(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100246
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240719BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
B65H7/14
H04N1/00 567H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004093
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】角田 裕俊
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真也
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 信宏
(72)【発明者】
【氏名】河崎 涼太
【テーマコード(参考)】
3F048
5C062
【Fターム(参考)】
3F048AA04
3F048AA08
3F048AB02
3F048BA20
3F048BB02
3F048CC02
3F048CC03
3F048DA06
3F048DC15
3F048EB23
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB32
5C062AB40
5C062AC11
5C062AC65
5C062AC72
(57)【要約】
【課題】搬送される媒体に紫外線をより正確に照射することが可能な媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】媒体搬送装置は、媒体搬送方向において所定の位置に配置され、所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における端部を検出するための端部検出部と、媒体搬送方向において端部検出部より下流側に配置され、且つ、媒体に紫外線を照射する紫外線光源と、媒体の傾きを検出する傾き検出部と、端部検出部と紫外線光源の間の媒体搬送方向における距離に関する情報を記憶する記憶部と、紫外線光源による紫外線の照射を制御する制御部と、を有し、制御部は、端部検出部により検出された端部と、傾き検出部により検出された傾きと、記憶部に記憶された距離に関する情報とに基づいて、媒体搬送方向と直交する方向において紫外線光源に紫外線を照射させる領域を決定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送部と、
媒体搬送方向において所定の位置に配置され、前記所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における端部を検出するための端部検出部と、
媒体搬送方向において前記端部検出部より下流側に配置され、且つ、搬送された媒体に紫外線を照射する紫外線光源と、
搬送された媒体の傾きを検出する傾き検出部と、
前記端部検出部と前記紫外線光源の間の媒体搬送方向における距離に関する情報を記憶する記憶部と、
前記紫外線光源による紫外線の照射を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記端部検出部により検出された端部と、前記傾き検出部により検出された傾きと、前記記憶部に記憶された距離に関する情報とに基づいて、媒体搬送方向と直交する方向において前記紫外線光源に紫外線を照射させる領域を決定する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
媒体を搬送する搬送部と、
媒体搬送方向において所定の位置に配置され、媒体が前記所定の位置を通過する間、前記所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における領域を繰り返し検出するための領域検出部と、
媒体搬送方向において前記領域検出部より下流側に配置され、且つ、搬送された媒体に紫外線を照射する紫外線光源と、
前記紫外線光源による紫外線の照射を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記領域検出部により検出された領域が前記紫外線光源の位置に到達するたびに、媒体搬送方向と直交する方向において前記紫外線光源に紫外線を照射させる領域を、当該検出された領域に決定する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
前記紫外線光源は、媒体搬送方向と直交する方向に間隔を空けて配置され且つそれぞれ紫外線を照射する複数の照射器を含み、
前記制御部は、前記複数の照射器のうち前記決定した領域内に配置された照射器に紫外線を照射させる、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記紫外線光源は、媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられた照射器を含み、
前記制御部は、媒体搬送方向と直交する方向において前記決定した領域内で前記照射器を移動させる、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
搬送される媒体に含まれる汚れを検出する汚れ検出部をさらに有し、
前記制御部は、前記汚れ検出部により検出された汚れが前記紫外線光源を通過している間、媒体の搬送速度を低下させる、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
搬送される媒体が撮像された入力画像を生成する画像生成部と、
前記搬送速度の低下により前記入力画像に発生する伸びを補正する補正部と、をさらに有する、請求項5に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
搬送された媒体に含まれる汚れを検出する汚れ検出部をさらに有し、
前記制御部は、前記汚れ検出部により検出された汚れが前記紫外線光源を通過している間、紫外線の照射量を増大させる、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記紫外線光源は、媒体搬送方向と直交する方向に間隔を空けて配置され且つそれぞれ紫外線を照射する複数の照射器を含み、
前記制御部は、前記汚れ検出部により検出された汚れが前記紫外線光源を通過している間、当該汚れに対向する照射器による照射量を増大させる、請求項7に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記紫外線光源は、媒体搬送方向に間隔を空けて配置され且つそれぞれ紫外線を照射する複数の照射器を含み、
前記制御部は、前記汚れ検出部により検出された汚れが前記紫外線光源を通過している間、紫外線を照射させる照射器の数を増大させる、請求項7に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
前記紫外線光源は、媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられた照射器を含み、
前記制御部は、
媒体が前記紫外線光源を複数回通過するように前記搬送部を制御し、
媒体が前記紫外線光源を通過するたびに、前記照射器の媒体搬送方向と直交する方向における位置を変更する、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項11】
搬送部により、媒体を搬送し、
媒体搬送方向において所定の位置に配置された端部検出部により、前記所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における端部を検出し、
媒体搬送方向において前記端部検出部より下流側に配置された紫外線光源により、搬送された媒体に紫外線を照射し、
搬送された媒体の傾きを検出し、
前記端部検出部と前記紫外線光源の間の媒体搬送方向における距離に関する情報を記憶部に記憶し、
前記紫外線光源による紫外線の照射を制御する、ことを含み、
前記制御において、前記端部検出部により検出された端部と、前記検出された傾きと、前記記憶部に記憶された距離に関する情報とに基づいて、媒体搬送方向と直交する方向において前記紫外線光源に紫外線を照射させる領域を決定する、
ことを特徴とする媒体搬送方法。
【請求項12】
搬送部により、媒体を搬送し、
媒体搬送方向において所定の位置に配置された領域検出部により、媒体が前記所定の位置を通過する間、前記所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における領域を繰り返し検出し、
媒体搬送方向において前記領域検出部より下流側に配置された紫外線光源により、搬送された媒体に紫外線を照射し、
前記紫外線光源による紫外線の照射を制御する、ことを含み、
前記制御において、前記領域検出部により検出された領域が前記紫外線光源の位置に到達するたびに、媒体搬送方向と直交する方向において前記紫外線光源に紫外線を照射させる領域を、当該検出された領域に決定する、
ことを特徴とする媒体搬送方法。
【請求項13】
媒体を搬送する搬送部と、媒体搬送方向において所定の位置に配置され、前記所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における端部を検出するための端部検出部と、媒体搬送方向において前記端部検出部より下流側に配置され、且つ、搬送された媒体に紫外線を照射する紫外線光源と、前記端部検出部と前記紫外線光源の間の媒体搬送方向における距離に関する情報を記憶する記憶部と、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
搬送された媒体の傾きを検出し、
前記紫外線光源による紫外線の照射を制御する、ことを前記媒体搬送装置に実行させ、
前記制御において、前記端部検出部により検出された端部と、前記検出された傾きと、前記記憶部に記憶された距離に関する情報とに基づいて、媒体搬送方向と直交する方向において前記紫外線光源に紫外線を照射させる領域を決定する、
ことを特徴とする制御プログラム。
【請求項14】
媒体を搬送する搬送部と、媒体搬送方向において所定の位置に配置され、媒体が前記所定の位置を通過する間、前記所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における領域を繰り返し検出するための領域検出部と、媒体搬送方向において前記領域検出部より下流側に配置され、且つ、搬送された媒体に紫外線を照射する紫外線光源と、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
前記紫外線光源による紫外線の照射を制御する、ことを前記媒体搬送装置に実行させ、
前記制御において、前記領域検出部により検出された領域が前記紫外線光源の位置に到達するたびに、媒体搬送方向と直交する方向において前記紫外線光源に紫外線を照射させる領域を、当該検出された領域に決定する、
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体を搬送しながら撮像するスキャナ等の媒体搬送装置において、搬送される媒体に紫外線を照射することにより除菌を行う機能が開発されている。
【0003】
搬送される原稿の画像を読み取るための画像読取手段と、搬送される原稿を殺菌するために紫外線を照射する紫外線ランプとを有する画像読取装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【0004】
シートの幅方向に並んで配置された複数のLEDで構成されたUV光照射部と、シートの幅方向に複数設けられた媒体検出センサとを有する画像読取装置が開示されている(特許文献2を参照)。この画像読取装置は、媒体検出センサによるシートの検出タイミングに基づき、シートの幅方向において、シートを検出した媒体検出センサに対応する部分のUV光照射部のみUV光を照射するように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-110496号公報
【特許文献2】特開2022-32537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
搬送される媒体に紫外線を照射する媒体搬送装置では、搬送される媒体に紫外線をより正確に照射できることが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、搬送される媒体に紫外線をより正確に照射することが可能な媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を搬送する搬送部と、媒体搬送方向において所定の位置に配置され、所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における端部を検出するための端部検出部と、媒体搬送方向において端部検出部より下流側に配置され、且つ、搬送された媒体に紫外線を照射する紫外線光源と、搬送された媒体の傾きを検出する傾き検出部と、端部検出部と紫外線光源の間の媒体搬送方向における距離に関する情報を記憶する記憶部と、紫外線光源による紫外線の照射を制御する制御部と、を有し、制御部は、端部検出部により検出された端部と、傾き検出部により検出された傾きと、記憶部に記憶された距離に関する情報とに基づいて、媒体搬送方向と直交する方向において紫外線光源に紫外線を照射させる領域を決定する。
【0009】
本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を搬送する搬送部と、媒体搬送方向において所定の位置に配置され、媒体が所定の位置を通過する間、所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における領域を繰り返し検出するための領域検出部と、媒体搬送方向において領域検出部より下流側に配置され、且つ、搬送された媒体に紫外線を照射する紫外線光源と、紫外線光源による紫外線の照射を制御する制御部と、を有し、制御部は、領域検出部により検出された領域が紫外線光源の位置に到達するたびに、媒体搬送方向と直交する方向において紫外線光源に紫外線を照射させる領域を、その検出された領域に決定する。
【0010】
本発明の一側面に係る媒体搬送方法は、搬送部により、媒体を搬送し、媒体搬送方向において所定の位置に配置された端部検出部により、所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における端部を検出し、媒体搬送方向において端部検出部より下流側に配置された紫外線光源により、搬送された媒体に紫外線を照射し、搬送された媒体の傾きを検出し、端部検出部と紫外線光源の間の媒体搬送方向における距離に関する情報を記憶し、紫外線光源による紫外線の照射を制御する、ことを含み、制御において、端部検出部により検出された端部と、傾き検出部により検出された傾きと、記憶部に記憶された距離に関する情報とに基づいて、媒体搬送方向と直交する方向において紫外線光源に紫外線を照射させる領域を決定する。
【0011】
本発明の一側面に係る媒体搬送方法は、搬送部により、媒体を搬送し、媒体搬送方向において所定の位置に配置された領域検出部により、媒体が所定の位置を通過する間、所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における領域を繰り返し検出し、媒体搬送方向において領域検出部より下流側に配置された紫外線光源により、搬送された媒体に紫外線を照射し、紫外線光源による紫外線の照射を制御する、ことを含み、制御において、領域検出部により検出された領域が光源の位置に到達するたびに、媒体搬送方向と直交する方向において紫外線光源に紫外線を照射させる領域を、その検出された領域に決定する。
【0012】
本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体を搬送する搬送部と、媒体搬送方向において所定の位置に配置され、所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における端部を検出するための端部検出部と、媒体搬送方向において端部検出部より下流側に配置され、且つ、搬送された媒体に紫外線を照射する紫外線光源と、端部検出部と紫外線光源の間の媒体搬送方向における距離に関する情報を記憶する記憶部と、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、搬送された媒体の傾きを検出し、紫外線光源による紫外線の照射を制御する、ことを媒体搬送装置に実行させ、制御において、端部検出部により検出された端部と、傾き検出部により検出された傾きと、記憶部に記憶された距離に関する情報とに基づいて、媒体搬送方向と直交する方向において紫外線光源に紫外線を照射させる領域を決定する。
【0013】
本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体を搬送する搬送部と、媒体搬送方向において所定の位置に配置され、媒体が所定の位置を通過する間、所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する方向における領域を繰り返し検出するための領域検出部と、媒体搬送方向において領域検出部より下流側に配置され、且つ、搬送された媒体に紫外線を照射する紫外線光源と、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、紫外線光源による紫外線の照射を制御する、ことを媒体搬送装置に実行させ、制御において、領域検出部により検出された領域が紫外線光源の位置に到達するたびに、媒体搬送方向と直交する方向において紫外線光源に紫外線を照射させる領域を、その検出された領域に決定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラムは、搬送される媒体に紫外線をより正確に照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】紫外線光源214等について説明するための模式図である。
【
図4】媒体搬送装置1の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】第1記憶装置140及び第1処理回路150の概略構成を示す図である。
【
図6】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図7】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図8】(A)は、照射領域について説明するための模式図であり、(B)は、媒体に含まれる汚れについて説明するための模式図である。
【
図9】他の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【
図10】さらに他の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【
図11】他の紫外線光源314について説明するための模式図である。
【
図12】(A)、(B)は、さらに他の紫外線光源414について説明するための模式図である。
【
図13】(A)、(B)は、さらに他の紫外線光源514について説明するための模式図である。
【
図14】(A)~(C)は、表面紫外線光源514aの駆動機構について説明するための模式図である。
【
図15】さらに他の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【
図16】他の第1処理回路650の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0017】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置1を示す斜視図である。
【0018】
媒体搬送装置1は、原稿である媒体を搬送し、撮像するとともに、搬送させた媒体に紫外線を照射させる。媒体は、用紙、薄紙、厚紙、カード又は冊子等である。媒体は、布、立体物等でもよい。媒体搬送装置1は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置1はプリンタ等でもよい。
【0019】
図1において矢印A1は媒体搬送方向を示し、矢印A2は媒体搬送方向A1と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0020】
媒体搬送装置1は、画像読取装置100及び紫外線照射装置200を有する。画像読取装置100は、紫外線照射装置200上に載置される。画像読取装置100が紫外線照射装置200上に載置された状態では、紫外線照射装置200の媒体流入口が画像読取装置100の媒体排出口と対向し、紫外線照射装置200は、画像読取装置100から搬送されてきた媒体に紫外線を照射する。紫外線照射装置200は、画像読取装置100に対して、着脱可能に係合される。紫外線照射装置200は、紫外線照射装置200の第2下側筐体201の上面に設けられた篏合部を、画像読取装置100の第1下側筐体101の下面に設けられた被篏合部に嵌合させることにより、画像読取装置100と係合される。
【0021】
画像読取装置100は、第1下側筐体101、第1上側筐体102、載置台103、操作装置104及び表示装置105等を備える。紫外線照射装置200は、第2下側筐体201、第2上側筐体202及び排出台203等を備える。
【0022】
第1上側筐体102は、画像読取装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、画像読取装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第1下側筐体101に係合している。載置台103は、媒体を載置可能に第1下側筐体101に係合している。
【0023】
操作装置104は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置105は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。なお、表示装置105は、タッチパネル機能付きの液晶ディスプレイでもよい。その場合、操作装置104は、タッチパネルから入力信号を取得するインタフェース回路を有する。
【0024】
第2上側筐体202は、紫外線照射装置200の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、紫外線照射装置200内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第2下側筐体201に係合している。排出台203は、ヒンジにより第2下側筐体201又は第2上側筐体202に係合しており、第2下側筐体201及び第2上側筐体202の媒体排出口から排出された媒体を載置する。
【0025】
図2は、画像読取装置100及び紫外線照射装置200内部の搬送経路を説明するための図である。
【0026】
画像読取装置100内部の搬送経路は、載置センサ111、給送ローラ112、分離ローラ113、傾きセンサ114、第1搬送ローラ115、第1従動ローラ116、第1媒体センサ117、第1撮像装置118、第2撮像装置119、第2搬送ローラ120及び第2従動ローラ121等を有している。紫外線照射装置200内部の搬送経路は、第3搬送ローラ211、第3従動ローラ212、第2媒体センサ213、紫外線光源214、第4搬送ローラ215及び第4従動ローラ216等を有している。
【0027】
なお、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ115、第1従動ローラ116、第2搬送ローラ120、第2従動ローラ121、第3搬送ローラ211、第3従動ローラ212、第4搬送ローラ215及び第4従動ローラ216のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ115、第1従動ローラ116、第2搬送ローラ120、第2従動ローラ121、第3搬送ローラ211、第3従動ローラ212、第4搬送ローラ215及び/又は第4従動ローラ216は、それぞれ幅方向A2に間隔を空けて並べて配置される。給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ115、第1従動ローラ116、第2搬送ローラ120、第2従動ローラ121、第3搬送ローラ211、第3従動ローラ212、第4搬送ローラ215及び/又は第4従動ローラ216は、媒体を搬送する搬送部の一例である。
【0028】
媒体搬送装置1は、いわゆるストレートパスを有する。第1下側筐体101の上面及び第2下側筐体201の上面は、それぞれ媒体搬送路の第1下側ガイド101a及び第2下側ガイド201aを形成する。第1上側筐体102の下面及び第2上側筐体202の下面は、それぞれ媒体搬送路の第1上側ガイド102a及び第2上側ガイド202aを形成する。
【0029】
載置センサ111は、給送ローラ112及び分離ローラ113より上流側に配置され、載置台103における媒体の載置状態を検出する。載置センサ111は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台103に媒体が載置されているか否かを判別する。載置センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する載置信号を生成して出力する。なお、載置センサ111は接触検知センサに限定されず、載置センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0030】
給送ローラ112及び分離ローラ113は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置される。給送ローラ112は、載置台103に載置された媒体を下流側に向けて給送する。分離ローラ113は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、媒体給送方向の反対方向に回転可能に又は停止可能に設けられる。給送ローラ112及び分離ローラ113は、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。給送ローラ112は、分離ローラ113に対して下側に配置されており、媒体搬送装置1は、いわゆる下取り方式により媒体を給送する。以下では、給送ローラ112及び分離ローラ113をまとめて給送部と称する場合がある。
【0031】
第1搬送ローラ115及び第1従動ローラ116は、給送部より下流側且つ第1撮像装置118及び第2撮像装置119より上流側に、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置される。第1搬送ローラ115及び第1従動ローラ116は、給送部により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。以下では、第1搬送ローラ115及び第1従動ローラ116をまとめて第1搬送部と称する場合がある。
【0032】
第1撮像装置118は、第1搬送部より下流側且つ第2撮像装置119より上流側に配置される。第1撮像装置118は、第1搬送部より上流側又は第2撮像装置119より下流側に配置されてもよい。第1撮像装置118は、給送部及び第1搬送部により給送及び搬送された媒体上の汚れを検出する。第1撮像装置118は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1表面撮像装置118a及び第1裏面撮像装置118bを含む。
【0033】
第1表面撮像装置118aは、光源、撮像センサ、レンズ及びA/D変換器を有する。光源は、主走査方向に延伸し、検出対象の汚れに反応する紫外線の波長帯(10nm~400nm)又は赤外線の波長帯(780nm~2500nm)の光を照射する。撮像センサは、主走査方向に直線状に配列された、検出対象の汚れに反応する紫外線の波長帯又は赤外線の波長帯に感度を有する撮像素子を含むラインセンサである。レンズは、撮像素子上に像を結ぶ。A/D変換器は、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換する。第1表面撮像装置118aは、一定間隔毎に、搬送されている媒体の表面のラインセンサと対向する領域を撮像した第1ライン画像を順次生成する。第1表面撮像装置118aは、一又は複数の第1ライン画像を含む第1部分画像を生成し、出力する。
【0034】
同様に、第1裏面撮像装置118bは、光源、撮像センサ、レンズ及びA/D変換器を有する。光源は、主走査方向に延伸し、検出対象の汚れに反応する紫外線の波長帯(10nm~400nm)又は赤外線の波長帯(780nm~2500nm)の光を照射する。撮像センサは、主走査方向に直線状に配列された、検出対象の汚れに反応する紫外線の波長帯又は赤外線の波長帯に感度を有する撮像素子を含むラインセンサである。レンズは、撮像素子上に像を結ぶ。A/D変換器は、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、A/D変換する。第1裏面撮像装置118bは、一定間隔毎に、搬送されている媒体の表面のラインセンサと対向する領域を撮像した第1ライン画像を順次生成する。第1裏面撮像装置118bは、一又は複数の第1ライン画像を含む第1部分画像を生成し、出力する。
【0035】
なお、媒体搬送装置1は、第1表面撮像装置118a及び第1裏面撮像装置118bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、第1撮像装置118は、給送部より上流側に配置されてもよい。その場合、光源が省略され、第1撮像装置118は、媒体搬送装置1が設置される室内の照明又は日光等の環境光を用いて、媒体に光を照射してもよい。
【0036】
第2撮像装置119は、端部検出部、領域検出部及び/又は撮像部の一例である。第2撮像装置119は、第1搬送部より下流側且つ第2搬送ローラ120及び第2従動ローラ121より上流側に配置される。第2撮像装置119は、給送部及び第1搬送部により給送及び搬送された媒体を撮像する。第2撮像装置119は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第2表面撮像装置119a及び第2裏面撮像装置119bを含む。
【0037】
第2表面撮像装置119aは、光源、撮像センサレンズ及びA/D変換器を有する。光源は、主走査方向に延伸し、可視光を照射するLED(Light Emitting Diode)等である。撮像センサは、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を有する縮小光学系タイプのラインセンサである。撮像素子は、可視光に感度を有する。レンズは、撮像素子上に像を結ぶ。A/D変換器は、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、A/D変換する。第2表面撮像装置119aは、一定間隔毎に、搬送されている媒体の表面のラインセンサと対向する領域を撮像した第2ライン画像を順次生成する。第2表面撮像装置119aは、一又は複数の第2ライン画像を含む第2部分画像を生成し、出力する。
【0038】
同様に、第2裏面撮像装置119bは、光源、撮像センサレンズ及びA/D変換器を有する。光源は、主走査方向に延伸し、可視光を照射するLED等である。撮像センサは、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を有する縮小光学系タイプのラインセンサである。撮像素子は、可視光に感度を有する。レンズは、撮像素子上に像を結ぶ。A/D変換器は、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、A/D変換する。第2表第2裏面撮像装置119bは、一定間隔毎に、搬送されている媒体の裏面のラインセンサと対向する領域を撮像した第2ライン画像を順次生成する。第2裏面撮像装置119bは、一又は複数の第2ライン画像を含む第2部分画像を生成し、出力する。
【0039】
なお、媒体搬送装置1は、第2表面撮像装置119a及び第2裏面撮像装置119bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CCDによる撮像素子を有する縮小光学系タイプのラインセンサの代わりに、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。また、CCD又はCMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサが利用されてもよい。
【0040】
第2搬送ローラ120及び第2従動ローラ121は、第1撮像装置118及び第2撮像装置119より下流側に、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置される。第2搬送ローラ120及び第2従動ローラ121は、給送部及び第1搬送部により給送及び搬送された媒体を紫外線照射装置200に向けて搬送する。以下では、第2搬送ローラ120及び第2従動ローラ121をまとめて第2搬送部と称する場合がある。
【0041】
第3搬送ローラ211及び第3従動ローラ212は、紫外線光源214より上流側に、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置される。第3搬送ローラ211及び第3従動ローラ212は、画像読取装置100から排出された媒体を下流側に向けて搬送する。以下では、第3搬送ローラ211及び第3従動ローラ212をまとめて第3搬送部と称する場合がある。
【0042】
第4搬送ローラ215及び第4従動ローラ216は、紫外線光源214より下流側に、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置される。第4搬送ローラ215及び第4従動ローラ216は、画像読取装置100から排出され第3搬送部により搬送された媒体を下流側に向けて搬送し、排出台203に排出する。以下では、第4搬送ローラ215及び第4従動ローラ216をまとめて第4搬送部と称する場合がある。
【0043】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が媒体給送方向A3に回転することによって、第1下側ガイド101aと第1上側ガイド102aの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。分離ローラ113は、矢印A4の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転又は停止する。これにより、分離された媒体以外の媒体の給送が制限される(重送の防止)。
【0044】
媒体は、第1下側ガイド101aと第1上側ガイド102aによりガイドされながら、第1搬送部に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ115が矢印A5の方向に回転することによって、第2撮像装置119に送り込まれる。第2撮像装置119により読み取られた媒体は、第2搬送ローラ120が矢印A6の方向に回転することによって紫外線照射装置200に送り込まれる。紫外線照射装置200に送り込まれた媒体は、第3搬送ローラ211が矢印A7の方向に回転することによって、第2下側ガイド201aと第2上側ガイド202aの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送され、紫外線光源214に送り込まれる。紫外線光源214によって紫外線を照射された媒体は、第4搬送ローラ215が矢印A8の方向に回転することによって排出台203上に排出される。
【0045】
図3は、傾きセンサ114、第1媒体センサ117、第2媒体センサ213及び紫外線光源214について説明するための模式図である。
図3は、第1上側筐体102及び第2上側筐体202を取り外した状態の媒体搬送装置1を上側から見た図である。
【0046】
図3に示す例では、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ115、第1従動ローラ116、第2搬送ローラ120、第2従動ローラ121、第3搬送ローラ211、第3従動ローラ212、第4搬送ローラ215及び第4従動ローラ216の数はそれぞれ二つである。また、第1媒体センサ117及び第2媒体センサ213の数は一つであり、傾きセンサ114の数は二つである。なお、各ローラ及び/又は各センサの数は、任意の数でよい。
【0047】
各傾きセンサ114は、媒体搬送方向A1において給送部より下流側且つ第1搬送部より上流側に、且つ、幅方向A2において媒体搬送路の端部に、特に給送部及び/又は第1搬送部より外側に配置される。各傾きセンサ114は、媒体搬送方向A1において第1搬送部より下流側に配置されてもよい。また、各傾きセンサ114は、幅方向A2において媒体搬送路の中央部に配置されてもよい。
図3に示す例では、二つの傾きセンサ114が、幅方向A2に間隔を空けて並べて配置されている。各傾きセンサ114は、その配置位置に搬送された媒体を検出する。各傾きセンサ114は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光管とを含む。発光器は、LED等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。発光器又は受光器と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。各傾きセンサ114は、受光器が受光する光の強度に基づいて、各傾きセンサ114の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する傾き信号を生成して出力する。
【0048】
第1媒体センサ117は、媒体搬送方向A1において第1搬送部より下流側且つ第1撮像装置118より上流側に、且つ、幅方向A2において媒体搬送路の中央部に、特に二つの給送ローラ112及び/又は二つの第1搬送ローラ115の間に配置される。第1媒体センサ117は、媒体搬送方向A1において第1搬送部より上流側に配置されてもよい。また、第1媒体センサ117は、幅方向A2において媒体搬送路の端部に配置されてもよい。第1媒体センサ117は、その配置位置に搬送された媒体を検出する。第1媒体センサ117は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光管とを含む。発光器は、LED等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。発光器又は受光器と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。第1媒体センサ117は、受光器が受光する光の強度に基づいて、第1媒体センサ117の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。
【0049】
第2媒体センサ213は、媒体搬送方向A1において第3搬送部より下流側且つ紫外線光源214より上流側に、且つ、幅方向A2において媒体搬送路の中央部に、特に二つの第3搬送ローラ211の間に配置される。第2媒体センサ213は、媒体搬送方向A1において第3搬送部より上流側に配置されてもよい。また、第2媒体センサ213は、幅方向A2において媒体搬送路の端部に配置されてもよい。第2媒体センサ213は、その配置位置に搬送された媒体を検出する。第2媒体センサ213は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光管とを含む。発光器は、LED等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。発光器又は受光器と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。第2媒体センサ213は、受光器が受光する光の強度に基づいて、第2媒体センサ213の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2媒体信号を生成して出力する。
【0050】
なお、傾きセンサ114、第1媒体センサ117及び/又は第2媒体センサ213の各センサにおいて、導光管の代わりに、ミラー等の反射部材が使用されてもよい。また、各センサにおいて、発光器及び受光器は、媒体搬送路を挟んで対向して設けられてもよい。また、各センサは、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。
【0051】
紫外線光源214は、媒体搬送方向A1において第1撮像装置118及び第2撮像装置119より下流側に配置され、搬送された媒体に紫外線を照射する。紫外線光源214は、第3搬送部より下流側且つ第4搬送部より上流側に配置される。紫外線光源214は、第3搬送部より上流側又は第4搬送部より下流側に配置されてもよい。紫外線光源214は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された表面紫外線光源214a及び裏面紫外線光源214bを含む。
【0052】
表面紫外線光源214aは、一又は複数の照射器を含む。表面紫外線光源214aが複数の照射器を含む場合、各照射器は、媒体搬送方向と直交する幅方向A2に間隔を空けて並べて配置される。
図3に示す例では、表面紫外線光源214aは、幅方向A2に間隔を空けて並べて配置された20個の照射器L1~L20を含む。各照射器L1~L20は、LED等であり、搬送される媒体の表面上で対向する位置に紫外線を照射する。各照射器L1~L20が照射する紫外線は、殺菌作用を有する波長帯(200nm~280nm)の光(UV-C)である。各照射器L1~L20による紫外線の照射量は、後述する第2処理回路からの指示に従って変更可能である。
【0053】
同様に、裏面紫外線光源214bは、一又は複数の照射器を含む。裏面紫外線光源214bが複数の照射器を含む場合、各照射器は、媒体搬送方向と直交する幅方向A2に間隔を空けて並べて配置される。裏面紫外線光源214bが有する各照射器は、表面紫外線光源214aが有する各照射器と、媒体搬送路を挟んで対向するように配置される。各照射器は、LED等であり、搬送される媒体の裏面上で対向する位置に紫外線を照射する。各照射器が照射する紫外線は、殺菌作用を有する波長帯(200nm~280nm)の光(UV-C)である。各照射器による紫外線の照射量は、第2処理回路からの指示に従って変更可能である。
【0054】
なお、媒体搬送装置1は、表面紫外線光源214a及び裏面紫外線光源214bを一方だけ配置し、媒体の片面にのみ紫外線を照射してもよい。また、照射器は、幅方向A2に間隔を空けて並べて配置されたLEDでなく、幅方向A2に延伸するように設けられたランプでもよい。
【0055】
図4は、媒体搬送装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0056】
画像読取装置100は、前述の構成に加えて、第1モータ131、インタフェース装置132、第1通信回路133、第1記憶装置140及び第1処理回路150等を更に有する。紫外線照射装置200は、前述の構成に加えて、第2モータ231、第2通信回路233、第2記憶装置240及び第2処理回路250等を更に有する。
【0057】
第1モータ131は、一又は複数のモータを含み、第1処理回路150からの駆動信号によって、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ115及び/又は第2搬送ローラ120を回転させて媒体を搬送させる。なお、第1従動ローラ116及び/又は第2従動ローラ121は、第1搬送ローラ115又は第2搬送ローラ120に従動回転するのでなく、第1モータ131の駆動力に従って回転するように設けられてもよい。
【0058】
インタフェース装置132は、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。通信部は、有線LAN等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース回路を有してもよい。
【0059】
第1通信回路133は、USB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、画像読取装置100に係合させた紫外線照射装置200の第2通信回路233と電気的に接続して、紫外線照射装置200を制御するための各種の情報を送受信する。
【0060】
第1記憶装置140は、記憶部の一例である。第1記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第1記憶装置140には、画像読取装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0061】
また、第1記憶装置140は、データとして、媒体搬送方向A1における第1撮像装置118の撮像位置P1と紫外線光源214の照射位置P3の間の距離D1を記憶する(
図3を参照)。媒体搬送方向A1における第1撮像装置118の撮像位置P1と紫外線光源214の照射位置P3の間の距離D1は、第1撮像装置118と紫外線光源214の間の媒体搬送方向A1における距離に関する情報の一例である。また、第1記憶装置140は、データとして、媒体搬送方向A1における第2撮像装置119の撮像位置P2と紫外線光源214の照射位置P3の間の距離D2を記憶する(
図3を参照)。媒体搬送方向A1における第2撮像装置119の撮像位置P2と紫外線光源214の照射位置P3の間の距離D2は、第2撮像装置119と紫外線光源214の間の媒体搬送方向A1における距離に関する情報の一例である。なお、第1記憶装置140は、距離D1又は距離D2の代わりに、距離D1又は距離D2だけ媒体を搬送させるためのモータの駆動量又は駆動時間を記憶してもよい。また、第1記憶装置140は、データとして、部分画像、入力画像等を記憶する。
【0062】
第1処理回路150は、予め第1記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第1処理回路150は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。第1処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等が用いられてもよい。
【0063】
第1処理回路150は、操作装置104、表示装置105、載置センサ111、傾きセンサ114、第1媒体センサ117、第1撮像装置118、第2撮像装置119、第1モータ131、インタフェース装置132、第1通信回路133、第1記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。第1処理回路150は、各センサから受信した信号に基づいて、第1モータ131の駆動制御、第1撮像装置118及び第2撮像装置119の撮像制御等を行うとともに、第1通信回路133を介して紫外線照射装置200の照射制御を行う。第1処理回路150は、第2撮像装置119から第2部分画像を取得して入力画像を生成し、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。
【0064】
第2モータ231は、一又は複数のモータを含み、第2処理回路250からの駆動信号によって、第3搬送ローラ211及び/又は第4搬送ローラ215を回転させて媒体を搬送させる。なお、第3従動ローラ212及び/又は第4従動ローラ216は、第3搬送ローラ211又は第4搬送ローラ215に従動回転するのでなく、第2モータ231の駆動力に従って回転するように設けられてもよい。
【0065】
第2通信回路233は、第1通信回路133と同様のインタフェース回路を有し、第1通信回路133と電気的に接続して、画像読取装置100が紫外線照射装置200を制御するための各種の情報を送受信する。
【0066】
第2記憶装置240は、第1記憶装置140と同様の記憶装置を有する。第2記憶装置240には、紫外線照射装置200の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶装置240にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM、DVD-ROM等である。
【0067】
第2処理回路250は、予め第2記憶装置240に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第2処理回路250は、例えばCPUである。第2処理回路250として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
【0068】
第2処理回路250は、第2媒体センサ213、紫外線光源214、第2モータ231、第2通信回路233、第2記憶装置240等と接続され、これらの各部を制御する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して画像読取装置100から受信した制御信号に従って、第2モータ231の駆動制御、紫外線光源214の照射制御等を行う。
【0069】
図5は、第1記憶装置140及び第1処理回路150の概略構成を示す図である。
【0070】
図5に示すように、第1記憶装置140には、制御プログラム141、傾き検出プログラム142、媒体検出プログラム143、汚れ検出プログラム144、画像生成プログラム145及び補正プログラム146等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第1処理回路150は、第1記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、第1処理回路150は、制御部151、傾き検出部152、媒体検出部153、汚れ検出部154、画像生成部155及び補正部156として機能する。
【0071】
図6及び
図7は、媒体搬送装置1の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0072】
以下、
図6及び
図7に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置1の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理回路150により媒体搬送装置1の各要素と協働して実行される。
【0073】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置104又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置104又はインタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0074】
次に、制御部151は、載置センサ111から載置信号を取得し、取得した載置信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、ステップS101へ処理を戻し、ステップS101以降の処理を繰り返す。
【0075】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、第1モータ131を駆動して給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ115、第1従動ローラ116、第2搬送ローラ120及び/又は第2従動ローラ121を回転させる。また、制御部151は、第2モータ231を駆動するための制御信号を、第1通信回路133を介して第2処理回路250に送信する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して制御信号を受信した場合、第2モータ231を駆動して第3搬送ローラ211、第3従動ローラ212、第4搬送ローラ215及び/又は第4従動ローラ216を回転させる。これにより、制御部151は、載置台103に載置された媒体を搬送させる(ステップS103)。このとき、制御部151は、第1モータ131及び第2モータ231による媒体の搬送速度を基準速度に設定する。
【0076】
次に、制御部151は、媒体の先端が撮像開始位置を初めて通過したか否かを判定する(ステップS104)。制御部151は、例えば第1媒体センサ117から第1媒体信号を定期的に取得し、第1媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化した時に、媒体の先端が撮像開始位置を初めて通過したと判定する。媒体の先端が撮像開始位置をまだ通過していない場合、又は、媒体の先端が撮像開始位置を既に通過していた場合、制御部151は、特に処理を実行せずにステップS107へ処理を移行する。
【0077】
一方、媒体の先端が撮像開始位置を初めて通過した場合、制御部151は、第1撮像装置118及び第2撮像装置119に撮像を開始させる(ステップS105)。
【0078】
次に、制御部151は、給送ローラ112を停止させるように第1モータ131を制御する(ステップS106)。以降、媒体は、第1搬送ローラ115及び第1従動ローラ116により搬送される。
【0079】
次に、制御部151は、第2撮像装置119から第2部分画像を新たに受信したか否かを判定する(ステップS107)。第2部分画像を新たに受信していない場合、制御部151は、特に処理を実行せずにステップS112へ処理を移行する。
【0080】
一方、第2撮像装置119から第2部分画像を新たに受信した場合、制御部151は、受信した第2部分画像を第1記憶装置140に記憶する(ステップS108)。
【0081】
次に、傾き検出部152は、媒体の傾きを検出済みであるか否かを判定する(ステップS109)。媒体の傾きを検出済みである場合、傾き検出部152は、特に処理を実行せずにステップS111へ処理を移行する。
【0082】
一方、まだ媒体の傾きを検出していない場合、傾き検出部152は、搬送された媒体の傾きを検出し、検出した媒体の傾きを第1記憶装置140に記憶する(ステップS110)。傾き検出部152は、第2撮像装置119から受信した第2部分画像に基づいて、媒体の傾きを検出する。傾き検出部152は、現在までに第2撮像装置119から受信し、第1記憶装置140に記憶された第2部分画像を結合する。傾き検出部152は、結合した第2部分画像内で、垂直方向(副走査方向)に延伸する垂直ライン毎に、上端側から順に、各垂直ライン内の各画素の垂直方向の両隣の画素の階調値の差の絶対値を隣接差分値として算出する。傾き検出部152は、各垂直ライン内で隣接差分値が階調閾値を越える画素をエッジ画素として抽出する。階調値は、輝度値又は色値(R値、G値又はB値)等である。階調閾値は、例えば、人が画像上の輝度の違いを目視により判別可能な輝度値の差(例えば20)に設定される。傾き検出部152は、各垂直ライン内で最初に検出されたエッジ画素、即ち最も上側に位置する画素を上端エッジ画素として抽出する。
【0083】
傾き検出部152は、画像内の各画素から垂直方向に所定距離だけ離れた二つの画素の階調値の差の絶対値を隣接差分値として算出してもよい。また、傾き検出部152は、画像内の各画素の階調値を閾値と比較することによりエッジ画素を抽出してもよい。例えば、傾き検出部152は、特定の画素の階調値が閾値未満であり、その特定の画素に対して垂直方向に隣接する画素又は所定距離だけ離れた画素の階調値が閾値以上である場合、その特定の画素をエッジ画素として抽出する。
【0084】
傾き検出部152は、結合した第2部分画像内で一定数以上の上端エッジ画素が抽出されなかった場合、まだ媒体の傾きを検出しない。一方、傾き検出部152は、結合した第2部分画像内で一定数以上の上端エッジ画素が抽出された場合、抽出した上端エッジ画素から媒体の上辺に対応する直線を検出する。傾き検出部152は、例えば最小二乗法を用いて上端エッジ画素から直線(線分)を検出する。上端エッジ画素は、ハフ変換を用いて直線を検出してもよい。傾き検出部152は、水平方向(主走査方向)に対する、検出した直線の角度を媒体の傾きとして検出する。
【0085】
傾き検出部152は、傾きセンサ114から受信した傾き信号に基づいて、媒体の傾きを検出してもよい。その場合、傾き検出部152は、各傾きセンサ114から傾き信号を定期的に取得し、傾き信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化した時に、媒体の先端が各傾きセンサ114の位置を通過したと判定する。傾き検出部152は、媒体の先端が一方の傾きセンサ114の位置を通過してから他方の傾きセンサ114の位置を通過するまでの間に第1モータ131により給送ローラ112を駆動した駆動量から、媒体搬送方向A1における媒体の先端のずれ量を算出する。傾き検出部152は、媒体搬送方向A1における媒体の先端のずれ量から、二つの傾きセンサ114の間の幅方向A2の距離を除算した値の逆正接を媒体の傾きとして検出する。
【0086】
次に、媒体検出部153は、搬送される媒体の、媒体搬送方向と直交する幅方向A2における端部を検出し、検出した端部の位置を第1記憶装置140に記憶する(ステップS111)。媒体検出部153は、第2撮像装置119から受信した第2部分画像に基づいて、幅方向A2における媒体の端部を検出する。媒体検出部153は、第2撮像装置119から受信した最新の第2部分画像内で水平方向(主走査方向)に延伸する特定の水平ラインについて、左端側から順に、その水平ライン内の各画素の水平方向の両隣の画素の階調値の差の絶対値を隣接差分値として算出する。特定の水平ラインは、例えば垂直方向(副走査方向)の中央、上端又は下端に位置する水平ラインである。媒体検出部153は、その水平ライン内で隣接差分値が階調閾値を越える画素をエッジ画素として抽出する。媒体検出部153は、その水平ライン内で最初に検出されたエッジ画素、即ち最も左側に位置する画素を左端エッジ画素として抽出し、最後に検出されたエッジ画素、即ち最も右側に位置する画素を右端エッジ画素として抽出する。媒体検出部153は、幅方向A2において、抽出した左端エッジ画素及び右端エッジ画素に対応する第2撮像装置119の撮像位置を、媒体の端部の位置として検出する。
【0087】
このように、第2撮像装置119は、第2撮像装置119が配置された所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する幅方向A2における端部を検出するために使用される。
【0088】
媒体検出部153は、傾きセンサ114から受信した傾き信号に基づいて、媒体の端部を検出してもよい。その場合、媒体搬送装置1には、多数の傾きセンサ114が幅方向A2に間隔を空けて並べて配置される。媒体検出部153は、各傾きセンサ114から傾き信号を定期的に取得し、傾き信号の信号値が、媒体が存在することを示す傾きセンサ114の位置に媒体が存在すると判定する。媒体検出部153は、対向する位置に媒体が存在する傾きセンサ114のうち、最も左側に配置された傾きセンサ114の位置を媒体の左端の位置として検出し、最も右側に配置された傾きセンサ114の位置を媒体の右端の位置として検出する。
【0089】
次に、汚れ検出部154は、第1撮像装置118から第1部分画像を新たに受信したか否かを判定する(ステップS112)。第1部分画像を新たに受信していない場合、汚れ検出部154は、特に処理を実行せずにステップS114へ処理を移行する。
【0090】
一方、第1撮像装置118から第1部分画像を新たに受信した場合、汚れ検出部154は、搬送される媒体に含まれる汚れを検出し、検出した汚れの幅方向A2における領域を、汚れを検出した時刻と対応付けて第1記憶装置140に記憶する(ステップS113)。汚れ検出部154は、第1撮像装置118から受信した第1部分画像に基づいて、媒体の傾きを検出する。第1撮像装置118の光源から照射された紫外線又は赤外線は媒体で反射されて撮像センサで受光されるが、媒体に汚れが存在する場合、照射された紫外線又は赤外線はその汚れで吸収される。汚れ検出部154は、第1部分画像内で階調値が閾値以下である画素を汚れ画素として抽出する。閾値は、事前の実験により、汚れが含まれる画素の階調値と、汚れが含まれない画素の階調値との間の値に設定される。汚れ検出部154は、ラベリング等により相互に隣接する汚れ画素をグループ化し、グループ化した汚れ画素で囲まれた領域を汚れとして検出する。汚れ検出部154は、幅方向A2において、検出した汚れに対応する第1撮像装置118の撮像位置を、媒体に含まれる汚れの領域として検出する。
【0091】
汚れ検出部154は、第1部分画像を、搬送される媒体と同様のフォーマットを有し且つ汚れが付着していない媒体が撮像されたサンプル画像と比較することにより、汚れを検出してもよい。その場合、文字、罫線又は画像の配置位置が搬送される媒体と同様であり且つ汚れが付着していないサンプル媒体が撮像されたサンプル画像が第1記憶装置140に予め記憶される。汚れ検出部154は、第1部分画像内の各画素の画素値と、サンプル画像内の対応する画素の画素値との差の絶対値を算出し、算出した差の絶対値が閾値以上である画素を汚れ画素として抽出する。閾値は、事前の実験等により、対応する画素に汚れが含まれる場合の差の絶対値と、対応する画素に汚れが含まれない場合の差の絶対値との間の値に設定される。これにより、汚れ検出部154は、媒体に印刷された文字による影響を抑制し、より高精度に汚れを検出することができる。
【0092】
また、汚れ検出部154は、第2撮像装置119から受信した第2部分画像に基づいて、汚れを検出してもよい。例えば、媒体搬送装置1は、画像が入力された場合に入力された画像に汚れが含まれるか否かと、汚れが含まれる領域の位置とを出力するように事前学習された学習モデルを第1記憶装置140に記憶しておく。学習モデルは、ニューラルネットワーク等により、汚れが含まれる複数の正解画像及び/又は汚れが含まれない複数の不正解画像を用いて学習される。汚れ検出部154は、第2部分画像を学習モデルに入力し、学習モデルから出力された情報に基づいて、第2部分画像に汚れが含まれるか否かを判定し、汚れが含まれる領域を汚れとして検出する。この場合も、汚れ検出部154は、汚れを適切に検出することができる。
【0093】
次に、制御部151は、媒体の先端が紫外線の照射位置に到達しているか否かを判定する(ステップS114)。制御部151は、第1通信回路133、第2通信回路233及び第2処理回路250を介して第2媒体センサ213から第2媒体信号を定期的に取得する。制御部151は、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す場合に、媒体の先端が紫外線の照射位置に到達していると判定する。媒体の先端が紫外線の照射位置にまだ到達していない場合、制御部151は、特に処理を実行せずにステップS123へ処理を移行する。
【0094】
一方、媒体の先端が紫外線の照射位置に到達している場合、制御部151は、紫外線光源214に紫外線の照射を既に開始させているか否かを判定する(ステップS115)。
【0095】
紫外線光源214に紫外線の照射をまだ開始させていない場合、制御部151は、媒体搬送方向と直交する幅方向A2において紫外線光源214に紫外線を照射させる照射領域を決定する(ステップS116)。制御部151は、第2撮像装置119により検出された媒体の幅方向A2における端部と、傾き検出部152により検出された媒体の傾きと、第1記憶装置140に記憶された第2撮像装置119と紫外線光源214の間の媒体搬送方向A1における距離に関する情報とに基づいて、照射領域を決定する。
【0096】
制御部151は、第1記憶装置140から、ステップS110で記憶された媒体の傾きと、ステップS111で記憶された最新の媒体の端部の位置と、第2撮像装置119と紫外線光源214の間の媒体搬送方向A1における距離に関する情報とを読み出す。制御部151は、以下の式(1)により、媒体の幅方向A2におけるずれ量Wを算出する。
W=D2・tanθ (1)
ここで、D2は第2撮像装置119の撮像位置P2と紫外線光源214の照射位置P3の間の距離であり、θは媒体の傾きである。制御部151は、撮像位置P2における媒体の各端部の位置から、ずれ量Wだけ、媒体の進行が遅れている側にずらした位置で挟まれた領域を、照射領域として決定する。
【0097】
図8(A)は、照射領域について説明するための模式図である。
図8(A)は、媒体M1が傾いた状態で搬送されている様子を示す。
【0098】
図8(A)に示すように、媒体M1が傾いた状態で搬送されている場合、媒体の端部が検出された撮像位置P2と媒体に紫外線を照射させる照射位置P3とで、媒体の端部の幅方向A2における位置がずれる。そのため、照射位置P3において、撮像位置P2で検出された媒体の領域に紫外線を照射させると、媒体の一部(
図8(A)に示す例では照射器L3と対向する領域)に紫外線が照射されず、媒体の除菌が実施されない可能性がある。また、その場合、媒体が存在しない領域(
図8(A)に示す例では照射器L19と対向する領域)に紫外線が照射され、電力が無駄に消費されるとともに、その領域に対向するガイドが紫外線により劣化する可能性がある。一方、媒体搬送装置1は、媒体の傾きθに相当するずれ量Wだけ照射領域をずらすことにより、照射位置P3において、媒体が存在する領域のみに紫外線を照射させることができる。これにより、媒体搬送装置1は、媒体が傾いて搬送される場合でも、媒体の全ての範囲に除菌を実施するとともに、電力の無駄な消費及びガイド部材の劣化を抑制することができる。
【0099】
次に、制御部151は、紫外線光源214による紫外線の照射を開始させ(ステップS117)、ステップS120へ処理を移行する。制御部151は、紫外線光源214による紫外線の照射を制御するための制御信号を、第1通信回路133を介して第2処理回路250に送信する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して制御信号を受信した場合、受信した制御信号に従って紫外線光源214を制御する。制御部151は、決定した照射領域に紫外線を照射させるように、紫外線光源214の照射を制御する。制御部151は、紫外線光源214に含まれる複数の照射器のうち決定した照射領域内に配置された照射器に紫外線を照射させる。これにより、媒体搬送装置1は、適切な領域に紫外線を照射することができ、媒体の全ての範囲に除菌を実施するとともに、電力の無駄な消費及びガイド部材の劣化を抑制することができる。
【0100】
一方、ステップS115において、紫外線光源214に紫外線の照射を既に開始させていた場合、制御部151は、前回、照射領域を決定してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS118)。所定時間は、例えば第2部分画像(又は第1部分画像)が生成される間隔に設定される。前回、照射領域を決定してから所定時間が経過していない場合、制御部151は、特に処理を実行せずに、ステップS120へ処理を移行する。
【0101】
一方、前回、照射領域を決定してから所定時間が経過している場合、制御部151は、媒体搬送方向と直交する幅方向A2において紫外線光源214に紫外線を照射させる照射領域を更新する(ステップS119)。制御部151は、ステップS116の処理と同様にして、媒体検出部153により検出された、最新の媒体の幅方向A2における端部から、照射領域を決定する。また、制御部151は、ステップS117の処理と同様にして、決定した照射領域に紫外線を照射させるように、紫外線光源214の照射を制御する。
【0102】
次に、制御部151は、汚れ検出部154により検出された汚れが紫外線光源214を通過しているか否かを判定する(ステップS120)。制御部151は、汚れ検出部154により汚れが検出された時刻と、第1記憶装置140に記憶された第1撮像装置118と紫外線光源214の間の媒体搬送方向A1における距離に関する情報とに基づいて汚れが紫外線光源214を通過しているか否かを判定する。制御部151は、第1撮像装置118の撮像位置P1と紫外線光源214の照射位置P3の間の距離D1を、媒体の搬送速度で除算した時間を算出する。制御部151は、第1記憶装置140を参照し、現在時刻より、算出した時間だけ前に、汚れ検出部154により検出された汚れが存在するか否かにより、汚れが紫外線光源214を通過しているか否かを判定する。
【0103】
図8(B)は、媒体に含まれる汚れについて説明するための模式図である。
図8(B)は、汚れNを含む媒体M2が搬送されている様子を示す。
【0104】
図8(B)に示すように、汚れNを含む媒体M2が搬送されている場合、汚れNは、第1撮像装置118で検出されてから、媒体M2が撮像位置P1と照射位置P3の間の距離D1分だけ搬送された時に、照射位置P3に到達する。
【0105】
汚れが紫外線光源214を通過している場合、制御部151は、第1モータ131及び第2モータ231による媒体の搬送速度を基準速度より低い低減速度に設定する(ステップS121)。制御部151は、第2モータ231による媒体の搬送速度を設定するための制御信号を、第1通信回路133を介して第2処理回路250に送信する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して制御信号を受信した場合、受信した制御信号に従って、第2モータ231による媒体の搬送速度を設定する。
【0106】
このように、制御部151は、汚れ検出部154により検出された汚れが紫外線光源214を通過している間、媒体の搬送速度を低下させる。これにより、媒体搬送装置1は、媒体内で汚れが存在する領域に照射される単位面積当たりの紫外線の量を増大させて、媒体に含まれる汚れとともに、汚れに含まれる菌又はウィルスを良好に除去することができる。制御部151は、媒体の搬送速度を低下させた旨、及び、媒体の搬送速度を低下させていた時刻(媒体の搬送を開始してからの経過時間)を第1記憶装置140に記憶しておく。
【0107】
一方、汚れが紫外線光源214を通過していない場合、制御部151は、第1モータ131及び第2モータ231による媒体の搬送速度を基準速度に設定する(ステップS122)。この場合も、制御部151は、第2モータ231による媒体の搬送速度を設定するための制御信号を、第1通信回路133を介して第2処理回路250に送信する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して制御信号を受信した場合、受信した制御信号に従って、第2モータ231による媒体の搬送速度を設定する。これにより、制御部151は、ステップS121において媒体の搬送速度を低下させていた場合、汚れが紫外線光源214を通過した後、媒体の搬送速度を基準速度に戻す。
【0108】
次に、制御部151は、媒体の後端が撮像終了位置を初めて通過したか否かを判定する(ステップS123)。制御部151は、例えば第1媒体センサ117から第1媒体信号を定期的に取得し、第1媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化した時に、媒体の後端が第1媒体センサ117の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が第1媒体センサ117の位置を通過してから所定時間が経過した時に、媒体の後端が撮像終了位置を通過したと判定する。所定時間は、媒体が第1媒体センサ117の位置から第2撮像装置119の撮像位置P2まで移動するのに要する時間に設定される。媒体の後端が撮像終了位置をまだ通過していない場合、又は、媒体の先端が撮像終了位置を既に通過していた場合、制御部151は、特に処理を実行せずにステップS128へ処理を移行する。
【0109】
一方、媒体の後端が撮像終了位置を初めて通過した場合、画像生成部155は、第1撮像装置118及び第2撮像装置119に撮像を終了させる。画像生成部155は、現在までに第1記憶装置140に記憶された部分画像を結合して入力画像を生成し、生成した入力画像を第1記憶装置140に記憶する(ステップS124)。このように、画像生成部155は、搬送される媒体が撮像された入力画像を生成する。
【0110】
次に、補正部156は、ステップS121において媒体の搬送速度が低下されていたか否かを判定する(ステップS125)。補正部156は、第1記憶装置140を参照し、制御部151が媒体の搬送速度を低下させていたか否かを判定する。媒体の搬送速度が低下されていなかった場合、補正部156は、特に処理を実行せずに、ステップS127へ処理を移行する。
【0111】
一方、媒体の搬送速度が低下されていた場合、補正部156は、搬送速度の低下により入力画像に発生する伸びを補正する(ステップS126)。補正部156は、第1記憶装置140を参照し、媒体の搬送速度を低下させていた時刻(媒体の搬送を開始してからの経過時間)から、入力画像内で、媒体の搬送速度を低下させていた時に撮像された領域を特定する。補正部156は、入力画像内の特定された領域に対して、副走査方向における画像の間引き処理を行い、その領域の副走査方向における画素数が、搬送速度を変更していなかった場合の画素数と同一になるように、入力画像を補正する。補正部156は、最近傍補間又は線形補間等の補間処理により、入力画像を補正してもよい。これにより、媒体搬送装置1は、媒体の汚れを良好に除去しつつ、入力画像を良好に生成することができる。また、媒体搬送装置1は、第2撮像装置119による画像の撮像タイミングを変更することなく、伸びが発生していない入力画像を生成でき、良好な入力画像を簡易に生成できる。
【0112】
媒体搬送装置1は、何れかのローラの回転量を検出するためのエンコーダ、又は、媒体の移動量を検出するための光センサ、接触センサもしくはエンコーダ等のセンサを有し、補正部156は、センサからの出力信号に基づいて媒体の搬送速度を検出してもよい。補正部156は、基準速度に対する、検出した搬送速度の比から画像の伸び率を算出し、画像の伸び率が1になるように、入力画像を補正する。また、補正部156は、搬送速度の加減速領域(スルーイング領域)を考慮して、入力画像を副走査方向に複数の領域に分割し、分割した領域毎に、画像の伸び率を算出して入力画像を補正してもよい。これにより、媒体搬送装置1は、入力画像に発生する伸びをより良好に補正することができる。
【0113】
次に、制御部151は、ステップS124で生成された入力画像又はステップS126で補正された入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS127)。
【0114】
次に、制御部151は、媒体の後端が紫外線の照射位置P3を通過したか否かを判定する(ステップS128)。制御部151は、例えば第1通信回路133、第2通信回路233及び第2処理回路250を介して第2媒体センサ213から第2媒体信号を定期的に取得する。制御部151は、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化した時に、媒体の後端が第2媒体センサ213の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が第2媒体センサ213の位置を通過してから所定時間が経過した時に、媒体の後端が紫外線の照射位置P3を通過したと判定する。所定時間は、媒体が第2媒体センサ213の位置から紫外線光源214の照射位置P3まで移動するのに要する時間に設定される。媒体の後端が紫外線の照射位置をまだ通過していない場合、制御部151は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104以降の処理を繰り返す。
【0115】
一方、媒体の後端が紫外線の照射位置P3を通過した場合、制御部151は、紫外線光源214による紫外線の照射を終了させる(ステップS129)。
【0116】
次に、制御部151は、載置センサ111から受信する載置信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS130)。
【0117】
載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、給送ローラ112を再回転させるように第1モータ131を制御する(ステップS131)。これにより、制御部151は、次の媒体の給送を開始させる。次に、制御部151は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104以降の処理を繰り返す。
【0118】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、第1モータ131を停止して給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ115、第1従動ローラ116、第2搬送ローラ120及び/又は第2従動ローラ121を停止させる。また、制御部151は、第2モータ231を停止させるための制御信号を、第1通信回路133を介して第2処理回路250に送信する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して制御信号を受信した場合、第2モータ231を停止して第3搬送ローラ211、第3従動ローラ212、第4搬送ローラ215及び/又は第4従動ローラ216を停止させる。これにより、制御部151は、媒体の搬送を停止させる(ステップS132)。次に、制御部151は、ステップS101へ処理を戻し、ステップS101以降の処理を繰り返す。
【0119】
なお、ステップS125~S126の処理は省略されてもよい。その場合、ステップS112~S113、S120~S122の処理も省略されてもよい。また、ステップS109~S111の処理が省略され、ステップS116、S119において、制御部151は、紫外線光源214が有する全ての照射器に対応する領域を照射領域として決定してもよい。また、媒体搬送装置1は、媒体内で汚れが存在する可能性が高い領域を予め設定しておき、ステップS120において、予め設定された領域が紫外線光源214を通過しているか否かを判定してもよい。
【0120】
以上詳述したように、媒体搬送装置1は、媒体搬送方向A1において媒体を検出するためのセンサより下流側に配置された紫外線光源214による紫外線の照射領域を、媒体の傾きを考慮して決定する。これにより、媒体搬送装置1は、搬送される媒体に紫外線をより正確に照射することが可能となった。
【0121】
したがって、媒体搬送装置1は、搬送される媒体の除菌を効率良く実施するとともに、電力の無駄な消費及びガイド部材の劣化を抑制することが可能となった。また、媒体搬送装置1は、媒体の除菌に要する時間の増大及び発熱量の増大を抑制することが可能となった。これにより、媒体搬送装置1は、紫外線光源214として、ランプと比較して発光効率及び発光量が低く且つ消費電力が高いLEDを利用しても、トータルとして媒体の除菌に要する時間の増大及び発熱量の増大を抑制することが可能となった。そのため、媒体搬送装置1は、紫外線光源214としてLEDを利用して、水銀フリー化、装置寿命の増大、及び、装置サイズの低減を図ることが可能となった。
【0122】
また、媒体搬送装置1は、媒体全体を撮像した入力画像を用いるのでなく、第2部分画像単位で媒体の幅方向A2における端部(領域)を特定し、紫外線を照射させる領域を決定する。そのため、媒体搬送装置1は、媒体全体が媒体の端部(領域)を特定するためのセンサ(第2撮像装置119)を通過するまで待つことなく、紫外線の照射領域を決定することができ、第2撮像装置119を紫外線光源214の近傍に配置することができる。したがって、媒体搬送装置1は、媒体搬送路を長くすることなく、紫外線の照射領域を適切に決定できるため、装置サイズの増大を抑制できる。
【0123】
図9は、他の実施形態に係る媒体搬送装置1の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【0124】
図9に示したフローチャートは、
図6に示したフローチャートの代わりに実行される。
図9のステップS201~S208、S210~S211の処理は、
図6のステップS101~S108、S112~S113の処理と同様であるため、説明を省略し、以下では、ステップS209についてのみ説明する。
図9に示したフローチャートでは、
図6のステップS109~S110の処理は省略される。
【0125】
ステップS208で制御部151が第2部分画像を記憶した後、媒体検出部153は、搬送される媒体の、媒体搬送方向と直交する幅方向A2における領域を検出する。媒体検出部153は、検出した領域の位置を、その領域の位置を検出した時刻と対応付けて第1記憶装置140に記憶する(ステップS209)。媒体検出部153は、第2撮像装置119から受信した第2部分画像に基づいて、幅方向A2における媒体の領域を検出する。媒体検出部153は、ステップS111の処理と同様にして、第2部分画像内で左端エッジ画素及び右端エッジ画素を抽出する。媒体検出部153は、幅方向A2において、抽出した左端エッジ画素及び右端エッジ画素で挟まれた領域に対応する第2撮像装置119の撮像領域を媒体の領域として検出する。
【0126】
ステップS209の処理は、媒体が、第2撮像装置119が配置された所定の位置を通過する間、繰り返し実行される。即ち、第2撮像装置119は、媒体がその所定の位置を通過する間、その所定の位置を通過する媒体の媒体搬送方向と直交する幅方向A2における領域を繰り返し検出するために使用される。
【0127】
媒体検出部153は、傾きセンサ114から受信した傾き信号に基づいて、媒体の領域を検出してもよい。その場合、媒体検出部153は、
図9のステップS111の処理において説明したように、媒体の左端及び右端の位置を検出し、検出した左端及び右端で挟まれた領域を媒体の領域として検出する。
【0128】
図9に示したフローチャートが実行される場合、
図7のステップS116、S119において、制御部151は、媒体検出部153が検出した領域に基づいて、媒体搬送方向と直交する幅方向A2において紫外線光源214に紫外線を照射させる照射領域を決定する。制御部151は、媒体検出部153により検出された媒体の領域と、その領域が検出された時刻と、第1記憶装置140に記憶された第2撮像装置119と紫外線光源214の間の媒体搬送方向A1における距離に関する情報とに基づいて、照射領域を決定する。制御部151は、第2撮像装置119の撮像位置P2と紫外線光源214の照射位置P3の間の距離D2を、媒体の搬送速度で除算した時間を算出する。制御部151は、第1記憶装置140を参照し、現在時刻より、算出した時間だけ前に、媒体検出部153により検出された媒体の領域を、照射領域に決定する。
【0129】
図8(A)に示すように、媒体M1が傾いて搬送されている場合、媒体の領域が検出された撮像位置P2と媒体に紫外線を照射させる照射位置P3とで、媒体の領域の幅方向A2における位置がずれる。第2撮像装置119で検出された領域は、撮像位置P2と照射位置P3の間の距離D2分だけ搬送された時に、照射位置P3に到達する。
【0130】
制御部151は、第2撮像装置119により検出された領域が紫外線光源214の位置に到達するたびに、媒体搬送方向と直交する幅方向A2において紫外線光源214に紫外線を照射させる照射領域を、その検出された領域に決定する。媒体搬送装置1は、媒体が撮像位置P2と照射位置P3の間の距離D2分だけ搬送される前に、撮像位置P2で検出された領域を照射領域とすることにより、照射位置P3において、媒体が存在する領域のみに紫外線を照射させることができる。これにより、媒体搬送装置1は、媒体が傾いて搬送される場合でも、媒体の全ての範囲に除菌を実施するとともに、電力の無駄な消費及びガイド部材の劣化を抑制することができる。また、媒体搬送装置1は、タブ付き媒体、一部が破れた媒体、又は、一部が折れた媒体が搬送される場合でも、媒体の全ての範囲に除菌を実施するとともに、電力の無駄な消費及びガイド部材の劣化を抑制することができる。
【0131】
以上詳述したように、媒体搬送装置1は、所定時間だけ前に第2撮像装置119により検出された媒体の領域を紫外線光源214の照射領域に決定する場合も、搬送される媒体に紫外線をより正確に照射することが可能となった。
【0132】
図10は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置1の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【0133】
図10に示したフローチャートは、
図6又は
図9に示したフローチャートの後に、
図7に示したフローチャートの代わりに実行される。
図10のステップS314~S320、S324~S325、S326~S331の処理は、
図7のステップS114~S120、S123~S124、S127~S132の処理と同様であるため、説明を省略する。以下では、ステップS321~S323についてのみ説明する。
図10に示したフローチャートでは、
図7のステップS125~S126の処理は省略される。
【0134】
ステップS320で汚れが紫外線光源214を通過していると判定した場合、制御部151は、媒体搬送方向と直交する幅方向A2において紫外線の照射量を増大させる高照射領域を決定する(ステップS321)。制御部151は、汚れ検出部154により汚れが検出された領域及びその汚れが検出された時刻と、第1記憶装置140に記憶された第1撮像装置118と紫外線光源214の間の媒体搬送方向A1における距離に関する情報とに基づいて、高照射領域を決定する。制御部151は、第1記憶装置140を参照し、現在時刻より、ステップS320(S120)で算出した時間だけ前に、汚れ検出部154により検出された汚れの領域を高照射領域に決定する。
【0135】
図8(B)に示したように、汚れNを含む媒体M2が搬送されている場合、汚れNは、第1撮像装置118で検出されてから、媒体M2が撮像位置P1と照射位置P3の間の距離D1分だけ搬送された時に、照射位置P3に到達する。媒体M2が傾いているか否かに関わらず、媒体は媒体搬送方向A1に沿って搬送される可能性が高いため、幅方向A2における汚れNの位置は、汚れNが第1撮像装置118を通過する時と、紫外線光源214を通過する時とで変化しない可能性が高い。したがって、幅方向A2において第1撮像装置118により汚れNが検出された領域R自体(
図8(B)に示す例では照射器L12、L13と対向する領域)が高照射領域に決定される。
【0136】
次に、制御部151は、紫外線光源214に含まれる複数の照射器のうち、決定した高照射領域内に存在する照射器による紫外線の照射量を増大させる(ステップS322)。制御部151は、決定した高照射領域内に存在する照射器による紫外線の照射量を、ステップS317において照射させた基準量より大きい照射量に変更する。制御部151は、決定した高照射領域に存在する照射器による紫外線の照射量を増大させるための制御信号を、第1通信回路133を介して第2処理回路250に送信する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して制御信号を受信した場合、受信した制御信号において指定された照射器による紫外線の照射量を増大させるように、紫外線光源214を制御する。
【0137】
このように、制御部151は、汚れ検出部154により検出された汚れが紫外線光源214を通過している間、紫外線光源214による紫外線の照射量を増大させる。これにより、媒体搬送装置1は、媒体内で汚れが存在する領域に大量の紫外線を照射させて、媒体に含まれる汚れとともに、汚れに含まれる菌又はウィルスを良好に除去することができる。特に、媒体搬送装置1は、媒体の搬送速度を変更することなく媒体の汚れを除去できるため、入力画像への影響の発生を抑制しつつ媒体の汚れを除去できる。
【0138】
また、制御部151は、汚れ検出部154により検出された汚れが紫外線光源214を通過している間、紫外線光源214に含まれる複数の照射器のうち、その汚れに対向する照射器による紫外線の照射量を増大させる。これにより、媒体搬送装置1は、電力の無駄な消費を抑制しつつ、媒体の汚れを良好に除去することができる。
【0139】
一方、ステップS320で汚れが紫外線光源214を通過していないと判定した場合、制御部151は、紫外線光源214に含まれる全ての照射器による紫外線の照射量を基準量に設定する(ステップS323)。制御部151は、全ての照射器による紫外線の照射量を基準量に設定するための制御信号を、第1通信回路133を介して第2処理回路250に送信する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して制御信号を受信した場合、全ての照射器による紫外線の照射量を基準量にするように、紫外線光源214を制御する。これにより、制御部151は、ステップS322において汚れに対向する照射器による照射量を増大させていた場合、汚れが紫外線光源214を通過した後、その照射器による照射量を基準量に戻す。
【0140】
なお、ステップS321の処理は省略され、制御部151は、汚れが紫外線光源214を通過している間、紫外線光源214に含まれる全ての照射器による紫外線の照射量を増大させてもよい。また、媒体搬送装置1は、媒体内で汚れが存在する可能性が高い領域を予め設定しておき、ステップS320において、予め設定された領域を高照射領域に決定してもよい。
【0141】
以上詳述したように、媒体搬送装置1は、汚れが紫外線光源214を通過している間、紫外線の照射量を増大させる場合も、搬送される媒体に紫外線をより正確に照射することが可能となった。
【0142】
図11は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における紫外線光源314について説明するための模式図である。
【0143】
図11に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、紫外線光源214の代わりに、紫外線光源314を有する。紫外線光源314は、表面紫外線光源314a及び裏面紫外線光源を有する。裏面紫外線光源の構成は、表面紫外線光源314aの構成と同様であるため、以下では代表して、表面紫外線光源314aについて説明する。表面紫外線光源314aは、複数の照射器L1~L20に加えて、複数の照射器L21~L40を含む。複数の照射器L1~L20のグループと、複数の照射器L21~L40のグループとは、媒体搬送方向A1に間隔を空けて並べて配置され、それぞれ紫外線を照射する。
【0144】
本実施形態に係る媒体搬送装置は、
図6及び
図10に示したフローチャート又は
図9及び
図10に示したフローチャートを実行する。但し、
図10のステップS317において、制御部151は、紫外線光源314に含まれる複数の照射器のうち、媒体搬送方向A1において同一位置に配置された一方のグループに含まれる照射器のみに紫外線を照射させ、他方のグループに含まれる照射器には紫外線を照射させない。制御部151は、一方のグループに含まれる照射器のみに紫外線を照射させ且つ他方のグループに含まれる照射器には紫外線を照射させないための制御信号を、第1通信回路133を介して第2処理回路250に送信する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して制御信号を受信した場合、受信した制御信号で指定された照射器に紫外線を照射させるように、紫外線光源214を制御する。
【0145】
図10のステップS322において、制御部151は、ステップS317で紫外線を照射させた一方のグループに含まれる照射器の照射量を変更しない。但し、制御部151は、ステップS317で紫外線を照射させなかった他方のグループに含まれる照射器のうち、決定した高照射領域内に存在する照射器にも紫外線を照射させる。制御部151は、一方のグループに含まれる全ての照射器と、他方のグループに含まれ且つ高照射領域内に存在する照射器とに紫外線を照射させるための制御信号を、第1通信回路133を介して第2処理回路250に送信する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して制御信号を受信した場合、受信した制御信号で指定された照射器に紫外線を照射させるように、紫外線光源214を制御する。
【0146】
即ち、制御部151は、汚れ検出部154により検出された汚れが紫外線光源314を通過している間、紫外線を照射させる照射器の数を増大させる。これにより、媒体搬送装置1は、媒体内で汚れが存在する領域に大量の紫外線を照射させて、媒体の汚れを良好に除去することができる。特に、媒体の搬送速度を変更することなく媒体の汚れを除去でき、入力画像への影響を抑制しつつ媒体の汚れを除去できる。
【0147】
また、制御部151は、汚れ検出部154により検出された汚れが紫外線光源314を通過している間、媒体搬送方向と直交する幅方向A2において汚れと対向する領域では、汚れと対向しない領域より、紫外線を照射させる照射器の数を増大させる。これにより、媒体搬送装置1は、電力の無駄な消費を抑制しつつ、媒体の汚れを良好に除去することができる。
【0148】
一方、
図10のステップS323では、制御部151は、ステップS317の処理と同様に、一方のグループに含まれる照射器のみに紫外線を照射させ、他方のグループに含まれる照射器には紫外線を照射させない。これにより、制御部151は、ステップS322において紫外線を照射させる照射器の数を増大させていた場合、汚れが紫外線光源214を通過した後、紫外線を照射させる照射器の数を戻す。
【0149】
なお、ステップS321の処理は省略され、制御部151は、汚れが紫外線光源314を通過している間、紫外線光源314に含まれる全ての照射器に紫外線を照射させてもよい。その場合、表面紫外線光源314aは、複数の照射器L1~L20に代えて、幅方向A2に延伸する単一の照射器を有し、且つ、複数の照射器L21~L40に代えて、幅方向A2に延伸する単一の照射器を有してもよい。即ち、表面紫外線光源314aは、媒体搬送方向A1の相互に異なる複数の位置において、それぞれ単一の照射器のみを有していてもよい。
【0150】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、媒体搬送方向A1に複数の照射器を並べて配置する場合も、搬送される媒体に紫外線をより正確に照射することが可能となった。
【0151】
図12(A)、(B)は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における紫外線光源414について説明するための模式図である。
【0152】
図12(A)、(B)に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、紫外線光源214の代わりに、紫外線光源414を有する。紫外線光源414は、表面紫外線光源414a及び裏面紫外線光源を有する。裏面紫外線光源の構成は、表面紫外線光源414aの構成と同様であるため、以下では代表して、表面紫外線光源414aについて説明する。表面紫外線光源414aは、単一の照射器L及び案内部材Gを含む。案内部材Gは、レール等であり、媒体搬送方向と直交する幅方向A2に沿って延伸する。照射器Lは、案内部材Gに沿って媒体搬送方向と直交する幅方向A2に移動可能に設けられ、第2モータ231に含まれるモータからの駆動力に従って幅方向A2に移動する。照射器Lは、ソレノイド等のモータ以外の駆動装置により幅方向A2に移動可能に設けられてもよい。また、表面紫外線光源414aは、複数の照射器を含んでもよい。
【0153】
本実施形態に係る媒体搬送装置は、
図6及び
図7に示したフローチャート又は
図9及び
図7に示したフローチャートを実行する。但し、
図7のステップS117及びS119において、制御部151は、媒体搬送方向と直交する幅方向A2において、決定した照射領域内で照射器を移動させることにより、決定した照射領域に紫外線を照射させるように紫外線光源414の照射を制御する。制御部151は、紫外線光源414による紫外線の照射を制御するための制御信号を、第1通信回路133を介して第2処理回路250に送信する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して制御信号を受信した場合、受信した制御信号に従って第2モータ231を駆動し、紫外線光源414を制御する。これにより、媒体搬送装置は、紫外線光源414が有する照射器の数を少なくすることができ、装置コスト及び消費電力の低減を図ることができる。この場合も、媒体搬送装置は、適切な領域に紫外線を照射することができ、媒体の全ての範囲に除菌を実施するとともに、電力の無駄な消費及びガイド部材の劣化を抑制することができる。
【0154】
なお、制御部151は、照射器が、汚れと対向する領域を通過しているときは、汚れと対向しない領域を通過しているときより、照射器による紫外線の照射量を増大させてもよい。また、制御部151は、照射器が、汚れと対向する領域を通過しているときは、汚れと対向しない領域を通過しているときより、幅方向A2における照射器の移動速度を低減させてもよい。また、制御部151は、幅方向A2において、照射器が、汚れと対向する領域を通過する頻度が、汚れと対向しない領域を通過する頻度より高くなるように、照射器を移動させてもよい。また、制御部151は、後述する処理と同様にして、媒体の後端が紫外線の照射位置を通過した後に、媒体を媒体搬送方向A1の反対方向に搬送(逆搬送)させてもよい。その場合、制御部151は、媒体の後端が最初に紫外線の照射位置を通過するまでは、照射器を幅方向A2における全範囲内で移動させ、媒体を逆搬送させてからは、幅方向A2において照射器を移動させる範囲を、汚れと対向する領域に限定してもよい。または、制御部151は、媒体を逆搬送させてからは、幅方向A2において、照射器が、汚れと対向する領域を通過する頻度が、汚れと対向しない領域を通過する頻度より高くなるように、照射器を移動させてもよい。これにより、媒体搬送装置は、媒体に含まれる汚れとともに、汚れに含まれる菌又はウィルスを効率良く除去することができる。
【0155】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、紫外線光源414の照射器を幅方向A2に移動させる場合も、搬送される媒体に紫外線をより正確に照射することが可能となった。
【0156】
図13(A)、(B)は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における紫外線光源514について説明するための模式図である。
【0157】
図13(A)、(B)に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、紫外線光源214の代わりに、紫外線光源514を有する。紫外線光源514は、表面紫外線光源514a及び裏面紫外線光源を有する。裏面紫外線光源の構成は、表面紫外線光源514aの構成と同様であるため、以下では代表して、表面紫外線光源514aについて説明する。表面紫外線光源514aは、紫外線光源214の表面紫外線光源214aと同様に、媒体搬送方向と直交する幅方向A2に間隔を空けて配置された複数の照射器L1~L20を含む。幅方向A2における相互に隣接する二つの照射器の間の間隔は、各照射器の幅方向A2の長さと略同一である。幅方向A2における相互に隣接する二つの照射器の間の間隔は、各照射器の幅方向A2の長さより長くてもよいし、短くてもよい。表面紫外線光源514a、即ち表面紫外線光源514に含まれる各照射器は、
図13(A)に示す第1位置と、
図13(B)に示す第2位置との間で、媒体搬送方向と直交する幅方向A2に移動可能に設けられる。
【0158】
図14(A)~(C)は、表面紫外線光源514aの駆動機構について説明するための模式図である。
図14(A)~(C)は、紫外線照射装置200の第2下側筐体201内部における、表面紫外線光源514a及び第4従動ローラ216の回転軸であるシャフト216aの幅方向A2の端部の周辺を示している。
【0159】
図14(A)~(C)に示すように、表面紫外線光源514aの幅方向A2における端部にはアーム514bが設けられ、アーム514bの先端には係合部514cが設けられる。一方、シャフト216aの表面の幅方向A2における端部には、第1溝部216b及び第2溝部216cが、シャフト216aの円周方向に沿って、且つ、相互に間隔を空けて形成される。第1溝部216bと第2溝部216cの間には、第1溝部216b及び第2溝部216cにわたり、且つ、シャフト216aの軸方向に対して斜めに延伸する第3溝部216dが形成される。係合部514cは、第1溝部216b、第2溝部216c及び第3溝部216dに沿って移動可能に、各溝部に係合している。
【0160】
第3溝部216dの両端(第1溝部216b及び第2溝部216cのそれぞれとつながる部分)には、第1ストッパ216e及び第2ストッパ216fが回転可能に設けられる。第1ストッパ216e及び第2ストッパ216fには、それぞれ第1ねじりコイルばね216g及び第2ねじりコイルばね216hにより、矢印B1及び矢印B2に向かう力が付与されている。第1ストッパ216e及び第2ストッパ216fは、不図示の係止部に当接し、
図14(A)~(C)に示す位置で停止するように設けられる。
【0161】
表面紫外線光源514aが
図13(A)及び
図14(A)に示す第1位置(左側)に配置されている場合、係合部514cは、第1溝部216bに係合するように配置される。この状態で、第4従動ローラ216のシャフト216aが矢印B3の方向に回転(正回転)した場合、係合部514cは、第1ストッパ216eに当接し、
図14(B)に示すように第3溝部216dに沿って右側に移動する。その後、係合部514cは、
図14(C)に示すように、第2溝部216cに到達し、第2溝部216cに係合する。これにより、表面紫外線光源514aは
図13(B)及び
図14(C)に示す第2位置(右側)に配置される。この状態で、シャフト216aが矢印B3の方向に回転し続けると、シャフト216aが一周回転した後に、係合部514cが第2ストッパ216fに当接する。この場合、係合部514cが第2ストッパ216fを押圧する矢印B2の反対方向の力が、第2ねじりコイルばね216hが第2ストッパ216fを押圧する矢印B2の方向の力を越える。これにより、第2ストッパ216fは矢印B2の反対方向に移動し、シャフト216aは矢印B3の方向に回転し続ける。
【0162】
この状態で、第4従動ローラ216のシャフト216aが矢印B3の反対方向に回転(逆回転)した場合、係合部514cは、第2ストッパ216fに当接し、
図14(B)に示すように第3溝部216dに沿って左側に移動する。その後、係合部514cは、
図14(A)に示すように、第1溝部216bに到達し、第1溝部216bに係合する。これにより、表面紫外線光源514aは
図13(A)及び
図14(A)に示す第1位置(左側)に配置される。この状態で、シャフト216aが矢印B3の反対方向に回転し続けると、シャフト216aが一周回転した後に、係合部514cが第1ストッパ216eに当接する。この場合、係合部514cが第1ストッパ216eを押圧する矢印B1の反対方向の力が、第1ねじりコイルばね216gが第1ストッパ216eを押圧する矢印B1の方向の力を越える。これにより、第1ストッパ216eは矢印B2の方向に移動し、シャフト216aは矢印B3の反対方向に回転し続ける。
【0163】
このように、表面紫外線光源514aは、第4従動ローラ216の回転軸であるシャフト216aの回転に連動して、幅方向A2に移動する。なお、裏面紫外線光源は、表面紫外線光源514aと同様に、第4搬送ローラ215の回転軸であるシャフトの回転に連動して、幅方向A2に移動する。これにより、媒体搬送装置1は、駆動装置を有することなく、紫外線光源514を幅方向A2に移動させることができ、装置コスト及び装置重量の増大を抑制しつつ、媒体に効率よく紫外線を照射することができる。
【0164】
なお、紫外線光源514(紫外線光源514に含まれる各照射器)は、ローラを駆動するためのモータとは別個に設けられたモータ又はソレノイドからの駆動力に従って幅方向A2に移動するように設けられてもよい。
【0165】
図15は、本実施形態に係る媒体搬送装置の媒体読取処理の動作の一部の例を示すフローチャートである。
【0166】
図15に示したフローチャートは、
図6又は
図9に示したフローチャートの後に、
図7に示したフローチャートの代わりに実行される。
図15のステップS414~S428、S432~S434の処理は、
図7のステップS114~S128、S129~S131の処理と同様であるため、説明を省略し、以下では、ステップS429~S431についてのみ説明する。
【0167】
媒体の搬送中、第4搬送ローラ215は
図2の矢印A8の方向に回転しており、第4従動ローラ216は第4搬送ローラ215に従動して
図14(A)の矢印B3の方向に回転している。これにより、紫外線光源514は、
図13(B)及び
図14(C)に示す第2位置に配置されている。したがって、媒体の搬送中、幅方向A2において、媒体の、第2位置に配置された紫外線光源514に含まれる照射器と対向する領域に紫外線が照射されている。
【0168】
ステップS428において、媒体の後端が紫外線の照射位置を通過したと判定した場合、制御部151は、第1モータ131を駆動して第1搬送ローラ115、第1従動ローラ116、第2搬送ローラ120及び/又は第2従動ローラ121を逆回転させる。また、制御部151は、第3搬送ローラ211、第3従動ローラ212、第4搬送ローラ215及び/又は第4従動ローラ216を逆回転させるための制御信号を、第1通信回路133を介して第2処理回路250に送信する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して制御信号を受信した場合、第2モータ231を駆動して第3搬送ローラ211、第3従動ローラ212、第4搬送ローラ215及び/又は第4従動ローラ216を逆回転させる。これにより、制御部151は、媒体を媒体搬送方向A1の反対方向に搬送(逆搬送)させる(ステップS429)。
【0169】
第4搬送ローラ215が
図2の矢印A8の反対方向に回転し、第4従動ローラ216が第4搬送ローラ215に従動して
図14(C)の矢印B3の反対方向に回転することにより、紫外線光源514は、
図13(A)及び
図14(A)に示す第1位置に配置される。したがって、媒体の逆搬送中、幅方向A2において、搬送される媒体の、第1位置に配置された紫外線光源514に含まれる照射器と対向する領域に紫外線が照射される。
【0170】
次に、制御部151は、逆搬送される媒体の先端が紫外線の照射位置を通過したか否かを判定する(ステップS430)。制御部151は、例えば第1通信回路133、第2通信回路233及び第2処理回路250を介して第2媒体センサ213から第2媒体信号を定期的に取得する。制御部151は、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化した時に、逆搬送される媒体の先端が第2媒体センサ213の位置を通過したと判定する。
【0171】
次に、制御部151は、第1モータ131を駆動して第1搬送ローラ115、第1従動ローラ116、第2搬送ローラ120及び/又は第2従動ローラ121を正回転させる。また、制御部151は、第3搬送ローラ211、第3従動ローラ212、第4搬送ローラ215及び/又は第4従動ローラ216を正回転させるための制御信号を、第1通信回路133を介して第2処理回路250に送信する。第2処理回路250は、第2通信回路233を介して制御信号を受信した場合、第2モータ231を駆動して第3搬送ローラ211、第3従動ローラ212、第4搬送ローラ215及び/又は第4従動ローラ216を正回転させる。これにより、制御部151は、媒体を媒体搬送方向A1に再搬送させる(ステップS431)。
【0172】
第4搬送ローラ215が
図2の矢印A8の方向に回転し、第4従動ローラ216が第4搬送ローラ215に従動して
図14(A)の矢印B3の方向に回転することにより、紫外線光源514は、
図13(B)及び
図14(C)に示す第2位置に再配置される。したがって、媒体の搬送中、幅方向A2において、搬送される媒体の、第2位置に配置された紫外線光源514に含まれる照射器と対向する領域に紫外線が照射される。
【0173】
このように、制御部151は、媒体が紫外線光源514を複数回通過するように搬送部を制御し、媒体が紫外線光源514を通過するたびに、紫外線光源514に含まれる照射器の媒体搬送方向と直交する幅方向A2における位置を変更する。これにより、媒体搬送装置1は、少ない数の照射器を用いて、媒体に効率よく紫外線を照射することができ、装置コスト及び装置重量の増大を抑制しつつ、媒体を良好に除菌することができる。また、媒体搬送装置1は、媒体に対する紫外線の照度ムラの発生を低減させることができる。また、媒体搬送装置1は、紫外線光源514に含まれる複数の照射器の配置間隔を大きくすることができ、熱密度を低減させることができる。
【0174】
なお、本実施形態においても、
図15に示すフローチャートの代わりに、
図10に示すフローチャートが実行されてもよい。その場合、ステップS327の処理とステップS328の処理の間に、ステップS429~S431の処理が実行される。また、その場合、制御部151は、媒体の逆搬送中は、汚れと対向する領域に存在する照射器のみを照射、又は、汚れと対向する領域に存在する照射器による紫外線の照射量を他の照射器による紫外線の照射量より増大させてもよい。これにより、媒体搬送装置は、媒体に含まれる汚れとともに、汚れに含まれる菌又はウィルスを効率良く除去することができる。また、紫外線光源514は、
図11に示した紫外線光源314と同様に、媒体搬送方向A1に間隔を空けて並べて配置された複数の照射器を有してもよい。その場合、
図10のステップS322において、制御部151は、汚れと対向する領域で、紫外線を照射させる照射器の数を増大させる。
【0175】
また、紫外線光源514は、第1位置と第2位置の二つの位置に配置可能に設けられるのでなく、三つ以上の位置に配置可能に設けられてもよい。その場合、制御部151は、媒体が紫外線光源514を通過するたびに、幅方向A2において異なる位置に各照射器が配置されるように、各照射器の位置を変更する。制御部151は、媒体が紫外線光源514を通過するたびに、各照射器のピッチ(配置間隔)を、媒体が紫外線光源514を通過する回数(紫外線光源514の配置可能な位置の数)で除算した距離ずつ、紫外線光源514をずらす。例えば、媒体が紫外線光源514を2回通過する場合には、紫外線光源514を半ピッチずらす。これにより、制御部151は、媒体に対する紫外線の照度ムラの発生をより低減させることができる。
【0176】
また、媒体搬送装置1は、いわゆるストレートパスを有するのでなく、ループ状の媒体搬送路を有してもよい。その場合も、制御部151は、媒体が紫外線光源514を通過するたびに、幅方向A2において異なる位置に各照射器が配置されるように、各照射器の位置を変更する。
【0177】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、媒体が紫外線光源514を通過するたびに、紫外線光源514を幅方向A2に移動させる場合も、搬送される媒体に紫外線をより正確に照射することが可能となった。
【0178】
図16は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における第1処理回路650の概略構成を示す図である。
【0179】
第1処理回路650は、媒体搬送装置1の第1処理回路150の代わりに使用され、第1処理回路150の代わりに、媒体読取処理等を実行する。第1処理回路650は、制御回路651、傾き検出回路652、媒体検出回路653、汚れ検出回路654、画像生成回路655及び補正回路656等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0180】
制御回路651は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路651は、操作装置104又はインタフェース装置132から操作信号を、載置センサ111から載置信号を、第1媒体センサ117から第1媒体信号を受信する。また、制御回路651は、第1通信回路133、第2通信回路233及び第2処理回路250を介して第2媒体センサ213から第2媒体信号を受信する。制御回路651は、受信した各信号に基づいて第1モータ131及び第2撮像装置119を制御するとともに、第1通信回路133、第2通信回路233及び第2処理回路250を介して第2モータ231を制御する。制御回路651は、第2撮像装置119から第2部分画像を受信して第1記憶装置140に記憶するとともに、第1記憶装置140から媒体の傾きの検出結果、媒体の端部又は領域の検出結果、及び、汚れの検出結果を読み出す。制御回路651は、読み出した各情報に基づいて、第1通信回路133、第2通信回路233及び第2処理回路250を介して紫外線光源214を制御する。また、制御回路651は、第1記憶装置140から入力画像を読み出し、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。
【0181】
傾き検出回路652は、傾き検出部の一例であり、傾き検出部152と同様の機能を有する。傾き検出回路652は、第1記憶装置140から第2部分画像を読み出し、又は、傾きセンサ114から傾き信号を受信し、第2部分画像又は傾き信号に基づいて媒体の傾きを検出し、検出結果を第1記憶装置140に記憶する。
【0182】
媒体検出回路653は、媒体検出部の一例であり、媒体検出部153と同様の機能を有する。媒体検出回路653は、第1記憶装置140から第2部分画像を読み出し、第2部分画像に基づいて媒体の端部又は領域を検出し、検出結果を第1記憶装置140に記憶する。
【0183】
汚れ検出回路654は、汚れ検出部の一例であり、汚れ検出部154と同様の機能を有する。汚れ検出回路654は、第1撮像装置118から第1部分画像を受信し、又は、第1記憶装置140から第2部分画像を読み出し、第1部分画像又は第2部分画像に基づいて媒体に含まれる汚れを検出し、検出結果を第1記憶装置140に記憶する。
【0184】
画像生成回路655は、画像生成部の一例であり、画像生成部155と同様の機能を有する。画像生成回路655は、第1記憶装置140から第2部分画像を読み出して入力画像を生成し、第1記憶装置140に記憶する。
【0185】
補正回路656は、補正部の一例であり、補正部156と同様の機能を有する。補正回路656は、第1記憶装置140から入力画像を読み出して補正し、補正した入力画像を第1記憶装置140に記憶する。
【0186】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、第1処理回路650を用いる場合も、搬送される媒体に紫外線をより正確に照射することが可能となった。
【0187】
以上、好適な実施形態について説明してきたが、実施形態はこれらに限定されない。例えば、媒体搬送装置において紫外線照射装置200は省略され、第2媒体センサ及び紫外線光源は、紫外線照射装置200でなく画像読取装置100に設けられてもよい。その場合、第2媒体センサ及び紫外線光源は、媒体搬送方向A1において、第2撮像装置119より下流側且つ第2搬送部より上流側に配置される。第2媒体センサ及び紫外線光源は、媒体搬送方向A1において、第2搬送部より下流側且つ排出口より上流側に配置されてもよい。その場合、第1処理回路150は、第2処理回路250を介さずに、第2媒体センサから第2媒体信号を直接取得し、紫外線光源を直接制御する。
【0188】
また、媒体搬送装置は、載置台に載置された媒体を上側から順に給送及び搬送し、排出台に排出してもよい。その場合、給送ローラは、分離ローラの上方に、分離ローラに対向して配置される。
【符号の説明】
【0189】
1 媒体搬送装置、112 給送ローラ、113 分離ローラ、114 傾きセンサ、115 第1搬送ローラ、116 第1従動ローラ、119 第2撮像装置、120 第2搬送ローラ、121 第2従動ローラ、140 第1記憶装置、151 制御部、152 傾き検出部、154 汚れ検出部、155 画像生成部、156 補正部、211 第3搬送ローラ、212 第3従動ローラ、214 紫外線光源、215 第4搬送ローラ、216 第4従動ローラ