(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100205
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004022
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】丸山 裕晃
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GB02
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GK04
5F102GL04
5F102GL07
5F102GM04
5F102GM07
5F102GM08
5F102GQ01
5F102GR01
(57)【要約】
【課題】結晶性の低下を避けながら過渡応答特性を向上できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられたバッファ層と、前記バッファ層の上に設けられたバリア層と、前記バリア層の上に設けられた電子走行層と、前記電子走行層の上に設けられた電子供給層と、を有し、前記電子走行層は、前記バッファ層よりも薄く、前記バリア層のバンドギャップは、前記バッファ層のバンドギャップおよび前記電子走行層のバンドギャップよりも大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に設けられたバッファ層と、
前記バッファ層の上に設けられたバリア層と、
前記バリア層の上に設けられた電子走行層と、
前記電子走行層の上に設けられた電子供給層と、
を有し、
前記電子走行層は、前記バッファ層よりも薄く、
前記バリア層のバンドギャップは、前記バッファ層のバンドギャップおよび前記電子走行層のバンドギャップよりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
前記バリア層および前記電子走行層は、いずれもGaN層であり、
前記バリア層は、AlxInyGa1-x-yN層(0<x≦1、0≦y≦0.1)である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
「y+0.8≦x」が成り立つ、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記バリア層の厚さは、2nm以上20nm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記バッファ層の厚さは、200nm以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電子走行層の厚さは、400nm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)を含む高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)を備えた半導体装置において、過渡応答特性の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-121785号公報
【特許文献2】特開2015-095605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
過渡応答特性を向上させる方法として、電子走行層を薄くすることが考えられる。しかしながら、電子走行層を薄くした場合には、チャネル領域および電子供給層の結晶性が低下するおそれがある。結晶性の低下は電子の移動度等の特性の劣化につながり得る。
【0005】
本開示は、結晶性の低下を避けながら過渡応答特性を向上できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられたバッファ層と、前記バッファ層の上に設けられたバリア層と、前記バリア層の上に設けられた電子走行層と、前記電子走行層の上に設けられた電子供給層と、を有し、前記電子走行層は、前記バッファ層よりも薄く、前記バリア層のバンドギャップは、前記バッファ層のバンドギャップおよび前記電子走行層のバンドギャップよりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、結晶性の低下を避けながら過渡応答特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態における、バッファ層、バリア層、電子走行層、スペーサ層、電子供給層およびキャップ層のバンド構造を示すバンド図である。
【
図3】
図3は、参考例に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図4】
図4は、参考例における、電子走行層、スペーサ層、電子供給層およびキャップ層のバンド構造を示すバンド図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、基板と、前記基板の上に設けられたバッファ層と、前記バッファ層の上に設けられたバリア層と、前記バリア層の上に設けられた電子走行層と、前記電子走行層の上に設けられた電子供給層と、を有し、前記電子走行層は、前記バッファ層よりも薄く、前記バリア層のバンドギャップは、前記バッファ層のバンドギャップおよび前記電子走行層のバンドギャップよりも大きい。
【0011】
バリア層のバンドギャップがバッファ層のバンドギャップおよび電子走行層のバンドギャップよりも大きいため、バリア層と電子走行層との界面近傍に負の分極電荷が存在し、バリア層とバッファ層との界面近傍に正の分極電荷が存在する。また、電子走行層内では、バリア層に近い位置ほど伝導帯の下端が高い。従って、2次元電子ガス中の電子が高いエネルギを有したとしても、負の分極電荷の影響により、2次元電子ガス中の電子の電子走行層の深い位置に向かう移動が妨げられる。このため、電子走行層中にトラップの準位が存在しても、電子はトラップの準位に捕獲されにくく、電子のトラップに伴う過渡応答特性の低下を抑制できる。また、バリア層により過渡応答特性を向上できるため、結晶性が低下するほど、バッファ層が薄い必要はない。従って、結晶性の低下を避けながら過渡応答特性を向上できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記バリア層および前記電子走行層は、いずれもGaN層であり、前記バリア層は、AlxInyGa1-x-yN層(0<x≦1、0≦y≦0.1)であってもよい。この場合、バリア層のバンドギャップがバッファ層のバンドギャップおよび電子走行層のバンドギャップよりも大きくなりやすい。
【0013】
〔3〕 〔2〕において、「y+0.8≦x」が成り立ってもよい。この場合、十分な分極電荷を得やすい。
【0014】
〔4〕 〔1〕から〔3〕のいずれかにおいて、前記バリア層の厚さは、2nm以上20nm以下であってもよい。バリア層の厚さが2nm以上であることで、十分な分極電荷を得やすく、バリア層の厚さが20nm以下であることで、バリア層をバッファ層に擬格子整合させやすい。
【0015】
〔5〕 〔1〕から〔4〕のいずれかにおいて、前記バッファ層の厚さは、200nm以上であってもよい。バッファ層の厚さが200nm以上であることで、良好な結晶性を得やすい。
【0016】
〔6〕 〔1〕から〔5〕のいずれかにおいて、前記電子走行層の厚さは、400nm以下であってもよい。電子走行層の厚さが400nm以下であることで、電子走行層の全体で分極電荷の影響を受けやすい。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0018】
実施形態は、窒化物半導体を主構成材料とする窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタ(GaN-HEMT)を含む半導体装置に関する。
図1は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0019】
実施形態に係る半導体装置1は、
図1に示すように、基板10と、基板10の上に形成された複数の半導体層の積層構造20と、ゲート電極3Gと、ソース電極3Sと、ドレイン電極3Dと、裏面電極4を有する。基板10は、上面10Aと、上面10Aとは反対の下面10Bとを有する。基板10は、例えば上面10Aの面方位が(0001)面の炭化シリコン(SiC)基板である。積層構造20は基板10の上に設けられている。積層構造20は、上面20Aと、上面20Aとは反対の下面20Bとを有する。下面20Bは上面10Aに直接接触する。積層構造20は、初期層11と、バッファ層12と、バリア層13と、電子走行層14と、スペーサ層15と、電子供給層16と、キャップ層17とを有する。
【0020】
初期層11は基板10の上に設けられている。初期層11は、例えば厚さが5nm以上100nm以下の窒化アルミニウム(AlN)層である。バッファ層12は初期層11の上に設けられている。バッファ層12は、例えば厚さが200nm以上20μm以下のアンドープ窒化ガリウム(GaN)層である。バリア層13はバッファ層12の上に設けられている。バリア層13は、例えば厚さが2nm以上20nm以下のアンドープAlN層である。電子走行層14はバリア層13の上に設けられている。電子走行層14は、例えば厚さが200nm以上400nm以下のアンドープGaN層である。スペーサ層15は電子走行層14の上に設けられている。スペーサ層15は、例えば厚さが2nm以上10nm以下のアンドープ窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層である。電子供給層16はスペーサ層15の上に設けられている。電子供給層16は、例えば厚さが5nm以上28nm以下のn型AlGaN層である。スペーサ層15および電子供給層16の厚さの和は、例えば10nm以上30nm以下である。キャップ層17は電子供給層16の上に設けられている。キャップ層17は、例えば厚さが1nm以上10nm以下のn型GaN層である。電子供給層16およびキャップ層17は、n型不純物として、例えばシリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)を含有する。初期層11、バッファ層12、バリア層13、電子走行層14、スペーサ層15、電子供給層16およびキャップ層17の積層方向は、例えば基板10を構成するSiCの[0001]方向である。
【0021】
本実施形態では、電子走行層14がバッファ層12よりも薄い。また、バリア層13のバンドギャップがバッファ層12のバンドギャップおよび電子走行層14のバンドギャップよりも大きい。
【0022】
積層構造20の上にソース電極3Sおよびドレイン電極3Dが形成されている。ソース電極3Sおよびドレイン電極3Dは、積層構造20の上面20Aに接触する。ソース電極3Sおよびドレイン電極3Dは、積層構造20にオーミック接触する。
【0023】
キャップ層17の上に絶縁膜21が形成されている。絶縁膜21は、例えば窒化シリコン(SiN)膜である。絶縁膜21はソース電極3Sおよびドレイン電極3Dを覆う。絶縁膜21に、開口部21S、21Gおよび21Dが形成されている。開口部21Sからソース電極3Sが露出し、開口部21Dからドレイン電極3Dが露出する。開口部21Gはソース電極3Sとドレイン電極3Dと間に形成されている。ゲート電極3Gは、ソース電極3Sとドレイン電極3Dと間で絶縁膜21の上に形成されており、開口部21Gを通じて積層構造20の上面20Aに接触する。ゲート電極3Gは積層構造20にショットキー接触する。開口部21Gおよびゲート電極3Gは、ドレイン電極3Dよりもソース電極3Sに近くてもよい。
【0024】
基板10および積層構造20に貫通孔5が形成されている。貫通孔5は基板10および積層構造20を貫通し、ソース電極3Sに達する。裏面電極4は基板10の下面10Bの上に形成されている。裏面電極4は下面10Bに接触するとともに、貫通孔5を通じてソース電極3Sに接触する。ソース電極3Sと裏面電極4とが電気的に接続されている。ソース電極3Sと裏面電極4とが電気的に接続されていれば、貫通孔5がソース電極3Sから離れた位置に形成され、裏面電極4がソース電極3Sに直接接触していなくてもよい。
【0025】
ここで、バッファ層12、バリア層13、電子走行層14、スペーサ層15、電子供給層16およびキャップ層17のバンド構造について説明する。
図2は、実施形態における、バッファ層12、バリア層13、電子走行層14、スペーサ層15、電子供給層16およびキャップ層17のバンド構造を示すバンド図である。
図2には、ゲート電極3Gに電圧Vが印加された時のバンド構造を示している。
図2中のE
Fmはゲート電極のフェルミ準位であり、E
Fは積層構造20のフェルミ準位であり、E
Trapは電子走行層14中のトラップの準位であり、E
Cは伝導帯の下端であり、E
Vは価電子帯の上端である。後述の
図4についても同じである。
【0026】
図2に示すように、電子走行層14の上面の近傍に、伝導帯の下端E
Cがフェルミ準位E
Fより低い領域が存在し、この領域に2次元電子ガス(two dimensional gas:2DEG)51が存在する。また、バリア層13のバンドギャップがバッファ層12のバンドギャップおよび電子走行層14のバンドギャップよりも大きい。このため、バリア層13と電子走行層14との界面近傍に負の分極電荷(-σ)52が存在し、バリア層13とバッファ層12との界面近傍に正の分極電荷(+σ)53が存在する。また、電子走行層14内では、バリア層13に近い位置ほど伝導帯の下端E
Cが高い。従って、本実施形態では、2DEG51中の電子が高いエネルギを有したとしても、負の分極電荷52の影響により、2DEG51中の電子の電子走行層14の深い位置に向かう移動が妨げられる。このため、電子走行層14中にトラップの準位E
Trapが存在しても、電子はトラップの準位E
Trapに捕獲されにくく、過渡応答特性を向上できる。
【0027】
次に、実施形態との比較のために参考例について説明する。
図3は、参考例に係る半導体装置を示す断面図である。
【0028】
参考例に係る半導体装置1Xは、
図3に示すように、積層構造20に代えて積層構造20Xを有する。バッファ層12、バリア層13および電子走行層14に代えて電子走行層14Xを有する。電子走行層14Xは、例えば厚さが400nmのアンドープGaN層である。半導体装置1Xの他の構成は半導体装置1の構成と同一である。
【0029】
ここで、電子走行層14X、スペーサ層15、電子供給層16およびキャップ層17のバンド構造について説明する。
図4は、参考例における、電子走行層14X、スペーサ層15、電子供給層16およびキャップ層17のバンド構造を示すバンド図である。
【0030】
図4に示すように、参考例にも、実施形態と同じく2DEG51が存在する。ただし、バリア層13が設けられていないため、負の分極電荷(-σ)52および正の分極電荷(+σ)53が存在せず、電子走行層14X内では、伝導帯の下端E
Cが一定である。従って、2DEG51中の電子が高いエネルギを有すると、電子走行層14Xの深い位置に向かう移動が容易となり、電子走行層14中にトラップの準位E
Trapに捕獲されやすい。このため、電子のトラップに伴って過渡応答特性が低下し得る。
【0031】
このように、本実施形態によれば、バリア層13により参考例に対して過渡応答特性を向上できる。また、バリア層13により過渡応答特性を向上できるため、バリア層13、電子走行層14、スペーサ層15、電子供給層16およびキャップ層17の結晶性が低下するほど、バッファ層12が薄い必要はない。従って、結晶性の低下を避けながら過渡応答特性を向上できる。
【0032】
更に、バッファ層12が比較的厚くてもよいため、下記のように、貫通孔5を短時間で形成しやすい。貫通孔5の形成では、基板10のエッチングが行われた後に、積層構造20のエッチングが行われる。基板10は積層構造20よりも非常に厚いため、基板10のエッチングは高エッチングレートで行われることが好ましい。ただし、基板10のエッチングの際に過剰なオーバーエッチングが行われると、ソース電極3Sもエッチングされるおそれがある。エッチングレートを下げることで、過剰なオーバーエッチングを避けやすくなるが、この場合、貫通孔5の形成に時間がかかる。これに対し、バッファ層12が比較的厚い場合には、オーバーエッチングによるソース電極3Sのエッチングを避けられる。従って、高エッチングレートで基板10をエッチングすること可能であり、貫通孔5を短時間で形成しやすい。
【0033】
バリア層13はAlN層でなくてもよく、例えば、AlxInyGa1-x-yN層(0<x≦1、0≦y≦0.1)であってもよい。この場合も、バリア層13のバンドギャップがバッファ層12のバンドギャップおよび電子走行層14のバンドギャップよりも大きくなりやすい。なお、AlxInyGa1-x-yN層の組成は、AlxGa1-xN層(0.8≦x≦1)が用いられた場合と同等以上の分極電荷52および53が得られる組成であってもよい。例えば、「y+0.8≦x」が成り立ってもよい。この場合、十分な分極電荷52および53を得やすい。
【0034】
バリア層13の厚さは、2nm以上20nm以下であってもよい。バリア層13の厚さが2nm以上であることで、十分な分極電荷を得やすく、バリア層13の厚さが20nm以下であることで、バリア層13をバッファ層12に擬格子整合させやすい。バリア層13の厚さは、3nm以上18nm以下であってもよく、5nm以上15nm以下であってもよい。
【0035】
バリア層13が、厚さが3nmのAl0.8Ga0.2N層であってもよい。
【0036】
バッファ層12の厚さは、200nm以上であってもよい。バッファ層12の厚さが200nm以上であることで、バリア層13、電子走行層14、スペーサ層15、電子供給層16およびキャップ層17に良好な結晶性を得やすい。バッファ層12の厚さは、300nm以上であってもよく、400nm以上であってもよい。バッファ層12の厚さの上限は、20μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、1μm以下であってもよい。バッファ層12が厚すぎる場合、バッファ層12の形成および貫通孔5の形成にかかる時間が長くなりやすい。
【0037】
電子走行層14の厚さは、400nm以下であってもよい。電子走行層14の厚さが400nm以下であることで、電子走行層14の全体で分極電荷52の影響を受けやすい。電子走行層14の厚さは、350nm以下であってもよく、300nm以下であってもよい。電子走行層14の厚さの下限は、200nm以上であってもよく、250nm以上であってもよく、300nm以上であってもよい。電子走行層14が薄すぎる場合、半導体装置1を流れる電流の量が低下しやすい。
【0038】
電子走行層14の厚さが400nmで、バッファ層12の厚さが400nm以上20μm以下であってもよい。この場合、バッファ層12およびバリア層13が設けられていない構造と比較して、電子走行層14、スペーサ層15、電子供給層16およびキャップ層17に良好な結晶性を得やすい。
【0039】
バッファ層12の厚さが400nmで、電子走行層14の厚さが200nm以上400nm以下であってもよい。この場合、バッファ層12およびバリア層13が設けられていない構造と比較して、2DEG51中の電子の電子走行層14の深い位置に向かう移動が妨げられやすくなる。また、分極電荷52により、電子走行層14の全体に強い電界がかかりやすくなる。従って、過渡応答特性を向上しやすい。
【0040】
例えば、バッファ層12の厚さは電子走行層14の厚さの1倍よりも大きく、100倍以下であってもよい。
【0041】
以上、実施形態について詳述したが、本開示は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1、1X:半導体装置
3D:ドレイン電極
3G:ゲート電極
3S:ソース電極
4:裏面電極
5:貫通孔
10:基板
10A:上面
10B:下面
11:初期層
12:バッファ層
13:バリア層
14、14X:電子走行層
15:スペーサ層
16:電子供給層
17:キャップ層
20、20X:積層構造
20A:上面
20B:下面
21:絶縁膜
21D:開口部
21G:開口部
21S:開口部
51:2次元電子ガス(2DEG)
52、53:分極電荷