(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100189
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】給与差押管理装置、給与差押管理方法、および、給与差押管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240719BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004003
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 直之
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB65
5L055BB65
(57)【要約】
【課題】差押債務残高および債権先の設定に応じて、社員の給与計算時に債権先に応じて差押金額を自動計算することができる給与差押管理装置、給与差押管理方法、および、給与差押管理プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】債権先、および、差押金額の計算方法を紐付けて設定した債権先マスタ、および、債務者である社員、債権先、および、債務残高を紐付けて設定した差押データ、ならびに、社員の給与の総支給額、および、控除額を紐付けて設定した給与データを含む社員データに基づいて、社員の給与差押金額を設定した給与計算結果データを取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた給与差押管理装置であって、
前記記憶部は、
債権先、および、差押金額の計算方法を紐付けて設定した債権先マスタと、
債務者である社員、前記債権先、および、債務残高を紐付けて設定した差押データ、ならびに、前記社員の給与の総支給額、および、控除額を紐付けて設定した給与データを含む社員データを記憶する社員記憶手段と、
を備え、
前記制御部は、
前記債権先マスタ、および、前記社員データに基づいて、前記社員の給与差押金額を設定した給与計算結果データを取得する給与計算結果取得手段、
を備えたことを特徴とする給与差押管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記給与計算結果データに基づいて、前記社員記憶手段に記憶された前記差押データに設定された前記債務残高を更新する差押登録手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の給与差押管理装置。
【請求項3】
前記給与計算結果データは、
更に、前記給与差押金額が供託物であるか否かを示す供託フラグが設定され、
前記差押登録手段は、
更に、前記社員データに基づいて、前記給与計算結果データに設定された前記供託フラグが前記給与差押金額が前記供託物であることを示す場合、前記差押データに前記債権先毎の固定差押金額を設定することを特徴とする請求項2に記載の給与差押管理装置。
【請求項4】
前記社員データは、
更に、前記債権先に対する前記供託物の配当表が設定され、
前記差押登録手段は、
前記社員データに基づいて、前記給与計算結果データに設定された前記供託フラグが前記給与差押金額が前記供託物であることを示す場合、前記差押データに、前記配当表に応じた前記債権先毎の前記固定差押金額を設定することを特徴とする請求項3に記載の給与差押管理装置。
【請求項5】
前記差押登録手段は、
前記社員データに基づいて、前記給与計算結果データに設定された前記供託フラグが前記給与差押金額が前記供託物であることを示す場合、前記差押データに、前記債権先毎に按分配当した前記固定差押金額を設定することを特徴とする請求項3に記載の給与差押管理装置。
【請求項6】
前記給与計算結果取得手段は、
更に、前記給与計算結果データに設定された前記供託フラグを前記給与差押金額が前記供託物ではないことを示すように更新することを特徴とする請求項3から5のいずれか一つに記載の給与差押管理装置。
【請求項7】
前記給与計算結果取得手段は、
前記債権先マスタ、および、前記社員データに基づいて、前記計算方法に応じた計算差押金額、および、差押上限金額を計算し、前記計算差押金額が前記債務残高および前記差押上限金額を超過しない場合、前記計算差押金額を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得し、前記計算差押金額が前記差押上限金額を超過し、前記差押上限金額が前記債務残高を超過しない場合、前記差押上限金額を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得し、前記債務残高が前記差押上限金額を超過しない場合、前記債務残高を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の給与差押管理装置。
【請求項8】
前記差押データは、
更に、固定差押金額が設定され、
前記給与計算結果取得手段は、
前記債権先マスタ、および、前記社員データに基づいて、前記社員毎の前記固定差押金額を計算差押金額として設定し、差押上限金額を計算し、前記計算差押金額が前記債務残高および前記差押上限金額を超過しない場合、前記計算差押金額を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得し、前記計算差押金額が前記差押上限金額を超過し、前記差押上限金額が前記債務残高を超過しない場合、前記差押上限金額を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得し、前記債務残高が前記差押上限金額を超過しない場合、前記債務残高を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得することを特徴とする請求項1または2に記載の給与差押管理装置。
【請求項9】
前記差押データは、
更に、掛率が設定され、
前記給与計算結果取得手段は、
金融機関の前記債権先が設定された前記債権先マスタ、および、前記社員データに基づいて、前記掛率を用いた前記金融機関に対する前記計算方法に応じた前記計算差押金額、および、前記差押上限金額を計算し、前記計算差押金額が前記債務残高および前記差押上限金額を超過しない場合、前記計算差押金額を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得し、前記計算差押金額が前記差押上限金額を超過し、前記差押上限金額が前記債務残高を超過しない場合、前記差押上限金額を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得し、前記債務残高が前記差押上限金額を超過しない場合、前記債務残高を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得することを特徴とする請求項7に記載の給与差押管理装置。
【請求項10】
記憶部と制御部とを備えた給与差押管理装置に実行させるための給与差押管理方法であって、
前記記憶部は、
債権先、および、差押金額の計算方法を紐付けて設定した債権先マスタと、
債務者である社員、前記債権先、および、債務残高を紐付けて設定した差押データ、ならびに、前記社員の給与の総支給額、および、控除額を紐付けて設定した給与データを含む社員データを記憶する社員記憶手段と、
を備え、
前記制御部において実行される、
前記債権先マスタ、および、前記社員データに基づいて、前記社員の給与差押金額を設定した給与計算結果データを取得する給与計算結果取得ステップ、
を含むことを特徴とする給与差押管理方法。
【請求項11】
記憶部と制御部とを備えた給与差押管理装置に実行させるための給与差押管理プログラムであって、
前記記憶部は、
債権先、および、差押金額の計算方法を紐付けて設定した債権先マスタと、
債務者である社員、前記債権先、および、債務残高を紐付けて設定した差押データ、ならびに、前記社員の給与の総支給額、および、控除額を紐付けて設定した給与データを含む社員データを記憶する社員記憶手段と、
を備え、
前記制御部において、
前記債権先マスタ、および、前記社員データに基づいて、前記社員の給与差押金額を設定した給与計算結果データを取得する給与計算結果取得ステップ、
を実行させるための給与差押管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給与差押管理装置、給与差押管理方法、および、給与差押管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給与の総支給額に基づく差押禁止金額を計算し、給与に対する差押上限である差引差押可能金額を計算する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、社員の給与に対する差押金額の計算方法を担当者が都度債権先を見て判断していたため、間違いが多く発生するという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、差押債務残高および債権先の設定に応じて、社員の給与計算時に債権先に応じて差押金額を自動計算することができる給与差押管理装置、給与差押管理方法、および、給与差押管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る給与差押管理装置は、記憶部と制御部とを備えた給与差押管理装置であって、前記記憶部は、債権先、および、差押金額の計算方法を紐付けて設定した債権先マスタと、債務者である社員、前記債権先、および、債務残高を紐付けて設定した差押データ、ならびに、前記社員の給与の総支給額、および、控除額を紐付けて設定した給与データを含む社員データを記憶する社員記憶手段と、を備え、前記制御部は、前記債権先マスタ、および、前記社員データに基づいて、前記社員の給与差押金額を設定した給与計算結果データを取得する給与計算結果取得手段、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る給与差押管理装置において、前記制御部は、前記給与計算結果データに基づいて、前記社員記憶手段に記憶された前記差押データに設定された前記債務残高を更新する差押登録手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る給与差押管理装置において、前記給与計算結果データは、更に、前記給与差押金額が供託物であるか否かを示す供託フラグが設定され、前記差押登録手段は、更に、前記社員データに基づいて、前記給与計算結果データに設定された前記供託フラグが前記給与差押金額が前記供託物であることを示す場合、前記差押データに前記債権先毎の固定差押金額を設定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る給与差押管理装置において、前記社員データは、更に、前記債権先に対する前記供託物の配当表が設定され、前記差押登録手段は、前記社員データに基づいて、前記給与計算結果データに設定された前記供託フラグが前記給与差押金額が前記供託物であることを示す場合、前記差押データに、前記配当表に応じた前記債権先毎の前記固定差押金額を設定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る給与差押管理装置において、前記差押登録手段は、前記社員データに基づいて、前記給与計算結果データに設定された前記供託フラグが前記給与差押金額が前記供託物であることを示す場合、前記差押データに、前記債権先毎に按分配当した前記固定差押金額を設定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る給与差押管理装置において、前記給与計算結果取得手段は、更に、前記給与計算結果データに設定された前記供託フラグを前記給与差押金額が前記供託物ではないことを示すように更新することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る給与差押管理装置において、前記給与計算結果取得手段は、前記債権先マスタ、および、前記社員データに基づいて、前記計算方法に応じた計算差押金額、および、差押上限金額を計算し、前記計算差押金額が前記債務残高および前記差押上限金額を超過しない場合、前記計算差押金額を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得し、前記計算差押金額が前記差押上限金額を超過し、前記差押上限金額が前記債務残高を超過しない場合、前記差押上限金額を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得し、前記債務残高が前記差押上限金額を超過しない場合、前記債務残高を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る給与差押管理装置において、前記差押データは、更に、固定差押金額が設定され、前記給与計算結果取得手段は、前記債権先マスタ、および、前記社員データに基づいて、前記社員毎の前記固定差押金額を計算差押金額として設定し、差押上限金額を計算し、前記計算差押金額が前記債務残高および前記差押上限金額を超過しない場合、前記計算差押金額を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得し、前記計算差押金額が前記差押上限金額を超過し、前記差押上限金額が前記債務残高を超過しない場合、前記差押上限金額を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得し、前記債務残高が前記差押上限金額を超過しない場合、前記債務残高を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る給与差押管理装置において、前記差押データは、更に、掛率が設定され、前記給与計算結果取得手段は、金融機関の前記債権先が設定された前記債権先マスタ、および、前記社員データに基づいて、前記掛率を用いた前記金融機関に対する前記計算方法に応じた前記計算差押金額、および、前記差押上限金額を計算し、前記計算差押金額が前記債務残高および前記差押上限金額を超過しない場合、前記計算差押金額を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得し、前記計算差押金額が前記差押上限金額を超過し、前記差押上限金額が前記債務残高を超過しない場合、前記差押上限金額を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得し、前記債務残高が前記差押上限金額を超過しない場合、前記債務残高を前記給与差押金額として設定した前記給与計算結果データを取得することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る給与差押管理方法は、記憶部と制御部とを備えた給与差押管理装置に実行させるための給与差押管理方法であって、前記記憶部は、債権先、および、差押金額の計算方法を紐付けて設定した債権先マスタと、債務者である社員、前記債権先、および、債務残高を紐付けて設定した差押データ、ならびに、前記社員の給与の総支給額、および、控除額を紐付けて設定した給与データを含む社員データを記憶する社員記憶手段と、を備え、前記制御部において実行される、前記債権先マスタ、および、前記社員データに基づいて、前記社員の給与差押金額を設定した給与計算結果データを取得する給与計算結果取得ステップ、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る給与差押管理プログラムは、記憶部と制御部とを備えた給与差押管理装置に実行させるための給与差押管理プログラムであって、前記記憶部は、債権先、および、差押金額の計算方法を紐付けて設定した債権先マスタと、債務者である社員、前記債権先、および、債務残高を紐付けて設定した差押データ、ならびに、前記社員の給与の総支給額、および、控除額を紐付けて設定した給与データを含む社員データを記憶する社員記憶手段と、を備え、前記制御部において、前記債権先マスタ、および、前記社員データに基づいて、前記社員の給与差押金額を設定した給与計算結果データを取得する給与計算結果取得ステップ、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、給与の差押額を自動計算することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、債権先のマスタに自治体・金融機関・その他の区分を持ち、システムが計算方法を自動的に判断することで担当者の間違いを防ぐことができるという効果を奏する。また、本発明によれば、有期雇用のメンバーが多い会社にとって有用であるという効果を奏する。また、本発明によれば、大手企業で人数も多い会社には非常に有用であるという効果を奏する。また、本発明によれば、差押債務残高と債権先との設定に応じた給与計算における差押金額の算出をすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、債権先に応じて計算方法をシステムが自動的に判断し差押金額を自動計算することで、担当者の手間を削減するだけでなく計算ミスを防ぐことできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態における給与差押管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における給与差押管理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本実施形態における給与差押管理処理の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における給与差押管理処理の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における給与差押管理処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における給与差押管理処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における給与差押管理処理の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における給与差押管理処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0020】
[1.概要]
まず、本発明の概要を説明する。
【0021】
従来から、比較的低賃金の労働者が多い人材派遣業界等においては、税金・金融機関への未払いによる給与差押管理の要件が多く、規模の大きい派遣会社であると月に数百人という該当者が発生するが、差押金額の計算方法として、債権先によって4種類((A)自治体からの差押(住民税)、(B)金融機関からの差押、(C)その他、および、(D)2箇所以上からの差押(供託))があり、担当者が手計算を行う場合、債権先毎に計算方法が異なり、且つ、法令で差押の上限も決まっているため、手間もかかり、計算ミスも多く発生していたため、誤って多く差し押さえてしまうリスクもあった。
【0022】
そこで、本実施形態においては、差押の依頼があった場合、システムに債権先や差押金額を登録し、給与計算時に債権先に応じて差押金額を自動計算する仕組みを提供している。
【0023】
ここで、本実施形態においては、(A)自治体から差押を受ける場合、計算差押金額=([1]総支給額-[2]所得税-[3]住民税-[4]社会保険料-[5]保証額-[6]予備費)により算出される。ここで、総支給額は、千円未満切捨し、所得税は、千円未満切上し、住民税は、千円未満切上し、社会保険料は、千円未満切上してもよい。また、保証額={100,000円+(税扶養人数×45,000円)}により算出されてもよい。また、予備費は、([1]総支給額-[2]所得税-[3]住民税-[4]社会保険料-[5]保証額)の20%、または、[5]保証額の2倍、のいずれか少ない方を千円未満切上した金額であってもよい。また、本実施形態においては、(B)金融機関から差押を受ける場合、計算差押金額=([1]総支給額-[2]交通費-[3]所得税-[4]住民税-[5]社会保険料)×[6]掛率により算出される。ここで、総支給額は、端数処理しなくてもよい。また、掛率は、0.25または0.5であってもよい。また、本実施形態においては、(C)その他(例えば、裁判所等)から差押を受ける場合、債権先より毎月固定金額の指定がある際は、その金額を計算差押金額とする。また、本実施形態においては、(D)2箇所以上から差押を受ける(供託)場合、債権元の計算により、それぞれで計算した最大値を計算差押金額とし、債権者への支払いを供託する。
【0024】
[2.構成]
本実施形態に係る給与差押管理装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態における給与差押管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すように、給与差押管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、給与差押管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
給与差押管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。給与差押管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、給与差押管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、給与差押管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、債権先マスタ106aと社員データベース106bとを備えている。
【0030】
債権先マスタ106aは、債権先を設定したマスタである。ここで、債権先マスタ106aは、債権先、および、差押金額の計算方法が紐付けて設定されていてもよい。
【0031】
社員データベース106bは、社員データを記憶する。ここで、社員データベース106bは、債務者である社員、債権先、および、債務残高を紐付けて設定した差押データ、ならびに、社員の給与の総支給額、および、控除額を紐付けて設定した給与データを含む社員データを記憶していてもよい。ここで、社員データは、債権先に対する供託物の配当表が設定されていてもよい。また、差押データは、固定差押金額が設定されていてもよい。また、差押データは、掛率が設定されていてもよい。また、社員データベース106bは、社員の給与差押金額を設定した給与計算結果データを記憶していてもよい。
【0032】
制御部102は、給与差押管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、マスタ設定部102aと給与計算結果取得部102bと差押登録部102cとを備えている。
【0033】
マスタ設定部102aは、マスタを設定する。ここで、マスタ設定部102aは、債権先、および、差押金額の計算方法を紐付けて設定した債権先マスタ106aを設定してもよい。
【0034】
給与計算結果取得部102bは、社員の給与差押金額を設定した給与計算結果データを取得する。ここで、給与計算結果取得部102bは、債権先マスタ106a、および、社員データに基づいて、社員の給与差押金額を設定した給与計算結果データを取得してもよい。ここで、給与計算結果データは、給与差押金額が供託物であるか否かを示す供託フラグが設定されていてもよい。また、給与計算結果取得部102bは、給与計算結果データに設定された供託フラグを給与差押金額が供託物ではないことを示すように更新してもよい。また、給与計算結果取得部102bは、債権先マスタ106a、および、社員データに基づいて、計算方法に応じた計算差押金額、および、差押上限金額を計算し、計算差押金額が債務残高および差押上限金額を超過しない場合、計算差押金額を給与差押金額として設定した給与計算結果データを取得し、計算差押金額が差押上限金額を超過し、差押上限金額が債務残高を超過しない場合、差押上限金額を給与差押金額として設定した給与計算結果データを取得し、債務残高が差押上限金額を超過しない場合、債務残高を給与差押金額として設定した給与計算結果データを取得してもよい。また、給与計算結果取得部102bは、債権先マスタ106a、および、社員データに基づいて、社員毎の固定差押金額を計算差押金額として設定し、差押上限金額を計算し、計算差押金額が債務残高および差押上限金額を超過しない場合、計算差押金額を給与差押金額として設定した給与計算結果データを取得し、計算差押金額が差押上限金額を超過し、差押上限金額が債務残高を超過しない場合、差押上限金額を給与差押金額として設定した給与計算結果データを取得し、債務残高が差押上限金額を超過しない場合、債務残高を給与差押金額として設定した給与計算結果データを取得してもよい。また、給与計算結果取得部102bは、金融機関の債権先が設定された債権先マスタ106a、および、社員データに基づいて、掛率を用いた金融機関に対する計算方法に応じた計算差押金額、および、差押上限金額を計算し、計算差押金額が債務残高および差押上限金額を超過しない場合、計算差押金額を給与差押金額として設定した給与計算結果データを取得し、計算差押金額が差押上限金額を超過し、差押上限金額が債務残高を超過しない場合、差押上限金額を給与差押金額として設定した給与計算結果データを取得し、債務残高が差押上限金額を超過しない場合、債務残高を給与差押金額として設定した給与計算結果データを取得してもよい。
【0035】
ここで、本実施形態においては、(1)総支給額から所得税、住民税、社会保険料および交通費を差し引いた金額が、44万円以下の場合、差押上限金額={(総支給額-所得税-住民税-社会保険料-交通費)/4}であり、(2)総支給額から所得税、住民税、社会保険料および交通費を差し引いた金額が、44万円を超える場合、差押上限金額={(総支給額-所得税-住民税-社会保険料-交通費)-33万円}であってもよい。
【0036】
差押登録部102cは、社員データを登録する。ここで、差押登録部102cは、差押データ、および、給与データを含む社員データを登録してもよい。また、差押登録部102cは、給与計算結果データに基づいて、社員データベース106bに記憶された差押データに設定された債務残高を更新してもよい。また、差押登録部102cは、社員データに基づいて、給与計算結果データに設定された供託フラグが給与差押金額が供託物であることを示す場合、差押データに債権先毎の固定差押金額を設定してもよい。また、差押登録部102cは、社員データに基づいて、給与計算結果データに設定された供託フラグが給与差押金額が供託物であることを示す場合、差押データに、配当表に応じた債権先毎の固定差押金額を設定してもよい。また、差押登録部102cは、社員データに基づいて、給与計算結果データに設定された供託フラグが給与差押金額が供託物であることを示す場合、差押データに、債権先毎に按分配当した固定差押金額を設定してもよい。
【0037】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図2から
図8を参照して説明する。
【0038】
[給与差押管理処理]
ここで、
図2を参照して、本実施形態における給与差押管理処理の一例について説明する。
図2は、本実施形態における給与差押管理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0039】
図2に示すように、差押登録部102cは、債権先依頼に基づいて、債務者である社員、債権先、および、債務残高を紐付けて設定した差押データを社員データベース106bに登録する(ステップSA-1)。
【0040】
そして、給与計算結果取得部102bは、債権先マスタ106a、および、社員データベース106bに記憶された社員データに基づいて、計算方法に応じた計算差押金額、および、差押上限金額を計算し、計算差押金額が債務残高および差押上限金額を超過しない場合、計算差押金額を給与差押金額として設定し、給与差押金額が供託物であるか否かを示す供託フラグを設定した給与計算結果データを取得し、計算差押金額が差押上限金額を超過し、差押上限金額が債務残高を超過しない場合、差押上限金額を給与差押金額として設定し、供託フラグを設定した給与計算結果データを取得し、債務残高が差押上限金額を超過しない場合、債務残高を給与差押金額として設定し、供託フラグを設定した給与計算結果データを取得する(ステップSA-2)。
【0041】
そして、差押登録部102cは、給与計算結果データに設定された供託フラグが給与差押金額が供託物であることを示すか否かを判定する(ステップSA-3)。
【0042】
そして、差押登録部102cは、給与計算結果データに設定された供託フラグが給与差押金額が供託物であることを示さないと判定した場合(ステップSA-3:No)、処理をステップSA-6に移行させる。
【0043】
一方、差押登録部102cは、給与計算結果データに設定された供託フラグが給与差押金額が供託物であることを示すと判定した場合(ステップSA-3:Yes)、処理をステップSA-4に移行させる。
【0044】
そして、差押登録部102cは、給与計算結果データに基づいて、社員データベース106bに記憶された差押データに債権先毎の固定差押金額を設定する(ステップSA-4)。
【0045】
そして、給与計算結果取得部102bは、債権先マスタ106a、および、社員データベース106bに記憶された社員データに基づいて、社員毎の固定差押金額を計算差押金額として設定し、差押上限金額を計算し、計算差押金額が債務残高および差押上限金額を超過しない場合、計算差押金額を給与差押金額として設定した給与計算結果データを取得し、計算差押金額が差押上限金額を超過し、差押上限金額が債務残高を超過しない場合、差押上限金額を給与差押金額として設定した給与計算結果データを取得し、債務残高が差押上限金額を超過しない場合、債務残高を給与差押金額として設定した給与計算結果データを取得する(ステップSA-5)。
【0046】
そして、差押登録部102cは、給与計算結果データに基づいて、社員データベース106bに記憶された差押データに設定された債務残高を更新し(ステップSA-6)、処理を終了する。
【0047】
ここで、
図3から
図8を参照して、本実施形態における給与差押管理処理の一例について説明する。
図3から
図8は、本実施形態における給与差押管理処理の一例を示す図である。
【0048】
図3に示すように、本実施形態においては、新たな債権先が増えた場合、地方自治体や金融機関のレコードが債権先マスタ106aに登録される。
【0049】
そして、
図4に示すように、本実施形態においては、債権先からの依頼に応じて、差押データが登録される。
【0050】
そして、
図5に示すように、本実施形態においては、給与計算において差押金額の計算を行いる。すなわち、本実施形態における給与計算においては、(1)差押データの中で債務残高があるものを計算対象とし、(2)差押データの債権先からパターンを判定し、(3)各パターンに応じた計算差押金額の計算を行い、(4)債務残高のチェックを行い、(5)差押上限金額チェックを行い、(6)(4)および(5)を加味した差押金額の計算を行い、(7)供託のチェックを行う計算処理が実行される。
【0051】
ここで、
図5(ケース1)に示すように、本実施形態における自治体からの差押においては、自治体の計算方式で差押金額が計算され、差押上限・債務残高を超えていないため、そのまま差押金額とされる。
【0052】
また、
図5(ケース2)に示すように、本実施形態における金融機関からの差押においては、金融機関の計算方式で差押金額が計算され、債務残高は超えていないが差押上限を超過しているため、差押金額が差押上限金額とされる。
【0053】
また、
図5(ケース3)に示すように、本実施形態におけるその他の差押においては、通常、差押データに登録された「固定差押金額」がそのまま差押金額とされるが、差押金額が債務残高を超えているため、債務残高を差押金額とされる。
【0054】
また、
図5(ケース4)に示すように、本実施形態における複数の債権先がある場合の供託の差押においては、債務残高・差押上限金額を超えない範囲でそれぞれ計算された差押金額のうち一番高い金額が差押金額となる。ここで、本実施形態においては、差押金額が計算されても債権先毎の内訳が分からないため、内訳の登録が必要であることから、給与計算結果データに供託FLG=1と設定される。
【0055】
そして、
図6に示すように、本実施形態においては、供託FLG=1の社員に対して、差押データに差押金額の内訳が登録される。
【0056】
そして、
図7に示すように、本実施形態においては、再度、給与計算が実行され、計算差押金額として固定差押金額が設定されることで供託FLG=0となる。
【0057】
そして、
図8に示すように、本実施形態においては、翌月(翌月の給与支給日登録時)のデータ生成時に、前月の差押金額が債権残高から差し引かれる。
【0058】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0061】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0062】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0063】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0064】
また、給与差押管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0065】
例えば、給与差押管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて給与差押管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0066】
また、このコンピュータプログラムは、給与差押管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0067】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0068】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0069】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0070】
また、給与差押管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、給与差押管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0071】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、比較的賃金が低く雇用が安定していない企業が多い派遣業等の業界において有用である。
【符号の説明】
【0073】
100 給与差押管理装置
102 制御部
102a マスタ設定部
102b 給与計算結果取得部
102c 差押登録部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 債権先マスタ
106b 社員データベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク