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特開2024-100125船外機駆動用通信システム、船舶および推進機駆動用通信システム
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  • 特開-船外機駆動用通信システム、船舶および推進機駆動用通信システム 図1
  • 特開-船外機駆動用通信システム、船舶および推進機駆動用通信システム 図2
  • 特開-船外機駆動用通信システム、船舶および推進機駆動用通信システム 図3
  • 特開-船外機駆動用通信システム、船舶および推進機駆動用通信システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100125
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】船外機駆動用通信システム、船舶および推進機駆動用通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20240719BHJP
   B63H 20/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H04L25/02 F
B63H20/00 803
H04L25/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003874
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】野上 竜彦
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029DD24
5K029JJ08
(57)【要約】
【課題】使用されない終端抵抗が発生することを回避することが可能な船外機駆動用通信システムを提供する。
【解決手段】この船外機駆動用通信システム102は、各線の電圧差を利用してデータを送信する2つの信号線30を含み、船外機1との通信を行うためのメインバスライン3と、船体101内でメインバスライン3の一方端部3aに配置される船体内操船制御部102aと、船体内操船制御部102aに設けられ、2つの信号線30を電気的に接続する第1終端抵抗2aと、メインバスライン3の他方端部3bに設けられ、2つの信号線30を電気的に接続する第2終端抵抗2bと、を備え、メインバスライン3は、第1終端抵抗2a側から船外機1内を経由して、Uターンすることにより、船体101内に配置された第2終端抵抗2bに接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各線の電圧差を利用してデータを送信する2つの信号線を含み、船外機との通信を行うためのメインバスラインと、
船体内で前記メインバスラインの一方端部に配置される船体内操船制御部と、
前記船体内操船制御部に設けられ、前記2つの信号線を電気的に接続する第1終端抵抗と、
前記メインバスラインの他方端部に設けられ、前記2つの信号線を電気的に接続する第2終端抵抗と、を備え、
前記メインバスラインは、前記第1終端抵抗側から前記船外機内を経由して、Uターンすることにより、前記船体内に配置された前記第2終端抵抗に接続されている、船外機駆動用通信システム。
【請求項2】
前記船外機の駆動を制御する船外機内制御部と、
前記船外機内制御部に接続されるスタブラインとをさらに備え、
前記メインバスラインは、前記船体外でUターンする折り返し部分であり、かつ、前記スタブラインを介して前記船外機内制御部に接続されるUターンライン部を含む、請求項1に記載の船外機駆動用通信システム。
【請求項3】
前記メインバスラインは、前記船体内の前記第1終端抵抗に接続される一端側ライン部と、前記船体内の前記第2終端抵抗に接続される他端側ライン部とを含み、前記船体外でUターンする前記Uターンライン部により、前記一端側ライン部と前記他端側ライン部とを接続するように構成され、
前記Uターンライン部と、前記一端側ライン部および前記他端側ライン部とは、互いに脱着可能に構成されている、請求項2に記載の船外機駆動用通信システム。
【請求項4】
前記船外機は、前記船外機内制御部としての第1船外機内制御部を含む第1船外機と、前記船外機内制御部としての第2船外機内制御部を含む第2船外機とを含み、
前記スタブラインは、前記メインバスラインと前記第1船外機内制御部とを接続する第1スタブラインと、前記メインバスラインと前記第2船外機内制御部とを接続する第2スタブラインとを含み、
前記Uターンライン部は、前記第1スタブラインを介して前記第1船外機内制御部に接続され、かつ、前記一端側ライン部に接続される第1Uターンライン部分と、前記第2スタブラインを介して前記第2船外機内制御部に接続され、かつ、前記他端側ライン部に接続される第2Uターンライン部分とを含み、
前記メインバスラインは、前記第1Uターンライン部分および前記第2Uターンライン部分を接続する接続ライン部をさらに含む、請求項3に記載の船外機駆動用通信システム。
【請求項5】
前記第1船外機内には、前記第1Uターンライン部分と、前記第1スタブラインとが設けられ、
前記第2船外機内には、前記第2Uターンライン部分と、前記第2スタブラインとが設けられている、請求項4に記載の船外機駆動用通信システム。
【請求項6】
各々が前記メインバスラインの一部を構成する前記第1Uターンライン部分および前記第2Uターンライン部分は、互いに同一の構成を有している、請求項4に記載の船外機駆動用通信システム。
【請求項7】
前記Uターンライン部と前記一端側ライン部および前記他端側ライン部とを、脱着可能に接続する第1コネクタをさらに備える、請求項3に記載の船外機駆動用通信システム。
【請求項8】
前記第1コネクタは、前記船外機に一体的に設けられている、請求項7に記載の船外機駆動用通信システム。
【請求項9】
前記一端側ライン部は、前記第1終端抵抗側に設けられる第1ライン部分と、前記第1コネクタ側に設けられる第2ライン部分とを含み、
前記第1ライン部分と前記第2ライン部分とを、前記船体内において脱着可能に接続する第2コネクタをさらに備える、請求項7に記載の船外機駆動用通信システム。
【請求項10】
前記メインバスラインの前記2つの信号線は、データの送信時に高電圧となるハイバスラインと低電圧となるローバスラインとを有し、
前記メインバスラインは、前記ハイバスラインと前記ローバスラインとの電圧差によりデータを送信するように構成されたCAN通信規格のバスラインである、請求項1に記載の船外機駆動用通信システム。
【請求項11】
前記メインバスラインを構成する前記ハイバスラインおよび前記ローバスラインは、互いにツイストされた状態で、前記第1終端抵抗と前記第2終端抵抗とを接続している、請求項10に記載の船外機駆動用通信システム。
【請求項12】
船体と、
前記船体に設けられる船外機を含み、前記船体に搭載される船外機駆動用通信システムと、を備え、
前記船外機駆動用通信システムは、
各線の電圧差を利用してデータを送信する2つの信号線を有し、前記船外機との通信を行うためのメインバスラインと、
船体内で前記メインバスラインの一方端部に配置される船体内操船制御部と、
前記船体内操船制御部に設けられ、前記2つの信号線を電気的に接続する第1終端抵抗と、
前記メインバスラインの他方端部に設けられ、前記2つの信号線を電気的に接続する第2終端抵抗と、を含み、
前記メインバスラインは、前記第1終端抵抗側から前記船外機内を経由して、Uターンすることにより、前記船体内に配置された前記第2終端抵抗に接続されている、船舶。
【請求項13】
前記船外機は、前記船外機の駆動を制御する船外機内制御部を有し、
前記船外機駆動用通信システムは、前記船外機内制御部に接続されるスタブラインをさらに含み、
前記メインバスラインは、前記船体外でUターンする折り返し部分であり、かつ、前記スタブラインを介して前記船外機内制御部に接続されるUターンライン部を有する、請求項12に記載の船舶。
【請求項14】
前記メインバスラインは、前記船体内の前記第1終端抵抗に接続される一端側ライン部と、前記船体内の前記第2終端抵抗に接続される他端側ライン部とを有し、前記船体外でUターンする前記Uターンライン部により、前記一端側ライン部と前記他端側ライン部とを接続するように構成され、
前記Uターンライン部と、前記一端側ライン部および前記他端側ライン部とは、互いに脱着可能に構成されている、請求項13に記載の船舶。
【請求項15】
前記船外機は、前記船外機内制御部としての第1船外機内制御部を含む第1船外機と、前記船外機内制御部としての第2船外機内制御部を含む第2船外機とを有し、
前記スタブラインは、前記メインバスラインと前記第1船外機内制御部とを接続する第1スタブラインと、前記メインバスラインと前記第2船外機内制御部とを接続する第2スタブラインと、を有し、
前記Uターンライン部は、前記第1スタブラインを介して前記第1船外機内制御部に接続され、かつ、前記一端側ライン部に接続される第1Uターンライン部分と、前記第2スタブラインを介して前記第2船外機内制御部に接続され、かつ、前記他端側ライン部に接続される第2Uターンライン部分とを有し
前記メインバスラインは、前記第1Uターンライン部分および前記第2Uターンライン部分を接続する接続ライン部をさらに有する、請求項14に記載の船舶。
【請求項16】
前記第1船外機内には、前記第1Uターンライン部分と、前記第1スタブラインとが設けられ、
前記第2船外機内には、前記第2Uターンライン部分と、前記第2スタブラインとが設けられている、請求項15に記載の船舶。
【請求項17】
各々が前記メインバスラインの一部を構成する前記第1Uターンライン部分および前記第2Uターンライン部分は、互いに同一の構成を有している、請求項15に記載の船舶。
【請求項18】
前記船外機駆動用通信システムは、前記Uターンライン部と前記一端側ライン部および前記他端側ライン部とを、脱着可能に接続するコネクタをさらに含む、請求項14に記載の船舶。
【請求項19】
前記コネクタは、前記船外機に一体的に設けられている、請求項18に記載の船舶。
【請求項20】
各線の電圧差を利用してデータを送信する2つの信号線を含み、船舶推進機との通信を行うためのメインバスラインと、
船体内で前記メインバスラインの一方端部に配置される船体内操船制御部と、
前記船体内操船制御部に設けられ、前記2つの信号線を電気的に接続する第1終端抵抗と、
前記メインバスラインの他方端部に設けられ、前記2つの信号線を電気的に接続する第2終端抵抗と、を備え、
前記メインバスラインは、前記第1終端抵抗側から前記船舶推進機内を経由して、Uターンすることにより、前記船体内に配置された前記第2終端抵抗に接続されている、推進機駆動用通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船外機駆動用通信システム、船舶および推進機駆動用通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各線の電圧差を利用して、船体内の船体内操船制御部と船外機との間でデータを送信する2つの信号線を含むバスラインを備える船外機駆動用通信システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ハイレベル信号線とローレベル信号線とを含むCANケーブルを備える船舶の船外機操作システムが開示されている。上記船外機操作システムは、1つの船外機と、船体内のリモコンECUとをさらに備え、CANケーブルを介して、船外機とリモコンECUとの間でデータを送信するように構成されている。CANケーブルの一方端部は船体内に配置されており、一方端部には反射波であるノイズを低減する終端抵抗が設けられている。CANケーブルの他方端部は船外機内に配置されており、他方端部には反射波であるノイズを低減する終端抵抗が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-309294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には明記されていないが、上記特許文献1に記載されている船外機操作システムの分野では、上記のような終端抵抗を有する船外機を用いて、多機掛けの船外機を操作するシステムを構成する場合がある。この場合、複数の船外機をCANケーブルで接続した上で、複数の船外機の終端抵抗のうちの1つのみが機能するように配線する必要がある。この場合、船外機内に配置された終端抵抗の中には使用されない(無駄な)終端抵抗が発生するため、改善が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、使用されない終端抵抗が発生することを回避することが可能な船外機駆動用通信システム、船舶および推進機駆動用通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による船外機駆動用通信システムは、各線の電圧差を利用してデータを送信する2つの信号線を含み、船外機との通信を行うためのメインバスラインと、船体内でメインバスラインの一方端部に配置される船体内操船制御部と、船体内操船制御部に設けられ、2つの信号線を電気的に接続する第1終端抵抗と、メインバスラインの他方端部に設けられ、2つの信号線を電気的に接続する第2終端抵抗と、を備え、メインバスラインは、第1終端抵抗側から船外機内を経由して、Uターンすることにより、船体内に配置された第2終端抵抗に接続されている。
【0008】
上記第1の局面による船外機駆動用通信システムでは、上記のように、船体内操船制御部に設けられ、2つの信号線を電気的に接続する第1終端抵抗と、メインバスラインの他方端部に設けられ、2つの信号線を電気的に接続する第2終端抵抗と、を備え、メインバスラインを、第1終端抵抗側から船外機内を経由して、Uターンすることにより、船体内に配置された第2終端抵抗に接続する。これによって、メインバスラインのUターンにより、メインバスラインを、船外機内を経由させた上でメインバスラインの両端が船体内に位置するように船体内に戻すことができる。このため、2つの終端抵抗である第1終端抵抗および第2終端抵抗を船体内に配置して、船外機内から終端抵抗を取り除くことができる。したがって、従来のような船外機の数に応じて終端抵抗の数が変動することがなくなり、通信システム内の終端抵抗の数を最小限に抑えることができる。その結果、使用されない終端抵抗が発生することを回避することができる。
【0009】
上記第1の局面による船外機駆動用通信システムでは、好ましくは、船外機の駆動を制御する船外機内制御部と、船外機内制御部に接続されるスタブラインとをさらに備え、メインバスラインは、船体外でUターンする折り返し部分であり、かつ、スタブラインを介して船外機内制御部に接続されるUターンライン部を含む。このように構成すれば、スタブラインおよびUターンライン部により、船体内操船制御部と船外機内制御部との通信を容易に確保することができるとともに、メインバスラインを船外機内から船体内に容易に戻すことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、メインバスラインは、船体内の第1終端抵抗に接続される一端側ライン部と、船体内の第2終端抵抗に接続される他端側ライン部とを含み、船体外でUターンするUターンライン部により、一端側ライン部と他端側ライン部とを接続するように構成され、Uターンライン部と、一端側ライン部および他端側ライン部とは、互いに脱着可能に構成されている。このように構成すれば、Uターンライン部と一端側ライン部および他端側ライン部とが互いに脱着可能であるので、容易に配線同士の接続を行うことができる。
【0011】
上記Uターンライン部により一端側ライン部と他端側ライン部とを接続する構成において、好ましくは、船外機は、船外機内制御部としての第1船外機内制御部を含む第1船外機と、船外機内制御部としての第2船外機内制御部を含む第2船外機とを含み、スタブラインは、メインバスラインと第1船外機内制御部とを接続する第1スタブラインと、メインバスラインと第2船外機内制御部とを接続する第2スタブラインとを含み、Uターンライン部は、第1スタブラインを介して第1船外機内制御部に接続され、かつ、一端側ライン部に接続される第1Uターンライン部分と、第2スタブラインを介して第2船外機内制御部に接続され、かつ、他端側ライン部に接続される第2Uターンライン部分とを含み、メインバスラインは、第1Uターンライン部分および第2Uターンライン部分を接続する接続ライン部をさらに含む。このように構成すれば、第1スタブライン、第2スタブライン、第1Uターンライン部分および第2Uターンライン部分により、船体内操船制御部と第1船外機内制御部と第2船外機内制御部との通信を容易に確保することができるとともに、メインバスラインを船外機内から船体内に容易に戻すことができる。
【0012】
上記スタブラインが第1スタブラインと第2スタブラインとを含み、Uターンライン部が第1Uターンライン部分と第2Uターンライン部分とを含む構成において、好ましくは、第1船外機内には、第1Uターンライン部分と、第1スタブラインとが設けられ、第2船外機内には、第2Uターンライン部分と、第2スタブラインとが設けられている。このように構成すれば、第1船外機内に第1Uターンライン部分および第1スタブラインを収容することができるとともに、第2船外機内に第2Uターンライン部分および第2スタブラインを収容することができるので、船外機の外部において配線が複雑化するのを抑制することができる。
【0013】
上記スタブラインが第1スタブラインと第2スタブラインとを含み、Uターンライン部が第1Uターンライン部分と第2Uターンライン部分とを含む構成において、好ましくは、各々がメインバスラインの一部を構成する第1Uターンライン部分および第2Uターンライン部分は、互いに同一の構成を有している。このように構成すれば、第1船外機側の第1Uターンライン部分と、第2船外機側の第2Uターンライン部分とが互いに同一の構成を備えるので、第1船外機および第1Uターンライン部分と、第2船外機および第2Uターンライン部分との配置が入れ替わったとしても、船体内操船制御部と第1船外機内制御部と第2船外機内制御部とを通信可能に接続することができる。
【0014】
上記Uターンライン部により一端側ライン部と他端側ライン部とを接続する構成において、好ましくは、Uターンライン部と一端側ライン部および他端側ライン部とを、脱着可能に接続する第1コネクタをさらに備える。このように構成すれば、第1コネクタにより、Uターンライン部と一端側ライン部との接続を容易に行うことができる。
【0015】
この場合、好ましくは、第1コネクタは、船外機に一体的に設けられている。このように構成すれば、システム内における分割可能な部品点数を削減して、システム構成を簡素化することができる。
【0016】
上記第1コネクタを備える構成において、好ましくは、一端側ライン部は、第1終端抵抗側に設けられる第1ライン部分と、第1コネクタ側に設けられる第2ライン部分とを含み、第1ライン部分と第2ライン部分とを、船体内において脱着可能に接続する第2コネクタをさらに備える。このように構成すれば、一端側ライン部を、第1ライン部分と第2ライン部分との2つに分割して短くすることができるので、一端側ライン部を絡まらせることなく容易に配線することができる。また、第2コネクタにより、第1ライン部分と第2ライン部分との接続を容易に行うことができる。
【0017】
上記第1の局面による船外機駆動用通信システムでは、好ましくは、メインバスラインの2つの信号線は、データの送信時に高電圧となるハイバスラインと低電圧となるローバスラインとを有し、メインバスラインは、ハイバスラインとローバスラインとの電圧差によりデータを送信するように構成されたCAN通信規格のバスラインである。このように構成すれば、CAN通信規格の船外機駆動用通信システムにおいて、使用されない終端抵抗が発生することを回避することができる。
【0018】
この場合、好ましくは、メインバスラインを構成するハイバスラインおよびローバスラインは、互いにツイストされた(より合わされた)状態で、第1終端抵抗と第2終端抵抗とを接続している。このように構成すれば、ハイバスラインとローバスラインとを、いわゆるツイストケーブルとして構成することができるので、データ送信時のノイズを低減することができる。
【0019】
この発明の第2の局面による船舶は、船体と、船体に設けられる船外機を含み、船体に搭載される船外機駆動用通信システムと、を備え、船外機駆動用通信システムは、各線の電圧差を利用してデータを送信する2つの信号線を有し、船外機との通信を行うためのメインバスラインと、船体内でメインバスラインの一方端部に配置される船体内操船制御部と、船体内操船制御部に設けられ、2つの信号線を電気的に接続する第1終端抵抗と、メインバスラインの他方端部に設けられ、2つの信号線を電気的に接続する第2終端抵抗と、を含み、メインバスラインは、第1終端抵抗側から船外機内を経由して、Uターンすることにより、船体内に配置された第2終端抵抗に接続されている。
【0020】
上記第2の局面による船舶では、上記のように、船体内の船体内操船制御部に設けられ、2つの信号線を電気的に接続する第1終端抵抗と、メインバスラインの他方端部に設けられ、2つの信号線を電気的に接続する第2終端抵抗と、を備え、メインバスラインを、第1終端抵抗側から船外機内を経由して、Uターンすることにより、船体内に配置された第2終端抵抗に接続する。これによって、メインバスラインのUターンにより、メインバスラインを、船外機内を経由させた上でメインバスラインの両端が船体内に位置するように船体内に戻すことができる。このため、2つの終端抵抗である第1終端抵抗および第2終端抵抗を船体内に配置して、船外機内から終端抵抗を取り除くことができる。したがって、従来のような船外機の数に応じて終端抵抗の数が変動することがなくなり、通信システム内の終端抵抗の数を最小限に抑えることができる。その結果、使用されない終端抵抗が発生することを回避することが可能な船舶を提供することができる。
【0021】
上記第2の局面による船舶では、好ましくは、船外機は、船外機の駆動を制御する船外機内制御部を有し、船外機駆動用通信システムは、船外機内制御部に接続されるスタブラインをさらに含み、メインバスラインは、船体外でUターンする折り返し部分であり、かつ、スタブラインを介して船外機内制御部に接続されるUターンライン部を有する。このように構成すれば、スタブラインおよびUターンライン部により、船体内操船制御部と船外機内制御部との通信を容易に確保することができるとともに、メインバスラインを船外機内から船体内に容易に戻すことができる。
【0022】
この場合、好ましくは、メインバスラインは、船体内の第1終端抵抗に接続される一端側ライン部と、船体内の第2終端抵抗に接続される他端側ライン部とを有し、船体外でUターンするUターンライン部により、一端側ライン部と他端側ライン部とを接続するように構成され、Uターンライン部と、一端側ライン部および他端側ライン部とは、互いに脱着可能に構成されている。このように構成すれば、Uターンライン部と一端側ライン部および他端側ライン部とが互いに脱着可能であるので、容易に配線同士の接続を行うことができる。
【0023】
上記Uターンライン部により一端側ライン部と他端側ライン部とを接続する構成において、好ましくは、船外機は、船外機内制御部としての第1船外機内制御部を含む第1船外機と、船外機内制御部としての第2船外機内制御部を含む第2船外機とを有し、スタブラインは、メインバスラインと第1船外機内制御部とを接続する第1スタブラインと、メインバスラインと第2船外機内制御部とを接続する第2スタブラインと、を有し、Uターンライン部は、第1スタブラインを介して第1船外機内制御部に接続され、かつ、一端側ライン部に接続される第1Uターンライン部分と、第2スタブラインを介して第2船外機内制御部に接続され、かつ、他端側ライン部に接続される第2Uターンライン部分とを有しメインバスラインは、第1Uターンライン部分および第2Uターンライン部分を接続する接続ライン部をさらに有する。このように構成すれば、第1スタブライン、第2スタブライン、第1Uターンライン部分および第2Uターンライン部分により、船体内操船制御部と第1船外機内制御部と第2船外機内制御部との通信を容易に確保することができるとともに、メインバスラインを船外機内から船体内に容易に戻すことができる。
【0024】
上記スタブラインが第1スタブラインと第2スタブラインとを含み、Uターンライン部が第1Uターンライン部分と第2Uターンライン部分とを含む構成において、好ましくは、第1船外機内には、第1Uターンライン部分と、第1スタブラインとが設けられ、第2船外機内には、第2Uターンライン部分と、第2スタブラインとが設けられている。このように構成すれば、第1船外機内に第1Uターンライン部分および第1スタブラインを収容することができるとともに、第2船外機内に第2Uターンライン部分および第2スタブラインを収容することができるので、船外機の外部において配線が複雑化するのを抑制することができる。
【0025】
上記スタブラインが第1スタブラインと第2スタブラインとを含み、Uターンライン部が第1Uターンライン部分と第2Uターンライン部分とを含む構成において、好ましくは、各々がメインバスラインの一部を構成する第1Uターンライン部分および第2Uターンライン部分は、互いに同一の構成を有している。このように構成すれば、第1船外機側の第1Uターンライン部分と、第2船外機側の第2Uターンライン部分とが互いに同一の構成を備えるので、第1船外機および第1Uターンライン部分と、第2船外機および第2Uターンライン部分との配置が入れ替わったとしても、船体内操船制御部と第1船外機内制御部と第2船外機内制御部とを通信可能に接続することができる。
【0026】
上記Uターンライン部により一端側ライン部と他端側ライン部とを接続する構成において、好ましくは、船外機駆動用通信システムは、Uターンライン部と一端側ライン部および他端側ライン部とを、脱着可能に接続するコネクタをさらに含む。このように構成すれば、第1コネクタにより、Uターンライン部と一端側ライン部との接続を容易に行うことができる。
【0027】
この場合、好ましくは、コネクタは、船外機に一体的に設けられている。このように構成すれば、システム内における分割可能な部品点数を削減して、システム構成を簡素化することができる。
【0028】
この発明の第3の局面による推進機駆動用通信システムは、各線の電圧差を利用してデータを送信する2つの信号線を含み、船舶推進機との通信を行うためのメインバスラインと、船体内でメインバスラインの一方端部に配置される船体内操船制御部と、船体内操船制御部に設けられ、2つの信号線を電気的に接続する第1終端抵抗と、メインバスラインの他方端部に設けられ、2つの信号線を電気的に接続する第2終端抵抗と、を備え、メインバスラインは、第1終端抵抗側から船舶推進機内を経由して、Uターンすることにより、船体内に配置された第2終端抵抗に接続されている。
【0029】
上記第3の局面による推進機駆動用通信システムでは、上記のように、船体内の船体内操船制御部に設けられ、2つの信号線を電気的に接続する第1終端抵抗と、メインバスラインの他方端部に設けられ、2つの信号線を電気的に接続する第2終端抵抗と、を備え、メインバスラインを、第1終端抵抗側から船舶推進機内を経由して、Uターンすることにより、船体内に配置された第2終端抵抗に接続する。これによって、メインバスラインのUターンにより、メインバスラインを、船舶推進機内を経由させた上でメインバスラインの両端が船体内に位置するように船体内に戻すことができる。このため、2つの終端抵抗である第1終端抵抗および第2終端抵抗を船体内に配置して、船舶推進機内から終端抵抗を取り除くことができる。したがって、従来のような船舶推進機の数に応じて終端抵抗の数が変動することがなくなり、通信システム内の終端抵抗の数を最小限に抑えることができる。その結果、使用されない終端抵抗が発生することを回避することが可能な推進機駆動用通信システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、上記のように、使用されない終端抵抗が発生することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態による船外機駆動用通信システムを備える船舶を模式的に示した図である。
図2】実施形態による船外機駆動用通信システムの船外機を示した側面図である。
図3】実施形態による船外機駆動用通信システムのシステム構成を模式的に示した図である。
図4】実施形態による船外機駆動用通信システムを2機掛けのシステムから1機掛けのシステムに変更した状態を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
(船舶の構成)
図1図4を参照して、実施形態による船外機駆動用通信システム102を備える船舶100の構成について説明する。船外機駆動用通信システム102は、特許請求の範囲の「推進機駆動用通信システム」の一例である。
【0034】
図1および図2に示すように、船舶100は、船体101と、船体101に設けられる船外機1を含み、船体101に搭載される船外機駆動用通信システム102とを備えている。船外機1は、特許請求の範囲の「船舶推進機」の一例である。
【0035】
(船外機の構成)
船外機1は、船体101のトランサムに取り付けられている。船外機1は、第1船外機10と、第2船外機11とを含んでいる。第1船外機10と第2船外機11とは、船体101の左右方向に沿って横並びで配置されている。第1船外機10と第2船外機11とは、互いに同一の構成を備えている。このため、下記では第1船外機10について説明する。
【0036】
図2に示す第1船外機10は、電気モータによりプロペラPを駆動させる電動式の推進機である。また、第1船外機10は、電気モータがダクトDおよびプロペラPに一体的に設けられたダクト駆動方式の推進機である。第1船外機10は、中心軸線αを中心としてステアリング機構(図示せず)によりダクトDおよびプロペラPを左右方向に回動させるように構成されている。また、プロペラPは、中心軸線βを中心として回転するように構成されている。
【0037】
第1船外機10および第2船外機11の各々は、プロペラPの駆動源である電気モータなどの駆動を制御する船外機内制御部Cを備えている。
【0038】
(船外機駆動用通信システムの構成)
図1および図3に示すように、船外機駆動用通信システム102は、船体内操船制御部102aと、第1終端抵抗2aと、第2終端抵抗2bと、メインバスライン3と、船体内操船制御部102aに接続されるスタブライン4と、第1コネクタ5a、5bと、第2コネクタ6とを備えている。
【0039】
メインバスライン3は、船外機駆動用通信システム102は、各線の電圧差を利用してデータを送信する2つの信号線30を含んでいる。メインバスライン3は、船外機1(第1船外機10および第2船外機11)との通信を行うためのバスラインである。
【0040】
詳細には、メインバスライン3の上記2つの信号線30は、データの送信時に高電圧となるハイバスライン30aと、データの送信時に低電圧となるローバスライン30bとを有している。メインバスライン3は、ハイバスライン30aとローバスライン30bとの電圧差によりデータを送信するように構成されたCAN(Controller Area Network)通信規格のバスラインである。
【0041】
すなわち、船外機駆動用通信システム102は、いわゆる2線作動電圧方式を採用した通信システムである。2線作動電圧方式では、ハイバスライン30aとローバスライン30bとに対して同一のノイズが同時に発生するため、ノイズがハイバスライン30aとローバスライン30bとの電圧差(送信データ)に影響することがない。このため、2線作動電圧方式は、ノイズ耐性の高い通信方式である。
【0042】
メインバスライン3を構成するハイバスライン30aおよびローバスライン30bは、互いに略同じ長さを有している。メインバスライン3を構成するハイバスライン30aおよびローバスライン30bは、互いに並列で配置されている。メインバスライン3を構成するハイバスライン30aおよびローバスライン30bは、互いにツイストされた(より合わされた)状態で、第1終端抵抗2aと第2終端抵抗2bとを接続している。
【0043】
(船体内操船制御部の構成)
船体内操船制御部102aは、船体101内でメインバスライン3の一方端部3aに配置されている。船体内操船制御部102aは、船外機1(第1船外機10および第2船外機11)の駆動を制御するように構成されている。船体内操船制御部102aは、CPUおよびメモリを含んでいる。
【0044】
一例ではあるが、船体内操船制御部102aは、第1船外機10および第2船外機11の駆動を調整して自動操船を行うためのいわゆるボートコントローユニットにより構成されている。この他、船体内操船制御部を、各船外機に対して1つずつ設けられるいわゆるリモコンECUのうちのマスターのリモコンECUにより構成することなども可能である。
【0045】
船外機内制御部Cは、第1船外機内制御部C1と、第2船外機内制御部C2とを含んでいる。第1船外機内制御部C1は、第1船外機10が備える構成である。第2船外機内制御部C2は、第2船外機11が備える構成である。第1船外機内制御部C1と第2船外機内制御部C2とは、互いに同一の構成を備えている。第1船外機内制御部C1と第2船外機内制御部C2との各々は、CPUおよびメモリを含んでいる。
【0046】
(第1終端抵抗の構成)
第1終端抵抗2aは、メインバスライン3の一方端部3aに配置された船体内操船制御部102aに設けられている。第1終端抵抗2aは、2つの信号線30(ハイバスライン30aおよびローバスライン30b)を電気的に接続している。第1終端抵抗2aは、データの送信時にハイバスライン30aおよびローバスライン30bの終端(メインバスライン3の一方端部3a)で発生する信号の反射を抑制するように構成されている。要するに、第1終端抵抗2aは、ノイズに繋がる反射のエネルギーを抵抗により消費してノイズを抑制している。
【0047】
(第2終端抵抗の構成)
第2終端抵抗2bは、メインバスライン3の他方端部3bに設けられている。第2終端抵抗2bは、2つの信号線30(ハイバスライン30aおよびローバスライン30b)を電気的に接続している。第2終端抵抗2bは、データの送信時にハイバスライン30aおよびローバスライン30bの終端(メインバスライン3の他方端部3b)で発生する信号の反射を抑制するように構成されている。要するに、第2終端抵抗2bは、ノイズを発生させる反射のエネルギーを抵抗により消費してノイズを抑制している。
【0048】
なお、船外機駆動用通信システム102は、第1終端抵抗2aおよび第2終端抵抗2bの2つの終端抵抗のみを有している。
【0049】
(メインバスラインおよびスタブラインの構成)
メインバスライン3は、第1終端抵抗2a側から船外機1内を経由して、Uターンすることにより、船体101内に配置された第2終端抵抗2bに接続されている。詳細には、メインバスライン3は、船体101外でUターンする折り返し部分であり、かつ、スタブライン4を介して船外機内制御部Cに接続されるUターンライン部33を含んでいる。
【0050】
また、メインバスライン3は、船体101内の第1終端抵抗2aに接続される一端側ライン部31と、船体101内の第2終端抵抗2bに接続される他端側ライン部32とを含んでいる。
【0051】
Uターンライン部33は、第1Uターンライン部分33aと、第2Uターンライン部分33bとを含んでいる。メインバスライン3は、船体101外でUターンするUターンライン部33により、一端側ライン部31と他端側ライン部32とを接続するように構成されている。なお、Uターンライン部33がUターンする船体101外とは、第1船外機10の内部、および、第2船外機11の内部に相当する。
【0052】
また、メインバスライン3のスタブライン4は、第1スタブライン4aと、第2スタブライン4bとを含んでいる。第1スタブライン4aは、メインバスライン3と第1船外機内制御部C1とを接続している。第2スタブライン4bは、メインバスライン3と第2船外機内制御部C2とを接続している。
【0053】
第1Uターンライン部分33aは、第1スタブライン4aを介して第1船外機内制御部C1に接続され、かつ、一端側ライン部31に接続されている。第2Uターンライン部分33bは、第2スタブライン4bを介して第2船外機内制御部C2に接続され、かつ、他端側ライン部32に接続されている。各々がメインバスライン3の一部を構成する第1Uターンライン部分33aおよび第2Uターンライン部分33bは、互いに同一の構成を有している。
【0054】
また、メインバスライン3は、接続ライン部34を含んでいる。接続ライン部34は、船外機1の外(第1船外機10と第2船外機11との間)で第1Uターンライン部分33aと、第2Uターンライン部分33bとを接続している。
【0055】
上記の一端側ライン部31、他端側ライン部32、第1Uターンライン部分33a、第2Uターンライン部分33b、および、接続ライン部34の各々は、互いに並列で配置されるハイバスライン30aおよびローバスライン30bにより構成されている。
【0056】
また、メインバスライン3のUターンライン部33と、一端側ライン部31および他端側ライン部32とは、互いに脱着可能に構成されている。Uターンライン部33と、一端側ライン部31および他端側ライン部32との脱着には、第1コネクタ5a、5bが用いられる。
【0057】
また、メインバスライン3のスタブライン4は、第1スタブライン4aと、第2スタブライン4bとを含んでいる。
【0058】
第1船外機10内には、第1Uターンライン部分33aと、第1スタブライン4aとが設けられている。第2船外機11内には、第2Uターンライン部分33bと、第2スタブライン4bとが設けられている。
【0059】
(第1コネクタの構成)
第1コネクタ5aは、第1船外機10に一体的に設けられている。第1コネクタ5bは、第2船外機11に一体的に設けられている。第1コネクタ5a、5bは、Uターンライン部33と一端側ライン部31および他端側ライン部32とを、脱着可能に接続している。
【0060】
詳細には、第1コネクタ5aは、第1Uターンライン部分33aと一端側ライン部31とを接続している。これにより、第1コネクタ5aを介して、第1Uターンライン部分33aと一端側ライン部31とが、電気的に接続されている。また、第1コネクタ5bは、第2Uターンライン部分33bと他端側ライン部32とを接続している。これにより、第1コネクタ5bを介して、第2Uターンライン部分33bと他端側ライン部32とが、電気的に接続されている。
【0061】
また、第1コネクタ5aは、第1Uターンライン部分33aと接続ライン部34の一端とを接続している。これにより、第1Uターンライン部分33aと接続ライン部34とは、第1コネクタ5aを介して電気的に接続されている。また、第1コネクタ5bは、第2Uターンライン部分33bと接続ライン部34の他端とを接続している。これにより、第1コネクタ5bを介して、第2Uターンライン部分33bと接続ライン部34とが、電気的に接続されている。
【0062】
したがって、一端側ライン部31と他端側ライン部32とは、第1コネクタ5aと、第1Uターンライン部分33aと、接続ライン部34と、第1コネクタ5bと、第2Uターンライン部分33bと、を介して、電気的に接続されている。
【0063】
(第2コネクタの構成)
一端側ライン部31は、第1終端抵抗2a側に設けられる第1ライン部分31aと、第1コネクタ5a、5b側に設けられる第2ライン部分31bとを含んでいる。第2コネクタ6は、第1ライン部分31aと第2ライン部分31bとを、船体101内において脱着可能に接続している。
【0064】
(1機掛けのシステムについて)
図4に示すように、船外機駆動用通信システム102は、システムの構成要素を組み替えることによって、2機掛けのシステムを1機掛けのシステムに容易に変更することが可能である。
【0065】
詳細には、他端側ライン部32を第1コネクタ5bから取り外すとともに、接続ライン部34を第1コネクタ5aから取り外す。そして、他端側ライン部32を第1コネクタ5aの接続ライン部34が接続されていた位置に接続する。その結果、船外機駆動用通信システム102は、2機掛けのシステムが1機掛けのシステムに変更される。この場合、メインバスライン103は、一端側ライン部31、第1Uターンライン部分33a、および、他端側ライン部32により構成されることになる。
【0066】
また、船外機駆動用通信システム102は、システムの構成要素を組み替えることによって、2機掛けのシステムを3機掛け以上のシステムに容易に変更することが可能である。
【0067】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
本実施形態では、上記のように、船体内操船制御部102aに設けられ、2つの信号線30を電気的に接続する第1終端抵抗2aと、メインバスライン3の他方端部3bに設けられ、2つの信号線30を電気的に接続する第2終端抵抗2bと、を備え、メインバスライン3を、第1終端抵抗2a側から船外機1内を経由して、Uターンすることにより、船体101内に配置された第2終端抵抗2bに接続する。これによって、メインバスライン3のUターンにより、メインバスライン3を、船外機1内を経由させた上でメインバスライン3の両端が船体101内に位置するように船体101内に戻すことができる。このため、2つの終端抵抗である第1終端抵抗2aおよび第2終端抵抗2bを船体101内に配置して、船外機1内から終端抵抗を取り除くことができる。したがって、従来のような船外機1の数に応じて終端抵抗の数が変動することがなくなり、通信システム内の終端抵抗の数を最小限に抑えることができる。したがって、使用されない終端抵抗が発生することを回避することができる。
【0069】
本実施形態では、上記のように、船外機1の駆動を制御する船外機内制御部Cと、船外機内制御部Cに接続されるスタブライン4とをさらに備え、メインバスライン3は、船体101外でUターンする折り返し部分であり、かつ、スタブライン4を介して船外機内制御部Cに接続されるUターンライン部33を含む。これによって、スタブライン4およびUターンライン部33により、船体内操船制御部102aと船外機内制御部Cとの通信を容易に確保することができるとともに、メインバスライン3を船外機1内から船体101内に容易に戻すことができる。
【0070】
本実施形態では、上記のように、メインバスライン3は、船体内の第1終端抵抗2aに接続される一端側ライン部31と、船体101内の第2終端抵抗2bに接続される他端側ライン部32とを含み、船体101外でUターンするUターンライン部33により、一端側ライン部31と他端側ライン部32とを接続するように構成され、Uターンライン部33と、一端側ライン部31および他端側ライン部32とは、互いに脱着可能に構成されている。これによって、Uターンライン部33と一端側ライン部31および他端側ライン部32とが互いに脱着可能であるので、容易に配線同士の接続を行うことができる。
【0071】
本実施形態では、上記のように、船外機1は、船外機内制御部Cとしての第1船外機内制御部C1を含む第1船外機10と、船外機内制御部Cとしての第2船外機内制御部C2を含む第2船外機11とを含み、スタブライン4は、メインバスライン3と第1船外機内制御部C1とを接続する第1スタブライン4aと、メインバスライン3と第2船外機内制御部C2とを接続する第2スタブライン4bとを含み、Uターンライン部33は、第1スタブライン4aを介して第1船外機内制御部C1に接続され、かつ、一端側ライン部31に接続される第1Uターンライン部分33aと、第2スタブライン4bを介して第2船外機内制御部C2に接続され、かつ、他端側ライン部32に接続される第2Uターンライン部分33bとを含み、メインバスライン3は、第1Uターンライン部分33aおよび第2Uターンライン部分33bを接続する接続ライン部34をさらに含む。これによって、第1スタブライン4a、第2スタブライン4b、第1Uターンライン部分33aおよび第2Uターンライン部分33bにより、船体内操船制御部102aと第1船外機内制御部C1と第2船外機内制御部C2との通信を容易に確保することができるとともに、メインバスライン3を船外機1内から船体101内に容易に戻すことができる。
【0072】
本実施形態では、上記のように、第1船外機10内には、第1Uターンライン部分33aと、第1スタブライン4aとが設けられ、第2船外機11内には、第2Uターンライン部分33bと、第2スタブライン4bとが設けられている。これによって、第1船外機10内に第1Uターンライン部分33aおよび第1スタブライン4aを収容することができるとともに、第2船外機11内に第2Uターンライン部分33bおよび第2スタブライン4bを収容することができるので、船外機1の外部において配線が複雑化するのを抑制することができる。
【0073】
本実施形態では、上記のように、各々がメインバスライン3の一部を構成する第1Uターンライン部分33aおよび第2Uターンライン部分33bは、互いに同一の構成を有している。これによって、第1船外機10側の第1Uターンライン部分33aと、第2船外機11側の第2Uターンライン部分33bとが互いに同一の構成を備えるので、第1船外機10および第1Uターンライン部分33aと、第2船外機11および第2Uターンライン部分33bとの配置が入れ替わったとしても、船体内操船制御部102aと第1船外機内制御部C1と第2船外機内制御部C2とを通信可能に接続することができる。
【0074】
本実施形態では、上記のように、Uターンライン部33と一端側ライン部31および他端側ライン部32とを、脱着可能に接続する第1コネクタ5a、5bをさらに備える。これによって、第1コネクタ5a、5bにより、Uターンライン部33と一端側ライン部31との接続を容易に行うことができる。
【0075】
本実施形態では、上記のように、第1コネクタ5a、5bは、船外機1に一体的に設けられている。これによって、システム内における分割可能な部品点数を削減して、システム構成を簡素化することができる。
【0076】
本実施形態では、上記のように、一端側ライン部31は、第1終端抵抗2a側に設けられる第1ライン部分31aと、第1コネクタ5a、5b側に設けられる第2ライン部分31bとを含み、第1ライン部分31aと第2ライン部分31bとを、船体101内において脱着可能に接続する第2コネクタ6をさらに備える。これによって、一端側ライン部31を、第1ライン部分31aと第2ライン部分31bとの2つに分割して短くすることができるので、一端側ライン部31を絡まらせることなく容易に配線することができる。また、第2コネクタ6により、第1ライン部分31aと第2ライン部分31bとの接続を容易に行うことができる。
【0077】
本実施形態では、上記のように、メインバスライン3の2つの信号線30は、データの送信時に高電圧となるハイバスライン30aと低電圧となるローバスライン30bとを有し、メインバスライン3は、ハイバスライン30aとローバスライン30bとの電圧差によりデータを送信するように構成されたCAN通信規格のバスラインである。これによって、CAN通信規格の船外機駆動用通信システム102において、使用されない終端抵抗が発生することを回避することができる。
【0078】
この場合、好ましくは、メインバスライン3を構成するハイバスライン30aおよびローバスライン30bは、互いにツイストされた(より合わされた)状態で、第1終端抵抗2aと第2終端抵抗2bとを接続している。これによって、ハイバスライン30aとローバスライン30bとを、いわゆるツイストケーブルとして構成することができるので、データ送信時のノイズを低減することができる。
【0079】
(変形例)
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0080】
たとえば、上記実施形態では、船舶が、船外機を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、船舶が、船外機ではなく船内外機などを備えていてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、船舶が、1つまたは2つの船外機を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、船舶が、3つ以上の船外機を備えていてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、船外機を、電気モータを駆動源とする電気駆動式の船外機により構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、船外機を、エンジンを駆動源とするエンジン駆動式の船外機により構成してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、船舶が第1コネクタを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、船舶が第1コネクタを備えていなくてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、船舶が第2コネクタを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、船舶が第2コネクタを備えていなくてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、メインバスラインを、ハイバスラインとローバスラインとの電圧差によりデータを送信するように構成されたCAN通信規格のバスラインとした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、メインバスラインを、CAN通信規格とは異なる2線作動電圧方式の規格のバスラインとしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 船外機(船舶推進機)
2a 第1終端抵抗
2b 第2終端抵抗
3、103 メインバスライン
3a (メインバスラインの)一方端部
3b (メインバスラインの)他方端部
4 スタブライン
4a 第1スタブライン
4b 第2スタブライン
5a、5b 第1コネクタ
6 第2コネクタ
10 第1船外機
11 第2船外機
30 信号線
30a ハイバスライン
30b ローバスライン
31 一端側ライン部
31a (一端側ライン部の)第1ライン部分
31b (他端側ライン部の)第2ライン部分
32 他端側ライン部
33 Uターンライン部
33a 第1Uターンライン部分
33b 第2Uターンライン部分
34 接続ライン部
100 船舶
101 船体
102 船外機駆動用通信システム(推進機駆動用通信システム)
102a 船体内操船制御部
C 船外機内制御部
C1 第1船外機内制御部
C2 第2船外機内制御部
図1
図2
図3
図4