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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100284
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】家具組立キット
(51)【国際特許分類】
   A47B 47/04 20060101AFI20240719BHJP
   A47B 96/20 20060101ALI20240719BHJP
   A47B 96/14 20060101ALI20240719BHJP
   F16B 12/50 20060101ALI20240719BHJP
   F16B 7/20 20060101ALI20240719BHJP
   F16B 12/12 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A47B47/04 Z
A47B96/20 Z
A47B96/14 Z
F16B12/50 B
F16B7/20 D
F16B12/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004161
(22)【出願日】2023-01-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) 「■▲3▼LE:最低限のシェルター空間国際コンペ」展示・審査会における公開,令和4年1月15日 (2) ウェブサイト(https://www.facebook.com/)での公開,令和4年1月30日 (3) ウェブサイト(https://www.oka-pu.ac.jp/)での公開,令和4年2月4日 (4) ウェブサイト(https://www.facebook.com/)での公開,令和4年2月4日 (5) ウェブサイト(https://twitter.com/)での公開,令和4年2月4日 (6) ウェブサイト(https://okayama.keizai.biz/)での公開,令和4年2月25日 (7) ウェブサイト(https://www.city.soja.okayama.jp/)での公開,令和4年5月1日 (8) ウェブサイト(https://www.oka-pu.ac.jp/)での公開,令和4年4月25日 (9) ウェブサイト(https://www.facebook.com/)での公開,令和4年4月25日 (10)ウェブサイト(https://twitter.com/)での公開,令和4年4月25日 (11)「フェーズフリーアワード2022」における公開,令和4年8月6日 (12)「2022年度日本建築学会大会(北海道)デザイン発表会」における公開,令和4年9月5日 (13)ウェブサイト(https://www.oka-pu.ac.jp/)での公開,令和4年9月27日 (14)ウェブサイト(https://www.facebook.com/)での公開,令和4年9月27日 (15)ウェブサイト(https://twitter.com/)での公開,令和4年9月27日 (16)ウェブサイト(https://www.facebook.com/)での公開,令和4年10月10日 (17)「防災展@國立科學工藝博物館(台湾)」における公開,令和4年9月23日 (18)ウェブサイト(https://www.oka-pu.ac.jp/)での公開,令和4年10月26日 (19)ウェブサイト(https://www.facebook.com/)での公開,令和4年10月26日 (20)ウェブサイト(https://twitter.com/)での公開,令和4年10月26日
(71)【出願人】
【識別番号】307020545
【氏名又は名称】公立大学法人岡山県立大学
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(72)【発明者】
【氏名】畠 和宏
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】河田 達希
【テーマコード(参考)】
3B054
3J024
3J039
【Fターム(参考)】
3B054AA01
3B054BA04
3B054BA06
3B054BA17
3J024AA03
3J024AA14
3J024BA03
3J024BB03
3J024CA15
3J039AA07
3J039BB03
3J039FA12
3J039LA10
(57)【要約】
【課題】
家具を構成するパーツを、ボルト等の留め具を要することなく、シンプルな構造で連結することができる家具組立キットを提供する。
【解決手段】
家具を組み立てるための家具組立キットを、厚さがa(aは定数)で横幅が3×aの複数本の帯状板材10を備えたものとし、その複数本の帯状板材10の中に、少なくとも一方の端部が、縦長が3×aで横幅がaの矩形状を為す開口部αを有する口型端部Aとされた帯状板材10と、少なくとも一方の端部が、深さがaよりも大きく横幅がaの矩形状を為す凹部βを有する凹型端部Bとされた帯状板材10とを混在させた。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具を組み立てるための家具組立キットであって、
厚さがa(aは定数)で横幅が3×aの複数本の帯状板材を備え、
前記複数本の帯状板材のなかに、
少なくとも一方の端部が、縦長が3×aで横幅がaの矩形状を為す開口部αを有する口型端部とされた帯状板材と、
少なくとも一方の端部が、深さがaよりも大きく横幅がaの矩形状を為す凹部βを有する凹型端部とされた帯状板材と
が混在された
ことを特徴とする家具組立キット。
【請求項2】
机、椅子、棚、ベッド又は間仕切りの中から選択される少なくとも2種類以上の家具を組立可能な請求項1記載の家具組立キット。
【請求項3】
前記複数本の帯状板材が、木材である請求項2記載の家具組立キット。
【請求項4】
開口部αが、口型端部の横幅方向中間部に形成された請求項3記載の家具組立キット。
【請求項5】
口型端部の先端面から開口部αまでの距離が、aとされた請求項4記載の家具組立キット。
【請求項6】
凹部βが、凹型端部の横幅方向中間部に形成された請求項5記載の家具組立キット。
【請求項7】
凹部βの深さが、4×aとされた請求項6記載の家具組立キット。
【請求項8】
前記複数本の帯状板材のなかに、
両方の端部が口型端部とされた帯状板材が混在された請求項1~7いずれか記載の家具組立キット。
【請求項9】
前記複数本の帯状板材のなかに、
両方の端部が凹型端部とされた帯状板材が混在された請求項8記載の家具組立キット。
【請求項10】
前記複数本の帯状板材のなかに、
一方の端部が口型端部とされて他方の端部が凹型端部とされた帯状板材が混在された請求項9記載の家具組立キット。
【請求項11】
前記複数本の帯状板材のなかに、
非端部における少なくとも1箇所に、縦長が3×aで横幅がaの矩形状を為す開口部γを有する帯状板材が混在された請求項10記載の家具組立キット。
【請求項12】
前記複数本の帯状板材のなかに、
開口部α、凹部β及び開口部γのいずれも有さない帯状板材が混在された請求項11記載の家具組立キット。
【請求項13】
前記複数本の帯状部材のなかに、
縦長が異なる帯状板材が混在された請求項12記載の家具組立キット。
【請求項14】
家具を組み立てるための家具組立キットであって、
厚さがa(aは定数)で横幅が3×aの複数本の帯状板材を備え、
前記複数本の帯状板材のなかに、
少なくとも一方の端部が、深さがaよりも大きく横幅がaの矩形状を為す凹部βを有する凹型端部とされた帯状板材
が混在された
ことを特徴とする家具組立キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具を組み立てるための家具組立キットに関する。
【背景技術】
【0002】
水害等の警報が発令されたときには、災害種別に応じた避難所へ避難することが推奨されている。避難所としては、体育館等、大きな空間がある公共施設が指定されることが多く、避難者は、自宅に帰れる状況になるまでの間、その空間で他の人達と一緒に過ごすことになる。災害警報がなかなか解除されない場合や、実際に災害が発生してしまった場合には、その避難所で何日も寝泊まりしなければならない状況が生じ得る。このため、体育館等の大きな空間でも避難者のプライバシーを確保できるように、間仕切り等を用意している避難所もある。このような用途で用いられる間仕切りとしては、複数枚のパネル材を連結するもの(例えば、特許文献1を参照。)や、立方体状に組んだフレームの側面(立方体の側面)を不透明なシートで覆うもの(例えば、特許文献2を参照。)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-194043号公報
【特許文献2】特開2022-138577号公報
【特許文献3】実用新案登録第3176572号公報
【特許文献4】特開2012-130525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1,2のような間仕切りは、その用途(間仕切りの用途)でしか使用することができず、平常時には、分解した状態で倉庫等に保管されることになる。このため、保管場所を確保する必要がある。また、人目に触れにくい状態で保管されるため、いざというときに問題なく使用できるかの点検が疎かになるおそれもある。平常時には、間仕切り以外の用途(机や椅子等の家具)で使用しながらも、災害発生時等には、間仕切りとして使用できるものがあれば良いのであるが、そのような間仕切りはこれまでに存在しなかった。
【0005】
ところで、これまでには、複数のパーツを組み合わせることによって家具を組み立てる家具組立キットであって、1種類の家具だけでなく、形態や用途の異なる複数種類の家具を組み立てることができるようにしたものも提案されている。例えば、特許文献3には、同文献の図1に示される特定寸法の板材を組み合わせることによって、同文献の図3~5に示されるように、寸法や構造が異なる複数種類のボックスを組み立てることができる簡易組立家具部材セット(家具組立キット)が開示されている。特許文献3の家具組立キットにおいては、それらのボックスを組み合わせることで、同文献の図6に示されるような棚を組み立てることもできる。また、特許文献4には、同文献の図1に示される特定寸法の棒材を組み合わせることによって、机(同文献の図9,21,22)や、棚(同文献の図23,24)を組み立てることができる家具組立材料セット(家具組立キット)が開示されている。
【0006】
しかし、家具組立キットは、パーツを連結する構造が複雑であったり、その連結のためにボルトや釘等の留め具を用いる必要のあったりするものが多い。このため、家具を組み立てる際や、それを分解する際に、手間取るおそれがある。また、複数種類の家具を組み立できる旨を謳っている家具組立キットであっても、ある1種類の家具を組み立てた後に、それを別の種類の家具に組み立て直すことを想定していないものもある。例えば、上記の特許文献4の家具組立キットでは、パーツ(第一棒状部材2及び第二棒状部材3)の固定に接着剤を用いるようになっており、一度接着したパーツ同士を再度バラバラにしにくくなっている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、家具を構成するパーツを、ボルト等の留め具を要することなく、シンプルな構造で連結することができる家具組立キットを提供するものである。また、ある家具を組み立てた後も、それを容易に分解でき、それを別の種類の家具へと容易に組み立て直すことができる家具組立キットを提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、
家具を組み立てるための家具組立キットであって、
図3(a),(b)に示すように、
厚さがa(aは定数)で横幅が3×aの複数本の帯状板材を備え、
前記複数本の帯状板材のなかに、
少なくとも一方の端部が、縦長が3×aで横幅がaの矩形状を為す開口部αを有する口型端部(図3(a))とされた帯状板材と、
少なくとも一方の端部が、深さがaよりも大きく横幅がaの矩形状を為す凹部βを有する凹型端部(図3(b))とされた帯状板材と
が混在された
ことを特徴とする家具組立キット
を提供することによって解決される。
【0009】
本発明の家具組立キットは、口型端部を備えた帯状板材と、凹型端部を備えた帯状板材というシンプルなパーツで構成されている。
それにもかかわらず、
[工程1] 図4(a)に示すように、一の帯状板材(帯状板材10a)における口型端部を、他の帯状板材(帯状板材10b)における口型端部の開口部αに挿入する。
[工程2] 図4(b)に示すように、帯状板材10aにおける口型端部の開口部αに、また別の帯状板材(帯状板材10c)における凹型端部を挿入する。
という2つの工程を経ることで、図4(c)に示すように、一の帯状板材10aの口型端部と、他の帯状板材10bの口型端部と、別の帯状板材10cの凹型端部とが互いに嵌合した状態とすることができる。
このため、互いに直交する帯状板材の端部同士を、ボルト等の留め具を使用することなく、容易に連結することができる。したがって、家具を容易に組み立てることができるだけでなく、組み立てられた家具の分解も容易に行うことができる。よって、それを別の種類の家具へと組み立て直すことも容易である。
【0010】
本発明の家具組立キットで組み立てる家具の種類は、特に限定されないが、机、椅子、棚、ベッド又は間仕切りの中から選択される少なくとも2種類以上の家具とすることが好ましい。これらの家具のうち、机や、椅子や、棚等は、いずれも利用頻度が高いため、これらの家具を本発明の家具組立キットで組み立てできるようにしておくことで、本発明の家具組立キットの使用場面を広げることができる。また、間仕切りやベッドは、上述したように、避難所に設置されることが多いところ、間仕切りやベッドを本発明の家具組立キットで組み立てできるようにしておけば、災害発生時には、それを間仕切りやベッドとして使用しながらも、間仕切りが不要になった平常時には、机や、椅子や、棚等の利用頻度が高い一般的な家具に組み立て直し、利用に供することができる。したがって、避難所の間仕切りに関わる上述した問題点(保管場所の問題や、点検の問題)等を解決することも可能になる。加えて、本発明の家具組立キットは、上述したように、留め具等を用いることなく組立及び分解ができることから、間仕切りの形態を避難フェーズに応じて柔軟に変更することも可能になる。
【0011】
本発明の家具組立キットにおいて、前記複数本の帯状板材は、金属やプラスチック等で形成されたものであってもよいが、木材で形成されたものを用いることが好ましい。というのも、金属やプラスチックは表面の摩擦が小さいため、図4(c)に示すように、帯状部材の端部同士を嵌合させた場合であっても、その嵌合が外れやすくなりすぎて、家具を組み立てにくくなるおそれがあるところ、木材は、金属等と比べて摩擦が大きく、その嵌合を適度に外れにくくすることができるからである。加えて、日本は、国土の67%が森林の「森林大国」であるにも関わらず、日本国内の林業は、外国産の安価な木材に押され気味で衰退傾向にある。この点、本発明の家具組立キットに木材を使用することで、木材の需要を高め、日本国内の林業の活性化を図ることも可能になるからである。
【0012】
本発明の家具組立キットにおいては、口型端部における開口部αを、口型端部の横幅方向中間部に形成することが好ましい。また、口型端部の先端面から開口部αまでの距離をaとすることが好ましい。さらに、凹型端部における凹部βを、凹型端部の横幅方向中間部に形成することも好ましい。さらにまた、その凹部βの深さを4×aとすることも好ましい。これにより、口型端部や凹型端部の各部を、対称性の高い形態とすることや、その各部を、帯状板材の厚さであるaを基準とした寸法とすることができる。このため、例えば、帯状板材のオモテとウラが入れ替わった場合でも、図4で示した連結が可能になる等、帯状部材のオモテとウラを気にしなくても、それらの帯状部材を連結できるようになる。また、図4以外の連結態様で帯状部材を連結することも可能になる。
【0013】
本発明の家具組立キットにおいて、口型端部を有する帯状板材の反対側の端部の形態や、凹型端部を有する帯状板材の反対側の端部の形態は、特に限定されない。家具組立キットを構成するそれぞれの帯状板材は、両方の端部が口型端部とされたもの(以下、「両端口型の帯状板材」と呼ぶことがある。)としてもよいし、両方の端部が凹型端部とされたもの(以下、「両端凹型の帯状板材」と呼ぶことがある。)としてもよいし、一方の端部が口型端部とされて他方の端部が凹型端部とされた帯状板材(以下、「両端別型の帯状板材」と呼ぶことがある。)としてもよい。家具組立キットは、両端別型の帯状板材だけで構成しても、上記の工程1,2による連結が可能となる。一方、家具組立キットを、両端口型の帯状板材だけで構成すると、上記の工程1,2による連結が不可能である。このため、家具組立キットを構成する帯状板材のなかに、両端口型の帯状板材を含める場合には、凹型端部を備えた帯状板材(両端凹型の帯状板材又は両端別型の帯状板材)も含めるようにする。同様の理由で、家具組立キットを構成する帯状板材のなかに、両端凹型の帯状板材を含める場合には、口型端部を備えた帯状板材(両端口型の帯状板材又は両端別型の帯状板材)も含めるようにする。
【0014】
本発明の家具組立キットにおいては、家具組立キットを構成する複数本の帯状板材のなかに、非端部(帯状板材における両端部以外の区間(中途部分)。以下同じ。)における少なくとも1箇所に、縦長が3×aで横幅がaの矩形状を為す開口部γを有する帯状板材(以下、「中途部開口型の帯状板材」と呼ぶことがある。)を混在させることも好ましい。開口部γは、2箇所、3箇所、4箇所と複数箇所に設けることもできる(開口部γの数に、特に上限はないが、通常、10~20箇所程度までである。)。これにより、中途部開口型の帯状板材における開口部γに、他の帯状板材を挿通することによって、帯状板材(中途部開口型の帯状板材)における中途部分でも、他の帯状板材と連結することが可能になる。したがって、本発明の家具組立キットで、より多様な形態の家具を組み立てることが可能になる。中途部開口型の帯状板材は、構造的に、上述した両端口型の帯状板材、両端凹型の帯状板材又は両端別型の帯状板材のそれぞれと矛盾しないため、両端口型の帯状板材、両端凹型の帯状板材又は両端別型の帯状板材のそれぞれを、中途部開口型の帯状板材とすること(両端口型の帯状板材、両端凹型の帯状板材又は両端別型の帯状板材のそれぞれの非端部に開口部γを設けることで、両端口型・中途部開口型の帯状板材とすることや、両端凹型・中途部開口型の帯状板材とすることや、両端別型・中途部開口型の帯状板材とすること)もできる。
【0015】
本発明の家具組立キットにおいては、家具組立キットを構成する複数本の帯状板材のなかに、開口部α、凹部β及び開口部γのいずれも有さない帯状板材(両端口型の帯状板材、両端凹型の帯状板材、両端別型の帯状板材又は中途部開口型の帯状板材のいずれにも該当しない、シンプルな形態の帯状板材。以下、「シンプル型の帯状板材」と呼ぶことがある。)を混在させることも好ましい。シンプル型の帯状板材は、机を組み立てる際の天板や、椅子を組み立てる際の座板等を構成するものとして、好適に用いることができる。
【0016】
本発明の家具組立キットにおいては、家具組立キットを構成する複数本の帯状板材のなかに、縦長が異なる帯状板材を混在させること(両端口型の帯状板材、両端凹型の帯状板材、両端別型の帯状板材又は中途部開口型の帯状板材のそれぞれにおいて、縦長の異なる複数種類を用意すること)も好ましい。これにより、本発明の家具組立キットで、より多様な形態の家具を組み立てることが可能になる。
【0017】
また、上記課題は、
家具を組み立てるための家具組立キットであって、
厚さがa(aは定数)で横幅が3×aの複数本の帯状板材を備え、
前記複数本の帯状板材のなかに、
少なくとも一方の端部が、深さがaよりも大きく横幅がaの矩形状を為す凹部βを有する凹型端部とされた帯状板材
が混在された
ことを特徴とする家具組立キット
を提供することによっても解決される。
後述するように、家具組立キットを構成する複数本の帯状板材の中に、口型端部を有する帯状板材が含まれていなくても、凹型端部を有する帯状板材が含まれていれば、上記の工程1,2と同様の工程を経て、帯状板材を連結することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によって、家具を構成するパーツを、ボルト等の留め具を要することなく、シンプルな構造で連結することができる家具組立キットを提供することが可能になる。また、ある家具を組み立てた後も、それを容易に分解でき、それを別の種類の家具へと容易に組み立て直すことができる家具組立キットを提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】家具組立キットの帯状板材の構成例(パーツリスト)を示した斜視図である。
図2】家具組立キットの帯状板材の構成例(パーツリスト)を示した正面図である。
図3】家具組立キットの帯状板材における口型端部と凹型端部と平型端部とを拡大して示した斜視図である。
図4】家具組立キットにおける帯状板材の連結方法を説明する斜視図である。
図5図4(c)の帯状板材の連結部分を拡大して示した断面図である。
図6】家具組立キットにおける帯状板材の他の連結方法を説明する斜視図である。
図7】本発明に係る家具組立キットの組立例(第一組立例)を示した斜視図である。
図8】本発明に係る家具組立キットの組立例(第二組立例)を示した斜視図である。
図9】本発明に係る家具組立キットの組立例(第三組立例)を示した斜視図である。
図10】本発明に係る家具組立キットの組立例(第四組立例)を示した斜視図である。
図11】本発明に係る家具組立キットの組立例(第五組立例)を示した斜視図である。
図12】本発明に係る家具組立キットの組立例(第六組立例)を示した斜視図である。
図13】本発明に係る家具組立キットの組立例(第七組立例)を示した斜視図である。
図14】本発明に係る家具組立キットの組立例(第八組立例)を示した斜視図である。
図15】本発明に係る家具組立キットの組立例(第九組立例)を示した斜視図である。
図16】本発明に係る家具組立キットの組立例(第十組立例)を示した斜視図である。
図17】本発明に係る家具組立キットの組立例(第十一組立例)を示した斜視図である。
図18】本発明に係る家具組立キットの組立例(第十二組立例)を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の家具組立キットの実施形態について、図面を用いて具体的に説明する。以下で述べる構成は、飽くまで好適な実施形態である。このため、本発明の家具組立キットの技術的範囲は、以下で述べる構成に限定されない。本発明の家具組立キットには、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0021】
本実施形態の家具組立キットは、後掲する図7~18に示すように、形態や用途の異なる複数の家具を組み立てるために使用される。この家具組立キットは、図1及び図2に示すように、複数種類の帯状板材10(パーツ)によって構成されている。図1及び図2は、家具組立キットの帯状板材10(パーツ)の構成例を示した斜視図(図1)と正面図(図2)である。基本的には、これらの帯状板材10の端部同士を連結することによって、各種の家具を組み立てるが、後述するように、帯状板材10の非端部を連結する場合もある。帯状板材10は、金属やプラスチック等で形成されたものとしてもよいが、本実施形態では、木材で形成されたものとしている。
【0022】
それぞれの帯状板材10は、その断面(帯状板材10の長手方向に垂直な断面。ただし、後述する開口部αや凹部βや開口部γが設けられた箇所を除く。)が同じ矩形状を為している。具体的には、帯状板材10の厚さ(後掲する図3の厚さTを参照。)を、全て同じ値で統一している。また、帯状板材10の横幅(後掲する図3の横幅Wを参照。)も、全て同じ値で統一している。帯状板材10の横幅Wは、帯状板材10の厚さTの3倍に設定している。換言すると、帯状板材10の厚さTの値をa(図3)とすると、帯状板材10の横幅Wは、3×a(図3)となっている。aの値(厚さT)は、通常、10~50mmの範囲内とされ、好ましくは、20~40mmの範囲内とされる。本実施形態においては、aの値(厚さT)を30mmに設定しており、3×aの値(横幅W)が90mmとなっている。
【0023】
このように、帯状板材10の断面は、その寸法形状が統一されているものの、帯状板材10には、その端部の形態に応じた複数種類が用意される。本実施形態では、図1及び図2に示すように、両端口型の帯状板材11と、両端凹型の帯状板材12と、両端別型の帯状板材13と、シンプル型の帯状板材14との4種類を用意している。
【0024】
両端口型の帯状板材11は、両方の端部が口型端部A(開口部αを有する端部。以下同じ。)となっている帯状板材10である。また、両端凹型の帯状板材12は、両方の端部が凹型端部B(凹部βを有する端部。以下同じ。)となっている帯状板材10である。さらに、両端別型の帯状板材13は、一方の端部が口型端部Aで、他方の端部が凹型端部Bとなっている帯状板材10である。さらにまた、シンプル型の帯状板材14は、両方の端部が平型端部C(開口部αと凹部βのいずれも有さない単純な形態の端部。以下同じ。)となっている帯状板材10である。図3に、帯状板材10における口型端部A(図3(a))と凹型端部B(図3(b))と平型端部C(図3(c))とを拡大して示した斜視図を示す。
【0025】
図3(a)に示すように、口型端部Aにおける開口部αは、縦長Lが3×a(帯状板材10の横幅Wと同じ値)で横幅Wがa(帯状板材10の厚さTと同じ値)の矩形状を為している。開口部αは、帯状板材10を連結する際に、他の帯状板材10を挿入する部分であるところ、開口部αをこのような寸法形状としたことによって、一の帯状板材10の開口部αに、他の帯状板材10を隙間がない状態で挿入することが可能となっている。
【0026】
口型端部Aにおけるどの位置に開口部αを設けるかは、特に限定されない。本実施形態において、開口部αは、帯状板材10における横幅方向中間部に配置している。このため、口型端部Aにおける、開口部αの両側の縦フレーム部分の幅W,Wはいずれも、帯状板材10の厚さTと同じ値のaとなっている。また、口型端部Aにおける、開口部αよりも先端側に位置する横フレーム部分の幅W(口型端部の先端面から開口部αまでの距離)も、帯状板材10の厚さTと同じ値のaに設定している。
【0027】
また、図3(b)に示すように、凹型端部Bにおける凹部βも、矩形状を為している。凹部βの横幅Wは、a(帯状板材10の横幅Wと同じ値)となっている。凹部βは、帯状板材10を連結する際に、他の帯状板材10を嵌め込む部分であるところ、凹部βの横幅Wをaとしたことによって、一の帯状板材10の凹部βに、他の帯状板材10を隙間がない状態で嵌め込むことが可能となっている。凹部βの深さDは、aよりも大きければ、特に限定されないが、大きくした方が、凹部βに他の帯状板材10をより深く嵌め込むことができる。このため、凹部βの深さDは、2×a以上とすることが好ましく、3×a以上とすることがより好ましい。ただし、凹部βの深さDを大きくしすぎても意味はない。このため、凹部βの深さは、通常、5×a以下とされる。本実施形態において、凹部βの深さDは、4×aに設定している。
【0028】
口型端部Bにおけるどの位置に凹部βを設けるかは、特に限定されない。本実施形態においては、上記の開口部αと同様、凹部βを、帯状板材10における横幅方向中間部に配置している。このため、凹型端部Bにおける、凹部βの両側の縦フレーム部分の幅W,Wはいずれも、帯状板材10の厚さTと同じ値のaとなっている。
【0029】
以上のように、家具組立キットは、端部の形態が異なる複数種類の帯状板材10(口型端部Aを有する帯状板材11,13(図1)と、凹型端部Bを有する帯状板材12,13(図1)と、平型端部Cを有する帯状板材14(図1))で構成されるところ、異なる帯状板材10の端部同士を嵌合することによって、帯状板材10を連結できるものとなっている。図4は、家具組立キットにおける帯状板材10(帯状板材10a,10b,10c)の連結方法を説明する斜視図である。図4には、説明の便宜上、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を示している。
【0030】
帯状板材10a,10b,10cを連結する際には、まず、図4(a)に示すように、一の帯状板材10aにおける口型端部Aを、他の帯状板材10bにおける口型端部Aの開口部αに挿入する。このときの帯状板材10aの口型端部Aは、自身の開口部αのx軸方向中間位置に、帯状板材10bの口型端部Aが重なる深さ(帯状板材10aの開口部αが、帯状板材10bによってx軸方向で二分される深さ)まで挿入する。続いて、図4(b)に示すように、帯状板材10aにおける口型端部Aの開口部αに、また別の帯状板材10(帯状板材10c)における凹型端部Bを挿入する。帯状板材10aの開口部αは、上記のように、帯状板材10bによって二分された状態となっているところ、この二分された開口部αのそれぞれに、帯状板材10cの凹型端部Bの先端における一対の凸部(凹部βの両側の凸部)をそれぞれ挿入する。
【0031】
以上により、図4(c)に示すように、帯状板材10aの口型端部Aと、他の帯状板材10bの口型端部Aと、別の帯状板材10cの凹型端部Bとを互いに嵌合させ、帯状板材10(帯状板材10a,10b,10c)を連結した状態とすることができる。図5に、図4(c)における帯状板材10a,10b,10cの連結部分を、y軸方向に垂直な平面で切断した断面図を示す。図5に示したx軸、y軸及びz軸は、図4に示したx軸、y軸及びz軸と向きを一致させている。
【0032】
帯状板材10a,10b,10cを連結した状態にあっては、図5に示すように、帯状板材10cの凹部βに、帯状板材10bの口型端部Aが嵌め込まれた状態となっている。また、帯状板材10bの開口部αには、帯状板材10aの口型端部Aが挿入された状態となっている。さらに、帯状板材10aの開口部αには、帯状板材10cの凹型端部Bが挿入された状態となっている。このため、帯状板材10aが、帯状板材10bのy軸方向及びz軸方向での動きを規制するとともに、帯状板材10cのx軸方向及びy軸方向での動きを規制した状態となっている。また、帯状板材10bが、帯状板材10aのy軸方向及びz軸方向での動きを規制するとともに、帯状板材10cのx軸方向の動きとz軸方向正側への動きを規制した状態となっている。さらに、帯状板材10cが、帯状板材10aのx軸方向及びy軸方向への動きを規制するとともに、帯状板材10bのy軸方向の動きとz軸方向負側への動きを規制した状態となっている。
【0033】
このように、帯状板材10a,10bの口型端部Aと、帯状板材10cの凹型端部Bとを嵌合することで、帯状板材10a,10b,10cのそれぞれが、他の帯状板材10a,10b,10cの動きを規制した状態となる。このため、シンプルな構造でありながら、ボルト等の留め具を要することなく、帯状板材10a,10b,10cを連結することができる。帯状板材10a,10b,10cの連結は、帯状板材10aの口型端部Aにおける開口部αから、帯状板材10cの凹型端部Bをz軸方向負側に抜かない限り(帯状板材10cの凹型端部Bにおける凹部βから、帯状板材10bの口型端部Aをz軸方向正側に抜かない限り)は、解除されない。このため、帯状板材10a,10b,10cの連結を意図的に解除しようとしない限りは、その連結が解除されにくくなっている。
【0034】
逆に言うと、意図的に、帯状板材10aの口型端部Aにおける開口部αから、帯状板材10cの凹型端部Bをz軸方向負側に抜きさえすれば(帯状板材10cの凹型端部Bにおける凹部βから、帯状板材10bの口型端部Aをz軸方向正側に抜きさえすれば)、帯状板材10a,10b,10cの連結を容易に解除することができる。このため、帯状板材10a,10b,10c等を連結し、ある家具を組み立てた後であっても、それを分解し、別の種類の家具に組み立て直すといったことも容易である。
【0035】
帯状板材10の連結方法は、図4の連結方法に限定されず、他の連結方法を採用することもできる。図6は、家具組立キットにおける帯状板材10の他の連結方法を説明する斜視図である。図6の例では、口型端部Aを有する帯状板材10a(図4)の代わりに、凹型端部Bを有する帯状板材10dを用いて連結を行っている。すなわち、図6(a)に示すように、一の帯状板材10(帯状板材10d)における凹型端部Bを、他の帯状板材10(帯状板材10b)における口型端部Aの開口部αに挿入した後、図6(b)に示すように、帯状板材10dにおける凹型端部Bの凹部βに、また別の帯状板材10(帯状板材10c)における凹型端部Bを挿入することによって、図6(c)に示すように、帯状板材10dの凹型端部Bと、他の帯状板材10bの口型端部Aと、別の帯状板材10cの凹型端部Bとが互いに嵌合した状態で連結することもできる。ただし、図6の連結は、帯状板材10dのx軸方向負側への移動が許容される分、図4の連結よりも弱くなる。
【0036】
また、図示は省略するが、図6における帯状板材10bも、凹型端部Bを有する別の帯状板材10で置き換える(連結する3本の帯状板材10の全てを凹型端部Bを有するものとし、その凹型端部B同士を連結する)ことも可能である。さらに、1箇所で連結する帯状板材10は、3本に限定されず、2本とすることもできる。例えば、図4(b)に示す状態の帯状板材10aと帯状板材10bは、帯状板材10bの開口部αに、帯状板材10aの口型端部Aが挿入されただけの状態ではあるものの、この状態でも、2本の帯状板材10a,10bの動きはある程度規制された状態(連結された状態)となっている。図6(b)に示す状態の帯状板材10dと帯状板材10bについても同様である。これらの連結は、図4(c)の連結と比べると弱いものの、採用する場所によっては、これで十分な場合もある。
【0037】
さらに、1箇所で4本以上の帯状板材10を連結することも可能である。例えば、図4(c)における、帯状板材10aの口型端部Aにおける先端部(帯状板材10cの側端面よりもx軸方向正側に突き出た部分)や、帯状板材10bの口型端部Aにおける先端部(帯状板材10aの側端面よりもy軸方向負側に突き出た部分)や、帯状板材10cの凹型端部Bにおける先端部(帯状板材10bの側端面よりもz軸方向正側に突き出た部分)に、さらに別の帯状板材10の口型端部Aや凹型端部Bを嵌合させることで、4本以上の帯状板材10を連結することができる。図6(c)に示した場合も同様である。このように、帯状板材10は、図4(c)に示した態様の連結以外にも、様々な態様で連結することができる。
【0038】
ところで、本実施形態では、既に述べたように、帯状板材10として、端部の形態が異なる4種類(両端口型の帯状板材11、両端凹型の帯状板材12、両端別型の帯状板材13及びシンプル型の帯状板材14)を用意しているところ、その全長においても、複数種類を用意している。具体的には、図1及び図2に示すように、両端口型の帯状板材11として、さらに、長尺型11aと、中尺型11bと、短尺型11cとの3種類を用意している。また、両端凹型の帯状板材12としては、さらに、長尺型12aと、中尺型12bと、短尺型12cとの3種類を用意している。ただし、両端別型の帯状板材13は、長尺型13aの1種類のみとしており、シンプル型の帯状板材14は、長尺型14aと、中尺型14bとの2種類としている。このため、帯状板材10としては、端部の形態と全長の異なる計9種類が用意されている。
【0039】
本実施形態において、長尺型の帯状板材11a,12a,13a,14aの全長(帯状板材10の長手方向に沿った長さ。以下同じ。)は、中尺型の帯状板材11b,12b,14bの全長よりも長くなっており、短尺型の帯状板材11c,12cの全長は、中尺型の帯状板材11b,12b,14bの全長よりも短くなっている。長尺型の帯状板材11a,12a,13a,14aの全長は、同じ値(本実施形態においては200cm)で統一している。同様に、中尺型の帯状板材11b,12b,14bの全長も、同じ値(本実施形態においては75cm)で統一しており、短尺型の帯状板材11c,12cの全長も、同じ値(本実施形態においては48cm)で統一している。このように、帯状板材10の全長は、30~300cmの範囲で設定することが好ましく、40~250cmの範囲で設定することがより好ましい。
【0040】
また、本実施形態では、上述した9種類の帯状板材10のうち、帯状板材12a(図1(d))及び帯状板材13a(図1(g))は、非端部(中途部分)に開口部γを有する中途部開口型のものとなっている。帯状板材12a(図1(d))では、両端部に形成された一対の凹部βの間の区間を均等に分割(本実施形態では4等分)する箇所に開口部γが位置するよう、帯状板材12aの長さ方向で開口部γを均等に設けている。これに対し、帯状板材13a(図1(g))では、帯状板材13aの長さ方向で開口部γを不均等に設けている。具体的には、口型端部A寄りの箇所に、2つの開口部γを設け、凹型端部B寄りの箇所に、1つの開口部γを設けている。
【0041】
帯状板材12a,13aにおける開口部γは、いずれも、上述した開口部αと同じ寸法形状(縦長が3×aで横幅がaの矩形状)となっている。このため、帯状板材12a,13aの開口部γには、他の帯状板材10を隙間なく挿通することができるようになっている。このため、2本の帯状板材10をクロスした状態で連結することもでき、より多様な形態の家具を組み立てることが可能となっている。本実施形態では、両端凹型の帯状板材12及び両端別型の帯状板材13にのみ、開口部γを設けているが、両端口型の帯状板材11やシンプル型の帯状板材14にも、開口部γを設けることができる。また、本実施形態では、長尺型の帯状板材12a,13aにのみ、開口部γを設けているが、中尺型の帯状板材11b,12b,14bや、短尺型の帯状板材11c,12cにも、開口部γを設けることもできる。帯状板材12a,13aのように、開口部γを複数箇所に設ける場合、隣り合う開口部γの間隔は、開口部γの縦長以上(3×a以上)を確保することが好ましい。また、開口部αと開口部γとの間隔や、凹部βと開口部γとの間隔も、開口部γの縦長以上(3×a以上)とすることが好ましい。これらの間隔は、開口部γの縦長の1.5倍以上とすることがより好ましく、2倍以上とすることがさらに好ましい。これらの間隔に特に上限はないが、通常、開口部γの縦長の10~20倍程度までである。
【0042】
以上のように、本実施形態の家具組立キットを構成する帯状板材10には、端部形態の違いや、全長の違いや、中途部分の開口部γの有無によって、複数種類が存在するところ、これらを組み合わせることによって、多種多様な家具を組み立てることができるようになっている。図7~18に、家具組立キットの組立例を示す。図7~18の各図(a)は、組立後の家具を斜め上方から見た斜視図であり、図7~18の各図(b)は、組立後の家具を斜め下方から見た斜視図である。これら図7~18には、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を示している。図7~18の各図において、図(a)におけるx軸、y軸及びz軸の向きは、図(b)におけるx軸、y軸及びz軸の向きと一致させている。
【0043】
図7の組立例(第一組立例)では、間仕切りを組み立てている。この間仕切りは、計11本の帯状板材10(6本の帯状板材11a及び5本の帯状板材12a)を立方枠状に組み合わせることで、組み立てられている。この間仕切りの各側面を、図示省略の面材(シート材等)で覆うことで、間仕切りの内部空間を外部から目隠しすることができる。間仕切りの各側面のうち、大きく開口された面(y軸方向負側を向く側面)は、カーテン等を取り付けることで、出入口として利用することができる。第一組立例の間仕切りは、避難所において好適に用いることができる。
【0044】
図8の組立例(第二組立例)でも、間仕切りを組み立てている。この間仕切りは、計25本の帯状板材10(6本の帯状板材11a、2本の帯状板材12a、5本の帯状板材12b、6本の帯状板材13a及び6本の帯状板材14a)を立方枠状に組み合わせることで、組み立てられている。この間仕切りの内部空間には、台となる部分(2本の帯状板材11aと6本の帯状板材14aとを水平な平板状に並べた部分)が設けられている。この台は、椅子(ベンチ)や机(テーブル)やベッド等として利用することができる。
【0045】
図9の組立例(第三組立例)でも、間仕切りを組み立てている。この間仕切りは、計36本の帯状板材10(8本の帯状板材11a、8本の帯状板材11c、10本の帯状板材12a、6本の帯状板材12c及び4本の帯状板材13a)を組み合わせることで、組み立てられている。この間仕切りの外側には、一対の台(それぞれ、3本の帯状板材11aと2本の帯状板材12aとを水平な平板状に並べた部分)が設けられている。第三組立例の台は、第二組立例(図8)の台よりも低くなっている。この台も、椅子(ベンチ)や机(テーブル)やベッド等として利用することができる。第三組立例の間仕切りも、避難所において好適に用いることができる。
【0046】
図10の組立例(第四組立例)でも、間仕切りを組み立てている。この間仕切りは、計23本の帯状板材10(2本の帯状板材11a、2本の帯状板材11c、4本の帯状板材12a、5本の帯状板材12b、4本の帯状板材13a及び6本の帯状板材14a)を直方枠状に組み合わせることで、組み立てられている。この間仕切りの内部空間には、台となる部分(2本の帯状板材12aと6本の帯状板材14aとを水平な平板状に並べた部分)が設けられている。第四組立例の台は、第三組立例(図9)の台と同じ高さに設けられている。この台も、椅子(ベンチ)や机(テーブル)やベッド等として利用することができる。第四組立例の間仕切りも、避難所において好適に用いることができるところ、第一組立例から第三組立例(図7~9)の間仕切りよりもコンパクトであるため、多くの避難者を収容しなければならない避難所で特に好適に用いることができる。
【0047】
図11の組立例(第五組立例)でも、間仕切りを組み立てている。この間仕切りは、計23本の帯状板材10(4本の帯状板材11a、2本の帯状板材12a、7本の帯状板材12b、4本の帯状板材13a及び6本の帯状板材14a)を直方枠状に組み合わせることで、組み立てられている。上記の第四組立例(図10)の間仕切りと同様、第五組立例の間仕切りの内部空間にも、台となる部分(2本の帯状板材11aと3本の帯状板材14aとを水平な平板状に並べた部分)が設けられているものの、第五組立例の台は、第四組立例の台よりも、高くなっている。この台も、椅子(ベンチ)や机(テーブル)やベッド等として利用することができる。第五組立例の間仕切りも、避難所で好適に用いることができる。
【0048】
図12の組立例(第六組立例)でも、間仕切りを組み立てている。この間仕切りは、計20本の帯状板材10(4本の帯状板材11a、2本の帯状板材12a、7本の帯状板材12c、4本の帯状板材13a及び3本の帯状板材14a)を直方枠状に組み合わせることで組み立てられている。間仕切りの内部空間に台となる部分が設けられている点は、第四組立例(図10)や第五組立例(図11)の間仕切りと同様である。第六組立例の間仕切りは、幅(y軸方向の幅)が、第四組立例や第五組立例の間仕切りよりもさらに狭いため、より多くの避難者を収容しなくてはならない避難所で好適に用いることができる。
【0049】
図13の組立例(第七組立例)でも、間仕切りを組み立てている。この間仕切りは、計20本の帯状板材10(4本の帯状板材11a、2本の帯状板材12a、7本の帯状板材12c、4本の帯状板材13a及び3本の帯状板材14a)を直方枠状に組み合わせることで組み立てられている。第七組立例の間仕切りは、帯状板材10の構成が、第六組立例の間仕切りと同じであり、内部空間に台となる部分が設けられていることも、第六組立例の間仕切りと同じであるが、台の高さが、第六組立例のものよりも高くなっている。四隅部の柱を構成する4本の帯状板材13aを、中途部分における複数箇所に開口部γ(図1(g))を有する中途部開口型のものとすることによって、帯状板材10の構成が全く同一であっても、このように組み立てられる家具にバリエーションを持たせることができる。第七組立例の間仕切りも、避難所で好適に用いることができる。
【0050】
図14の組立例(第八組立例)では、第一組立例から第七組立例(図7~13)とは異なり、台状家具を組み立てている。ただし、この台状家具は、椅子(ベンチ)としての使用を想定したものであるが、机(テーブル)やベッド等としても使用することができる。この台状家具は、計13本の帯状板材10(2本の帯状板材11a、4本の帯状板材11c、2本の帯状板材12a、2本の帯状板材12c及び3本の帯状板材14a)を台状に組み合わせることで組み立てられている。この台状家具は、その設置場所等を特に限定されないが、避難所で好適に用いることができる。この点、本発明に係る家具組立キットでは、家具の組立だけでなく、組み立てた家具の分解も容易であり、家具を組み立て直すことができるため、例えば、避難所において、避難者がいない平常時においては、第八組立例の台状家具に組み立て、避難者が滞在する災害発生時においては、第一組立例から第七組立例の間仕切りに組み立て直すといったことも可能である。
【0051】
図15の組立例(第九組立例)でも、第八組立例(図14)と同様、台状家具を組み立てている。ただし、この台状家具は、机(テーブル)としての使用を想定しており、第八組立例の台状家具よりも、台の部分が高くなっている。この台状家具は、計13本の帯状板材10(2本の帯状板材11a、4本の帯状板材11b、2本の帯状板材12a、2本の帯状板材12c及び3本の帯状板材14a)を台状に組み合わせることで組み立てられている。この台状家具も、第八組立例の台状家具と同様の理由で、避難所で好適に用いることができる。
【0052】
図16の組立例(第十組立例)でも、第八組立例(図14)や第九組立例(図15)と同様、台状家具を組み立てている。この台状家具は、椅子(ベンチ)やベッドとしての使用を想定したものであるが、机(テーブル)等としても使用することができる。この台状家具は、計18本の帯状板材10(4本の帯状板材11c、12本の帯状板材12a及び2本の帯状板材12c)を台状に組み合わせることで組み立てられている。この台状家具は、高さや幅が第八組立例(図14)と同じであるが、台の部分を形成する帯状板材10(12本の帯状板材12a)を、各帯状板材10の幅方向に並べるのではなく、各帯状板材10の厚さ方向に重ねて並べている点で異なっている。これにより、台の部分の強度を高くすることができる。この台状家具も、第八組立例の台状家具と同様の理由で、避難所で好適に用いることができる。
【0053】
図17の組立例(第十一組立例)でも、台状家具を組み立てている。この台状家具は、椅子としての使用を想定しているが、机(テーブル)や踏み台等としても使用することができる。この台状家具は、計13本の帯状板材10(2本の帯状板材11b、4本の帯状板材11c、2本の帯状板材12b、2本の帯状板材12c及び3本の帯状板材14b)を台状に組み合わせることで組み立てられている。この台状家具も、第八組立例の台状家具と同様の理由で、避難所で好適に用いることができる。
【0054】
図18の組立例(第十二組立例)でも、台状家具を組み立てている。この台状家具は、机(テーブル)としての使用を想定しているが、椅子や踏み台等としても使用することができる。この台状家具は、計16本の帯状板材10(6本の帯状板材11b、4本の帯状板材12b及び6本の帯状板材14b)を台状に組み合わせることで組み立てられている。この台状家具も、第八組立例の台状家具と同様の理由で、避難所で好適に用いることができる。
【0055】
以上のように、本実施形態の家具組立キットでは、形態や用途の異なる複数種類の家具を組み立てることができる。図7~18に示した間仕切りや台状家具(机、椅子又はベッド等)以外にも、ラックや本棚等の棚状家具を組み立てることもできる。柱として使用する帯状板材10として、中途部分における複数箇所に開口部γ(図1(g))を有する中途部開口型のものを用いることで、棚板を複数段で設けることができる。また、図14~18に示すような台状家具を上下方向に重ねて連結することでも、棚板を複数段で有する棚状家具を組み立てることができる。
【0056】
加えて、家具組立キットを構成する帯状板材10は、シンプルな構造でありながら、ボルト等の留め具を要することなく連結することができる。このため、家具の組立が容易であるだけでなく、家具の分解も容易である。したがって、ある家具を組み立てた後も、それを別の種類の家具へと組み立て直すことも容易である。
【0057】
よって、家具組立キットを構成する複数本の帯状板材10を、災害発生時に避難所で必要となる非常時用の家具(間仕切りやベッド等)と、平常時に利用頻度の高い平常時用の家具(机や椅子や棚等)との両方を組み立てできるようにしておけば、災害発生時には、それを間仕切り等の非常時用の家具として使用しながらも、その家具が不要になった平常時には、机や、椅子や、棚等の平常時用の家具に組み立て直し、利用に供することができる。このため、間仕切り等の非常時用の家具を保管する場所を避難所に確保する必要がなくなるだけでなく、家具組立キットの点検等に要する手間を軽減することもできる。また、避難フェーズに応じて、非常時用の家具の形態を柔軟に変更することも可能になる。例えば、災害発生直後の避難者が多い状況では、図10~13のような比較的コンパクトな間仕切りを組み立て、避難者が減ってきたときに、図7~9のような比較的大きな間仕切りに組み立て直すといったことも可能である。
【0058】
以上では、避難所での利用を意識した説明を行ったが、本発明に係る家具組立キットは、避難所以外でも好適に用いることができる。例えば、イベント会場や、商業施設(店舗等)や、医療施設(病院等)や、教育施設(学校等)でも好適に用いることができる。また、一般家庭等でも好適に用いることができる。これらの場所でも、一度組み立てた家具を、形態や種類の異なる別の家具に組み立て直すといった利用は想定され得るからである。
【0059】
家具組立キットを構成する各種類の帯状板材10の本数(帯状板材11a,11b,11c,12a,12b,12c,13a,14a,14bのそれぞれの本数)は、特に限定されない。しかし、各種類の帯状板材10の本数は、多ければ多いほど、様々な種類の家具を組み立てることができるようになる。このため、各種類の帯状板材10の本数は、4本以上とすることが好ましく、5本以上とすることがより好ましく、6本以上とすることがさらに好ましい。1つの家具組立キットを、8本以上の帯状板材11aと、6本以上の帯状板材11bと、8本以上の帯状板材11cと、12本以上の帯状板材12aと、7本以上の帯状板材12bと、7本以上の帯状板材12cと、6本以上の帯状板材13aと、6本以上の帯状板材14aと、6本以上の帯状板材14bとで構成しておけば、上述した図7~18の全ての組立例における家具を組み立てることもできるようになる。各種類の帯状板材10の本数に特に上限はないが、通常、15~20本程度までである。
【符号の説明】
【0060】
10 帯状板材
11 両端口型の帯状板材
11a 両端口型の帯状板材(長尺型)
11b 両端口型の帯状板材(中尺型)
11c 両端口型の帯状板材(短尺型)
12 両端凹型の帯状板材
12a 両端凹型の帯状板材(長尺型)
12b 両端凹型の帯状板材(中尺型)
12c 両端凹型の帯状板材(短尺型)
13 両端別型の帯状板材
13a 両端別型の帯状板材(長尺型)
14 シンプル型の帯状板材
14a シンプル型の帯状板材(長尺型)
14b シンプル型の帯状板材(中尺型)
A 口型端部
B 凹型端部
C 平型端部
T 帯状板材の厚さ
帯状板材の横幅
開口部αの横幅
口型端部の縦フレーム部分の幅
口型端部の縦フレーム部分の幅
口型端部の横フレーム部分の幅
凹部βの横幅
凹部βの両側の縦フレーム部分の幅
凹部βの両側の縦フレーム部分の幅
a 帯状板材の厚さの値
α 開口部(端部)
β 凹部
γ 開口部(中途部分)
図1
図2
図3
図4
図5
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図18