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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100206
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】カメラユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240719BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240719BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20240719BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/50
H04N23/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004023
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松久 治可
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 龍功
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005AA01
2K005BA52
2K005CA04
2K005CA14
2K005CA24
2K005CA44
2K005CA53
5C122EA05
5C122EA41
5C122EA54
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可動部材に衝撃が加わっても割れに対する強度を向上させることができ、また小型化が可能な、カメラユニットを提供する。
【解決手段】一実施形態のカメラユニット1は、カメラモジュール10と、カメラモジュールを収容する可動部材(ホルダ枠40)と、可動部材を収容する固定部材(ケース50)と、カメラモジュールが備える光学素子の光軸と交差する軸を回転軸として可動部材を固定部材に対して回転可能に支持する支持機構30と、可動部材に設けられる磁石72と、固定部材に設けられるコイル(基板コイル71)と、を含み、可動部材を固定部材に対して回転させる駆動機構70と、を有し、可動部材は、金属平板を枠状に曲げて構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールと、
前記カメラモジュールを収容する可動部材と、
前記可動部材を収容する固定部材と、
前記カメラモジュールが備える光学素子の光軸と交差する軸を回転軸として前記可動部材を前記固定部材に対して回転可能に支持する支持機構と、
前記可動部材に設けられる磁石と、前記固定部材に設けられるコイルと、を含み、前記可動部材を前記固定部材に対して回転させる駆動機構と、を有し、
前記可動部材は、金属平板を枠状に曲げて構成される、カメラユニット。
【請求項2】
前記支持機構は、前記可動部材を支持するジンバルを含み、
前記ジンバルの一部が前記可動部材に嵌合する、請求項1に記載のカメラユニット。
【請求項3】
前記支持機構は、前記可動部材を支持するジンバルと、前記可動部材に固定され前記ジンバルに対して摺動する球部材と、を含み、
前記可動部材は、前記光軸を挟んで対向する前記回転軸上の2箇所に、前記球部材が固定される固定孔を備え、
少なくとも1箇所の前記固定孔の形状は、前記回転軸と交差する所定の一方向において、一部が平行直線状になっている長孔形状である、請求項1に記載のカメラユニット。
【請求項4】
前記可動部材は、前記金属平板の一部が曲がった形状であり前記固定部材の被当接部に当接することで回転を規制可能な規制部を備える、請求項1に記載のカメラユニット。
【請求項5】
前記規制部は、前記金属平板の前記光軸と平行な第1方向の一方向側の端部が前記光軸と直交する方向に曲がった第1規制部を含み、
前記被当接部は、前記固定部材に設けられ、前記可動部材が前記カメラユニットから脱落するのを防止する脱落防止部材である、請求項4に記載のカメラユニット。
【請求項6】
前記規制部は、前記金属平板の前記光軸と平行な第1方向の一方向側とは逆側の突出部が前記光軸と直交する方向に曲がった第2規制部を含み、
前記第2規制部は、湾曲形状である、請求項4に記載のカメラユニット。
【請求項7】
前記被当接部は、前記固定部材の底部の一部が前記第1方向の一方向側に向けて湾曲した形状である、請求項6に記載のカメラユニット。
【請求項8】
前記可動部材は、前記カメラモジュールに連通する第1連通孔を備え、
前記固定部材は、前記第1連通孔に連通する第2連通孔を備える、請求項1に記載のカメラユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、様々な光学機器が開発され、実用化されている。それら光学機器の1つとして、変位可能に保持されたカメラモジュールや、そのようなカメラモジュールを有するカメラユニットが知られている。
【0003】
携帯端末や移動体に搭載されるカメラユニットには、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、カメラモジュールが搭載される可動体を所定の軸回りに回転させて振れを補正するものがある。
【0004】
例えば特許文献1には、この種の撮像装置が記載されており、この撮像装置は、結像モジュールを備える第2フレームと、第2フレームを所定の軸回りに揺動可能に支持する蓋体と、蓋体を介して第2フレームを支持する第1フレームと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国公開特許公報111474804
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記第2フレームは、カメラモジュールを内包する可動部材に相当するが、この可動部材が仮に樹脂製だと、衝撃による割れが生じたり、また小型化が困難である、という課題があった。
【0007】
本発明の目的は、可動部材に衝撃が加わっても割れに対する強度を向上させることができ、また小型化が可能な、カメラユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態のカメラユニットは、カメラモジュールと、前記カメラモジュールを収容する可動部材と、前記可動部材を収容する固定部材と、前記カメラモジュールが備える光学素子の光軸と交差する軸を回転軸として前記可動部材を前記固定部材に対して回転可能に支持する支持機構と、前記可動部材に設けられる磁石と、前記固定部材に設けられるコイルと、を含み、前記可動部材を前記固定部材に対して回転させる駆動機構と、を有し、前記可動部材は、金属平板を枠状に曲げて構成される。
【発明の効果】
【0009】
金属平板を枠状に曲げて可動部材を構成するので、可動部材に衝撃が加わっても割れに対する強度を向上させることができ、またカメラモジュールを精度良く内包して小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、カメラユニットの斜視図である。
図2図2は、カメラユニットの平面図である。
図3図3は、カメラユニットの分解斜視図である。
図4図4は、ホルダ枠の斜視図である。
図5図5は、ホルダ枠を構成する金属平板の斜視図である。
図6図6は、カメラモジュール及びホルダ枠の分解斜視図である。
図7図7は、第2磁気ばね、フレキシブル配線基板、及び基板コイルの斜視図である。
図8図8は、第2磁気ばね、フレキシブル配線基板、及び基板コイルの分解斜視図である。
図9図9は、基板コイル及びケースの分解斜視図である。
図10図10は、基板コイル及びケースの斜視断面図である。
図11図11は、ジンバル及びホルダ枠の分解斜視図である。
図12図12は、ホルダ枠に形成されたボール固定孔の説明図である。
図13A図13Aは、ボール固定孔の正面図である。
図13B図13Bは、変形例1に係るボール固定孔の正面図である。
図13C図13Cは、変形例2に係るボール固定孔の正面図である。
図13D図13Dは、変形例3に係るボール固定孔の正面図である。
図14図14は、ホルダ枠に形成された上部ストッパの説明図である。
図15図15は、ホルダ枠に形成された下部ストッパの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明するために参照するすべての図面において、同一又は実質的に同一の構成や要素には同一の符号を用いる。また、一度説明した構成や要素については、原則として繰り返しの説明は行わない。
【0012】
<カメラユニットの全体構成>
図1は、本実施形態に係るカメラユニット1の斜視図である。図2は、本実施形態に係るカメラユニット1の平面図である。図1図2に示されているカメラユニット1は、スマートフォン,タブレット型PC,ノート型PC等の携帯型情報端末への搭載に適した光学ユニットの一例である。なお、以下においては、カメラユニット1の径方向を、単に「径方向」と称する。
【0013】
カメラユニット1は、カメラモジュール10を有する。カメラモジュール10は、レンズ11等の光学素子を介して被写体を撮影する撮像素子を含む光学モジュールの一例である。
【0014】
図1で、一点鎖線で示される仮想直線Lは、カメラモジュール10が備えるレンズ11の光軸と平行な直線を示している。なお、本実施形態では、レンズ11の光軸と仮想直線Lとは一致している。
【0015】
図2で、一点鎖線で示される第1軸線A1は、図1に示されている仮想直線Lと交差する直線を示している。また、一点鎖線で示される第2軸線A2は、仮想直線L及び第1軸線A1と交差する直線を示している。
【0016】
カメラユニット1は、カメラモジュール10によって撮影される画像の乱れを低減する機能(手振れ補正機能)を備えている。より特定的には、カメラユニット1は、カメラモジュール10を様々な方向に回動させることができる。言い換えれば、カメラユニット1は、カメラモジュール10を2方向以上に傾動させることができる。カメラモジュール10が回動(傾動)されることにより、カメラユニット1が搭載されている携帯型情報端末の姿勢変化に起因する画像の乱れが低減される。
【0017】
図1図2において、Z軸方向は光軸方向を示し、X軸方向はヨーイングの回転軸方向を示し、Y軸方向はピッチングの回転軸方向を示している。カメラモジュール10は、仮想直線Lと第1軸線A1と第2軸線A2との交点(X,Y,Z軸の交点)を回転中心として回転可能である。なお、作図の都合上、図1図2では、カメラモジュール10の実際の回転中心から離れた位置に、X,Y,Z軸及びそれらの交点を示している。
【0018】
図3は、カメラユニット1の分解斜視図である。カメラユニット1は、カメラモジュール10と、カメラモジュール10を収容するホルダ枠40と、ホルダ枠40を収容するケース50と、ホルダ枠40をケース50に対して回転可能に支持する支持機構30と、ホルダ枠40をケース50に対して回転させる駆動機構70と、を有する。
【0019】
カメラモジュール10は、光学素子としてのレンズ11,矩形箱形のハウジング12,被写体を撮影する撮像素子が搭載された基板(図示せず)等を含んでいる。レンズ11は、ハウジング12の上面から突出している。ハウジング12内には、AF(オートフォーカス)機能を実現するためにレンズ11を進退させるアクチュエータ等が収容されている。基板は、ハウジング12の下方に配置され、レンズ11と対向している。
【0020】
ホルダ枠40は、可動部材の一例であって、全体として矩形枠状の外観を呈する。ホルダ枠40は、後述する図5に示されている金属平板41が枠状に曲げて構成される。金属平板41は、非磁性金属により構成される。ホルダ枠40の2つの面には、カメラモジュール10に連通する第1連通孔44,44が設けられている。ホルダ枠40の、第1連通孔44,44が設けられていない、隣り合う2つの面には、磁石装着溝49,49が設けられている。ホルダ枠40の下部には、4箇所の下部ストッパ48bが設けられている。その他、ホルダ枠40の詳細については、図4図6等を参照して後述する。
【0021】
ケース50は、固定部材の一例であって、ホルダ枠40の外形に対応した収容空間51を備えている。ケース50は、樹脂成型体であるが、補強用の金属フレームが埋め込まれていてもよい。
【0022】
ケース50の底部内面には、ホルダ枠40の下部ストッパ48bに対向する部位に、4箇所のストッパ当接部52が設けられている。ストッパ当接部52は、被当接部の一例であって、ケース50の底部の一部が第1方向の一方向側(Z軸プラス側)に向けて湾曲した形状(例えば、かまぼこ形状)である(後述する図15も参照)。
【0023】
下部ストッパ48bは、ホルダ枠40が回動(傾動)した際に、ストッパ当接部52と当接(接触)しうるが、通常は接触していない。つまり、ホルダ枠40は、ケース50にフローティング状態で収容されている。
【0024】
収容空間51の向かい合う2つの角には、支持部材挿入溝53b,53dが設けられている。支持部材挿入溝53bには、支持機構30の支持部材36bが挿入される。支持部材挿入溝53dには、支持機構30の支持部材36dが挿入される。
【0025】
収容空間51の隣り合う2つの面には、基板コイル挿入溝54,54が設けられている。基板コイル挿入溝54,54には、駆動機構70の基板コイル71,71が挿入される。
【0026】
基板コイル挿入溝54,54が設けられていない、収容空間51の1つの面の外側には、配線基板収容部55が設けられている。配線基板収容部55は、トンネル状の外観を呈する。配線基板収容部55には、カメラモジュール10に設けられる基板に接続された配線基板(図示せず)が折り曲げられて収容される。
【0027】
基板コイル挿入溝54,54及び配線基板収容部55が設けられていない、収容空間51の1つの面には、第2連通孔56が設けられている。第2連通孔56は、カメラモジュール10とホルダ枠40とケース50とが組み立てられた際に、第1連通孔44と連通する。すなわち、第2連通孔56と第1連通孔44とは、ホルダ枠40とケース50とが組み立てられた際に重なり合う位置に設けられている。
【0028】
近時、大型化・大重量化したカメラモジュールをホルダ枠に強固に接着することが求められているが、これら第2連通孔56及び第1連通孔44が無い従来においては、カメラモジュールとホルダ枠とを側面から接着することができず、裏面から接着していた。しかしながら、裏面から接着するには、低粘度の接着剤を使わなければならず、接着剤が流れ出てしまうという問題があった。一方、高粘度の接着剤を使うと、染み込みが不足して、十分な接着ができないという問題があった。
【0029】
これに対し、本実施形態によれば、カメラモジュール10とホルダ枠40とケース50とが組み立てられた後に、ケース50の外側から、第2連通孔56及び第1連通孔44を介して、カメラモジュール10とホルダ枠40とを接着するための接着剤を注入可能なので、カメラモジュール10とホルダ枠40の接着面積を増やすことができて、落下時にカメラモジュール10とホルダ枠40との接着が外れる可能性を低減させることができる。
【0030】
なお、ケース50には、第2面部41cに設けられた第1連通孔44に対応する第2連通孔が設けられていないが、ホルダ枠40を傾動(チルト)させることで、配線基板収容部55側から、該第1連通孔44にアクセスして、接着剤を注入することができる。
【0031】
支持機構30は、仮想直線L(図1)と交差する1つ又は複数の軸を回転軸としてホルダ枠40がケース50に対して回転可能となるように、ホルダ枠40を支持する。より特定的には、支持機構30は、ホルダ枠40を、図2に示されている第1軸線A1を回転軸として回転可能に支持するとともに、第2軸線A2を回転軸として回転可能に支持する。別の見方をすると、ホルダ枠40は、仮想直線Lと第1軸線A1と第2軸線A2との交点を回転中心としてケース50に対して回転可能とされている。この結果、ホルダ枠40に収容されているカメラモジュール10は、ヨーイング方向及びピッチング方向を含む様々な方向に回転可能(傾斜可能)となっている。
【0032】
支持機構30は、前記支持部材36b,36dと、4つのボール36と、ジンバル31とを有する。ボール36は、支持部材36b,36dの径方向内側に2つが溶接されて固定され、またホルダ枠40に形成されたボール固定孔46,46(図4図12等を参照)の径方向外側に2つが溶接されて固定される。
【0033】
支持部材36b,36dは、本実施形態では金属製である。ボール36は、球部材の一例であって、本実施形態では金属製である。本実施形態では、支持部材36b,36dが金属製なので、ボール36は、支持部材36b,36dに対して溶接により固定される。また、ホルダ枠40が金属製なので、ボール36は、ホルダ枠40に形成されるボール固定孔46に対して溶接により固定される。これにより、ボール36とホルダ枠40とは、別途の支持部材を用いずに溶接できるので、部品点数を削減できる。なお、ボール36の固定は、溶接には限られず、接着やねじ止め等であってもよい。
【0034】
ジンバル31は、金属製であり、ばね性を有する。ジンバル31の中央には、レンズ11を取り囲む円形開口部31aが設けられている。ジンバル31の四隅には、4本の腕が設けられている。一対の腕34a,34cは、ジンバル31の一組の対角にそれぞれ設けられ、他の一対の腕34b,34dは、ジンバル31の他の一組の対角にそれぞれ設けられている。腕34a,34cは、第2軸線A2に沿って配置され、腕34b,34dは、第1軸線A1に沿って配置されている(図2を参照)。
【0035】
それぞれの腕34a,34b,34c,34dは、ジンバル31に対してZ軸マイナス側に略90度折り曲げられている。また、それぞれの腕34a,34b,34c,34dの下部には、半球状の凹部が形成されている。腕34a,34cの凹部は、ホルダ枠40の径方向外側に溶接されたボール36,36が嵌合するため、径方向外向きに突出する形状である。腕34b,34dの凹部は、支持部材36b,36dの径方向内側に溶接されたボール36,36が嵌合するため、径方向内向きに突出する形状である。ホルダ枠40又は支持部材36b,36dに固定(溶接)されたボール36は、ジンバル31に対して摺動する。
【0036】
ジンバル31の2本の腕34b,34dは、2つの支持部材36b,36dを介してケース50に接続されており、ジンバル31の他の2本の腕34a,34cは、支持部材を介さずにホルダ枠40に接続されている。
【0037】
ここで、支持部材36bに溶接されているボール36の頂点と支持部材36dに溶接されているボール36の頂点とを結ぶ線分(対角線)は、図2に示されている第1軸線A1の一部である。また、ホルダ枠40に溶接されているボール36,36の頂点を結ぶ線分(対角線)は、図2に示されている第2軸線A2の一部である。つまり、ホルダ枠40は、2本の対角線の交点を回転中心としてケース50に対して回転可能である。
【0038】
以上のように、ジンバル31は、ケース50に支持されているとともに、カメラモジュール10を収容しているホルダ枠40を支持している。言い換えれば、カメラモジュール10を収容しているホルダ枠40は、ケース50に支持されているジンバル31にぶら下がっている。
【0039】
駆動機構70は、ホルダ枠40に設けられる磁石72,72と、ケース50に設けられる基板コイル71,71と、基板コイル71,71に電力を供給するフレキシブル配線基板73と、を有する。フレキシブル配線基板73から基板コイル71,71に通電されると、磁石72,72に力が働き、ホルダ枠40をケース50に対して回転させる力(回転力/推力)が発生される。
【0040】
磁石72,72は、永久磁石である。磁石72,72は、ホルダ枠40に設けられた磁石装着溝49,49に装着されて、ホルダ枠40に取り付けられる。磁石72,72の径方向内側には、第1磁気ばね75,75が設けられる。第1磁気ばね75,75は、磁石72,72の磁力が内側に通り抜けないようにするとともに、高温での磁力の低下を防ぐためのものである。第1磁気ばね75,75は、溶接により、ホルダ枠40に固定される。
【0041】
基板コイル71,71は、コイルの一例であって、本実施形態では、該コイルとして、巻線コイル(空芯コイル)ではなく基板コイルを用いている。基板コイル71,71は、導線がプリントされたプリント基板が積層されており、巻線コイルよりも薄型である。この基板コイル71,71を用いることにより、平面方向(光軸方向に対し垂直方向)において、駆動機構70の薄型化が可能になる。
【0042】
基板コイル71,71は、ケース50に設けられた基板コイル挿入溝54,54に装着されて、ケース50に取り付けられるが、これについては、図9図10等を参照して後述する。ケース50に取り付けられた基板コイル71,71と、フレキシブル配線基板73とは、重ねられて、電気的に接続(本実施形態では、はんだ付け)されるが、これについては、図7図8等を参照して後述する。
【0043】
ケース50にホルダ枠40が収容されると、基板コイル71と磁石72とが対向する。これら基板コイル71及び磁石72は、第1の軸線A1や第2の軸線A2に対して45°ずれた位置に配置される。基板コイル71には、重ねられたフレキシブル配線基板73を介して、電力(コイル電流)を供給可能である。
【0044】
フレキシブル配線基板73上には、カメラモジュール10のヨーイング状態やピッチング状態を監視するためのホールセンサ74が実装されている。ホールセンサ74は、磁気センサの一例であって、カメラモジュール10の回転状態を監視するものである。駆動機構70は、ホールセンサ74から出力される信号(検知信号)に基づいてホルダ枠40を回転させる。
【0045】
ホールセンサ74から出力される信号(検知信号)は、図示しないドライバICに入力される。ドライバICには、カメラユニット1が搭載される携帯型情報端末に搭載されているジャイロセンサから出力される信号(ジャイロ信号)も入力される。ドライバICは、ジャイロ信号に基づいてコイル電流の方向や周波数を制御する。また、ドライバICは、検知信号に基づいて、基板コイル71への通電条件をサーボ制御(クローズドループ制御)する。もっとも、ドライバICに入力されるジャイロ信号がフレキシブル配線基板73に実装される専用のジャイロセンサから出力される実施形態もある。また、基板コイル71への通電がオープンループ制御される実施形態もある。このオープンループ制御では、ジャイロ信号に基づいて、予め定められた方向や周波数にコイル電流を制御するので、ホールセンサ74は省略される。
【0046】
駆動機構70は、検知信号に基づいて基板コイル71に電力を供給し、ホルダ枠40を回転させる。より具体的には、カメラモジュール10のヨーイングやピッチングが打ち消される方向に当該カメラモジュール10が傾斜するように、ホルダ枠40をケース50に対して回転させる。
【0047】
カメラユニット1は、ストッパプレート20をさらに有する。ストッパプレート20は、脱落防止部材の一例であって、ケース50のZ軸プラス側に設けられ、ホルダ枠40がカメラユニット1から脱落するのを防止するものである。ストッパプレート20は、ケース50の上部に取り付けられ、ホルダ枠40に重ねられて、ホルダ枠40の上面を覆っている。これにより、衝撃等によってホルダ枠40がケース50から飛び出すことが防止される。
【0048】
<ホルダ枠>
図4は、ホルダ枠40の斜視図である。図5は、ホルダ枠40を構成する金属平板41の斜視図である。ホルダ枠40は、金属平板41を枠状に曲げて構成され、本実施形態では矩形枠状の外観を呈する。このように、金属平板41を枠状に曲げてホルダ枠40を構成するので、ホルダ枠40に衝撃が加わっても割れに対する強度を向上させることができ、またカメラモジュール10を精度良く内包して小型化することができる。
【0049】
図5に示されるように、金属平板41は、第1面部41aと、第1面部41aに連なる第1角部41bと、第1角部41bに連なる第2面部41cと、第2面部41cに連なる第2角部41dと、第2角部41dに連なる第3面部41eと、第3面部41eに連なる第3角部41fと、第3角部41fに連なる第4面部41gと、第4面部41gに連なる第4角部41hと、第4角部41hに連なる第5面部41iと、を備える。
【0050】
第1面部41a,第2面部41c,第3面部41e,第4面部41g,及び第5面部41i(以下、「各面部」と総称する場合がある)は、前記矩形枠の四面を構成する。第1角部41b,第2角部41d,第3角部41f,及び第4角部41h(以下、「各角部」と総称する場合がある)は、前記矩形枠の四隅を構成する。各面部の長さは、各角部の長さよりも長い。
【0051】
第1面部41aには、位置決め丸孔45aと、前記第1連通孔44と、位置決め長孔45bが形成されている。また、第1面部41aの上縁には、上側突出部43aが形成されており、第1面部41aの下縁には、第1係合溝42aが形成されている。第1角部41bには、ボール固定孔46と、爪嵌合孔47が形成されている。第1角部41bの下縁には、下側突出部48aが形成されている。
【0052】
第2面部41cには、前記第1連通孔44が形成されている。第2面部41cの上縁には、上側突出部43aが形成されている。第2角部41dの下縁には、下側突出部48aが形成されている。
【0053】
第3面部41eには、前記磁石装着溝49が形成されている。また、第3面部41eの上縁には、上側突出部43aが形成されており、第3面部41eの下縁には、第2係合溝42bと、第3係合溝42cとが形成されている。第3面部41eには、磁石装着溝49に向けて突出する内側突出部49a,49aが形成されている。
【0054】
第3角部41fには、前記第1角部41bと同様に、ボール固定孔46と、爪嵌合孔47と、下側突出部48aとが形成されている。
【0055】
第4面部41gには、前記磁石装着溝49が形成されている。また、第4面部41gの上縁には、上側突出部43aが形成されている。第4面部41gには、第3面部41eと同様に、磁石装着溝49に向けて突出する内側突出部49a,49aが形成されている。
【0056】
第4角部41hには、前記第2角部41dと同様に、下側突出部48aが形成されている。
【0057】
第5面部41iには、前記第1面部41aと同様に、位置決め丸孔45aと、第1連通孔44と、位置決め長孔45bと、上側突出部43aと、第1係合溝42aとが形成されている。
【0058】
金属平板41の各面部,各角部,孔,突出部,及び溝は、板厚と直交する方向に打ち抜く打ち抜き加工によって、高精度に形成される。
【0059】
この金属平板41の、第5面部41iを除く各面部の上側突出部43aが径方向外側に曲げられて、直線状の上部ストッパ43bが4箇所形成され、各角部の下側突出部48aが径方向外側に曲げられて、湾曲した下部ストッパ48bが4箇所形成される。これら上部ストッパ43b及び下部ストッパ48bは、規制部の一例であって、金属平板41の一部を曲げて形成されケース50の被当接部(ケース50に取り付けられるストッパプレート20又はケース50の底面に形成されるストッパ当接部52)に当接することで回転を規制可能なメカストッパである。この規制部については、図14及び図15を参照して後述する。
【0060】
また、金属平板41の、内側突出部49aが径方向外側に曲げられて、突起部49bが4箇所形成される。第3面部41eの磁石装着溝49に装着される磁石72は、該第3面部41eに2箇所形成される突起部49b,49bによって、幅方向の位置決めが行われる。同様に、第4面部41gの磁石装着溝49に装着される磁石72も、該第4面部41gに2箇所形成される突起部49b,49bによって、幅方向の位置決めが行われる。
【0061】
次に金属平板41の、図5に示される一点鎖線の部位、すなわち、第1面部41aと第1角部41bとの間、第1角部41bと第2面部41cとの間、第2面部41cと第2角部41dとの間、第2角部41dと第3面部41eとの間、第3面部41eと第3角部41fとの間、第3角部41fと第4面部41gとの間、第4面部41gと第4角部41hとの間、及び第4角部41hと第5面部41iとの間が、それぞれ略45°の角度で折り曲げられる。
【0062】
そして金属平板41の、第1面部41aと第5面部41iとが重ね合わされ、第1面部41aと第5面部41iの位置決め丸孔45a、及び、第1面部41aと第5面部41iの位置決め長孔45bに、位置決めピン等が挿入されることにより、第1面部41aと第5面部41iとが位置決めされる。
【0063】
この状態で、金属平板41の第1面部41aと第5面部41iとが固着(溶接や接着等)されて、矩形枠となり、図4に示されるホルダ枠40が形成される。
【0064】
図6は、カメラモジュール10及びホルダ枠40の分解斜視図である。ホルダ枠40にカメラモジュール10を組み付ける際には、カメラモジュール10のハウジング12の底部に突出して形成されている第1係合突起12a,第2係合突起12b,及び第3係合突起12cの各々を、ホルダ枠40に形成されている第1係合溝42a,第2係合溝42b,第3係合溝42cの各々に係合させる。ここで第1係合溝42a,第2係合溝42b,第3係合溝42cは、打ち抜き加工によって形成されているので、平坦性が高精度で担保されている。従って、カメラモジュール10は、ホルダ枠40に対して、高さが揃った状態で保持される。
【0065】
<基板コイル及びフレキシブル配線基板>
図7は、第2磁気ばね76、フレキシブル配線基板73、及び基板コイル71の斜視図である。図8は、第2磁気ばね76、フレキシブル配線基板73、及び基板コイル71の分解斜視図である。図9は、基板コイル71及びケース50の分解斜視図である。図10は、基板コイル71及びケース50の斜視断面図である。図7図8,及び図10に示されるように、第2磁気ばね76、フレキシブル配線基板73、及び基板コイル71は、重ねられて接合される。
【0066】
図8に示されるように、基板コイル71には、下側に下縁部71a、右側に側耳部71b、左側に側耳部71cが形成されている。基板コイル71には、径方向外側(図8では、X軸マイナス側)に突出するように、ホールセンサ74が実装される。基板コイル71とホールセンサ74とは、はんだ付けにより接合される。このように、ホールセンサ74が、径方向外側に突出するように基板コイル71に実装されることにより、基板コイル71と磁石72との間隔を狭くすることができるので、ケース50に対するホルダ枠40の推力を増強することができる。
【0067】
図9に示されるように、ホールセンサ74が実装された基板コイル71は、ケース50に設けられた基板コイル挿入溝54に差し込まれて、支持される。基板コイル挿入溝54には、差し込まれた基板コイル71を支持する、3つの支持部が形成されている。1つは、下側に形成される支持部54aであり、他の1つは、右側に形成される支持部54bであり、さらに他の1つは、左側に形成される支持部54cである。
【0068】
このように、基板コイル71を基板コイル挿入溝54に差し込めばよいので、基板コイル71とケース50との組立が行いやすく、また落下時に基板コイル71がケース50から外れる問題が軽減される。
【0069】
基板コイル挿入溝54に差し込まれた基板コイル71の、下縁部71aは支持部54aで支持され、側耳部71bは支持部54bで支持され、側耳部71cは支持部54cで支持される。支持部54a,54b,54cは、基板コイル71の厚み方向の両面を支持する支持面を備えている。
【0070】
具体的に、支持部54a,54b,54cは、基板コイル71の径方向内側(図9ではX軸プラス側)の面を支持する内側支持面と、基板コイル71の径方向外側(同X軸マイナス側)の面を支持する外側支持面とを備えている。すなわち、ケース50には、対向する磁石72の吸引力・反発力に対して両方向で基板コイル71を支持する内側支持面と外側支持面とが設けられている。これにより、電磁力によって基板コイル71が揺さぶられても磁石72との距離が安定するので、安定した推力を生み出すことができる。
【0071】
図7に示されるように、ケース50(図7では記載を省略)に差し込まれた基板コイル71、71には、径方向外側(X軸マイナス方向もしくはY軸プラス側)に、フレキシブル配線基板73,73及び第2磁気ばね76,76が重ねられる。フレキシブル配線基板73は、配線基板の一例であって、基板コイル71,71に電力(コイル電流)を供給するための基板であり、本実施形態では、その一例として、可撓性を有するフレキシブルなものである。第2磁気ばね76は、磁石72の吸引力により、ホルダ枠40を概ね水平に保つためのものである。第2磁気ばね76は、磁性金属(例えば、強磁性の鉄や、弱磁性のステンレス鋼)により構成される。
【0072】
図8に示されるように、フレキシブル配線基板73は、ホールセンサ74を収容(挿入)可能な第1開口部73aを備えている。第2磁気ばね76は、ホールセンサ74を収容(挿入)可能な第2開口部76aを備えている。図10に示されるように、基板コイル71に接合されたフレキシブル配線基板73及び第2磁気ばね76の厚みと、第1開口部73a及び第2開口部76aに収容されたホールセンサ74の厚みとは、略同一である。よって、フレキシブル配線基板73及び第2磁気ばね76からのホールセンサ74の突出が抑制されるので、平面方向(光軸方向に対し垂直方向)における小型化・薄型化に寄与できる。
【0073】
図7及び図10に示されるように、基板コイル71とフレキシブル配線基板73とは、電気的に接続されており、本実施形態では、その一例として、はんだ77によりはんだ付けされて接合されている。このはんだ付けは、基板コイル71の、ホールセンサ74が実装される面側、言い換えれば、第2磁気ばね76が接合される面側(すなわち、図10のX軸マイナス側)で、ホールセンサ74や第2磁気ばね76の厚みの範囲内で行われる。このように、ホールセンサ74や第2磁気ばね76の厚みスペースを有効活用してはんだ付けを行うことにより、平面方向(光軸方向に対し垂直方向)における小型化・薄型化に寄与できる。
【0074】
図8に示されるように、第2磁気ばね76は、基板コイル71とフレキシブル配線基板73とが接合(はんだ付け)された後に、フレキシブル配線基板73に接合される。このように、第2磁気ばね76を基板コイル71に一体化せず、後からフレキシブル配線基板73に取り付けることによって、磁石72の着磁にずれが発生した場合であっても、無通電時のチルト位置を個体差調整することができる。この調整を行うため、第2磁気ばね76が備える第2開口部76aは、ホールセンサ74よりも大きく形成されている。ただし、第2磁気ばね76とはんだ77とが短絡しないように調整を行う必要がある。
【0075】
<嵌合爪及び爪嵌合孔>
図11は、ジンバル31及びホルダ枠40の分解斜視図である。本実施形態では、カメラユニット1からジンバル31が抜けるのを防止するために、ジンバル31の一部である嵌合爪35aが、ホルダ枠40に形成された爪嵌合孔47,47に嵌合するように構成されている。
【0076】
図3に示されるように、ジンバル31の、一対の腕34a,34cの端部には、径方向内側に向けて突出する嵌合爪35aが形成されている。なお、他の一対の腕34b,34dには、嵌合爪は形成されていない。図4に示されるように、ホルダ枠40の、対向する第1角部41b及び第3角部41fには、爪嵌合孔47が形成されている。なお、他の対向する第2角部41d及び第4角部41hには、爪嵌合孔は形成されていない。図11に示されるように、嵌合爪35a及び爪嵌合孔47の形状は、回転軸である第2軸線A2と同軸の円弧状である。ジンバル31はばね性を有するので、腕34a,34cを径方向外側に拡げて、嵌合爪35aを爪嵌合孔47に挿入することにより、嵌合爪35aが爪嵌合孔47に嵌合する。
【0077】
従来は、ケースに差し込まれる支持部材にジンバルの腕を係合させることにより、ジンバルの抜け止め構造を構成していたが、係合部が回転軸に対して遠くなるので、小型化するのが難しいという課題があった。これに対し、本実施形態によれば、回転軸である第2軸線A2から近い位置に嵌合爪35a及び爪嵌合孔47を形成しているので、ジンバル31の抜け止め構造を小型化できる。また、ジンバル31が抜ける方向(図11のZ軸プラス側)に対して、嵌合爪35aと爪嵌合孔47とが円弧面で嵌合しているので、抜けに対する強度を向上することができる。さらに、落下衝撃時の荷重を、ボール36とボール固定孔46との溶接部ではなく、嵌合爪35aと爪嵌合孔47との嵌合部で支える構造であるため、抜け止めの信頼性及び耐久性を向上できる。
【0078】
<ボール固定孔>
図12は、ホルダ枠40に形成されたボール固定孔46,46の説明図である。ホルダ枠40は、光軸を挟んで対向する回転軸上の2箇所に、ボール36,36が固定されるボール固定孔46,46を備えている。本実施形態のホルダ枠40は、第1角部41b及び第3角部41fに、ボール固定孔46,46を備えている。
【0079】
ボール固定孔46,46の形状は、回転軸と交差する所定の一方向において、一部が平行直線状になっている長孔形状である。本実施形態のボール固定孔46,46は、第2回転軸A2と直交する光軸方向(Z軸方向)に延びる平行直線状の側縁部46a,46aと、側縁部46a,46aの上端同士を結ぶ円弧状の上縁部46bと、側縁部46a,46aの下端同士を結ぶ円弧状の下縁部46cとを有する、縦長の長孔形状である。側縁部46a,46a同士の間隔d1は、ボール36の直径dよりも短く、上縁部46bと下縁部46cとの間隔d2は、ボール36の直径dよりも長い。
【0080】
ボール36は、側縁部46a,上縁部46b,下縁部46cのいずれか、あるいはそれらにまたがって、溶接可能である。本実施形態では、第1角部41bとボール36とは、下縁部46c寄りの側縁部46a,46aで溶接されており、第3角部41fとボール36とは、上縁部46b寄りの側縁部46a,46aで溶接されている。
【0081】
仮にボール固定孔の形状が真円であると、ホルダ枠40の第1面部41aと第5面部41iとの溶接精度によっては、ボールを溶接する位置の精度を担保することが難しかった。これに対し、本実施形態のように、ボール固定孔46が長孔であれば、ボールを溶接する位置を調整可能なので、ボール溶接位置の精度を担保できる。
【0082】
以上においては、図12及び図13Aに示されるように、ボール固定孔46の上縁部46b及び下縁部46cの形状が、ボール36の円周と同一の曲率の円弧状である例について説明したが、該上縁部46b及び下縁部46cの形状は、これには限定されない。例えば、図13Bに示される変形例1のように、上縁部46b及び下縁部46cは、一方の側縁部46aから円弧状に延び、途中で直線状に延び、再び円弧状に延びて他方の側縁部46aに至る形状であってもよい。また、図13Cに示される変形例2のように、上縁部46b及び下縁部46cは、一方の側縁部46aから直線状に延びて他方の側縁部46aに至る形状であってもよい。さらに、図13Dに示される変形例3のように、上縁部46b及び下縁部46cは、一方の側縁部46aからボール36の円周よりも緩い曲率の円弧状に延びて他方の側縁部46aに至る形状であってもよい。すなわち、ボール固定孔46の形状は、一部(側縁部46a,46a)が平行直線状になっている長孔形状であればよい。
【0083】
<上部ストッパ>
図14は、ホルダ枠40に形成された上部ストッパ43bの説明図である。図14は、ホルダ枠40が回転(傾動)していない状態を示している。上部ストッパ43bは、第1規制部の一例であって、図4で説明したように、金属平板41の光軸と平行な第1方向の一方向側(Z軸プラス側)の端部(上側突出部43a)が光軸と直交する方向に曲がった部位である。上部ストッパ43bは、第1面部41a,第2面部41c,第3面部41e,及び第4面部41gの、4箇所に形成される。
【0084】
図14に示されるように、4箇所の上部ストッパ43bのうちの、第2面部41cに形成される上部ストッパ43bは、ホルダ枠40が回転(傾動)した際に、その上面が、被当接部の一例であるストッパプレート20の裏面に当接することで、それ以上のホルダ枠40の回転が規制される。同様に、第1面部41a,第3面部41e,及び第4面部41gに形成される3箇所の上部ストッパ43bも、図示しないが、ホルダ枠40が回転(傾動)した際に、その上面がストッパプレート20の裏面に当接することで、それ以上のホルダ枠40の回転が規制される。
【0085】
また、図14に示されるように、ケース50の、第2面部41cに対向する部位には、段部50aが形成されている。第2面部41cに形成される上部ストッパ43bは、ホルダ枠40が回転(傾動)した際に、その下面が、被当接部の一例である段部50aに当接することで、それ以上のホルダ枠40の回転が規制される。なお、樹脂製のケース50の段部50aに、金属製のホルダ枠40の上部ストッパ43bが当接すると、樹脂が削れてごみが発生するので、上部ストッパ43bに熱可塑性樹脂を接着やコーティングしてもよい。
【0086】
上部ストッパ43bの上面及び下面は、被当接部(ストッパプレート20の裏面やケース50の段部50a)に当接することでホルダ枠40の回転を規制する、メカストッパとして機能する。この上部ストッパ43bは、金属平板41の一部が曲げられることにより形成されるので、安価である。また、限られたスペースにメカストッパを作ることができるので、小型化が可能である。
【0087】
<下部ストッパ>
図15は、ホルダ枠40に形成された下部ストッパ48bの説明図である。図15は、ホルダ枠40が回転(傾動)していない状態を示している。下部ストッパ48bは、第2規制部の一例であって、図4で説明したように、金属平板41の光軸と平行な第1方向の一方向側とは逆側(Z軸マイナス側)の下側突出部48aが光軸と直交する方向に曲がった部位であり、湾曲形状である。下部ストッパ48bは、第1角部41b,第2角部41d,第3角部41f,及び第4角部41hの、4箇所に形成される。
【0088】
図15に示されるように、4箇所の下部ストッパ48bのうちの、第3角部41fに形成される下部ストッパ48bは、ホルダ枠40が回転(傾動)した際に、その湾曲面が、ケース50の底部内面に形成された被当接部の一例であるストッパ当接部52に当接することで、それ以上のホルダ枠40の回転が規制される。同様に、第1角部41b,第2角部41d,及び第4角部41hに形成される3箇所の下部ストッパ48bも、図示しないが、ホルダ枠40が回転(傾動)した際に、その湾曲面がストッパ当接部52に当接することで、それ以上のホルダ枠40の回転が規制される。
【0089】
下部ストッパ48bは、湾曲形状なので、ストッパ当接部52に当接しても、樹脂製のケース50を削ってしまうのを抑制できる。また、ストッパ当接部52は、Z軸プラス側に向けて湾曲した形状(例えば、かまぼこ形状)なので、ホルダ枠40が一の回転軸(第1軸線A1又は第2軸線A2)回りに回転して下部ストッパ48bが当接しても、ホルダ枠40は他の回転軸(第2軸線A2又は第1軸線A1)回りにスムーズに回転することができる。
【0090】
このような下部ストッパとして、従来は、ホルダ枠の面部をメカストッパとしていたが、小型化や組み立てやすさ(ホルダ枠へのカメラモジュールの組み込み)に課題があったところ、本実施形態によれば、ホルダ枠40の角部をメカストッパとしているので、かかる課題を解決できる。また、垂直壁が1面だけ連結している面部ではなく、垂直壁が2面連結している角部に下部ストッパ48bを形成しているので、落下衝撃時における強度を向上させることができる。
【0091】
<変形例>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、カメラモジュール10は、ヨーイング方向又はピッチング方向のいずれかの方向にのみ回転可能に保持されていてもよい。また、カメラモジュール10は、ヨーイング方向,ピッチング方向及び第3の方向(例えば、ローリング方向)に回転可能に保持されていてもよい。
【0092】
本発明におけるカメラモジュール10は、他の光学モジュールであってもよく、本発明におけるカメラユニット1は、他の光学ユニットであってもよい。
【0093】
上記の実施形態では、図4に示されるように、第1面部41aと第5面部41iとが重ねられた状態で固着(溶接や接着等)されている例について説明したが、さらに多くの面が重ねられた状態で固着されるものであってもよい。すなわち、金属平板41の少なくとも一部が重ねられた状態で固着されるものであればよい。
【0094】
上記の実施形態では、図4に示されるように、金属平板41の少なくとも一部が重ねられた状態で固着される例について説明したが、例えば第5面部41iを設けずに、第1面部41aの端部と第4角部41hの端部とが固着されるものであってもよい。すなわち、金属平板41同士が固着されることで、ホルダ枠40の形状が保持されるものであってもよい。また、金属平板41同士の間に介在される繋ぎ部材を介して固着されることで、ホルダ枠40の形状が保持されるものであってもよい。
【0095】
上記の実施形態では、図4に示されるように、第2規制部(下部ストッパ48b)が、ホルダ枠40の4箇所(四隅)に設けられている例について説明したが、第2規制部は、少なくとも1箇所に設けられていればよい。
【0096】
上記の実施形態では、図7に示されるように、基板コイル71に電力を供給する配線基板が、可撓性を有するフレキシブル配線基板73である例について説明したが、配線基板は、可撓性を有さない基板であってもよい。
【0097】
上記の実施形態では、図7に示されるように、基板コイル71への電力の供給が、フレキシブル配線基板73を介して行われる例について説明したが、基板コイル71への電力の供給は、例えばケース50に設けられた通電用の金属フレームを介して行われるものであってもよい。
【0098】
上記の実施形態では、図7に示されるように、基板コイル71とフレキシブル配線基板73とが、はんだ77で接合されて、電気的に接続される例について説明したが、基板コイル71とフレキシブル配線基板73との電気的な接続は、導電性接着剤や溶接などであってもよい。
【0099】
上記の実施形態では、図7及び図8に示されるように、ホールセンサ74が、径方向外側に実装されている例について説明したが、ホールセンサ74の一部が基板コイル71に埋設されていてもよい。すなわち、ホールセンサ74は、径方向外側に突出するように設けられていれば、全体が基板コイル71上に露出していても、一部のみが基板コイル71上に露出していてもよい。
【0100】
上記の実施形態では、図9に示されるように、基板コイル挿入溝54が3つの支持部54a,54b,54cを備えている例について説明したが、磁石72の磁力によっては、支持部は2つ以下、あるいは4つ以上であってもよい。
【0101】
上記の実施形態では、図12に示されるように、対向するボール固定孔46の両方が長孔である例について説明したが、対向するボール固定孔46の一方のみが長孔であってもよい。すなわち、少なくとも一方のボール固定孔46の形状が長孔形状であればよい。
【0102】
上記の実施形態では、図13A~Dに示されるように、ボール固定孔46の平行直線部(側縁部46a)が光軸方向(すなわち、ボール固定孔46が縦方向の長孔)である例について説明したが、回転軸と交差する所定の一方向であればよく、例えば光軸と直交する方向(すなわち、ボール固定孔46が横方向の長孔)であってもよい。また、対向するボール固定孔46の、一方が縦方向の長孔で、他方が横方向の長孔であってもよい。さらに、ボール固定孔46は、斜め方向の長孔であってもよい。
【0103】
なお、本技術は、以下のような構成をとることが可能である。
【0104】
(1)
カメラモジュールと、
前記カメラモジュールを収容する可動部材と、
前記可動部材を収容する固定部材と、
前記カメラモジュールが備える光学素子の光軸と交差する軸を回転軸として前記可動部材を前記固定部材に対して回転可能に支持する支持機構と、
前記可動部材に設けられる磁石と、前記固定部材に設けられるコイルと、を含み、前記可動部材を前記固定部材に対して回転させる駆動機構と、を有し、
前記可動部材は、金属平板を枠状に曲げて構成される、カメラユニット。
【0105】
(2)
前記支持機構は、前記可動部材を支持するジンバルを含み、
前記ジンバルの一部が前記可動部材に嵌合する、(1)に記載のカメラユニット。
【0106】
(3)
前記支持機構は、前記可動部材を支持するジンバルと、前記可動部材に固定され前記ジンバルに対して摺動する球部材と、を含み、
前記可動部材は、前記光軸を挟んで対向する前記回転軸上の2箇所に、前記球部材が固定される固定孔を備え、
少なくとも1箇所の前記固定孔の形状は、前記回転軸と交差する所定の一方向において、一部が平行直線状になっている長孔形状である、(1)または(2)に記載のカメラユニット。
【0107】
(4)
前記可動部材は、前記金属平板の一部が曲がった形状であり前記固定部材の被当接部に当接することで回転を規制可能な規制部を備える、(1)から(3)のいずれかに記載のカメラユニット。
【0108】
(5)
前記規制部は、前記金属平板の前記光軸と平行な第1方向の一方向側の端部が前記光軸と直交する方向に曲がった第1規制部を含み、
前記被当接部は、前記固定部材に設けられ、前記可動部材が前記カメラユニットから脱落するのを防止する脱落防止部材である、(4)に記載のカメラユニット。
【0109】
(6)
前記規制部は、前記金属平板の前記光軸と平行な第1方向の一方向側とは逆側の突出部が前記光軸と直交する方向に曲がった第2規制部を含み、
前記第2規制部は、湾曲形状である、(4)または(5)に記載のカメラユニット。
【0110】
(7)
前記被当接部は、前記固定部材の底部の一部が前記第1方向の一方向側に向けて湾曲した形状である、(6)に記載のカメラユニット。
【0111】
(8)
前記可動部材は、前記カメラモジュールに連通する第1連通孔を備え、
前記固定部材は、前記第1連通孔に連通する第2連通孔を備える、(1)から(7)のいずれかに記載のカメラユニット。
【符号の説明】
【0112】
1…カメラユニット、10…カメラモジュール、11…レンズ、12…ハウジング、12a…第1係合突起、12b…第2係合突起、12c…第3係合突起、20…ストッパプレート(脱落防止部材,被当接部)、30…支持機構、31…ジンバル、31a…円形開口部、34a,34b,34c,34d…腕、35a…嵌合爪、36b,36d…支持部材、36…ボール、40…ホルダ枠(可動部材)、41…金属平板、41a…第1面部、41b…第1角部、41c…第2面部、41d…第2角部、41e…第3面部、41f…第3角部、41g…第4面部、41h…第4角部、41i…第5面部、42a…第1係合溝、42b…第2係合溝、42c…第3係合溝、43a…上側突出部、43b…上部ストッパ(第1規制部)、44…第1連通孔、45a…位置決め丸孔、45b…位置決め長孔、46…ボール固定孔、46a…側縁部、46b…上縁部、46c…下縁部、47…爪嵌合孔、48a…下側突出部、48b…下部ストッパ(第2規制部)、49…磁石装着溝、49a…内側突出部、49b…突起部、50…ケース(固定部材)、50a…段部(被当接部)、51…収容空間、52…ストッパ当接部(被当接部)、52a…湾曲面、53b,53d…支持部材挿入溝、54…基板コイル挿入溝、54a,54b,54c…支持部、55…配線基板収容部、56…第2連通孔、70…駆動機構、71…基板コイル、71a…下縁部、71b,71c…側耳部、72…磁石、73…フレキシブル配線基板、73a…第1開口部、74…ホールセンサ(磁気センサ)、75…第1磁気ばね、76…第2磁気ばね、76a…第2開口部、77…はんだ、L…仮想直線、A1…第1軸線、A2…第2軸線
図1
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