(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100114
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240719BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240719BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240719BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240719BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/33
G09F9/30 348A
H01L33/00 L
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003860
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 義典
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
【Fターム(参考)】
5C094AA07
5C094AA25
5C094BA03
5C094BA25
5C094CA19
5C094DA13
5C094DA15
5C094DB01
5C094DB04
5C094ED15
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB02
5C094FB12
5C094FB15
5F142AA31
5F142BA32
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD25
5F142CD44
5F142DB17
5F142DB24
5F142GA01
(57)【要約】
【課題】表示装置の性能を向上させる。
【解決手段】表示装置DSP1の配線層WL4は、LED素子20のアノード電極20EAと電気的に接続された端子パターンTP1と、カソード電極20ECと電気的に接続された端子パターンTP2と、を含んでいる。配線層WL3は、遮光性の金属から成り、コンタクトホールCH1を介して端子パターンTP1と電気的に接続された導体パターンMP1と、コンタクトホールCH2を介して端子パターンTP2と電気的に接続された導体パターンMP2と、を含んでいる。平面視において、導体パターンMP2は、導体パターンMP1と離間し、かつ、導体パターンMP1の周囲を囲むように配置されている。スイッチング素子(駆動トランジスタDRT)は、導体パターンMP2に覆われている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板の上に配置された第1スイッチング素子と、
前記第1基板の上に積層された複数の配線層と、
前記複数の配線層の間に配置された複数の絶縁層と、
第1電極および第2電極を有し、前記複数の配線層のうち、最上層に配置されている第1配線層の上に搭載された第1無機発光ダイオード素子と、
を含み、
前記複数の配線層は、前記第1配線層から前記第1基板に向かって順に積層された、前記第1配線層、第2配線層、および第3配線層を含み、
前記複数の絶縁層は、
前記第1配線層と前記第2配線層との間に配置された第1絶縁層と、
前記第2配線層と前記第3配線層との間に配置された第2絶縁層と、
を含み、
前記第1配線層は、
前記第1電極と電気的に接続された第1端子パターンと、
前記第2電極と電気的に接続された第2端子パターンと、
を含み、
前記第2配線層は、
遮光性の金属から成り、前記第1絶縁層に形成された第1コンタクトホールを介して前記第1端子パターンと電気的に接続された第1導体パターンと、
前記第1導体パターンと同じ金属から成り、前記第1絶縁層に形成された第2コンタクトホールを介して前記第2端子パターンと電気的に接続された第2導体パターンと、
を含み、
前記第3配線層は、前記第2絶縁層に形成された第3コンタクトホールを介して前記第1導体パターンと電気的に接続され、かつ、前記第1スイッチング素子の電極と電気的に接続された第1配線パターンを含み、
平面視において、前記第2導体パターンは、前記第1導体パターンと離間し、かつ、前記第1導体パターンの周囲を囲むように配置され、
前記第1スイッチング素子は、前記第2導体パターンに覆われている、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1導体パターンの全体、および前記第1導体パターンと前記第2導体パターンとの間の第1領域は、前記第1端子パターンにより覆われている、表示装置。
【請求項3】
請求項1において、
第3電極および第4電極を有し、前記第1配線層の上に搭載された第2無機発光ダイオード素子と、
前記第1基板の上に配置され、前記第2無機発光ダイオード素子と電気的に接続された第2スイッチング素子と、
を更に含み、
前記第1配線層は、
前記第3電極と電気的に接続された第3端子パターンと、
前記第4電極と電気的に接続された第4端子パターンと、
を含み、
前記第2配線層は、前記第1導体パターンと同じ金属から成り、前記第1絶縁層に形成された第4コンタクトホールを介して前記第3端子パターンと電気的に接続された第3導体パターンを含み、
前記第2導体パターンは、前記第1絶縁層に形成された第5コンタクトホールを介して前記第4端子パターンと電気的に接続されており、
前記第3配線層は、前記第2絶縁層に形成された第6コンタクトホールを介して前記第3導体パターンと電気的に接続され、かつ、前記第2スイッチング素子の電極と電気的に接続された第2配線パターンを含み、
平面視において、前記第2導体パターンは、前記第1導体パターンおよび前記第3導体パターンと離間し、かつ、前記第1導体パターンおよび前記第3導体パターンのそれぞれの周囲を囲むように配置され、
前記第2スイッチング素子は、前記第2導体パターンに覆われている、表示装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1導体パターンの全体、および前記第1導体パターンと前記第2導体パターンとの間の第1領域は、前記第1端子パターンにより覆われ、
前記第3導体パターンの全体、および前記第3導体パターンと前記第2導体パターンとの間の第2領域は、前記第3端子パターンにより覆われている、表示装置。
【請求項5】
請求項1において、
第3電極および第4電極を有し、前記第1配線層の上に搭載された第2無機発光ダイオード素子と、
前記第1基板の上に配置され、前記第2無機発光ダイオード素子と電気的に接続された第2スイッチング素子と、
を更に含み、
前記第1配線層は、前記第3電極と電気的に接続された第3端子パターンを含み、
前記第4電極は、前記第2端子パターンと電気的に接続され、
前記第2配線層は、前記第1導体パターンと同じ金属から成り、前記第1絶縁層に形成された第4コンタクトホールを介して前記第3端子パターンと電気的に接続された第3導体パターンを含み、
前記第3配線層は、前記第2絶縁層に形成された第5コンタクトホールを介して前記第3導体パターンと電気的に接続され、かつ、前記第2スイッチング素子の電極と電気的に接続された第2配線パターンを含み、
平面視において、前記第2導体パターンは、前記第1導体パターンおよび前記第3導体パターンと離間し、かつ、前記第1導体パターンおよび前記第3導体パターンのそれぞれの周囲を囲むように配置され、
前記第2スイッチング素子は、前記第2導体パターンに覆われている、表示装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1導体パターンの全体、および前記第1導体パターンと前記第2導体パターンとの間の第1領域は、前記第1端子パターンにより覆われ、
前記第3導体パターンの全体、および前記第3導体パターンと前記第2導体パターンとの間の第2領域は、前記第3端子パターンにより覆われている、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置として、基板上に、自発光素子である発光ダイオード素子が行列上に配列されたLED(Light Emitting Diode)表示装置がある。例えば、特開2020-67626号公報(特許文献1)には、複数のマイクロLEDが基板上に配列された表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LED表示装置は、基板上に実装された多数のLED素子の動作を、スイッチング素子を用いて制御することにより表示画像を形成する。スイッチング素子としては、薄膜トランジスタが用いられるが、LED素子から出射された光がスイッチング素子に照射されると、スイッチング素子においてリーク電流が発生し、輝度低下の原因になる場合がある。一方、設計の自由度を考慮すると、平面視におけるスイッチング素子およびLED素子の位置に関しては阻害要因が少ない方が好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である表示装置は、第1基板と、前記第1基板の上に配置された第1スイッチング素子と、前記第1基板の上に積層された複数の配線層と、前記複数の配線層の間に配置された複数の絶縁層と、第1電極および第2電極を有し、前記複数の配線層のうち、最上層に配置されている第1配線層の上に搭載された第1無機発光ダイオード素子と、を含んでいる。前記複数の配線層は、前記第1配線層から前記第1基板に向かって順に積層された、前記第1配線層、第2配線層、および第3配線層を含んでいる。前記複数の絶縁層は、前記第1配線層と前記第2配線層との間に配置された第1絶縁層と、前記第2配線層と前記第3配線層との間に配置された第2絶縁層と、を含んでいる。前記第1配線層は、前記第1電極と電気的に接続された第1端子パターンと、前記第2電極と電気的に接続された第2端子パターンと、を含んでいる。前記第2配線層は、遮光性の金属から成り、前記第1絶縁層に形成された第1コンタクトホールを介して前記第1端子パターンと電気的に接続された第1導体パターンと、前記第1導体パターンと同じ金属から成り、前記第1絶縁層に形成された第2コンタクトホールを介して前記第2端子パターンと電気的に接続された第2導体パターンと、を含んでいる。前記第3配線層は、前記第2絶縁層に形成された第3コンタクトホールを介して前記第1導体パターンと電気的に接続され、かつ、前記第1スイッチング素子の電極と電気的に接続された第1配線パターンを含んでいる。平面視において、前記第2導体パターンは、前記第1導体パターンと離間し、かつ、前記第1導体パターンの周囲を囲むように配置されている。前記第1スイッチング素子は、前記第2導体パターンに覆われている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態である表示装置の構成例を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す画素周辺の回路の構成例を示す回路図である。
【
図3】
図1に示す表示装置の複数の画素のそれぞれに配置されるLED素子の周辺構造の一例を示す透過拡大平面図である。
【
図4】
図3に示す3つの画素(副画素)のうちの一つをさらに拡大して示す透過拡大平面図である。
【
図6】
図2に示す複数のトランジスタのそれぞれと、これらの全体を覆う導体パターンとの平面的な位置関係の一例を示す拡大平面図である。
【
図7】
図4に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
【
図9】
図3に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
【
図10】
図9のC-C線に沿った拡大断面図である。
【
図11】
図9に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一または関連する符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
以下の実施の形態では、複数の無機発光素子を用いた表示装置の例として、複数のマイクロLED素子を備えるマイクロLED表示装置を取り上げて説明する。マイクロLED素子は、一般的なLED素子と比較して素子のサイズ(外径寸法)が小さいので、高精細な画像を表示できるというメリットがある。
【0009】
なお、自発光素子である発光ダイオード素子として、有機発光ダイオード素子(OLED:Organic Light-Emitting Diode)がある。以下の実施の形態で説明する無機発光ダイオード素子(マイクロLED素子)は、有機発光ダイオード素子とは区別される。無機発光ダイオード素子を用いた表示装置の場合、有機発光ダイオード素子を用いた表示装置と比較してLED素子の信頼性が高いので、高輝度化が要求される用途での利用が期待されている。
【0010】
<表示装置>
まず、本実施の形態の表示装置であるマイクロLED表示装置の構成例について説明する。
図1は、一実施形態である表示装置の構成例を示す平面図である。
図1では、表示領域DAと周辺領域PFAとの境界、制御回路5、駆動回路6、および複数の画素PIXのそれぞれを二点鎖線で示している。
図2は、
図1に示す画素周辺の回路の構成例を示す回路図である。なお、
図2に示す画素回路PCは、
図1に示す一つの画素PIXに対応する等価回路の一例を示している。
【0011】
図1には、X方向およびY方向が示されている。X方向およびY方向は、互いに交差している。以下で説明する例においては、X方向はY方向に直交する。以下では、X方向およびY方向を含むX-Y平面を表示装置の表示面に対して平行な面として説明する。以下の説明において、特に異なる意味で解釈すべきことを明示した場合を除き、「平面視」とは、X-Y平面に対して平行な面を視た場合を意味する。また、後述するように、X-Y平面に対する法線方向のことを「Z方向」または厚さ方向として説明する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差する方向であり、より特定的には互いに直交する方向である。
【0012】
本明細書の説明において、「A」が「B」に「覆われている」と記載する場合がある。「AがBに覆われている」とは、上記したX-Y平面を視た平面視においてAの全体がBと重なっていることを意味する。また、「AがBに覆われている」とは、上記した「厚さ方向(Z方向)において、Aの全体がBと重なっている」と言い換えることもできる。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の表示装置DSP1は、表示領域DAと、表示領域DAの周囲を枠状に囲む周辺領域PFAと、表示領域DA内に行列上に配列された複数の画素PIXと、を有している。また、表示装置DSP1は、基板10と、基板10上に形成された制御回路5と、基板10上に形成された駆動回路6と、を有している。
【0014】
制御回路5は、表示装置DSP1の表示機能の駆動を制御する制御回路である。例えば、制御回路5は、基板10上に実装されたドライバIC(Integrated Circuit)である。
図1に示す例では、制御回路5は、基板10が備える4辺のうち、一つの短辺に沿って配置されている。また、本実施の形態の例では、制御回路5は、複数の画素PIXに接続される映像信号線VL(
図2参照)を駆動する信号線駆動回路(映像ドライバ)を含んでいる。ただし、制御回路5の位置および構成例は、
図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば、
図1において、制御回路5として示す位置に、フレキシブル基板などの回路基板が接続され、上記したドライバICは、回路基板上に搭載されている場合がある。また例えば、映像信号線VLを駆動する信号線駆動回路は、制御回路5とは別に形成されている場合がある。
【0015】
駆動回路(走査ドライバ)6は、複数の画素PIXのうち、走査信号線GLB,GLR,GLSを駆動する回路である。駆動回路6は、制御回路5からの制御信号に基づいて、複数の走査信号線GLを駆動する。
図1に示す例では、駆動回路6は、基板10が備える4辺のうち、二つの長辺のそれぞれに沿って配置されている。
図1に示す例では、平面視において、表示領域DAは、二つの駆動回路6の間に配置されている。ただし、駆動回路6の位置および構成例は、
図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば、
図1において、制御回路5として示す位置に、フレキシブル基板などの回路基板が接続され、上記した駆動回路6が回路基板上に搭載されている場合がある。
【0016】
次に、
図2を用いて
図1に示す画素PIXを駆動する画素回路PCの構成例について説明する。なお、
図2では、一つの画素を駆動する一つの画素回路PCを代表的に取り上げて図示している。
図1に示す複数の画素PIXのそれぞれが、
図2に示す画素回路PCと同様の回路を備えている。画素回路PCは、制御回路5(
図1参照)から供給される映像信号Vsgに応じてLED素子20の発光状態を制御する電圧信号方式の回路である。
【0017】
図2に示すように、画素PIXは、LED素子20を備えている。LED素子20は、上記したマイクロ発光ダイオードである。LED素子20はアノード電極20EA(後述する
図3参照)およびカソード電極20EC(後述する
図3参照)を有している。
【0018】
表示装置DSP1は、表示領域DAにおいて複数種類の配線を備えている。これら配線は、複数の走査信号線GLS,GLR,GLBと、複数の映像信号線VLと、複数の電源線PL1と、複数の電源線PL2と、複数のリセット配線RSLとを含む。
【0019】
走査信号線GLS,GLR,GLBは、X方向に延びており、駆動回路6に接続されている。例えば、
図1に示すように、Y方向に並ぶ画素PIXのうち、偶数番目の画素PIXを駆動するための走査信号線GLS,GLR,GLBが一方の駆動回路6に接続され、奇数番目の画素PIXを駆動するための走査信号線GLS,GLR,GLBが他方の駆動回路6に接続されている。他の例として、例えば走査信号線GLS,GLRが全て一方の駆動回路6に接続されるとともに走査信号線GLBが全て他方の駆動回路6に接続されるなど、走査信号線GLS,GLR,GLBのいずれかが一方の駆動回路6に接続され、残りが他方の駆動回路6に接続されている場合もある。
【0020】
映像信号線VL、電源線PL1,PL2およびリセット配線RSLは、Y方向に延びている。映像信号線VLは、制御回路5(
図1参照)に接続されている。映像信号線VLには、制御回路5から映像信号Vsgと初期化信号が供給される。電源線PL1には、制御回路5から高電位Pvddが供給される。電源線PL2には、制御回路5から高電位Pvddよりも低い低電位Pvssが供給される。リセット配線RSLには、制御回路5からリセット信号Vrsが供給される。
【0021】
制御回路5は、駆動回路6に図示しないスタートパルス信号やクロック信号を出力する。駆動回路6は複数のシフトレジスタ回路を含んでおり、クロック信号に応じてスタートパルス信号を次段のシフトレジスタ回路に順次転送し、各走査信号線GLS,GLR,GLBに走査信号を順次供給する。
【0022】
画素回路PCは、映像信号線VLに供給される映像信号Vsgに応じてLED素子20を制御する。このような制御を実現するために、本実施形態における画素回路PCは、リセットトランジスタ(スイッチング素子)RST、画素選択トランジスタ(スイッチング素子)SST、出力トランジスタ(スイッチング素子)BCT、駆動トランジスタ(スイッチング素子)DRT、保持容量Csおよび補助容量Cadを有している。補助容量Cadは発光電流量を調整するために設けられる素子であり、場合によっては不要となることもある。
【0023】
リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)から成るスイッチング素子である。薄膜トランジスタの導電型は特に限定されず、例えば、全てのトランジスタがNチャネル型のTFTにより構成されている場合もあるし、これらの少なくとも1つがPチャネル型のTFTにより構成されている場合もある。
【0024】
本実施形態において、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、同一工程かつ同一層構造で形成され、半導体層に多結晶シリコンを用いたボトムゲート構造を有している。他の例として、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、トップゲート構造を有してもよい。なお、半導体層としては、酸化物半導体や多結晶GaN半導体などを用いる場合がある。
【0025】
リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、ソース電極、ドレイン電極、およびゲート電極を有している。各トランジスタが備えているゲート電極は制御電極と言い換えることができる。また、各トランジスタが備えているソース電極およびドレイン電極は、単に電極と言い換えることができる。
【0026】
駆動トランジスタDRTおよび出力トランジスタBCTは、電源線PL1と電源線PL2の間でLED素子20と直列に接続されている。電源線PL1に供給される高電位Pvddは例えば10Vに設定され、電源線PL2に供給される低電位Pvssは例えば1.5Vに設定されている。
【0027】
出力トランジスタBCTのドレイン電極は、電源線PL1に接続されている。出力トランジスタBCTのソース電極は、駆動トランジスタDRTのドレイン電極に接続されている。出力トランジスタBCTのゲート電極は、走査信号線GLBに接続されている。出力トランジスタBCTは、走査信号線GLBに与えられる制御信号Gsbによりオン、オフされる。ここで、オンは導通状態を表し、オフは非導通状態を表す。出力トランジスタBCTは、制御信号Gsbに基づきLED素子20の発光時間を制御する。
【0028】
駆動トランジスタDRTのソース電極は、LED素子20の一方の電極(ここでは陽極)に接続されている。LED素子20の他方の電極(ここでは陰極)は、電源線PL2に接続されている。駆動トランジスタDRTは、映像信号Vsgに応じた駆動電流をLED素子20に出力する。
【0029】
画素選択トランジスタSSTのソース電極は、映像信号線VLに接続されている。画素選択トランジスタSSTのドレイン電極は、駆動トランジスタDRTのゲート電極に接続されている。画素選択トランジスタSSTのゲート電極は、信号書き込み制御用のゲート配線として機能する走査信号線GLSに接続されている。画素選択トランジスタSSTは、走査信号線GLSから供給される制御信号Gssによりオン、オフされ、画素回路PCと映像信号線VLの接続および非接続を切り替える。すなわち、画素選択トランジスタSSTがオンされることにより、映像信号線VLの映像信号Vsgまたは初期化信号が駆動トランジスタDRTのゲート電極に供給される。
【0030】
リセットトランジスタRSTのソース電極は、リセット配線RSLに接続されている。リセットトランジスタRSTのドレイン電極は、駆動トランジスタDRTのソース電極およびLED素子20の陽極に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲート電極は、リセット制御用ゲート配線として機能する走査信号線GLRに接続されている。リセットトランジスタRSTは、走査信号線GLRから供給される制御信号Grsによりオン、オフされる。リセットトランジスタRSTがオンに切り替えられることにより、駆動トランジスタDRTのソース電極およびLED素子20の陽極の電位をリセット配線RSLのリセット信号Vrsにリセットすることができる。すなわち、リセット配線RSLは、LED素子20の電圧をリセットするための配線である。
【0031】
保持容量Csは、駆動トランジスタDRTのゲート電極とソース電極の間に接続されている。補助容量Cadは、駆動トランジスタDRTのソース電極と電源線PL2の間に接続されている。
【0032】
制御信号Gss,Grs,Gsbは、駆動回路6が上述のスタートパルス信号およびクロック信号に基づいて、各ライン(X方向に並ぶ一連の画素PIX)の走査信号線GLS,GLR,GLBに対し順次供給される。また、
図2に示した制御回路5から供給される信号に基づいて、制御回路5が各映像信号線VLに映像信号Vsgおよび初期化信号を順次供給する。映像信号Vsgの供給に伴い保持容量Csに保持された電荷は、初期化信号の供給に伴い初期化される。
【0033】
以上のような構成においては、走査信号線GLS,GLR,GLBに供給される制御信号Gss,Grs,Gsbによって画素回路PCが駆動され、映像信号線VLの映像信号Vsgに応じた輝度でLED素子20が発光する。
【0034】
<LED素子の周辺構造>
次に、
図1に示す画素PIXに配置されるLED素子の周辺構造について説明する。
図3は、
図1に示す表示装置の複数の画素のそれぞれに配置されるLED素子の周辺構造の一例を示す透過拡大平面図である。
図4は、
図3に示す3つの画素(副画素)のうちの一つをさらに拡大して示す透過拡大平面図である。
図5は、
図4のA-A線に沿った拡大断面図である。
図6は、
図2に示す複数のトランジスタのそれぞれと、これらの全体を覆う導体パターンとの平面的な位置関係の一例を示す拡大平面図である。
図3および
図4では、
図5に示す配線層WL3に配置された導体パターンを実線で示し、配線層WL4に配置された導体パターン(端子パターン)を点線で示し、LED素子20およびLED素子20が備えている電極の輪郭を二点鎖線で示している。また、
図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれは同じ構造を有している。このため、
図4および
図5では、代表例として一つの画素PIX(
図4参照)の構造を示し、画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれに対応する符号を付している。また、
図3および
図4は平面図であるが、導体パターンMP1と導体パターンMP2との間の領域R1の範囲を明示するため、領域R1にハッチングを付している。
【0035】
また、
図2に示す画素回路PCは、
図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれに対応した回路である。したがって、
図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれは、
図2を用いて説明したリセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTを備えている。同様に、
図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれは、
図2を用いて説明した保持容量Csおよび補助容量Cadを有している。
【0036】
図5に示すように、表示装置DSP1は、基板10の上に積層された複数の配線層を備えた基板構造体SUB1と、基板構造体SUB1の上に搭載されたLED素子(無機発光ダイオード素子)20と、を有している。表示装置DSP1の基板構造体SUB1は、複数の配線層の間に配置された複数の絶縁層を有している。LED素子20は、複数の配線層のうち、最上層に配置されている配線層WL4の上に搭載されている。また、表示装置DSP1の基板構造体SUB1は、スイッチング素子としてのトランジスタを有している。
図5では、基板10の上に配置されたスイッチング素子の例として、駆動トランジスタDRTを図示している。ただし、基板10の上(詳しくは絶縁層11の上)には、
図2を用いて説明したリセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCT、および駆動トランジスタDRTのそれぞれが配置されている。
図2に示す、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCT、および駆動トランジスタDRTのそれぞれは、後述する
図5に示す駆動トランジスタDRTと同様な構造になっている。
【0037】
図5に示すように、LED素子20は、面20fおよび面20fの反対側の面20bを備える。また、LED素子20は、面20fに配列された複数の(
図3では2個の)電極を備えている。複数の電極は、アノード電極20EAおよびカソード電極20ECを含む。アノード電極20EAは、バンプ電極30を介して端子パターンTP1と電気的に接続されている。カソード電極20ECは、バンプ電極31を介して端子パターンTP2と電気的に接続されている。
【0038】
図3に示すように表示装置DSP1は複数のLED素子20を有している。
図3では、表示装置が有する複数のLED素子20のうち、アノード電極20EAおよびカソード電極20ECを備えているLED素子20Aと、アノード電極20EAおよびカソード電極20ECを備え、LED素子20Aの隣に配置されているLED素子20Bと、アノード電極20EAおよびカソード電極20ECを備え、LED素子20Bの隣に配置されているLED素子20Cと、を図示している。
【0039】
表示装置DSP1は、基板構造体SUB1上に搭載された複数のLED素子20のそれぞれを駆動することにより、画像を表示する。LED素子20から出射される光は、面20f、面20b、および4つの側面から全方向に出射される。
【0040】
基板10は、面10fおよび面10fの反対側の面10bを有する。複数の配線層および複数の絶縁層は、基板10の面10f上に積層されている。基板10は、例えばガラスから成るガラス基板である。ただし、基板10を構成する材料には種々の変形例があり、例えば、樹脂からなる樹脂基板を用いる場合もある。
【0041】
図5に示す例の場合、表示装置DSP1が備えている複数の配線層は、配線層WL4から基板10に向かって順に積層された、配線層WL4、配線層WL3、配線層WL2、および配線層WL1を有している。また、表示装置DSP1が備えている複数の絶縁層は、基板10の面10f上から順に積層された絶縁層11,12,13,14,15,16を有している。
【0042】
絶縁層11は薄膜トランジスタの下地層であり、無機材料から成る無機絶縁層である。配線層WL1は、絶縁層11上に配置され、絶縁層12に覆われている。配線層WL1に形成された導体パターンは、
図5に示すゲート電極EGや、
図2を用いて説明した走査信号線GLB,GLS,GLRなどを含んでいる。絶縁層12も無機材料から成る無機絶縁層である。絶縁層12のうち、トランジスタのゲート電極EGと半導体層50との間に配置されている部分は、ゲート絶縁膜として機能する。
【0043】
ゲート電極EGを含む駆動トランジスタDRTは、半導体層50、ゲート電極EG、ソース電極ES、およびドレイン電極EDを有している。
図5に示す例では、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタを一例として示しているが、上記したようにトップゲート構造とする場合もある。ゲート電極EGは、絶縁層11上に配置されている。半導体層50は、絶縁層12上に配置されている。半導体層50の一部分はソース領域に相当し、ソース領域にはソース電極ESが接続されている。半導体層50の他の一部分はドレイン領域に相当し、ドレイン領域にはドレイン電極EDが接続されている。ソース領域とドレイン領域との間の領域は、チャネル領域として機能する。
【0044】
配線層WL2は、駆動トランジスタDRTを覆う絶縁層13上に配置されている。絶縁層13は無機材料から成る無機絶縁層である。配線層WL2に形成された導体パターンは、複数のトランジスタのそれぞれに接続された配線を含んでいる。例えば、
図5に示すように、駆動トランジスタDRTのソース電極ESに接続された配線パターンMW1は、配線層WL2に含まれる。また、配線層WL2に形成された導体パターンは、
図2に示す映像信号線VLと、電源線PL1と、電源線PL2と、リセット配線RSLとを含んでいる。
【0045】
配線層WL2を覆う絶縁層14、および絶縁層14上に積層されている絶縁層15のそれぞれは、有機材料から成る有機絶縁膜である。絶縁層14は配線層WL2と配線層WL3との間に配置された絶縁層である。絶縁層15は、配線層WL3と配線層WL4との間に配置された絶縁層である。
図5に示すように配線層WL2と配線層WL3との電気的な接続、および配線層WL3と配線層WL4との電気的な接続には、コンタクトホールが用いられる。有機絶縁層は、無機絶縁層と比較した開口部(例えばコンタクトホール)に対する埋め込み特性が優れている。言い換えれば、有機絶縁層の場合、下地に開口部があった場合でも、上面を平坦化し易い。このため、多数のコンタクトホールが形成されている絶縁層14および絶縁層15のそれぞれは有機材料から成る。
【0046】
配線層WL4は、複数の配線層のうち、最上層に配置された配線層である。配線層WL4は、無機材料から成る無機絶縁層である絶縁層16に覆われている。ただし、絶縁層16には部分的に開口部が形成されており、配線層WL4は絶縁層16に形成された開口部において、バンプ電極30またはバンプ電極31と電気的に接続されている。配線層WL4は、LED素子20Aのアノード電極20EAと電気的に接続された端子パターン(導体パターン)TP1と、LED素子20Aのカソード電極20ECと電気的に接続された端子パターン(導体パターン)TP2と、を含んでいる。配線層WL4は、LED素子20Bのアノード電極20EAと電気的に接続された端子パターン(導体パターン)TP3と、LED素子20Bのカソード電極20ECと電気的に接続された端子パターン(導体パターン)TP4と、を含んでいる。配線層WL4は、LED素子20Cのアノード電極20EAと電気的に接続された端子パターン(導体パターン)TP5と、LED素子20Aのカソード電極20ECと電気的に接続された端子パターン(導体パターン)TP6と、を含んでいる。
【0047】
端子パターンTP1,TP3,TP5のそれぞれは、絶縁層16の開口部においてバンプ電極30に接続されている端子部分(平坦部分とも言える)と、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH4、またはコンタクトホールCH7に埋め込まれ、配線層WL3に接続されたコンタクト部分と、を有している。コンタクト部分は、絶縁層16に覆われている。同様に、端子パターンTP2,TP4,TP6のそれぞれは、絶縁層16の開口部においてバンプ電極31に接続されている端子部分と、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH5、またはコンタクトホールCH8に埋め込まれ、配線層WL3に接続されたコンタクト部分と、を有している。コンタクト部分は、絶縁層16に覆われている。端子パターンTP1,TP2,TP3,TP4,TP5,TP6のそれぞれは、基板構造体SUB1の外部端子である。
【0048】
また、配線層WL3は、遮光性の金属から成り、絶縁層15に形成されたコンタクトホールCH1を介して端子パターンTP1と電気的に接続された導体パターンMP1と、導体パターンMP1と同じ金属から成り、絶縁層15に形成されたコンタクトホールCH2を介して端子パターンTP2と電気的に接続された導体パターンMP2と、を含んでいる。また、配線層WL3は、導体パターンMP1と同じ金属から成り、絶縁層15に形成されたコンタクトホールCH4を介して端子パターンTP3と電気的に接続された導体パターンMP3、を含んでいる。また、配線層WL3は、導体パターンMP1と同じ金属から成り、絶縁層15に形成されたコンタクトホールCH7を介して端子パターンTP5と電気的に接続された導体パターンMP4、を含んでいる。
【0049】
導体パターンMP1,MP3,MP4のそれぞれは、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH4、またはコンタクトホールCH7の底面において、端子パターンTP1,TP3,TP5のいずれかに接続されている平坦部分と、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH6、またはコンタクトホールCH9に埋め込まれ、配線層WL2に接続されたコンタクト部分と、を有している。
図3および
図4に示すように、導体パターンMP2は、配線層WL2の大部分を占める大面積パターンであり、導体パターンMP1,MP3,MP4のそれぞれは、導体パターンMP2に形成されている開口部内に、導体パターンMP2と離間するように配置されている。言い換えれば、平面視において、導体パターンMP2は、導体パターンMP1と離間し、かつ、導体パターンMP1の周囲を囲むように配置されている。同様に、平面視において、導体パターンMP2は、導体パターンMP3と離間し、かつ、導体パターンMP3の周囲を囲むように配置されている。さらに、平面視において、導体パターンMP2は、導体パターンMP4と離間し、かつ、導体パターンMP4の周囲を囲むように配置されている。導体パターンMP2と導体パターンMP1との間の領域R1、導体パターンMP2と導体パターンMP3との間の領域R2、および導体パターンMP2と導体パターンMP4との間の領域R3のそれぞれには、
図5に示す絶縁層15が配置されている。
【0050】
図5に示す配線層WL2は、絶縁層14に形成されたコンタクトホールCH3を介して導体パターンMP1と電気的に接続され、かつ、駆動トランジスタDRTの電極(ソース電極ES)と電気的に接続された配線パターンMW1を含んでいる。また、配線層WL2は、絶縁層14に形成されたコンタクトホールCH6を介して導体パターンMP3と電気的に接続され、かつ、駆動トランジスタDRTの電極(ソース電極ES)と電気的に接続された配線パターンMW2を含んでいる。また、配線層WL2は、絶縁層14に形成されたコンタクトホールCH9を介して導体パターンMP4と電気的に接続され、かつ、駆動トランジスタDRTの電極(ソース電極ES)と電気的に接続された配線パターンMW3を含んでいる。
【0051】
上記したように、LED素子20は、LED素子20の周囲の全方向に向かって光を照射する。このため、基板構造体SUB1を構成する材料のそれぞれが、光透過性の材料から成る場合、光の一部は、駆動トランジスタDRTなどのトランジスタにも照射される。ところが、本願発明者の検討によれば、薄膜トランジスタに光が照射された場合、薄膜トランジスタの特性低下、あるいは誤動作の原因になる場合があることが判った。例えば、薄膜トランジスタに光が照射されると、当該薄膜トランジスタにリーク電流が発生する場合がある。例えば、
図2に示す例において、保持容量Csに接続されている駆動トランジスタDRTや、画素選択トランジスタSSTにおいてリーク電流が発生した場合、保持容量Csに蓄電された電荷が減少するので、輝度低下の原因になる。特に、LED表示装置の場合、上記したように高輝度化が必要な用途での利用が期待されている。このため、トランジスタに光が照射されることによる影響が大きい。
【0052】
そこで、本実施の形態の場合、導体パターンMP2を遮光膜として利用している。例えば、
図5に示す例では、駆動トランジスタDRTは、導体パターンMP2に覆われている。言い換えれば、厚さ方向(
図5のZ方向)において、駆動トランジスタDRTの全体が導体パターンMP2に覆われている。このため、LED素子20と駆動トランジスタDRTとの間には、遮光膜として機能する導体パターンMP2が介在しているので、少なくともLED素子20から駆動トランジスタDRTに向かって直接的に光が照射されることは防止できる。これにより、駆動トランジスタDRTの特性低下を抑制できる。
図6に一例として示すように、本実施の形態の場合、リセットトランジスタ(スイッチング素子)RST、画素選択トランジスタ(スイッチング素子)SST、出力トランジスタ(スイッチング素子)BCT、および駆動トランジスタ(スイッチング素子)DRTのそれぞれの全体が、導体パターンMP2に覆われている。この場合、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCT、および駆動トランジスタDRTのそれぞれの特性低下を抑制できる。
【0053】
図5に示す導体パターンMP2は、例えば
図1に示す周辺領域PFAにおいて、
図2に示す電源線PL2に接続されている。電源線PL2が
図5に示す配線層WL2に形成されている場合、配線層WL3に形成された導体パターンMP2は、図示しないコンタクトホールを介して電源線PL2と電気的に接続されている。また、変形例として電源線PL2が、導体パターンMP2と同層の配線層WL3に形成されている場合がある。この場合、コンタクトホールを介さずに、導体パターンMP2と電源線PL2とを接続することができる。
【0054】
また、導体パターンMP2は電源線PL2に接続され、
図2に示す低電位Pvssが供給されている。低電位Pvssは、複数の画素PIXのそれぞれに供給される共通電位である。このため、
図3に示すように、導体パターンMP2は、複数の画素PIXに跨って形成されている。
図5に示す駆動トランジスタDRTは、
図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれに設けられている。複数の画素の画素PIXのそれぞれに設けられた駆動トランジスタDRTは、複数の画素PIXに跨って形成された導体パターンMP2に覆われている。言い換えれば、複数の画素の画素PIXのそれぞれに設けられた駆動トランジスタDRTの全体は、厚さ方向(
図5のZ方向)において、導体パターンMP2に覆われている。導体パターンMP2が複数の画素PIXに跨って形成されている場合、配線層WL3(
図5参照)の隙間(例えば
図4および
図5に示す領域R1,R2,R3)を小さくできる。この結果、LED素子20A,20B,20Cのそれぞれから出射される光の大部分は、配線層WL3において遮光され、配線層WL3と基板10(
図5参照)との間にある複数のトランジスタを含む回路部品に光が照射されることを抑制できる。
【0055】
なお、
図5では、例示的に駆動トランジスタDRTを示しているが、
図2に示すリセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCT、および駆動トランジスタDRTのそれぞれが導体パターンMP2に覆われていることが特に好ましい。本実施の形態の場合、配線層WL3の大部分に導体パターンMP2を形成することが可能なので、
図2に示すリセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCT、および駆動トランジスタDRTのそれぞれが導体パターンMP2に覆われている構造を実現することができる。ただし、レイアウトの関係で、複数のトランジスタのうちの一部が、導体パターンMP2に覆われていないこともあり得る。この場合でも、導体パターンMP2に覆われたトランジスタについては、特性低下を抑制できる。
【0056】
ところで、本実施の形態に対する検討例として、
図5に示す絶縁層15および配線層WL4を設けず、配線層WL3の導体パターンを端子として利用する方法が考えられる。この検討例の場合、本実施の形態よりも配線層数が少ないので、製造工程は簡略化できる点で有利である。
【0057】
しかし、本実施の形態の場合、以下の点で上記検討例よりも有利である。すなわち、本実施の形態の場合、配線層WL3とは別に、端子パターンが形成されている配線層WL4が設けられている。これにより、LED素子20のレイアウトの自由度を向上させることができる。バンプ電極30およびバンプ電極31を接続するための端子パターンを配線層WL3に形成する場合、LED素子20の形状や電極ピッチ等によって、配線層WL3に形成された導体パターンの形状が制約される。一方、本実施の形態の場合、配線層WL4の形成されている端子パターンの形状をLED素子の形状や電極ピッチ等の条件に合わせて形成することが可能である。このため、配線層WL3の形状は、LED素子20の形状の制約を受け難く、比較的自由に設計することができる。このため、例えば、トランジスタに照射される光を遮光する観点から適切な形状の導体パターンMP2を配線層WL3に形成することが可能である。
【0058】
<変形例1>
次に、
図1~
図5を用いて説明した表示装置DSP1の変形例について説明する。
図7は、
図4に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
図8は、
図7のB-B線に沿った拡大断面図である。
【0059】
図7および
図8に示す表示装置DSP2は、配線層WL4(
図5参照)に形成された端子パターンTP1,TP3,TP4の形状が
図4および
図5に示す表示装置DSP1と相違する。
【0060】
詳しくは、
図7に示す表示装置DSP2の場合、導体パターンMP1の全体、および導体パターンMP1と導体パターンMP2との間の領域R1は、端子パターンTP1により覆われている。同様に、表示装置DSP2の場合、導体パターンMP3の全体、および導体パターンMP3と導体パターンMP2との間の領域R2は、端子パターンTP3により覆われている。同様に、表示装置DSP2の場合、導体パターンMP4の全体、および導体パターンMP4と導体パターンMP2との間の領域R3は、端子パターンTP5により覆われている。
【0061】
言い換えれば、透過平面視において、導体パターンMP1の全体、および導体パターンMP1と導体パターンMP2との間の領域R1は、端子パターンTP1と重なっている。同様に、透過平面視において、導体パターンMP3の全体、および導体パターンMP3と導体パターンMP2との間の領域R2は、端子パターンTP3と重なっている。同様に、透過平面視において、導体パターンMP4の全体、および導体パターンMP4と導体パターンMP2との間の領域R3は、端子パターンTP5と重なっている。
【0062】
上記したように、導体パターンMP2は、配線層WL3(
図8参照)の大部分を覆う導体パターンである。ただし、表示領域において、導体パターンMP1と導体パターンMP2との間の領域R1、導体パターンMP3と導体パターンMP2との間の領域R2、および導体パターンMP4と導体パターンMP2との間の領域R3に関しては隙間が生じる。本変形例の場合、配線層WL3において、遮光膜として機能する導体パターンの間の隙間を覆うように配線層WL4の端子パターンTP1,TP3,TP5が設けられている。この結果、配線層WL3と基板10(
図8参照)との間に配置されている複数のトランジスタに対して光が照射されることをより確実に防止できる。
【0063】
図7および
図8に示す表示装置DSP2は、上記した相違点を除き、
図1~
図5を用いて説明した表示装置DSP1と同様である。したがって、重複する説明は省略する。
【0064】
<変形例2>
次に、
図1~
図5を用いて説明した表示装置DSP1の他の変形例について説明する。
図9は、
図3に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
図10は、
図9のC-C線に沿った拡大断面図である。なお、
図9に示す画素PIXBの拡大断面は、
図5と同様であり、
図9に示す画素PIXCの拡大断面は、
図10と同様である。
【0065】
図9および
図10に示す表示装置DSP3は、配線層WL4(
図5参照)に形成された端子パターンTP2の形状が
図3および
図5に示す表示装置DSP1と相違する。
【0066】
詳しくは、表示装置DSP3が備える端子パターンTP2は、画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCに跨って形成されている。また、端子パターンTP2は、LED素子20Aのカソード電極20EC、LED素子20Bのカソード電極20EC、およびLED素子20Cのカソード電極20ECのそれぞれと電気的に接続されている。複数のLED素子20のそれぞれのカソード電極20ECは、
図2に示す電源線PL2に接続され、各画素に共通の低電位Pvssが供給される。したがって、
図9に示すように複数の画素PIXに跨るように、端子パターンTP2を配置することが可能である。
【0067】
複数の画素PIXに跨るように、端子パターンTP2を配置することにより、
図3に示すコンタクトホールCH5およびコンタクトホールCH8は不要になる。本変形例の場合、コンタクトホールの数を低減できることで、
図3に示す表示装置DSP1と比較してさらにレイアウトの自由度が向上する。
【0068】
なお、
図9に示す例では、コンタクトホールCH2は、画素PIXBに設けられている。ただし、コンタクトホールCH2の位置は、
図9に示す態様には限定されず、例えば、画素PIXA、あるいは画素PIXCに配置されている場合がある。あるいは、別の変形例として、画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのうち、2か所に設けられている場合がある。
【0069】
図9および
図10に示す表示装置DSP3は、上記した相違点を除き、
図1~
図5を用いて説明した表示装置DSP1と同様である。したがって、重複する説明は省略する。
【0070】
ところで、
図9および
図10を用いて説明した表示装置DSP3と、
図7および
図8を用いて説明した表示装置DSP2とを組み合わせることができる。
図11は、
図9に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
【0071】
図11に示す表示装置DSP4の場合、以下の点で
図9に示す表示装置DSP3と相違する。すなわち、
図11に示す表示装置DSP4の場合、導体パターンMP1の全体、および導体パターンMP1と導体パターンMP2との間の領域R1は、端子パターンTP1により覆われている。同様に、表示装置DSP4の場合、導体パターンMP3の全体、および導体パターンMP3と導体パターンMP2との間の領域R2は、端子パターンTP3により覆われている。同様に、表示装置DSP4の場合、導体パターンMP4の全体、および導体パターンMP4と導体パターンMP2との間の領域R3は、端子パターンTP5により覆われている。
【0072】
変形例1として説明した
図7および
図8に示す表示装置DSP2と同様に、
図11に示す表示装置DSP4の場合、
図9および
図10に示す表示装置DSP3と比較して、配線層WL3(
図10参照)と基板10(
図10参照)との間に配置されている複数のトランジスタに対して光が照射されることをより確実に防止できる。
【0073】
以上、実施の形態および代表的な変形例について説明したが、上記した技術は、例示した変形例以外の種々の変形例に適用可能である。例えば、上記した変形例同士を組み合わせてもよい。
【0074】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、表示装置や表示装置が組み込まれた電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0076】
5 制御回路
6 駆動回路
10 基板
10b,10f,20b,20f 面
11,12,13,14,15,16 絶縁層
20,20A,20B,20C LED素子
20EA アノード電極
20EC カソード電極
30,31 バンプ電極
50 半導体層
BCT 出力トランジスタ(スイッチング素子)
Cad 補助容量
CH1,CH2,CH3,CH4,CH5,CH6,CH7,CH8,CH9 コンタクトホール
Cs 保持容量
DA 表示領域
DRT 駆動トランジスタ(スイッチング素子)
DSP1,DSP2,DSP3,DSP4 表示装置
ED ドレイン電極
EG ゲート電極
ES ソース電極
GLB,GLR,GLS 走査信号線
Grs,Gsb,Gss 制御信号
MP1,MP2,MP3,MP4 導体パターン
MW1,MW2,MW3 配線パターン
PC 画素回路
PFA 周辺領域
PIX,PIXA,PIXB,PIXC 画素
PL1,PL2 電源線
Pvdd 高電位
Pvss 低電位
R1,R2,R3 領域
RSL リセット配線
RST リセットトランジスタ(スイッチング素子)
SST 画素選択トランジスタ(スイッチング素子)
SUB1 基板構造体
TP1,TP2,TP3,TP4,TP5,TP6, 端子パターン(導体パターン)
VL 映像信号線
Vrs リセット信号
Vsg 映像信号
WL1,WL2,WL3,WL4 配線層