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▶ 下田 綾子の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100190
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】パッチワーク印付け具
(51)【国際特許分類】
   A41H 3/00 20060101AFI20240719BHJP
   D04D 9/00 20060101ALI20240719BHJP
   A41H 25/00 20060101ALI20240719BHJP
   A41H 3/06 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A41H3/00 C
D04D9/00
A41H25/00 D
A41H3/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004004
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】523015932
【氏名又は名称】下田 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100127166
【弁理士】
【氏名又は名称】本間 政憲
(74)【代理人】
【識別番号】100187399
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 敏文
(72)【発明者】
【氏名】下田 綾子
【テーマコード(参考)】
4L049
【Fターム(参考)】
4L049AA16
4L049BA06
4L049BA12
4L049DA00
4L049DA19
4L049DA25
4L049EA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】サイズや形状が異なるパッチワーク片の裁断線及び縫い線の印付けの効率化を図るとともに、何度でも繰り返し使用できて安価に印付けを行うことができるパッチワーク印付け具を提供する。
【解決手段】パッチワーク印付け具10は、少なくとも、印判部12と、持ち手部14と、から構成され、前記印判部12は、印面に少なくとも縫い線突起部及び裁断線突起部を備え、前記持ち手部14は、透明な材質で形成されて、前記印判部12との接着面を備え、前記印判部裏面と前記接着面とが着脱可能であること、を特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
印判部と、
持ち手部と、
から構成され、
前記印判部は、
印面に少なくとも縫い線突起部及び裁断線突起部を備え、
前記持ち手部は、
透明な材質で形成されて、前記印判部との接着面を備え、
前記印判部裏面と前記接着面とが着脱可能であること、
を特徴とするパッチワーク印つけ具。
【請求項2】
フランジが、
前記印判部裏面に形成されていること、
を特徴とする請求項1に記載するパッチワーク印付け具。
【請求項3】
前記印判部が、
透明な材質で形成されて、
格子線又は格子点が、
前記持ち手部の接着面又は前記印判部の少なくともいずれか一方に配設されていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載するパッチワーク印付け具。
【請求項4】
前記印面は、
さらに、合印突起部を備えたこと、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載するパッチワーク印付け具。
【請求項5】
前記印判部裏面又は前記接着面の少なくともいずれか一方が、
弱粘着力を有し再剥離性又は再貼付性を備えたこと、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載するパッチワーク印付け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料布生地から所定形状のパッチワーク片を作製するのに用いられるパッチワーク用作業用具に関する。
【背景技術】
【0002】
パッチワークは、小さく裁断された各種形状のパッチワーク片などを繋ぎ合わせることにより、主に幾何学模様を有する1つの面を形成する手芸の技法であり、本来、布地の端切れなどを有効に利用して布製品を作製することを目的として行われるものである。
【0003】
幾何学模様を形成する際に、同一形状・サイズのパッチワーク片のみを用いて縫い合わせることもできるが、異なる形状又はサイズのパッチワーク片を組み合わせることによって、デザイン性が拡がり、多様で創造性が豊かなパッチワーク作品を作製することができる。
【0004】
パッチワークを行う準備段階として、材料布生地を各種形状のパッチワーク片に小さく裁断するための裁断線が必要となる。また、裁断されたパッチワーク片を縫い合わせるためのガイドラインとなる縫い線が必要である。従来は、材料布生地に対して、パッチワーク片一枚ごとの裁断線および縫い線を描いて印を付けていくのであるが、この印付け作業は非常に手間が掛かり膨大な時間を要する煩わしさがあった。当該煩わしさを解決するために、縫製パーツの型紙や定規が発明され、以下のような先行技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5437462号公報
【特許文献2】特開昭54-85850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、互いに大きさが異なり、かつ同じ形状のパッチワーク片を作製するのに適したパッチワーク用作業用具を提供することを課題として、パッチワーク用作業用具は、材料布生地に対し、所定形状のパネル領域の外縁を規定する縫い線と、当該縫い線の外側に当該縫い線に対して所定幅で隔たる裁断線と、を付すために用い、備えた板状のプレート本体には、所定の形状の貫通部を設け、貫通部の縁に沿って筆記用具により線を描いて、縫い線と裁断線を印す先行技術が開示されている。特許文献1は、プレートに貫通して設けられた溝に沿って線を描くだけで縫い線と裁断線とを印すことができるが、一辺ごとに線を描いて行くことには変わらず、大きな効率化には至らない問題があった。また、相似する形状の貫通部がプレート上に複数同心で配置されているため、内側の貫通部を使用する場合には、先に印付けした線が見づらく、材料布生地に先に描かれた印付けの確認作業に時間が掛かる問題があった。また、貫通部は、構造上辺の途中で途切れることになるため、描いた線も途切れることになり、縫う際にはガイドラインがない箇所があり、縫い跡が曲がってしまうおそれがあった。また、角部分が尖らず丸く描かれるので、縫い始め及び縫い終わりの位置の正確性に欠けるおそれがあった。
【0007】
特許文献2では、裁断パターン形状に形成された細毛状シートを型紙基材に貼着させ、アイロンによって熱を加え、材料布生地に転写することによって印付けすることができる型紙が開示されている。特許文献2は、裁断形状がアイロンによって、短時間で転写できるため、効率化が図れているが、一度使用した型紙は再利用することができず、多数のパッチワーク片を必要とするパッチワーク作品では、高コストとなる問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、サイズや形状が異なるパッチワーク片の裁断線及び縫い線の印付けの効率化を図るとともに、何度でも繰り返し使用できて安価に印付けを行うことができるパッチワーク印付け具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のパッチワーク印付け具は、少なくとも、印判部と、持ち手部と、から構成され、前記印判部は、印面に少なくとも縫い線突起部及び裁断線突起部を備え、前記持ち手部は、透明な材質で形成されて、前記印判部との接着面を備え、前記印判部裏面と前記接着面とが着脱可能であること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明のパッチワーク印付け具は、フランジが、前記印判部裏面に形成されていること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明のパッチワーク印付け具は、前記印判部が、透明な材質で形成されて、格子線又は格子点が、前記持ち手部の接着面又は前記印判部の少なくともいずれか一方に配設されていること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明のパッチワーク印付け具は、前記印面は、さらに、合印突起部を備えたこと、を特徴とする。
【0013】
また、本発明のパッチワーク印付け具は、前記印判部裏面又は前記接着面の少なくともいずれか一方が、弱粘着力を有し再剥離性又は再貼付性を備えたこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
インクを用いて押印することによって縫い線と裁断線とを同時に印付けすることができるので、高い効率で作業を行うことができる効果を奏する。また、繰り返し使用することができるため、ランニングコストが安価である効果を奏する。さらには、各種の形状の印判部を交換するだけで、スピーディに多種多様な形状又は大きさのパッチワーク片の印付けを可能とする効果を奏する。また、材料布生地の色彩又は柄によってインクを変更することができる効果を奏する。
【0015】
印判部にフランジを形成することにより、柔軟な素材で印判部を形成した際に、パッチワーク片のパターン形状に歪みを生じさせることなく元の形状を保持した状態で印判部を持ち手部に配置して接着することが可能である効果を奏する。
【0016】
印判部及び持ち手部が、透明な材質で形成されることにより、印付けする際に材料布生地の布目や柄が透けて視え、押印する位置を容易に視認できる効果を奏する。また、格子線又は格子点を備えることにより、印付けを行う位置の基準線又は基準点として所望する布目や柄に位置合わせを行うことができる効果を奏する。
【0017】
印面に合印突起部を設けることにより、パッチワーク片を縫い合わせる際の相手方のパッチワーク片との位置合わせが容易である効果を奏する。これにより、各種の形状のパッチワーク片との組み合わせが容易になり、デザイン性が拡がる効果を奏する。
【0018】
印判部裏面又は持ち手部の接着面の少なくともいずれか一方に、粘着付与樹脂を配合した素材を用いたり、弱粘着の粘着テープを貼付したりすることにより、繰り返し着脱ができる効果をする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るパッチワーク印付け具10の斜視図である。
図2】印判部12の斜視図である。
図3図2におけるA-A断面図である。
図4】合印64に関する説明図である。
図5】本発明に係るパッチワーク印付け具10で作製したパッチワーク片60のパターン形状の例を示す図である。
図6】持ち手部14の斜視図である。
図7】フランジ126及び格子線20を備えた印判部12の斜視図である。
図8】フランジ126及び格子線20を有する印判部12を備えた本発明に係るパッチワーク印付け具10である。
図9A】格子線20を備えた持ち手部14の斜視図である。
図9B】格子点22を備えた持ち手部14の斜視図である。
図10A】本発明に係るパッチワーク印付け具10の使用方法を示す図である。
図10B】本発明に係るパッチワーク印付け具10の使用方法を示す図である。
図10C】本発明に係るパッチワーク印付け具10の使用方法を示す図である。
図10D】本発明に係るパッチワーク印付け具10の使用方法を示す図である。
図10E】本発明に係るパッチワーク印付け具10の使用方法を示す図である。
図11】格子線20を備えた持ち手部14にサイズが小さい印判部12を接着した本発明に係るパッチワーク印付け具10の実施例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るパッチワーク印付け具10を実施するための形態について、図を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係るパッチワーク印付け具10の斜視図である。パッチワーク印つけ具は、印判部12と、持ち手部14と、から構成される。印判部裏面124又は持ち手部14の接着面142のいずれか一方に弱粘着力を備え、印判部12と持ち手部14は着脱が可能である(図2及び図6参照)。具体的には、印判部12又は持ち手部14のいずれか一方が、粘着付与樹脂を配合した素材を用いて形成されたり、印判部裏面124又は持ち手部14の接着面142に弱粘着の両面粘着テープを貼付したりすることにより、繰り返し容易に剥がすことができる再剥離性、又は繰り返し着脱できる再貼付性を備えることが可能である。両面粘着テープの場合には、繰り返し剥離することによって粘着力が低下するため、繰り返し限度回数を設定しておき、両面粘着テープを交換することが好ましい。しかしながら、これに限定されるものではなく、磁石や面ファスナーによって着脱可能な機能を備えてもよい。
【0021】
図2は、印判部12の斜視図である。印判部12は、インクを付着させて印面122に形成されたパッチワークのパターン形状を材料布生地50に転写するため、インクが付着しやすい一方で、浸透しにくい柔軟な材質で形成されることが好ましい。また、印判部12に形成されたパターン形状は、材料布生地50の布目や柄に位置合わせを行うため、印判部12は半透明又は透明の材質で形成されることが好ましい。非透明や半透明の材質を用いて印判部12を形成する場合には、後述する縫い線突起部1224、裁断線突起部1222及び合印突起部1226以外の部分に開口部を設けることによって、材料布生地50の布目や柄が視認できるようにすることが好ましい。
【0022】
図3は、図2におけるA-A断面図である。印判部12は、印面122に縫い線突起部1224及び裁断線突起部1222を備える。印面122は、さらに、合印突起部1226を備えることが好ましい。縫い線突起部1224、裁断線突起部1222及び合印突起部1226はインクが付着する部分で同じ高さを有している。縫い線突起部1224は、同形状又は異形状のパッチワーク片60同士を縫い合わせるためのガイドラインを材料布生地50に印す。裁断線突起部1222は、パッチワーク片60を裁断して得る際に布切り用ハサミSRやカッターナイフが通過するガイドラインを材料布生地50に印す。縫い線突起部1224と裁断線突起部1222とは太さを変えておくことが好ましく、縫い線突起部1224は、正確に縫い合わせるために細く、裁断線突起部1222は、裁断する際に視認しやすいように太くしておくと、なお好適である。縫い線突起部1224と裁断線突起部1222との間には、パッチワーク片60を作成した際に縫い代を確保できるように所定の幅の間隔が溝として設けられている。
【0023】
合印突起部1226は、同形状又は異形状のパッチワーク片60同士を縫い合わせる際に位置合わせを行う目印を材料布生地50に印す。図4は、合印64に関する説明図である。例えば、図4に向かって左上に示した略三角形状のパッチワーク片60と、右斜め下の略三角形状のパッチワーク片60とを縫い合わせる場合には、両方のパッチワーク片60の縫い合わせる互いの縫い線62の角部と合印64位置に待針を刺して縫い位置が狂わないようにすることができる。同様に隣接するパッチワーク片60の縫い線62角部と合印64とに待針で固定することによって、縫い合わせをスムーズに行えるとともに、美しいパッチワーク作品に仕上げることができる。特に、縫い線62の距離が長い場合、又は一枚のパッチワーク片60の一つの辺に複数のパッチワーク片60を縫う場合に合印64を有効に活用することができる。
【0024】
図5は、本発明に係るパッチワーク印付け具10で作製したパッチワーク片60のパターン形状の例を示す図である。縫い合わせる可能性のあるパッチワーク片60同士は、縫い線62から裁断線66までの間隔、すなわち縫い代の幅を統一して作成するようにする。これにより、パッチワーク片60を縫い合わせる際、二枚のパッチワーク片60の印付けを行った面を互いに外側に向けて合わせて、いわゆる中表に合わせて布端を揃えて重ねることで、縫い線62及び合印64の位置が一致した結果、作業性が向上するため、美しく仕上げることができる。印判部12又は持ち手部14に再剥離性又は再貼付性を備えるため、印判部12を取り外してパターン形状の異なる印判部12を容易に取り換えることが可能である。図5に示したもの以外に、同じ形状であっても面積が異なるものもパターン形状として使用することができる。図5に示したパターン形状は、ごく一例であり、多角形や楕円などの形状も想定され、これらに限定されるものではない。
【0025】
図6は、持ち手部14の斜視図である。持ち手部14は、透明な材質で形成されて、印判部12との接着面142を備え、印判部裏面124と接着面142とが着脱可能に構成される。印判部12が柔軟な材質で形成される可能性が高いため、持ち手部14は、剛性が高く変形しにくい材質で形成することが好ましい。例えば、アクリルなどが例示されるが、これに限定されるものではない。持ち手部14は、接着面142及び反対側の面を底面として、持ちやすいように側面の角を丸め処理した直方体の形状をなす。接着面142の反対側の面の形状をデザインしたり、把手を取り付けたりしてもよいが、材料布生地50の布目や柄の位置を透視して正確に視認するためには、光の屈折が少ない直方体が好ましい。
【0026】
図7は、フランジ126及び格子線20を備えた印判部12の斜視図である。印判部12は、インクを付着させて、材料布生地50に転写するため、柔軟なゴム素材が好ましいが、パターン形状が対称形でない場合、大型の場合又は開口部を設ける場合には、パターン形状が変形しやすく、持ち手部14に接着させる際には、歪んだ形状で接着される場合がある。元のパターン形状を保持した状態で、持ち手部14に接着するために、印面122と反対側の面にフランジ126が形成されていることが好ましい。フランジ126を形成することにより、印判部12の剛性が高まりパターン形状が崩れることがなく安定する。これにより、持ち手部14への接着が容易になり、作業性が向上する。
【0027】
フランジ126を持ち手部14の接着面142と同じ長方形状に形成することにより、持ち手部14への接着がさらに容易になる。また、フランジ126において、長方形状の側辺に平行する格子線20を設けることによって、パターン形状の印を付ける位置の基準線として用いることができ、材料布生地50に押印する際に、所望する布目や柄に正確に位置合わせを行うことが可能となる。
【0028】
図8は、フランジ126及び格子線20を有する印判部12を備えた本発明に係るパッチワーク印付け具10である。フランジ126を持ち手部14の接着面142と同じ形状に形成しておくことによって、印判部12と持ち手部14とを一致させて接着することができる。印判部12及び持ち手部14を透明な材質によって形成することによって、印面122に設けた縫い線突起部1224、裁断線突起部1222及び合印突起部1226に加えて、格子線20も透視することができ、パッチワーク印付け具10の材料布生地50への押印が容易に行うことができる。
【0029】
図9Aは、格子線20を備えた持ち手部14の斜視図である。図9Bは、格子点22を備えた持ち手部14の斜視図である。上記は、印判部12に格子線20を設けた例を示したが、格子線20を持ち手部14に設けることもできる。持ち手部14は剛性が高い材質が用いられる場合には、格子線20に歪みが生じることがないため、格子線20は、持ち手部14に設ける方が好適である。また、格子線20に代わって、簡易的に図9Aの格子線20の交点を、図9Bに示した格子点22として設けてもよい。格子線20と同様に、パターン形状の印を付ける位置の基準点として用いることができ、材料布生地50に押印する際に、所望する布目や柄に正確に位置合わせを行うことが可能となる。
【0030】
図10A~Eでは、本発明に係るパッチワーク印付け具10の使用方法を示した。
【0031】
手順1(図10A)では、印面122が下に向くようにして、手HDで持ち手部14を持ち、印面122をスタンプ台SPに押し当てて、縫い線突起部1224、裁断線突起部1222及び合印突起部1226にインクを付着させる。中間色の材料布生地50では、茶色のインクが視認しやすく好適である。パッチワーク作品の表面に印影が透けそうな淡い色の材料布生地50では、表面にまで透けにくい薄い灰色のインクを用い、また、筆記具では描きにくい濃色の材料布生地50においても、薄い灰色を用いることにより、印影は白く視えるようになり視認しやすい。本発明に係るパッチワーク印付け具10によれば、材料布生地50の柄によってインクを変更することができる。
【0032】
手順2(図10B)では、印面122を下に向けて持ち手部14を持った状態で、材料布生地50の裏面に押印して、縫い線62、裁断線66及び合印64の印付けを同時に行う。材料布生地50に押印する際、印判部12及び持ち手部14を透明の材質で形成しておけば、印面122の中央部から材料布生地50が視認できるため、材料布生地50の柄(図10Bでは星印)が中央になるように印付けすることが可能である。印判部12が非透明又は半透明の素材の場合には、縫い線突起部1224、裁断線突起部1222及び合印突起部1226以外の部分に開口部を設けることによって、材料布生地50が視認できるようになる。また、持ち手部14又はフランジ126を有する印判部12に備えた格子線20又は格子点22を用いて、布目に沿って印付けを行うことも可能である。
【0033】
手順3(図10C)では、パッチワーク印付け具10を使用して印付けをした印影の例を示した。縫い線62が細く印付けされるので線上を正確に縫うことができる。また、縫い線62を細く印付けすると、縫い線62の角部分には丸みを持たないため、縫い線62の端部が明確になるので、縫い始め及び縫い終わりの位置を正確に縫うことができる。
【0034】
手順4(図10D)では、材料布生地50の裁断線66をなぞって布切り用ハサミSRで裁断を行う。裁断線66は太く印付けされるため、材料布生地50を裁断する際に視認しやすい。裁断線66を太くすると、裁断されたパッチワーク片60の縁に若干の歪みが生じる場合又はインクの付着部分が残る場合があるが、パッチワーク片60の裁断線66の部分は、最終的にパッチワーク作品の内部に収まるので、問題とはならない。
【0035】
手順5(図10E)では、裁断が完了したパッチワーク片60を得ることができた。当該使用方法では、最初からインクを付着させて材料布生地50に押印したが、パッチワーク印付け具10のパターン形状には縫い代までが含まれているため、インクを付着させる前に、材料布生地50の上にパッチワーク印付け具10を置いてみて、必要な用尺を確認することができる。したがって、小さな布地の端切れも有効に使用することができる。また、前もって、パッチワーク片60の作製できる枚数を確認することもできる。
【0036】
上記の手順で作製されたパッチワーク片60は、二枚のパッチワーク片60の印付けされた面を外側に向けて合わせて、いわゆる中表に合わせて縫い線62角部同士及び合印64同士、又は縫い線62角部と合印64とを同じ位置に重ね合わせ待針を刺して固定し、縫い線62の上を針と糸とを用いて縫い合わせて布を開く。これを繰り返すことで、パッチワーク片60が繋がって面が形成されていく。
【実施例0037】
図11は、格子線20を備えた持ち手部14にサイズが小さい印判部12を接着した本発明に係るパッチワーク印付け具10の実施例を示した図である。パッチワーク片60のパターン形状は、さまざまなサイズを有する。図11に示したように、持ち手部14の接着面142と比較して相当小さなパターン形状も含まれる。その際、持ち手部14の中央部分に印判部12を配置すると、布地の端切れが小さい場合には、押印しにくいことがある。パッチワーク印付け具10によれば、持ち手部14に設けられた格子線20に基づいて、パターン形状の中央を持ち手部14の隅の格子線20の交点に配置して、小さな材料布生地50を手で押さえつつ印付けを行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のパッチワーク印付け具によれば、異なる形状又はサイズのパッチワーク片を効率よく準備することができるため、デザイン性が拡がり、多様で創造性が豊かなパッチワーク作品を作製することができる。また、パッチワーク片を作製し、試しに並べてみた結果、柄を変えるなど、パッチワーク片の変更が生じることが多いが、本発明のパッチワーク印付け具によれば、簡単かつスピーディにパッチワーク片を作製して変更することができ、その結果、デザイン性を追及することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 パッチワーク印付け具
12 印判部
122 印面
1222 裁断線突起部
1224 縫い線突起部
1226 合印突起部
124 印判部裏面
126 フランジ
14 持ち手部
142 接着面
20 格子線
22 格子点
50 材料布生地
60 パッチワーク片
62 縫い線
64 合印
66 裁断線

HD 手
SP スタンプ台
SR 布切り用ハサミ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11