(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100209
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】モニタカバー
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
G09F9/00 313
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004028
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 丈太郎
(72)【発明者】
【氏名】武田 忠
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435AA12
5G435EE03
5G435GG43
5G435HH02
(57)【要約】
【課題】透明板が反り返ることを抑制できるモニタカバーを提供する。
【解決手段】モニタカバー3は、画像表示部21を有するモニタ2の前方に設置される。モニタカバー3は、モニタ2に表示される画像をモニタ2に対向する裏面42から逆側の表面41に向けて透過可能な化粧シート4と、化粧シート4の裏面42に取り付けられ、画像が透過する方向において開口する窓部63を内側に有する壁パネル6と、壁パネル6の窓部63内に位置するように化粧シート4の裏面42に取り付けられる透明板7と、を備える。モニタカバー3は、モニタ2の前方に設置された際に化粧シート4と画像表示部21との間に透明板7が位置するように構成されている。モニタカバー3において、壁パネル6の窓部63の側面と窓部63の側面に対向する透明板7の側面との間には隙間S1が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示部を有するモニタの前方に設置されるモニタカバーであって、
前記モニタに表示される画像を前記モニタに対向する裏面から逆側の表面に向けて透過可能な化粧シートと、
前記化粧シートの前記裏面に取り付けられ、前記画像が透過する方向において開口する窓部を内側に有する壁パネルと、
前記壁パネルの前記窓部内に位置するように前記化粧シートの前記裏面に取り付けられる透明板と、を備え、
前記モニタカバーは、前記モニタの前方に設置された際に前記化粧シートと前記画像表示部との間に前記透明板が位置するように構成されており、
前記壁パネルの前記窓部の側面と前記窓部の側面に対向する前記透明板の側面との間には隙間が設けられている、モニタカバー。
【請求項2】
前記透明板の線膨張係数をα、
前記画像が透過する方向に対して交差する第1方向に沿った前記透明板の長さをL1、
前記画像が透過する方向及び前記第1方向に対して交差する第2方向に沿った前記透明板の長さをL2、
前記第1方向に沿った前記窓部の側面と前記透明板の側面との間における前記隙間の幅の合計をT1、
前記第2方向に沿った前記窓部の側面と前記透明板の側面との間における前記隙間の幅の合計をT2とする場合、
T1は、α×L1×15以上であり、
T2は、α×L2×15以上である、
請求項1に記載のモニタカバー。
【請求項3】
前記窓部の側面と前記透明板の側面とが対向する前記隙間の幅は、0.5mm以上2.0mm以下である、
請求項1に記載のモニタカバー。
【請求項4】
前記透明板は、吸水処理されている、
請求項1~3の何れか一項に記載のモニタカバー。
【請求項5】
前記透明板は、前記透明板が温度22℃かつ湿度40%において吸水できる飽和吸水量に対して0.5倍以上の水量を吸水している、
請求項4に記載のモニタカバー。
【請求項6】
前記透明板の厚さは、前記窓部の深さよりも大きく、
前記透明板は、前記透明板のうち前記窓部の外側に位置している部分に設けられる複数の爪を有し、
前記壁パネルの裏面は、前記複数の爪のそれぞれと前記化粧シートとの間に位置する、
請求項1~3の何れか一項に記載のモニタカバー。
【請求項7】
前記壁パネルの裏面上に設けられる受け板をさらに備え、
前記透明板は、前記化粧シートの前記裏面に対向する表面と、前記モニタカバーが前記モニタの前方に設置された際に前記画像表示部に対向する第1裏面と、前記透明板の前記表面と前記透明板の前記第1裏面との間に位置する第2裏面と、を有し、
前記受け板は、前記透明板の前記第2裏面と前記モニタとの間に位置する、
請求項1~3の何れか一項に記載のモニタカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニタカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、表面パネルを開示する。この表面パネルは、壁に固定された表示媒体からの映像光を透過する加飾シートと、表示媒体の前方に位置し、加飾シートを支持する支持体と、を備える。この表面パネルでは、支持体は、窓部と、窓部に対してはめ込まれた透明板とを有する。特許文献2は、壁面構造体を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-061326号公報
【特許文献2】特開2022-061327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された表面パネル等では、窓部に対してはめ込まれた透明板が、表示媒体(モニタ)の前方に位置している。このような透明板は、モニタからの熱により膨張する。透明板の膨張が窓部によって制限される場合、透明板が反り返ってしまうことがある。透明板が反り返ると、透明板の各辺や角が加飾シートを押してしまい、加飾シートに段差が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、透明板の熱膨張に起因して透明板が反り返ることを抑制できるモニタカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明は、一側面として、画像表示部を有するモニタの前方に設置されるモニタカバーに関する。このモニタカバーは、モニタに表示される画像をモニタに対向する裏面から逆側の表面に向けて透過可能な化粧シートと、化粧シートの裏面に取り付けられ、画像が透過する方向において開口する窓部を内側に有する壁パネルと、壁パネルの窓部内に位置するように化粧シートの裏面に取り付けられる透明板と、を備える。このモニタカバーは、モニタの前方に設置された際に化粧シートと画像表示部との間に透明板が位置するように構成されている。このモニタカバーでは、壁パネルの窓部の側面と窓部の側面に対向する透明板の側面との間には隙間が設けられている。
【0007】
このモニタカバーでは、透明板及び壁パネルが化粧シートの裏面に取り付けられると共に、壁パネルの窓部の側面と透明板の側面との間に隙間が設けられる構成になっている。これにより、モニタカバーがモニタの前方に設置された際に、透明板がモニタからの熱により膨張した場合であっても、隙間の幅が狭まることで、透明板の膨張が窓部によって制限されない。したがって、このモニタカバーによれば、透明板の熱膨張に起因して透明板が反り返ることを抑制できる。
【0008】
[2]上記[1]のモニタカバーでは、透明板の線膨張係数をα、画像が透過する方向に対して交差する第1方向に沿った透明板の長さをL1、画像が透過する方向及び第1方向に対して交差する第2方向に沿った透明板の長さをL2、第1方向に沿った窓部の側面と透明板の側面との間における隙間の幅の合計をT1、第2方向に沿った窓部の側面と透明板の側面との間における隙間の幅の合計をT2とする場合、T1は、α×L1×15以上であってもよく、T2は、α×L2×15以上であってもよい。この場合、モニタカバーの使用時における透明板の温度がモニタカバーの製造時における透明板の温度から上昇した場合(例えば15℃上昇)であっても、隙間の幅が狭まることで、透明板の膨張が窓部によって制限されない。したがって、このモニタカバーによれば、モニタカバーの使用時における透明板の温度がモニタカバーの製造時における透明板の温度から上昇した場合であっても、透明板の熱膨張に起因して透明板が反り返ることを抑制できる。
【0009】
[3]上記[1]又は[2]のモニタカバーでは、窓部の側面と透明板の側面とが対向する隙間の幅は、0.5mm以上2.0mm以下であってもよい。隙間の幅が0.5mm以上である場合、透明板の熱膨張により隙間の幅が多少狭まった場合であっても、透明板の膨張が窓部によって制限されない。隙間の幅が2.0mm以下である場合、化粧シートのうち隙間をブリッジしている部分が、隙間へ向かって沈み込んでしまうことを抑制でき、化粧シートにシワ等を発生させることを防止できる。
【0010】
[4]上記[1]~[3]のいずれかのモニタカバーでは、透明板は、吸水処理されていてもよい。この場合、モニタカバーを高湿度雰囲気下において使用する際に、透明板が更に吸水することを抑制できる。よって、このモニタカバーによれば、吸水に起因して透明板が膨張することを抑制できる。
【0011】
[5]上記[4]のモニタカバーでは、透明板は、透明板が温度22℃かつ湿度40%において吸水できる飽和吸水量に対して0.5倍以上の水量を吸水していてもよい。この場合、モニタカバーを高湿度雰囲気下において使用する際に、透明板が更に吸水することをより抑制できる。よって、このモニタカバーによれば、吸水に起因して透明板が膨張することをより抑制できる。
【0012】
[6]上記[1]~[5]のいずれかのモニタカバーでは、透明板の厚さは、窓部の深さよりも大きくてもよい。透明板は、透明板のうち窓部の外側に位置している部分に設けられる複数の爪を有していてもよい。壁パネルの裏面は、複数の爪のそれぞれと化粧シートとの間に位置していてもよい。透明板のモニタ寄りの部分と、透明板の化粧シート寄りの部分との間の温度差に起因して透明板が化粧シートへ向かって反った場合、複数の爪が化粧シートへ向かって移動する。この際、壁パネルの裏面が複数の爪のそれぞれと化粧シートとの間に位置しているため、例えば複数の爪が壁パネルの裏面と当接する。このため、透明板の化粧シートへ向かう反りを抑制できる。さらに、このモニタカバーによれば、例えば複数の爪が壁パネルの裏面と当接することにより、透明板が化粧シートへ向かって倒れてしまうことを抑制できる。
【0013】
[7]上記[1]~[6]のいずれかのモニタカバーは、壁パネルの裏面上に設けられる受け板をさらに備えていてもよい。透明板は、化粧シートの裏面に対向する表面と、モニタカバーがモニタの前方に設置された際に画像表示部に対向する第1裏面と、透明板の表面と透明板の第1裏面との間に位置する第2裏面と、を有していてもよい。受け板は、透明板の第2裏面とモニタとの間に位置していてもよい。透明板をモニタへ向かって押した場合、受け板が透明板の第2裏面とモニタとの間に位置しているため、例えば透明板の第2裏面が受け板と当接することにより、透明板のモニタへ向かう移動が制限される。すなわち、化粧シートのうち透明板が設けられている部分のモニタへ向かう移動が、制限される。このため、化粧シート上に段差が生じることを抑制できる。さらに、このモニタカバーでは、受け板を透明板の第2裏面とモニタとの間に位置させているため、受け板が、透明板の第1裏面とモニタとの間に位置せずに済んでいる。これにより、受け板を壁パネルの裏面上に設けた場合であっても、透明板の第1裏面とモニタとの間の空気層の厚みを薄くできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、透明板が反り返ることを抑制できるモニタカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す別の断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す表示装置が備える壁パネルと透明板とを示す正面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す表示装置が備える壁パネルを示す背面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す表示装置が備える透明板を示す背面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係るモニタカバーを模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係るモニタカバーを模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態に係るモニタカバーを模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、第5実施形態に係るモニタカバーを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモニタカバー及び表示装置について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
図2は、第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す別の断面図である。
図1及び
図2に示されるように、表示装置1は、モニタ2と、モニタ2の前方に設けられるモニタカバー3とを備える。モニタ2は、画像表示部21と、画像表示部21の周囲に位置する枠状のベゼル22とを有する。画像表示部21は、所定の映像を表示する。画像表示部21の平面形状(
図1において左側から見た形状)は、例えば矩形形状である。モニタ2は、例えば、留め具Fによって壁Wに固定される。
【0018】
モニタカバー3は、化粧シート4と、テープ5と、壁パネル6と、透明板7とを備える。ここで、モニタ2に表示される映像(画像)が透過する方向をX方向、X方向に対して交差する方向をY方向(第1方向)、X方向及びY方向に対して交差する方向をZ方向(第2方向)とする。X方向と、Y方向と、Z方向とは、例えば互いに直交している。
【0019】
化粧シート4は、木目調などの絵柄を有し、可視光透過性を有するシートである。化粧シート4は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって絵柄を有する印刷層(不図示)を、透光性基材(不図示)上に形成することにより形成される。化粧シート4は、使用者が視認する表面41と、表面41とは逆側に位置する裏面42とを有する。裏面42は、モニタ2の画像表示部21に対向する。化粧シート4は、モニタ2に表示される映像をモニタ2に対向する裏面42から表面41に向けて透過可能である。化粧シート4の裏面42には、テープ5が接着されている。
【0020】
テープ5は、化粧シート4と壁パネル6とを互いに接着させると共に、化粧シート4と透明板7とを互いに接着させるための両面粘着テープである。テープ5は、可視光透過性を有する透明なテープでもあり、モニタ2に表示される映像が透明板7を透過して化粧シート4の表面41に映し出されるのを阻害しないように構成されている。
【0021】
壁パネル6は、化粧シート4を支持するための板状部材である。壁パネル6は、例えば板金であり、光を透過しない。壁パネル6は、重量及び強度の確保並びに溶接のしやすさの観点から、例えば厚さが1mm~3mmであり、一例として1mmの鉄板である。壁パネル6は、テープ5に接着される表面61と、表面61とは逆側に位置する裏面62と、表面61から裏面62に向かって壁パネル6を貫通する窓部63とを有する。表面61及び裏面62のそれぞれは、平面視した際に、例えば矩形形状を呈する。
【0022】
窓部63は、壁パネル6越しにモニタ2の画像表示部21に映し出される映像を見るための窓であり、壁パネル6の平面方向(YZ平面方向)において内側に位置する開口部である。モニタ2側から見た場合、透明なテープ5の一部が窓部63内に露出する。この窓部63には、詳細を後述する透明板7が窓部63に対して所定幅の隙間を有するように配置され、露出したテープ5に透明板7が接着されて固定されるようになっている。窓部63は、例えば矩形形状を呈し、
図3に示すように、第1側面64aと、第2側面64bと、第3側面64cと、第4側面64dとを有する。窓部63は、他の平面形状、例えば、円形、三角形、多角形等であってもよい。
【0023】
透明板7は、透明性を有する樹脂製の板状部材であり、壁パネル6の窓部63内に配置される。透明板7は、光透過性を有することから、モニタ2の画像表示部21に映し出された映像を透過させるように構成されている。透明板7は、切削加工性の観点から、好ましくは、アクリル板であるが、他の透明樹脂材料から構成されてもよい。透明板7としてアクリル板を用いる場合、好ましくは、変形しにくいキャスト板を用いる。透明板7の線膨張係数αは、アクリル板を用いた場合、例えば、7×10-5[/℃]である。透明板7は、テープ5に接着される表面71と、表面71とは逆側に位置して画像表示部21に対向する裏面72(第1裏面)とを有する。透明板7の厚さは、窓部63の深さよりも大きくなるように形成されており、透明板7の一部(画像表示部21寄りの部分)が窓部63の外側に位置する。
【0024】
透明板7の表面71及び裏面72のそれぞれは、例えば矩形形状を呈し、
図3に示すように、第1側面74aと、第2側面74bと、第3側面74cと、第4側面74dとを有する。第1側面74aは、窓部63の第1側面64aに対向する。同様に、第2側面74b、第3側面74c及び第4側面74dは、それぞれ、窓部63の第2側面64b、第3側面64c及び第4側面64dに対向する。第1側面64aと第1側面74aとの間、第2側面64bと第2側面74bとの間、第3側面64cと第3側面74cとの間、第4側面64dと第4側面74dとの間のそれぞれには、所定の幅(D1~D4)の隙間S1が設けられている。
【0025】
ここで、
図3を参照しつつ、壁パネル6の窓部63の側面と、透明板7の側面との間の隙間S1の幅D1~D4について更に詳細に説明する。透明板7は、窓部63の内側に位置しており、窓部63の側面と透明板7の側面との間には隙間S1が設けられている。Y方向に沿った透明板7の長さをL1、Y方向に沿った壁パネル6の第1側面64aと透明板7の第1側面74aとの間における隙間S1の幅をD1、Y方向に沿った壁パネル6の第2側面64bと透明板7の第2側面74bとの間における隙間S1の幅をD2、幅D1と幅D2との合計をT1とした場合、T1は、線膨張係数α×L1×15以上となるように隙間が設定されている。合計T1又は長さL1がZ方向にわったて変化する場合、例えば壁パネル6の第1側面64aと透明板7の第1側面74aとが互いに平行でない場合、Z方向における各位置において、T1は、線膨張係数α×L1×15以上であることが好ましい。幅D1と幅D2の合計T1は、例えば、0.5mm以上2.0mm以下であってもよい。
【0026】
また、Z方向に沿った透明板7の幅をL2、Z方向に沿った壁パネル6の第3側面64cと透明板7の第3側面74cとの間における隙間S1の幅をD3、Z方向に沿った壁パネル6の第4側面64dと透明板7の第4側面74dとの間における隙間S1の幅をD4、幅D3と幅D4との合計をT2とした場合、T2は、線膨張係数α×L2×15以上となるように隙間が設定されている。合計T2又は長さL2がY方向にわったて変化する場合、例えば壁パネル6の第3側面64cと透明板7の第3側面74cとが互いに平行でない場合、Y方向における各位置において、T2は、線膨張係数α×L2×15以上であることが好ましい。幅D3と幅D4の合計T2は、例えば、0.5mm以上2.0mm以下であってもよい。
【0027】
このように、本実施形態では、壁パネル6の窓部63の側面と透明板7の側面との間に隙間S1を設けることにより、モニタ2に隣接して配置されてモニタ2からの熱によって膨張する可能性のある透明板7が自由に膨張することができるようになっている。なお、透明板7は、予め吸水処理されていてもよい。透明板7は、透明板7が温度22℃かつ湿度40%において吸水できる飽和吸水量に対して0.5倍以上の水量を吸水していてもよく、透明板7が温度22℃かつ湿度40%において吸水できる飽和吸水量以上の水量を吸水していてもよく、透明板7が温度22℃かつ湿度60%において吸水できる飽和吸水量以上の水量を吸水していてもよい。透明板7に対してこのような処理を予め行っておくことにより、透明板7が大気中の水分吸収によって膨張することが抑制される。
【0028】
続いて、モニタカバー3について、
図4及び
図5を参照して、更に詳細に説明する。モニタカバー3は、
図1、
図2及び
図4に示すように、更に、第1受け板11と、第2受け板12と、第3受け板13と、第4受け板14と、不透明テープ15,16とを備えている。第1受け板11~第4受け板14は、透明板7のモニタ2へ向かう移動を制限するための部材である。第1受け板11~第4受け板14のそれぞれは、例えば板金である。第1受け板11~第4受け板14は、例えば壁パネル6の裏面62上において溶接される。
【0029】
第1受け板11は、壁パネル6の裏面62上において第1側面64a寄りの部分に設けられる。X方向から見た場合、第1受け板11の一部が窓部63と重なっている。第1受け板11のうち窓部63と重なっている部分の一部が、透明板7の第1段差面77aと当接する(
図5を参照、詳細は後述する)。第1爪81は、Z方向において壁パネル6の裏面62のうち第4側面64dと第1受け板11との間の部分と当接し、第1受け板11と当接しない。同様に、第2爪82は、Z方向において壁パネル6の裏面62のうち第3側面64cと第1受け板11との間の部分と当接し、第1受け板11と当接しない。換言すると、第1爪81と第2爪82とは、Z方向において第1受け板11の外側に位置する。
【0030】
第2受け板12は、壁パネル6の裏面62上において第2側面64b寄りの部分に設けられる。X方向から見た場合、第2受け板12の一部が窓部63と重なっている。第2受け板12のうち窓部63と重なっている部分の一部が、透明板7の第2段差面77bと当接する(
図5を参照、詳細は後述する)。第3爪83は、Z方向において壁パネル6の裏面62のうち第4側面64dと第2受け板12との間の部分と当接し、第2受け板12と当接しない。同様に、第4爪84は、Z方向において壁パネル6の裏面62のうち第3側面64cと第2受け板12との間の部分と当接し、第2受け板12と当接しない。換言すると、第3爪83と第4爪84とは、Z方向において第2受け板12の外側に位置する。
【0031】
第3受け板13は、壁パネル6の裏面62上において第3側面64c寄りの部分に設けられる。X方向から視た場合、第3受け板13の一部が窓部63と重なっている。第3受け板13のうち窓部63と重なっている部分の一部が、透明板7の第3段差面77cと当接する。第4受け板14は、壁パネル6の裏面62上において第4側面64d寄りの部分に設けられる。X方向から視た場合、第4受け板14の一部が窓部63と重なっている。第4受け板14のうち窓部63と重なっている部分の一部が、透明板7の第4段差面77dと当接する。
【0032】
透明板7は、
図5に示すように、第1段差76aと、第2段差76bと、第3段差76cと、第4段差76dとを更に有している。第1段差76a~第4段差76dは、モニタ2側から透明板7を見た場合に、裏面72の内側に向かって窪むように形成されており、座繰り形状となっている。当該座繰りは、例えば、透明板7を切削することにより形成される。第1段差76aは、第1段差面77aを含んで構成される。同様に、第2段差76b、第3段差76c及び第4段差76dはそれぞれ、第2段差面77b、第3段差面77c及び第4段差面77dを含んで構成されている。第1段差面77a~第4段差面77d(第2裏面)は、X方向において表面71と裏面72との間に位置し、壁パネル6の裏面62と同一面上に位置する(
図1を参照)。座繰り形状を呈する第1段差76a~第4段差76dのそれぞれには、上述したように、対応する第1受け板11~第4受け板14が配置される(例えば、
図1を参照)。
【0033】
また、透明板7は、上記の段差に加えて更に、第1爪81と、第2爪82と、第3爪83と、第4爪84とを有している。第1爪81と、第2爪82と、第3爪83と、第4爪84とのそれぞれは、透明板7の側面の一部であってX方向において窓部63(
図2参照)の外側に位置している部分に設けられる。第1爪81~第4爪84のそれぞれは、例えば、透明板7を切削することにより形成することができる。壁パネル6の裏面62は、第1爪81~第4爪84のそれぞれと化粧シート4との間に位置している。
【0034】
図2及び
図5に示されるように、第1爪81は、透明板7の第1側面74aの一部であってX方向において窓部63の外側に位置している部分(モニタ2寄りの部分)に設けられる。第1爪81は、透明板7の第1側面74aにおいて第4側面74d寄りの部分に設けられている。第1爪81は、Z方向において第1段差76aから第4側面74dへ向かって離れている。このため、第1段差76aによる第1爪81の基端の強度の低下が抑制される。第1爪81は、例えば直方体形状を呈する。第1爪81は、壁パネル6の裏面62と当接する。第1爪81は、壁パネル6の裏面62と当接する面81aと、X方向において面81aとは逆側に位置する面81bと、Y方向において透明板7の第1側面74aに面している面とは逆側に位置する面81cとを有する。
【0035】
第2爪82は、透明板7の第1側面74aの一部であってX方向において窓部63の外側に位置している部分に設けられる。第2爪82は、透明板7の第1側面74aにおいて第3側面74c寄りの部分に設けられている。第2爪82は、Z方向において第1段差76aから第3側面74cへ向かって離れている。このため、第1段差76aによる第2爪82の基端の強度の低下が抑制される。第2爪82は、例えば直方体形状を呈する。第2爪82は、壁パネル6の裏面62と当接する。第2爪82は、壁パネル6の裏面62と当接する面(不図示)と、X方向において当該面とは逆側に位置する面82bと、Y方向において透明板7の第1側面74aに面している面とは逆側に位置する面82cとを有する。
【0036】
第3爪83は、透明板7の第2側面74bの一部であってX方向において窓部63の外側に位置している部分に設けられる。第3爪83は、透明板7の第2側面74bにおいて第4側面74d寄りの部分に設けられている。第3爪83は、Z方向において第2段差76bから第4側面74dへ向かって離れている。このため、第2段差76bによる第3爪83の基端の強度の低下が抑制される。第3爪83は、例えば直方体形状を呈する。第3爪83は、壁パネル6の裏面62と当接する。第3爪83は、壁パネル6の裏面62と当接する面83aと、X方向において面83aとは逆側に位置する面83bと、Y方向において透明板7の第2側面74bに面している面とは逆側に位置する面83cとを有する。
【0037】
第4爪84は、透明板7の第2側面74bの一部であってX方向において窓部63の外側に位置している部分に設けられる。第4爪84は、透明板7の第2側面74bにおいて第3側面74c寄りの部分に設けられている。第4爪84は、Z方向において第2段差76bから第3側面74cへ向かって離れている。このため、第2段差76bによる第4爪84の基端の強度の低下が抑制される。第4爪84は、例えば直方体形状を呈する。第4爪84は、壁パネル6の裏面62と当接する。第4爪84は、壁パネル6の裏面62と当接する面(不図示)と、X方向において当該面とは逆側に位置する面84bと、Y方向において透明板7の第2側面74bに面している面とは逆側に位置する面84cとを有する。
【0038】
続いて、
図2を参照しつつ、第1爪81~第4爪84を壁パネル6に固定するための不透明テープ15,16について説明する。不透明テープ15,16は、透明板7の側面へ入射する光の光量を調整する。不透明テープ15,16は、黒色のテープであってもよく、壁パネル6が板金の場合、板金と近い色のテープであってもよい。不透明テープ15,16は、例えば5mm幅のテープである。
【0039】
不透明テープ15の端部15aは、少なくとも第1爪81の面81bに接着している。不透明テープ15の端部15bは、不透明テープ15のうち端部15aと端部15bとの間の部分15cが第1爪81の面81cに対向するように、壁パネル6の裏面62に接着している。不透明テープ15の部分15cと第1爪81の面81cとの間には隙間S2が設けられている。不透明テープ16の端部16aは、少なくとも第3爪83の面83bに接着している。不透明テープ16の端部16bは、不透明テープ16のうち端部16aと端部16bとの間の部分16cが第3爪83の面83cに対向するように、壁パネル6の裏面62に接着している。不透明テープ16の部分16cと第3爪83の面83cとの間には隙間S3が設けられている。同様に、第2爪82の面82bと第4爪84の面84bとには、不透明テープ(不図示)が接着されている。不透明テープと第1受け板11とによって、透明板7の第1側面74aへ入射する光の光量のムラが抑制される。不透明テープと第2受け板12とによって、透明板7の第2側面74bへ入射する光の光量のムラが抑制される。
【0040】
以上に説明した第1実施形態に係るモニタカバー3では、窓部63の側面と透明板7の側面との間において隙間S1が設けられている。これにより、モニタカバー3がモニタ2の前方に設置された際に、透明板7がモニタ2からの熱により膨張した場合であっても、隙間S1の幅が狭まることで、透明板7の膨張が窓部63によって制限されない。したがって、モニタカバー3によれば、透明板7の熱膨張に起因して透明板7が反り返ることを抑制できる。
【0041】
モニタカバー3では、透明板7の線膨張係数をα、Y方向に沿った透明板7の長さをL1、Z方向に沿った透明板7の長さをL2、Y方向に沿った窓部63の側面と透明板7の側面との間における隙間S1の幅の合計をT1、Z方向に沿った窓部63の側面と透明板7の側面との間における隙間S1の幅の合計をT2とする場合、T1は、α×L1×15以上であり、T2は、α×L2×15以上である。このため、モニタカバー3の使用時における透明板7の温度がモニタカバー3の製造時における透明板7の温度から15℃上昇した場合であっても、隙間S1の幅が狭まることで、透明板7の膨張が窓部63によって制限されない。したがって、モニタカバー3によれば、モニタカバー3の使用時における透明板7の温度がモニタカバー3の製造時における透明板7の温度から15℃上昇した場合であっても、透明板7の熱膨張に起因して透明板7が反り返ることを抑制できる。
【0042】
モニタカバー3では、窓部63の側面と透明板7の側面とが対向する隙間S1の幅の合計T1,T2は、0.5mm以上2.0mm以下である。隙間S1の幅が0.5mm以上である場合、透明板7の熱膨張により隙間S1の幅が0.5mm狭まった場合であっても、透明板7の膨張が窓部63によって制限されない。隙間S1の幅が2.0mm以下である場合、化粧シート4のうち隙間S1をブリッジしている部分が、隙間S1へ向かって沈み込んでしまうことを抑制できる。
【0043】
モニタカバー3では、透明板7は、吸水処理されていてもよい。これにより、モニタカバー3を高湿度雰囲気下において使用する場合において、透明板7が更に吸水することを抑制できる。よって、モニタカバー3によれば、吸水に起因して透明板7が膨張することを抑制できる。さらに、吸水処理された透明板7が乾燥によって収縮することにより、透明板7の熱膨張が抑制される。
【0044】
モニタカバー3では、透明板7は、透明板7が温度22℃かつ湿度40%において吸水できる飽和吸水量に対して0.5倍以上の水量を吸水していてもよい。この場合、モニタカバー3を高湿度雰囲気下において使用する場合にも、透明板7が更に吸水することをより抑制できる。よって、吸水に起因して透明板7が膨張することをより抑制できる。
【0045】
モニタカバー3では、透明板7が温度22℃かつ湿度40%において吸水できる飽和吸水量以上の水量を吸水していてもよく、透明板7が温度22℃かつ湿度60%において吸水できる飽和吸水量以上の水量を吸水していてもよい。この場合、透明板7が更に吸水することをより一層抑制でき、吸水に起因して透明板7が膨張することをより一層抑制できる。透明板7は、モニタカバー3の使用時における温度や湿度下での飽和吸水量を吸水していることが好ましい。
【0046】
モニタカバー3では、透明板7の厚さは、窓部63の深さよりも大きく、透明板7は、透明板7のうち窓部63の外側に位置している部分に設けられる第1爪81~第4爪84を有し、壁パネル6の裏面62は、第1爪81~第4爪84のそれぞれと化粧シート4との間に位置している。透明板7のモニタ2寄りの部分と、透明板7の化粧シート4寄りの部分との間の温度差に起因して透明板7が化粧シート4へ向かって反った場合、第1爪81~第4爪84が化粧シート4へ向かって移動する。この際、壁パネル6の裏面62が第1爪81~第4爪84のそれぞれと化粧シート4との間に位置しているため、第1爪81~第4爪84のそれぞれが、壁パネル6の裏面62と当接する。このため、透明板7の化粧シート4へ向かう反りを抑制できる。さらに、モニタカバー3によれば、例えば第1爪81~第4爪84が壁パネル6の裏面62と当接することにより、透明板7が化粧シート4へ向かって倒れてしまうことを抑制できる。
【0047】
モニタカバー3は、壁パネル6の裏面62上に設けられる第1受け板11~第4受け板14を備え、透明板7は、化粧シート4の裏面42に対向する表面71と、モニタカバー3がモニタ2の前方に設置された際に画像表示部21に対向する裏面72と、透明板7の表面71と透明板7の裏面72との間に位置する段差面77a~77dとを有し、第1受け板11~第4受け板14のそれぞれは、透明板7の段差面77a~77dのそれぞれとモニタ2との間に位置している。透明板7をモニタ2へ向かって押した場合、第1受け板11~第4受け板14のそれぞれが透明板7の段差面77a~77dのそれぞれとモニタとの間に位置しているため、透明板7の段差面77a~77dのそれぞれが、第1受け板11~第4受け板14のそれぞれと当接することにより、透明板7のモニタ2へ向かう移動が制限される。すなわち、化粧シート4のうち透明板7が設けられている部分のモニタ2へ向かう移動が、制限される。このため、化粧シート4上に段差が生じることを抑制できる。さらに、モニタカバー3では、第1受け板11~第4受け板14のそれぞれを透明板7の段差面77a~77dのそれぞれとモニタ2との間に位置させているため、第1受け板11~第4受け板14が、透明板7の裏面72とモニタ2との間に位置せずに済んでいる。これにより、第1受け板11~第4受け板14を壁パネル6の裏面62上に設けた場合であっても、透明板7の裏面72とモニタ2との間の空気層の厚みを薄くできる。
【0048】
モニタカバー3は、不透明テープ15,16を備え、不透明テープ15の部分15cと第1爪81の面81cとの間には隙間S2が設けられ、不透明テープ16の部分16cと第3爪83の面83cとの間には隙間S3が設けられている。このため、透明板7の第1側面74aへ入射する光の光量のムラが抑制され、透明板7の第2側面74bへ入射する光の光量のムラが抑制される。さらに、モニタカバー3によれば、透明板7が膨張した場合であっても、隙間S2,S3の幅が狭まることにより、透明板7の膨張が不透明テープ15,16に制限されない。
【0049】
以下では、
図6から
図9を参照しながら他の実施形態に係るモニタカバー3A,3B,3C,3Dについて説明する。なお、他の実施形態の説明において上記第1実施形態と重複する記載は省略し、上記第1実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、他の実施形態に上記第1実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0050】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態に係るモニタカバー3Aを模式的に示す断面図である。モニタカバー3Aは、モニタカバー3と異なり、第1爪と、第2爪と、第3爪と、第4爪と、第1受け板と、第2受け板と、第3受け板と、第4受け板とを備えていない。モニタカバー3Aでは、モニタカバー3と異なり、透明板7は、段差を有していない。以上に説明したモニタカバー3Aの構成であっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0051】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態に係るモニタカバー3Bを模式的に示す断面図である。モニタカバー3Bでは、モニタカバー3と異なり、第3爪83が壁パネル6の裏面62と当接していない。すなわち、X方向において第3爪83の面83aと壁パネル6の裏面62とが互いに離れている。加えて、モニタカバー3Bは、モニタカバー3と異なり、第1シム17をさらに備える。X方向における第3爪83の面83aと壁パネル6の裏面62との間の隙間には、第1シム17が入れ込まれている。第1シム17は、第3爪83の面83aと壁パネル6の裏面62との双方と当接している。第1シム17の材料は、例えば、紙、樹脂、及び、金属のうちのいずれか、又は、これらのうち少なくとも2つを組み合わせたものから構成することができる。第1シム17は、第1シム17の厚さが指定の厚さとなるように、複数枚のシムを重ねたものであってもよい。同様に、第1爪81と壁パネル6の裏面62との間の隙間には、第1シム(不図示)が入れ込まれ、第2爪82と壁パネル6の裏面62との間の隙間には、第1シム(不図示)が入れ込まれ、第4爪84と壁パネル6の裏面62との間の隙間には、第1シム(不図示)が入れ込まれている。
【0052】
以上に説明したモニタカバー3Bの構成であっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、モニタカバー3Bでは、第1爪81~第4爪84のそれぞれと、壁パネル6の裏面62との間には隙間が空いており、当該隙間には第1シムが入れ込まれている。このため、透明板7のモニタ2寄りの部分と、透明板7の化粧シート4寄りの部分との間の温度差に起因して透明板7が反った場合でも、第1爪81~第4爪84のそれぞれが複数の第1シムのそれぞれと当接し、かつ、複数の第1シムが壁パネル6の裏面62と当接することにより、透明板7が化粧シート4へ向かって反ってしまうことを抑制できる。
【0053】
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態に係るモニタカバー3Cを模式的に示す断面図である。モニタカバー3Cでは、モニタカバー3と異なり、第2受け板12が透明板7の段差面77bと当接していない。すなわち、モニタカバー3Cでは、X方向において第2受け板12と透明板7の段差面77bとが互いに離れている。加えて、モニタカバー3Cは、モニタカバー3と異なり、第2シム18をさらに備える。X方向における第2受け板12と透明板7の段差面77bとの間の隙間には、第2シム18が入れ込まれている。第2シム18は、第2受け板12と透明板7の段差面77bとの双方と当接している。第2シム18の材料は、例えば、紙、樹脂、及び、金属のうちのいずれか、又は、これらのうち少なくとも2つを組み合わせたものから構成することができる。第2シム18は、第2シム18の厚さが指定の厚さとなるように、複数枚のシムを重ねたものであってもよい。同様に、第1受け板11と透明板7の段差面77aとの間の隙間には、第2シム(不図示)が入れ込まれ、第3受け板13と透明板7の段差面77cとの間の隙間には、第2シム(不図示)が入れ込まれ、第4受け板14と透明板7の段差面77dとの間の隙間には、第2シム(不図示)が入れ込まれている。
【0054】
以上に説明したモニタカバー3Cの構成であっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、モニタカバー3Cでは、第1受け板11~第4受け板14のそれぞれと、透明板7の段差面77a~77dのそれぞれとの間には隙間が空いており、当該隙間には第2シムが入れ込まれている。このため、X方向に沿って化粧シート4をモニタ2へ向かって押した場合であっても、透明板7が複数の第2シムと当接し、かつ、複数の第2シムのそれぞれが第1受け板11~第4受け板14のそれぞれと当接することにより、透明板7のモニタ2へ向かう移動が制限される。この結果、化粧シート4の透明板7が設けられている部分がモニタ2へ向かう移動は、制限される。このため、化粧シート4上に段差が生じることを抑制できる。
【0055】
[第5実施形態]
図9は、第5実施形態に係るモニタカバー3Dを模式的に示す断面図である。モニタカバー3Dでは、モニタカバー3と異なり、第1受け板11と第2受け板12とが壁パネル6の裏面62上に設けられていない。加えて、モニタカバー3Dは、モニタカバー3と異なり、第1受け板11Dと、第2受け板12Dと、板状部材19a,19bとをさらに備える。板状部材19a,19bは、例えば板金である。板状部材19aは、壁パネル6の裏面62上において第1側面64a寄りの部分に設けられる。第1受け板11Dは、板状部材19a上に設けられる。X方向から見た場合、第1受け板11Dの一部が窓部63と重なっている。第1受け板11Dのうち窓部63と重なっている部分の一部が、透明板7の段差面77aと当接する。板状部材19bは、壁パネル6の裏面62上において第2側面64b寄りの部分に設けられる。第2受け板12Dは、板状部材19b上に設けられる。X方向から見た場合、第2受け板12Dの一部が窓部63と重なっている。第2受け板12Dのうち窓部63と重なっている部分の一部が、透明板7の段差面77bと当接する。同様に、モニタカバー3Dでは、複数の板状部材(不図示)のそれぞれが、壁パネル6の裏面62上において第3側面64c寄りの部分と、壁パネル6の裏面62上において第4側面64d寄りの部分とのそれぞれに設けられている。第3受け板(不図示)と第4受け板(不図示)とのそれぞれは、第1受け板11Dと同様に、当該複数の板状部材のそれぞれの上に設けられている。
【0056】
以上に説明したモニタカバー3Dの構成であっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。すなわち、X方向に沿って化粧シート4をモニタ2へ向かって押した場合であっても、透明板7が複数の板状部材のそれぞれの上に設けられた第1受け板11Dと第2受け板12Dと第3受け板と第4受け板とのそれぞれと当接することにより、透明板7のモニタ2へ向かう移動が制限される。この結果、化粧シート4の透明板7が設けられている部分がモニタ2へ向かう移動は、制限される。このため、化粧シート4上に段差が生じることを抑制できる。
【0057】
本発明によるモニタカバーは、上述した各実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、窓部及び透明板の断面形状は、矩形形状でなくてもよく、円形状、三角形状であってもよい。
【0058】
化粧シートの剛性を向上させるために、化粧シートが、PETシートによって裏打ちされていてもよい。化粧シートの剛性が向上すると、化粧シートが窓部の側面と透明板の側面との間の隙間をブリッジしても、化粧シートにおいてシワが生じにくい。
【0059】
[実施例]
以下、上記実施形態に係る表示装置の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
壁パネルとして、1mm厚の板金を準備した。Y方向に沿った壁パネルの窓部の長さを1001.5mm、Z方向に沿った窓部の幅を501mmとした。モニタとして、Y方向に沿った画像表示部の長さが1021mm以上、Z方向に沿った画像表示部の幅が521mm以上のものを用いた。第1受け板として、YZ平面において長手方向の長さが960mm、YZ平面において短手方向の長さが460mm、厚さが2mmの板金を準備した。第1受け板を、壁パネルの裏面に溶接した。Y方向に沿った第1受け板のうち窓部と重なる部分の長さを5mmとした。同様に、第2受け板と第3受け板と第4受け板とを設けた。第2受け板と第3受け板と第4受け板との寸法についても、第1受け板の寸法と同様とした。
【0061】
透明板として、アクリル板を準備した。透明板を室温40℃かつ湿度60%の環境下に1週間以上置いて、透明板の重量の0.6%分の水量を、透明板に対して吸水させた。透明板を切削することにより、透明板の第1側面の両側に第1爪と第2爪とを設けた。同様に、透明板の第2側面の両側に第3爪と第4爪とを設けた。X方向に沿った、透明板の表面から、壁パネルの裏面と当接する第1爪の面までの透明板の厚さが、壁パネルと同じ厚さとなるように、第1爪を設けた。Y方向に沿った第1爪の長さを20mm、Z方向に沿った第1爪の幅を10mmとした。第2爪と第3爪と第4爪との寸法についても、第1爪の寸法と同様とした。
【0062】
Y方向に沿った透明板のうち複数の爪を除いた部分の長さを1000mm、Z方向に沿った透明板の幅を500mmとした。すなわち、Y方向に沿った窓部の側面と透明板の側面との間における隙間の幅の合計を1.5mm、Z方向に沿った窓部の側面と透明板の側面との間における隙間の幅の合計を1mmとした。透明板の寸法は、透明板の温度が25℃である場合の寸法である。透明板を構成する材料の線膨張係数を7×10―5[/℃]とし、透明板の温度が15℃上昇した場合、Y方向に沿った透明板の膨張分の長さが1.05mm、Z方向に沿った透明板の膨張分の長さが0.525mmとなる。すなわち、透明板の温度が15℃上昇した場合であっても、隙間が縮まることで、透明板の膨張が窓部によって制限されない。透明板が壁パネルの表面よりも前に出ている場合は、壁パネルと爪との間にシムなどのスペーサーをいれて、壁パネルの表面よりも透明板が前にでないように調整した。
【0063】
透明板を切削し、透明板に対して座繰りを設けた。透明板の段差面の寸法として、YZ平面において長手方向の長さを961mm、YZ平面において短手方向の長さを460.5mmとした。透明板の段差の寸法として、X方向に沿った厚さを2mmとした。すなわち、座繰りの寸法が受け板の寸法よりも大きい。このため、透明板の膨張が、受け板によって制限されない。透明板の段差面と受け板との間に隙間ができた場合は、当該隙間にシムを設けた。透明板を窓部の内側に位置させる際は、透明板を撓ませてY方向に沿った透明板の全長を短くし、爪を壁パネルの窓部を通過させてから、透明板をフラットにした。透明板は、窓部の中央に位置していなくてもよい。透明板の膨張が窓部によって制限されないように、壁パネルと透明板とは当接しない。
【0064】
アクリルの爪と壁パネルの裏面とに5mm幅の不透明テープを接着させた。不透明テープは透明板の側面とは接着しないようにした。不透明テープと第1受け板と第2受け板とによって、透明板の第1側面及び第2側面へ入射する光の光量のムラが抑制された。不透明テープの色は、黒色もしくは壁パネルの板金と同じ色とした。室温25℃の環境下において、壁パネルの表面と透明板の表面とに、透明両面テープを用いて透過性を有する化粧シートを接着させた。化粧シートは、モニタの画像表示部を隠蔽することが確認できた。化粧シートの剛性を向上させるために、化粧シートが、厚さ50μm以上のPETシートによって裏打ちされるようにした。化粧シートの剛性が向上すると、化粧シートが窓部の側面と透明板の側面との間の隙間をブリッジしても、化粧シートにおいてシワが生じにくいことが確認できた。透明板の爪や受け板がモニタのべセルに当たらないように、モニタの画像表示部と透明板の裏面との間の隙間を0.5mmとした。モニタの画像表示部と透明板との間の空気層が薄いほど、画像表示部の視認性がよくなった。
【0065】
温度28℃の環境下において、モニタを表示させ、化粧シートの表面温度を40℃まで上昇させた。透明板の端部付近における化粧シートの表面には、段差は生じなかった。また、温度を10℃に下げても、化粧シートの表面には異常は見られなかった。以上、実施例に示すように、透明板の温度が上昇した場合であっても、化粧シートにおいて段差等が生じないことが確認できた。
【符号の説明】
【0066】
2…モニタ、3,3A,3B,3C,3D…モニタカバー、4…化粧シート、6…壁パネル、7…透明板、11…第1受け板、12…第2受け板、13…第3受け板、14…第4受け板、21…画像表示部、41,61,71…表面、42,62,72…裏面、63…窓部、77a,77b,77c,77d…段差面、81…第1爪、82…第2爪、83…第3爪、84…第4爪、D1,D2,D3,D4…幅、L1,L2…長さ、S1…隙間。