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  • 特開-消火装置 図1
  • 特開-消火装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100165
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】消火装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/38 20060101AFI20240719BHJP
   A62D 1/08 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A62C37/38
A62D1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003953
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武関 尚人
(72)【発明者】
【氏名】大坪 尚充
(72)【発明者】
【氏名】中尾 洋一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】大谷 元希
(72)【発明者】
【氏名】藤村 修
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅敦
【テーマコード(参考)】
2E189
2E191
【Fターム(参考)】
2E189BB08
2E189CC01
2E191AA01
2E191AB51
(57)【要約】
【課題】アンモニアを利用して消火対象を効率的に消火することができる技術を提供する。
【解決手段】消火対象を消火するための消火装置であって、消火装置は、アンモニアを貯留するタンクと、タンクから消火対象へアンモニアを供給する供給手段と、供給手段により消火対象へ供給するアンモニアの量を制御する制御手段と、を備えていてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火対象を消火するための消火装置であって、
アンモニアを貯留するタンクと、
前記タンクから消火対象へアンモニアを供給する供給手段と、
前記供給手段により消火対象へ供給するアンモニアの量を制御する制御手段と、を備える、消火装置。
【請求項2】
請求項1に記載の消火装置であって、
消火対象が存在する室内の酸素濃度を検出する酸素濃度計を更に備え、
前記制御手段は、前記酸素濃度計により検出される酸素濃度に基づいて、前記供給手段により消火対象へ供給するアンモニアの量を制御する、消火装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の消火装置であって、
消火対象に供給されるアンモニアと消火対象の周囲の酸素とが反応することにより発生する水を検出する水分計を更に備える、消火装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の消火装置であって、
移動体に搭載されている、消火装置。
【請求項5】
請求項4に記載の消火装置であって、
前記移動体は、車両、船舶、又は航空機である、消火装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の消火装置であって、
前記供給手段は、前記タンクに接続されている管と、前記管の上流側から下流側へアンモニアを圧送するポンプと、前記管を開閉するバルブと、を備える、消火装置。
【請求項7】
請求項6に記載の消火装置であって、
前記制御手段は、前記ポンプの回転数、及び/又は、前記バルブの開閉を制御することにより、前記供給手段により消火対象へ供給するアンモニアの量を制御する、消火装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、消火対象を消火するための消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水溶性成分として少なくとも1種の消炎化合物(例えば、リン酸アンモニウム又は硫酸アンモニウム)と少なくとも1種の硝酸塩とを含む消火用水溶液を、高圧状態で、噴霧ノズルから噴霧放射することを特徴とする消火方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/123311号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では消炎化合物としてリン酸アンモニウム又は硫酸アンモニウムが用いられている。一方、近年ではアンモニアを利用した様々な装置が検討されている。そこで本明細書は、アンモニアを利用して消火対象を効率的に消火することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の第1の態様は、消火対象を消火するための消火装置であって、消火装置は、アンモニアを貯留するタンクと、前記タンクから消火対象へアンモニアを供給する供給手段と、前記供給手段により消火対象へ供給するアンモニアの量を制御する制御手段と、を備えていてもよい。
【0006】
この構成によれば、消火対象にアンモニアを供給することにより、アンモニア(NH)と酸素(O)の化学反応により発生する水(HO)を利用して消火対象を消火することができ、消火対象を効率的に消火することができる。また、消火対象の周囲の酸素(O)が消費されることにより、窒息効果を利用して消火対象を効率的に消火することができる。
【0007】
第2の態様では、上記第1の態様において、消火装置は、消火対象が存在する室内の酸素濃度を検出する酸素濃度計を更に備えていてもよい。前記制御手段は、前記酸素濃度計により検出される酸素濃度に基づいて、前記供給手段により消火対象へ供給するアンモニアの量を制御してもよい。この構成によれば、適切な量のアンモニアを消火対象に供給することができる。
【0008】
第3の態様では、上記第1又は第2の態様において、消火装置は、消火対象に供給されるアンモニアと消火対象の周囲の酸素とが反応することにより発生する水を検出する水分計を更に備えていてもよい。
【0009】
消火装置では、消火対象にアンモニアを供給することにより水が発生する。上記の構成によれば、水分計を備えることにより、消火対象にアンモニアが供給されたことを確認することができる。
【0010】
第4の態様では、上記第1から第3の態様のいずれかにおいて、消火装置は、移動体に搭載されていいてもよい。この構成によれば、消火対象の近くまで消火装置を移動させることができ、消火対象の近くで消火活動を行うことができる。
【0011】
第5の態様では、上記第4の態様において、前記移動体は、車両、船舶、又は航空機であってもよい。この構成によれば、火災現場に応じた移動体により火災現場まで移動することができるので、効率的に消火活動を行うことができる。
【0012】
第6の態様では、上記第1から第5の態様のいずれかにおいて、前記供給手段は、前記タンクに接続されている管と、前記管の上流側から下流側へアンモニアを圧送するポンプと、前記管を開閉するバルブと、を備えていてもよい。この構成によれば、簡潔な構成でアンモニアを消火対象へ供給することができる。
【0013】
第7の態様では、上記第1から第6の態様のいずれかにおいて、前記制御手段は、前記ポンプの回転数、及び/又は、前記バルブの開閉を制御することにより、前記供給手段により消火対象へ供給するアンモニアの量を制御してもよい。この構成によれば、簡潔な構成で消火対象へ供給するアンモニアの量を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施例の消火装置の概略構成を示す図。
図2】第2実施例の消火装置の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施例)
第1実施例の消火装置2について図面を参照して説明する。図1に示すように、消火装置2は、タンク10と、タンク10に接続されている配管12とを備えている。また、消火装置2は、酸素濃度計22と、水分計23と、感知器20と、制御装置30とを備えている。第1実施例の消火装置2は、部屋40を備える建物42に設置されている。消火装置2は、例えば、部屋40の内部(即ち室内)の消火対象Sを消火するための装置である。消火対象Sは、例えば、室内に配置されている家具等である。また、消火対象Sは、室内全体であってもよい。消火対象Sは特に限定されない。
【0016】
タンク10は、消火対象Sの炎を消火するための液体のアンモニア(NH)を貯留している。タンク10は、例えば、部屋40の外部(即ち室外)に配置されている。タンク10の内部には、アンモニアの液位を検出する液位計26が取り付けられている。
【0017】
配管12は、上流端がタンク10に接続されており、タンク10から部屋40の内部(即ち室内)まで延びている。配管12の下流端にはノズル18が取り付けられている。配管12は、タンク10に貯留されているアンモニアをノズル18へ供給する。ノズル18は、例えば、部屋40の天井に取り付けられている。ノズル18は、配管12を通じて供給されるアンモニアを室内に散布する。
【0018】
配管12には、上流側から順に、ポンプ14と、バルブ16と、流量計24が設けられている。ポンプ14は、配管12を流れるアンモニアを上流側から下流側へ圧送する。バルブ16は配管12を開閉する。バルブ16が開弁すると室内にアンモニアが供給される。流量計24は、配管12を流れるアンモニアの流量を検出する。
【0019】
酸素濃度計22と水分計23と感知器20は、室内に配置されている。酸素濃度計22は、例えば、部屋40の天井に取り付けられている。酸素濃度計22は、室内の酸素濃度を検出する。酸素濃度計22としては、例えば、磁気式、レーザー分光式、ジルコニア式、ガルバニ電池式の酸素濃度計が挙げられる。
【0020】
水分計23は、例えば、部屋40の床に取り付けられている。水分計23は、消火対象Sに供給されるアンモニアと消火対象Sの周囲の酸素とが反応することにより発生する水を検出する。水分計23としては、例えば、高周波式、電気抵抗式の水分計が挙げられる。
【0021】
感知器20は、例えば、部屋40の天井に取り付けられている。感知器20は、室内で火災が発生すると、その火災を感知する。感知器20としては、例えば、熱を感知するタイプ、煙を感知するタイプ、又は炎を感知するタイプの感知器が挙げられる。感知器20としては、例えば、差動式、定温式、光電式、紫外線式、赤外線式の感知器が挙げられる。
【0022】
上記の消火装置2では、室内で火災が発生すると、感知器20が火災を感知する。感知器20が火災を感知すると、制御装置30が、配管12に設けられているバルブ16を開弁すると共にポンプ14を駆動する。そうすると、タンク10に貯留されているアンモニアが配管12を流れて室内に供給される。配管12に取り付けられているノズル18から室内の消火対象Sに向けてアンモニアが散布される。
【0023】
アンモニアが消火対象Sに散布されるとアンモニアが燃焼する。これにより、下記の化学式(1)のように、アンモニア(NH)と酸素(O)が反応して、窒素(N)と水(HO)が生成される。上記の消火装置2では、アンモニア(NH)と酸素(O)の化学反応により発生する水(HO)によって消火対象Sの炎を消火することができる。また、消火対象Sが存在する室内の酸素が消費されることにより室内の酸素濃度が低下し、それにより生じる窒息効果により消火対象Sの炎を消火することができる。
4NH+3O→2N+6HO・・・(1)
【0024】
また、上記の消火装置2では、制御装置30が、配管12に設けられている流量計24により検出されるアンモニアの流量に基づいて、室内に供給されるアンモニアの量を算出してもよい。より詳細には、制御装置30は、流量計24の検出流量と、バルブ16を開弁してからの経過時間とに基づいて、室内に供給されるアンモニアの量を算出してもよい。
【0025】
また、制御装置30は、タンク10に設けられている液位計26により検出されるアンモニアの液位に基づいて、室内に供給されるアンモニアの量を算出してもよい。より詳細には、制御装置30は、バルブ16を開弁してから、液位計26の検出液位の変化量に基づいて、室内に供給されるアンモニアの量を算出してもよい。
【0026】
また、制御装置30は、室内に配置されている酸素濃度計22により検出される酸素濃度に基づいてバルブ16の開閉を制御してもよい。より詳細には、制御装置30は、酸素濃度計22の検出酸素濃度と、室内の容積とに基づいて、室内の酸素量を算出する。制御装置30は、算出された量の酸素が全て消費されるアンモニア量を算出する。制御装置30は、上記の化学式(1)に基づいて、室内の酸素が全て消費されるアンモニア量を算出する。
【0027】
制御装置30は、算出された量のアンモニアが室内に供給されるようにバルブ16の開閉を制御する。上述したように、制御装置30は、流量計24の検出流量に基づいて、室内に供給されるアンモニアの量を算出する。或いは、制御装置30は、液位計26の検出液位に基づいて、室内に供給されるアンモニアの量を算出する。制御装置30は、バルブ16を開弁した後に、室内に供給されるアンモニアの量が、室内の酸素が全て消費されるアンモニア量に達した場合に、バルブ16を閉弁する。
【0028】
(効果)
以上、第1実施例の消火装置2について説明した。以上の説明から明らかなように、消火装置2は、タンク10から消火対象Sへアンモニアを供給する配管12(供給手段の一例)と、配管12により消火対象Sへ供給するアンモニアの量を制御する制御装置30(制御手段の一例)とを備えている。
【0029】
この構成によれば、消火対象Sにアンモニアを供給することにより、アンモニア(NH)と酸素(O)の化学反応により発生する水(HO)を利用して消火対象Sを消火することができ、消火対象Sを効率的に消火することができる。また、消火対象Sの周囲の酸素(O)が消費されることにより、窒息効果を利用して消火対象Sを効率的に消火することができる。
【0030】
制御装置30は、酸素濃度計22により検出される酸素濃度に基づいて、配管12により消火対象Sへ供給するアンモニアの量を制御する。この構成によれば、適切な量のアンモニアを消火対象Sに供給することができる。
【0031】
消火装置2は、消火対象Sに供給されるアンモニアと消火対象Sの周囲の酸素とが反応することにより発生する水を検出する水分計23を備えている。この構成によれば、消火対象Sにアンモニアが供給されたことを確認することができる。制御装置30は、水分計23の検出結果をモニタ等の表示装置(不図示)に表示してもよい。
【0032】
消火装置2は、配管12の上流側から下流側へアンモニアを圧送するポンプ14と、配管12を開閉するバルブ16とを備えている。この構成によれば、簡潔な構成でアンモニアを消火対象Sへ供給することができる。
【0033】
制御装置30は、バルブ16の開閉を制御することにより、消火対象Sへ供給するアンモニアの量を制御する。また、制御装置30は、ポンプ14の回転数を制御することにより、消火対象Sへ供給するアンモニアの量を制御してもよい。この構成によれば、簡潔な構成で消火対象Sへ供給するアンモニアの量を制御することができる。
【0034】
(第2実施例)
第2実施例の消火装置2について図面を参照して説明する。図2に示すように、第2実施例の消火装置2は、移動体50(例えば、ドローン)に搭載されている。移動体50は、特に限定されないが、例えば、車両、船舶、又は航空機である。車両としては、例えば、消防車、トラック等が挙げられる。船舶としては、例えば、タンカー、フェリー、ボート等が挙げられる。航空機としては、例えば、固定翼機、回転翼機等が挙げられる。回転翼機としては、例えば、ドローン、ヘリコプター等が挙げられる。第2実施例では、配管12は、可撓性を有するホースであってもよい。
【0035】
このような構成によれば、移動体50により消火対象Sの近くまで消火装置2を移動させることができ、消火対象Sの近くで消火活動を行うことができる。例えば、移動体50が移動することにより、山火事、海上火災、遠隔地の火災を消火することができる。また、火災現場に応じた移動体50により火災現場まで移動することができるので、効率的に消火活動を行うことができる。
【0036】
(変形例)
ポンプ14とバルブ16の制御方法は上記の構成に限定されない。変形例では、制御装置30は、酸素濃度計22が検出する酸素濃度が高い場合に、ポンプ14の回転数、及び/又は、バルブ16の開度を大きくし、酸素濃度が低い場合に、ポンプ14の回転数、及び/又は、バルブ16の開度を小さくしてもよい。
【0037】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0038】
2:消火装置、10:タンク、12:配管、14:ポンプ、16:バルブ、18:ノズル、20:感知器、22:酸素濃度計、23:水分計、24:流量計、26:液位計、30:制御装置、40:部屋、50:移動体、S:消火対象
図1
図2