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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100198
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電源コンセント
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20240719BHJP
   H01R 25/00 20060101ALI20240719BHJP
   H01R 13/66 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
H01R13/46 301M
H01R25/00 G
H01R13/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004013
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明義
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智晴
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB21
5E021FC40
5E021KA11
5E021KA13
5E021MA04
5E021MA31
5E021MB20
5E087EE02
5E087EE07
5E087FF02
5E087FF06
5E087FF17
5E087HH01
5E087LL05
5E087LL29
5E087LL33
5E087LL35
5E087MM09
5E087MM12
5E087PP08
5E087QQ03
5E087RR14
5E087RR36
(57)【要約】
【課題】使用形態や使用環境に拘わらず、一対の栓刃間に生じる微弱な放電を好適に検出することができる電源コンセントを提供する。
【解決手段】電源コンセントは、一対の受刃10と、放電検出端子19と、コンセントブロックと、を備える。コンセントブロックの前部壁11Bには、一対の栓刃挿入口15A,15Bと、当接面16と、放電検出口32と、が設けられる。一対の栓刃挿入口15A,15Bには、一対の栓刃が前面側から挿入される。当接面16には、差込プラグのプラグ本体の端面が当接する。放電検出口32は、当接面16の前方において生じる一対の栓刃の間の放電による電流を放電検出端子19に導く。放電検出口32は、一対の栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の同側の端部同士を結ぶ仮想線と交差する方向に移動可能に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込プラグの一対の栓刃を受容して当該栓刃を電源回路に接続する一対の受刃と、
前記電源回路に接続された一対の前記栓刃の間の放電を検出する放電検出端子と、
一対の前記受刃と前記放電検出端子を収容するとともに、前面側が室内に臨む前部壁を有するコンセントブロックと、を備え、
前記コンセントブロックの前記前部壁には、一対の前記栓刃が前面側から挿入される一対の栓刃挿入口と、前記差込プラグのプラグ本体の端面が当接する当接面と、当該当接面の前方において生じる一対の前記栓刃の間の放電による電流を前記放電検出端子に導く放電検出口と、が設けられ、
前記放電検出口は、一対の前記栓刃挿入口の延出方向の同側の端部同士を結ぶ仮想線と交差する方向に移動可能に配置されていることを特徴とする電源コンセント。
【請求項2】
前記放電検出口は、一方の前記栓刃挿入口の延出方向の中央と他方の前記栓刃挿入口の延出方向の中央を結ぶ中間線を境界とした一側の第1領域と、他側の第2領域と、に夫々配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電源コンセント。
【請求項3】
前記前部壁は、前部壁本体と、当該前部壁本体に対して回転可能に支持された可動板と、を備え、
前記放電検出口は、前記可動板の回転中心から離間した位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電源コンセント。
【請求項4】
差込プラグの一対の栓刃を受容して当該栓刃を電源回路に接続する一対の受刃と、
前記電源回路に接続された一対の前記栓刃の間の放電を検出する放電検出端子と、
一対の前記受刃と前記放電検出端子を収容するとともに、前面側が室内に臨む前部壁を有するコンセントブロックと、を備え、
前記コンセントブロックの前記前部壁には、一対の前記栓刃が前面側から挿入される一対の栓刃挿入口と、前記差込プラグのプラグ本体の端面が当接する当接面と、当該当接面の前方において生じる一対の前記栓刃の間の放電による電流を前記放電検出端子に導く放電検出口と、が設けられ、
前記当接面には、一方の前記栓刃挿入口の開口縁と他方の前記栓刃挿入口の開口縁に連なる放電誘導溝が設けられ、
前記放電誘導溝と少なくとも一部が重なる位置に前記放電検出口が配置されていることを特徴とする電源コンセント。
【請求項5】
前記放電誘導溝は、一対の前記栓刃挿入口の延出方向の一端側の端部領域同士を接続する第1の放電誘導溝と、一対の前記栓刃挿入口の延出方向の他端側の端部領域同士を接続する第2の放電誘導溝と、を有するとともに、前記第1の放電誘導溝と前記第2の放電誘導溝が交差する交差部を有し、
前記放電検出口は、少なくとも一部が前記交差部と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の電源コンセント。
【請求項6】
前記前部壁の前記交差部を間に挟む前記栓刃挿入口の延出方向の両側には、一対の前記栓刃挿入口の延出方向の同側の端部同士を結ぶ仮想線と交差する方向に移動可能に第2の放電検出口が夫々配置されていることを特徴とする請求項5に記載の電源コンセント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラッキングによる短絡を防止する機能を備えた電源コンセントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通電プラグを接続した電源コンセントは、コンセントと差込プラグの間の隙間に堆積した埃が空気中の湿気を吸収し、その湿気を帯びた埃が差込プラグの栓刃間の微弱な放電を引き起こすことがある。この微弱な放電は、長期間繰り返されると、差込プラグの絶縁樹脂(電気絶縁性の樹脂)の表面を炭化(導電化)させる。こうして炭化した絶縁樹脂の表面は栓刃間に大電流が流れる(短絡する)経路となることがある。
以上は、電源コンセントで生じるトラッキング現象であるが、近年、このトラッキングによる短絡を防止する機能を備えた電源コンセントが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示される電源コンセントは、差込プラグの一対の栓刃を受容して栓刃を電源回路に接続する一対の受刃がコンセントブロックの内部に収容され、コンセントブロックの室内側に臨む前部壁に一対の栓刃挿入口が形成されている。差込プラグの栓刃は、栓刃挿入口を通してコンセントブロック内の対応する受刃に受容される。
コンセントブロックの前部壁には、差込プラグのプラグ本体の端面が当接する当接面が設けられ、その当接面のうちの一対の栓刃挿入口の間に前部壁を前後に貫通する放電検出口(微小な貫通孔)が形成されている。また、前部壁の背面側には、放電検出口に臨むように放電検出端子(放電検出用のセンサ)が配置されている。
【0004】
この電源コンセントでは、栓刃の周囲に堆積した埃等に起因して一対の栓刃の間に微弱な放電が生じると、その放電電流が前部壁の放電検出口を通して放電検出端子によって検出される。そして、放電検出端子によって微弱な放電が検出されると、遮断手段によって電源回路が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09-069380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の電源コンセントは、放電検出口が、前部壁の前面(当接面)のうちで通常使用形態において最も放電経路となり易い位置に形成されている。しかし、電源コンセントの使用形態は一様ではなく、栓刃挿入口の延出方向が上下となる向きに電源コンセントが設置される場合だけでなく、栓刃挿入口の延出方向が水平となる向きに電源コンセントが設置される場合もある。また、電源コンセントの使用環境も様々であるため、前部壁の前面(当接面)で微弱な放電の生じる経路も一様ではない。このため、従来の電源コンセントでは、使用形態や使用環境によっては、放電検出口の設置位置が微弱な放電の検出に最適な位置でない場合もある。
【0007】
そこで本発明は、使用形態や使用環境に拘わらず、一対の栓刃間に生じる微弱な放電を好適に検出することができる電源コンセントを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電源コンセントは、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本出願の一の発明に係る電源コンセントは、差込プラグの一対の栓刃を受容して当該栓刃を電源回路に接続する一対の受刃と、前記電源回路に接続された一対の前記栓刃の間の放電を検出する放電検出端子と、一対の前記受刃と前記放電検出端子を収容するとともに、前面側が室内に臨む前部壁を有するコンセントブロックと、を備え、前記コンセントブロックの前記前部壁には、一対の前記栓刃が前面側から挿入される一対の栓刃挿入口と、前記差込プラグのプラグ本体の端面が当接する当接面と、当該当接面の前方において生じる一対の前記栓刃の間の放電による電流を前記放電検出端子に導く放電検出口と、が設けられ、前記放電検出口は、一対の前記栓刃挿入口の延出方向の同側の端部同士を結ぶ仮想線と交差する方向に移動可能に配置されていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成において、差込プラグを電源コンセントに接続すときには、差込プラグの一対の栓刃がコンセントブロックの栓刃挿入口に挿入される。栓刃挿入口に挿入された一対の栓刃は、コンセントブロック内の対応する受刃に接続される。この結果、差込プラグは電源回路に接続される。
この状態で差込プラグとコンセントブロックの間に埃が溜まり、その埃に湿気が吸着される等して一対の栓刃の間に微弱な放電が生じると、その放電による電気が放電検出口を通して放電検出端子に流れる。この結果、栓刃間に放電が発生したことが放電検出端子を通して検出される。
また、上記の構成の電源コンセントは、放電検出口が一対の栓刃挿入口の延出方向の同側の端部同士を結ぶ仮想線と交差する方向に移動可能とされている。このため、使用形態や使用環境によって栓刃間の放電の経路が変わる場合には、放電検出口の位置を適宜調整することにより、栓刃間の放電を好適に検出することができる。
【0010】
前記放電検出口は、一方の前記栓刃挿入口の延出方向の中央と他方の前記栓刃挿入口の延出方向の中央を結ぶ中間線を境界とした一側の第1領域と、他側の第2領域と、に夫々配置されることが望ましい。
【0011】
この場合、栓刃挿入口の延出方向が水平方向に向くように電源コンセントが配置されたときに、埃の堆積し易い栓刃挿入口の延出方向の端部同士での放電を、各放電検出口を通して検出することができる。また、中間線を境界とした一側(第1領域)と他側(第2領域)に個別に移動可能な放電検出口が設けられているため、各領域での放電検出位置を最適な位置に調整することができる。
【0012】
前記前部壁は、前部壁本体と、当該前部壁本体に対して回転可能に支持された可動板と、を備え、前記放電検出口は、前記可動板の回転中心から離間した位置に配置されるようにしても良い。
【0013】
この場合、可動板を前部壁本体に対して適宜回転させることにより、放電検出口の位置を容易に変更することができる。また、本構成を採用した場合には、放電検出口の位置を任意の位置に調整できる機能を簡単な構成によって実現することができる。
【0014】
本出願の他の発明に係る電源コンセントは、差込プラグの一対の栓刃を受容して当該栓刃を電源回路に接続する一対の受刃と、前記電源回路に接続された一対の前記栓刃の間の放電を検出する放電検出端子と、一対の前記受刃と前記放電検出端子を収容するとともに、前面側が室内に臨む前部壁を有するコンセントブロックと、を備え、前記コンセントブロックの前記前部壁には、一対の前記栓刃が前面側から挿入される一対の栓刃挿入口と、前記差込プラグのプラグ本体の端面が当接する当接面と、当該当接面の前方において生じる一対の前記栓刃の間の放電による電流を前記放電検出端子に導く放電検出口と、が設けられ、前記当接面には、一方の前記栓刃挿入口の開口縁と他方の前記栓刃挿入口の開口縁に連なる放電誘導溝が設けられ、前記放電誘導溝と少なくとも一部が重なる位置に前記放電検出口が配置されていることを特徴とする。
【0015】
上記の構成において、差込プラグを電源コンセントに接続するときには、差込プラグの一対の栓刃がコンセントブロックの栓刃挿入口に挿入される。栓刃挿入口に挿入された一対の栓刃は、コンセントブロック内の対応する受刃に接続される。この結果、差込プラグは電源回路に接続される。
この状態で差込プラグとコンセントブロックの間に埃が溜まり、その埃に湿気が吸着される等して一対の栓刃の間に微弱な放電が生じるときには、当接面に設けられた放電誘導溝が放電の経路となる。そして、放電誘導溝内を放電電流が流れると、その電流が放電検出口を通して放電検出端子側に流れる。この結果、栓刃間に放電が発生したことが放電検出端子を通して検出される。
放電誘導溝には、他の平坦な部位に比較して埃や湿気が滞留し易い。このため、電源コンセントの使用形態や使用環境が変わることがあっても、放電の経路となる放電誘導溝と重なる位置にある放電検出口を通して放電を確実に検出することができる。
【0016】
前記放電誘導溝は、一対の前記栓刃挿入口の延出方向の一端側の端部領域同士を接続する第1の放電誘導溝と、一対の前記栓刃挿入口の延出方向の他端側の端部領域同士を接続する第2の放電誘導溝と、を有するとともに、前記第1の放電誘導溝と前記第2の放電誘導溝が交差する交差部を有し、前記放電検出口は、少なくとも一部が前記交差部と重なる位置に配置されるようにしても良い。
【0017】
この場合、埃の堆積し易い栓刃挿入口の延出方向の端部同士での放電を、交差部と重なる位置に配置された共通の放電検出口を通して検出することができる。したがって、本構成を採用した場合には、前部壁に形成する放電検出口の数を少なくし、放電検出部の構造を簡素化することができる。
【0018】
前記前部壁の前記交差部を間に挟む前記栓刃挿入口の延出方向の両側には、一対の前記栓刃挿入口の延出方向の同側の端部同士を結ぶ仮想線と交差する方向に移動可能に第2の放電検出口が夫々配置されるようにしても良い。
【0019】
この場合、一対の栓刃の間で発生する微弱な放電を、交差部に配置された放電検出口と交差部の両側に配置された第2の放電検出口を通して検出することができる。このとき、第2の放電検出口は、一対の栓刃挿入口の延出方向の同側の端部同士を結ぶ仮想線と交差する方向に移動可能であるため、放電を検出するのに好適な位置に位置調整することができる。したがって、本構成を採用した場合には、栓刃間に生じる微弱な放電をより確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本出願の一の発明に係る電源コンセントは、コンセントブロックの前部壁の放電検出口が、一対の栓刃挿入口の延出方向の同側の端部同士を結ぶ仮想線と交差する方向に移動可能に配置されている。このため、使用形態や使用環境によって栓刃間の放電の経路が変わる場合には、栓刃間の微弱な放電を好適に検出することができる位置に放電検出口の位置を調整することができる。
したがって、本出願の一の発明に係る電源コンセントを採用した場合には、使用形態や使用環境に拘わらず、一対の栓刃間に生じる微弱な放電を好適に検出することができる。
【0021】
本出願の他の発明に係る電源コンセントは、コンセントブロックの当接面に、一方の栓刃挿入口の開口縁と他方の栓刃挿入口の開口縁に連なる放電誘導溝が設けられ、放電誘導溝と重なる位置に放電検出口が配置されている。このため、電源コンセントの使用形態や使用環境が変わることがあっても、放電の経路となる放電誘導溝と少なくとも一部が重なる放電検出口を通して放電を確実に検出することができる。
したがって、本出願の他の発明に係る電源コンセントを採用した場合には、使用形態や使用環境に拘わらず、一対の栓刃間に生じる微弱な放電を好適に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】縦向き配置形態の第1実施形態の電源コンセントの正面図。
図2図1のII部の拡大図。
図3】横向き配置形態の第1実施形態の電源コンセントの正面図。
図4図3のIV部の拡大図。
図5】横向き配置形態の第2実施形態の電源コンセントの正面図。
図6図5のVI部の拡大図。
図7】横向き配置形態の第3実施形態の電源コンセントの要部を拡大した正面図。
図8】横向き配置形態の第4実施形態の電源コンセントの要部を拡大した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態では、共通部分に同一符号を付し、重複する説明を一部省略するものとする。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の電源コンセント1の正面図であり、図2は、図1のII部の拡大図である。
電源コンセント1は、例えば、建造物の壁の凹状の設置部に取り付けられる。本実施形態の電源コンセント1は、図示しない差込プラグの一対の栓刃を受容する受刃10の対が上下に二組併設されている。差込プラグは、電気機器に供給する交流電力を受刃から取得するためのプラグであり、絶縁樹脂製のプラグ本体の端面から一対の栓刃が突出している。受刃10は、差込プラグの栓刃を受容し得る略U字状の導電金属板から成り、金属のばね弾性によって挿入された栓刃を挟持する。対を成す受刃10は、図示しない電源回路に電気的に接続されている。対を成す受刃10に差し込みプラグの栓刃が接続される(受容される)と、図示しない電源回路の交流電流が電気機器に供給可能となる。
なお、以下では、説明の便宜上、電源コンセント1のうちの室内に臨む側を「前」と称する。
【0025】
二組の受刃10の対は、箱型状のコンセントブロック11の内部に設置されている。コンセントブロック11は、二組の受刃10の対と回路基板を内部に収容するブロック本体(図示せず)と、ブロック本体の前方側を閉塞する前部壁11Bと、を備えている。ブロック本体と前部壁11Bは図示しないねじによる締結によって相互に連結されている。回路基板には、複数の電気回路が実装されており、基板へ電源供給するための端子が接続されている。ブロック本体と前部壁11Bの主要部は電気絶縁性の樹脂によって形成されている。前部壁11Bは、前面側が室内側に直接臨んで配置される。前部壁11Bは、上下方向に長い長方形状の正面視形状に形成されている。
【0026】
前部壁11Bの周域には、矩形枠状の図示しない周縁プレートが一体に取り付けられている。周縁プレートは、建造物の壁の凹状の設置部にねじ止めによって固定可能とされる。コンセントブロック11は、周縁プレートを介して建造物の設置部に取り付けられる。また、周縁プレートの前面には、矩形枠状の化粧パネル14が脱着可能に取り付けられている。化粧パネル14は、前部壁11Bの周域を取り囲むように配置され、その前面が前部壁11Bの周縁部の前面と面一となっている。
【0027】
コンセントブロック11の前部壁11Bには、差込プラグの栓刃が前面側から挿入される栓刃挿入口15A,15Bの対が、上下に離間して二組形成されている。上段と下段の各栓刃挿入口15A,15Bは、上下方向に直線状に延びる長孔状の孔である。上段と下段の対を成す栓刃挿入口15A,15Bは、正面視で左右方向に離間し、かつ、相互に平行になるように対向して配置されている。上下各段の一方の栓刃挿入口15Aは、上下方向の延出長さが相対的に長い接地側(N側)の挿入口であり、他方の栓刃挿入口15Bは、上下方向の延出長さが相対的に短い非接地側(L側)の挿入口である。上段と下段の各栓刃挿入口15A,15Bの周域部の前面は、図示しない差込プラグのプラグ本体の端面が当接する当接面16とされている。前部壁11Bの背面側の各栓刃挿入口15A,15Bに対向する位置には、差込プラグの栓刃を受容する上述の受刃10が配置されている。
なお、本実施形態の場合、前部壁11Bは、アース端子付きの差込プラグの接続も可能なように上段と下段の各栓刃挿入口15A,15Bの中間部の下方に略半円状のアース端子挿入口17が形成されている。ただし、アース端子挿入口17は必須ではなく、コンセントブロック11は、前部壁11Bにアース端子挿入口17のない態様のものも採用可能である。
【0028】
ところで、栓刃挿入口15A,15Bを通して対を成す受刃10に差込プラグの栓刃を差し込み、その状態が長期間続くと、差込プラグとコンセントブロック11の間の隙間に埃が堆積することがある。そして、堆積した埃が空気中の湿気を吸収すると、湿気を帯びた埃が仲介となって一対の栓刃の間に微弱な火花放電が生じることがある。この火花放電は、前部壁11Bの当接面16の前方で生じる。
【0029】
前部壁11Bの背面側の上段と下段の各栓刃挿入口15A,15Bの対の間には、上記の放電を検出するための放電検出端子19(図2参照)が二つ配置されている。各放電検出端子19は、前部壁11Bの背面側(コンセントブロック11の内部)に配置され、回路基板上の図示しない放電検出回路に接続されている。放電検出回路には、栓刃間の放電を検出したときに、警報ブザーや警報ランプを作動させるための回路や、電源回路を遮断するための遮断回路等が接続されている。
なお、図1中の符号22は、栓刃間の放電を検出したときに点灯する警報ランプであり、符号23は、警報ランプ22や警報ブザーが作動したときに、これらの作動を停止させるための停止ボタンである。
【0030】
以下、一方の栓刃挿入口15Aの延出方向の中央と他方の栓刃挿入口15Bの延出方向の中央を結ぶ仮想線(図2参照)を中間線L0と称する。なお、前部壁11Bの上段と下段の栓刃挿入口15A,15Bとその周域は同様の構造とされている。このため、以下では、図2を参照して上段側の構造についてのみ説明し、下段側の構造については説明を省略するものとする。
前部壁11Bの栓刃挿入口15A,15Bの間には、二つの放電検出口32が設けられている。放電検出口32は、差込プラグの一対の栓刃が対応する受刃10に接続された状態において当接面16の前方で生じる上述の放電による電流を放電検出端子19に導く。栓刃挿入口15A,15Bの間の二つの放電検出口32は、中間線L0を境界とした一側の第1領域A1と他側の第2領域A2とに夫々設けられている。各放電検出口32は、栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の同側の端部同士を結ぶ仮想線L1,L2と交差する方向に移動可能とされている。
【0031】
前部壁11Bの栓刃挿入口15A,15Bの間には、上下方向に離間して円板状の一対の可動板30A,30Bが回転可能に配置されている。各可動板30A,30Bは、前部壁11Bの前部壁本体11Baに設けられた円形状の組付孔に回転可能に支持されている。各可動板30A,30Bの前面は、前部壁11Bにおける当接面16の一部を構成している。各可動板30A,30Bの前面は、当接面16の他の領域と面一となっている。
【0032】
一方の可動板30Aは、前部壁11Bの第1領域A1に配置され、他方の可動板30Bは、前部壁11Bの第2領域A2に配置されている。各可動板30A,30Bの回転中心oから径方向に離間した位置には、前述の放電検出口32が形成されている。各放電検出口32は、各可動板30A,30Bを適宜回転させることにより、当接面16上における位置(仮想線L1,L2と交差する方向の位置)を調節可能とされている。放電検出口32は、対応する可動板30A,30Bを前後方向(板厚方向)に貫通している。各可動板30A,30Bの背面側(後面側)には、放電検出口32に臨むように放電検出端子19が配置されている。
【0033】
一方の可動板30Aは、その回転中心oが中間線L0と一方の仮想線L1の間に位置されるように、前部壁本体11Baに組付けられている。また、一方の可動板30Aは、可動板30Aを回転させたときに、可動板30A上の放電検出口32が何れかの回転位置で一方の仮想線L1と重なるように設置されている。
他方の可動板30Bは、その回転中心oが中間線L0と他方の仮想線L2の間に位置されるように、前部壁本体11Baに組付けられている。また、他方の可動板30Bは、可動板30Bを回転させたときに、可動板30B上の放電検出口32が何れかの回転位置で他方の仮想線L2と重なるように設置されている。
【0034】
図1図2は、各栓刃挿入口15A,15Bの延出方向が上下方向を向くように電源コンセント1を建造物の壁に設置した形態(以下、「縦向き設置形態」と称する。)を示している。これに対し、図3図4は、各栓刃挿入口15A,15Bの延出方向が水平方向を向くように電源コンセント1を建造物の壁に設置した形態(以下、「横向き設置形態」と称する。)を示している。図3は、横向き設置形態の電源コンセント1の正面図であり、図4は、図3のIV部の拡大図である。
図1図2に示す縦向き設置形態の場合、栓刃挿入口15A,15B内の受刃10に差込プラグの栓刃が接続された状態で長期間が経過すると、栓刃挿入口15A,15B内の受刃10の上端面と栓刃の上面に埃duが堆積し易い。この堆積した埃duは、空気中の湿気を吸着することによって栓刃間の微弱な火花放電を引き起こす原因となり易い。この放電は、重力の作用もあり、図2中のドットで示した領域(仮想線L1とL2で挟まれた領域)が放電経路となり易い。
したがって、本実施形態の電源コンセント1を縦向き設置形態で使用する場合には、放電検出口32が図2中のドットで示した領域に位置されるように、各可動板30A,30Bの回転位置を調整することが望ましい。このように各可動板30A,30Bの放電検出口32の位置を調整すると、差込プラグの栓刃間の微弱な火花放電を放電検出口32を通して迅速に、かつ確実に検出することが可能になる。
【0035】
図3図4に示す横向き設置形態の場合、受刃10に差込プラグの栓刃が接続された状態で長期間が経過すると、差込プラグの上方側の栓刃の上面や、上方側の栓刃挿入口15Aの延出方向の両端部に埃duが堆積し易い。この堆積した埃duは、空気中の湿気を吸着することによって栓刃間の微弱な火花放電を引き起こす原因となり易い。この放電は、重力の作用もあり、図4中のドットで示した領域(仮想線L3とL4で挟まれた領域)が放電経路となり易い。なお、仮想線L3は、接地側の栓刃挿入口15Aの延出方向の端点から下方に降ろした仮想線であり、仮想線L4は、接地側の受刃10の延出方向の端点から下方に降ろした仮想線である。
したがって、本実施形態の電源コンセント1を横向き設置形態で使用する場合には、放電検出口32が図4中のドットで示した領域に位置されるように、各可動板30A,30Bの回転位置を調整することが望ましい。このように各可動板30A,30Bの放電検出口32の位置を調整すると、差込プラグの栓刃間の微弱な放電を放電検出口32を通して迅速に、かつ確実に検出することが可能になる。
【0036】
以上のように、本実施形態の電源コンセント1は、コンセントブロック11の前部壁11Bの放電検出口32が、一対の栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の同側の端部同士を結ぶ仮想線とL1,L2と交差する方向に移動可能に配置されている。このため、使用形態や使用環境によって栓刃間の放電の経路が変わる場合には、栓刃間の微弱な放電を好適に検出することができる位置に放電検出口32の位置を調整することができる。
したがって、本実施形態の電源コンセント1を採用した場合には、使用形態や使用環境に拘わらず、一対の栓刃間に生じる微弱な放電を好適に検出することができる。
【0037】
また、本実施形態の電源コンセント1は、移動可能な放電検出口32が中間線L0を境界とした一側の第1領域A1と他側の第2領域A2とに夫々配置されている。このため、電源コンセント1を横向き設置形態で使用するときに、埃duの堆積し易い栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の端部同士での放電を、各放電検出口32を通して効率良く検出することができる。
さらに、本実施形態の電源コンセント1は、中間線L0を境界とした一側(第1領域A1)と他側(第2領域A2)に個別に移動可能な放電検出口32が設けられているため、各領域での放電検出位置を最適な位置に調整することができる。したがって、本実施形態の電源コンセント1を採用した場合には、栓刃間の放電を二つの放電検出口32によってより効率良く検出することができる。
【0038】
また、本実施形態の電源コンセント1は、コンセントブロック11の前部壁11Bが、前部壁本体11Baと、前部壁本体11Baに回転可能に支持された可動板30A,30Bと、を備え、放電検出口32が各可動板30A,30Bの回転中心から離間した位置に配置されている。このため、可動板30A,30Bを前部壁本体11Baに対して適宜回転させることにより、放電検出口32の位置を容易に変更することができる。また、本構成を採用した場合には、放電検出口32の位置を任意の位置に調整できる機能を簡単な構成によって実現することができる。
なお、本実施形態では、放電検出口32を有する可動板30A,30Bが、前部壁本体11Baの第1領域A1と第2領域A2に夫々設置されているが、第1領域と第2領域に跨るように回転可能な可動板を一つのみ設置するようにしても良い。この場合、例えば、可動板の回転中心を中心とした点対称位置に二つの放電検出口を形成するようにしても良い。この構成の場合、電源コンセントの部品点数を削減することが可能になる。
【0039】
また、本実施形態では、放電検出口32を仮想線L1,L2と交差する方向に移動可能にするための手段として、回転可能な円板状の可動板30A,30Bを設け、その可動板30A,30Bの回転中心oから離間した位置に放電検出口32を設けるようにしている。しかし、放電検出口32を仮想線L1,L2と交差する方向に移動可能にするための手段はこれに限定されない。例えば、可動板を仮想線L1,L2と交差する方向に直線状に移動できる構造としても良い。
【0040】
<第2実施形態>
図5は、本実施形態の電源コンセント101の正面図であり、図6は、図5のVI部の拡大図である。図5図6は、電源コンセント101を横向き配置形態で使用している状態を示している。なお、以下で説明する各実施形態において、「横向き配置形態」と「縦向き配置形態」の定義は第1実施形態の説明で記載したものと同様である。
本実施形態の電源コンセント101は、コンセントブロック11の前部壁11Bの一部の構造を除き、他の基本的な構成は第1実施形態のものと同様とされている。電源コンセント101は、差込プラグの栓刃を電源回路に接続する一対の受刃10と、栓刃の間の放電を検出する放電検出端子19と、受刃10と放電検出端子19を内部に収容するコンセントブロック11と、を備えている。コンセントブロック11の前部壁11Bには、第1実施形態と同様の構造の一対の栓刃挿入口15A,15Bと、差込プラグのプラグ本体の端面が当接する当接面16と、栓刃間の放電による電流を放電検出端子19に導く放電検出口32と、が設けられている。
本実施形態の場合、受刃10や栓刃挿入口15A,15B、当接面16、放電検出端子19、放電検出口32等は、コンセントブロック11の前部壁11Bの左右に離間して二組設けられている。これらの各組の構造は同様とされている。このため、以下では、図6を参照して右側の組の構造についてのみ説明し、左側の組の構造については説明を省略するものとする。
【0041】
前部壁11Bの当接面16には、栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の一端側の端部領域同士を接続する第1の放電誘導溝50Aと、栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の他端側の端部領域同士を接続する第2の放電誘導溝50Bと、が形成されている。第1の放電誘導溝50Aと第2の放電誘導溝50Bは、当接面16の他の部位に対して凹状に窪んで形成されている。
【0042】
図6に示すように、第1の放電誘導溝50Aは、一端部が接地側の栓刃挿入口15Aの延出方向の一端側(図中の右側)の縁部に接続される逆S字湾曲部50Aaと、一端部が非接地側の栓刃挿入口15Bの延出方向の一端側(図中右側)の縁部に接続されるS字湾曲部50Acと、逆S字湾曲部50AaとS字湾曲部50Acの他端部同士を接続する直線部50Abと、を有する。逆S字湾曲部50Aaは、栓刃挿入口15Aの延出方向の一端側の縁部から中間線L0の方向に向かって逆S字状に湾曲している。S字湾曲部50Acは、栓刃挿入口15Bの延出方向の一端側の縁部から中間線L0の方向に向かってS字状に湾曲している。直線部50Abは、中間線L0と重なる位置において中間線L0に沿って延出している。
【0043】
第2の放電誘導溝50Bは、一端部が接地側の栓刃挿入口15Aの延出方向の他端側(図中左側)の縁部に接続されるS字湾曲部50Baと、一端部が非接地側の栓刃挿入口15Bの延出方向の他端側(図中左側)の縁部に接続される逆S字湾曲部50Bcと、S字湾曲部50Baと逆S字湾曲部50Bcの他端部同士を接続する直線部50Bbと、を有する。S字湾曲部50Baは、栓刃挿入口15Aの延出方向の他端側の縁部から中間線L0の方向に向かってS字状に湾曲している。逆S字湾曲部50Bcは、栓刃挿入口15Bの延出方向の他端側の縁部から中間線L0の方向に向かって逆S字状に湾曲している。直線部50Bbは、中間線L0と重なる位置において中間線L0に沿って延出している。
【0044】
第1の放電誘導溝50Aと第2の放電誘導溝50Bは、中間線L0と重なる位置において相互に交差している。第1の放電誘導溝50Aの直線部50Abと第2の放電誘導溝50Bの直線部50Abとは共用されている。本実施形態では、相互に共用される直線部50Ab,50Bbが第1の放電誘導溝50Aと第2の放電誘導溝50Bの交差部51を構成している。
【0045】
本実施形態では、交差部51で相互に交差する第1の放電誘導溝50Aと第2の放電誘導溝50Bが放電誘導溝50を構成している。放電誘導溝50の交差部51の底部には、放電検出口32が形成されている。放電検出口32は、前部壁11Bを前後方向(厚み方向)に貫通し、前部壁11Bの背部側に配置された放電検出端子19に臨んでいる。本実施形態では、放電検出口32は、中間線L0上において、栓刃挿入口15A,15Bからの直線距離が等距離となる位置に形成されている。
なお、本実施形態では、放電検出口32が放電誘導溝50の交差部51の底部に形成されているが、放電検出口32は少なくとも一部が放電誘導溝50と重なる構成であれば良い。ただし、本実施形態における放電検出口32の配置が最も望ましい。
【0046】
横向き配置形態とされた電源コンセント101は、受刃10に差込プラグの栓刃が接続された状態で長期間が経過すると、差込プラグの上方側の栓刃の上面や、上方側の栓刃挿入口15Aの延出方向の両端部に埃duが堆積し易い。また、差込プラグの本体部の端面と、前部壁11Bの当接面16との間にも埃duが堆積する。特に、本実施形態では、当接面16の一部に凹状に窪んだ放電誘導溝50が形成されているため、この放電誘導溝50に埃duが入り込み易く、空気中の湿気も放電誘導溝50内の埃に吸着され易い。このため、湿気を帯びた埃duを媒介として栓刃間に火花放電で生じる場合には、放電誘導溝50が火花放電の経路となる。したがって、栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の同側の端部の間を流れる放電電流は放電誘導溝50内を通過し、放電誘導溝50の交差部51内の放電検出口32に流れ込む。
この結果、栓刃間の火花放電は放電検出口32を通して放電検出回路によって確実に検出される。
【0047】
また、電源コンセント101が縦向き配置形態とされた場合には、栓刃挿入口15A,15B内の受刃10の上面に堆積した埃が湿気を吸着することによって火花放電を引き起こし易い。この場合も、横向き配置形態の場合と同様に、放電誘導溝50が火花放電の経路となる。このため、放電電流は放電誘導溝50内を通過し、放電誘導溝50の交差部51内の放電検出口32に流れ込む。したがって、縦向き配置形態の場合も、栓刃間の火花放電は放電検出口32を通して放電検出回路によって確実に検出される。
【0048】
以上のように、本実施形態の電源コンセント101は、コンセントブロック11の当接面16に、一方の栓刃挿入口15Aの開口縁と他方の栓刃挿入口15Bの開口縁に連なる放電誘導溝50が設けられ、放電誘導溝50と重なる位置に放電検出口32が配置されている。このため、電源コンセント101の使用形態や使用環境が変わることがあっても、放電の経路となる放電誘導溝50と少なくとも一部が重なる放電検出口32を通して放電を確実に検出することができる。
したがって、本実施形態の電源コンセント101を採用した場合には、使用形態や使用環境に拘わらず、栓刃間に生じる微弱な放電を好適に検出することができる。
【0049】
また、本実施形態の電源コンセント101は、放電誘導溝50が、栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の一端側の端部領域同士を接続する第1の放電誘導溝50Aと、栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の他端側の端部領域同士を接続する第2の放電誘導溝50Bと、有し、第1の放電誘導溝50Aと第2の放電誘導溝50Bが交差部51で交差している。そして、放電検出口32の少なくとも一部が交差部51と重なるように配置されている。このため、埃の堆積し易い栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の端部同士での放電を、交差部51と重なる位置に配置された共通の放電検出口32を通して検出することができる。
したがって、本実施形態の電源コンセント101を採用した場合には、前部壁11Bに形成する放電検出口32の数を少なくし、放電検出部の構造を簡素化することができる。
【0050】
<第3実施形態>
図7は、本実施形態の電源コンセント201の要部を拡大した正面図である。図7は、電源コンセント201を横向き配置形態で使用している状態を示している。
本実施形態の電源コンセント201は、前部壁11Bの当接面16に形成する第1の放電誘導溝250Aと第2の放電誘導溝250Bの形状と、放電検出口32の設置個数が第2実施形態のものと異なっている。他の部分の構造は、第2実施形態のものとほぼ同様とされている。
【0051】
前部壁11Bの当接面16には、栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の一端側の端部領域同士を接続する第1の放電誘導溝250Aと、栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の他端側の端部領域同士を接続する第2の放電誘導溝50Bと、が形成されている。第1の放電誘導溝250Aは、当接面16上の仮想線L1にほぼ沿うように直線状に延出し、第2の放電誘導溝250Bは、当接面16上の仮想線L2にほぼ沿うように直線状に延出している。放電検出口32は、第1の放電誘導溝250Aと第2の放電誘導溝250Bの各底部に形成されている。
なお、放電検出口32は、第1の放電誘導溝250Aと第2の放電誘導溝250Bの各底部に必ずも形成されていなくても良く、少なくとも一部が第1の放電誘導溝250Aと第2の放電誘導溝250Bに重なるように配置すれば良い。
【0052】
本実施形態の電源コンセント201は、栓刃挿入口15A,15Bの延出方向の端部領域同士を接続する第1の放電誘導溝250Aと第2の放電誘導溝250Bが直線状に形成され、各放電誘導溝250A,250Bと重なるように放電検出口32が個別に設けられている。このため、本実施形態の電源コンセント201は、使用形態や使用環境が変わることがあっても、放電の経路となる第1の放電誘導溝250Aや第2の放電誘導溝250Bを通して栓刃間の微弱な放電を確実に検出することができる。
【0053】
<第4実施形態>
図8は、本実施形態の電源コンセント301の要部を拡大した正面図である。図8は、電源コンセント201を横向き配置形態で使用している状態を示している。
本実施形態の電源コンセント301は、前述した第2実施形態の電源コンセントの構成に、第1実施形態の電源コンセントの構成を追加した構造とされている。
【0054】
電源コンセント301は、前部壁11Bの当接面16に放電誘導溝50が形成されている。放電誘導溝50は、第1の放電誘導溝50Aと第2の放電誘導溝50Bを有し、両放電誘導溝50A,50Bが交差部51で交差している。そして、交差部51に放電検出口32が設けられている。また、前部壁11Bの当接面16の交差部51を間に挟む両側位置には、回転可能な可動板30A,30Bが取り付けられ、各可動板30A,30Bに放電検出口332(第2の放電検出口)が設けられている。可動板30A,30Bの各放電検出口332の背部側には放電検出端子19が設置されている。各放電検出口332は、可動板30A,30Bを適宜回転させることにより、仮想線L1,L2と交差する方向に移動可能とされている。
【0055】
本実施形態の電源コンセント301は、上記のような構成であるため、栓刃間の微弱な放電を、放電誘導溝50の交差部51に配置された放電検出口32と交差部51の両側に配置された放電検出口332(第2の放電検出口)を通して検出することができる。そして、交差部51の両側に配置された各放電検出口332は、可動板30A,30Bの回転によって仮想線L1,L2と交差する方向に移動可能とされているため、放電を検出するのに好適な位置に位置調整することができる。
したがって、本実施形態の電源コンセント301を採用した場合には、使用形態や使用環境に拘わらず、一対の栓刃間に生じる微弱な放電をより確実に検出することができる。
なお、本実施形態では、放電検出口332を仮想線L1,L2と交差する方向に移動可能にするための手段として回転可能な可動板30A,30Bに放電検出口332を形成している。しかし、放電検出口332を仮想線L1,L2と交差する方向に移動可能にするための手段はこれに限定されない。例えば、放電検出口332を形成した可動板を仮想線L1,L2と交差する方向に直線状に移動できる構造としても良い。
【0056】
また、本実施形態の電源コンセント301は、第2実施形態の基本構成と第1実施形態の基本構成を併せて備えているため、前述した第1,2実施形態の各効果も同様に得ることができる。
【0057】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上記の各実施形態では、コンセントブロック11の前部壁11Bに二対の栓刃挿入口15A,15Bが配置されているが、前部壁11Bに設ける栓刃挿入口15A,15Bの対の数はこれに限定されない。栓刃挿入口15A,15Bの対は、一対であっても三対以上であっても良い。この場合、放電検出端子や放電検出口は、栓刃挿入口15A,15Bの対数に応じて上述の各実施形態と同様に設けるようにすれば良い。
【符号の説明】
【0058】
1,101,201,301…電源コンセント
10…受刃
11…コンセントブロック
11B…前部壁
11Ba…前部壁本体
15A,15B…栓刃挿入口
16…当接面
19…放電検出端子
30A,30B…可動板
32…放電検出口
50…放電誘導溝
50A,250A…第1の放電誘導溝(放電誘導溝)
50B,250B…第2の放電誘導溝(放電誘導溝)
51…交差部
332…放電検出口(第2の放電検出口)
A1…第1領域
A2…第2領域
L0…中間線
L1,L2…仮想線
o…回転中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8