IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シマノの特許一覧

<>
  • 特開-ルアー 図1
  • 特開-ルアー 図2
  • 特開-ルアー 図3
  • 特開-ルアー 図4
  • 特開-ルアー 図5A
  • 特開-ルアー 図5B
  • 特開-ルアー 図6
  • 特開-ルアー 図7A
  • 特開-ルアー 図7B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100278
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20240719BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004148
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】平原 研治
(72)【発明者】
【氏名】寺田 岳文
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA41
2B307BA46
2B307BA49
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】不規則なダートアクションをスムーズに発生させることができるルアーが、提供される。
【解決手段】ルアー1は、ヘッド11、および、テール13を有するボディ3、を備える。ボディ3は、ヘッド11の端部11aからテール13の端部13aに向けて延びる軸心X1を有する。ボディ3は、軸心X1を含む任意の第1平面P1によって、第1部分21、および、第2部分23に区分される。第1部分21、および、第2部分23は、任意の第1平面のいずれに対しても非対称である。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド、および、テールを有するボディ、
を備え、
前記ボディは、前記ヘッドの端部から前記テールの端部に向けて延びる軸心を有し、前記軸心を含む任意の第1平面によって、第1部分、および、第2部分に区分され、
前記第1部分、および、前記第2部分は、任意の前記第1平面のいずれに対しても非対称である、
ルアー。
【請求項2】
前記第1平面によって前記ボディを切断することによって形成される第1断面が、定義され、
前記第1断面は、前記軸心によって、第1区分断面、および、第2区分断面に区分され、
前記第1区分断面の第1外形、および、前記第2区分断面の第2外形のそれぞれは、前記軸心を基準として凸状の曲線によって形成され、
前記第1外形、および、前記第2外形は、前記軸心に対して非対称である、
請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記軸心に垂直な第2平面によって前記ボディを切断することによって形成される第2断面が、定義され、
前記第2断面は、前記第1部分の外面を形成する第3外形と、前記第2部分の外面を形成する第4外形と、を有し、
前記第3外形、および、前記第4外形のそれぞれは、前記第1平面を基準として凸状の曲線によって形成される、
請求項1または2に記載のルアー。
【請求項4】
前記第1部分の前記ヘッド側の前記外面には、目玉部が配置される凹部が設けられ、
少なくとも前記ヘッド側において、前記第3外形の曲率半径は、前記第4外形の曲率半径より大きい、
請求項3に記載のルアー。
【請求項5】
前記第1部分の前記ヘッド側の前記外面には、目玉部が配置される凹部が設けられ、
前記第2断面の断面積は、前記凹部が設けられる部分を除いて、前記テールから前記ヘッドに向けて連続的に変化する、
請求項3に記載のルアー。
【請求項6】
前記ボディは、金属材料によって中実に形成される、
請求項1に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたルアーのボディ、特に、メタルジグと呼ばれるルアーのボディは、ヘッド、および、テールを有する。このルアーのボディは、ヘッドの端部からテールの端部に向けて延びる軸心を有する。特許文献1では、図7の一点破線が、軸線、および、軸心を含む平面に対応する。
【0003】
軸心を含む平面によってルアーのボディが切断された場合、ルアーのボディは、平面の両側において、第1部分、および、第2部分に区分される。図7を参照すると、第1部分、および、第2部分は、平面に対して対称である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4789187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のルアーのように、第1部分、および、第2部分が平面に対して対称である場合、水がボディに与える流体抵抗が対称になるので、シャクリ時にダートアクションの発生が遅くなるおそれがある。また、ダートアクションの発生時に、不規則なダートアクションを発生させることが難しい。
【0006】
本発明の目的は、不規則なダートアクションをスムーズに発生させることができるルアーを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面に関して、ルアーは、ヘッド、および、テールを有するボディ、を備える。ボディは、ヘッドの端部からテールの端部に向けて延びる軸心を有する。ボディは、軸心を含む任意の第1平面によって、第1部分、および、第2部分に区分される。第1部分、および、第2部分は、任意の第1平面のいずれに対しても非対称である。
【0008】
本発明のルアーでは、第1部分、および、第2部分が、任意の第1平面のいずれに対しても非対称であるので、水がボディに与える流体抵抗が非対称になり、不規則なダートアクションをスムーズに発生させることができる。
【0009】
本発明の第2の側面に関して、第1の側面に係るルアーは、以下のように構成される。第1平面によってボディを切断することによって形成される第1断面が、定義される。第1断面は、軸心によって、第1区分断面、および、第2区分断面に区分される。第1区分断面の第1外形、および、第2区分断面の第2外形のそれぞれは、軸心を基準として凸状の曲線によって形成される。第1外形、および、第2外形は、軸心に対して非対称である。
【0010】
本発明の第3の側面に関して、第1または第2の側面に係るルアーは、以下のように構成される。軸心に垂直な第2平面によってボディを切断することによって形成される第2断面が、定義される。第2断面は、第1部分の外面を形成する第3外形と、第2部分の外面を形成する第4外形と、を有する。第3外形、および、第4外形のそれぞれは、第1平面を基準として凸状の曲線によって形成される。
【0011】
本発明の第4の側面に関して、第3の側面に係るルアーは、以下のように構成される。第1部分のヘッド側の外面には、目玉部が配置される凹部が設けられる。少なくともヘッド側において、第3外形の曲率半径は、第4外形の曲率半径より大きい。これにより、ヘッド側から巻き上げる際の第1部分と第2部分の流体抵抗に差異が生じ、不規則なダートアクションをスムーズに発生させることができる。
【0012】
本発明の第5の側面に関して、第3または第4の側面に係るルアーは、以下のように構成される。第1部分のヘッド側の外面には、目玉部が配置される凹部が設けられる。第2断面の断面積は、凹部が設けられる部分を除いて、テールからヘッドに向けて連続的に変化する。これにより、ルアーがテール側から沈む際の流体抵抗を低減させることができ、ルアーを目標水深まで速やかに沈降させることができる。
【0013】
本発明の第6の側面に関して、第1から第5のいずれか1つの側面に係るルアーは、以下のように構成される。ボディは、金属材料によって中実に形成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ルアーにおいて、不規則なダートアクションをスムーズに発生させることができる。また、ルアーの目標水深への沈降を速やかにして釣りの手返しを多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態によるルアーの側面図。
図2】ルアーの上面図。
図3】ルアーを第1平面で切断した断面図。
図4】ルアーを第1平面で切断した断面図。
図5A】ルアーの正面図。
図5B】ルアーの正面図。
図6】ルアーの背面図。
図7A】ルアーを第2平面で切断した断面図。
図7B】ルアーを第2平面で切断した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るルアーの実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1、および、図2に示すように、ルアー1は、ボディ3を備える。例えば、ルアー1は、ボディ3と、第1アイ5と、第2アイ7と、を備える。詳細には、ルアー1は、ボディ3と、第1アイ5と、第2アイ7と、図3に示す連結部9と、を備える。
【0017】
ボディ3は、金属材料によって中実に形成される。図1、および、図2に示すように、ボディ3の外形は、流体抵抗が小さくなるように一方向に長い流線形に形成される。ボディ3は、ヘッド11、および、テール13を有する。詳細には、ボディ3は、ヘッド11と、テール13と、胴部15と、を有する。
【0018】
図1図2、および、図4に示すように、ヘッド11には、目玉部17が設けられる。詳細には、ヘッド11側の外面には、凹部12が設けられる。凹部12には、目玉部17が配置される。ヘッド11の端部11aには、第1アイ5を介して、釣り糸が接続される。テール13の端部13aには、第2アイ7を介して、釣り針が接続される。胴部15は、ヘッド11、および、テール13の間に設けられる。胴部15は、ヘッド11、および、テール13と一体に形成される。
【0019】
図1図4に示すように、第1アイ5はヘッド11の端部11aに設けられる。例えば、第1アイ5には釣り糸が接続される。第2アイ7はテール13の端部13aに設けられる。例えば、第2アイ7には釣り針が接続される。
【0020】
図3に示すように、連結部9は、第1アイ5、および、第2アイ7を連結する。本実施形態では、連結部9は、第1アイ5、および、第2アイ7と一体に形成される。例えば、金属製の線材を折り曲げることによって、第1アイ5、第2アイ7、および、連結部9が形成される。連結部9は、ボディ3の内部に配置され、ボディ3と一体に成型される。
【0021】
なお、第1アイ5、および、第2アイ7は、連結部9を設けることなく、ヘッド11の端部11a、および、テール13の端部13aに各別に設けられてもよい。
【0022】
図1図4に示すように、ボディ3は、ヘッド11の端部11aからテール13の端部13aに向けて延びる軸心X1を有する。詳細には、軸心X1は、第1アイ5の中心、および、第2アイ7の中心を通過する直線である。軸心X1が延びる方向がボディ3の長手方向である。軸心X1に直交し軸心X1から離れる方向が、ボディ3の短手方向である。以下では、軸心X1に沿う方向が軸方向と記される。
【0023】
図1に示すように、ボディ3の側方視において、軸心X1に直交するボディ3の長さ、例えば、ボディ3の高さは、三角印TR1にて示されたボディ3の中央部で、最大長さを有する。本実施形態では、図1、および、図2に示すように、ボディ3の中央部TR1は、ボディ3の中心位置TCよりヘッド11側に位置する。中心位置TCは、長手方向における、ヘッド11の端面11b、および、テール13の端面13bの中心位置である。
【0024】
図2に示すように、ボディ3の上方視において、軸心X1に直交するボディ3の長さ、例えば、ボディ3の幅は、ボディ3の中央部TR1よりテール13側の位置TR2で、最大長さを有する。詳細には、ボディ3の幅は、ボディ3の中心位置TCよりテール13側の位置TR2で、最大長さを有する。
【0025】
図3、および、図4に示す第1平面P1は、軸心X1を含む任意の平面によって、定義される。本実施形態では、第1平面P1が2つの第1平面P1A,P1Bを含む場合の例を用いて説明が行われる。
【0026】
図7Aに示すように、ボディ3の中心位置TC(図1および図2を参照)において軸心X1に直交する平面によって切断される中央断面SCM1は、軸心X1に直交する長軸MAと、長軸MAに直交する短軸MBと、を有する。長軸MA、および、短軸MBは、軸心X1を基準として定義される。図3に示される第1平面P1Aは、軸心X1、および、長軸MAを含む平面である。図4に示される第1平面P1Bは、第1平面P1Aと直交し、且つ、軸心X1、および、短軸MBを含む平面である。
【0027】
図5Aに示すように、ボディ3は、第1平面P1Aによって、第1部分21、および、第2部分23に区分される。第1部分21は、第1平面P1Aに沿って軸方向に立体的に延びる。本実施形態では、第1部分21の外面には、上述した目玉部17が配置される。第2部分23は、第1平面P1Aを基準として、第1部分21の反対側において第1平面P1Aに沿って軸方向に立体的に延びる。第1部分21、および、第2部分23は、第1平面P1Aに対して非対称である。
【0028】
図3に示すように、第1平面P1Aによってボディ3を切断することによって、第1長手断面SC1が形成される。第1長手断面SC1は、軸心X1によって、第1区分断面SC1a、および、第2区分断面SC1bに区分される。第1区分断面SC1aは、ボディ3の外面を形成する第1長手外形SC1a1、を有する。第2区分断面SC1bは、ボディ3の外面を形成する第2長手外形SC1b1、を有する。
【0029】
第1長手外形SC1a1、および、第2長手外形SC1b1のそれぞれは、軸心X1を基準として凸状の曲線によって形成される。第1長手外形SC1a1、および、第2長手外形SC1b1は、軸心X1に対して非対称である。
【0030】
図5Bに示すように、ボディ3は、第1平面P1Bによって、第3部分25、および、第4部分27に区分される。第3部分25は、第1平面P1Bに沿って軸方向に立体的に延びる。第4部分27は、第1平面P1Bを基準として、第3部分25の反対側において第1平面P1Bに沿って軸方向に立体的に延びる。第3部分25、および、第4部分27は、第1平面P1Bに対して非対称である。
【0031】
図4に示すように、第1平面P1Bによってボディ3を切断することによって、第2長手断面SC2が形成される。第2長手断面SC2は、軸心X1によって、第3区分断面SC2a、および、第4区分断面SC2bに区分される。第3区分断面SC2aは、ボディ3の外面を形成する第3長手外形SC2a1、を有する。第4区分断面SC2bは、ボディ3の外面を形成する第4長手外形SC2b1、を有する。
【0032】
第3長手外形SC2a1、および、第4長手外形SC2b1のそれぞれは、軸心X1を基準として凸状の曲線によって形成される。第3長手外形SC2a1、および、第4長手外形SC2b1は、軸心X1に対して非対称である。
【0033】
図7Aに示すように、第2平面P2は、軸心X1に垂直な平面によって、定義される。図7Aは、上述した中心位置TC(図1および図2を参照)でボディ3を切断した断面図である。第2平面P2は、軸心X1に沿った任意の位置において軸心X1に垂直な平面を意味する。第2平面P2は、中央断面SCM1を定義するために用いられた上述した平面、を含む。
【0034】
第2平面P2によってボディ3を切断することによって形成される短手断面SC3が、定義される。短手断面SC3は、上述した中央断面SCM1を含む。短手断面SC3の断面積は、凹部12が設けられる部分を除いて、テール13からヘッド11に向けて連続的に変化する。
【0035】
図7Aに示すように、短手断面SC3は、第1短手外形SC3aと、第2短手外形SC3bと、を有する。第1短手外形SC3aは、第1部分21の外面を形成する。第2短手外形SC3bは、第2部分23の外面を形成する。第1短手外形SC3a、および、第2短手外形SC3bのそれぞれは、第1平面P1Aを基準として凸状の曲線によって形成される。
【0036】
少なくともヘッド11側において、第1短手外形SC3a、および、第2短手外形SC3bは第1平面P1Aに対して非対称である。詳細には、ヘッド11の端部11a、および、ボディ3の中心位置TCの軸方向間において、第1短手外形SC3a、および、第2短手外形SC3bは第1平面P1Aに対して非対称である。
【0037】
具体的には、少なくともヘッド11側において、第1短手外形SC3aの曲率半径は、第2短手外形SC3bの曲率半径より小さい。より具体的には、ヘッド11の端部11a、および、ボディ3の中心位置TCの軸方向間において、凹部12が設けられる部分を除いて、第1短手外形SC3aの最大曲率半径は、第2短手外形SC3bの最大曲率半径より小さい。
【0038】
図7Bに示すように、短手断面SC3は、第3短手外形SC3cと、第4短手外形SC3dと、を有する。第3短手外形SC3cは、第3部分25の外面を形成する。第4短手外形SC3dは、第4部分27の外面を形成する。第3短手外形SC3c、および、第4短手外形SC3dのそれぞれは、第1平面P1Bを基準として凸状の曲線によって形成される。
【0039】
少なくともヘッド11側において、第3短手外形SC3c、および、第4短手外形SC3dは第1平面P1Bに対して非対称である。詳細には、ヘッド11の端部11a、および、ボディ3の中心位置TCの軸方向間において、第3短手外形SC3c、および、第4短手外形SC3dは第1平面P1Bに対して非対称である。
【0040】
上記の構成を有するルアー1では、第1部分21、および、第2部分23が、第1平面P1Aに対しても非対称であり、第3部分25、および、第4部分27が、第1平面P1Bに対しても非対称であるので、水がボディ3に与える流体抵抗が非対称になり、不規則なダートアクションをスムーズに発生させることができる。
【0041】
具体的には、第1長手外形SC1a1、および、第2長手外形SC1b1は、軸心X1に対して非対称であり、第3長手外形SC2a1、および、第4長手外形SC2b1は、軸心X1に対して非対称である。また、第1短手外形SC3aの曲率半径が第2短手外形SC3bの曲率半径より小さい。さらに、短手断面SC3の断面積は、ヘッド11からテール13に向けて連続的に変化する。これらの構成によって、不規則なダートアクションをよりスムーズに発生させることができる。また、ルアーの目標水深への沈降を速やかにして釣りの手返しを多くすることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ルアー
3 ボディ
5 第1アイ
7 第2アイ
11 ヘッド
11a ヘッドの端部
12 凹部
13 テール
13a テールの端部
17 目玉部
21 第1部分
23 第2部分
25 第3部分
27 第4部分
P1,P1A,P1B 第1平面
P2 第2平面
SC1 第1長手断面
SC1a 第1区分断面
SC1a1 第1長手外形
SC1b 第2区分断面
SC1b1 第2長手外形
SC2 第2長手断面
SC2a 第3区分断面
SC2a1 第3長手外形
SC2b 第4区分断面
SC2b1 第4長手外形
SC3 短手断面
SC3a 第1短手外形
SC3b 第2短手外形
SC3c 第3短手外形
SC3d 第4短手外形
X1 軸心
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B