(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100116
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240719BHJP
A01G 3/08 20060101ALI20240719BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B25F5/00 A
A01G3/08 501Z
B25F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003862
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 徳至
(72)【発明者】
【氏名】江尻 忠勝
(72)【発明者】
【氏名】内田 洋樹
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA05
3C064AB01
3C064AC02
3C064BA06
3C064BA12
3C064BB22
3C064BB27
3C064BB42
3C064BB43
3C064BB44
3C064BB45
3C064BB79
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA54
3C064CB05
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB33
3C064CB36
3C064CB37
3C064CB39
3C064CB63
3C064CB69
3C064CB73
3C064CB77
3C064CB91
(57)【要約】
【課題】利便性を向上させた作業機を提供する。
【解決手段】作業機であるヘッジトリマ1は、電動モータ4が有する駆動軸40の駆動力を受けて回転する偏心カム602と、偏心カム602の回転によって往復動する上ブレード301及び下ブレード302と、偏心カム602を回転可能に支持する支持部7と、駆動軸40の駆動力を受けて回転するファン5と、ハウジング2と、を備える。支持部7は、基部700と、基部700から第1方向の一方側に向かって伸びて偏心カム602を支持する支持軸701と、を有する。ハウジング2は、吸気口211と、排気口と、電動モータ4の周辺を流れるように吸気口211から排気口へ空気流が流れる空気通路と、を有する。空気通路は、電動モータ4よりも上流に位置する上流側通路と、電動モータ4よりも下流に位置する下流側通路と、を含む。支持軸701は、上流側通路と熱交換可能に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸を有するモータと、
前記駆動軸の駆動力を受けて回転する偏心カムと、
前記偏心カムの回転によって往復動する先端工具と、
前記偏心カムを回転可能に支持する支持部と、
前記駆動軸の駆動力を受けて回転するファンと、
前記モータと、前記偏心カムと、前記支持部と、前記ファンと、を支持するハウジングと、を備え、
前記支持部は、基部と、前記基部から第1方向の一方側に向かって延びるとともに、前記偏心カムを支持する支持軸と、を有し、
前記ハウジングは、吸気口と、排気口と、前記モータの周辺を流れるように前記ファンによって前記吸気口から前記排気口へ空気流が流れる空気通路と、を有し、
前記空気通路は、前記モータよりも上流に位置する上流側通路と、前記モータよりも下流に位置する下流側通路と、を含み、
前記支持軸は、前記上流側通路と熱交換可能に設けられる、作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機において、
前記支持軸は、前記上流側通路に露出している、作業機。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機において、
前記支持軸と前記ファンとは、前記第1方向と直交する第2方向において異なる位置に配置され、
前記ハウジングは、前記第2方向において前記支持軸と前記ファンとの間を仕切る仕切り壁と、前記仕切り壁を前記第2方向に貫通する窓部と、を有し、
前記吸気口は、前記第2方向における位置が前記支持軸と重なる位置に配置され、かつ、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向における前記ハウジングの2つの側面に配置され、
前記支持軸及び前記窓部は、前記第3方向において、前記2つの側面の間に配置される、作業機。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機において、
前記支持軸は、前記吸気口よりも前記第1方向の一方側に配置され、
前記2つの側面は、前記第1方向の一方側において、前記第3方向に互いに離間する傾斜面である、作業機。
【請求項5】
請求項2に記載の作業機において、
前記ハウジングは、前記基部における前記第1方向の他方側の面と当接して、前記上流側通路と前記支持部とを仕切る当接リブを有し、
前記当接リブは、前記第1方向に貫通して、前記支持軸と前記上流側通路とを連通する貫通孔を有する、作業機。
【請求項6】
請求項5に記載の作業機において、
前記支持軸は、前記第1方向視において、前記貫通孔の壁面によって囲まれる範囲内に配置される、作業機。
【請求項7】
請求項5に記載の作業機において、
前記偏心カムは、前記支持軸に対して相対回転可能であり、
前記支持軸は、金属製であり、
前記当接リブは、樹脂製である、作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、先端工具として前後方向に往復動する上ブレードと下ブレードとを有し、樹木の剪定や生垣の整形等に用いられるヘッジトリマが知られている。特許文献1には、上ブレード及び下ブレードが係合された偏心カムと、偏心カムの回転軸となるシャフトとを有するヘッジトリマが開示されている。特許文献1のヘッジトリマでは、カムシャフトは軸受ホルダに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のヘッジトリマでは、ハウジングのリブが軸受ホルダの上面と当接し、軸受ホルダの上面を覆っている。このため、偏心カムの回転に伴いシャフトが発熱する可能性があった。このような発熱を抑制するために出力を抑え偏心カムの回転を抑えると、ヘッジトリマを用いた作業時の利便性が損なわれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様による作業機は、駆動軸を有するモータと、前記駆動軸の駆動力を受けて回転する偏心カムと、前記偏心カムの回転によって往復動する先端工具と、前記偏心カムを回転可能に支持する支持部と、前記駆動軸の駆動力を受けて回転するファンと、前記モータと、前記偏心カムと、前記支持部と、前記ファンと、を支持するハウジングと、を備える。前記支持部は、基部と、前記基部から第1方向の一方側に向かって延びるとともに、前記偏心カムを支持する支持軸と、を有する。前記ハウジングは、吸気口と、排気口と、前記モータの周辺を流れるように前記ファンによって前記吸気口から前記排気口へ空気流が流れる空気通路と、を有する。前記空気通路は、前記モータよりも上流に位置する上流側通路と、前記モータよりも下流に位置する下流側通路と、を含む。前記支持軸は、前記上流側通路と熱交換可能に設けられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、利便性を向上した作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図1のA-A線における作業機の断面図である。
【
図3】
図1のB-B線における作業機の断面図である。
【
図6】ハウジング内の空気通路を説明する図である。
【
図7】ハウジング内の空気通路を説明する図である。
【
図8】変形例における作業機の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照しながら、実施の形態の作業機について説明する。本実施の形態では、作業機の一例としてヘッジトリマ(刈込機)を取り上げて説明する。
【0009】
図1は、実施の形態のヘッジトリマ1の全体構造を示す縦断面図である。
図2は、
図1のA-A線におけるヘッジトリマ1の断面図である。
図3は、
図1のB-B線におけるヘッジトリマ1の断面図である。
【0010】
尚、以後の説明において、
図1,
図2の紙面上部を上方、紙面下部を下方と呼ぶことがある。また、
図1の紙面に向かって右部を前方、紙面に向かって左部を後方と呼ぶことがある。また、
図2の紙面に向かって左部を左方、紙面に向かって右部を右方と呼ぶことがある。さらに、上下方向を第1方向、第1方向と直交する前後方向を第2方向、第1方向及び第2方向と直交する左右方向を第3方向と呼ぶことがある。また、下方を第1方向の一方側と呼び、上方を第1方向の他方側と呼ぶことがある。
【0011】
ヘッジトリマ1は、ハウジング2と、ハウジング2の前面から前方に向かって突出するブレードアッセンブリ3と、電動モータ4と、ファン5と、動力伝達機構6と、支持部7とを有する。
【0012】
<ハウジング2>
ハウジング2は、例えばプラスチック等の樹脂の一体成形により左右分割式に形成される。ハウジング2は、本体部21と、第1ハンドル部22とを有する。第1ハンドル部22は、把持部221と、接続部222とを有する。把持部221は、本体部21の後部に設けられ、前後方向に沿って後方に向かって延びる。把持部221は、作業中に作業者によって把持される。接続部222は、本体部21の後部に設けられ、把持部221の下方側にて、前後方向に沿って後方に向かって延びる。
【0013】
把持部221の前方の端部、すなわち本体部21の近傍にはトリガ100が設けられる。トリガ100は、ばね等によって付勢された状態で、把持部221から下方側に突出している。把持部221の後部には、装着部が設けられ、電池パック101が着脱可能に装着される。
【0014】
本体部21には、電動モータ4と、ファン5と、動力伝達機構6と、支持部7とが収容される。尚、本体部21の構造については、詳細を後述する。本体部21の前方には、第2ハンドル部230と、プロテクタ231とが設けられる。作業者は、一方の手で第1ハンドル部22の把持部221を把持し、他方の手で第2ハンドル部230を把持した状態で、ヘッジトリマ1を使用する。プロテクタ231は、例えば透明な合成樹脂製であり、第2ハンドル部230よりも前方に設けられる。このため、プロテクタ231によって、ヘッジトリマ1を使用して切断された枝葉から第2ハンドル部230を把持する作業者の手が守られる。
【0015】
<本体部21>
図4に示されるハウジング2の外観斜視図も用いて、本体部21について説明する。尚、
図4は、左右分割可能に形成されたハウジング2のうちの一方側(左側)の部材を示している。ハウジング2の他方側(右側)の部材は、左側の部材と中心線に対して対称形状を有する。このため、以下の説明はハウジング2の左側の構造等について主に行われるが、ハウジング2の右側についてもハウジング2の左側に対して行われた説明が適用される。
【0016】
ハウジング2の本体部21の前方側には、左右方向(第3方向)における2つの側面210a,210b(総称する場合には、側面210と呼ぶ)が形成される(
図2参照)。2つの側面210は、上下方向に対して傾斜した傾斜面である。具体的には、側面210aは下方側ほど左側へ向けて突出する傾斜面であり、側面210bは下方側ほど右側へ向けて突出する傾斜面である。換言すると、2つの側面210a,210bは、上下方向(第1方向)の一方側(下方側)において、左右方向(第3方向)に互いに離間する傾斜面である。
【0017】
本体部21には、吸気口211と、排気口212と、仕切り壁213と、当接リブ214とが形成されている。吸気口211は、左右方向(第3方向)における2つの側面210のそれぞれに形成された前後方向に延びるスリット状の開口である。後述するファン5が駆動すると、後述する支持部7や電動モータ4等を冷却させるための空気が吸気口211を介して外部から流入する。
【0018】
排気口212は、吸気口211に対して後方側かつ上方側に形成された前後方向に延びるスリット状の開口である。上述した吸気口211を介してハウジング2の内部に流入した空気は、排気口212を介して外部に流出する。
【0019】
仕切り壁213は、前後方向において吸気口211と排気口212との間に設けられ、上下方向に延びる板状に形成される。仕切り壁213に対して後方側に、後述する電動モータ4とファン5とが配置される。仕切り壁213の下端部は、吸気口211よりも下方側に位置する。仕切り壁213の下端部には、中央部付近に窓部215が形成される。すなわち、窓部215は、左右方向(第3方向)において、2つの側面210の間、例えば左右方向の中心部近傍に配置される。窓部215は、仕切り壁213を前後方向(第2方向)に貫通する貫通孔である。上述した吸気口211から流入した空気は、窓部215を通過して仕切り壁213の後方側へ流れる。
【0020】
当接リブ214は、仕切り壁213の下端部と接続し、前方に向けて延びる板状に形成される。このため、当接リブ214は、吸気口211よりも下方に形成される。当接リブ214に対して上方側には電動モータ4とファン5とが配置され、下方側には後述する動力伝達機構6と支持部7とが配置される。尚、上述したようにハウジング2は樹脂の一体成形により形成されていることから、当接リブ214も樹脂製である。
【0021】
当接リブ214には、第1貫通孔216と第2貫通孔217とが形成される。第1貫通孔216は、仕切り壁213に対して前方側に形成され、当接リブ214を上下方向に貫通する。具体的には、第1貫通孔216は、前後方向(第2方向)において、吸気口211が形成される位置と重なる位置に形成される。第1貫通孔216は、左右方向(第3方向)において、2つの側面210の間に形成される。より具体的には、第1貫通孔216は、左右方向において当接リブ214の中央部近傍に形成される。第1貫通孔216には、後述する支持部7が有する支持軸701が配置される。
【0022】
第2貫通孔217は、仕切り壁213に対して後方側に形成され、当接リブ214を上下方向に貫通する。具体的には、第2貫通孔217は、後述する電動モータ4の下方に形成される。第2貫通孔217には、後述する電動モータ4の駆動軸40に設けられたピニオン600が挿通される。
【0023】
<電動モータ4>
モータの一例である電動モータ4は、本体部21内に収容されてハウジング2に支持される。具体的には、電動モータ4は、上述した仕切り壁213の後方、かつ、当接リブ214の上方に配置される。電動モータ4は、例えばロータ41と、ステータ42と、カーボンブラシ43とを有するケーシングモータである。ロータ41には駆動軸40が固定される。駆動軸40は、上下方向(第1方向)を軸方向として配置されている。駆動軸40の下側の先端部分には、後述する動力伝達機構6が有するピニオン600が設けられる。電動モータ4は、作業者によるトリガ100の操作に応じて電池パック101から電力の供給を受けると回転する。この電動モータ4の回転に応じて、駆動軸40も回転駆動する。この駆動軸40の回転によって、ピニオン600も回転駆動する。尚、電動モータ4はブラシレスモータであってもよい。
【0024】
<ファン5>
ファン5は、上記のロータ41よりも上方に位置するように駆動軸40に設けられてハウジング2に支持される。ファン5は、複数の羽根を有し、電動モータ4が回転すると、駆動軸40の駆動力を受けて回転駆動する。ファン5が回転することにより、ハウジング2の吸気口211を介して、ヘッジトリマ1の外部からの空気がハウジング2の内部に流入する。
【0025】
<ブレードアッセンブリ3>
ブレードアッセンブリ3は、先端工具である一対のブレード、すなわち上ブレード301及び下ブレード302と、ブレードホルダ303と、ガイドバー304とを有する。ブレードホルダ303とガイドバー304とは、複数のボルトとナットとによって固定されている。ブレードホルダ303は、後方側にてボルト305,306によってハウジング2に固定される。これにより、ブレードアッセンブリ3がハウジング2に固定される。
【0026】
上ブレード301と下ブレード302とは、上下方向にて互いに重ね合わされて配置される。上ブレード301と下ブレード302とは、後述する動力伝達機構6を介して電動モータ4の駆動力が伝達されると、互いに逆位相にて前後方向に直線往復移動(往復動)する。すなわち、上ブレード301がハウジング2から離間する方向(前方)に前進移動するとき、下ブレード302はハウジング2に近接する方向(後方)に後退移動する。また、上ブレード301がハウジング2に近接する方向に後退移動するとき、下ブレード302は、ハウジング2から離間する方向に前進移動する。
【0027】
<動力伝達機構6>
動力伝達機構6は、当接リブ214に対して下方側に配置される。動力伝達機構6は、ピニオン600と、ギヤ601と、偏心カム602とを有する。ピニオン600は、上下方向に伸び、上述したように、駆動軸40の下方の先端部に設けられている。ギヤ601は、後述する支持部7が有する支持軸701を回転軸として回転可能に設けられる。ギヤ601は、外周側に沿って歯部が形成された歯車であり、ピニオン600と歯合する。このため、電動モータ4の回転により駆動軸40が回転すると、駆動軸40の回転に応じてピニオン600と歯合するギヤ601が支持軸701を回転中心として回転する。
【0028】
偏心カム602は、支持軸701を回転中心として、ギヤ601と一体に回転可能に設けられてハウジング2に支持される。このため、偏心カム602は、電動モータ4の回転に応じて駆動軸40の駆動力を受けると、ギヤ601とともに回転する。偏心カム602は、第1偏心部602aと第2偏心部602bとを有する。第1偏心部602aは、偏心カム602の上側に設けられ、回転中心である支持軸701からは所定の距離だけ離れた位置を中心点とする円板状に形成される。第2偏心部602bは、偏心カム602の下側に設けられ、支持軸701から所定の距離離れた位置を中心点とする円板状に形成される。第1偏心部602aの中心点と第2偏心部602bの中心点とは、回転中心である支持軸701を基準として180°隔てた位置に配置される。このため、第1偏心部602aと第2偏心部602bとは、偏心カム602が回転した場合には、回転の位相が互いに180°異なる位置関係となる。
【0029】
偏心カム602には、上述した上ブレード301と下ブレード302とが接続される。具体的には、上ブレード301は第1偏心部602aと係合するように配置され、下ブレード302は第2偏心部602bと係合するように配置される。このため、偏心カム602が回転すると、回転の位相が180°異なる第1偏心部602aと第2偏心部602bとに係合された上ブレード301の往復動と下ブレード302の往復動とは、位相が180°異なることとなる。
【0030】
<支持部7>
支持部7は、当接リブ214の下方に配置されてハウジング2により支持される。支持部7は、上述した偏心カム602を回転可能に支持する。支持部7は、基部700と支持軸701とを有する。
【0031】
図5は支持部7の構造を説明する斜視図であり、
図5(A)は基部700の外観斜視図、
図5(B)はハウジング2とハウジング2に取り付けられた支持部7との斜視図である。基部700は、上下方向と直交する面を有する板状に形成される。
図1,
図5(B)に示されるように、基部700は、基部700の上方(第1方向の他方側)の面が当接リブ214の下方(第1方向の一方側)の面と当接する。
【0032】
基部700には、第1開口702と第2開口703とが形成される。第1開口702及び第2開口703は、基部700を上下方向に貫通する開口である。第1開口702は、支持部7がハウジング2に配置されると、当接リブ214に形成された第1貫通孔216の下方に位置するように形成される。第1開口702には、後述する支持軸701が、例えば圧入等により嵌め込まれる。
【0033】
第2開口703は、支持部7がハウジング2に配置されると、当接リブ214に形成された第2貫通孔217の下方に位置するように形成される。第2開口703には、上述した動力伝達機構6のピニオン600が挿入される。ピニオン600は軸受等を介して回転可能に軸支される。
【0034】
上述したように、第1貫通孔216は仕切り壁213の前方側に形成され、第2貫通孔217は仕切り壁213の後方側に形成されることから、第1開口702と第2開口703とは、前後方向(第2方向)において異なる位置に配置されている。第1開口702と第2開口703とは、上述したように、基部700上の前後方向において異なる位置に形成され、第1開口702に支持軸701が配置され、第2開口703にピニオン600が配置される。ピニオン600及びファン5のそれぞれは、上下方向に延びる駆動軸40に配置される。このため、支持軸701とファン5とは、前後方向(第2方向)において異なる位置に配置される。または、支持軸701とファン5とは、前後方向(第2方向)において、仕切り壁213によって仕切られている、と言うこともできる。
【0035】
また、第1開口702は当接リブ214の第1貫通孔216の下方に位置し、左右方向において第1貫通孔216は2つの側面210の間に形成される。これにより、支持軸701は左右方向(第3方向)において2つの側面210の間に配置される、と言うことができる。
【0036】
支持軸701は、金属製であり、上下方向に延びるロッド状に形成される。支持軸701の上端部は、基部700に形成された第1開口702に嵌め込まれ固定される。このため、支持軸701は、基部700から下方(第1方向の一方側)に向かって伸びており、回転駆動を行わない。当接リブ214が吸気口211の下方に設けられ、支持部7が当接リブ214よりも下方に配置されることから、支持軸701は、吸気口211よりも下方(第1方向の一方側)に配置される、と言うことができる。支持軸701の下方には、上述したように、偏心カム602が回転可能に設けられている。すなわち、支持軸701は、偏心カム602を回転可能に支持する、と言うことができる。換言すると、偏心カム602は支持軸701に対して相対回転可能である。
【0037】
<ヘッジトリマ1の動作>
作業者が、把持部221から下方側に突出するトリガ100を操作すると、トリガスイッチがオンとなる。トリガスイッチがオンとなると、電池パック101から電動モータ4に電力が供給される。これにより、電動モータ4が回転駆動を行い、駆動軸40及び動力伝達機構6を介して、駆動力がブレードアッセンブリ3に伝達される。これにより、上ブレード301と下ブレード302とが、前後方向に沿って往復動する。
【0038】
また、電動モータ4の回転駆動によって回転する駆動軸40の駆動力を受けて、ファン5が回転する。ファン5が回転することにより、空気が吸気口211を介して外部からハウジング2の内部に流入する。以下、ハウジング2の内部における空気流について説明する。
【0039】
<ハウジング2内部の空気流>
図6,
図7は、ハウジング2内の空気の流路(空気通路)を示す図である。
図6(A)は
図2の破線で囲まれた領域Cを拡大して示す図であり、
図6(B)は
図3の一点鎖線で囲まれた領域Dを拡大して示す図であり、
図7は
図5(B)の二点鎖線で囲まれた領域Eを拡大して示す図である。
【0040】
ファン5が回転すると、
図6(A)に示される矢印AR0に沿って、吸気口211から空気がハウジング2内に流入する。上述したように、2つの側面210は傾斜面であり、側面210a,210bは、上方側ほど左右方向において互いに近接し、下方側ほど左右方向において互いに離間している。このため、側面210の肉厚が均一の場合、吸気口211の上部壁面211aのハウジング2における内壁側の端部211cは、下部壁面211bのハウジング2における内壁側の端部211dよりもハウジング2の内側に位置する。したがって、吸気口211を通過した空気は、端部211cによって上方に流れることが規制され、矢印AR1に示されるように下方に向かって流れる。
【0041】
ハウジング2内に流入した空気は、当接リブ214が支持部7に含まれる基部700の上方の面と当接しているため、ハウジング2内の当接リブ214よりも下方には流れない。また、仕切り壁213の下方側の端部において、左右方向の中央部近傍には、仕切り壁213を貫通する窓部215が形成されている。このため、左右の側面210から流入した空気は、
図6(A),(B)において矢印AR2に示されるように、ハウジング2内にて中央部近傍の下方に集まり、後方に向かって流れる。そして、空気は、窓部215を通過して仕切り壁213の後方、すなわち電動モータ4の下方に向けて流れる。その後、
図7において矢印AR3に示されるように、空気は、上方に向けて流れる。尚、
図7では図示を省略したが、
図1に示されるように、ハウジング2の内部には電動モータ4が収容されているため、空気はロータ41とステータ42との間など電動モータ4の周辺に設けられる隙間を通って矢印AR3に沿って流れる。そして、空気は、同じく
図7では図示を省略したファン5を通過した後、矢印AR4に沿って左右方向に流れ、排気口212からハウジング2の外部に流出する。
【0042】
上記のような空気流が形成されることから、ファン5によって吸気口211から排気口212へ矢印AR1,AR2,AR3に沿って空気流が流れる流路(通路)である空気通路250がハウジング2に形成される、と言うことができる。そして、この空気通路250のうち、電動モータ4よりも上流、すなわち矢印AR1,AR2により示される吸気口211側に位置する通路を上流側通路251と呼び、電動モータ4よりも下流、すなわち矢印AR3により示される排気口212側に位置する通路を下流側通路252と呼ぶ。この空気通路250を空気が流れることにより、ハウジング2内部の各構成が冷却される。
【0043】
<ハウジング2内の冷却>
上述したように、支持部7の支持軸701はギヤ601及び偏心カム602の回転軸であるが、支持軸701自身は基部700に固定されているため回転しない。この支持軸701は、ギヤ601及び偏心カム602の回転によって発熱する。発熱した支持軸701は、空気通路250の上流側通路251を流れる空気によって冷却される。すなわち、支持軸701は、上流側通路251と熱交換可能に設けられている。より特定的には、支持軸701は、上流側通路251を流れる空気と熱交換可能に設けられている。
【0044】
具体的には、支持軸701の上部は、上述したように、当接リブ214の第1貫通孔216の下方に位置する基部700の第1開口702に嵌め込まれている。換言すると、支持軸701は、上下方向視において、第1貫通孔216の壁面によって囲まれる範囲内に配置されている。当接リブ214に形成された第1貫通孔216は当接リブ214を上下方向に貫通しているので、第1貫通孔216が支持軸701と上流側通路251とを連通している、と言うこともできる。すなわち、支持軸701は、上流側通路251に露出していることになる。より具体的には、当接リブ214は、基部700の上方の面と当接して、上流側通路251と支持部7とを仕切っていることから、支持軸701の上部のみが上流側通路251に露出している。
【0045】
特に、当接リブ214の第1貫通孔216は、上述したように、前後方向において、吸気口211が形成される位置と重なる位置に形成される。換言すると、支持軸701は、前後方向(第2方向)において、吸気口211が形成される位置と重なる位置に配置される。支持軸701の上部が吸気口211の近傍にて上流側通路251に露出していることにより、矢印AR1に示されるように流入し、暖められていない空気によって、支持軸701の上部が冷却される。また、支持軸701が金属製であり熱伝導性に優れていることから、上下方向に沿って延びる支持軸701の下方まで冷却することが可能となる。さらに、支持軸701が冷却されることにより、支持軸701によって支持される偏心カム602を含む動力伝達機構6を冷却することも可能となる。
【0046】
また、電池パック101から供給された電力によって回転駆動する電動モータ4は、下流側通路252を矢印AR3に沿って流れる空気によって冷却される。
【0047】
以上で説明した実施の形態によれば、以下の作用効果の少なくとも一つが得られる。
【0048】
(1)ヘッジトリマ1は、電動モータ4と、偏心カム602と、先端工具である上ブレード301及び下ブレード302と、支持部7と、ファン5と、ハウジング2と、を備えている。支持部7は、基部700と、基部700から第1方向の一方側(下方)に向かって延びるとともに偏心カム602を支持する支持軸701と、を有する。ハウジング2は、吸気口211と、排気口212と、電動モータ4の周辺を流れるようにファン5によって吸気口211から排気口212へ空気流が流れる空気通路250と、を有する。空気通路250は、電動モータ4よりも上流に位置する上流側通路251と、電動モータ4よりも下流に位置する下流側通路252と、を含み、支持軸701は上流側通路251と熱交換可能に設けられる。これにより、上流側通路251を流れる空気により支持軸701を冷却することができるので、偏心カム602の回転に伴う支持軸701の発熱が抑制される。このため、支持軸701が発熱により高温となることを抑えるために電動モータ4の出力を抑制し、偏心カム602の回転を制限する必要が無いので、ヘッジトリマ1を用いた作業時の利便性向上に寄与することができる。
【0049】
(2)支持軸701は上流側通路251に露出している。これにより、吸気口211から流入し、暖められていない空気によって、支持軸701が冷却されるので、高い冷却効率が得られる。
【0050】
(3)吸気口211は、第2方向(前後方向)における位置が支持軸701と重なる位置に配置され、かつ、第3方向(左右方向)におけるハウジング2の2つの側面210に配置される。支持軸701及び仕切り壁213に形成される窓部215は、第3方向(左右方向)において、2つの側面210の間に配置される。このため、左右方向の異なる位置に設けられた2つの側面210a,210bから流入した空気が支持軸701の近傍に集まることになるため、支持軸701の近傍を流れる空気の量が多くなり、支持軸701を効率よく冷却することが可能となる。
【0051】
(4)支持軸701は、吸気口211よりも第1方向の一方側(下方側)に配置され、2つの側面210は、第1方向の一方側(下方側)において、第3方向(左右方向)に互いに離間する傾斜面である。このため、上述したように、吸気口211の上部壁面211aの端部211cは、下部壁面211bの端部211dよりもハウジング2の内側に位置する。したがって、吸気口211を通過した空気は、端部211cによって上方に流れることが規制され、矢印AR1に示されるように下方に向かって流れる。これにより、吸気口211よりも下方に位置する支持軸701へ向けて空気が流れることとなるので、支持軸701を効率よく冷却することができる。
【0052】
(5)基部700における第1方向の他方側(上方側)の面と当接して上流側通路251と支持部7とを仕切る当接リブ214は、第1方向(上下方向)に貫通して、支持軸701と上流側通路251とを連通する第1貫通孔216を有する。これにより、支持軸701が上流側通路251に露出するので、支持軸701の上部が空気により冷却される。
【0053】
(6)支持軸701は、第1方向視(上下方向視)において、第1貫通孔216の壁面によって囲まれる範囲内に配置される。これにより、支持軸701の上部を上流側通路251に露出させて、支持軸701を冷却させることが可能となる。
【0054】
(7)偏心カム602は支持軸701に対して相対回転可能であり、支持軸701は金属製であり、当接リブ214は樹脂製である。このため、当接リブ214と比べて伝熱特性が高い支持軸701を空気通路250を流れる空気流によって冷却することができる。
【0055】
上述した実施の形態を次のように変形することができる。
【0056】
<変形例>
図8は、変形例におけるヘッジトリマ1の全体構造を示す縦断面図である。尚、以下の説明においては、実施の形態のヘッジトリマ1と同一の構成については同一の符号を付与し、説明を省略する。変形例のヘッジトリマ1は、伝熱特性が高いアルミニウム、鉄、銅等の金属により形成された放熱・伝熱部としてのヒートシンク300を有する。ヒートシンク300は、当接リブ214の第1貫通孔216に設けられる。ヒートシンク300の下面は、当接リブ214の下方に配置される支持部7の第1開口702に嵌め込まれた支持軸701の上方の面と当接する。このため、吸気口211を介して流入した空気がヒートシンク300を介して支持軸701を冷却することができるので、上述した実施の形態により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0057】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。例えば、ファン5をロータ41よりも下方に配置し、ファン5の左右側方に排気口を追加する構成としてもよい。この場合、ファン5により放出された空気が吸気口211へ逆流することを規制する規制壁が設けられ、吸気口211から矢印AR1及びAR2に沿って流れ支持軸701を冷却しながらファン5へ向かう空気通路と、排気口212から矢印AR4及びAR3と逆方向に流れて電動モータ4を冷却しながらファン5へ向かう空気通路と、を独立させる。これにより、上述した実施の形態や変形例と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0058】
1 ヘッジトリマ、2 ハウジング、3 ブレードアッセンブリ、4 電動モータ、5 ファン、6 動力伝達機構、7 支持部、21 本体部、22 第1ハンドル部、40 駆動軸、100 トリガ、101 電池パック、210,210a,210b 側面、211 吸気口、211a 上部壁面、211b 下部壁面、211c,211d 端部、212 排気口、213 仕切り壁、214 当接リブ、215 窓部、216 第1貫通孔、217 第2貫通孔、221 把持部、222 接続部、250 空気通路、251 上流側通路、252 下流側通路、300 ヒートシンク、301 上ブレード、302 下ブレード、600 ピニオン、601 ギヤ、602 偏心カム、602a 第1偏心部、602b 第2偏心部、700 基部、701 支持軸、702 第1開口、703 第2開口