(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100148
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】型枠の建て込み方法、及び、型枠の建て込みに使用される棒状ガイド
(51)【国際特許分類】
E04G 9/00 20060101AFI20240719BHJP
E04G 17/06 20060101ALI20240719BHJP
E04G 17/065 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
E04G9/00 101
E04G17/06 101B
E04G17/065 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003925
(22)【出願日】2023-01-13
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フォームタイ
(71)【出願人】
【識別番号】506145603
【氏名又は名称】安藤 訓治
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(72)【発明者】
【氏名】安藤 訓治
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150BA12
2E150BA32
2E150EA01
2E150EB02
2E150EC02
2E150EC09
2E150EC22
2E150FA22
2E150FB04
2E150GB31
(57)【要約】
【課題】第2型枠を立設状態に保持する作業者が常に必要とはならない、型枠の建て込み方法を実現する。
【解決手段】型枠の建て込み方法の第1型枠建て込み工程では、第1型枠1に取り付けられた一部のセパレーター20の棒状部21の他端側に、第1棒状ガイド10aが取り付けられる。第2型枠建て込み工程では、第2型枠2における複数の第2貫通孔4a,4bのうち一部のセパレーター20に対応する第2-1貫通孔4aに第1棒状ガイド10aを導入して、第1棒状ガイド10aの中間部11が第2-1貫通孔4aに挿通された状態で第2型枠2を仮設置する第1作業と、残りのセパレーター20に対応する第2-2貫通孔4bに挿通された第2棒状ガイド10bを操作して、残りのセパレーター20の棒状部21の他端側に第2棒状ガイド10bの円筒部12を被せる第2作業と、第2型枠2が各セパレーターの受け座22に当接するように第2型枠を移動させる第3作業を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1型枠が立設され、且つ、前記第1型枠における複数の第1貫通孔の各々に対し、複数のセパレーターの各々の一端側が取り付けられた状態を構築する第1型枠建て込み工程と、
前記第1型枠に対向するように第2型枠が立設され、且つ、前記第2型枠における複数の第2貫通孔の各々に対し、前記複数のセパレーターの各々の他端側が取り付けられた状態を構築する第2型枠建て込み工程とを行う、型枠の建て込み方法であって、
前記第1型枠建て込み工程では、前記複数のセパレーターのうち一部のセパレーターの棒状部の他端側に、第1棒状ガイドの基端側を略水平に取り付け、
前記第2型枠建て込み工程では、
前記複数の第2貫通孔のうち前記一部のセパレーターに対応する第2-1貫通孔に、前記第1棒状ガイドが導入されるように前記第2型枠を移動させ、前記第1棒状ガイドの中間部が前記第2-1貫通孔に挿通された状態で前記第2型枠を仮設置して、前記第1棒状ガイドを介して前記第1型枠に前記第2型枠を支持させる第1作業と、
前記複数の第2貫通孔のうち残りのセパレーターに対応する第2-2貫通孔に挿通された第2棒状ガイドを操作して、前記残りのセパレーターの棒状部の他端側に前記第2棒状ガイドの一端側の筒状部を被せる第2作業と、
前記第2貫通孔に対し前記第1棒状ガイド及び前記第2棒状ガイドを挿通させた状態で、前記第2型枠が前記複数のセパレーターの各々の受け座に当接するように前記第2型枠を移動させる第3作業とを行う、型枠の建て込み方法。
【請求項2】
前記第1棒状ガイドと前記第2棒状ガイドは、同一製品である、請求項1に記載の型枠の建て込み方法。
【請求項3】
前記第1棒状ガイドの中間部の長さは、10cm以上である、請求項1又は2に記載の型枠の建て込み方法。
【請求項4】
型枠建て込み用のセパレーターに取り付けられる棒状ガイドであって、
真っすぐな棒状に形成された中間部と、
前記中間部と同軸に前記中間部の一端側に設けられて、前記セパレーターの棒状部を内側に嵌め込み可能な筒状部と、
前記中間部と同軸に前記中間部の他端側に設けられて、先細形状を有する先細部とを備え、
前記中間部の長さが10cm以上である、棒状ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート壁を構築するための型枠の建て込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート壁を構築するための型枠の建て込みでは、「もと壁」と呼ばれる外型枠と、「返し壁」と呼ばれる内型枠との距離を保つために、セパレーターが用いられる。特許文献1には、セパレーターを用いる型枠の建て込み方法として、型枠構築方法が記載されている。この型枠構築方法は、第1型枠を設置する第1型枠設置工程と、第1型枠の内面側にセパレーターの一端部を取り付けるセパレーター取付工程と、セパレーターの他端部に第2型枠を取り付ける第2型枠設置工程と、第1型枠と第2型枠とを、セパレーターを間に挟んで締め付け固定する型枠固定工程とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第1型枠の建て込み後になされる第2型枠の建て込み工程では、第1型枠に近づけるように第2型枠を移動させるだけでは、第2型枠における全ての貫通孔に、第1型枠に取り付けられたセパレーターの棒状部を挿通させることができない場合が多い。このような場合、作業者は、第2型枠の外側から、道具にてセパレーターの棒状部を引っ掛けて第2の貫通孔に導き入れる作業が必要となる。そして、この作業を行うにあたっては、第2型枠を支えて立設状態に保持する別の作業者が必要となる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、第2型枠の建て込みにおいて第2型枠を立設状態に保持する作業者が常に必要とはならない、型枠の建て込み方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、第1型枠が立設され、且つ、第1型枠における複数の第1貫通孔の各々に対し、複数のセパレーターの各々の一端側が取り付けられた状態を構築する第1型枠建て込み工程と、第1型枠に対向するように第2型枠が立設され、且つ、第2型枠における複数の第2貫通孔の各々に対し、複数のセパレーターの各々の他端側が取り付けられた状態を構築する第2型枠建て込み工程とを行う、型枠の建て込み方法であって、第1型枠建て込み工程では、複数のセパレーターのうち一部のセパレーターの棒状部の他端側に、第1棒状ガイドの基端側を略水平に取り付け、第2型枠建て込み工程では、複数の第2貫通孔のうち一部のセパレーターに対応する第2-1貫通孔に、第1棒状ガイドが導入されるように第2型枠を移動させ、第1棒状ガイドの中間部が第2-1貫通孔に挿通された状態で第2型枠を仮設置して、第1棒状ガイドを介して第1型枠に第2型枠を支持させる第1作業と、複数の第2貫通孔のうち残りのセパレーターに対応する第2-2貫通孔に挿通された第2棒状ガイドを操作して、残りのセパレーターの棒状部の他端側に第2棒状ガイドの一端側の筒状部を被せる第2作業と、第2貫通孔に対し第1棒状ガイド及び第2棒状ガイドを挿通させた状態で、第2型枠が複数のセパレーターの各々の受け座に当接するように第2型枠を移動させる第3作業とを行う、型枠の建て込み方法である。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、第1棒状ガイドと第2棒状ガイドは、同一製品である。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、第1棒状ガイドの中間部の長さは、10cm以上である。
【0009】
第4の発明は、型枠建て込み用のセパレーターに取り付けられる棒状ガイドであって、真っすぐな棒状に形成された中間部と、中間部と同軸に中間部の一端側に設けられて、セパレーターの棒状部を内側に嵌め込み可能な筒状部と、中間部と同軸に中間部の他端側に設けられて、先細形状を有する先細部とを備え、中間部の長さが10cm以上である、棒状ガイドである。
【発明の効果】
【0010】
第1乃至第3の各発明では、第2型枠建て込み工程の第1作業を行うことで、第1棒状ガイドを介して第1型枠に第2型枠を支持させる。そのため、残りのセパレーターの棒状部に第2棒状ガイドの筒状部を被せる第2作業の際に、第2棒状ガイドを操作する作業者とは別に、第2型枠を支える作業者は不要である。そのため、第2型枠の建て込みにおいて第2型枠を立設状態に保持する作業者が常に必要とはならない、型枠の建て込み方法を実現することができる。
【0011】
第4の発明では、棒状ガイドの中間部の長さが10cm以上であるため、上述の第1作業を行うことで、棒状ガイドを介して第1型枠に第2型枠を支持させた状態にすることが可能である。また、中間部の長さが10cm以上であるため、セパレーターの棒状部の他端側に棒状ガイドの一端側の筒状部を被せる第2作業の際に、作業者にとって中間部を把持しやすい。第4の発明によれば、第1棒状ガイドにも第2棒状ガイドにも利用できる棒状ガイドを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、棒状ガイドの概略構造図であり、
図1(a)は、棒状ガイドの円筒部を正面から見た図であり、
図1(b)は、棒状ガイドの側面図であり、
図1(c)は、棒状ガイドの先細部を正面から見た図である。
【
図3】
図3は、型枠の建て込み方法を説明するための上面図であり、
図3(a)は、外壁建て込み工程におけるセパレーター取付作業の終了時点を表し、
図3(b)は、内壁建て込み工程の開始時点を表し、
図3(c)は、内壁建て込み工程における第1作業の終了時点を表す。
【
図4】
図4は、型枠の建て込み方法を説明するための上面図であり、
図4(a)は、内壁建て込み工程の第2作業においてセパレーターの棒状部に棒状ガイドの円筒部を被せる過程を表し、
図4(b)は、内壁建て込み工程における第2作業の終了時点を表し、
図4(c)は、内壁建て込み工程における第3作業の終了時点を表す。
【
図5】
図5(a)は、内壁建て込み工程の終了時点を表す上面図であり、
図5(b)は、内壁建て込み工程の終了時点を表す側面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の効果を説明するための現場の平面図である。
【
図7】
図7は、[実施形態の効果等]の箇所にて説明する、別の型枠の建て込み方法を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0014】
本実施形態は、第1棒状ガイド10aと第2棒状ガイド10bの何れとしても利用できる棒状ガイド10(
図1参照)を用いて行う、型枠1,2(
図2参照)の建て込み方法である。以下では、型枠1,2の建て込み方法について説明を行う前に、棒状ガイド10の構成について説明を行う。
【0015】
[棒状ガイドの構成]
棒状ガイド10は、
図1(a)-(c)に示すように、真っすぐな棒状に形成されている。具体的に、棒状ガイド10は、真っすぐな棒状に形成された中間部11と、中間部11の一端側に設けられた円筒部(筒状部)12と、中間部11の他端側に設けられて先細形状を有する先細部13とを備えている。棒状ガイド10は、型枠建て込み用のセパレーター20(
図3等参照)の棒状部21に同軸に取り付け可能である。
【0016】
中間部11は、
図1(b)に示すように、外径(太さ)が一定の円柱状に形成されている。中間部11の外径は、セパレーター20の棒状部21の外径と同程度である。中間部11の外径は、例えば10mm前後の寸法にすることができる。なお、棒状ガイド10は、
図1の上側、下側、紙面手前側、及び、紙面奥側の何れの方向から見ても、
図1(b)の側面図で表される。
【0017】
円筒部12は、
図1(a)に示すように、一端が開口した円筒状に形成され、中間部11と同軸に設けられている。円筒部12の内径及び外径は、長さ方向に一定である。円筒部12の内径は、セパレーター20の棒状部21の外径と同程度である。円筒部12の内側には、セパレーター20の棒状部21を嵌め込み可能(嵌合可能)である。円筒部12では、外径が内径よりも僅かに大きく、壁厚が薄い(外径と内径との差が小さい)。円筒部12の壁厚は、例えば1mm以下にすることができる。また、円筒部12の外径は、中間部11の外径よりも僅かに大きい。中間部11と円筒部12の間には、円筒部12に向かって外径が大きくなるテーパー部14が設けられている。
【0018】
また円筒部12には、磁石15が埋設されている。磁石15は円柱状に形成されている。磁石15の端面は、円筒部12において、セパレーター20の棒状部21が嵌め込まれる凹部の底面を構成する。そのため、磁石15の端面は、円筒部12の凹部に嵌め込まれた棒状部21に吸着する。凹部の深さは、2cm以上(好ましくは3cm以上)にすることができる。なお、円筒部12への嵌合によって棒状部21を略水平に保持できるのであれば、磁石15は省略してもよい。
【0019】
先細部13は、先端側丸みを帯びた略円錐状に形成され、中間部11と同軸に設けられている。先細部13の基端側の外径は、中間部11の外径と等しい。
【0020】
棒状ガイド10では、全長の大部分を中間部11が占めている。棒状ガイド10では、各部分の長さが、例えば中間部11、円筒部12、先細部13、テーパー部14の順番となっている。但し、円筒部12、先細部13及びテーパー部14の長さの順番は、この順番に限定されない。また、中間部11の長さLは、例えば10cm以上(好ましくは15cm以上)とすることができる。また、棒状ガイド10の全長は、例えば17cm以上(好ましくは20cm以上)とすることができる。
【0021】
[型枠の建て込み方法]
続いて、コンクリート壁を構築するための型枠1,2(
図2参照)の建て込み方法について、
図3-5を参照しながら説明を行う。この方法を行うことで、一対の型枠1,2が、セパレーター20によって一定の間隔で離間して対向するように建てられる。
【0022】
以下では、第1棒状ガイドとして使用される棒状ガイド10の符号を10aとし、第2棒状ガイドとして使用される棒状ガイド10の符号を10bとしている。なお、
図3-5では、型枠1,2間の鉄筋などの記載を省略している。
【0023】
型枠1,2の建て込み方法は、「もと壁」と呼ばれる外型枠(第1型枠)1が立設され、且つ、外型枠1における複数の第1貫通孔3a,3bの各々に対し、複数のセパレーター20の各棒状部21の一端側が取り付けられた状態を構築する外壁建て込み工程(第1型枠建て込み工程)と、外型枠1に対向するように「返し壁」と呼ばれる内型枠2が立設され、且つ、内型枠2における複数の第2貫通孔4a,4bの各々に対し、複数のセパレーター20の各棒状部21の他端側が取り付けられた状態を構築する内壁建て込み工程(第2型枠建て込み工程)とを行うものである。
【0024】
外壁建て込み工程では、墨出し位置に合わせて外型枠1を立設させる。次に、外型枠1におけるセパレーター20の取付位置を削孔する削孔作業を行う。そして、削孔作業により形成された各第1貫通孔3a,3bに対し、セパレーター20を取り付けるセパレーター取付作業を行う。
【0025】
パレーター取付作業では、外型枠1の内側から、各貫通孔3a,3bに対し、セパレーター20の棒状部21の一端側を挿通させる。次に、外型枠1の外側において露出する棒状部21の一端部(雄ネジ部)21aに対し、フォームタイ25の雌ネジ部を螺合して、フォームタイ25の締め付けを行う。これにより、外型枠1が、
図3(a)に示すように、セパレーター20における一対の受け座22の一方とフォームタイ25とによって挟み込まれて固定された状態となる。
【0026】
また、外壁建て込み工程では、複数のセパレーター20のうち一部のセパレーター20aの棒状部21の他端部21bに、第1棒状ガイド10aの基端側を棒状部21と同軸に取り付けるガイド取付作業も行われる。ガイド取付作業では、
図3(b)に示すように、第1棒状ガイド10aの円筒部12が、棒状部21の他端部(雄ネジ部)21bに被せられる。第1棒状ガイド10aの円筒部12の内側に棒状部21の他端部21bが嵌合しており、また磁石15が棒状部21に吸着して、第1棒状ガイド10aは略水平に保持される。
【0027】
ここで、外型枠1では、上下に並ぶ第1貫通孔3a,3bが、
図2に示すように、複数列(例えば2列)形成される。ガイド取付作業では、外型枠1の貫通孔3a,3bのうち1つの列の第1貫通孔3aに取り付けられたセパレーター20aだけに対し、第1棒状ガイド10aを取り付ける。すなわち、第1貫通孔3aに取り付けられたセパレーター20aが、上述の一部のセパレーター20aに相当する。なお、一部のセパレーター20aの個数は複数であることが望ましい。
【0028】
以下では、外型枠1における複数の第1貫通孔3a,3bのうち第1棒状ガイド10aが取り付けられたセパレーター20aが挿通された貫通孔3aを「第1-1貫通孔」と呼び、残りの貫通孔3bを「第1-2貫通孔」と呼ぶ。また、内型枠2における複数の第2貫通孔4a,4bのうち、第1-1貫通孔3aに対応する貫通孔4a(一部のセパレーター20aに対応する貫通孔4a)を「第2-1貫通孔」と呼び、第1-2貫通孔3bに対応する貫通孔4b(残りのセパレーター20bに対応する貫通孔4b)を「第2-2貫通孔」と呼ぶ。
【0029】
内壁建て込み工程では、
図3(b)に示すように、第2-1貫通孔4aに第1棒状ガイド10aが導入されるように内型枠2を移動させ、
図3(c)に示すように、第1棒状ガイド10aの中間部11が第2-1貫通孔4aに挿通された状態で内型枠2を仮設置する第1作業が行われる。第1作業が行われることで、第1棒状ガイド10aを介して外型枠1に内型枠2が支持された状態となる。そのため、内型枠2から作業者が手を放しても内型枠2は倒れず、内型枠2を立設状態に支持する作業者は不要となる。
【0030】
なお、第1作業の際には、内型枠2の第2-2貫通孔4bに対し、
図3(b)に示すように、内型枠2の内面側に円筒部12が位置して内型枠2の外面側に先細部13が位置するように第2棒状ガイド10bを挿通させる。第2-2貫通孔4bへの第2棒状ガイド10bの挿通は、内型枠2の仮設置前に行ってもよいし、内型枠2の仮設置後に行ってもよい。
【0031】
続いて、内壁建て込み工程では、第2-2貫通孔4bに挿通された第2棒状ガイド10bを操作して(動かして)、
図4(a)-(b)に示すように、残りのセパレーター20bの棒状部21の他端部(雄ネジ部)21bに第2棒状ガイド10bの一端側の円筒部12を被せる第2作業が行われる。第2作業では、例えば、作業者が、内型枠2の外側(
図4における右側)において、第2棒状ガイド10bの中間部11を把持して第2棒状ガイド10bを動かす。
【0032】
続いて、内壁建て込み工程では、
図4(c)に示すように、第2貫通孔4a,4bに対し第1棒状ガイド10a及び第2棒状ガイド10bを挿通させた状態で、内型枠2が各セパレーター20a,20bの受け座22に当接するように内型枠2を移動させる第3作業が行われる。そして、第3作業後に、内型枠2の外側(
図4における右側)から、全ての棒状ガイド10a,10bを引き抜く。円筒部12は、外径と内径の差が小さいため、第2貫通孔4a,4bを通ることができる。最後に、各セパレーター20a,20bの棒状部21の他端部21bを露出させ、各セパレーター20a,20bの棒状部21の他端部21bに対し、フォームタイ25を螺合して、フォームタイ25の締め付けを行う。これにより、
図5(a)-(b)に示すように、内型枠2が、セパレーター20における一対の受け座22の他方とフォームタイ25とによって挟み込まれて固定された状態となる。
【0033】
なお、型枠1,2の建て込みでは、間仕切り壁の建て込み工程、壁金物・開口枠の建て込み工程、スラブ用支保工の建て込み工程などの他の工程も行われるが、説明は省略する。
【0034】
[本実施形態の効果等]
本実施形態では、内壁建て込み工程の第1作業を行うことで、第1棒状ガイド10aを介して外型枠1に内型枠2を支持させる。そのため、残りのセパレーター20bの棒状部21に第2棒状ガイド10bの円筒部12を被せる第2作業の際に、第2棒状ガイド10bを操作する作業者とは別に、内型枠2を支える作業者は不要である。そのため、内型枠2の建て込みにおいて内型枠2を立設状態に保持する作業者が常に必要とはならない、型枠1,2の建て込み方法を実現することができる。本実施形態によれば、例えば1人でも型枠1,2の建て込み作業を行うことが可能である。
【0035】
本実施形態は、特に、
図6の平面に示す現場に設けられた型枠1,2の組合せのうち、最も上側の型枠1,2の建て込みに有用である。具体的に、作業者が外型枠1と内型枠2の間に入ることができない状況で、内型枠2の一方の側面の近傍に壁面8が存在する場合、内型枠2の外側にいる作業者は、内型枠2の側面と壁面8との隙間Sから内型枠2の内側に手を入れて、セパレーター20bの棒状部21を第2貫通孔4a,4bに導き入れることは困難である。それに対し、本実施形態では、内型枠2の外側にいる作業者が隙間Sから内型枠2の内側に手を入れることなく、第2作業を行うことができる。そのため、内型枠2の側面の近傍に壁面8が存在する場合であっても、セパレーター20の棒状部21を第2貫通孔4a,4bに導き入れる作業を容易に行うことができる。
【0036】
なお、建設現場において作業者が複数人いる場合、一部の型枠1,2の建て込みについては、外壁建て込み工程において、
図7(a)に示すように、全てのセパレーター20の棒状部21の他端部21bに、棒状ガイド10の円筒部12を取り付けてもよい。この場合、内壁建て込み工程では、内型枠2を保持する以外の作業者が第2貫通孔4a,4bへの棒状ガイド10の導入を行うことで、内型枠2を移動させながら、全ての第2貫通孔4a,4bに棒状ガイド10を導入することが可能である。そのため、上述の仮設置を行うことなく、
図7(b)に示すように、内型枠2がセパレーター20の各々の受け座22に当接するように内型枠2を移動させることができる。従って、作業者の人数に応じて、
図3-5に示す型枠1,2の建て込み方法と、
図7に示す型枠1,2の建て込み方法とを組み合わせることで、短時間で現場全体の型枠1,2の建て込みを完了させることができる。
【0037】
[実施形態の変形例]
本実施形態では、第1棒状ガイド10aと第2棒状ガイド10bが同一製品であるが、第1棒状ガイド10aと第2棒状ガイド10bが異なる製品であってもよい。例えば、第2棒状ガイド10bは、先細部13を有していなくてもよい。
【0038】
本実施形態では、棒状ガイド10において中間部11の外径と円筒部12の外径が異なるが、中間部11の外径と円筒部12の外径を等しくしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、コンクリート壁を構築するための型枠の建て込み方法等に適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 外型枠(第1型枠)
2 内型枠(第2型枠)
3a 第1貫通孔,第1-1貫通孔
3b 第1貫通孔,第1-2貫通孔
4a 第2貫通孔,第2-1貫通孔
4b 第2貫通孔,第2-2貫通孔
10 棒状ガイド(第1棒状ガイド,第2棒状ガイド)
10a 第1棒状ガイド
10b 第2棒状ガイド
11 中間部
12 円筒部
20 セパレーター
20a 一部のセパレーター
20b 残りのセパレーター
21 棒状部
22 受け座