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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100247
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240719BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240719BHJP
   G06F 3/044 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
G06F3/041 580
G06F3/041 460
G06F3/01 570
G06F3/044 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004095
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 公二
(72)【発明者】
【氏名】石川 誠
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA12
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC17
5E555BC18
5E555CA13
5E555CB66
5E555CC01
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】前面板に対する被検出体の空間座標の変化を適切に検出可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、検出部が、前面板の高さ方向の第1距離以上の第2距離を設定し、且つ、被検出体が検出可能なXY平面における指標のXY座標を登録する初期設定部と、初期設定部で生成したパラメータを記憶する記憶部と、記憶部に記憶されたパラメータに基づいて、被検出体の空間座標の変化に応じたジェスチャを判定するジェスチャ判定処理部と、を有する。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電体である前面板の背面に配置された、
検出領域を有するセンサ領域と、
前記検出領域に設けられた複数の電極ごとの検出値に基づき、
前記前面板の前記検出領域と重なる、前記センサ領域と反対側の面における被検出体を検出する検出部と、
を備え、
前記検出部は、
前記前面板の高さ方向の第1距離以上の第2距離を設定し、
且つ、前記被検出体が検出可能なXY平面における指標のXY座標を登録する初期設定部と、
前記初期設定部で生成したパラメータを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたパラメータに基づいて、前記被検出体の空間座標の変化に応じたジェスチャを判定するジェスチャ判定処理部と、
を有する、
検出装置。
【請求項2】
前記ジェスチャ判定処理部が、登録した前記指標のXY座標と、前記前面板の前記検出領域と重なる、前記センサ領域と反対側の面上の、前記被検出体が存在する空間座標とが一致していると判定した場合に、
前記検出部は、前記被検出体を検出する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記ジェスチャ判定処理部が、登録したジェスチャのXY座標軌跡と、前記前面板の前記検出領域と重なる、前記センサ領域と反対側の面上の、被検出体が存在する空間座標の座標軌跡とが一致していると判定した場合に、
前記検出部は、所定のジェスチャが行われたことを検出する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1距離は、0.5mm以上100mm以下である、
請求項1または2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記前面板は、木材、合板、天然繊維、天然石材、大理石、人工石、合成繊維、合成皮革のいずれかである、
請求項3に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるタッチパネルと呼ばれる、外部近接物体を検出可能な検出装置が液晶表示装置等の表示装置上に装着又は一体化された検出システムが知られている。また、自然由来の木材、天然繊維、天然皮革もしくは天然石材などから成る薄層の前面板が、タッチパネルの前面全体を被覆して、視認性を確保しつつ、ユーザーの操作性を向上させるタッチパネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/082399号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の前面板を厚くすると、センサ領域の検出感度を高める必要がある。センサ領域の検出感度を高めると、被検出体を誤検出しやすくなる可能性がある。
【0005】
本発明は、前面板に対する被検出体の空間座標の変化を適切に検出可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る検出装置は、非導電体である前面板の背面に配置された、検出領域を有するセンサ領域と、前記検出領域に設けられた複数の電極ごとの検出値に基づき、前記前面板の前記検出領域と重なる、前記センサ領域と反対側の面における被検出体を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、前記前面板の高さ方向の第1距離以上の第2距離を設定し、前記被検出体が検出可能なXY平面における指標のXY座標を登録する初期設定部と、前記初期設定部で生成したパラメータを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたパラメータから、被検出体Fの空間座標の変化に応じたジェスチャを判定するジェスチャ判定処理部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態1に係る検出装置の概略構成を示す平面図である。
図2図2は、図1のII-II’の概略断面構成を示す模式図である。
図3図3は、実施形態1に係る検出装置の検出回路の構成例を示すブロック図である。
図4A図4Aは、検出面上の空間における被検出体の位置と各電極との位置関係を示す模式図である。
図4B図4Bは、検出面上の空間における被検出体の空間座標を示す模式図である。
図5図5は、被検出体の空間座標の抽出手法の一例を示す概念図である。
図6図6は、センサ領域と検出部との接続構成の一例を示す図である。
図7A図7Aは、電極に生じる容量を示す概念図である。
図7B図7Bは、電極に生じる容量を示す概念図である。
図8A図8Aは、センサ領域と被検出体との距離と決定操作との関係について説明する概略図である。
図8B図8Bは、センサ領域と被検出体との距離と決定操作との関係について説明する概略図である。
図8C図8Cは、センサ領域と被検出体との距離と決定操作との関係について説明する概略図である。
図9図9は、実施形態1に係る検出装置における前面板の初期設定処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態1に係る検出装置におけるジェスチャ判定処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、図10に示す決定操作判定閾値更新処理の一例を示すサブフローチャートである。
図12図12は、図10に示す空間座標移動速度算出処理の一例を示すサブフローチャートである。
図13図13は、図10に示す決定操作判定処理の一例を示すサブフローチャートである。
図14図14は、図10に示す決定操作待機移行判定閾値更新処理の一例を示すサブフローチャートである。
図15図15は、ジェスチャ判定処理における各種閾値を示す概念図である。
図16図16は、実施形態2に係る検出装置における前面板の初期設定処理の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、第1変形例に係る検出装置の概略構成を示す平面図である。
図18図18は、実施形態に係る検出装置の第2変形例を説明するための概略断面構成を示す模式図である。
図19図19は、実施形態に係る検出装置の第3変形例を説明するための概略断面構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る検出装置の概略構成を示す平面図である。図1に示すように、検出装置1は、センサ領域10と、検出部20と、を備える。
【0010】
検出部20には、電源PWと、被検出対象AXと、ホストデバイスHDと、がそれぞれ接続されている。
【0011】
電源PWは、検出部20に電力を供給する電源である。
【0012】
被制御対象AXは、検出部20により制御される対象である。例えば、照明機器などである。
【0013】
ホストデバイスHDは、ホストデバイスHDに接続された入力装置IDにより、検出部20に初期設定値を入力する装置である。ホストデバイスHDは、初期設定が完了した後は、検出部20から取り外し可能である。ホストデバイスHDは、例えば、コンピュータである。入力装置IDは、例えば、キーボードである。
【0014】
センサ領域10は、センサ基板11と、センサ基板11の検出領域AAに設けられる複数の電極12と、複数の各電極12から延びる配線13と、を有する。検出部20は、制御基板21と、検出回路22と、処理回路23と、電源回路24と、インターフェース回路25と、出力回路26とを有する。
【0015】
センサ基板11の検出領域AAは、Dx方向(第1方向)及びDy方向(第2方向)にマトリクス状に並ぶ複数の電極12が設けられた領域である。センサ基板11は、例えば、ガラス基板又は透光性を有するフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)である。
【0016】
本開示において、Dx方向(第1方向)及びDy方向(第2方向)は、センサ基板11の検出領域AAにおいて直交する。また、本開示では、Dx方向(第1方向)及びDy方向(第2方向)に直交する方向をDz方向(第3方向)としている。
【0017】
図1に示す例では、Dx方向に5個の電極12が並び、Dy方向に4個の電極12が並ぶ5×4(=20)個の電極12が設けられた例を示したが、センサ基板11の検出領域AAに設けられる電極12の数はこれに限定されない。
【0018】
センサ基板11には、配線基板31を介して制御基板21が電気的に接続される。配線基板31は、例えばフレキシブルプリント基板である。センサ領域10の各電極12は、配線基板31を介して、検出部20の検出回路22と接続される。
【0019】
制御基板21には、検出回路22、処理回路23、電源回路24、インターフェース回路25、及び出力回路26が設けられている。制御基板21は、例えばリジット基板である。
【0020】
検出回路22は、センサ基板11から出力される各電極12の検出信号に基づき、各電極12の検出値を生成する。検出回路22は、例えばアナログフロントエンドICである。
【0021】
処理回路23は、検出回路22から出力される各電極12の検出値に基づき、検出領域AA上において被検出体(例えば、操作者の手指等)が存在する位置を示す空間座標を生成する。処理回路23は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)であっても良いし、例えばMCU(Micro Control Unit)であっても良い。
【0022】
電源回路24は、検出回路22及び処理回路23に電源PWを供給する回路である。
【0023】
インターフェース回路25は、例えばUSBコントローラICであり、処理回路23と検出装置が搭載されるホストデバイスHDの入力装置IDとの間の通信制御を行う回路である。
【0024】
出力回路26は、被制御対象AXを駆動する回路である。
【0025】
図2は、図1のII-II’の概略断面構成を示す模式図である。
【0026】
センサ領域10は、センサ基板11と、電極12と、シールド電極14と、カバーガラス15と、を備える。センサ領域10は、シールド電極14側から、センサ基板11、電極12、カバーガラス15の順に積層される。
【0027】
カバーガラス15は、非導電体を有する前面板16の背面に、カバーガラス15と前面板16とを接着する樹脂層REを介して配置されている。樹脂層REは、検出感度に影響を与えない程度の厚みであり、例えば 50μm以上500μm以下である。なお、カバーガラス15と前面板16との間は、空気層が充填されてもよい。
【0028】
前面板16は、自然由来の板であって、例えば、木材、合板、天然繊維、天然石材、大理石、人工石、合成繊維、合成皮革などである。
【0029】
シールド電極14は、センサ基板11の背面側の第1面に設けられている。電極12は、センサ基板11の第1面の裏側の第2面に設けられている。カバーガラス15は、センサ基板11の第2面に接着層OCを介して設けられている。接着層OCは、透光性を有する接着剤が採用されることが望ましい。接着層OCは、例えばOCA(Optical Clear Adhesive)のように両面粘着性を有する透光性フィルムによって形成されても良い。
【0030】
図3は、実施形態に係る検出装置の検出部の構成例を示すブロック図である。本開示において、検出部20は、検出領域AA上の空間における被検出体の動きに応じた操作(ジェスチャ)を検出する。
【0031】
図3に示すように、検出部20は、信号検出部42と、A/D変換部43と、座標算出部44と、ジェスチャ判定処理部45と、記憶部46と、初期設定部47と、を備える。信号検出部42及びA/D変換部43は、検出回路22に含まれる。座標算出部44、ジェスチャ判定処理部45、記憶部46、及び初期設定部47は、処理回路23に含まれる。
【0032】
信号検出部42は、センサ基板11から出力される各電極12の検出信号Det(n)(nは、1からNまでの自然数、Nは、検出領域AA内の電極数)に基づき、各電極12の出力値V(n)を生成する。A/D変換部43は、各電極12の出力値Rawdata(n)をそれぞれサンプリングしてデジタル信号に変換する。
【0033】
座標算出部44は、各電極12の出力値Rawdata(n)に基づき、被検出体が存在する位置の空間座標R(Rx,Ry,Rz)を算出する。
【0034】
ジェスチャ判定処理部45は、座標算出部44によって算出された空間座標R(Rx,Ry,Rz)の変化に応じたジェスチャを判定する。
【0035】
記憶部46には、ジェスチャ判定処理部45の処理において用いられる各種パラメータが格納されている。また、記憶部46には、ジェスチャ判定処理部45の処理の際に生成される各種パラメータが記憶される。また、記憶部46は、座標算出部44において算出された空間座標を記憶する機能を有している。
【0036】
初期設定部47は、ユーザーが入力した前面板16の厚み(第1距離D1th)に基づいて、検出面を決定する(図8参照)。ユーザーが入力した、検出面Sを基準とした第2距離D2thの大きさを初期設定する。また、初期設定部47は、前面板16の材質(例えば、誘電率)の数値に応じて、各電極12の電界の増幅率を補正し、被検出体Fを検出できるように初期設定する。記憶部46には、初期設定部47の処理の際に生成される各種パラメータが記憶される。初期設定部47は、ホストデバイスHDと通信制御を行う。初期設定部47は、ホストデバイスHDから初期設定値(第1距離D1th、前面板16の材質、第2距離D2th)の情報を受信する。
【0037】
第1距離D1thの高さは、例えば、0.5[mm]以上100[mm]以下である。本実施形態の検出装置1において、第1距離D1thが100[mm]を超える前面板16であっても、検出面Sを設定することができる。
【0038】
第2距離D2thの高さは、被検出体Fを検出することができる検出感度が有効な高さである。第2距離D2thの高さは、例えば、前面板16の厚みと同等の高さである。これにより、有効感度高さが適正な範囲内になり、誤検出による被制御対象AXの誤作動しないようにすることができる。
【0039】
図4Aは、検出面上の空間における被検出体の位置と各電極との位置関係を示す模式図である。図4Bは、検出面上における被検出体の空間座標を示す模式図である。
【0040】
本開示において、空間座標R(Rx,Ry,Rz)は、前面板16の表面を検出面Sとして、検出面S上に存在する被検出体Fの位置を示している。図4A及び図4Bでは、検出面S上に被検出体Fが存在する例を示している。
【0041】
図4Aに示すように、検出領域AAの各電極12には、検出面S上に存在する被検出体Fと各電極12との距離D(n)に応じた静電容量が生じ、当該静電容量に応じた信号値S(n)が取得される。
【0042】
処理回路23は、生成された各電極12の信号値S(n)を用いて、図4Bに示す検出領域AA上における被検出体Fの位置を示す空間座標R(Rx,Ry,Rz)を抽出する。
【0043】
本開示において、空間座標R(Rx,Ry,Rz)は、検出領域AA上におけるDx方向(第1方向)の位置を示す第1データRx、検出領域AA上におけるDy方向(第2方向)の位置を示す第2データRy、Dx方向(第1方向)及びDy方向(第2方向)に直交すえるDz方向(第3方向)の位置を示す第3データRzを含む。
【0044】
処理回路23は、ジェスチャ判定処理部45の処理結果、すなわち被検出体Fの検出領域AA上における動きによって判定されたジェスチャを示す指令を、例えばUSBコントローラICであるインターフェース回路25を介して出力回路26に送信する。
【0045】
出力回路26は、処理回路23から送信された指令、すなわちジェスチャ判定処理部45の処理結果に応じた制御を行う。具体的には、後述するジェスチャ判定処理フロー(図10参照)によって送信された決定操作指令に基づき、前面板16の表面上にある第1指標ONまたは第2指標OFFを選択したことによる処理を実行する。出力回路26側の処理としては、例えば、選択した指標Objをドラッグする、さらには、ドラッグした指標Objを空間座標R(Rx,Ry,Rz)の遷移に応じて移動させる等の処理を含む態様であっても良い。なお、出力回路26側の処理により本開示が限定されるものではない。
【0046】
図4Bに示すように、被検出体Fを検出する第1指標ON及び第2指標OFFが、前面板16の検出領域AAと反対側の面の上に、貼り付けられている。なお、第1指標ON及び第2指標OFFは、前面板16の検出領域AAと反対側の面の上に、直接、描かれてもよい。
【0047】
第1指標ONは、被制御対象AXを駆動させるときに、被検出体Fに近づかせるための目じるしである。
【0048】
第2指標OFFは、被制御対象AXの駆動を停止させるときに、被検出体Fに近づかせるための目じるしである。
【0049】
本開示に係る検出装置1は、上述したように、各電極12に生じた静電容量を検出して検出領域AA上の被検出体Fが存在する位置の空間座標を検出する構成である。このため、検出面への被検出体Fの接触位置の平面座標を検出する構成に比べて各電極12のサイズを大きくして感度を高める必要がある。本開示において、各電極12の大きさは、例えば20×20[mm2]~50×50[mm2]程度が想定される。言い換えると、Dx方向及びDy方向の各電極12間の距離は、例えば20[mm]~50[mm]程度が想定される。
【0050】
図5は、被検出体の空間座標の算出手法の一例を示す概念図である。図5において、横軸は空間座標R(Rx,Ry,Rz)のX方向の第1データRx(検出領域AAにおける被検出体FのDx方向の位置に対応)を示し、縦軸は空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRz(被検出体FのDz方向の位置に対応)を示している。
【0051】
図5に実線で示す算出値は、例えば、各電極12の検出値Vdet(n)を用いて補間処理を行うことで得られる。図5に示す算出値の算出手法は、補間処理に限定されず、例えば、近似処理を行って算出する態様であっても良い。
【0052】
本開示において、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzは、被検出体Fを検出できない場合に「Rz=0」とする。すなわち、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzは、被検出体Fがセンサ領域10から離れた位置にあるほど小さい値となり、被検出体Fがセンサ領域10に近い位置にあるほど大きい値となる。
【0053】
図6は、センサ領域と検出部との接続構成の一例を示す図である。図6では、センサ領域10a、検出部20aの各構成を例示している。
【0054】
図6に示すように、検出回路22の信号検出部42は、主要な構成要素として、差動増幅回路CAを備えている。
【0055】
差動増幅回路CAの非反転入力端子には、電源回路24aから検出用の駆動信号VDが供給される。駆動信号VDは、所定周期でハイ電位とロー電位とを繰り返す矩形波信号である。
【0056】
差動増幅回路CAの他方の反転入力端子には、検出領域AAに設けられた電極12が接続されている。また、差動増幅回路CAの反転入力端子と出力端子との間には、負帰還容量Cfbが設けられている。差動増幅回路CAは、非反転入力端子に駆動信号VDが供給されることにより積分回路として機能する。
【0057】
図6に示すように、シールド電極14には、電源回路24aから駆動信号VDが供給されている。
【0058】
本開示に係る検出装置1は、上述したように、各電極12に生じた静電容量を検出して検出領域AA上の被検出体Fが存在する位置の空間座標を検出する構成である。このため、検出面に被検出体Fが接触することで平面座標を検出する構成に比べて検出感度を高める必要がある。これにより、電極12とシールド電極14等の導体との間に生じる寄生容量Cpの影響を受け易くなる。検出動作時に取得される出力値Svは、被検出体Fと電極12との間に生じる容量Cdetに起因する成分をS(Cdet)、寄生容量Cpに起因する成分をS(Cp)として、下記(1)式で示される。
【0059】
Sv=S(Cdet)+S(Cp)・・・(1)
【0060】
本開示に係る検出装置1は、予め、検出領域AA上において検出可能な空間に被検出体Fが存在していない場合に取得した寄生容量成分S(Cp)を検出基準値BLとし、検出動作時に取得した電極12の出力値Svから検出基準値BLを差し引くことで、寄生容量成分を除去した検出値Vdetを算出するようにしている。検出値Vdetは、下記(2)式で示される。
【0061】
Vdet=S-BL・・・(2)
【0062】
本開示に係る検出装置1では、いわゆる自己容量方式と呼ばれる、単一の電極12により電界を発生させて被検出体Fを検出する検出方式を適用している。なお、いわゆる相互容量方式と呼ばれる、電極12間で互いに送受信して、電界を発生させて被検出体Fを検出する検出方式を適用してもよい。
【0063】
図7A及び図7Bは、電極に生じる容量を示す第1概念図である。図7Aは、電極12上の前面板16を介した上方に検出可能な被検出体Fが存在していない場合に電極12に生じる寄生容量Cpを例示している。図7Bは、電極12の上に被検出体Fが存在している場合に電極12に生じる容量Cdet及び寄生容量Cpを例示している。図7A及び図7Bでは、破線で概念的に示す電気力線に沿ってシールド電極14との間に生じる寄生容量Cpを例示している。
【0064】
電極12上の前面板16を介した空間の上方に被検出体Fが存在する場合、図7Bに示すように、被検出体Fによって前面板16の空間の上方からの電気力線が遮られ、寄生容量Cpの総量が小さくなる。このため、被検出体Fが存在していない場合に取得した検出基準値BLは、電極12の上に被検出体Fが存在している場合に取得した出力値Svに含まれる寄生容量成分S(Cp)よりも大きくなる。
【0065】
図7Bに示すように、被検出体Fと、電極12との間に生じた容量Cdetによって、センサ領域10は、被検出体Fを検出することができる。
【0066】
ここで、後述するジェスチャ判定処理におけるセンサ領域10と被検出体Fとの距離と決定操作との関係について、図8A図8Bを参照して説明する。図8A図8Bは、センサ領域と被検出体との距離と決定操作との関係について説明する概略図である。以下の説明において、検出面S上の空間における被検出体Fの動きに応じた決定操作を「決定ジェスチャ」とも称する。
【0067】
また、実施形態に係る検出装置1は、図8Aに示すように、センサ領域10の上面と被検出体FとのDz方向(第3方向)の距離Dが、第1距離D1th以上かつ第2距離D2th以下であり(D1th≦D≦D2th)、さらに、被検出体Fの検出領域AA上の空間における移動速度(後述する空間座標R(Rx,Ry,Rz)のXY平面における単位時間当たりの移動量ΔRxy、Z方向の単位時間当たりの移動量ΔRzに対応)が所定値(後述する空間座標R(Rx,Ry,Rz)のXY平面における移動量閾値ΔRxy_th、Z方向の第1移動量閾値ΔRz_th1に対応)以下となった場合に、決定ジェスチャが行われたことを検出する。すなわち、検出面Sから第2距離D2thよりも近い位置で被検出体Fが静止していると見做せる場合に、決定ジェスチャが行われたことを検出する。
【0068】
実施形態に係る検出装置1は、図8Bに示すように、センサ領域10の上面と被検出体FとのDz方向(第3方向)の距離Dが、第1距離D1thと同等である場合に(D=D1th)、決定ジェスチャが行われたことを検出する。すなわち、被検出体Fが検出面Sに接している場合に、決定ジェスチャが行われたことを検出する。
【0069】
実施形態に係る検出装置1は、図8Cに示すように、センサ領域10の上面と被検出体FとのDz方向(第3方向)の距離Dが、第2距離D2thよりも大きく、且つ、第3距離D3thの範囲内である場合に(D2th<D≦D3th)、決定ジェスチャが行われたことを検出することはできない。第3距離D3thは、検出感度がない不感領域である。
【0070】
これにより、前面板16の厚みが厚くなっても、被検出体Fを検出することができ、前面板16の強度を高くし、薄板加工を不要にすることができる。
【0071】
図9は、実施形態1に係る検出装置における前面板の初期設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0072】
まず、図9に示すように、初期設定部47は、前面板16の第1距離の入力を案内する(ステップS1)。ユーザーは、第1距離D1thの数値を入力する。初期設定部47は、入力された第1距離D1thの数値を受信する。初期設定部47は、第1距離D1thに基づいて、検出面Sを決定する。
【0073】
次に、初期設定部47は、第2距離D2thの入力を案内する(ステップS2)。ユーザーは、第2距離D2thの数値を入力する。初期設定部47は、入力された第2距離D2thの数値を受信する。初期設定部47は、第2距離D2thの数値を初期設定する。
【0074】
そして、ユーザーは、前面板16の材質(例えば、誘電率)の数値を入力する。初期設定部47は、入力された前面板16の材質の数値を受信する。前面板16の材質の数値を初期設定する。
【0075】
次に、初期設定部47は、前面板16の表面に配置された、第1指標ON及び第2指標OFFの上の被検出体Fを検知可能なXY平面における指標のXY座標をそれぞれ登録する。(ステップS3)。
【0076】
ここで、記憶部46は、登録されたXY平面における指標のXY座標を記憶する。
【0077】
次に、ジェスチャ判定処理部は、記憶部46に記憶されたXY平面における指標のXY座標と、被検出体Fが存在する位置のXY座標(Rx,Ry)とが一致するか判定する。
【0078】
そして、ジェスチャ判定処理部は、一致していると判定した場合、被制御対象AXを駆動する指令を出力回路26に送信する。一致していると判定しない場合、被制御対象AXを駆動する指令を出力回路26に送信しない。
【0079】
被制御対象AXを駆動させるときの第1指標ONのXY座標と、被検出体Fの空間座標R(Rx,Ry)の座標とが一致している場合には、出力回路26は、被制御対象AXを駆動させる。
【0080】
被制御対象AXの駆動を停止させるときの第2指標OFFのXY座標と、被検出体Fの空間座標R(Rx,Ry)の座標とが一致している場合には、出力回路26は、被制御対象AXの駆動を停止させる。
【0081】
以下、実施形態に係る検出装置1におけるジェスチャ判定処理の具体例について、図10図11図12図13図14図15を参照して説明する。図10は、実施形態1に係る検出装置におけるジェスチャ判定処理の一例を示すフローチャートである。図11は、図10に示す決定操作判定閾値更新処理の一例を示すサブフローチャートである。図12は、図10に示す空間座標移動速度算出処理の一例を示すサブフローチャートである。図13は、図10に示す決定操作判定処理の一例を示すサブフローチャートである。図14は、図10に示す決定操作待機移行判定閾値更新処理の一例を示すサブフローチャートである。図15は、ジェスチャ判定処理における各種閾値を示す概念図である。
【0082】
図15に示すように、図10に示すジェスチャ判定処理フローを実行するためのパラメータとして、記憶部46には、検出面Sに相当する第1決定操作判定閾値Sel_th1(図8A,8Bに示す第1距離D1thに対応)、第2決定操作判定閾値最小値Sel_th2_min、オフセット値Cont_rangeが格納されている。第1決定操作判定閾値Sel_th1、第2決定操作判定閾値最小値Sel_th2_minは、被検出体FのDz方向の位置、すなわち、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzに対する設定値である。また、オフセット値Cont_rangeは、ジェスチャ判定処理の各処理において、第2決定操作判定閾値Sel_th2(図8A,8Bに示す第2距離D2thに対応)や決定操作待機判定閾値Rel_thを算出する際に適用される。
【0083】
ジェスチャ判定処理部45は、決定ジェスチャの判定待機状態において、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzが第1決定操作判定閾値Sel_th1以上となると、決定ジェスチャが行われたと判定し(図10に示すジェスチャ判定処理フローのステップS101~ステップS108)、解除待機状態に移行する。決定操作判定後の解除待機状態において、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzが第1決定操作判定閾値Sel_th1からオフセット値Cont_rangeを差し引いた値未満となると(図10に示すステップS109~ステップS113)、判定待機状態に移行する。
【0084】
また、ジェスチャ判定処理部45は、決定ジェスチャの判定待機状態において、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzが第2決定操作判定閾値最小値Sel_th2_min以上であり、且つ、第1決定操作判定閾値Sel_th1未満である場合に、検出領域AA内の空間における空間座標R(Rx,Ry,Rz)の移動速度が所定値以下となるか、又は、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzのマイナス方向の移動速度が所定値以上となると、決定ジェスチャが行われたと判定し(図10に示すジェスチャ判定処理フローのステップS101~ステップS108)、解除待機状態に移行する。決定操作判定後の解除待機状態において、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzが第2決定操作判定閾値最小値Sel_th2_min以上第1決定操作判定閾値Sel_th1未満の範囲において最大となった位置からオフセット値Cont_rangeを差し引いた値未満となると(図10に示すステップS109~ステップS113)、判定待機状態に移行する。
【0085】
図10に示すジェスチャ判定処理フローの前提条件として、記憶部46には、前処理(後述するステップS103、ステップS106、ステップS111、ステップS113)における空間座標R’(Rx’,Ry’,Rz’)の第1データRx’、第2データRy’、第3データRz’、第2決定操作判定閾値Sel_th2、及び決定操作待機判定閾値Rel_thが記憶されている。まず、処理回路23のジェスチャ判定処理部45は、図8に示す決定操作閾値更新処理を実行する(図10のステップS101)。
【0086】
ジェスチャ判定処理部45は、判定待機状態において、記憶部46から前処理における第3データRz’を読み出し、前処理における第3データRz’が第2決定操作判定閾値Sel_th2からオフセット値Cont_rangeを差し引いた値未満(Rz’<Sel_th2-Cont_range)であるか否かを判定する(ステップS201)。
【0087】
前処理における第3データRz’が第2決定操作判定閾値Sel_th2からオフセット値Cont_rangeを差し引いた値以上(Rz’≧Sel_th2-Cont_range)である場合(ステップS201;No)、図10に示すジェスチャ判定処理フローに戻る。
【0088】
前処理における第3データRz’が第2決定操作判定閾値Sel_th2からオフセット値Cont_rangeを差し引いた値未満(Rz’<Sel_th2-Cont_range)である場合(ステップS201;Yes)、ジェスチャ判定処理部45は、第2決定操作判定閾値Sel_th2を前処理における第3データRz’にオフセット値Cont_rangeを加えた値とし(Sel_th2=Rz’+Cont_range)(ステップS202)、続いて、第2決定操作判定閾値Sel_th2が第2決定操作判定閾値最小値Sel_th2_min未満(Sel_th2<Sel_th2_min)であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0089】
第2決定操作判定閾値Sel_th2が第2決定操作判定閾値最小値Sel_th2_min以上(Sel_th2≧Sel_th2_min)である場合(ステップS203;No)、ステップS202において算出した第2決定操作判定閾値Sel_th2を記憶部46に記憶し、図10に示すジェスチャ判定処理フローに戻る。
【0090】
第2決定操作判定閾値Sel_th2が第2決定操作判定閾値最小値Sel_th2_min未満(Sel_th2<Sel_th2_min)である場合(ステップS203;Yes)、ジェスチャ判定処理部45は、第2決定操作判定閾値最小値Sel_th2_minを第2決定操作判定閾値Sel_th2として記憶部46に記憶し(ステップS204)、図10に示すジェスチャ判定処理フローに戻る。
【0091】
図10に戻り、ジェスチャ判定処理部45は、座標算出部44から空間座標R(Rx,Ry,Rz)の取得処理を実行し(ステップS102)、空間座標R(Rx,Ry,Rz)の取得可否を判定する(ステップS103)。空間座標R(Rx,Ry,Rz)を取得できなかった場合(ステップS103;No)、ジェスチャ判定処理部45は、空間座標R’(Rx’,Ry’,Rz’)を、X方向の第1データRx’=0、Y方向の第2データRy’=0、Z方向の第3データRz’=0として記憶部46に記憶し、ステップS101の決定操作閾値更新処理(図11)に戻る。
【0092】
空間座標R(Rx,Ry,Rz)を取得すると(ステップS103;Yes)、ジェスチャ判定処理部45は、図12に示す空間座標移動速度算出処理を実行する(図10のステップS104)。
【0093】
ジェスチャ判定処理部45は、記憶部46から前処理における空間座標R’(Rx’,Ry’,Rz’)のX方向の第1データRx’、Y方向の第2データRy’、Z方向の第3データRz’を読み出し、前処理における空間座標R’(Rx’,Ry’,Rz’)がX方向の第1データRx’=0、Y方向の第2データRy’=0、Z方向の第3データRz’=0であるか否かを判定する(ステップS301)。ここで、前処理における空間座標R’(Rx’,Ry’,Rz’)がX方向の第1データRx’=0、Y方向の第2データRy’=0、Z方向の第3データRz’=0である場合、前処理において空間座標R(Rx,Ry,Rz)を取得できなかった(ステップS103;No)ことを示している。
【0094】
前処理における空間座標R’(Rx’,Ry’,Rz’)がX方向の第1データRx’=0、Y方向の第2データRy’=0、Z方向の第3データRz’=0でない場合(ステップS301、No)、言い換えると、前処理において空間座標R(Rx,Ry,Rz)を取得した場合(ステップS103;Yes)、ジェスチャ判定処理部45は、Dx-Dy平面における移動速度及びDz方向の移動速度を算出して(ステップS302)、図10に示すジェスチャ判定処理フローに戻る。
【0095】
なお、Dx-Dy平面における移動速度は、換言すれば、XY平面における単位時間当たりの移動量ΔRxyであり、Dz方向の移動速度は、換言すれば、Z方向の単位時間当たりの移動量ΔRzである。図12では、下記(1)式に示すように、Dx-Dy平面における移動速度として、XY平面における単位時間当たりの移動量ΔRxyを算出し、下記(2)式に示すように、Dz方向の移動速度として、Z方向の単位時間当たりの移動量ΔRzを算出する例を示している。本開示において、空間座標R(Rx,Ry,Rz)の取得処理は、A/D変換部43におけるサンプリング周期で実行される態様であっても良いし、複数サンプリング周期ごとに空間座標R(Rx,Ry,Rz)を取得する態様であっても良い。空間座標R(Rx,Ry,Rz)は、所定周期で取得される態様であれば良く、空間座標R(Rx,Ry,Rz)の取得周期により本開示が限定されるものではない。
【0096】
ΔRxy=√{(Rx-Rx’)2+(Ry-Ry’)2}・・・(1)
【0097】
ΔRz=Rz-Rz’・・・(2)
【0098】
前処理における空間座標R’(Rx’,Ry’,Rz’)がX方向の第1データRx’=0、Y方向の第2データRy’=0、Z方向の第3データRz’=0である場合(ステップS301、Yes)、言い換えると、前処理において空間座標R(Rx,Ry,Rz)を取得できなかった場合(ステップS103;No)、ジェスチャ判定処理部45は、XY平面における移動量ΔRxy=0、Z方向の移動量ΔRz=0とし(ステップS303)、図10に示すジェスチャ判定処理フローに戻る。
【0099】
ジェスチャ判定処理部45は、図13に示す決定操作判定処理を実行する(図10のステップS105)。
【0100】
ジェスチャ判定処理部45は、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzが第2決定操作判定閾値Sel_th2以上(Rz≧Sel_th2)であるか否かを判定する(ステップS401)。空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzが第2決定操作判定閾値Sel_th2未満(Rz<Sel_th2)である場合(ステップS401;No)、ジェスチャ判定処理部45は、決定ジェスチャが行われていないものとして(ステップS402)、図10に示すジェスチャ判定操作処理フローに戻る。
【0101】
第3データRzが第2決定操作判定閾値Sel_th2以上(Rz≧Sel_th2)である場合(ステップS401;Yes)、続いて、ジェスチャ判定処理部45は、XY平面における単位時間当たりの移動量ΔRxyがXY平面における移動量閾値ΔRxy_th以下であり、且つ、Z方向の単位時間当たりの移動量の大きさ|ΔRz|がZ方向の第1移動量閾値ΔRz_th1以下であるか否か(ΔRxy≦ΔRxy_th and |ΔRz|≦ΔRz_th1)を判定する(ステップS403)。
【0102】
XY平面における単位時間当たりの移動量ΔRxyがXY平面における移動量閾値ΔRxy_th以下であり、且つ、Z方向の単位時間当たりの移動量の大きさ|ΔRz|がZ方向の第1移動量閾値ΔRz_th1以下である場合(ΔRxy≦ΔRxy_th and |ΔRz|≦ΔRz_th1)(ステップS403;Yes)、ジェスチャ判定処理部45は、決定操作が行われたものとして(ステップS405)、図10に示すジェスチャ判定処理フローに戻る。
【0103】
XY平面における単位時間当たりの移動量ΔRxyがXY平面における移動量閾値ΔRxy_thより大きいか、又は、Z方向の単位時間当たりの移動量の大きさ|ΔRz|がZ方向の第1移動量閾値ΔRz_th1より大きい場合(ΔRxy>ΔRxy_th or |ΔRz|>ΔRz_th1)(ステップS403;No)、続いて、ジェスチャ判定処理部45は、Z方向の単位時間当たりの移動量が負値であり、且つ、Z方向の単位時間当たりの移動量の大きさ|ΔRz|がZ方向の第2移動量閾値ΔRz_th2以上であるか否か(ΔRz<0 and |ΔRz|≧ΔRz_th2)を判定する(ステップS404)。
【0104】
Z方向の単位時間当たりの移動量が負値であり、且つ、Z方向の単位時間当たりの移動量の大きさ|ΔRz|がZ方向の第2移動量閾値ΔRz_th2以上である場合(ΔRz<0 and |ΔRz|≧ΔRz_th2)(ステップS404;Yes)、ジェスチャ判定処理部45は、決定ジェスチャが行われたものとして(ステップS405)、図10に示すジェスチャ判定処理フローに戻る。
【0105】
Z方向の単位時間当たりの移動量が正値であるか、又は、Z方向の単位時間当たりの移動量の大きさ|ΔRz|がZ方向の第2移動量閾値ΔRz_th2未満である場合(ΔRz>0 or |ΔRz|<ΔRz_th2)(ステップS404;No)、決定ジェスチャが行われていないものとして(ステップS402)、ジェスチャ判定処理部45は、図10に示すジェスチャ判定処理フローに戻る。
【0106】
図10に戻り、ジェスチャ判定処理部45は、図14に示す決定操作判定処理結果を判定する(ステップS106)。
【0107】
決定操作が行われていない場合(ステップS106;No)、ジェスチャ判定処理部45は、ステップS102において取得した空間座標R(Rx,Ry,Rz)を、空間座標R’(Rx’,Ry’,Rz’)として記憶部46に記憶し、ステップS101の決定操作閾値更新処理(図11)に戻る。
【0108】
決定ジェスチャが行われた場合(ステップS106;Yes)、処理回路23は、決定ジェスチャが行われたことを示す決定操作指令を、例えばUSBコントローラICであるインターフェース回路25を介して出力回路26に送信する。
【0109】
続いて、ジェスチャ判定処理部45は、決定操作待機判定閾値Rel_thを設定する。具体的に、ジェスチャ判定処理部45は、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzからオフセット値Cont_rangeを差し引いた値を、決定操作待機判定閾値Rel_thとして設定して(Rel_th=Rz-Cont_range)(ステップS108)、解除待機状態に移行し、図14に示す決定操作待機判定閾値更新処理を実行する(図10のステップS109)。
【0110】
決定操作判定後の解除待機状態において、ジェスチャ判定処理部45は、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzが決定操作待機判定閾値Rel_thにオフセット値Cont_rangeを加えた値より大きいか否か(Rz>Rel_th-Cont_range)を判定する(ステップS501)。
【0111】
第3データRzが決定操作待機判定閾値Rel_thにオフセット値Cont_rangeを加えた値以下(Rz≦Rel_th-Cont_range)である場合(ステップS501;No)、図12に示すジェスチャ判定処理フローに戻る。
【0112】
第3データRzが決定操作待機判定閾値Rel_thにオフセット値Cont_rangeを加えた値より大きい(Rz>Rel_th-Cont_range)場合(ステップS501;Yes)、ジェスチャ判定処理部45は、決定操作待機判定閾値Rel_thを第3データRzからオフセット値Cont_rangeを差し引いた値とし(Rel_th=Rz-Cont_range)(ステップS502)、続いて、決定操作待機判定閾値Rel_thが第1決定操作判定閾値Sel_th1からオフセット値Cont_rangeを差し引いた値より大きいか否か(Rel_th>Sel_th1-Cont_range)を判定する(ステップS503)。
【0113】
決定操作待機判定閾値Rel_thが第1決定操作判定閾値Sel_th1からオフセット値Cont_rangeを差し引いた値以下(Rel_th≦Sel_th1-Cont_range)である場合(ステップS503;No)、ステップS502において算出した決定操作待機判定閾値Rel_thを記憶部46に記憶し、図10に示すジェスチャ判定処理フローに戻る。
【0114】
決定操作待機判定閾値Rel_thが第1決定操作判定閾値Sel_th1からオフセット値Cont_rangeを差し引いた値より大きい(Rel_th>Sel_th1-Cont_range)場合(ステップS503;Yes)、ジェスチャ判定処理部45は、第1決定操作判定閾値Sel_th1からオフセット値Cont_rangeを差し引いた値を決定操作待機判定閾値Rel_thとして記憶部46に記憶し(ステップS504)、図10に示すジェスチャ判定処理フローに戻る。
【0115】
図12に戻り、ジェスチャ判定処理部45は、座標算出部44から空間座標R(Rx,Ry,Rz)の取得処理を実行し(ステップS110)、空間座標R(Rx,Ry,Rz)の取得可否を判定する(ステップS111)。空間座標R(Rx,Ry,Rz)を取得できなかった場合(ステップS111;No)、ジェスチャ判定処理部45は、空間座標R’(Rx’,Ry’,Rz’)を、第1データRx’=0、第2データRy’=0、第3データRz’=0として記憶部46に記憶し、ステップS101の決定操作閾値更新処理(図14)に戻る。
【0116】
空間座標R(Rx,Ry,Rz)を取得すると(ステップS111;Yes)、ジェスチャ判定処理部45は、取得した第3データRzが決定操作待機判定閾値Rel_thより小さいか否か(Rz<Rel_th)を判定する(ステップS112)。第3データRzが決定操作待機判定閾値Rel_th以上(Rz≧Rel_th)である場合(ステップS112;No)、ステップS109の決定操作待機判定閾値更新処理(図14)に戻る。
【0117】
第3データRzが決定操作待機判定閾値Rel_thより小さい(Rz<Rel_th)場合(ステップS112;Yes)、ジェスチャ判定処理部45は、第3データRzにオフセット値Cont_rangeを加えた値を第2決定操作判定閾値Sel_th2とし(ステップS113)、ステップS111において取得した空間座標R(Rx,Ry,Rz)を、空間座標R’(Rx’,Ry’,Rz’)として記憶部46に記憶して、決定ジェスチャの判定待機状態に移行し、ステップS101の決定操作閾値更新処理(図14)に戻る。
【0118】
上述したジェスチャ判定処理フローにより、決定ジェスチャの判定待機状態において、第2決定操作判定閾値Sel_th2として取り得る範囲Sel_th2_rangeは、図15に示すように、第2決定操作判定閾値最小値Sel_th2_min以上であり、且つ、第1決定操作判定閾値Sel_th1以下の範囲(Sel_th2_min≦Sel_th2≦Sel_th1)となる。この第2決定操作判定閾値Sel_th2として取り得る範囲Sel_th2_range内において、被検出体Fの移動速度(空間座標R(Rx,Ry,Rz)の単位時間当たりの移動量)が所定値以下となるか(ステップS403;Yes)、又は、被検出体FのDz方向の負の移動速度(空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzのマイナス方向の単位時間当たりの移動量)が所定値以上となると(ステップS404;Yes)、決定ジェスチャが行われたと判定される。
【0119】
そして、決定操作判定後の解除待機状態において、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzが決定操作待機判定閾値Rel_thにオフセット値Cont_rangeを加えた値よりも大きい値であるとき(ステップS501;Yes)、第3データRzからオフセット値Cont_rangeを差し引いた値が決定操作待機判定閾値Rel_th(Rel_th=Rz-Cont_range)とされる(ステップS502)。
【0120】
また、決定操作判定後の解除待機状態において、空間座標R(Rx,Ry,Rz)のZ方向の第3データRzが第1決定操作判定閾値Sel_th1以下となったとき(ステップS503;Yes)、第1決定操作判定閾値Sel_th1からオフセット値Cont_rangeを差し引いた値が決定操作待機判定閾値Rel_th(Rel_th=Sel_th1-Cont_range)とされる(ステップS504)。
【0121】
これにより、決定操作待機判定閾値Rel_thとして取り得る範囲Rel_th_rangeは、図15に示すように、第2決定操作判定閾値最小値Sel_th2_minからオフセット値Cont_rangeを差し引いた値以上であり、且つ、第1決定操作判定閾値Sel_th1からオフセット値Cont_rangeを差し引いた値以下の範囲(Sel_th2_min-Cont_range≦Rel_th≦Sel_th1-Cont_range)となる。
【0122】
以上により、Dz平面上において、被検出体Fが検出可能領域である、第1距離D1thよりも大きく、且つ、第2距離D2th以下の範囲内の検出面S上に存在しているので、被検出体FのXY座標が記憶される(図8A図15参照)。
【0123】
そして、検出面S上の第1指標ONまたは第2指標OFFの表面上の、登録した指標のXY座標と、被検出体Fが存在する位置のXY座標(Rx,Ry)とが一致している場合に、センサ領域10が被検出体Fを記憶部46に記憶する(図4B図9図15参照)。これにより、厚みや材質の異なる前面板16に取り付けられても、検出装置1は、適切に被検出体Fのジェスチャを判定できる。
【0124】
(実施形態2)
図16は、実施形態2に係る検出装置における前面板の初期設定処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0125】
図16に示すように、ステップS601及びステップS602は、上述で説明したステップS1及びステップS2と同様のため省略する。
【0126】
ステップS601及びステップS602の順に、それぞれ処理をした後、初期設定部47は、被検出体Fを検知可能なXY平面におけるジェスチャのXY座標軌跡を登録する(ステップS603)。被制御対象AXを駆動させるときのジェスチャのXY座標軌跡及び被制御対象AXの駆動を停止させるときのジェスチャの座標軌跡をそれぞれ登録する。
【0127】
また、記憶部46は、登録されたXY平面におけるジェスチャのXY座標軌跡を記憶する。
【0128】
次に、ジェスチャ判定処理部45は、記憶部46に記憶されたXY平面におけるジェスチャのXY座標軌跡と、検出面S上の空間に被検出体Fが存在する位置の空間座標R(Rx,Ry)の座標軌跡とが一致するか判定する。
【0129】
そして、ジェスチャ判定処理部45は、一致していると判定した場合、被制御対象AXを駆動する指令を出力回路26に送信する。一致していると判定しない場合、被制御対象AXを駆動する指令を出力回路26に送信しない。
【0130】
被制御対象AXを駆動させるときのジェスチャのXY座標軌跡と、被検出体Fの空間座標R(Rx,Ry)の座標軌跡とが一致している場合には、出力回路26は、被制御対象AXを駆動させる。
【0131】
被制御対象AXの駆動を停止させるときのジェスチャのXY座標軌跡と、被検出体Fの空間座標R(Rx,Ry)の座標軌跡とが一致している場合には、出力回路26は、被制御対象AXの駆動を停止させる。
【0132】
(変形例1)
図17は、第1変形例に係る検出装置の概略構成を示す平面図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0133】
図17に示すように、検出装置1は、センサ領域10と、検出部20と、を備える。
【0134】
検出部20には、筐体AYが接続されている。筐体AYの内部には、電源PW、被制御対象AX、ホストデバイスHD、及び入力装置IDが、それぞれ収納されている。筐体AYは、例えば、扇風機である。
【0135】
(変形例2)
図18は、実施形態に係る検出装置の第2変形例を説明するための概略断面構成を示す模式図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0136】
両面テープDTは、前面板16と、カバーガラス15との間に、配置されている。
【0137】
両面テープDTは、両面粘着性を有する、シート状の接着剤である。両面テープDTは、部材同士を両面で接着できる。両面テープDTは、前面板16の背面と、カバーガラス15の両端部とを密着し、センサ領域10を固定している。
【0138】
(変形例3)
図19は、実施形態に係る検出装置の第3変形例を説明するための概略断面構成を示す模式図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0139】
チャックBLは、前面板16の背面に固定され、L字状に加工された先端がセンサ領域10の両端を囲んでセンサ領域10を固定している。
【0140】
チャックBLは、部材同士を支持する金具である。チャックBLを用いた固定方式は、例えば、メカニカルチャックと、マグネットチャックがある。
【0141】
メカニカルチャックは、機械的な応力により、前面板16と、センサ領域10とを固定する方式である。
【0142】
マグネットチャックは、前面板16側に設置された磁性材料と、センサ領域10に設置された磁性材料とが磁気により、互いに吸引し合うことで、前面板16と、センサ領域10とを固定する方式である。磁性材料は、永久磁石、電磁石などである。なお、磁性材料は、永久磁石と電磁石を組み合わせたものを使用してもよい。
【0143】
以上、本開示の好適な実施の形態を説明したが、本開示はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0144】
1 検出装置
10 センサ領域
11 センサ基板
12 電極
13 配線
14 シールド電極
15 カバーガラス
16 前面板
20 検出部
21 制御基板
22 検出回路
23 処理回路
24 電源回路
25 インターフェース回路
26 出力回路
31 配線基板
42 信号検出部
43 A/D変換部
44 座標算出部
45 ジェスチャ判定処理部
46 記憶部
47 初期設定部
AA 検出領域
F 被検出体
OC 接着層
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19