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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100138
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】コネクタおよびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/655 20060101AFI20240719BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20240719BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01R13/655
H01B7/00 301
H01B7/00 306
H01B7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003904
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂井 宏基
【テーマコード(参考)】
5E021
5G309
5G313
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB11
5E021FB20
5E021FC21
5E021LA09
5E021LA16
5E021LA21
5G309AA09
5G309FA05
5G313AA10
5G313AB05
5G313AC03
5G313AD08
5G313AE08
(57)【要約】
【課題】安定した電磁シールド性能を確保できるコネクタおよびワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】コネクタ30は、芯線21の端部に接続される金属製の端子と、端子を覆うとともに導電性を有するシールドシェル50とを備える。コネクタ30は、電磁シールド部材23をシールドシェル50に電気的に接続した状態で、シールド電線20をシールドシェル50に押し当てて固定するシールドブラケット80を備える。シールドシェル50は、電磁シールド部材23に対向する第1対向面62を有する。シールドブラケット80は、電磁シールド部材23に対向する第2対向面82を有する。第1対向面62および第2対向面82の少なくとも1つには、電磁シールド部材23に向かって突出するとともにシールド電線20に接触する突部が設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する芯線と、前記芯線の外周を囲う絶縁被覆と、前記絶縁被覆の外周を囲うとともに導電性を有する電磁シールド部材と、を有するシールド電線の端部に接続されるコネクタであって、
前記芯線の端部に接続されるとともに導電性を有する端子と、
前記端子を覆うとともに導電性を有するシールドシェルと、
前記電磁シールド部材を前記シールドシェルに電気的に接続した状態で、前記シールド電線を前記シールドシェルに押し当てて固定するシールドブラケットと、を備え、
前記シールドシェルは、前記電磁シールド部材に対向する第1対向面を有し、
前記シールドブラケットは、前記電磁シールド部材に対向する第2対向面を有し、
前記第1対向面および前記第2対向面の少なくとも1つには、前記電磁シールド部材に向かって突出するとともに前記シールド電線に接触する突部が設けられている、コネクタ。
【請求項2】
前記突部は、
前記第1対向面から前記電磁シールド部材に向かって突出するとともに前記シールド電線に接触する1つ以上の第1突部と、
前記第2対向面から前記電磁シールド部材に向かって突出するとともに前記シールド電線に接触する1つ以上の第2突部と、
を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2突部は、エンボス形状である、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記シールドブラケットは、前記シールド電線の軸方向と交差する方向に向かって前記シールド電線を前記シールドシェルに押し当てて固定し、
前記突部は、前記シールド電線の軸方向に沿って延びている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記シールドブラケットは、前記シールド電線を前記シールドシェルに押し当てた状態で、前記シールドシェルにボルト締結される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記シールドブラケットは、前記第2対向面を有する複数の固定部と、前記複数の固定部を連結する連結部とを有し、
前記シールドブラケットは、前記複数の固定部により複数の前記シールド電線を前記シールドシェルに押し当てた状態で、前記連結部が前記シールドシェルにボルト締結される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記シールドシェルを含むコネクタハウジングを有し、
前記コネクタハウジングは、前記シールドブラケットに向かって突出する位置決め突起を有し、
前記シールドブラケットは、前記位置決め突起に嵌合されるとともに、前記シールド電線の軸方向において前記位置決め突起と係合される位置決め孔を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記シールドシェルは、アルミダイキャスト製である、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコネクタと、
前記端子と接続される前記シールド電線と、を有する、ワイヤハーネス。
【請求項10】
前記シールド電線は、前記電磁シールド部材の外周面に接触した状態で前記電磁シールド部材の外周に装着されるとともに導電性を有するシェルリングを有し、
前記突部は、前記シェルリングの外周面に接触している、請求項9に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタおよびワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両の内部に配索されるワイヤハーネスとしては、シールド電線と、そのシールド電線の端部に取り付けられたコネクタとを備えるものが知られている(例えば、特許文献1,2,3参照)。シールド電線は、導電性を有する芯線と、芯線の外周を囲う絶縁被膜と、絶縁被膜の外周を囲う電磁シールド部材と、電磁シールド部材の外周を囲うシースとを有している。この種のシールド電線では、電磁シールド部材の軸方向の端部がシースの外周面を覆うように折り返されている。電磁シールド部材における折り返された部分の外周には、環状のかしめリングが装着されている。電磁シールド部材とかしめリングとは、互いに接触することにより電気的に接続されている。かしめリングは、コネクタが有する金属製のシールドシェルの内周面に接触されている。かしめリングとシールドシェルとは、互いに接触することにより電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-69159号公報
【特許文献2】実開平5-53162号公報
【特許文献3】実開平7-11782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したワイヤハーネスでは、安定した電磁シールド性能を確保することが望まれている。
本開示の目的は、安定した電磁シールド性能を確保できるコネクタおよびワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のコネクタは、導電性を有する芯線と、前記芯線の外周を囲う絶縁被覆と、前記絶縁被覆の外周を囲うとともに導電性を有する電磁シールド部材と、を有するシールド電線の端部に接続されるコネクタであって、前記芯線の端部に接続されるとともに導電性を有する端子と、前記端子を覆うとともに導電性を有するシールドシェルと、前記電磁シールド部材を前記シールドシェルに電気的に接続した状態で、前記シールド電線を前記シールドシェルに押し当てて固定するシールドブラケットと、を備え、前記シールドシェルは、前記電磁シールド部材に対向する第1対向面を有し、前記シールドブラケットは、前記電磁シールド部材に対向する第2対向面を有し、前記第1対向面および前記第2対向面の少なくとも1つには、前記電磁シールド部材に向かって突出するとともに前記シールド電線に接触する突部が設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本開示のコネクタおよびワイヤハーネスによれば、安定した電磁シールド性能を確保できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略斜視図である。
図2図2は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す概略斜視図である。
図4図4は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す概略分解斜視図である。
図5図5は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す概略断面図である。
図6図6は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す概略断面図(図5における6-6線断面図)である。
図7図7は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す概略分解断面図である。
図8図8は、一実施形態のシールドブラケットを示す概略斜視図である。
図9図9は、変更例のシールドブラケットを示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示のコネクタは、導電性を有する芯線と、前記芯線の外周を囲う絶縁被覆と、前記絶縁被覆の外周を囲うとともに導電性を有する電磁シールド部材と、を有するシールド電線の端部に接続されるコネクタであって、前記芯線の端部に接続されるとともに導電性を有する端子と、前記端子を覆うとともに導電性を有するシールドシェルと、前記電磁シールド部材を前記シールドシェルに電気的に接続した状態で、前記シールド電線を前記シールドシェルに押し当てて固定するシールドブラケットと、を備え、前記シールドシェルは、前記電磁シールド部材に対向する第1対向面を有し、前記シールドブラケットは、前記電磁シールド部材に対向する第2対向面を有し、前記第1対向面および前記第2対向面の少なくとも1つには、前記電磁シールド部材に向かって突出するとともに前記シールド電線に接触する突部が設けられている。
【0009】
この構成によれば、シールドシェルの第1対向面およびシールドブラケットの第2対向面の少なくとも1つに、電磁シールド部材に向かって突出するとともにシールド電線に接触する突部が設けられる。このため、シールドブラケットによってシールド電線がシールドシェルに対して押し当てられると、シールド電線に対して突部を好適に接触させることができる。
【0010】
ところで、第1対向面および第2対向面が突部を有さない滑らかな曲面や平面である場合には、第1対向面および第2対向面とシールド電線との接触位置が定まりにくい。このため、シールドシェルとシールド電線の電磁シールド部材とのシールド接続の位置が定まりにくく、シールドシェルと電磁シールド部材とのシールド接続状態が不安定になりやすい。例えば、第1対向面および第2対向面が突部を有さない滑らかな面である場合には、第1対向面および第2対向面とシールド電線との接触面積にばらつきが生じやすい。このため、シールドシェルと電磁シールド部材とのシールド接続状態が安定せずに、シールドシェルおよび電磁シールド部材による電磁シールド性能にばらつきが生じる。
【0011】
これに対し、上記構成では、第1対向面および第2対向面の少なくとも1つに突部を設けることで、シールドシェルおよびシールドブラケットとシールド電線との接触位置を突部の位置に強制的に定めることができる。このため、シールドシェルおよびシールドブラケットとシールド電線の電磁シールド部材とのシールド接続の位置が定まりやすく、シールドシェルと電磁シールド部材とのシールド接続状態を安定化させることができる。これにより、安定した電磁シールド性能を確保することができる。
【0012】
[2]上記[1]において、前記突部は、前記第1対向面から前記電磁シールド部材に向かって突出するとともに前記シールド電線に接触する1つ以上の第1突部と、前記第2対向面から前記電磁シールド部材に向かって突出するとともに前記シールド電線に接触する1つ以上の第2突部と、を有してもよい。
【0013】
この構成によれば、第1対向面に第1突部が設けられることで、シールドシェルとシールド電線との接触位置が第1突部の位置に強制的に定められる。また、第2対向面に第2突部が設けられることで、シールドブラケットとシールド電線との接触位置が第2突部の位置に強制的に定められる。このため、シールドシェルおよびシールドブラケットとシールド電線の電磁シールド部材とのシールド接続の位置が定まりやすく、シールドシェルと電磁シールド部材とのシールド接続状態を安定化させることができる。これにより、安定した電磁シールド性能を確保することができる。
【0014】
[3]上記[2]において、前記第2突部は、エンボス形状であってもよい。
この構成によれば、シールドブラケットの第2対向面に第2突部を容易に形成することができる。
【0015】
[4]上記[1]から[3]のいずれかにおいて、前記シールドブラケットは、前記シールド電線の軸方向と交差する方向に向かって前記シールド電線を前記シールドシェルに押し当てて固定し、前記突部は、前記シールド電線の軸方向に沿って延びていてもよい。
【0016】
この構成によれば、シールド電線の軸方向に沿って延びる突部をシールド電線に接触させることができるため、突部とシールド電線との接触面積を広く確保することができる。
[5]上記[1]から[4]のいずれかにおいて、前記シールドブラケットは、前記シールド電線を前記シールドシェルに押し当てた状態で、前記シールドシェルにボルト締結されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、シールドブラケットがシールドシェルにボルト締結される。このボルト締結の際に生じるボルトの軸力によって、シールドブラケットを介してシールド電線をシールドシェルの第1対向面に向かって押圧することができる。これにより、突部とシールド電線とを好適に接触させることができる。
【0018】
[6]上記[1]から[5]のいずれかにおいて、前記シールドブラケットは、前記第2対向面を有する複数の固定部と、前記複数の固定部を連結する連結部とを有し、前記シールドブラケットは、前記複数の固定部により複数の前記シールド電線を前記シールドシェルに押し当てた状態で、前記連結部が前記シールドシェルにボルト締結されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、単一のシールドブラケットによって、複数のシールド電線をシールドシェルに押し当てて固定することができる。これにより、複数のシールド電線の各々に対して個別にシールドブラケットを設ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【0020】
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、前記シールドシェルを含むコネクタハウジングを有し、前記コネクタハウジングは、前記シールドブラケットに向かって突出する位置決め突起を有し、前記シールドブラケットは、前記位置決め突起に嵌合されるとともに、前記シールド電線の軸方向において前記位置決め突起と係合される位置決め孔を有してもよい。
【0021】
この構成によれば、シールドブラケットの位置決め孔をコネクタハウジングの位置決め突起に嵌合させることによって、シールド電線の軸方向においてコネクタハウジングに対するシールドブラケットの位置決めを容易に行うことができる。これにより、コネクタハウジングに対してシールドブラケットを固定する際の作業性を向上できる。
【0022】
[8]上記[1]から[7]のいずれかにおいて、前記シールドシェルは、アルミダイキャスト製であってもよい。
この構成によれば、導電性を有するシールドシェルを容易に製造することができる。
【0023】
[9]本開示のワイヤハーネスは、上記[1]から[8]のいずれかに記載のコネクタと、前記端子と接続される前記シールド電線と、を有する。
この構成によれば、上記[1]のコネクタと同様の効果を得ることができる。
【0024】
[10]上記[9]において、前記シールド電線は、前記電磁シールド部材の外周面に接触した状態で前記電磁シールド部材の外周に装着されるとともに導電性を有するシェルリングを有し、前記突部は、前記シェルリングの外周面に接触していてもよい。
【0025】
この構成によれば、シールドシェルおよびシールドブラケットとシェルリングとの接触位置を突部の位置に強制的に定めることができる。このため、シールドシェルとシェルリングとのシールド接続の位置が定まりやすく、シールドシェルとシェルリングとのシールド接続状態を安定化させることができる。ひいては、シェルリングと電気的に接続される電磁シールド部材とシールドシェルとのシールド接続状態を安定化させることができる。これにより、安定した電磁シールド性能を確保することができる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタおよびワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」、「直交」や「水平」は、厳密に平行、直交や水平の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行、直交や水平の場合も含まれる。また、本明細書の説明で使用される「環状」という用語は、ループを形成する任意の構造、または端部のない連続形状、並びに、C字形のようなギャップを有する、全体としてループ形状の構造を指すことがある。なお、「環状」の形状には、円形、楕円形、および尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。本明細書において、「半円」とは、真円を二等分した半円のみではなく、例えば、真円を二等分した半円よりも円弧が長いものや短いものも含む。本明細書における「対向」とは、面同士または部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。また、本明細書における「第1」「第2」「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。また、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0027】
(ワイヤハーネス10の全体構成)
図1および図2に示すように、ワイヤハーネス10は、1本または複数本(本実施形態では、2本)のシールド電線20と、シールド電線20の端部に取り付けられたコネクタ30とを有している。ワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に設けられる。ワイヤハーネス10は、例えば、高圧バッテリ、インバータや車輪駆動用のモータなどの車両用の電気機器同士を電気的に接続するものである。コネクタ30は、例えば、1つの電気機器に接続される。コネクタ30は、例えば、防水コネクタである。なお、各図面における上下方向および左右方向は、必ずしもコネクタ30およびワイヤハーネス10の使用時の姿勢を表すものではない。
【0028】
(コネクタ30の全体構成)
図2から図4に示すように、コネクタ30は、複数のシールド電線20の端部にそれぞれ接続された複数の端子31と、複数の端子31を収容する環状のコネクタハウジング40とを有している。コネクタハウジング40は、複数の端子31を覆うとともに導電性を有するシールドシェル50と、シールドシェル50の内部に収容されるインナーハウジング70とを有している。コネクタ30は、コネクタハウジング40に固定されるシールドブラケット80と、コネクタハウジング40にシールドブラケット80を固定するボルトB1とを有している。図2に示すように、コネクタ30は、例えば、インナーハウジング70が有する開口部72Xを塞ぐカバー90と、シールドシェル50が有する開口部50Yを塞ぐ蓋部材92と、シールドシェル50に蓋部材92を固定するボルトB2とを有している。コネクタ30は、シールド電線20の外周に装着されたシール部材100と、シール部材100の抜け止めを行うリテーナ110とを有している。
【0029】
(シールド電線20の構成)
図5から図7に示すように、各シールド電線20は、導電性を有する芯線21と、芯線21の外周を囲うとともに絶縁性を有する絶縁被覆22とを有している。各シールド電線20は、絶縁被覆22の外周を囲うとともに導電性を有する電磁シールド部材23と、電磁シールド部材23の外周を囲うとともに絶縁性を有するシース24とを有している。このように、各シールド電線20は、自身に電磁シールド構造を有している。なお、図5では、2本のシールド電線20のうち片方(図中左方)のシールド電線20を二点鎖線で簡略化して図示している。また、図5では、2つの端子31のうち片方(図中左方)の端子31を二点鎖線で簡略化して図示している。
【0030】
芯線21としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や単一の導体からなる単芯線を用いることができる。単芯線としては、例えば、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や、内部が中空構造をなす筒状導体を用いることができる。また、芯線21としては、撚線、柱状導体や筒状導体を組み合わせて用いてもよい。芯線21の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系の金属材料を用いることができる。
【0031】
芯線21の長さ方向と直交する平面によって芯線21を切断した断面形状、つまり芯線21の横断面形状は、任意の形状に形成することができる。芯線21の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、扁平形状に形成することができる。図6および図7に示すように、本実施形態の芯線21の横断面形状は、円形状に形成されている。
【0032】
絶縁被覆22は、例えば、芯線21の外周面を周方向全周にわたって被覆している。絶縁被覆22は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。
電磁シールド部材23は、例えば、絶縁被覆22の外周面を周方向全周にわたって包囲している。電磁シールド部材23は、例えば、可撓性を有している。電磁シールド部材23としては、例えば、複数の金属素線が筒状に編み込まれた編組線や金属箔を用いることができる。本実施形態の電磁シールド部材23は、編組線である。電磁シールド部材23の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系の金属材料を用いることができる。
【0033】
シース24は、例えば、電磁シールド部材23の外周面を周方向全周にわたって包囲している。シース24は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。
図1に示すように、各シールド電線20は、コネクタ30に向かって第1方向X1に沿って延びている。第1方向X1は、任意に設定される方向である。本実施形態の各シールド電線20の軸方向は、第1方向X1と平行に延びている。複数のシールド電線20は、例えば、第2方向Y1に並んでいる。
【0034】
以下では、ワイヤハーネス10の各構成要素の関係を説明する際には、第1方向X1の反対方向を第1反対方向X2と称する。また、第1方向X1と直交する方向のうち図1において右方に向かう方向を第2方向Y1と称し、第2方向Y1の反対方向を第2反対方向Y2と称する。第1方向X1および第2方向Y1の双方と直交する方向のうち図1において右方に向かう方向を第3方向Z1と称し、第3方向Z1の反対方向を第3反対方向Z2と称する。以上説明した各方向は、特に説明の無い限り、シールド電線20の端部にコネクタ30が組み付けられた状態における方向である。
【0035】
図5に示すように、芯線21の軸方向(ここでは、第1方向X1)の端部は、絶縁被覆22から露出している。絶縁被覆22から露出した芯線21の端部には、端子31が接続されている。端子31は、例えば、インナーハウジング70の内部に収容されている。
【0036】
電磁シールド部材23の軸方向(ここでは、第1方向X1)の端部は、シース24から露出する露出部25を有している。露出部25は、例えば、第1反対方向X2に向かって折り返されている。露出部25は、例えば、シース24の軸方向(ここでは、第1方向X1)の端部の外周を覆うように折り返されている。ここで、シース24の第1方向X1の端部には、下敷き部材26が取り付けられている。下敷き部材26は、例えば、シース24の外周面を周方向全周にわたって包囲する環状に形成されている。露出部25は、例えば、下敷き部材26の外周を覆うように折り返されている。露出部25の折り返し部分は、例えば、下敷き部材26の外周面を周方向全周にわたって包囲している。下敷き部材26の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系の金属材料を用いることができる。
【0037】
各シールド電線20は、例えば、電磁シールド部材23の外周面に接触した状態で電磁シールド部材23の外周に装着されたシェルリング27を有している。シェルリング27は、例えば、露出部25の折り返し部分の外周に取り付けられている。シェルリング27は、例えば、露出部25の折り返し部分の外周面に接触している。図6に示すように、シェルリング27は、例えば、シールドシェル50に接触するとともに、シールドブラケット80に接触している。シェルリング27は、例えば、電磁シールド部材23とシールドシェル50とを電気的に接続している。
【0038】
図7に示すように、シェルリング27は、例えば、環状に形成された本体部28と、本体部28から径方向外側に突出して設けられた1つ以上の締付部29とを有している。本実施形態のシェルリング27は、2つの締付部29を有している。本実施形態の本体部28は、円柱状をなす芯線21の外周面に沿った円環状に形成されている。本体部28の内周面は、露出部25の折り返し部分の外周面に接触している。本体部28の内周面は、例えば、本体部28の周方向全周にわたって、露出部25の折り返し部分の外周面に密着している。
【0039】
シェルリング27は、例えば、露出部25の折り返し部分に対して、その折り返し部分の外側からシェルリング27が圧着されることにより取り付けられている。シェルリング27は、例えば、下敷き部材26の外周面との間に電磁シールド部材23を挟んだ状態で下敷き部材26に対して加締められることにより、電磁シールド部材23の外周に取り付けられている。例えば、締付部29を絞り変形させることにより、本体部28を縮径させて電磁シールド部材23の外周にシェルリング27を固定している。これにより、シェルリング27は、露出部25の外周面と接触するとともに、電磁シールド部材23と電気的に接続されている。ここで、シェルリング27の圧着部分は、例えば、下敷き部材26とシールド電線20の径方向において重なる位置に設けられている。これにより、露出部25の折り返し部分に対してシェルリング27が加締められる際に、露出部25とシース24との間に下敷き部材26が介在しているため、シールド電線20自体が変形することを抑制できる。この結果、電磁シールド部材23とシェルリング27との電気的接続の安定性を向上できる。
【0040】
(端子31の構成)
図4に示すように、各端子31は、インナーハウジング70の内部に収容されている。図2に示すように、各端子31は、例えば、シールド電線20の第1方向X1の端部と接続される電線接続部32と、図示しない相手端子と接続される端子接続部33とを有している。電線接続部32は、例えば、端子接続部33とボルト締結されている。各端子31の材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。なお、相手端子としては、例えば、コネクタ30と接続される相手コネクタが備える接続端子を挙げることができる。
【0041】
電線接続部32は、絶縁被覆22から露出された芯線21の第1方向X1の端部に接続されている。電線接続部32は、例えば、圧着や超音波溶接によって芯線21に接続されている。これにより、電線接続部32と芯線21とが電気的および機械的に接続されている。
【0042】
端子接続部33は、例えば、電線接続部32から第3反対方向Z2に向かって突出している。端子接続部33の先端には、環状に形成された雌型端子34が設けられている。雌型端子34は、例えば、外縁形状が四角形の四角環状に形成されている。
【0043】
(インナーハウジング70の構成)
インナーハウジング70は、例えば、基部71と、端子収容部72とを有している。インナーハウジング70は、例えば、合成樹脂製である。インナーハウジング70は、シールドシェル50とは別部品である。
【0044】
図5に示すように、基部71は、例えば、2つの収容筒73を有している。各収容筒73には、端子31の電線接続部32の一部が収容されている。各収容筒73には、例えば、シールド電線20の芯線21と電線接続部32との接続部分が収容されている。基部71は、例えば、第1方向X1に沿って延びる板状部74を有している。板状部74は、第2方向Y1において2つの収容筒73の間に設けられている。板状部74は、例えば、収容筒73の第1反対方向X2の端面よりも第1反対方向X2に向かって突出している。板状部74は、例えば、第3方向Z1に向かって突出する位置決め突起75を有している。位置決め突起75は、例えば、2つの収容筒73の間に挟まれるように設けられている。位置決め突起75は、例えば、第3方向Z1から見た平面形状がH字状に形成されている。
【0045】
板状部74は、例えば、固定孔76を有している。固定孔76は、例えば、板状部74を第3方向Z1に貫通するように形成されている。固定孔76は、例えば、位置決め突起75よりも第1反対方向X2に設けられている。固定孔76は、例えば、収容筒73の第1反対方向X2の端面よりも第1反対方向X2に設けられている。図6に示すように、固定孔76内には、ボルトB1が挿入可能な金属製のカラー77が組み付けられている。カラー77の材料としては、例えば、銅系、アルミニウム系や鉄系等の金属材料を用いることができる。カラー77は、ボルトB1が貫通する貫通孔77Xを有している。インナーハウジング70は、例えば、固定孔76およびカラー77の貫通孔77Xに挿入されるボルトB1によって、シールドシェル50に固定される。
【0046】
図2に示すように、端子収容部72は、例えば、基部71の第1方向X1の端部から第3反対方向Z2に延びるように形成されている。図4に示すように、端子収容部72は、2つの収容筒78を有している。2つの収容筒78の内部空間は、2つの収容筒73の内部空間とそれぞれ連通している。各収容筒78には、端子31の電線接続部32の一部と、端子31の端子接続部33とが収容されている。各収容筒78には、電線接続部32と端子接続部33との接続部分が収容されている。端子収容部72は、例えば、第3方向Z1に開口する開口部72Xを有している。開口部72Xは、例えば、電線接続部32と端子接続部33との接続部分、本実施形態ではボルト締結部分を露出している。
【0047】
図2に示すように、端子収容部72の外周面には、例えば、シール部材79が装着されている。シール部材79は、例えば、端子収容部72の周方向全周にわたって連続した環状に形成されている。シール部材79は、端子収容部72の外周面とシールドシェル50の内周面との間をシールする。シール部材79は、例えば、ゴム製である。
【0048】
(シールドシェル50の構成)
図4に示すように、シールドシェル50は、インナーハウジング70の外周を包囲している。シールドシェル50は、例えば、全体として箱状に形成されている。シールドシェル50は、例えば、金属製である。シールドシェル50の材料としては、例えば、銅系、アルミニウム系や鉄系等の金属材料を用いることができる。シールドシェル50は、例えば、アルミダイキャスト製である。
【0049】
図5に示すように、シールドシェル50は、例えば、第1反対方向X2に開口する開口部50Xを有している。シールドシェル50の開口部50Xには、シールド電線20が第1反対方向X2から第1方向X1に沿って挿入される。シールドシェル50の内部に収容されたシールド電線20は、インナーハウジング70の内部に挿入されている。
【0050】
図2に示すように、シールドシェル50は、第1方向X1に設けられた周壁51と、第2方向Y1に設けられた周壁52と、第2反対方向Y2に設けられた周壁53とを有している。シールドシェル50は、第3方向Z1に設けられた周壁54と、第3反対方向Z2に設けられた周壁55とを有している。
【0051】
シールドシェル50は、第3方向Z1に開口する開口部50Yと、第3反対方向Z2に開口する開口部50Zとを有している。開口部50Yは、シールドシェル50の第3方向Z1に設けられた周壁54に形成されている。開口部50Yは、周壁54の一部を第3方向Z1に貫通するように形成されている。開口部50Yは、例えば、周壁54の第1方向X1寄りの大部分を貫通するように設けられている。開口部50Yは、インナーハウジング70が挿入可能な大きさに形成されている。開口部50Yは、シールドシェル50の内部空間に連通している。
【0052】
開口部50Zは、シールドシェル50の第3反対方向Z2に設けられた周壁55に形成されている。開口部50Zは、周壁55の一部を第3方向Z1に貫通するように形成されている。開口部50Zは、例えば、周壁55の第1方向X1の端部に設けられている。開口部50Zは、インナーハウジング70の端子収容部72が挿入可能な大きさに形成されている。開口部50Zは、シールドシェル50の内部空間に連通している。開口部50Zには、端子収容部72が貫通される。開口部50Zは、例えば、開口部50Yよりも小さい。例えば、第1方向X1に沿う開口部50Zの開口幅は、第1方向X1に沿う開口部50Yの開口幅よりも小さい。シールドシェル50には、開口部50Yから第3反対方向Z2に沿ってインナーハウジング70が挿入される。
【0053】
図5に示すように、シールドシェル50の外周面は、1つまたは複数(本実施形態では、2つ)の係合部56を有している。2つの係合部56は、例えば、周壁52のうち第1反対方向X2の端部における外面と、周壁53のうち第1反対方向X2の端部における外面とに1つずつ設けられている。2つの係合部56は、例えば、第2方向Y1において互いに離れる方向に向かって突出している。各係合部56は、周壁52,53の外面からシールドシェル50の径方向外側に向かって突出している。
【0054】
図2に示すように、周壁55の第3方向Z1の端面、つまり周壁55の内面55Aには、内面55Aから第3方向Z1に突出する複数(本実施形態では、2つ)の突出部60と、内面55Aから第3方向Z1に突出する固定部65とが設けられている。
【0055】
図5に示すように、2つの突出部60は、2本のシールド電線20に対応してそれぞれ設けられている。2つの突出部60は、例えば、第2方向Y1に沿って並んで設けられている。2つの突出部60は、例えば、第2方向Y1において互いに離れて設けられている。2つの突出部60は、例えば、インナーハウジング70の収容筒73よりも第1反対方向X2に設けられている。
【0056】
各突出部60は、突出部60の突出先端面から内面55Aに向かって凹む凹部61を有している。凹部61は、例えば、シールド電線20の軸方向(ここでは、第1方向X1)に沿って延びている。凹部61は、例えば、第1方向X1において、突出部60の全長にわたって延びている。
【0057】
図6および図7に示すように、凹部61は、シールド電線20に対向する第1対向面62を有している。第1対向面62は、例えば、凹部61の内面である。第1対向面62は、例えば、シェルリング27に対向している。第1対向面62は、例えば、シェルリング27の外周面に対応する形状に形成されている。本実施形態の第1対向面62は、円環状をなすシェルリング27の本体部28の外周面に沿って円弧状に湾曲する曲面に形成されている。凹部61は、シェルリング27の一部が内側に嵌合可能な大きさに形成されている。
【0058】
凹部61は、第1対向面62から電磁シールド部材23に向かって突出するとともにシールド電線20に接触する1つ以上の第1突部63を有している。凹部61は、シールド電線20の周方向において互いに間隔を空けて設けられた3つの第1突部63を有している。3つの第1突部63は、例えば、第1対向面62の周方向に等間隔に設けられている。各第1突部63は、シェルリング27の外周面に接触可能に設けられている。例えば、3つの第1突部63のうち少なくとも2つの第1突部63がシェルリング27の本体部28の外周面に接触している。図5に示すように、各第1突部63は、例えば、シールド電線20の軸方向(ここでは、第1方向X1)に沿って延びている。各第1突部63は、例えば、第1方向X1において、凹部61の全長にわたって延びている。
【0059】
図7に示すように、固定部65は、周壁55の内面55Aから第3方向Z1に向かって突出する柱状に形成されている。固定部65は、例えば、第2方向Y1において、2つの突出部60の間に設けられている。固定部65は、例えば、第2方向Y1において、2つの突出部60と離れて設けられている。固定部65は、ボルトB1が挿入される固定穴66を有している。固定穴66は、固定部65の突出先端面から周壁55の内面55Aに向かって凹むように形成されている。固定穴66は、第3方向Z1から見た平面視において、インナーハウジング70の固定孔76およびその固定孔76に組み付けられたカラー77と重なる位置に設けられている。固定穴66は、カラー77の貫通孔77Xと連通するように設けられている。
【0060】
(シールドブラケット80の構成)
シールドブラケット80は、例えば、複数の固定部81と、複数の固定部81を連結する連結部86とを有している。シールドブラケット80は、例えば、複数の固定部81と連結部86とが連続して一体に形成された単一部品である。シールドブラケット80は、例えば、金属製である。シールドブラケット80の材料としては、例えば、銅系、アルミニウム系や鉄系等の金属材料を用いることができる。
【0061】
2つの固定部81は、2本のシールド電線20に対応してそれぞれ設けられている。2つの固定部81は、例えば、第2方向Y1に沿って並んで設けられている。2つの固定部81は、例えば、第2方向Y1において互いに離れて設けられている。
【0062】
各固定部81は、シールド電線20に対向する第2対向面82を有している。第2対向面82は、例えば、シェルリング27に対向している。第2対向面82は、例えば、シールドシェル50の第1対向面62に対向している。第2対向面82は、例えば、シェルリング27の外周面に対応する形状に形成されている。本実施形態の第2対向面82は、円環状をなすシェルリング27の本体部28の外周面に沿って円弧状に湾曲する曲面に形成されている。本実施形態の第2対向面82に沿った横断面形状は、全体として半円弧状に形成されている。固定部81の外面に沿った横断面形状は、例えば、第2対向面82と同様に、全体として半円弧状に形成されている。第2対向面82の周方向の第1端部は、連結部86に接続されている。
【0063】
各固定部81は、第2対向面82から電磁シールド部材23に向かって突出するとともにシールド電線20に接触する1つ以上の第2突部83を有している。各固定部81は、シールド電線20の周方向において互いに間隔を空けて設けられた2つの第2突部83を有している。各第2突部83は、シェルリング27の外周面に接触可能に設けられている。例えば、2つの第2突部83のうち少なくとも1つの第2突部83がシェルリング27の本体部28の外周面に接触している。
【0064】
各第2突部83は、例えば、エンボス加工によって形成することができる。各第2突部83は、例えば、固定部81の外面を金型で加圧することによりエンボス状に形成されている。各第2突部83の横断面形状は、シールド電線20に向かって半円状に突出した形状に形成されている。各固定部81では、第2突部83が形成された部分の外面に窪み部84が設けられている。窪み部84は、固定部81の外面から第2対向面82に向かって窪むように形成されている。
【0065】
図8に示すように、各第2突部83は、例えば、シールド電線20の軸方向(ここでは、第1方向X1)に沿って延びている。各第2突部83は、例えば、第1方向X1において、固定部81の中間部分のみに形成されている。換言すると、各第2突部83は、固定部81の第1方向X1の端部まで延びていない。
【0066】
各固定部81は、第2方向Y1または第2反対方向Y2に向かって延びる延長部85を有している。延長部85は、第2対向面82の周方向の第2端部から、連結部86から離れる方向に向かって延びている。ここで、第2対向面82の周方向の第2端部は、第2対向面82の周方向の端部のうち連結部86と接続された第1端部とは反対に設けられた端部である。延長部85は、例えば、第2方向Y1に沿って水平に延びている。
【0067】
連結部86は、第2方向Y1において、2つの固定部81の間に設けられている。連結部86の第2方向Y1の両端部は2つの固定部81にそれぞれ接続されている。連結部86は、例えば、平板状に形成されている。連結部86は、例えば、第1方向X1に延びるように形成されている。連結部86は、例えば、固定部81の第1方向X1の端部よりも第1方向X1に突出するように形成されている。連結部86の第1反対方向X2の端部は、第1反対方向X2において、固定部81の第1反対方向X2の端部と等しい位置に設けられている。第1方向X1に沿う連結部86の長さ寸法は、第1方向X1に沿う固定部81の長さ寸法よりも大きい。
【0068】
連結部86は、例えば、位置決め孔87を有している。位置決め孔87は、例えば、固定部81よりも第1方向X1に設けられている。位置決め孔87は、連結部86を連結部86の板厚方向(ここでは、第3方向Z1)に貫通するように形成されている。位置決め孔87は、例えば、位置決め孔87の貫通方向(ここでは、第3方向Z1)から見た平面形状が矩形状に形成されている。図3に示すように、位置決め孔87は、インナーハウジング70の位置決め突起75の外側に嵌合可能な大きさに形成されている。位置決め孔87は、位置決め突起75の外側に嵌合されると、シールド電線20の軸方向(ここでは、第1方向X1)において位置決め突起75と係合される。位置決め孔87は、位置決め突起75の外側に嵌合されると、第2方向Y1において位置決め突起75と係合される。このように、位置決め突起75に位置決め孔87を嵌合させることにより、第1方向X1および第2方向Y1におけるコネクタハウジング40に対するシールドブラケット80の位置決めを容易に行うことができる。コネクタハウジング40に対してシールドブラケット80が位置決めされると、各固定部81が第3方向Z1においてシールドシェル50の突出部60の凹部61と対向する。
【0069】
図4に示すように、連結部86は、ボルトB1が挿入される固定孔88を有している。固定孔88は、例えば、第2方向Y1において、固定部81と部分的に重なる位置に設けられている。固定孔88は、連結部86を第3方向Z1に貫通するように形成されている。固定孔88は、例えば、固定孔88の貫通方向(ここでは、第3方向Z1)から見た平面形状が円形状に形成されている。図6に示すように、固定孔88は、第3方向Z1から見た平面視において、インナーハウジング70の固定孔76およびシールドシェル50の固定穴66と重なる位置に設けられている。固定孔88は、固定孔76に組み付けられたカラー77の貫通孔77Xと連通するとともに、固定穴66と連通するように設けられている。図4に示すように、本実施形態のシールドブラケット80では、位置決め孔87が位置決め突起75に嵌合されて位置決めされると、固定孔88がカラー77の貫通孔77Xと連通するように位置合わせされる。
【0070】
図6に示すように、シールドブラケット80は、固定孔88に挿入されるボルトB1によってシールドシェル50に固定されている。すなわち、シールドブラケット80は、シールドシェル50に対してボルト締結されている。詳述すると、固定孔88は、シールド電線20の軸方向と交差する方向である第3方向Z1において、インナーハウジング70の固定孔76に組み付けられたカラー77の貫通孔77X、およびシールドシェル50の固定穴66と重ね合わされる。そして、互いに重ね合わされた固定孔88と貫通孔77Xと固定穴66とに対してボルトB1がねじ込まれることにより、シールドシェル50およびインナーハウジング70に対してシールドブラケット80がボルト締結される。このとき、ボルトB1により、シールドシェル50に対してインナーハウジング70もボルト固定される。
【0071】
シールドブラケット80は、シールド電線20をシールドシェル50に押し当てて固定している。シールドブラケット80は、電磁シールド部材23をシールドシェル50に電気的に接続した状態で、シールド電線20をシールドシェル50に押し当てて固定している。シールドブラケット80は、例えば、シールド電線20のうちシェルリング27に接触した状態でシェルリング27をシールドシェル50に押し当てて固定している。シールドブラケット80は、シールド電線20の軸方向と交差する第3方向Z1において、シールドシェル50との間でシェルリング27を挟持しつつ、そのシェルリング27をシールドシェル50に向かって押圧している。例えば、ボルトB1の締め付けにより生じる軸力によって、シールドブラケット80の各固定部81が各シールド電線20のシェルリング27を各凹部61の第1対向面62に向かって押圧している。このとき、各固定部81の第2突部83がシールド電線20の外周面に接触しており、各凹部61の第1突部63がシールド電線20の外周面に接触している。本実施形態では、各固定部81の第2突部83がシェルリング27の外周面に接触しており、各凹部61の第1突部63がシェルリング27の外周面に接触している。例えば、3つの第1突部63のうち少なくとも2つの第1突部63がシェルリング27の外周面に接触するとともに、2つの第2突部83のうち少なくとも1つの第2突部83がシェルリング27の外周面に接触している。これにより、シールドシェル50と電磁シールド部材23とがシェルリング27を通じて電気的に接続されている。そして、電磁シールド部材23は、シェルリング27およびシールドシェル50を通じて、図示しない接地部位にアース接続されている。
【0072】
(カバー90の構成)
図3に示すように、カバー90は、インナーハウジング70の端子収容部72が有する開口部72Xを塞ぐように、インナーハウジング70に取り付けられている。カバー90は、開口部72Xの全体を塞ぐように設けられている。
【0073】
(蓋部材92の構成)
図2に示すように、蓋部材92は、シールドシェル50の開口部50Yを塞ぐように、シールドシェル50に取り付けられている。蓋部材92は、開口部50Yの全体を塞ぐように設けられている。蓋部材92は、例えば、1つ以上(本実施形態では、2つ)のボルトB2により、シールドシェル50に固定されている。
【0074】
図6に示すように、蓋部材92は、シールドシェル50の内側に嵌合する嵌合部93を有している。嵌合部93は、例えば、全体として枠状に形成されている。嵌合部93の外周面は、開口部50Yの内周面に沿った形状に形成されている。嵌合部93の外周面は、例えば、第3方向Z1から見た平面形状が四角形状に形成されている。嵌合部93の外周面には、シール部材94が装着されている。シール部材94は、枠状をなす嵌合部93の周方向全周にわたって連続した環状に形成されている。シール部材94は、嵌合部93の外周面とシールドシェル50の内周面との間をシールする。シール部材94は、例えば、ゴム製である。
【0075】
(シール部材100の構成)
図2に示すように、シール部材100は、例えば、2本のシールド電線20に一括して取り付けられている。シール部材100は、シェルリング27よりも第1反対方向X2に設けられている。図5に示すように、シール部材100は、例えば、2本のシールド電線20が個別に貫通する2つの貫通孔100Xを有している。2つの貫通孔100Xは、第2方向Y1において互いに離れて設けられている。各貫通孔100Xは、例えば、シール部材100を第1方向X1に貫通するように形成されている。各貫通孔100Xの内周面は、シールド電線20の外周面に沿った形状に形成されている。シール部材100の外周面は、例えば、シールドシェル50の第1反対方向X2の端部における内周面、具体的には開口部50Xの内周面に沿った形状に形成されている。シール部材100は、シールド電線20の外周面とシールドシェル50の内周面との間をシールする。シール部材100は、例えば、ゴム製である。
【0076】
(リテーナ110の構成)
リテーナ110は、例えば、シールドシェル50の第1反対方向X2の端部に取り付けられている。リテーナ110は、シールドシェル50からのシール部材100の抜け止めを行う。リテーナ110は、本体部111と、本体部111から第1方向X1に突出する連結部112とを有している。本体部111は、シールドシェル50の開口部50Xを塞ぐように設けられている。本体部111は、2本のシールド電線20が個別に貫通する2つの電線貫通孔111Xを有している。各電線貫通孔111Xは、本体部111を第1方向X1に貫通している。連結部112は、シールドシェル50の外周面の一部を覆うように設けられている。連結部112は、シールドシェル50の係合部56に係合する係合部113を有している。リテーナ110の係合部56とシールドシェル50の係合部56とが互いに係合することにより、リテーナ110がシールドシェル50に取り付けられる。
【0077】
なお、各シールド電線20は、シール部材100およびリテーナ110を第1反対方向X2に貫通してシールドシェル50の外部に引き出されている。
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
【0078】
(1)コネクタ30は、導電性を有する芯線21と、芯線21の外周を囲う絶縁被覆22と、絶縁被覆22の外周を囲うとともに導電性を有する電磁シールド部材23とを有するシールド電線20の端部に接続される。コネクタ30は、芯線21の端部に接続されるとともに導電性を有する端子31と、端子31を覆うとともに導電性を有するシールドシェル50とを備える。コネクタ30は、電磁シールド部材23をシールドシェル50に電気的に接続した状態で、シールド電線20をシールドシェル50に押し当てて固定するシールドブラケット80を備える。シールドシェル50は、電磁シールド部材23に対向する第1対向面62を有する。シールドブラケット80は、電磁シールド部材23に対向する第2対向面82を有する。第1対向面62には、電磁シールド部材23に向かって突出するとともにシールド電線20に接触する第1突部63が設けられている。第2対向面82には、電磁シールド部材23に向かって突出するとともにシールド電線20に接触する第2突部83が設けられている。
【0079】
この構成によれば、シールドシェル50の第1対向面62およびシールドブラケット80の第2対向面82に、電磁シールド部材23に向かって突出するとともにシールド電線20に接触する第1突部63および第2突部83がそれぞれ設けられる。このため、シールドブラケット80によってシールド電線20がシールドシェル50に対して押し当てられると、シールド電線20に対して第1突部63および第2突部83を好適に接触させることができる。
【0080】
ところで、第1対向面62および第2対向面82が突部を有さない滑らかな曲面や平面である場合には、第1対向面62および第2対向面82とシールド電線20との接触位置が定まりにくい。このため、シールドシェル50とシールド電線20の電磁シールド部材23とのシールド接続の位置が定まりにくく、シールドシェル50と電磁シールド部材23とのシールド接続状態が不安定になりやすい。例えば、第1対向面62および第2対向面82が突部を有さない滑らかな面である場合には、第1対向面62および第2対向面82とシールド電線20との接触面積にばらつきが生じやすい。このため、シールドシェル50と電磁シールド部材23とのシールド接続状態が安定せずに、シールドシェル50および電磁シールド部材23による電磁シールド性能にばらつきが生じる。
【0081】
これに対し、上記構成では、第1対向面62に第1突部63を設けることで、シールドシェル50とシールド電線20との接触位置を第1突部63の位置に強制的に定めることができる。また、第2対向面82に第2突部83を設けることで、シールドブラケット80とシールド電線20との接触位置を第2突部83の位置に強制的に定めることができる。このため、シールドシェル50およびシールドブラケット80とシールド電線20の電磁シールド部材23とのシールド接続の位置が定まりやすく、シールドシェル50と電磁シールド部材23とのシールド接続状態を安定化させることができる。例えば、第1対向面62および第2対向面82に第1突部63および第2突部83をそれぞれ設けることで、シールドシェル50およびシールドブラケット80とシールド電線20との接触面積にばらつきが生じることを抑制できる。これにより、安定した電磁シールド性能を確保することができる。
【0082】
(2)第2突部83は、エンボス形状である。この構成によれば、シールドブラケット80の第2対向面82に第2突部83を容易に形成することができる。
(3)第1突部63および第2突部83の各々は、シールド電線20の軸方向に沿って延びている。この構成によれば、シールド電線20の軸方向に沿って延びる第1突部63および第2突部83をシールド電線20に接触させることができるため、第1突部63および第2突部83とシールド電線20との接触面積を広く確保することができる。
【0083】
(4)シールドブラケット80がシールドシェル50にボルト締結される。このボルト締結の際に生じるボルトB1の軸力によって、シールドブラケット80を介してシールド電線20をシールドシェル50の第1対向面62に向かって押圧することができる。これにより、第1突部63および第2突部83とシールド電線20とを好適に接触させることができる。
【0084】
(5)シールドブラケット80は、複数の固定部81により複数のシールド電線20をシールドシェル50に押し当てた状態で、連結部86がシールドシェル50にボルト締結される。この構成によれば、単一のシールドブラケット80によって、複数のシールド電線20をシールドシェル50に押し当てて固定することができる。これにより、複数のシールド電線20の各々に対して個別にシールドブラケット80を設ける場合に比べて、コネクタ30の部品点数を削減することができる。
【0085】
(6)コネクタハウジング40のインナーハウジング70は、シールドブラケット80に向かって突出する位置決め突起75を有する。シールドブラケット80は、位置決め突起75に嵌合されるとともに、シールド電線20の軸方向において位置決め突起75と係合される位置決め孔87を有する。この構成によれば、位置決め孔87を位置決め突起75に嵌合させることによって、シールド電線20の軸方向においてコネクタハウジング40に対するシールドブラケット80の位置決めを容易に行うことができる。これにより、コネクタハウジング40に対してシールドブラケット80を固定する際の作業性を向上できる。
【0086】
(7)シールドシェル50はアルミダイキャスト製である。この構成によれば、導電性を有するシールドシェル50を容易に製造することができる。
(8)シールド電線20は、電磁シールド部材23の外周面に接触した状態で電磁シールド部材23の外周に装着されるとともに導電性を有するシェルリング27を有する。第1突部63および第2突部83の各々は、シェルリング27の外周面に接触している。この構成によれば、シールドシェル50とシェルリング27との接触位置を第1突部63の位置に強制的に定めることができるとともに、シールドブラケット80とシェルリング27との接触位置を第2突部83の位置に強制的に定めることができる。このため、シールドシェル50とシェルリング27とのシールド接続の位置が定まりやすく、シールドシェル50とシェルリング27とのシールド接続状態を安定化させることができる。ひいては、シェルリング27と電気的に接続される電磁シールド部材23とシールドシェル50とのシールド接続状態を安定化させることができる。これにより、安定した電磁シールド性能を確保することができる。
【0087】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0088】
・上記実施形態におけるシールドブラケット80の構造は適宜変更することができる。
例えば図9に示すように、各固定部81と連結部86との接続部分にリブ89を設けるようにしてもよい。リブ89は、例えば、連結部86の外面、つまり連結部86の第3方向Z1の端面から第3方向Z1に向かって突出している。リブ89は、例えば、各固定部81の外面から第3方向Z1に向かって突出するとともに、各固定部81の外面から連結部86に向かって突出している。リブ89は、例えば、点状に形成されている。リブ89は、例えば、エンボス加工によって形成することができる。リブ89は、例えば、連結部86の第3反対方向Z2の端面および各固定部81の第2対向面82を金型で加圧することによりエンボス状に形成されている。リブ89は、例えば、第1方向X1において、固定部81の中間部分のみに設けられている。リブ89は、例えば、固定部81の第1方向X1における中央部のみに設けられている。第1方向X1に沿うリブ89の長さ寸法は、第1方向X1に沿う第2突部83(図8参照)の長さ寸法よりも小さい。
【0089】
この構成によれば、各固定部81と連結部86との接続部分にリブ89を設けたことにより、各固定部81と連結部86との接続部分が変形することを抑制できる。例えば、ボルトB1(図7参照)を締め付ける際に、各固定部81と連結部86との接続部分が変形することを抑制できるため、シールドブラケット80の各固定部81がボルトB1の軸力をシールド電線20に好適に伝えることができる。したがって、各固定部81の第2突部83がシールド電線20をシールドシェル50の第1突部63に好適に押し当てることができる。
【0090】
・上記実施形態では、1つのボルトB1により、シールドシェル50に対してシールドブラケット80をボルト締結するようにしたが、これに限定されない。例えば、複数のボルトB1により、シールドシェル50に対してシールドブラケット80をボルト締結するようにしてもよい。また、ボルト締結以外の方法により、シールドシェル50に対してシールドブラケット80を固定するようにしてもよい。
【0091】
・上記実施形態では、第2突部83を、シールド電線20の軸方向に沿って延びるように形成したが、これに限定されない。例えば、第2突部83を、シールド電線20の軸方向と交差する方向に沿って延びるように形成してもよい。例えば、第2突部83を点状に形成してもよい。
【0092】
・上記実施形態のシールドブラケット80の各固定部81が有する第2突部83の個数は特に限定されない。例えば、各固定部81が有する第2突部83の個数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0093】
・上記実施形態のシールドブラケット80における位置決め孔87を省略してもよい。この場合には、インナーハウジング70における位置決め突起75も省略することができる。
【0094】
・上記実施形態におけるコネクタハウジング40の構造は適宜変更することができる。
・上記実施形態では、コネクタハウジング40のうちインナーハウジング70に位置決め突起75を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、コネクタハウジング40のうちシールドシェル50に位置決め突起75を設けるようにしてもよい。
【0095】
・上記実施形態では、コネクタハウジング40に位置決め突起75を設け、シールドブラケット80に位置決め孔87を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、コネクタハウジング40に位置決め孔87を設け、シールドブラケット80に位置決め突起75を設けるようにしてもよい。
【0096】
・上記実施形態のインナーハウジング70は、端子31を保持可能な構造を有していれば、その他の構造は特に限定されない。例えば、インナーハウジング70を、銅系、アルミニウム系や鉄系等の金属材料で構成するようにしてもよい。
【0097】
・上記実施形態では、ボルトB1により、コネクタハウジング40に対するシールドブラケット80の固定と、シールドシェル50に対するインナーハウジング70の固定とを1か所で行うようにしたが、これに限定されない。例えば、コネクタハウジング40に対するシールドブラケット80の固定と、シールドシェル50に対するインナーハウジング70の固定とを、それぞれ別の部位で行うようにしてもよい。
【0098】
・上記実施形態のシールドシェル50は、端子31を覆う構造を有し、第1対向面62を有する構造を有していれば、その他の構造は特に限定されない。例えば、シールドシェル50は、アルミダイキャスト製に限らない。例えば、シールドシェル50は、切削などの加工方法により形成されてもよい。
【0099】
・上記実施形態のシールドシェル50の各凹部61が有する第1突部63の個数は特に限定されない。例えば、各凹部61が有する第2突部83の個数は、1つまたは2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0100】
・上記実施形態のコネクタ30では、突部として、シールドシェル50の第1突部63と、シールドブラケット80の第2突部83とを設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、第1突部63および第2突部83のいずれか一方の突部を省略してもよい。
【0101】
・上記実施形態のシールド電線20の構造は適宜変更することができる。
・上記実施形態のシェルリング27の形状は、上記実施形態の形状に限定されない。例えば、シェルリング27の外形は、第1方向X1から見て、多角形状、角丸四角形状、その他の任意の形状等の何れかの形状であってもよい。なお、シェルリング27の外形を変更した場合には、シェルリング27の外形に合わせてシールドブラケット80の固定部81の形状も変更される。
【0102】
・上記実施形態のシールド電線20におけるシェルリング27を省略してもよい。この場合には、電磁シールド部材23の外周面に第1突部63および第2突部83が直接接触される。
【0103】
・上記実施形態のシールド電線20における下敷き部材26を省略してもよい。
・上記実施形態のシールド電線20におけるシース24を省略してもよい。
・上記実施形態のコネクタ30が備える端子31の個数は、2つに限定されない。例えば、コネクタ30が有する端子31の個数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。なお、シールド電線20の数は、端子31の数に応じて適宜変更することができる。
【0104】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0105】
10 ワイヤハーネス
20 シールド電線
21 芯線
22 絶縁被覆
23 電磁シールド部材
24 シース
25 露出部
26 下敷き部材
27 シェルリング
28 本体部
29 締付部
30 コネクタ
31 端子
32 電線接続部
33 端子接続部
34 雌型端子
40 コネクタハウジング
50 シールドシェル
50X,50Y,50Z 開口部
51,52,53,54,55 周壁
55A 内面
56 係合部
60 突出部
61 凹部
62 第1対向面
63 第1突部
65 固定部
66 固定穴
70 インナーハウジング
71 基部
72 端子収容部
72X 開口部
73 収容筒
74 板状部
75 位置決め突起
76 固定孔
77 カラー
77X 貫通孔
78 収容筒
79 シール部材
80 シールドブラケット
81 固定部
82 第2対向面
83 第2突部
84 窪み部
85 延長部
86 連結部
87 位置決め孔
88 固定孔
89 リブ
90 カバー
92 蓋部材
93 嵌合部
94,100 シール部材
100X 貫通孔
110 リテーナ
111 本体部
111X 電線貫通孔
112 連結部
113 係合部
B1 ボルト
B2 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9