(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100139
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】接地部品および接地部品付きコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 4/64 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H01R4/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003905
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大石 卓弥
(57)【要約】
【課題】構成の簡素化を可能とした接地部品および接地部品付きコネクタを提供する。
【解決手段】接地部品13は、先端側にアース電位部21を露出状態で有するとともに基端側にアース電位部21を保持する絶縁ハウジング22を有するコネクタ12に装着される。接地部品13は、アース電位部21に直接接触する第1接触部31と、アース電位とされた接地対象Gに直接接触する第2接触部32と、第1接触部31と第2接触部32とを繋ぐばね部33と、を備える。そして、ばね部33は、第2接触部32に対して接地対象Gに押し当てる押圧力を付与する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側にアース電位部を露出状態で有するとともに基端側に前記アース電位部を保持する絶縁ハウジングを有するコネクタに装着される接地部品であって、
前記アース電位部に直接接触する第1接触部と、
アース電位とされた接地対象に直接接触する第2接触部と、
前記第1接触部と前記第2接触部とを繋ぐばね部と、を備え、
前記ばね部は、前記第2接触部に対して前記接地対象に押し当てる押圧力を付与する、
接地部品。
【請求項2】
前記第1接触部は、前記コネクタが機器に接続された状態において、前記機器と前記絶縁ハウジングとの間から露出する前記アース電位部の露出部に対して組付可能に構成されている、
請求項1に記載の接地部品。
【請求項3】
前記第1接触部は、自身の弾性力によって前記アース電位部を挟み込む一対の弾性片を含んでいる、
請求項1に記載の接地部品。
【請求項4】
前記一対の弾性片の間には、前記アース電位部を挿入可能な挿入口が形成されている、
請求項3に記載の接地部品。
【請求項5】
前記一対の弾性片は、それぞれの前記弾性片の先端から互いに近づく方向に突出する一対の突出部を有している、
請求項3に記載の接地部品。
【請求項6】
前記ばね部は、前記絶縁ハウジングに当接する当接部を有している、
請求項1に記載の接地部品。
【請求項7】
前記ばね部は、
前記当接部の端部に形成された第1折り返し部と、
前記第2接触部の端部に形成された第2折り返し部と、
前記当接部と前記第2接触部との間において前記第1折り返し部と前記第2折り返し部とを繋ぐように設けられ、前記当接部および前記第2接触部の各々に対して傾斜する傾斜部と、を有している、
請求項6に記載の接地部品。
【請求項8】
前記ばね部は、前記絶縁ハウジングに対して面接触可能な平坦形状をなし、
前記第2接触部は、前記接地対象に面接触可能な平坦形状をなしている、
請求項7に記載の接地部品。
【請求項9】
前記当接部と前記第2接触部とは、互いに平行をなしている、
請求項8に記載の接地部品。
【請求項10】
前記第2接触部は、前記接地対象に接触する面にやすり部を有している、
請求項1に記載の接地部品。
【請求項11】
前記第1接触部と、前記第2接触部と、前記ばね部とは、単一の導体部品にて一体に形成されている、
請求項1に記載の接地部品。
【請求項12】
アース電位部と、前記アース電位部を保持する絶縁ハウジングとを有するコネクタと、
前記コネクタに装着された、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の接地部品と、を備える、
接地部品付きコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接地部品および接地部品付きコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車載機器におけるグランド接地構造が記載されている。同グランド接地構造では、車載機器に接続されるコネクタが、AVケーブル等の接地用の電線を介してアース電位とされた接地対象に接地される。このようなグランド接地構造を採用することで、車載機器におけるノイズ対策を施すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなグランド接地構造では、接地用の電線の端部に設けられた端子が接地対象に対してねじ止め等の固定手段によって固定される必要がある。したがって、接地対象において接地用の電線の端子を固定可能な構成が必要となるため、構成が煩雑となるおそれがあった。
【0005】
本開示の目的は、構成の簡素化を可能とした接地部品および接地部品付きコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の接地部品は、先端側にアース電位部を露出状態で有するとともに基端側に前記アース電位部を保持する絶縁ハウジングを有するコネクタに装着される接地部品であって、前記アース電位部に直接接触する第1接触部と、アース電位とされた接地対象に直接接触する第2接触部と、前記第1接触部と前記第2接触部とを繋ぐばね部と、を備え、前記ばね部は、前記第2接触部に対して前記接地対象に押し当てる押圧力を付与する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の接地部品および接地部品付きコネクタによれば、構成の簡素化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態における接地部品付きコネクタを示す側面図である。
【
図2】
図2は、同形態における接地部品を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、同形態における接地部品を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の接地部品は、
[1]先端側にアース電位部を露出状態で有するとともに基端側に前記アース電位部を保持する絶縁ハウジングを有するコネクタに装着される接地部品であって、前記アース電位部に直接接触する第1接触部と、アース電位とされた接地対象に直接接触する第2接触部と、前記第1接触部と前記第2接触部とを繋ぐばね部と、を備え、前記ばね部は、前記第2接触部に対して前記接地対象に押し当てる押圧力を付与する。
【0010】
この構成によれば、第2接触部がばね部によって接地対象に押し付けられることで、第2接触部と接地対象とが接続される。すなわち、ばね部の押圧力によって第2接触部を接地対象に当てるだけで、接地部品と接地対象との接続を完了させることが可能となる。これにより、接地部品と接地対象との接続において、ねじ止め等の固定手段を別途必要としない。したがって、構成の簡素化が可能となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記第1接触部は、前記コネクタが機器に接続された状態において、前記機器と前記絶縁ハウジングとの間から露出する前記アース電位部の露出部に対して組付可能に構成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、機器に接続された状態のコネクタに対して、接地部品を後付けすることが可能となる。これにより、接地部品の組付性を向上させることが可能となる。
[3]上記[1]または[2]において、前記第1接触部は、自身の弾性力によって前記アース電位部を挟み込む一対の弾性片を含んでいてもよい。
【0013】
この構成によれば、第1接触部としての一対の弾性片をコネクタのアース電位部に対してより確実に接触させることが可能となる。また、一対の弾性片がアース電位部を挟み込むことで、接地部品をコネクタに強固に固定することが可能となる。このため、コネクタに対する接地部品の位置ずれを抑制することが可能となる。
【0014】
[4]上記[3]において、前記一対の弾性片の間には、前記アース電位部を挿入可能な挿入口が形成されていてもよい。
この構成によれば、機器に接続された状態のコネクタに対して、接地部品を後付けすることが可能となる。これにより、接地部品の組付性を向上させることが可能となる。
【0015】
[5]上記[3]または[4]において、前記一対の弾性片は、それぞれの前記弾性片の先端から互いに近づく方向に突出する一対の突出部を有していてもよい。
この構成によれば、各弾性片の突出部がコネクタのアース電位部に引っ掛かることで、接地部品がコネクタのアース電位部から脱落することを抑制することが可能となる。
【0016】
[6]上記[1]から[5]のいずれかにおいて、前記ばね部は、前記絶縁ハウジングに当接する当接部を有していてもよい。
この構成によれば、接地部品のばね部の力を、コネクタの絶縁ハウジングでも受けることが可能となる。すなわち、コネクタにおいてばね部の力をアース電位部のみで受ける構成とならず、その結果、応力を緩和することが可能となる。
【0017】
[7]上記[6]において、前記ばね部は、前記当接部の端部に形成された第1折り返し部と、前記第2接触部の端部に形成された第2折り返し部と、前記当接部と前記第2接触部との間において前記第1折り返し部と前記第2折り返し部とを繋ぐように設けられ、前記当接部および前記第2接触部の各々に対して傾斜する傾斜部と、を有していてもよい。
【0018】
この構成によれば、ばね部は、第1折り返し部および第2折り返し部のそれぞれのたわみにより当接部と第2接触部とが互いに近づくように変形する。したがって、当接部と第2接触部とを近づけるようにばね部を変形させることで、コネクタの絶縁ハウジングと接地対象との間の距離が異なる様々な取付箇所に適用可能となる。
【0019】
[8]上記[7]において、前記ばね部は、前記絶縁ハウジングに対して面接触可能な平坦形状をなし、前記第2接触部は、前記接地対象に面接触可能な平坦形状をなしていてもよい。
【0020】
この構成によれば、ばね部と絶縁ハウジングとの接触面積、および、第2接触部と接地対象との接触面積をそれぞれ大きく確保することが可能となる。
[9]上記[8]において、前記当接部と前記第2接触部とは、互いに平行をなしていてもよい。
【0021】
この構成によれば、接地部品のばね部を簡単な形状とすることが可能となる。
[10]上記[1]から[9]のいずれかにおいて、前記第2接触部は、前記接地対象に接触する面にやすり部を有していてもよい。
【0022】
この構成によれば、接地対象の表面の塗装を接地部品のやすり部によって剥離させることが可能となる。したがって、接地対象の表面の塗装を接地部品のやすり部で剥離させて接地対象の導体を露出させた後、その導体の露出部分に第2接触部を接触させることで、接地部品と接地対象との電気的な導通を図ることが可能となる。また、第2接触部が接地対象に接する状態では、第2接触部と接地対象との間においてやすり部による摩擦力を発生させることが可能となる。これにより、接地部品の脱落を抑制することが可能となる。
【0023】
[11]上記[1]から[10]のいずれかにおいて、前記第1接触部と、前記第2接触部と、前記ばね部とは、単一の導体部品にて一体に形成されていてもよい。
この構成によれば、接地部品の構成を簡素化することが可能となる。
【0024】
[12]本開示の接地部品付きコネクタは、アース電位部と、前記アース電位部を保持する絶縁ハウジングとを有するコネクタと、前記コネクタに装着された、上記[1]から[11]のいずれかに記載の接地部品と、を備える。
【0025】
この構成によれば、上記の接地部品と同様の作用効果を奏することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の接地部品および接地部品付きコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本明細書における「平行」や「垂直」は、厳密に平行や垂直の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や垂直の場合も含まれる。
【0026】
また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0027】
図1に示すように、接地部品付きコネクタ10は、機器11に接続されるコネクタ12と、コネクタ12に装着された接地部品13と、を備える。機器11は、例えば車載機器である。より詳しくは、機器11としては、例えば、ECU(Electronic Control Unit)や、ECUに接続される車載カメラ等の電気機器が挙げられる。
【0028】
(コネクタ12の構成)
コネクタ12は、例えばUSBコネクタである。コネクタ12からは電線14が延びている。コネクタ12と電線14とを含めたUSBケーブルは、例えば、機器11と図示しない第2の車載機器とを電気的に接続する。機器11がECUである場合、前記第2の車載機器は、例えば、車載カメラ等の電気機器である。当該USBケーブルにおいて、例えば、コネクタ12とは反対側の端部にもコネクタ12と同様のコネクタが設けられ、同コネクタが前記第2の車載機器に接続される場合がある。この場合、同コネクタにおいても接地部品13が設けられていてもよい。
【0029】
コネクタ12は、金属等の導体からなるアース電位部21と、アース電位部21を保持する絶縁ハウジング22とを備える。アース電位部21は、コネクタ12の先端側において、絶縁ハウジング22から露出する状態で設けられている。絶縁ハウジング22は、例えば合成樹脂にて形成されている。絶縁ハウジング22は、コネクタ12の基端側においてアース電位部21を保持している。アース電位部21は例えば筒状をなし、アース電位部21の内部には、電線14に電気的に接続された図示しない端子が設けられている。アース電位部21は、機器11に設けられたポートに挿入される。これにより、コネクタ12と機器11との電気的な導通がなされる。
【0030】
絶縁ハウジング22の外周面は、例えば、互いに平行をなす一対の平面部を含む。以下では、説明の便宜上、当該一対の平面部を上面22aおよび下面22bとして説明するが、これは、上面22aが鉛直方向の上方を向くようにコネクタ12の搭載姿勢が設定されることを必ずしも意味するものではない。絶縁ハウジング22の上面22aおよび下面22bの各々は、例えば、コネクタ12の高さ方向Zに対して垂直な平面状をなしている。なお、コネクタ12において、高さ方向Zと長さ方向Xと幅方向Yとは互いに直交する三方向である。
【0031】
アース電位部21は、絶縁ハウジング22の長さ方向Xの先端部から長さ方向Xに沿って延出している。電線14は、絶縁ハウジング22の長さ方向Xの基端部から長さ方向Xに沿って引き出されている。アース電位部21は、長さ方向Xに沿って機器11のポートに挿入される。なお、アース電位部21は、コネクタ12の長さ方向Xから見て、幅方向Yに長い長方形をなしている。
【0032】
(接地部品13の構成)
接地部品13は、例えば、コネクタ12に対して着脱可能に構成されている。接地部品13は、例えば、金属等の導体からなる板材からプレス加工により成形される。接地部品13は、コネクタ12のアース電位部21と、アース電位とされた接地対象Gとを電気的に接続する。すなわち、接地部品13は、コネクタ12のアース電位部21を接地対象Gに接地する。なお、接地対象Gは、例えば、機器11の筐体等を含めた機器11を構成する部品とは異なるものである。接地対象Gは、例えば、機器11の近傍に位置する車体ボディである。機器11は、接地対象Gに支持される構成であってもよい。コネクタ12が機器11に接続された状態において、絶縁ハウジング22の下面22bは、接地対象Gに対して高さ方向Zに対向する。
【0033】
接地部品13は、アース電位部21に直接接触する第1接触部31と、接地対象Gに直接接触する第2接触部32と、第1接触部31と第2接触部32とを繋ぐばね部33と、を備える。接地部品13は、例えば単一部品である。すなわち、第1接触部31と、第2接触部32と、ばね部33とは、単一の導体部品にて一体に形成されている。
【0034】
第1接触部31は、コネクタ12が機器11に接続された状態において、機器11と絶縁ハウジング22との間から露出するアース電位部21の露出部21aに対して組み付けられる。
【0035】
(ばね部33の構成)
接地部品13において、ばね部33と第2接触部32を含む部位は、例えば、板状の部位が折り曲げられて形成され、当該部位は幅方向Yから見て例えばZ字状をなしている。ばね部33は、一端側で第1接触部31と繋がり、他端側で第2接触部32と繋がっている。ばね部33は、第1接触部31から第2接触部32にかけて順に、当接部41、第1折り返し部42、傾斜部43、および第2折り返し部44を有している。
【0036】
当接部41と第2接触部32とは、高さ方向Zにおいて対向する位置に設けられている。当接部41および第2接触部32の各々は、例えば平板状をなしている。第2接触部32が接地対象Gに接触していない状態において、当接部41と第2接触部32とは、例えば互いに平行をなしている。また、第1接触部31がコネクタ12のアース電位部21に組み付けられた状態において、当接部41は、例えば、コネクタ12の高さ方向Zに対して垂直をなしている。そして、当接部41は、絶縁ハウジング22の下面22bに当接している。例えば、当接部41の上面のほぼ全体が絶縁ハウジング22の下面22bに当接している。
【0037】
当接部41における長さ方向Xの先端部は、第1接触部31と繋がっている。当接部41における長さ方向Xの基端部には、第1折り返し部42が形成されている。第2折り返し部44は、第2接触部32における長さ方向Xの先端部に形成されている。
【0038】
第1折り返し部42と第2折り返し部44とを繋ぐ傾斜部43は、当接部41と第2接触部32との間に位置している。傾斜部43は、当接部41および第2接触部32の各々に対して傾斜している。傾斜部43は、例えば、第1折り返し部42からコネクタ12の長さ方向Xの先端側に向かうにつれて、コネクタ12から離れるように傾斜している。
【0039】
上記構成のばね部33は、第1折り返し部42および第2折り返し部44のたわみにより当接部41と第2接触部32とが互いに近づくように変形する。これにより、ばね部33は、高さ方向Zへの弾性力を発生させる。つまり、第2接触部32が接地対象Gに接触する状態において、ばね部33は、第2接触部32に対して接地対象Gに押し当てる押圧力を付与するようになっている。
【0040】
図3に示すように、第2接触部32において、接地対象Gに接触する下面には、やすり部45が設けられている。やすり部45は、複数の小さな突起を有している。接地対象Gの表面に塗装が施されている場合には、その塗装の剥離にやすり部45を用いることができる。したがって、接地対象Gの表面の塗装をやすり部45で剥離させて接地対象Gの導体を露出させた後、その導体の露出部分に第2接触部32を接触させることで、第2接触部32と接地対象Gとの電気的な導通を図ることが可能となる。
【0041】
(第1接触部31の構成)
図2に示すように、第1接触部31は、基部50と、一対の弾性片51とを有している。基部50は、例えば、当接部41における長さ方向Xの先端部から高さ方向Zに沿って上方に延びている。一対の弾性片51は、例えば、基部50から高さ方向Zに沿って上方に延びている。一対の弾性片51は、例えば、幅方向Yにおいて互いに対向している。一対の弾性片51は、自身の弾性力によって、アース電位部21を幅方向Yに挟み込んでいる。すなわち、各弾性片51は、アース電位部21に直接接触している。また、基部50の上端もアース電位部21に接触可能である。
【0042】
一対の弾性片51はそれぞれ、一対の弾性片51の先端から互いに近づく方向に突出する突出部52を有している。突出部52は、例えば、各弾性片51の先端から幅方向Yに沿って内側に突出している。各突出部52は、幅方向Yにおいて互いに対向している。
【0043】
各弾性片51の突出部52の間には、アース電位部21を高さ方向Zに沿って挿入可能な挿入口53が形成されている。したがって、挿入口53を通じて、アース電位部21を一対の弾性片51の間に配置することが可能となっている。また、第1接触部31がアース電位部21に組み付けられた状態において、各弾性片51の突出部52は、アース電位部21の上面に引っ掛かる。したがって、第1接触部31がアース電位部21から高さ方向Zの下方に脱落することを、各突出部52によって抑制することが可能となっている。
【0044】
本実施形態の作用について説明する。
接地部品13のばね部33は、絶縁ハウジング22に当接する当接部41を支点として、第2接触部32を接地対象Gに押し付ける押圧力を付与する。これにより、第2接触部32と接地対象Gとの電気的な導通が図られる。
【0045】
また、第2接触部32は、ばね部33の弾性によって、高さ方向Zにおける位置が変位可能である。したがって、コネクタ12の絶縁ハウジング22と接地対象Gとの間の距離が異なる様々な取付箇所に適用可能となる。なお、絶縁ハウジング22の下面22bと接地対象Gとが互いに平行でない場合や、接地対象Gが平面でない場合であっても、ばね部33の弾性によって第2接触部32を接地対象Gに接触させることが可能である。
【0046】
また、第2接触部32のやすり部45が接地対象Gに接する。これにより、第2接触部32と接地対象Gとの間においてやすり部45による摩擦力を発生する。このため、第2接触部32の位置ずれが抑制される。また、一対の弾性片51がアース電位部21を挟み込むことで、第1接触部31がアース電位部21に固定される。やすり部45によって接地部品13が接地対象Gに対して動きにくい構成とされることで、機器11に対するコネクタ12の抜け止めとなっている。
【0047】
また、本実施形態の第1接触部31では、一対の弾性片51の間の挿入口53からアース電位部21を挿入可能である。これにより、コネクタ12を機器11に接続する前はもちろんのこと、コネクタ12を機器11に接続した後であっても、第1接触部31をアース電位部21に組付可能である。
【0048】
また、本実施形態の接地部品13では、第1接触部31と、第2接触部32と、ばね部33とが単一の一体部品にて形成されている。
ここで、本実施形態とは異なる比較構成として、コネクタ12のアース電位部21を例えば接地用電線を通じて接地対象Gに接地する構成を考える。同比較構成では、アース電位部21と接地対象Gとを接続する接地用電線が冗長となりやすい。また、同比較構成では、接地用電線をアース電位部21に直接接続することが難しいため、機器11とコネクタ12との間に中間コネクタを介在させて、その中間コネクタに接地用電線を接続する構成となりうる。上記のような理由により、接地用電線を用いる同比較構成では、コネクタ12と接地対象Gとの間の電気的な経路が長くなる傾向がある。その結果、コネクタ12を接地対象Gに接地することによるノイズ減衰効果が低下するおそれがある。
【0049】
その点、本実施形態では、コネクタ12の接地に接地部品13を用いることで、接地部品13の第1接触部31にてアース電位部21に直接接触させることができる。さらに、上記比較構成のような接地用電線を用いないため、接地部品13が冗長となりにくい。したがって、上記比較構成に比べて、コネクタ12と接地対象Gとの間の電気的な経路を短く構成することが可能となる。その結果、上記比較構成に比べて、コネクタ12を接地対象Gに接地することによるノイズ減衰効果を向上させることが可能となる。
【0050】
本実施形態の効果について説明する。
(1)接地部品13において、第1接触部31と第2接触部32とを繋ぐばね部33は、第2接触部32に対して接地対象Gに押し当てる押圧力を付与する。この構成によれば、第2接触部32がばね部33によって接地対象Gに押し付けられることで、第2接触部32と接地対象Gとが接続される。すなわち、ばね部33の押圧力によって第2接触部32を接地対象Gに当てるだけで、接地部品13と接地対象Gとの接続を完了させることが可能となる。これにより、接地部品13と接地対象Gとの接続において、ねじ止め等の固定手段を別途必要としない。したがって、構成の簡素化が可能となる。
【0051】
(2)第1接触部31は、コネクタ12が機器11に接続された状態において、機器11と絶縁ハウジング22との間から露出するアース電位部21の露出部21aに対して組付可能に構成されている。この構成によれば、機器11に接続された状態のコネクタ12に対して、接地部品13を後付けすることが可能となる。これにより、接地部品13の組付性を向上させることが可能となる。
【0052】
(3)第1接触部31は、自身の弾性力によってアース電位部21を挟み込む一対の弾性片51を含む。この構成によれば、第1接触部31としての一対の弾性片51をコネクタ12のアース電位部21に対してより確実に接触させることが可能となる。また、一対の弾性片51がアース電位部21を挟み込むことで、接地部品13をコネクタ12に強固に固定することが可能となる。このため、アース電位部21に対する接地部品13の位置ずれを抑制することが可能となる。
【0053】
(4)一対の弾性片51の間には、アース電位部21を挿入可能な挿入口53が形成されている。この構成によれば、機器11に接続された状態のコネクタ12に対して、接地部品13を後付けすることが可能となる。これにより、接地部品13の組付性を向上させることが可能となる。
【0054】
(5)一対の弾性片51はそれぞれ、一対の弾性片51の先端から互いに近づく方向に突出する突出部52を有している。この構成によれば、各弾性片51の突出部52がコネクタ12のアース電位部21に引っ掛かることで、接地部品13がコネクタ12のアース電位部21から脱落することを抑制することが可能となる。
【0055】
(6)ばね部33は、絶縁ハウジング22に当接する当接部41を有している。この構成によれば、接地部品13のばね部33の力を、コネクタ12の絶縁ハウジング22でも受けることが可能となる。すなわち、コネクタ12においてばね部33の力をアース電位部21のみで受ける構成とならず、その結果、応力を緩和することが可能となる。
【0056】
(7)ばね部33は、当接部41の端部に形成された第1折り返し部42と、第2接触部32の端部に形成された第2折り返し部44と、当接部41と第2接触部32との間において第1折り返し部42と第2折り返し部44とを繋ぐ傾斜部43と、を有している。傾斜部43は、当接部41および第2接触部32の各々に対して傾斜している。この構成によれば、ばね部33は、第1折り返し部42および第2折り返し部44のたわみにより当接部41と第2接触部32とが互いに近づくように変形する。したがって、当接部41と第2接触部32とを近づけるようにばね部33を変形させることで、コネクタ12の絶縁ハウジング22と接地対象Gとの間の距離が異なる様々な取付箇所に適用可能となる。
【0057】
(8)ばね部33は、絶縁ハウジング22に対して面接触可能な平坦形状をなしている。これにより、ばね部33と絶縁ハウジング22との接触面積を大きく確保することが可能となる。また、第2接触部32は、接地対象Gに面接触可能な平坦形状をなしている。これにより、第2接触部32と接地対象Gとの接触面積を大きく確保することが可能となる。
【0058】
(9)当接部41と第2接触部32とは、互いに平行をなしている。この構成によれば、接地部品13のばね部33を簡単な形状とすることが可能となる。
(10)第2接触部32は、接地対象Gに接触する面にやすり部45を有している。この構成によれば、接地対象Gの表面の塗装を接地部品13のやすり部45によって剥離させることが可能となる。したがって、接地対象Gの表面の塗装を接地部品13のやすり部45で剥離させて接地対象Gの導体を露出させた後、その導体の露出部分に第2接触部32を接触させることで、接地部品13と接地対象Gとの電気的な導通を図ることが可能となる。また、第2接触部32が接地対象Gに接する状態では、第2接触部32と接地対象Gとの間においてやすり部45による摩擦力を発生させることが可能となる。これにより、接地部品13の脱落を抑制することが可能となる。
【0059】
(11)第1接触部31と、第2接触部32と、ばね部33とは、単一の導体部品にて一体に形成されている。この構成によれば、接地部品13の構成を簡素化することが可能となる。
【0060】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0061】
・第2接触部32が接地対象Gに接触していない状態において、当接部41と第2接触部32とが互いに平行でない構成であってもよい。
・ばね部33から第2接触部32にかけての形状は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ばね部33から第2接触部32にかけての形状は、長さ方向Xから見てZ字状をなしていてもよい。また、例えば、ばね部33から第2接触部32にかけての形状は、幅方向Yもしくは長さ方向Xから見て、U字状やV字状をなしていてもよい。
【0062】
・上記実施形態の接地部品13において、ばね部33から当接部41を省略してもよい。すなわち、ばね部33は、コネクタ12の絶縁ハウジング22に当接しない構成であってもよい。
【0063】
・ばね部33は、第1接触部31および第2接触部32の各々とは別体をなしていてもよい。
・第1接触部31の形状等の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1接触部31は、長さ方向Xから見て連続的もしくは非連続的な環状をなしていてもよい。
【0064】
・接地部品13は、コネクタ12に対して取り外し不能に構成されていてもよい。
・コネクタ12は、USBコネクタに限定されるものではなく、USBコネクタ以外の仕様のコネクタであってもよい。
【0065】
・今回開示された実施形態および変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
10 接地部品付きコネクタ
11 機器
12 コネクタ
13 接地部品
14 電線
21 アース電位部
21a 露出部
22 絶縁ハウジング
22a 上面
22b 下面
31 第1接触部
32 第2接触部
33 ばね部
41 当接部
42 第1折り返し部
43 傾斜部
44 第2折り返し部
45 やすり部
50 基部
51 弾性片
52 突出部
53 挿入口
G 接地対象
X 長さ方向
Y 幅方向
Z 高さ方向