は、カメラ4による撮影画像をカメラECU5に入力するためのインタフェースであって、カメラ4とプロセッサ52との間に設けられている。コンピュータプログラム指令を実行可能なプロセッサ52は、メモリ53に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して、かかるプログラムに含まれるコンピュータプログラム指令を実行するように構成されている。メモリ53は、いわゆるフラッシュメモリあるいは磁気ディスク等の、非遷移的実体的記憶媒体としての構成を有していて、プロセッサ52に接続されている。メモリ53には、かかるコンピュータプログラムの他に、これを実行する際に用いられる各種のパラメータ値等が記憶されている。また、メモリ53は、プロセッサ52による演算処理結果を保持する機能も有している。通信インタフェース54は、車両制御装置2との通信を行うためのインタフェースであって、車両制御装置2とプロセッサ52との間に設けられている。
【0015】
(露出制御動作)
本発明の測光装置としてのカメラECU5は、プロセッサ52が上記のコンピュータプログラム指令を実行することにより、測光処理を含むカメラ4の露出制御処理を実行するように構成されている。以下、カメラECU5による露出制御処理、および、かかる露出制御処理に含まれる測光処理の概要について、本実施形態に係る構成およびこれにより実行される方法あるいはコンピュータプログラムにより奏される効果とともに説明する。なお、本実施形態に係る装置と、これにより実行される方法(すなわち測光方法)あるいはコンピュータプログラム(すなわち測光プログラム)とを、以下「本実施形態」と総称することがある。
【0016】
カメラ4は、イメージセンサによって撮像した画像における各画素の明るさを示すアナログ信号を所定のゲインで増幅した後、デジタル値に変換する。また、カメラ4は、デジタル値に変換した後の信号(すなわち画素値)を含む画像信号を、画像のライン毎に画像インタフェース51に出力する。これにより、画像インタフェース51には、カメラ4から出力された画素値および水平・垂直同期信号が入力される。プロセッサ52は、画像インタフェース51に入力された水平・垂直同期信号に基づいて、画像の水平ライン毎に出力される画素値がいずれの画素位置に対応するものであるかを認識する。そして、プロセッサ52は、認識した画素位置に対応するように、カメラ4から出力された画素値をメモリ53に記憶する。このようにして、カメラ4から出力された画像信号がメモリ53に保存される。
【0017】
プロセッサ52は、カメラ4から出力された画像信号を処理するとともに、その処理結果を車両制御装置2に出力する。さらに、プロセッサ52は、カメラ4の露出制御を行う。具体的には、プロセッサ52は、カメラ4のシャッタースピード、フレームレート、および、増幅部のゲインのうちの、少なくともいずれか1つを調整するための調整指示値を含むカメラ制御値をカメラ4に出力する。
【0018】
(第一実施例)
図2は、カメラECU5すなわちプロセッサ52により実行される露出制御処理の一例を示す。また、図3は、かかる露出制御処理に用いられる測光処理の一実施例を示す。以下、図1に加えて図2および図3を参照しつつ、本実施形態に係る測光処理を含む露出制御処理の概要について説明する。なお、図2に示されたフローチャートにおける「S」は「ステップ」を略記したものである。
【0019】
まず、ステップ201にて、プロセッサ52は、カメラ4から画像信号を取得すなわち取り込む。次に、ステップ202にて、プロセッサ52は、測光処理を実行する。このとき、プロセッサ52は、図3に示されているように、イメージセンサの有効画素領域D1に含まれる撮像領域D2内に、測光領域D3を設定する。有効画素領域D1は、イメージセンサにて矩形状に二次元配置された全画素領域、あるいは、かかる全画素領域から所定の外縁領域であるオプティカルブラック画素領域を除いた領域であって、広角レンズ41を通った像が結像可能な領域である。撮像領域D2は、有効画素領域D1のうち、カメラ4における不図示の鏡筒等によるケラレ部分を除いた、車両の前景が良好に撮像され得る部分である。
【0020】
本具体例においては、図3に示されているように、プロセッサ52は、測光領域D3の中心と有効画素領域D1または撮像領域D2の中心とがほぼ一致するように、測光領域D3を矩形状に設定する。すなわち、測光領域D3は、左右に延びる上下一対の直線状の水平境界D31と、上下に延びる左右一対の垂直境界D32とによって囲まれた、矩形状すなわち横長の長方形状の領域である。測光領域D3は、一対の水平境界D31の間に配置されていて左右に延びる直線状の複数の水平区分線D33と、一対の垂直境界D32の間に配置されていて上下に延びる直線状の複数の垂直区分線D34とを含む、格子状に形成されている。すなわち、測光領域D3は、複数の水平区分線D33と複数の垂直区分線D34とによって区分された、複数の小領域Fを有している。よって、小領域Fは、矩形状に形成されている。
【0021】
複数の小領域Fは、撮像領域D2における中心部とその外側とで異なる形状を有している。本実施形態においては、小領域Fは、撮像領域D2における外縁に向かうにつれて小さくなるように設定されている。具体的には、隣接する水平区分線D33同士の間隔は、撮像領域D2における外縁すなわち垂直境界D32に向かうにつれて小さくなるように設定されている。同様に、隣接する垂直区分線D34同士の間隔は、撮像領域D2における外縁すなわち水平境界D31に向かうにつれて小さくなるように設定されている。これにより、撮像領域D2および測光領域D3の中心に位置する小領域Fである中心格子F1が最も大きく、測光領域D3の角部に位置する小領域Fである角部格子F2が最も小さくなる。そして、中心格子F1および角部格子F2とは異なる、中間的な位置に存在する中間格子F3は、中心格子F1と角部格子F2との間の大きさであって、外側に向かうにつれて小さくなる。なお、測光領域D3を設定した後の、測光処理の具体的な内容については、本願の出願時点においてすでに公知あるいは周知の事項を用いることができるため、本明細書においては、これ以上の説明は省略する。
【0022】
ステップ202における測光処理を実行した後、ステップ203にて、プロセッサ52は、カメラ4の露出制御値を算出する。露出制御量には、カメラ4のシャッタースピード、フレームレート、および増幅部のゲインのうちの、少なくともいずれか1つが含まれる。ステップ204にて、プロセッサ52は、ステップ203にて算出した露出制御値を用いて、カメラ4の露出制御を行う。すなわち、プロセッサ52は、露出制御値をカメラ4に向けて出力する。その後、露出制御処理を終了する。なお、露出制御量の算出処理の具体的な内容については、本願の出願時点においてすでに公知あるいは周知の事項を用いることができるため、本明細書においては、これ以上の説明は省略する。
【0023】
上記の通り、本実施例は、測光領域D3の分割を画像周辺になるほど細かくする。これにより、実空間に則した測光領域D3を指定することによる測光の最適化を図ることが可能となる。すなわち、本実施例によれば、実空間に則した明るさ調整が可能となる。ところで、測光領域D3の分割数を単純に増やすと、処理負荷が増える。この点、本具体例によれば、分割を細かくする箇所を周辺に限定することで、処理負荷の増大を可及的に抑制することが可能となる。
【0024】
(第二実施例)
図4は、測光領域D3の設定すなわち分割の態様に関する他の実施例を示す。本実施例は、測光領域D3の形状を、カメラ4における広角レンズ41の特性に合わせて歪ませる。具体的には、図4の例においては、測光領域D3は、矩形を、広角レンズ41の樽形歪曲特性に即した樽形に変形した形状を有している。このため、水平境界D31、垂直境界D32、水平区分線D33、および垂直区分線D34も、屈曲した曲線状に形成されている。このように、本実施例によれば、レンズ特性に合わせて測光領域D3を歪ませることで、精度向上が図られる。すなわち、本実施例によれば、上記実施例と同様の効果が得られる。また、図5にて実線で示されているように、矩形とするよりも広範囲に測光領域D3を指定することができる。
【0025】
(変形例)
本発明は、上記の実施形態や実施例に限定されるものではない。故に、上記実施形態等に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態等との相違点を主として説明する。また、上記実施形態等と以下の変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一の符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態等と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態等における説明が適宜援用され得る。
【0026】
上述した通り、上記実施形態の記載は、本発明の内容を簡潔に説明するために簡略化されたものである。よって、本発明は、上記実施形態に示された具体的な用途や装置構成に限定されるものではない。具体的には、例えば、カメラ4の搭載位置や撮像範囲については、特段の限定はない。すなわち、カメラ4は、周辺カメラであってもよいし、前方カメラであってもよいし、後方カメラであってもよい。また、カメラECU5は、カメラ4の筐体内に設けられることでカメラ4と一体に構成されていてもよいし、カメラ4の筐体の外部に設けられていてもよい。あるいは、カメラECU5は、車両制御装置2に設けられていてもよい。また、カメラ4による撮像画像は、車室内での表示(すなわち例えば電子サイドミラー等)としての用途で用いられてもよいし、白線認識や駐車支援等の運転支援あるいは自動運転用途で用いられてもよい。
【0027】
プロセッサ52は、CPUあるいはMPUとも称され得る。CPUはCentral Processing Unitの略である。MPUはMicro Processing Unitの略である。メモリ53は、単体であってもよいし、複数の別体の記憶デバイスの集合体であってもよい。すなわち、例えば、メモリ53として、コンピュータプログラムや初期値パラメータを記憶したROMまたはフラッシュメモリと、プロセッサ52による演算処理結果を保持するRAMとが設けられていてもよい。
【0028】
カメラECU5の全部または一部は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばASICあるいはFPGAを備えた構成であってもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。すなわち、カメラECU5において、車載マイクロコンピュータ部分とデジタル回路部分とは併存し得る。
【0029】
上記実施形態にて説明した、各種の動作、手順、あるいは処理を実行可能とする、本発明に係るプログラムは、V2X通信を介してダウンロードあるいはアップグレードされ得る。V2XはVehicle to Xの略である。あるいは、かかるプログラムは、自車両の製造工場、整備工場、販売店、等に設けられた端末機器を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。かかるプログラムの格納先は、メモリーカード、光学ディスク、磁気ディスク、等であってもよい。
【0030】
このように、上記の各機能構成および処理は、コンピュータプログラムにより具体化された一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および処理は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および処理は、一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移的実体的記憶媒体に記憶されていてもよい。すなわち、上記の各機能構成および処理は、これを実現するための手順を含むコンピュータプログラム、あるいは、当該プログラムを記憶した非遷移的実体的記憶媒体としても表現可能である。
【0031】
本発明は、上記実施形態に示された具体的な動作態様に限定されるものではない。すなわち、例えば、上記実施形態においては、有効画素領域D1と撮像領域D2とを区別したが、両者を同一視してもよい。すなわち、撮像領域D2は、有効画素領域D1そのものであってもよい。また、図4に示されているように樽形に変形した測光領域D3において、水平区分線D33や垂直区分線D34は、地球儀の子午線のように略均一間隔であってもよいし、図3に示されているように外側に向かうにつれて密であってもよい。また、測光領域D3は、矩形を、広角レンズ41の糸巻形歪曲特性に即した糸巻形に変形した形状を有していてもよい。
【0032】
図3図4のように測光領域D3を設定した後に、測光するセルを間引くことで、処理負荷を低減することが可能となる。この場合、例えば、図3図4に設けられた複数の小領域Fのうちの一部(例えば角部格子F2およびその周辺)を、測光処理の対象外として間引いてもよい。あるいは、図6に示されているように、測光領域D3に含まれる全部または一部の小領域F内に、測光処理の対象外となる間引セルF4を設けることが可能である。
【0033】
図3において、測光領域D3は、その中心が有効画素領域D1あるいは撮像領域D2の中心とほぼ一致するように設定されていた。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、本発明の適用対象が路面上の白線認識に限定される場合、測光領域D3は、有効画素領域D1あるいは撮像領域D2における下側に偏った位置に設定され得る。この場合、図3に示された測光領域D3のうち、中心格子F1よりも図中上側の部分が削除され得る。すると、大きさが最大の中心格子F1が、測光領域D3における最上端に設けられ得る。よって、大きさが最大の中心格子F1は、必ずしも、測光領域D3における中心に位置するとは限らない。
【0034】
変形例も、上記の例示に限定されない。また、複数の変形例が、互いに組み合わされ得る。さらに、上記実施形態の全部または一部と、変形例の全部または一部とが、互いに組み合わされ得る。
【0035】
(観点)
上記の通りの、実施形態および変形例に係る構成および動作の説明から明らかなように、本明細書による開示は、少なくとも、以下の観点を含む。
[観点1]
測光装置(5)であって、
コンピュータプログラム指令を実行可能なプロセッサ(52)と、
前記プロセッサに接続され、前記コンピュータプログラム指令を記憶したメモリ(53)と、
を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラム指令を実行することにより、
カメラ(4)による撮像領域(D2)内に測光領域(D3)を設定し、
前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する、
測光装置。
[観点2]
前記小領域を、前記撮像領域における外縁に向かうにつれて小さくなるように設定する、
請求項1に記載の測光装置。
[観点3]
前記測光領域の形状を、前記カメラにおけるレンズ特性に合わせて歪ませる、
請求項1または2に記載の測光装置。
[観点4]
前記小領域内に、測光処理の対象外となる間引セル(F4)を設ける、
請求項2または3に記載の測光装置。
[観点5]
前記カメラは、広角カメラである、
請求項1~4のいずれか1つに記載の測光装置。
[観点6]
コンピュータプログラム指令を実行可能なプロセッサ(52)と前記プロセッサに接続されていて前記コンピュータプログラム指令を記憶したメモリ(53)とを備えた測光装置(5)における前記プロセッサによって実行される測光方法であって、
カメラ(4)による撮像領域(D2)内に測光領域(D3)を設定し、
前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する、
測光方法。
[観点7]
前記小領域を、前記撮像領域における外縁に向かうにつれて小さくなるように設定する、
請求項6に記載の測光方法。
[観点8]
前記測光領域の形状を、前記カメラにおけるレンズ特性に合わせて歪ませる、
請求項6または7に記載の測光方法。
[観点9]
前記小領域内に、測光処理の対象外となる間引セル(F4)を設ける、
請求項7または8に記載の測光方法。
[観点10]
前記カメラは、広角カメラである、
請求項6~9のいずれか1つに記載の測光方法。
[観点11]
測光装置(5)により実行される測光プログラムであって、
カメラ(4)による撮像領域(D2)内に測光領域(D3)を設定する処理を含み、
前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する、
測光プログラム。
[観点12]
前記小領域を、前記撮像領域における外縁に向かうにつれて小さくなるように設定する、
請求項11に記載の測光プログラム。
[観点13]
前記測光領域の形状を、前記カメラにおけるレンズ特性に合わせて歪ませる、
請求項11または12に記載の測光プログラム。
[観点14]
前記小領域内に、測光処理の対象外となる間引セル(F4)を設ける、
請求項12または13に記載の測光プログラム。
[観点15]
前記カメラは、広角カメラである、
請求項11~14のいずれか1つに記載の測光プログラム。
[観点16]
カメラ装置(3)であって、
広角レンズ(41)を備えたカメラ(4)と、
前記カメラによる撮像領域(D2)内に設定した測光領域(D3)にて測光処理を実行する測光装置(5)と、
を備え、
前記測光領域は、前記撮像領域における中心部とその外側とで形状が異なる複数の小領域(F)を有する、
カメラ装置。
[観点17]
前記小領域を、前記撮像領域における外縁に向かうにつれて小さくなるように設定する、
請求項16に記載のカメラ装置。
[観点18]
前記測光領域の形状を、前記カメラにおけるレンズ特性に合わせて歪ませる、
請求項16または17に記載のカメラ装置。
[観点19]
前記小領域内に、測光処理の対象外となる間引セル(F4)を設ける、
請求項17または18に記載のカメラ装置。
【符号の説明】
【0036】
3 カメラ装置
4 カメラ
41 広角レンズ
5 カメラECU(測光装置)
52 プロセッサ
53 メモリ
D2 撮像領域
D3 測光領域
F 小領域
F4 間引セル
図1
図2
図3
図4
図5
図6