(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100181
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ハニカム構造体、電気加熱式担体及び排ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
B01J 35/57 20240101AFI20240719BHJP
B01J 32/00 20060101ALI20240719BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240719BHJP
H05B 3/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B01J35/04 301C
B01J32/00 ZAB
B01D53/94 300
H05B3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003987
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小崎 裕子
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 和弥
(72)【発明者】
【氏名】貞光 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】嶋崎 忍
【テーマコード(参考)】
3K092
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3K092PP15
3K092QA03
3K092QB02
3K092QB03
3K092QC02
3K092QC13
3K092QC21
3K092VV26
4D148BB02
4D148CC43
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4D148DA20
4D148EA02
4G169AA01
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4G169CA02
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4G169DA06
4G169EA19
4G169EA26
4G169EB04
4G169EB15Y
4G169ED03
4G169ED10
4G169EE03
(57)【要約】
【課題】軸方向に延びる縦クラックの発生を抑えることができるハニカム構造体、電気加熱式担体及び排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】本発明によるハニカム構造体は、外周壁10と、外周壁10の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びる流路を形成する複数のセル11aを区画形成する隔壁11と、周方向1Cに互いに離間し、外周壁10から径方向内方に切られ、かつ、セル11aの延伸方向EDに延びる複数のスリット12と、を有するセラミックス製のハニカム構造部1と、外周壁10の外面上に、ハニカム構造部1の中心軸CAを挟んで対向するように設けられ、ハニカム構造部1に対する電流の出入に用いられる一対の電極層2と、ハニカム構造部1の周方向1Cで一対の電極層2の間に位置するように外周壁10の外面上に設けられ、スリット12により一対の電極層2と電気的に分離されている補強層3と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、周方向に互いに離間し、前記外周壁から径方向内方に切られ、かつ、前記セルの延伸方向に延びる複数のスリットと、を有するセラミックス製のハニカム構造部と、
前記外周壁の外面上に、前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで対向するように設けられ、前記ハニカム構造部に対する電流の出入に用いられる一対の電極層と、
前記ハニカム構造部の周方向で前記一対の電極層の間に位置するように前記外周壁の外面上に設けられ、前記スリットにより前記一対の電極層と電気的に分離されている補強層と、
を備えている、ハニカム構造体。
【請求項2】
前記外周壁の外周全面は、前記複数のスリットの位置を除いて前記電極層及び前記補強層により覆われている、
請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記電極層及び前記補強層は、同じ材料により構成されている、
請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記ハニカム構造部の体積抵抗率(R1)に対する前記補強層の体積抵抗率(R2)の比率(R2/R1)が0.0001以上かつ1以下である、
請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記ハニカム構造部の周方向に関して前記電極層が設けられている領域における前記スリットの本数に比べて、前記補強層が設けられている領域における前記スリットの本数が多い、
請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のハニカム構造体と、
前記一対の電極層上に設けられた電極端子と、
を備える、電気加熱式担体。
【請求項7】
請求項6に記載の電気加熱式担体と、
前記ハニカム構造体を保持する金属製の缶体と、
を備える、排ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体、電気加熱式担体及び排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1,2等で示されるように、導電性セラミックスからなるハニカム構造体の外周に電極層を配設し、通電によりハニカム構造体自体を発熱させることで、ハニカム構造体に担持された触媒をエンジン始動前に活性温度まで昇温する電気加熱式触媒(EHC)が知られている。ハニカム構造体内の通電経路を遮断しないため、またハニカム構造体の脱落を防ぐためにも、ハニカム構造体には排気ガス温度の変化により割れないことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5663003号公報
【特許文献2】特許第6126434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低温のハニカム構造体に高温の排気ガスが入り込んでくる際、流速分布により、ハニカム構造体の端面の中央部と外周部との間に温度差が生じやすい。一般にハニカム構造体の中央部が外周部より高温化する傾向にある。このような温度差が生じると、ハニカム構造体の熱膨張差に起因して、軸方向に延びるクラック(縦クラック)を外周部に誘発するような応力がハニカム構造体に生じる。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、軸方向に延びる縦クラックの発生を抑えることができるハニカム構造体、電気加熱式担体及び排ガス処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
項目1.本発明は、一実施の形態において、外周壁と、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、周方向に互いに離間し、外周壁から径方向内方に切られ、かつ、セルの延伸方向に延びる複数のスリットと、を有するセラミックス製のハニカム構造部と、外周壁の外面上に、ハニカム構造部の中心軸を挟んで対向するように設けられ、ハニカム構造部に対する電流の出入に用いられる一対の電極層と、ハニカム構造部の周方向で一対の電極層の間に位置するように外周壁の外面上に設けられ、スリットにより一対の電極層と電気的に分離されている補強層と、を備えている、ハニカム構造体に関する。
【0007】
項目2.本発明は、外周壁の外周全面は、複数のスリットの位置を除いて電極層及び補強層により覆われている、項目1に記載のハニカム構造体に関していてよい。
【0008】
項目3.本発明は、電極層及び補強層は、同じ材料により構成されている、項目1又は2に記載のハニカム構造体に関していてよい。
【0009】
項目4.本発明は、ハニカム構造部の体積抵抗率(R1)に対する補強層の体積抵抗率(R2)の比率(R2/R1)が0.0001以上かつ1以下である、項目1から3までのいずれか1項に記載のハニカム構造体に関していてよい。
【0010】
項目5.本発明は、ハニカム構造部の周方向に関して電極層が設けられている領域におけるスリットの本数に比べて、補強層が設けられている領域におけるスリットの本数が多い、項目1から4までのいずれか1項に記載のハニカム構造体に関していてよい。
【0011】
項目6.本発明は、一実施の形態において、項目1から5までのいずれか1項に記載のハニカム構造体と、一対の電極層上に設けられた電極端子と、を備える、電気加熱式担体に関する。
【0012】
項目7.本発明は、一実施の形態において、項目6に記載の電気加熱式担体と、ハニカム構造体を保持する金属製の缶体と、を備える、排ガス処理装置に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のハニカム構造体、電気加熱式担体及び排ガス処理装置の一実施の形態によれば、スリットにより一対の電極層と電気的に分離されている補強層が、ハニカム構造部の周方向で一対の電極層の間に位置するように外周壁の外面上に設けられているので、軸方向に延びる縦クラックの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態によるハニカム構造体を示す斜視図である。
【
図3】
図1の電気加熱式担体を含む排ガス処理装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0016】
図1は本発明の実施の形態による電気加熱式担体100を示す斜視図であり、
図2は
図1の電気加熱式担体100を示す正面図である。
図1に示す電気加熱式担体100は、ハニカム構造体110と、電極端子120とを有している。
【0017】
ハニカム構造体110は、ハニカム構造部1と、一対の電極層2と、補強層3とを有している。
【0018】
ハニカム構造部1は、セラミックス製の柱状の部材であり、外周壁10と、外周壁10の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びる流路を形成する複数のセル11aを区画形成する隔壁11とを有している。柱状とは、セル11aの延伸方向ED(ハニカム構造部1の軸方向)に厚みを有する立体形状と理解できる。ハニカム構造部1の軸方向長さとハニカム構造部1の端面の直径又は幅との比(アスペクト比)は任意である。柱状には、ハニカム構造部1の軸方向長さが端面の直径又は幅よりも短い形状(偏平形状)も含まれていてよい。
【0019】
ハニカム構造部1の外形は柱状である限り特に限定されず、例えば、端面が円形の柱状(円柱形状)、端面がオーバル形状の柱状、端面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の他の形状とすることができる。また、ハニカム構造部1の大きさは、耐熱性を高める(外周壁の周方向に入るクラックを抑制する)という理由により、端面の面積が2000~20000mm2であることが好ましく、5000~15000mm2であることが更に好ましい。
【0020】
セル11aの延伸方向EDに垂直な断面におけるセル11aの形状に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これ等のなかでも、四角形及び六角形が好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造部1に排気ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。構造強度及び加熱均一性を両立させやすいという観点からは、四角形、六角形が特に好ましい。
【0021】
セル11aを区画形成する隔壁11の厚みは、0.1~0.3mmであることが好ましく、0.1~0.2mmであることがより好ましい。隔壁11の厚みが0.1mm以上であることで、ハニカム構造部1の強度が低下するのを抑制可能である。隔壁11の厚みが0.3mm以下であることで、ハニカム構造部1を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排気ガスを流したときの圧力損失が大きくなるのを抑制できる。本発明において、隔壁11の厚みは、セル11aの延伸方向EDに垂直な断面において、隣接するセル11aの重心同士を結ぶ線分のうち、隔壁11を通過する部分の長さとして定義される。
【0022】
ハニカム構造部1は、セル11aの延伸方向EDに垂直な断面において、セル密度が40~150セル/cm2であることが好ましく、70~100セル/cm2であることが更に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、排気ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度が40セル/cm2以上であると、触媒担持面積が十分に確保される。セル密度が150セル/cm2以下であるとハニカム構造部1を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排気ガスを流したときの圧力損失が大きくなりすぎることが抑制される。セル密度は、外周壁10部分を除くハニカム構造部1の一つの底面部分の面積でセル数を除して得られる値である。
【0023】
ハニカム構造部1の外周壁10を設けることは、ハニカム構造部1の構造強度を確保し、また、セル11aを流れる流体が外周壁10から漏洩するのを抑制する観点で有用である。具体的には、外周壁10の厚みは好ましくは0.05mm以上であり、より好ましくは0.10mm以上、更により好ましくは0.15mm以上である。但し、外周壁10を厚くしすぎると高強度になりすぎてしまい、隔壁11との強度バランスが崩れて耐熱衝撃性が低下することから、外周壁10の厚みは好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下であり、更により好ましくは0.5mm以下である。ここで、外周壁10の厚みは、厚みを測定しようとする外周壁10の箇所をセル11aの延伸方向EDに垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における外周壁10の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
【0024】
ハニカム構造部1は、セラミックス製であり、導電性を有することが好ましい。ハニカム構造部1は、通電してジュール熱により発熱可能である限り、電気抵抗率については特に制限はないが、0.1~200Ωcmであることが好ましく、1~200Ωcmであることがより好ましい。本発明において、ハニカム構造部1の電気抵抗率は、四端子法により25℃で測定した値とする。
【0025】
ハニカム構造部1の材質としては、限定的ではないが、炭化珪素、窒化珪素及び窒化アルミ等の非酸化物系セラミックスから選択することができる。また、炭化珪素-金属珪素複合材や炭化珪素/グラファイト複合材等を用いることもできる。これらの中でも、耐熱性と導電性の両立の観点から、ハニカム構造部1の材質は、珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とするセラミックスを含有していることが好ましい。ハニカム構造部1の材質が、珪素-炭化珪素複合材を主成分とするものであるというときは、ハニカム構造部1が、珪素-炭化珪素複合材(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。ここで、珪素-炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであり、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。ハニカム構造部1の材質が、炭化珪素を主成分とするものであるというときは、ハニカム構造部1が、炭化珪素(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。
【0026】
ハニカム構造部1が珪素-炭化珪素複合材を含んでいる場合、ハニカム構造部1に含有される「骨材としての炭化珪素粒子の質量」と、ハニカム構造部1に含有される「結合材としての珪素の質量」との合計に対する、ハニカム構造部1に含有される「結合材としての珪素の質量」の比率が、10~40質量%であることが好ましく、15~35質量%であることが更に好ましい。
【0027】
隔壁11は多孔質としてもよい。多孔質とする場合、隔壁11の気孔率は、35~60%であることが好ましく、35~45%であることが更に好ましい。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0028】
ハニカム構造部1の隔壁11の平均細孔径は、2~15μmであることが好ましく、4~8μmであることが更に好ましい。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0029】
ハニカム構造部1は、ハニカム構造部1の周方向1Cに互いに離間し、外周壁10から径方向内方に切られ、かつ、セル11aの延伸方向EDに延びる複数のスリット12を有している。本実施の形態のスリット12は、ハニカム構造部1の一方の端面から他方の端面まで延伸方向EDに沿って直線状に延在されている。本明細書では、後述の電極層2と補強層3との間の隙間もスリット12と称する。
【0030】
スリット12は空隙とされていてもよいが、本実施の形態のスリット12には充填材13が充填されている。充填材13は、スリット12の空間の少なくとも一部に充填されていることが好ましい。充填材13は、スリット12の空間の50%以上に充填されていることが好ましく、スリット12の空間の全部に充填されていることがより好ましい。
図1に示す態様では、充填材13は、スリット12の空間の全部に充填されており、ハニカム構造部1の両方の端面と一体の平面を形成し、電極層2及び補強層3の外面と一体の曲面を形成している。しかしながら、充填材13は、ハニカム構造部1の端面よりも軸方向の内側の位置まで充填されていてもよく、電極層2及び補強層3又はハニカム構造部1の外周壁10よりも径方向又は幅方向の内側の位置まで充填されていてもよい。
【0031】
充填材13は、ハニカム構造部1の主成分が炭化珪素、又は金属珪素-炭化珪素複合材である場合、炭化珪素を20質量%以上含有することが好ましく、20~70質量%含有することが更に好ましい。これにより、充填材13の熱膨張係数を、ハニカム構造部1の熱膨張係数に近い値にすることができ、ハニカム構造部1の耐熱衝撃性を向上させることができる。充填材13は、シリカ、アルミナ等を30質量%以上含有するものであってもよい。
【0032】
一対の電極層2及び補強層3は、ハニカム構造部1の外周壁10の外面上に設けられている。理解を容易にするために、
図1では互いに異なる網掛けを付して電極層2及び補強層3を示している。
【0033】
特に
図2に表れているように、一対の電極層2は、ハニカム構造部1の中心軸CAを挟んで対向するように設けられている。一対の電極層2には、電極端子120がそれぞれ取り付けられ、その電極端子120を通して外部電源が接続される。一対の電極層2は、ハニカム構造部1に対する電流の出入に用いられる。一対の電極層2のうちの一方は陽極層と理解でき、他方は陰極層と理解できる。
【0034】
本実施の形態では、一対の電極層2(陽極層及び陰極層)は、スリット12により互いに区分された一対の部分電極層21をそれぞれ有している。陽極層及び陰極層のそれぞれにおいて、一対の部分電極層21を跨ぐように電極端子120が取り付けられる。換言すると、一対の部分電極層21は電気的に一体に扱われる。部分電極層21間のスリット12は、主として熱応力の緩和のために設けられている。部分電極層21間のスリット12の位置は、電気の流れを阻害しない位置に設けることが好ましい。
【0035】
図1に特に表れているように、電極端子120は、電極層2の外面上に配置される接続部121と、接続部121の一端に設けられた引出部122とを有している。接続部121は、電極層2に電気的に接続されている。引出部122には、ワイヤー320(後の
図3参照)を介して外部電源が接続される。
【0036】
図示の態様のように、接続部121は、接続部121の幅方向に互いに離間して配置された複数の歯部121aを有する櫛歯状の形態をとることができる。接続部121の幅方向はセル11aの延伸方向EDと平行に延在することができ、歯部121aはハニカム構造部1の周方向1Cに延びる長手状の形状とすることができる。歯部121aは、部分電極層21に選択的に接続され得る。図示の態様では、各歯部121aが、接続部121の幅方向に係る一端から他端に向けて互いに異なる部分電極層21に接続されている。各歯部121aと部分電極層21との接点部121bは、任意の方法で形成され得る。例えば、接点部121bは、溶射又は溶接により形成され得る。
【0037】
補強層3は、ハニカム構造部1の周方向1Cで一対の電極層2の間に位置するように外周壁10の外面上に設けられ、スリット12により一対の電極層2と電気的に分離されている。換言すると、電極層2と補強層3との間にスリット12が設けられており、それら電極層2及び補強層3は互いに直接的に隣接されていない。補強層3には電極端子120が取り付けられておらず、補強層3はハニカム構造部1に対する電流の出入に用いられない部分である。補強層3は、ハニカム構造部1に対する電流の出入のみについて考えれば無くてもよい部分であり、ハニカム構造体110を補強するために敢えて設けられた部分であり得る。
【0038】
電気的に分離されているとは、電極層2及び補強層3が互いに一続きに設けられるか又は隣接して設けられている場合に比べて、電極層2と補強層3との間の電気抵抗が高いと理解できる場合がある。すなわち、電極層2と補強層3との間に、これら電極層2及び補強層3よりも電気抵抗率が高い材質が介在され、電極層2及び補強層3が物理的に分離されている場合がある。本実施の形態では、電極層2及び補強層3よりも電気抵抗率が高い材質として充填材13が電極層2と補強層3との間に介在されている。電極層2及び補強層3との間は、空隙(空気)によって電気的に分離されてもよい。
【0039】
本実施の形態のように電極層2と補強層3との間のスリット12には、充填材13が充填されていてよい。充填材13の電気抵抗率は、ハニカム構造部1の電気抵抗率の10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましく、1000倍以上であることがさらに好ましい。充填材13の電気抵抗率は、ハニカム構造部1の電気抵抗率よりも高く設定することができる。これは、電極層2と補強層3との間の電気抵抗をより確実に高くするためである。本発明において、充填材13の電気抵抗率は、四端子法により25℃で測定した値とする。
【0040】
図示のように、補強層3は、スリット12により互いに区分された複数の部分補強層31をそれぞれ有していてよい。
【0041】
図1に特に表れているように、外周壁10の外周全面は、複数のスリット12の位置を除いて電極層2及び補強層3により覆われていてよい。電極層2及び補強層3は、周方向1Cに関してスリット12間の全域に設けられており、セル11aの延伸方向EDに関してハニカム構造部1の端縁間の全域に設けられている。しかしながら、電極層2及び補強層3は、周方向1C及びセル11aの延伸方向EDの少なくとも一方に関して部分的に設けられていてもよい。
【0042】
電極層2及び補強層3は、互いに異なる材質で構成されていてもよいが、同じ材料により構成されてもよい。電極層2に電気を流しやすくする観点から、電極層2の電気抵抗率は、ハニカム構造部1の電気抵抗率の1/10000以上、1倍以下であることが好ましい。より好ましくは、1/10000以上、1/10以下である。電極層2(及び補強層3)の材質は、導電性セラミックス、金属、又は金属及び導電性セラミックスとの複合材(サーメット)を使用することができる。金属としては、例えばCr、Fe、Co、Ni、Si又はTiの単体金属又はこれらの金属よりなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有する合金が挙げられる。導電性セラミックスとしては、限定的ではないが、炭化珪素(SiC)が挙げられ、珪化タンタル(TaSi2)及び珪化クロム(CrSi2)等の金属珪化物等の金属化合物が挙げられる。
【0043】
電極層2及び補強層3の厚みは、0.01~5mmであることが好ましく、0.01~3mmであることがより好ましい。このような範囲とすることにより均一発熱性を高めることができ、耐熱衝撃性を確保することができる。電極層2及び補強層3の厚みは、厚みを測定しようとする箇所をセル11aの延伸方向EDに垂直な断面で観察したときに、電極層2及び補強層3の外面の当該測定箇所における接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
【0044】
電極層2及び補強層3を有するハニカム構造体110の製造方法としては、電極層2と補強層3とが同一の組成である場合は、まず、ハニカム乾燥体の側面に、セラミックス原料を含有する電極層兼補強層用形成原料を塗布し、乾燥させて、ハニカム乾燥体の中心軸CAを挟んで、外周壁10の外面上において、セル11aの流路方向に帯状に延びるように未焼成電極層及び補強層を形成して、未焼成層付きハニカム乾燥体を作製する。次に、得られたハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を作製する。このハニカム焼成体に一対の電極層2と補強層3が形成されるように、外周面から径方向内方に切れ込みを設けて複数のスリット12を形成し、そのスリット12に充填材13を充填する。スリット12に充填材13を充填したハニカム焼成体に熱処理を加え、充填材13を固化させる。これにより、電極層2及び補強層3を有するハニカム構造体110が得られる。ハニカム乾燥体に複数のスリット12を形成し、そのスリット12に充填材13を充填した後に、そのハニカム乾燥体を焼成し、一対の電極層2と補強層3を有するハニカム焼成体を作製してもよい。
【0045】
電極層2と補強層3とが異なる組成である場合は、ハニカム構造体110の製造方法として、次のハニカム乾燥体を作製する点以外は、上述と同様の方法によって製造できる。セラミックス原料を含有する電極層用形成原料および補強層用形成原料を塗布し、乾燥させて、ハニカム乾燥体の中心軸CAを挟んで、外周壁10の外面上において、セル11aの流路方向に帯状に延びるように未焼成電極層及び補強層を形成して、未焼成層付きハニカム乾燥体を作製する。なお、ハニカム乾燥体を作製する方法については、公知のハニカム構造体110の製造方法に準じて行うことができる。
【0046】
電極層兼補強層用形成原料、電極層用形成原料及び補強層用形成原料は、電極層2、補強層3の要求特性に応じて配合した原料粉(金属粉体及びガラス粉体等)に各種添加剤を適宜添加して混練することで形成することができる。金属粉体としてはステンレス等の金属粉を用いることができる。
【0047】
ハニカム構造体110の製造方法の変更例として、電極層兼補強層用形成原料を塗布する前に、ハニカム乾燥体を一旦焼成してもよい。すなわち、この変更例では、ハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を作製し、当該ハニカム焼成体に、電極層兼補強層用形成原料を塗布する。
【0048】
未焼成層付きハニカム乾燥体の外周面から径方向内方に切れ込みを設けて複数のスリット12を形成する。スリット12の形成方法は一般的なスリット12の形成方法に準じ、切削工具等を用いて形成することができる。なお、スリット12は、ハニカム乾燥体に形成しなくてもよく、後述のように、ハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を作製した後に、当該ハニカム焼成体にスリット12を形成してもよい。
【0049】
ハニカム乾燥体(若しくはハニカム焼成体)のスリット内に、充填材用原料を充填し、乾燥することで充填材13を充填する。当該充填材13の充填方法は、ヘラによる圧入等、公知の方法で行うことができる。充填材用原料は、骨材(炭化珪素等)に、結合材(金属珪素等)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して調製する。充填材用原料に用いる造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、骨材及び結合材の合計質量を100質量部としたときに、0.1~20質量部であることが好ましく、より好ましくは1~15質量部である。造孔材の平均粒子径は、3~150μmであることが好ましい。充填材13を加熱する方法としては、400~700℃で、10~60分加熱することが好ましい。当該加熱(熱処理)は、充填材13の化学結合強化のために実施する。加熱の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。
【0050】
未焼成層付きハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を作製する際の焼成条件としては、不活性ガス雰囲気下または大気雰囲気下、大気圧以下、焼成温度1150~1350℃、焼成時間0.1~50時間とすることができる。なお、焼成雰囲気は、例えば、不活性ガス雰囲気、焼成時圧力は、常圧等とすることができる。ハニカム構造部1の電気抵抗を低下させるためには、酸化防止の観点から残存酸素を低減することが好ましく、焼成時の雰囲気内を1.0×10-4Pa以上の高真空にした後に不活性ガスをパージして焼成することが好ましい。不活性ガス雰囲気としては、N2ガス雰囲気、ヘリウムガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等が挙げられる。焼成を行う前に、未焼成ハニカム構造体を乾燥してもよい。また、焼成の前に、バインダ等を除去するため、脱脂を行ってもよい。
【0051】
電極層2と補強層3の材質が同じである場合、ハニカム構造部1の体積抵抗率(R1)に対する補強層3の体積抵抗率(R2)の比率(R2/R1)が0.0001以上かつ1以下であることが好ましい。比率(R2/R1)が0.0001以上であることで、ハニカム構造部1の外周部に電流が偏ることを抑えることができ、ハニカム構造部1の全体をより均一に加熱できる。具体的には、後述の実施例にて詳述するが、電極層2の端部位置2eにおけるハニカム構造部1の温度と、電極層2の直下位置2uにおけるハニカム構造部1の温度との偏りを抑制することができる。比率(R2/R1)が1以下であることで、ハニカム構造部1の外周部にも電流を広く流すことができる。比率(R2/R1)は、ハニカム構造部1及び補強層3の材質及び/又は厚みを変更することで調整できる。上述のように、補強層3の材質は電極層2の材質と異なっていてもよく、この場合は、上記比率(R2/R1)は1を超えていてもよく、例えば、5000以下であってもよく、1000以下であってもよい。
【0052】
図示の態様のように、ハニカム構造部1の周方向1Cに関して電極層2が設けられている領域2Aにおけるスリット12の本数に比べて、補強層3が設けられている領域3Aにおけるスリット12の本数を多くすることができる。図示の態様では、電極層2が設けられている領域2Aにおけるスリット12の本数は2であり、補強層3が設けられている領域3Aにおけるスリット12の本数は6である。電極層2と補強層3との間に設けられたスリット12は、領域2A,領域3Aのスリット12としてカウントしなくてよい。補強層3が設けられている領域3Aには、電極層2が設けられている領域2Aに比べてスリット12が密に設けられていると理解してもよい。領域3Aにおけるスリット12の本数を多くすることで、補強層3が設けられている領域3Aの電気抵抗を高くできる。これにより、ハニカム構造部1の外周部に電流が偏ることを抑えることができ、ハニカム構造部1の全体をより均一に加熱できる。領域3Aのスリット12の本数を多くすることは、電極層2及び補強層3を同じ材質で構成する場合(材質により補強層3の電気抵抗率を調整しづらい場合)に特に有用である。
【0053】
次に、
図3は、
図1の電気加熱式担体100を含む排ガス処理装置300を示す説明図である。
図3に示すように、本発明の実施形態に係る電気加熱式担体100は、排ガス処理装置300に用いることができる。当該排ガス処理装置300は、電気加熱式担体100と、電気加熱式担体100のハニカム構造体110を保持する金属製の缶体310とを有する。缶体310には、電極端子120に接続されたワイヤー320を缶体310の外部に引き出すための開口部が設けられ得る。排ガス処理装置300において、電気加熱式担体100は、エンジンからの排気ガスを流すための排気ガス流路の途中に設置され得る。
【0054】
本実施の形態のようなハニカム構造体110では、スリット12により一対の電極層2と電気的に分離されている補強層3が、ハニカム構造部1の周方向1Cで一対の電極層2の間に位置するように外周壁10の外面上に設けられている。これにより、少なくとも補強層3が設けられている位置においてハニカム構造体110が補強されており、軸方向に延びる縦クラックの発生を抑えることができる。
【0055】
また、外周壁10の外周全面は、複数のスリット12の位置を除いて電極層2及び補強層3により覆われているので、軸方向に延びる縦クラックの発生を抑えることができる。また、ハニカム構造体110の外面形状をより平滑にでき、ハニカム構造体110を金属製の缶体310によりキャニングする際に、より緊密にキャニングできるようにすることができる。
【0056】
また、電極層2及び補強層3は同じ材料により構成されているので、ハニカム構造体110の製造時に電極層2及び補強層3をまとめて形成でき、製造工程をより簡易することができる。また、電極層2及び補強層3の熱膨張を合わせることができ、それらの膨張差によるひずみの発生を緩和でき、ハニカム構造体110の外周クラックの発生をより抑えられることができる。
【0057】
また、ハニカム構造部1の体積抵抗率(R1)に対する補強層の体積抵抗率(R2)の比率(R2/R1)が0.0001以上かつ1以下であるので、ハニカム構造部1の全体をより均一に加熱できる。
【0058】
また、ハニカム構造部1の周方向1Cに関して電極層2が設けられている領域2Aにおけるスリット12の本数に比べて、補強層3が設けられている領域3Aにおけるスリット12の本数が多いので、ハニカム構造部1の外周部に電流が偏ることを抑えることができ、ハニカム構造部1の全体をより均一に加熱できる。
【実施例0059】
本発明者らは、以下の表1に示す複数のハニカム構造体110(供試体)を作成し、それらに対して通電性能試験及び冷熱性能試験を行った。表1において供試体No.3-12として示すハニカム構造体110は、実施の形態にて説明したように補強層3が設けられた実施例である。具体的には、供試体No.3-12は、複数のスリット12の位置を除いて電極層2及び補強層3により外周壁10の外周全面を覆ったものである。供試体No.3-12のそれぞれにおいて、電極層2及び補強層3の材質及び/又は厚み等を変更している。より具体的には、供試体No.3に対して、供試体No.4,8,9,11は体積抵抗率の比率(R2/R1)が主に変更されており、供試体No.6,7は補強層3が設けられている領域3Aのスリット本数が主に変更されており、供試体No.5,9,12は電極層2及び補強層3の厚みが主に変更されている。供試体No.3-9では電極層2及び補強層3を同じ材質により構成しているが、供試体No.10では電極層2及び補強層3を異なる材質により構成している。より具体的には、供試体No.10の補強層3は絶縁体により構成されている。
【0060】
これに対して、供試体No.1,2として示すハニカム構造体110は、補強層3を有しない比較例である。供試体No.1は供試体No.3-8,10,11と同様に電極層2を比較的薄く形成しており、供試体No.2は供試体No.9,12と同様に電極層2を比較的厚く形成している。なお、表中の基材部は、ハニカム構造部1を指す。各部の体積抵抗率も表1に示している。
【0061】
【0062】
通電性能試験は以下の条件の下で行った。すなわち、ハニカム構造体110に200V~400Vの電圧を印加した。そして、その際のハニカム構造体110の電極層2の端部位置2e(
図1参照)及び電極層2の直下位置2u(
図1参照)の温度(通電時に最大温度を示す2点の温度)を測定し、ハニカム構造体110の発熱偏りを評価した。基材部の平均温度が約500℃となるとき、最大温度(電極層2の端部位置2eの温度)が1000℃以下であることが望ましい。なお、電極層2の直下位置2uについては、電極端子保護観点で800℃以下であることがより望ましい。
【0063】
冷熱性能試験(耐熱衝撃性試験)は、供試体を収納する金属ケースと、当該金属ケース内に加熱ガスを供給することができるプロパンガスバーナーと、を備えたプロパンガスバーナー試験機を用いて実施した。上記加熱ガスは、ガスバーナー(プロパンガスバーナー)でプロパンガスを燃焼させることにより発生する燃焼ガスとした。そして、上記加熱冷却試験によって、供試体にクラックが発生するか否かを確認することにより、耐熱衝撃性を評価した。
【0064】
具体的には、まず、プロパンガスバーナー試験機の金属ケースに、得られた供試体を収納(キャニング)した。そして、金属ケース内に、プロパンガスバーナーにより加熱されたガス(燃焼ガス)を供給し、ハニカム構造体110内を通過するようにした。
【0065】
金属ケースに流入する加熱ガスの温度条件(入口ガス温度条件)を以下のようにした。まず、5分で指定温度まで昇温し、指定温度で10分間保持し、その後、5分で100℃まで冷却し、100℃で10分間保持した。このような昇温、冷却、保持の一連の操作を「昇温、冷却操作」と称する。その後、供試体のクラックを確認した。そして、指定温度を825℃から25℃ずつ上昇させながら上記「昇温、冷却操作」を繰り返した。指定温度は、825℃から25℃ずつ、14段階設定した。つまり、上記「昇温、冷却操作」は、指定温度が1150℃になるまで行った。指定温度が高くなると昇温峻度が大きくなり、中心部に対して外周部の昇温が遅れることにより、中心部と外周部の温度差が拡大し、発生応力が大きくなる。表1において、「冷熱加熱条件(℃)」の欄は、冷熱性能試験(耐熱衝撃性試験)において、ハニカム構造体110にクラックが発生したときの指定温度を示している。
【0066】
表1に示すように、供試体No.1(比較例)では、冷熱加熱条件が850℃と低かった。これに対して、供試体No.1と同様に電極層2を比較的薄く形成している供試体No.3~8,10,11では、冷熱加熱条件が950℃以上であった。このことから、電極層2に加えて補強層3を外周壁10の外面上に設けることで、軸方向に延びる縦クラックの発生を抑えることができることが確認された。また、電極層2を比較的厚く形成している供試体No.2と供試体No.9,12との対比においても、補強層3を設けることにより、冷熱加熱評価が改善することが示されている。
【0067】
また、供試体No.8と供試体No.11との対比、及び供試体No.9と供試体No.12との対比から分かるように、ハニカム構造部1の体積抵抗率(R1)に対する補強層3の体積抵抗率(R2)の比率(R2/R1)が0.0001以上かつ1以下であることで、ハニカム構造部1の全体をより均一に加熱できることが確認された。また、供試体No.3と供試体No.6,7とを対比することで分かるように、電極層2が設けられている領域2Aのスリット12の本数よりも、補強層3が設けられている領域3Aのスリット12の本数を多くすることで、通電発熱分布において、発熱偏りが抑制されることが確認された。