(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100142
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】自律移動体制御システム及び自律移動体制御方法
(51)【国際特許分類】
E05F 15/73 20150101AFI20240719BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240719BHJP
【FI】
E05F15/73
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003912
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】山崎 元明
【テーマコード(参考)】
2E052
5H301
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052GA06
2E052GB01
2E052KA25
5H301AA02
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】高度な画像処理を行うことができない自律移動体であっても、適切に自動ドアの開閉を行うことができるようにする。
【解決手段】自動ドアが備えられる建物内での自律移動体の現在位置情報を取得する位置取得部と、前記現在位置情報に基づいて、前記自律移動体が前記自動ドアに対して所定位置・範囲内に位置した進入準備状況であるか否かを判定する状況判定部と、前記進入準備状況と判定したとき、人の通過を可能とする人対応モードから前記自律移動体の通過を可能とする移動体対応モードに前記自動ドアの動作モードを切り替えるモード切替制御部とを備えて自律移動体制御システムを構成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動ドアが備えられる建物内での自律移動体の現在位置情報を取得する位置取得部と、
前記現在位置情報に基づいて、前記自律移動体が前記自動ドアに対して所定位置・範囲内に位置した進入準備状況であるか否かを判定する状況判定部と、
前記進入準備状況と判定したとき、人の通過を可能とする人対応モードから前記自律移動体の通過を可能とする移動体対応モードに前記自動ドアの動作モードを切り替えるモード切替制御部と
を備える自律移動体制御システム。
【請求項2】
前記人対応モードは、センサが前記自動ドアから所定の範囲内における物体の位置変化を検出した場合に前記自動ドアを開くモードである
請求項1に記載の自律移動体制御システム。
【請求項3】
前記人対応モードは、入力された認証用情報に基づいて認証装置が認証を行い、認証が成立した場合に、前記自動ドアを開くモードである
請求項1または2に記載の自律移動体制御システム。
【請求項4】
前記移動体対応モードは、前記自律移動体の移動を制御する移動制御部からの指示に応じて、自動ドアを開くモードである
請求項1または2に記載の自律移動体制御システム。
【請求項5】
前記移動制御部は、前記進入準備状況となって停止している前記自律移動体に対し、前記自動ドアが開かれ、全開又は少なくとも一定以上の開口度合いとなったことを示す通知を受信した後、前記自律移動体に移動を再開させる移動再開指示を送信する
請求項4に記載の自律移動体制御システム。
【請求項6】
自動ドアが備えられる建物内での自律移動体の現在位置情報を取得する位置取得ステップと、
前記現在位置情報に基づいて、前記自律移動体が前記自動ドアに対して所定位置・範囲内に位置した進入準備状況であるか否かを判定する状況判定ステップと、
前記進入準備状況と判定したとき、人の通過を可能とする人対応モードから前記自律移動体の移動を可能する移動体対応モードに前記自動ドアの動作モードを切り替えるモード切替制御ステップと、
を含む自律移動体制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律移動体制御システム及び自律移動体制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティを確保しながら、施錠されたドアの解錠を行ってロボットを通過させることができるシステムが望まれている。このようなシステムとして、ロボットが撮影した画像から特定したドアの解錠の要求を入退室制御装置に対して行うシステムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のシステムでは、撮像画像からドア(自動ドア)を識別可能とすべくドア識別子を設けておく必要がある上、ドアの開閉を画像処理結果から判断し、ドア解錠の可否を判断するものであり、高度な画像処理を行うことが可能なロボット(自律移動体)を用いなくてはならなかった。
【0005】
本発明は、上記した課題を考慮して、高度な画像処理を行うことができない自律移動体であっても、適切に自動ドアの開閉を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、自動ドアが備えられる建物内での自律移動体の現在位置情報を取得する位置取得部と、前記現在位置情報に基づいて、前記自律移動体が前記自動ドアに対して所定位置・範囲内に位置した進入準備状況であるか否かを判定する状況判定部と、前記進入準備状況と判定したとき、人の通過を可能とする人対応モードから前記自律移動体の通過を可能とする移動体対応モードに前記自動ドアの動作モードを切り替えるモード切替制御部とを備える自律移動体制御システムである。
【0007】
本発明の一態様は、自動ドアが備えられる建物内での自律移動体の現在位置情報を取得する位置取得ステップと、前記現在位置情報に基づいて、前記自律移動体が前記自動ドアに対して所定位置・範囲内に位置した進入準備状況であるか否かを判定する状況判定ステップと、前記進入準備状況と判定したとき、人の通過を可能とする人対応モードから前記自律移動体の移動を可能する移動体対応モードに前記自動ドアの動作モードを切り替えるモード切替制御ステップとを含む自律移動体制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高度な画像処理を行うことができない自律移動体であっても、適切に自動ドアの開閉を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る自動ドアが設けられる環境の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る自律移動体制御システムの構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る自律移動体の構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る自律移動体管理装置の構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る自動ドアの構成例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る自動ドア制御装置の構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る自律移動体制御システムが動作モードに応じた自動ドアの制御に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態の自律移動体制御システムで、セキュリティーレベルの異なるエリアAとエリアBとの境界に自動ドア300が設けられた建物において、自動ドア300と自律移動体100の連携を実現させた状態を一例として示している。自動ドア300は、エリアAとエリアBに繋がる開口部を、自動ドア300のドア部303で閉塞することでエリアAとエリアBの間の行き来を規制する一方、自動ドア300のドア部303で開口部を開放した状態とすることでエリアAとエリアBとの間を移動可能とする。
以下では、エリアAから自動ドア300を通過してエリアBに進入する方向をAtoB方向とし、エリアBから自動ドア300を通過してエリアAに進入する方向をBtoA方向として説明を行う。また本実施形態では、エリアAは、エリアBに比べ、立ち入り可能な人物が制限された、セキュリティーレベルの高いエリアとしている。
【0011】
自律移動体100は、同図の自動ドア300を備える建物において、自律運転により移動することが可能とされている。
本実施形態の自律移動体100の用途は特に限定されない。自律移動体100は、例えば物資を運搬する自律移動車両、人を案内する案内ロボット、監視ロボット等をあげることができる。
自律移動体100の自律運転を実現する技術については特に限定されないが、例えば自律運転のために周囲形状を把握する技術としてはLiDAR(Light Detection and Ranging)を用いてもよい。LiDARは、パルス状のレーザ光を周囲に照射してから反射光が受光されるまでの時間に基づいて距離を計測する技術である。自律移動体100では、LiDARによって周囲にある物体との距離を計測して、周囲環境の形状を示す周囲環境データを生成し、自己位置を推定する。
【0012】
本実施形態の自律移動体制御システムでは、自動ドア300を動作させるモード(動作モード)として、人の通過を可能とする人対応モードと、自律移動体の通過を可能とする移動体対応モードと、のいずれかが設定可能とされる。さらに人対応モードは、センサの検知結果に基づいて人の通過を可能とする通常モードと、入力された認証情報に基づく認証結果に基づいて人の通過を可能とする認証対応モードと、が設定可能とされている。つまり、自律移動体制御システムが設定可能な動作モードは、通常モード(人対応モード)、認証対応モード(人対応モード)、及び移動体対応モード、の3つである。以下に、各動作モードについて説明する。
【0013】
まず、人HMがエリアAからエリアBへ移動すべく自動ドア300を通過する場合には、通常モードで自動ドア300が動作する。
通常モードでは、エリアAにおいて、自動ドア300に設けられたセンサが自動ドア300の所定位置・範囲内に位置する人HMを検出する。自動ドア300は、センサが人HMを検出したことに応じてドア部303を開き、開口部を開放した状態とする。これにより、人HMは、AtoB方向へ移動して開かれた自動ドア300の開口部を通過することでエリアAからエリアBへ移動できる。
【0014】
一方、人HMがエリアBからエリアAへ移動すべく自動ドア300を通過する場合には、認証対応モードで自動ドア300が動作する。
認証対応モードでは、人HMは、認証カードCDに記録された認証情報をエリアBに設けられた認証情報リーダ500に読み取らせる。認証情報は、対応の人HMを識別する認証用IDであってよい。なお、「エリアBに設けられた認証情報リーダ500」とは、現にエリアBに設けられている場合に加え、認証カードCDに記録された認証情報をエリアBから認証情報リーダ500に読み取らせることができるように設けられている場合も含む。
認証対応モードのもとでは、認証情報リーダ500に認証情報を読み取らせた結果、認証が成立したことに応じて自動ドア300のドア部303を開き、開口部を開放した状態とする。これにより、人HMは、BtoA方向へ移動して開かれた自動ドア300の開口部を通過することエリアBからエリアAへ移動できる。
【0015】
また、AtoB方向とBtoA方向とのいずれの方向にも対応して自律移動体100が自動ドア300を通過する際には、移動体対応モードで自動ドア300が動作する。
移動体対応モードでは、自律移動体100を管理する移動体管理装置(
図1においては図示せず)が自動ドア300を制御して、開口部を開放した状態とすることで、自律移動体100が自動ドア300を通過できるようにする。
【0016】
図2は、本実施形態の自律移動体制御システムの全体的な構成例を示している。同図において、
図1と同一部分には同一符号を付して適宜説明を省略する。
同図の自律移動体制御システムは、自律移動体制御装置の一例である自律移動体管理装置200と、自動ドア300のドア部303の開閉に関する制御を行う自動ドア制御装置400と、読み込んだ認証情報に基づいて認証を行う認証装置600と、を含む。
【0017】
認証装置600は、認証情報リーダ500が読み取った、認証カードCDに記録された認証情報を利用して認証処理を実行する。認証装置600は、認証処理の結果として認証が成立した場合には、自動ドア制御装置400に認証成立通知を送信する。認証成立通知を受信した自動ドア制御装置400は、認証対応モードのもとで自動ドア300が開くように制御する。なお本明細書では、単に「自動ドア300を開く」と記載した場合、自動ドア300のドア部303を開き、開口部を開放することを指し、「自動ドア300を閉じる」と記載した場合、自動ドア300のドア部303を閉じ、開口部をドア部303で閉塞することを指す。
【0018】
本実施形態では、さらに自律移動体管理装置200で、自動ドア300を含む経路が設定された自律移動体100が、自動ドア300の手前の位置に到達した状況(進入準備状況)となったことに応じて、自動ドア300のドア部303を開けるように自動ドア制御装置400に指示を行う。なお、本明細書における「手前」とは、基準となる対象物に対して所定位置・範囲内に位置することを指すものである。
【0019】
なお自律移動体管理装置200は、自動ドア制御装置400に対する指示の他、管理対象の自律移動体100の現在位置を取得し、必要に応じて、自律移動体100の移動、停止を制御する。また、自律移動体管理装置200は、自律移動体100の目的地までの移動経路を設定し、設定した移動経路による移動を自律移動体100に指示してもよく、さらには管理対象の自律移動体100の稼働履歴、移動軌跡等を記憶するものとしてもよい。
【0020】
[自律移動体の構成例]
図3は、自律移動体100の構成例を示している。同図の自律移動体100は、通信部101、センサ部102、移動機構部103、ユーザインターフェース部104、及び制御部105を備える。
通信部101は、ネットワーク経由で自律移動体管理装置200と通信を行うものである。
【0021】
センサ部102は、自律移動体100が備える各種のセンサである。センサ部102は、例えばLiDARによる自律運転を行う場合には、周囲環境データの生成と自己位置推定を行うためにレーザ光を照射し、反射されたレーザ光を受光するセンサを含む。また、センサ部102は、周囲の物体の高さを測定するセンサも含む。なお、周囲の物体の高さの測定にあたり、LiDARにより得られた情報から生成された周囲環境データが用いられてもよい。
なお、センサ部102は、例えばGPS(Global Positioning System)等に対応するデバイスを備えることで自己位置を測定可能としてもよい。
【0022】
移動機構部103は、自律移動体100の移動を可能とする駆動機構部である。
ユーザインターフェース部104は、ユーザインターフェースを備える。具体的には、ユーザインターフェース部104は、ユーザが操作を行う入力デバイスや、ユーザの音声を集音するマイクロフォン等が含まれていてもよい。制御部105は、マイクロフォンにより集音された音声について音声認識を行い、自律移動体100が認識した音声情報に応じた動作を行うように制御してもよい。また、ユーザインターフェース部104は、ユーザとコミュニケーションするための音声を出力可能とされていてもよく、さらに表示部を備えていてもよい。
【0023】
図4は、自律移動体管理装置200の構成例を示している。同図の自律移動体管理装置200は、通信部201、制御部202、及び記憶部203を備える。
通信部201は、例えばネットワーク経由で、自律移動体100や自動ドア制御装置400と通信を行う。
【0024】
制御部202は、自律移動体管理装置200における各種の制御を実行する。制御部202は、位置取得部221、移動制御部222、状況判定部223、及びモード切替制御部224を備える。
【0025】
位置取得部221は、自律移動体100の現在位置情報を取得するものである。
自律移動体100は、自己の現在位置を推定しながら移動経路に沿って自律的に移動していくように構成されている。自律移動体100は、推定した自己の現在位置を現在位置情報として、自律移動体管理装置200の位置取得部221に送信する。より詳細には、位置取得部221は、自律移動体100から送信された現在位置情報を通信部201で受信することによって取得する。
なお自律移動体100が送信する現在位置情報には、送信元となる自律移動体100を識別する移動体IDが付加される。
【0026】
移動制御部222は、自律移動体100の移動制御を実行するものである。移動制御部222は、自律移動体100に対して移動停止、移動再開などを指示する。
【0027】
状況判定部223は、自動ドア300に対して所定位置・範囲に自律移動体100が位置した進入準備状況であるか否かを判定する。より具体的には、進入準備状況は、自律移動体100に設定された移動経路において通過すべき自動ドア300がある場合、当該通過すべき自動ドア300の手前、つまり自動ドア300に対して所定位置・範囲内にまで自律移動体100が移動してきた状況である。
【0028】
モード切替制御部224は、状況判定部223での進入準備状況であるとの判定に応じて、自動ドア300の制御モードを人対応モードから移動体対応モードに切り替える。
【0029】
記憶部203は、自律移動体100に関する情報を記憶する。記憶部203は、自律移動体100が稼働される環境範囲に対応する地図の情報である。このような地図情報においては、自律移動体100が稼働される環境範囲に存在する自動ドア300の位置が示されている。
【0030】
図5は、自動ドア300の構成例を示している。同図の自動ドア300は、通信部301、センサ302、及びドア部303を備える。
通信部301は、自動ドア制御装置400と通信を行うものである。
センサ302は、自動ドア300のエリアA側とエリアB側とのそれぞれに対応して、自動ドア300の手前、つまり自動ドア300の所定位置・範囲内に存在する人HMを検出する。このようなセンサ302として、例えば赤外線センサが用いられる。人HMを検出するものとして説明を行ったが、赤外線センサを用いた場合、実際には所定位置・範囲内、つまり検知範囲における物の位置変化を検知することで人HMと推定されるものを検知する。
ドア部303は、自動ドア300におけるドア部分と、当該ドア部分を開閉する機構部と、ドアを開閉駆動する駆動部と、これらの機構部、駆動部を制御する制御部とを含む。
【0031】
図6は、自動ドア制御装置400の構成例を示している。同図の自動ドア制御装置400は、通信部401と制御部402とを備える。
通信部401は、自動ドア300や自律移動体管理装置200と通信を行うものである。
【0032】
制御部402は、自動ドア制御装置400における各種制御を実行するものである。制御部402において、ドア制御部421は、自動ドア300におけるドア部303の動作を制御する。
【0033】
図7のフローチャートを参照して、本実施形態の自律移動体制御システムが動作モードに応じた自動ドア300の制御を実行する処理手順例について説明する。
まず、自律移動体100が実行する処理手順例について説明する。
【0034】
まず、自律移動体100が実行する処理手順例について説明する。
ステップS100:自律移動体100において制御部205は、設定された移動経路を移動するにあたり、自己の現在位置を推定し、推定した現在位置を示す現在位置情報を自律移動体管理装置200に送信する。
【0035】
ステップS102:制御部205は、通信部201にて停止指示が受信されたか否かを判定する。
自律移動体管理装置200は、受信した現在位置情報により示される現在位置が、対象の自律移動体100の移動経路の途中の自動ドア300の手前の位置である、つまり自動ドア300から所定距離の範囲内にあると判定した場合には、停止指示を自律移動体100に送信する。停止指示は、自律移動体100がドア部303の手前の位置にまで到達したことを通知する情報である。
【0036】
ステップS104:ステップS102にて停止指示が受信されたことに応じて、制御部205は、自律移動体100が停止するように移動機構部103を制御する。これにより、自律移動体100は、自動ドア300の手前、つまり自動ドア300の所定位置・範囲内で停止した状態となり、まだドア部が開いていない状態の自動ドア300に衝突しないようにする。
【0037】
ステップS106:ステップS104により停止した状態のもと、制御部205は、通信部201にて移動再開指示通知が受信されるまで待機する。
自律移動体管理装置200は、自動ドア300のドア部303を開き、開口部を開放したことを確認すると、移動再開指示通知を自律移動体100に送信する。移動再開指示通知は、停止中の自律移動体100に、移動経路に沿って移動再開を指示する情報である。
【0038】
ステップS108:制御部205は、移動再開指示通知が受信されると、移動機構部103の経路に沿った移動を再開させる。このとき自動ドア300は開き、開口部が解放された状態にあることから、自律移動体100は自動ドア300の開口部を通過することができる。
【0039】
次に、自律移動体管理装置200が実行する処理手順例について説明する。同図の処理は、1つの自律移動体100を対象として実行される。
ステップS200:自律移動体管理装置200において位置取得部221は、ステップS100により自律移動体100から送信され、通信部201にて受信された現在位置情報を取得する。
【0040】
ステップS202:状況判定部223は、ステップS200にて取得された現在位置情報が示す現在位置と、記憶部203が記憶する地図情報が示す地図とを照合することで、地図上における自律移動体100の位置を特定する。
【0041】
ステップS204:状況判定部223は、ステップS202により特定された自律移動体100の位置が自動ドアの手前、つまり自動ドア300の所定位置・範囲内であるか否かを判定する。自律移動体100の位置が自動ドアの手前ではないと判定した場合には、一旦同図の処理が終了され、ステップS200に処理が戻される。
【0042】
ステップS206:ステップS204にて自律移動体100の位置が自動ドア300の手前であると判定されると、移動制御部222は、自律移動体100に対して停止指示を送信する。
【0043】
ステップS208:また、ステップS204にて自律移動体100の位置が自動ドア300の手前であると判定されると、モード切替制御部224は、自動ドア制御装置400にモード切替指示を送信する。
モード切替指示は、今回のステップS204にて自律移動体100が手前に位置していると判定された自動ドア300に対応して現在設定されている人対応モード(通常モードあるいは認証対応モード)を、移動体対応モードに切り替えるよう指示するコマンドである。
また、当該ステップS208によるモード切替指示は、自動ドア制御装置400に対して、対象の自動ドア300のドア部303を開くように指示するコマンドとしても機能する。
【0044】
ステップS210:移動制御部222は、ステップS208によるモード切替指示の送信後、自動ドア制御装置400から送信される開ドア通知を受信するまで待機する。開ドア通知は、自動ドア300が、モード切替指示に応答してドア部303を開き、開口部が全開又は少なくとも一定以上の開口度合いとなったことを通知する情報である。
【0045】
ステップS212:移動制御部222は、開ドア通知を受信した後、対象の自律移動体100に移動再開指示を送信する。
【0046】
ステップS214:ステップS212により移動再開指示を送信してから、例えば自動ドア300を自律移動体100が通過をすでに完了しているとされる所定時間を経過したタイミングで、モード切替制御部224は、自動ドア制御装置400に動作モード復帰指示を送信する。動作モード復帰指示は、ステップS208によりモード切替指示を送信したことで移動体対応モードに切り替えられる前に設定されていた人対応モード(通常モードまたは認証対応モード)への切り替えを指示するコマンドである。
【0047】
次に、自動ドア制御装置400が実行する処理手順例について説明する。同図の処理は、デフォルトとして、自動ドア300のエリアA側には通常モードを設定し、エリアB側には認証対応モードを設定した状態から開始される。
【0048】
ステップS300:自動ドア制御装置400において、ドア制御部421は、自動ドア300においてエリアA側を検出するセンサ302での検知情報を定常的に取り込むようにされている。ドア制御部421は、取り込んだ検知情報に基づいて、エリアAにて自動ドア300の前における人HMの有無を判定する。
【0049】
ステップS302:ステップS300にて、エリアAにて自動ドア300の前に人HMが検出されていないと判定した場合、ドア制御部421は、認証装置600から送信される認証成立通知が受信されたか否かを判定する。
前述のように、人HMがエリアBから自動ドア300を通過してエリアAに移動しようとする場合、人HMは、認証カードCDに記録されている認証情報を認証情報リーダ500に読み取らせる。認証情報リーダ500は、読み取った認証情報を認証装置600に送信する。認証装置600は、受信された認証情報により示される個人が自動ドア300を通過する資格を有する者であるか否かを判定する認証処理を実行する。認証装置600は、自動ドア制御装置400に対し、認証が成立した場合には認証成立通知を送信し、認証が成立しなかった場合には認証不成立通知を送信する。なお、認証成立通知と認証不成立通知は、認証情報リーダ500に通知され、認証情報リーダ500に設けられた報知部により、音や光で認証の成否を報知可能とされる。
【0050】
ステップS304:ステップS300によりエリアAにて自動ドア300の前に人HMが検出されていると判定された場合、あるいはステップS302にて認証成立通知をドア制御部421が受信した場合は、ドア制御部421は通常モードの処理として、自動ドア300のドア部303を開くように、開ドア指示を自動ドア300に送信する。
一方、ステップS302にて認証成立通知が受信したことに応じた開ドア指示の送信は、ドア制御部421は認証対応モードの処理として、自動ドア300のドア部303を開くように、開ドア指示を自動ドア300に送信する。
【0051】
ステップS306:ステップS304の処理の後、あるいはステップS302にて認証成立通知をドア制御部421が受信しない場合、ドア制御部421は、自律移動体管理装置200から送信されたモード切替指示が受信されたか否かを判定する。
モード切替指示が受信されないと判定された場合には、一旦同図の処理が終了され、ステップS300から処理が開始される。
【0052】
ステップS308:ステップS306にてモード切替指示が受信されたと判定された場合、ドア制御部421は、通常モードまたは認証対応モードが実行可能な状態から移動体対応モードに切り替える。
【0053】
ステップS310:ステップS308により、移動体対応モードに切り替えられた場合、ドア制御部421は、エリアA側に設けられたセンサ302による人HMの検出結果やエリアB側に設けられた認証装置600での認証結果に応じた自動ドア300のドア部303を開く制御を行わずに、自律移動体管理装置200からの指示に応じて自動ドア300のドア部303を開く制御を行う。
この場合、自律移動体管理装置200からの自動ドア300のドア部303を開かせる指示は、モード切替指示が相当する。そこで、ドア制御部421は、ステップS306でのモード切替指示の受信に応じて、ステップS308により移動体対応モードに切り替えるとともに、当該ステップS310にて開ドア指示を自動ドア300に送信する。
【0054】
ステップS312:ドア制御部421は、ステップS310により開ドア指示を送信した後の所定タイミングで、開ドア通知を自律移動体管理装置200に送信する。
ドア制御部421は、例えばステップS310により送信した開ドア指示に応じて自動ドア300が開いた状態となるタイミングに応じて、開ドア通知を送信すればよい。開ドア通知の送信により、自律移動体100は、開かれた自動ドア300の開口部を通過するため、移動を再開する(ステップS108)。
【0055】
ステップS314:ドア制御部421は、開ドア通知の送信の後における或るタイミングでステップS214により自律移動体管理装置200から送信される動作モード復帰指示を受信する。
ドア制御部421は、動作モード復帰指示の受信に応じて、先のステップS308によい移動体対応モードに切り替える前の人対応モード(通常モードまたは認証対応モード)に切り替える。ステップS314の処理の後は、一旦同図の処理を終了し、ステップS300から再び処理が開始される。
【0056】
次に、自動ドア300が実行する処理手順例について説明する。
ステップS400:自動ドア300においてドア部303は、ステップS304またはステップS310により自動ドア制御装置400から送信される開ドア指示を通信部301が受信するまで待機している。
ステップS402:ステップS400にて開ドア指示を通信部301が受信すると、自動ドア300のドア部303を開くように駆動機構部を駆動させる。
ステップS404:ドア部303は、ステップS402でドア部303のドア部303を開き、開口部を開放した状態で一定時間待機する。
ステップS406:ステップS404による一定時間の待機が終了すると、自動ドア300は、ドア部303で開口部を閉塞するように駆動機構部を駆動させる。
【0057】
なお、上記実施形態においては、人対応モードとして、エリアAに対応して通常モードが設定され、エリアBに対応して認証対応モードが設定されていた。このような人対応モードの設定は一例であって、例えばエリアAとエリアBとのいずれにも通常モードが設定される、あるいは認証対応モードが設定されるようにしてよい。また、人対応モードは、通常モードと認証対応モードとに限定されるものではない。
【0058】
なお、人対応モードから移動体対応モードへの切り替えのトリガは、上記実施形態のように、自律移動体100が自動ドアに対して所定位置・範囲内に、つまり自動ドアの手前に位置したものと判定された場合に限定されない。人対応モードから移動体対応モードへの切り替えのトリガは、例えば、時間帯に応じて切替が行われてもよいし、管理者等のユーザによる手動操作によって行われてもよい。
【0059】
なお、自律移動体管理装置200、自動ドア制御装置400、及び認証装置600等の少なくともいずれか1つは、複数の装置に分散されたうえで、分散された装置が相互に通信を行って連携して動作するように構成されていてもよい。
また、自律移動体管理装置200、自動ドア制御装置400、及び認証装置600等の2以上が統合された装置、サーバ等として構成されていてもよい。
【0060】
なお、上述の自律移動体100、自律移動体管理装置200、自動ドア300、自動ドア制御装置400、認証情報リーダ500、認証装置600等としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の自律移動体100、自律移動体管理装置200、自動ドア300、自動ドア制御装置400、認証情報リーダ500、認証装置600等としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。
【符号の説明】
【0061】
100 自律移動体、101 通信部、102 センサ部、103 移動機構部、104 ユーザインターフェース部、105 制御部、200 自律移動体管理装置、201 通信部、202 制御部、203 記憶部、205 制御部、221 位置取得部、222 移動制御部、223 状況判定部、224 モード切替制御部、231 地図情報記憶部、300 自動ドア、301 通信部、302 センサ、303 ドア部、400 自動ドア制御装置、401 通信部、402 制御部、421 ドア制御部、500 認証情報リーダ、600 認証装置、CD 認証カード、HM 人