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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100136
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】UPS制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240719BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240719BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240719BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240719BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J7/34 G
H02J7/35 K
H02J7/34 B
H02J9/06 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003898
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】水口 清志
(72)【発明者】
【氏名】山岸 伸一郎
【テーマコード(参考)】
5G015
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G015FA04
5G015GA08
5G015GA10
5G015JA56
5G015JA59
5G066AA04
5G066HA15
5G066HB09
5G066JA05
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503CA10
5G503DA04
5G503DA05
5G503EA05
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】不必要なUPSのバッテリの充放電を抑制して、商用電源からの電力供給のピークカットを行う、UPS制御システムを提供する。
【解決手段】UPS制御システム1は、各々が負荷21~25に接続され、商用電源100を電力変換して負荷に電力供給する通常モードと内部に備えるバッテリから負荷に電力供給するバッテリモードとで動作する複数のUPS11~15と、商用電源から複数のUPSに接続されている全ての負荷への供給電力を監視する監視部200と、監視部から商用電力削減要求があった場合に、UPSを通常モードからバッテリモードへ切り替えるUPS制御部300と、を備える。UPS制御部は、商用電力削減要求で要求された電力削減量に応じて、ユーザ設定情報および複数のUPSの放電余力情報の少なくとも一方に基づいて設定される優先順位に従って、通常モードからバッテリモードに切り替える対象となるUPSを選択する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が負荷に接続され、商用電源を電力変換して前記負荷に電力供給する通常モードと内部に備えるバッテリから前記負荷に電力供給するバッテリモードとで動作する複数のUPSと、
前記商用電源から前記複数のUPSに接続されている全ての前記負荷への供給電力を監視する監視部と、
前記監視部から商用電力削減要求があった場合に、前記UPSを前記通常モードから前記バッテリモードへ切り替えるUPS制御部と、
を備え、
前記UPS制御部は、前記商用電力削減要求で要求された電力削減量に応じて、ユーザ設定情報および前記複数のUPSの放電余力情報の少なくとも一方に基づいて設定される優先順位に従って、前記通常モードから前記バッテリモードに切り替える対象となる前記UPSを選択する、UPS制御システム。
【請求項2】
前記放電余力情報は、前記複数のUPSの各々に接続されている前記負荷の大きさ、及び前記複数のUPSの各々の電力削減運転可能時間の少なくとも一方を含む、請求項1に記載のUPS制御システム。
【請求項3】
前記UPS制御部は、前記複数のUPSの各々の電力削減運転可能時間、ユーザ設定情報、前記複数のUPSの各々に接続されている前記負荷の大きさの順に基づいて、前記複数のUPSの優先順位を設定する、請求項2に記載のUPS制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UPS制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力需給を最適制御する電力管理システム(EMS:Energy Management System)が急速に発展している。EMSの一例として、商用電源からの供給電力を監視し、供給電力が所定値を超えた場合に商用電力削減要求を行うことで、商用電源からの供給電力のピーク値を平準化するデマンド監視システムがある。このデマンド監視システムに、無停電電源装置(以下、UPSともいう)を連携させて、UPSのバッテリの余剰電力を、例えば昼間の電力使用量のピーク時に放電させることで、商用電源からの供給電力のピークカットを行う技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、商用電力削減要求があった場合に、UPSのバッテリに充電されている電力量が所定値以上であれば、バッテリから電力供給を行って、商用電源からの電力供給を制限することで、ピークカットを行うUPS制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-222982
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているUPS制御システムは、複数のUPSを一括してバッテリ動作に切り替えるため、削減要求以上の電力量がUPSのバッテリから供給されてしまうことがある。このため、UPSに本来必要の無かったバッテリの充放電をさせてしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、不必要なUPSのバッテリの充放電を抑制して、商用電源からの電力供給のピークカットを行う、UPS制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る一側面に係るUPS制御システムは、
各々が負荷に接続され、商用電源を電力変換して前記負荷に電力供給する通常モードと内部に備えるバッテリから前記負荷に電力供給するバッテリモードとで動作する複数のUPSと、
前記商用電源から前記複数のUPSに接続されている全ての前記負荷への供給電力を監視する監視部と、
前記監視部から商用電力削減要求があった場合に、前記UPSを前記通常モードから前記バッテリモードへ切り替えるUPS制御部と、
を備え、
前記UPS制御部は、前記商用電力削減要求で要求された電力削減量に応じて、ユーザ設定情報および前記複数のUPSの放電余力情報の少なくとも一方に基づいて設定される優先順位に従って、前記通常モードから前記バッテリモードに切り替える対象となる前記UPSを選択する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、不必要なUPSのバッテリの充放電を抑制して、商用電源からの電力供給のピークカットを行う、UPS制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るUPS制御システムのブロック図である。
図2】本実施形態に係るUPSの内部ブロック図である。
図3】本実施形態に係るUPSの優先順位情報の説明図である。
図4】本実施形態に係るUPSの放電余力情報の説明図である。
図5】本実施形態に係るUPS制御部の電力削減処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本実施形態に係るUPS制御システムのブロック図である。図1に示すように、UPS制御システム1は、複数のUPS11~15と、複数のUPS11~15に接続されている負荷21~25と、全ての負荷21~25の消費電力を監視する監視部200と、各UPS11~15の動作モードを制御するUPS制御部300と、を備える。商用電源100と、複数のUPS11~15は、電源ライン1000で接続されている。各UPS11~15と、監視部200と、UPS制御部300は、LAN2000で接続されている。
【0012】
各UPS11~15は、通常動作時では、商用電源100から供給される交流を電力変換し、接続されている負荷21~25に電力供給する。また、バッテリモードでは、各UPS11~15に内蔵されているバッテリBから放電される直流を電力変換し、接続されている負荷21~25に電力供給する。
【0013】
監視部200は、商用電源100からの供給電力を常時監視し、供給電力が所定値を超えた場合、UPS制御部300に対して、例えばLAN2000など、有線または無線通信で商用電力削減要求を送信する。商用電力削減要求には、要求する商用電源100からの供給電力の削減量(電力削減量)が含まれる。また、商用電力削減要求には、要求する電力削減の時間幅(電力削減時間)が含まれていてもよい。なお、商用電力削減要求に電力削減時間が含まれていない場合、UPS制御部300は予め設定されている電力削減時間で、複数のUPS11~15を制御する。
【0014】
UPS制御部300は、監視部200から商用電力削減要求を受信した場合、複数のUPS11~15の中から通常モードからバッテリモードに切り替える対象となるUPSを選択し、選択したUPSに対してLAN2000を経由してバッテリモード指令を送信する。
【0015】
図2は、本実施形態に係るUPSの内部ブロック図である。各UPS11~15の内部構成は同じであるため、代表してUPS11の内部ブロック図を図2に示す。UPS11は、コンバータ回路Cと、平滑回路Sと、インバータ回路Iと、バッテリBと、バッテリBの充電回路CHと、内部制御部111と、放電余力情報記憶部Mと、LANコントローラ112と、電圧電流計測器113と、を備える。
【0016】
コンバータ回路Cは、例えばブリッジ接続された複数の半導体スイッチング素子を有し、商用電源100から入力される交流を直流へと変換する。
【0017】
平滑回路Sは、コンバータ回路Cに直列に接続され、例えば電解コンデンサを有し、コンバータ回路Cから出力される直流を平滑化する。
【0018】
インバータ回路Iは、例えばブリッジ接続された複数の半導体スイッチング素子を有し、平滑回路Sからの直流(コンバータ回路Cが出力する直流)、または、バッテリBからの直流を交流に変換する。
【0019】
バッテリBは、平滑回路Sと並列に接続され、停電や瞬断が発生した際に、負荷21への電力供給を継続する。具体的には、UPS11の通常モードでは、平滑回路Sからの直流がインバータ回路Iに入力される。UPS11のバッテリモードでは、バッテリBからの直流がインバータ回路Iに入力される。また、本実施形態では、UPS制御部300からバッテリモード指令を受信した際も、UPS11はバッテリモードとなり、バッテリBからの直流がインバータ回路Iに入力される。
【0020】
内部制御部111は、UPS11の動作モードに応じて、コンバータ回路Cと、インバータ回路Iを制御する。具体的には、UPS11が通常モードでは、コンバータ回路Cとインバータ回路Iの半導体スイッチング素子をスイッチング制御して平滑回路Sからの直流(コンバータ回路Cが出力する直流)がインバータ回路Iに入力されるようにする。また、UPS11がバッテリモードでは、コンバータ回路Cの半導体スイッチング素子をオフ状態として、インバータ回路Iの半導体スイッチング素子のみスイッチング制御して、バッテリBからの直流がインバータ回路Iに入力されるようにする。
【0021】
また、内部制御部111は、UPS11の放電余力情報を生成し、放電余力情報記憶部Mに記憶する。UPS制御部300から放電余力情報の送信要求があった場合には、内部制御部111は、LAN2000を介して放電余力情報をUPS制御部300に送信する。放電余力情報の詳細については、後述にて説明する。
【0022】
電圧電流計測器113は、インバータ回路Iの出力側に配置され、インバータ回路Iから出力される交流電力を測定し、測定した交流電力値を内部制御部111に通知する。
【0023】
図3は、本実施形態に係るUPSの優先順位情報の説明図である。優先順位情報は、複数のUPS11~15のID情報と、各UPS11~15の現在の動作モードと、ユーザが設定するユーザ設定優先順位Puと、各UPS11~15に接続される負荷21~25の負荷容量RWと、負荷21~25の負荷容量RWから決定される負荷容量優先順位Prと、電力削減運転可否情報と、全体優先順位Ptと、を有する。
【0024】
各UPS11~15の動作モードは少なくとも通常モードとバッテリモードがあり、各UPS11~15の内部制御部111から通知される放電余力情報に含まれている情報である。図3の例示では、UPS11~15の動作モードは全て通常モードである。
【0025】
ユーザ設定優先順位Puは、例えばUPS制御部300が有する不図示のユーザインターフェースにおいて、ユーザが設定する情報である。ユーザは、例えば負荷21~24の重要度の低い順に、通常モードからバッテリモードに切り替えるUPS11~15の優先順位を設定する。図3の例示では、ユーザは、UPS11(ID:001)のユーザ設定優先順位Puを1、UPS12(ID:002)のユーザ設定優先順位Puを2、UPS13、14(ID:003、004)のユーザ設定優先順位Puを3、UPS15(ID:005)のユーザ設定優先順位Puを4に設定している。これにより、重要度の高い負荷に接続されるUPSについては、バッテリの充放電を抑制することができる。
【0026】
負荷容量RWは、各UPS11~15の内部制御部111から通知される放電余力情報に含まれる出力容量Woに基づいて、UPS制御部300によって算出される。図3の例示では、UPS11~15(ID:001~005)の負荷容量RWは、それぞれ100kw、95kW、95kW、90kW、85kWである。
【0027】
負荷容量優先順位Prは、算出された負荷容量RWに基づいて決定される。例えば負荷21~24の負荷容量RWの大きい順に、通常モードからバッテリモードに切り替えるUPS11~15の優先順位を設定する。図3の例示では、UPS11(ID:001)の負荷容量優先順位Prは1、UPS12(ID:002)の負荷容量優先順位Prは2、UPS13(ID:003)の負荷容量優先順位Prは3、UPS14(004)の負荷容量優先順位Prは4、UPS15(ID:005)の負荷容量優先順位Prは5に設定されている。これにより、負荷容量優先順位Prが低いUPS、つまり負荷容量が小さい負荷に接続されるUPSについては、バッテリの充放電を抑制することができる。
【0028】
電力削減運転可否情報は、監視部200から電力削減要求を受信した場合に、各UPS11~15は電力削減運転が可能であるか否かを示す情報である。UPS制御部300は、監視部200から要求される電力削減時間、および、各UPSの内部制御部111から通知される放電余力情報に含まれる電力削減運転可能時間Td(図4参照)に基づいて、電力削減運転の可否を判定し、電力削減運転可否情報を生成する。具体的には、監視部200から10分間の電力削減時間が要求された場合、電力削減運転可能時間Tdが要求される電力削減時間以上、つまり、10分間以上であれば、UPS制御部300は、当該UPSが電力削減運転可能であると判定する。図3の例示では、UPS11、13~15(ID:001、003~005)は電力削減運転が可能であり、UPS12(ID:002)は電力削減運転が不可能であることを示している。
【0029】
全体優先順位Ptは、上記の電力削減運転可否情報、ユーザ設定優先順位Pu、負荷容量優先順位Prの順に基づいて決定される。具体的には、UPS制御部300は、電力削減運転可否情報に基づいて、電力削減運転が可能なUPS(図3の例示では、UPS11、13~15(ID:001、003~005))を抽出し、ユーザ設定優先順位Puに合わせて全体優先順位Ptを決定する。ユーザ設定優先順位Puが同じ場合(図3の例示では、UPS13、14(ID:003、004)のユーザ設定優先順位Puが3で同じ)、負荷容量優先順位Prに合わせて全体優先順位Ptを決定する。したがって、図3の例示では、UPS11(ID:001)の全体優先順位Ptは1、UPS13(ID:003)の全体優先順位Ptは2、UPS14(ID:004)の全体優先順位Ptは3、UPS15(ID:005)の全体優先順位Ptは4に設定されている。
【0030】
UPS制御部300は、ユーザの設定情報、および、各UPS11~15の内部制御部111から通知される放電余力情報に基づいて、図3に示す優先順位情報を生成する。また、UPS制御部300は、監視部200から商用電力削減要求があった場合に、要求される電力削減量に応じて、優先順位情報の全体優先順位Ptに従って、複数のUPS11~15の中から通常モードからバッテリモードに切り替える対象となるUPSを選択する。具体的には、商用電力削減要求があった場合に各UPS11~15がバッテリ動作により放電する電力が30kWとすると、監視部200から電力削減時間が10分間、電力削減量が50kWの商用電力削減要求があった場合、UPS制御部300は、全体優先順位Ptが1のUPS11(ID:001)と、全体優先順位Ptが2のUPS13(ID:003)の2台に対して、通常モードからバッテリモードに切り替えるようにバッテリモード指令を通知する。これにより、商用電源100からの電力を60kW削減し、要求される電力削減量50kWを満たすことができる。
【0031】
このように、要求される電力削減時間および電力削減量に応じて、ユーザ設定情報および複数のUPS11~15の放電余力情報の少なくとも一方に基づいて設定される優先順位に従って、通常モードからバッテリモードに切り替える対象となるUPSを選択する。これにより、UPS11~15のバッテリBの不必要な充放電を抑制して、商用電源100からの電力供給のピークカットを行うことができる。
【0032】
図4は、本実施形態に係るUPSの放電余力情報の説明図である。図4に示す例示は、UPS11(ID:001)の放電余力情報である。放電余力情報は、UPS11のID情報と、現在の動作モードと、出力容量Wоと、負荷率Rlと、バッテリ充電率SOCと、バッテリ劣化状態SOHと、電力削減運転下限充電率SOClと、バッテリ運転回数BTと、バッテリ劣化係数Bdcと、定格バックアップ時間Tbと、DC/AC運転効率Edaと、電力削減運転可能時間Tdと、を有する。
【0033】
出力容量Wоは、図2に示す電圧電流計測器113によって計測される出力電圧、および出力電流から求められる値である。負荷率Rlは、出力容量Wо÷定格出力容量Wоrから算出される値である。なお、定格出力容量Wоrは各UPS11~15が出力可能な最大容量を示す値である。バッテリ充電率SOCは、UPS11のバッテリBの最大容量に対する充電率を示す値である。
バッテリ劣化状態SOHは、UPS11のバッテリBの劣化状態を示す値である。電力削減運転下限充電率SOClは、監視部200から商用電力削減要求があった場合に、UPS11のバッテリBが通常モードからバッテリモードに切り替え可能となる、充電率の下限値である。UPS11のバッテリBのバッテリ充電率SOCが電力削減運転下限充電率SOCl以下である場合は、監視部200から商用電力削減要求があっても、通常モードからバッテリモードに切り替えることは不可能である。
バッテリ運転回数BTは、バッテリ運転の累積回数を示す。バッテリ劣化係数Bdcは、バッテリBのバッテリ劣化状態SOHを算出する際に用いられる係数である。定格バックアップ時間Tbは、UPS11に定格負荷が接続されている状態でバッテリBから定格負荷への放電(バックアップ)が可能な時間を示す値である。
DC/AC運転効率Edaは、インバータ回路Iが直流から交流に変換する際の電力効率を示す値である。電力削減運転可能時間Tは、監視部200から商用電力削減要求があった場合に、UPS11のバッテリBがバッテリモードで運転可能な時間を示す値である。
【0034】
電力削減運転可能時間Tは、以下の式1から算出される。
T=(SOC-SOCl)×(SOH-BT×Bdc)×Tb÷(Rl÷Eda) (式1)
例えば、SOC=80%、電力削減運転下限充電率SOCl=50%、SOH=90%、バッテリ運転回数BT=10回、バッテリ劣化係数Bdc=0.009%/回、定格バックアップ時間Tb=42分、負荷率Rl=50%、DC/AC運転効率Eda=90%の場合、電力削減運転可能時間T=20分と算出される。
計測された出力容量Wо、および、算出された電力削減運転可能時間Tは、LANコントローラ112を経由して、放電余力情報としてUPS制御部300に通知される。
【0035】
図5は、本実施形態に係るUPS制御部の電力削減処理フローチャートである。UPS制御部300は、監視部200から商用電力削減要求があった場合、電力削減処理を開始する。まず、UPS制御部300は、各UPS11~15の内部制御部111から、LANコントローラ112を経由して放電余力情報を取得する(S101)。その後、UPS制御部300は、ユーザの設定情報、および、取得した放電余力情報に基づいて、全体優先順位情報を生成し、全体優先順位Ptを設定する(S102)。その後、UPS制御部300は、要求される電力削減量に応じて、優先順位情報の全体優先順位Ptに従って、複数のUPS11~15の中から通常モードからバッテリモードに切り替える対象となるUPSを選択し、選択したUPSに対して、通常モードからバッテリモードに切り替えるように通知する(S103)。その後、UPS制御部300は、各UPS11~15の放電余力情報を、LANコントローラ112を経由して更新する(S104)。例えば、図4に示す放電余力情報の動作モードを通常モードからバッテリ情報に更新する。その後、要求される電力削減量を達成した場合、または、要求される電力削減時間が経過した場合(S105のYes)、UPS制御部300は、電力削減処理を終了する。
【0036】
以上、本実施形態について説明をしたが、本実施形態に係る技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本実施形態に係る技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0037】
本実施形態のUPS制御システム1において、UPS制御部300は複数のUPS11~15の別体として設けられていたが、複数のUPS11~15のうちいずれか1つ、または複数のUPSの内部に設けられてもよい。また、UPS制御部300が、監視部200から要求される電力削減時間、および、各UPS11~15の内部制御部111から通知される放電余力情報に含まれる電力削減運転可能時間Tdに基づいて、電力削減運転可否情報を生成しているが、UPS制御部300が監視部200から要求される電力削減時間を各UPS11~15の内部制御部111に通知して、各UPS11~15の内部制御部111が電力削減運転可否情報を生成してもよい。また、全体優先順位Ptは、電力削減運転可否情報、ユーザ設定優先順位Pu、負荷容量優先順位Prと異なる順に基づいて決定されてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:UPS制御システム
11~15:UPS
21~25:負荷
100:商用電源
111:内部制御部
112:LANコントローラ
113:電圧電流計測器
200:監視部
300:UPS制御部
1000:電源ライン
2000:LAN
C:コンバータ回路
I:インバータ回路
B:バッテリ
S:平滑回路
M:放電余力情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5